JP5326865B2 - サファイア単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、サファイア単結晶の製造方法に関する。
近年、LED(Light Emitting Diode)の需要、特に青色LED及び白色LEDの需要が急増している。青色LED及び白色LEDには、エピタキシャル成長によって製造されたGaN、InGaN及びそれらに類似する化合物半導体が使われるが、そのエピタキシャル成長用の基板には、サファイアウエハが用いられる(下記非特許文献1参照)。これは、サファイアの格子定数がGaN、InGaNと近く、また、GaN、InGaNのエピタキシャル製膜条件(約1300℃のアンモニア雰囲気)でサファイアが化学的に安定なためである。
一般に、エピタキシャル成長に用いられる基板ウエハは、結晶構造欠陥が少ないほど良いことが知られており、サファイア基板ウエハも、可能な限り結晶構造欠陥が少ないことが望ましい。
サファイアの製造方法には、様々な方法があるが、結晶構造欠陥があまり問題とされない用途では、成長速度が速いベルヌイ法が用いられる。ベルヌイ法ではアルミナ粉末を酸水素炎内に少しずつ流して溶融し、滴を形成させ、下に配置されたサファイア種結晶に落として成長させる。この方法では直径約40mm以下のサファイア結晶を成長させる事ができるが、一般的に小角結晶粒界(サブグレイン)や、その他の結晶構造欠陥が発生しやすい。
結晶構造欠陥の少ないサファイアの育成方法として、チョクラルスキ法、Nacken−Kyropoulos法、熱交換法、EFG法などがある。しかし、これらの方法を用いても、サファイア単結晶中に泡欠陥(数μmの微小な気泡)が発生しやすい。この泡欠陥は、サファイアウエハ上のピット(数μmの微小な窪み)の原因となり、ピットのあるサファイア基板を用いると、その後のエピタキシャル成長に悪影響を与えてしまう。
サファイア単結晶は、原料のアルミナ(Al)を融点(2040℃)以上に加熱し、融解した原料を冷却、固化(結晶化)することで育成されるが、融解した原料(以下、「融液」という)中の一部は分解し、AlO、AlO、Oが生成する。これら原料のアルミナの分解生成物は、原料融液中に過飽和に存在するが、原料融液が結晶化する際には、これら過飽和成分は、結晶中に泡として取り込まれることが知られている(下記非特許文献2参照)。これが、泡欠陥の発生原因と考えられる。
泡欠陥を解決する一手法として、原料のアルミナ(Al)が分解して生成した過飽和酸素(O)を取り除くことで、泡欠陥を低減させることが試みられている。例えば、モリブデン坩堝を用いるNacken−Kyropoulos法において、過飽和酸素(O)を取り除いて泡欠陥を低減させる方法が検討されている。
しかし、このNacken−Kyropoulos法では、結晶育成時の温度勾配が小さいという課題がある。温度勾配が小さいと、結晶育成時の直径制御が難しく、また、引上げ方位が限定されるという問題がある。したがって、通常、Nacken−Kyropoulos法によるサファイアの育成では、育成されたサファイアインゴットの直径は一定ではなく、また、引上げ方位もa軸またはm軸に限定されている。
また、モリブデン坩堝を用いると、坩堝に由来するモリブデンがサファイアに取り込まれてしまう。サファイア中に取り込まれたモリブデンは、泡欠陥を引き起こすだけでなく、サファイアウエハ上へのGaN、InGaNのエピタキシャル成長にも悪影響を与えてしまう。
Nacken−Kyropoulos法よりも温度勾配を大きくできる、欠陥の少ないサファイアの育成方法として、チョクラルスキ法がある。チョクラルスキ法では、ほぼ一定の直径のインゴットが得られることが知られており、また、引上げ方位もa軸またはm軸以外の方位での育成例もある(下記特許文献1参照)。
ここで、例えば、モリブデン坩堝を用いたチョクラルスキ法によるサファイア単結晶の育成では、育成雰囲気に、微量の水素ガスや一酸化炭素ガスを添加することで、過飽和酸素(O)を化学反応により除去することが開示されている(下記特許文献2参照)。
しかしながら、モリブデン坩堝を用いたチョクラルスキ法でも、坩堝に由来するモリブデンがサファイア単結晶内に取り込まれ易いという課題がある。サファイア中に取り込まれたモリブデンは、上述したように、サファイアウエハ上へのGaN、InGaNのエピタキシャル成長に悪影響を与えることが知られている。
チョクラルスキ法によるサファイア単結晶の育成にはモリブデン坩堝を使用する方法以外にイリジウム坩堝を用いる方法があり、イリジウム坩堝を用いれば、モリブデンが取り込まれるという課題は解決する。
しかし、発明者らが、イリジウム坩堝を用いたチョクラルスキ法で、微量の水素ガスを混合した育成雰囲気でサファイア単結晶の育成を行ったところ、得られた結晶中にイリジウムの取り込まれは観察されなかったが、多量の泡欠陥の発生が認められた。したがって、特許文献2の解決手法はイリジウム坩堝を用いたチョクラスルキー法に適用することが出来ないことがわかった。これは、イリジウムが何等かの影響を及ぼしたものと考えられる。
イリジウム坩堝を用いたチョクラルスキ法での泡欠陥の解決手法としては、融解アルミナの分解反応を抑えるため、チャンバ中の不活性ガス雰囲気に、微量の酸素ガスを添加することが試みられている(下記特許文献3参照)。特許文献3では、イリジウム坩堝を用いたチョクラルスキ法でサファイア単結晶を育成している。
しかし、イリジウム坩堝は、高温では酸素ガスと反応し、酸化イリジウムとなることが知られており、酸素ガス濃度を上げると、イリジウム坩堝が酸化されてしまう。そして、反応生成物の酸化イリジウムは、サファイア単結晶に取り込まれてイリジウムインクルージョンとなってしまう。このイリジウムインクルージョンは、サファイアウエハ上のピットの原因になってしまう。
融解アルミナの分解反応を抑えるためには、酸素濃度は高いほうが良いが、上述のように、酸素濃度を高くすると、イリジウムインクルージョンの発生があるため、あまり酸素濃度を高くすることができないという問題がある。
なお、モリブデンは、高温でイリジウムより、酸素との反応性が高く、特許文献3に記載の酸素ガスを添加する方法は、モリブデン坩堝を用いたチョクラスキ法によるサファイア単結晶の育成には適用できない。
また、サファイアの育成時にアルミナ以外の金属を添加すると泡欠陥が少なくなることが知られており、例えば、二酸化チタンを加えることで泡欠陥を低減する方法が開示されている(下記特許文献4及び5参照)。
しかしながら、サファイア単結晶の育成時には、これらの添加元素は、サファイアウエハ上へのGaN、InGaNのエピタキシャル成長に悪影響を与えてしまうため、添加元素は少ないほうが良い。
特開2008−207992 特開平4−132695 特開昭52−138095 特開平6−199597 特開平6−115931
Aggarwal etc. ,J.Quantum Electronics 24(1998)1003. T.Fukuda etc. ,Cryst.Res.technol.30(1995)185.
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、効率よく泡欠陥の発生を抑制することができ、且つ、坩堝金属のインクルージョンの発生を十分に抑制することができるサファイア単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、イリジウム坩堝に酸化アルミニウムを含むサファイア単結晶の原料を装入して加熱溶融し、原料融液から成長結晶を引き上げるチョクラルスキ法を用いたサファイア単結晶の製造方法であって、上記原料の溶融及び上記サファイア単結晶の育成を行う際の雰囲気を、二酸化炭素ガスと不活性ガスとを混合した混合ガス雰囲気とし、上記混合ガス中の二酸化炭素ガス濃度を0.5体積%以上5.0体積%未満とする、サファイア単結晶の製造方法を提供する。本発明はまた、イリジウム坩堝に酸化アルミニウムを含むサファイア単結晶の原料を装入して加熱溶融し、原料融液から成長結晶を引き上げるチョクラルスキ法を用いたサファイア単結晶の製造方法であって、上記原料の溶融及び上記サファイア単結晶の育成を行う際の雰囲気を、二酸化炭素ガスと不活性ガスとを混合した混合ガス雰囲気とし、上記混合ガス中の二酸化炭素ガス濃度を0.8体積%以上1.5体積%以下とし、上記原料が、アルミニウム原子に対して30ppm以上70ppm以下のチタン原子を含有する、サファイア単結晶の製造方法を提供する。
本発明者らは、上述した課題を解決すべく、種々の検討を試みた。その結果、二酸化炭素ガスが、泡欠陥の原因である原料の酸化アルミニウム(アルミナ)の分解(Al⇔AlO+AlO+O…)を効率よく抑制できることを見出した。ここで、二酸化炭素ガスが泡欠陥の原因である原料の酸化アルミニウムの分解を効率よく抑制することが出来る理由は、以下の理由であると考えられる。
酸化アルミニウムの分解反応は、下記の化学平衡式で表される。
Al ⇔ AlO+AlO+O
したがって、酸化アルミニウムの分解を抑制するためには、この化学平衡式の右辺に示される分子の濃度を上げればよい、すなわち酸素濃度を上げればよいと考えられる。
ここで、実際の育成炉内では、酸化アルミニウムは平衡状態まで分解しておらず、上記化学平衡式の右側へ反応が進んでいる状態である。したがって、反応性の高い酸素を用いることができれば、左側へ進む反応の反応速度を上げることが出来、より効率よく分解反応を抑制できると考えられる。
反応性の高い酸素としては、活性酸素が挙げられる。ここで、活性酸素は、O(原子状酸素)、O、又は、O のことである。原子状酸素(O)などの活性酸素種は、酸素分子(O)よりも反応性が高く、これを用いることで、泡欠陥の原因である原料の酸化アルミニウムの分解を効率よく抑制できると考えられる。
そして、二酸化炭素ガスは、高温では、CO→CO+Oの反応を起こし、活性酸素を発生させることができるため、二酸化炭素ガスを用いることで活性酸素を効率よく供給することができると考えられる。
すなわち、サファイア単結晶の育成雰囲気中に二酸化炭素ガスを混合することによって、単結晶中の泡欠陥が低減することを見出し、本発明を完成するに至った。
更に、本発明の製造方法によれば、育成雰囲気中の二酸化炭素ガス濃度を上記所定の範囲内とすることにより、得られるサファイア単結晶中への泡欠陥の発生を効率よく且つ十分に抑制することができるとともに、坩堝金属(イリジウム)のインクルージョンの発生を十分に抑制することができる。二酸化炭素ガス濃度が0.5体積%未満では、酸化アルミニウムの分解反応を抑制する効果が十分に得られず、5.0体積%以上では、イリジウム坩堝の酸化によって、イリジウムインクルージョン発生の原因となってしまう。混合ガス中の二酸化炭素ガス濃度を0.5体積%以上5.0体積%未満とすることにより、上記の問題を生じることなく、泡欠陥の発生を効率よく且つ十分に抑制することが可能となる。
また、本発明のサファイア単結晶の製造方法において、上記原料は、アルミニウム原子に対して1ppm以上100ppm以下のチタン原子を含有することが好ましい。これにより、得られるサファイア単結晶中への泡欠陥の発生をより効率よく且つより十分に抑制することができる。
ここで、チタン原子は、例えば二酸化チタンとしてサファイア単結晶の原料中に添加する。サファイア単結晶の育成中に、チタン原子はTi4+→Ti3+となるが、その際に自身の酸素を酸化アルミニウムへ供与することができるため、酸化アルミニウムの分解反応(Al⇔AlO+AlO+O…)を抑制できると考えられる。したがって、サファイア単結晶の原料中にTi原子を添加することで、さらに泡欠陥を抑制することができる。
しかし、チタン原子の添加量がアルミニウム原子に対して1ppm未満であると、泡欠陥をさらに抑制する効果が十分に得られず、100ppmを超えると、サファイアウエハ上へのGaN、InGaNのエピタキシャル成長に悪影響を与えてしまう上、着色の問題も生じてしまう。チタン原子の添加量をアルミニウム原子に対して1ppm以上100ppm以下の範囲とすることより、上記の問題を生じることなく、泡欠陥の発生をより効率よく且つより十分に抑制することが可能となる。
更に、本発明のサファイア単結晶の製造方法において、上記混合ガスは、上記不活性ガスとして窒素ガス及び/又はアルゴンガスを含有することが好ましい。これにより、二酸化炭素ガスは、高温で、CO→CO+Oの反応を起こしやすくなり、活性酸素を効率よく発生させることが可能となる。
本発明によれば、効率よく泡欠陥の発生を抑制することができ、且つ、坩堝金属のインクルージョンの発生を十分に抑制することができるサファイア単結晶の製造方法を提供することができる。そのため、得られたサファイア単結晶をウエハに加工した際に、泡欠陥や坩堝金属のインクルージョンに由来するピットの発生を十分に抑制することができる。
サファイア単結晶を製造するための引き上げ装置の一例を示す模式断面図である。 参考例1で得られたサファイア単結晶の泡欠陥を観察した顕微鏡写真である。 実施例2で得られたサファイア単結晶の泡欠陥を観察した顕微鏡写真である。 実施例3で得られたサファイア単結晶の泡欠陥を観察した顕微鏡写真である。 実施例4で得られたサファイア単結晶の泡欠陥を観察した顕微鏡写真である。 実施例5で得られたサファイア単結晶の泡欠陥を観察した顕微鏡写真である。 参考例6で得られたサファイア単結晶の泡欠陥を観察した顕微鏡写真である。 比較例1で得られたサファイア単結晶の泡欠陥を観察した顕微鏡写真である。 比較例2で得られたサファイア単結晶の泡欠陥を観察した顕微鏡写真である。 比較例1で得られたサファイア単結晶のイリジウムインクルージョンを観察した顕微鏡写真である。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本発明のサファイア単結晶の製造方法は、イリジウム坩堝に酸化アルミニウムを含むサファイア単結晶の原料を装入して加熱溶融し、原料融液から成長結晶を引き上げるチョクラルスキ法を用いたサファイア単結晶の製造方法であって、上記原料の溶融及び上記サファイア単結晶の育成を行う際の雰囲気を、二酸化炭素ガスと不活性ガスとを混合した混合ガス雰囲気とし、上記混合ガス中の二酸化炭素ガス濃度を0.5体積%以上5.0体積%未満とすることを特徴とする方法である。
ここで、本発明の製造方法で用いる引き上げ装置について図1を参照して説明する。同図に示す引き上げ装置10は、高周波誘導加熱炉14を有している。この加熱炉14は耐火性を有する側壁が筒状の有底容器であり、有底容器の形状自体は公知のチョクラルスキ法に基づく単結晶育成に使用されるものと同様である。この加熱炉14の底部の該側面には高周波誘導コイル15が巻回されている。そして、加熱炉14の内部の底面上には、イリジウム坩堝17が配置されている。
坩堝17は、高周波誘導加熱ヒータを兼ねている。そして、坩堝17中に、サファイア単結晶の原料を投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけると、坩堝17が加熱され、単結晶の構成材料からなる融液(原料融液)18が得られる。
また、加熱炉14の底部中央には、支持棒16が接続されている。
次に、引き上げ装置10を用いたより具体的な製造方法について説明する。本実施形態に係るサファイア単結晶の製造方法は、サファイア単結晶の原料を溶融して融液を得る溶融工程と、融液からサファイア単結晶を引き上げて育成する単結晶育成工程と、得られたサファイア単結晶のインゴットを冷却する冷却工程とを備えている。また、単結晶育成工程は、インゴットの肩部を形成する肩部形成工程と、肩部の下方に延在する直胴部を形成する直胴部形成工程とからなる。
まず、イリジウム坩堝17中に、サファイア単結晶の原料を投入した後、溶融工程に先立って、加熱炉14内の空気を二酸化炭素ガスと不活性ガスとの混合ガスに置換する。この混合ガスの雰囲気下にてサファイア単結晶の原料の溶融及びサファイア単結晶の育成を行うことで、育成されるサファイア単結晶中への泡欠陥の発生を効率よく且つ十分に抑制することができる。
二酸化炭素ガスは、活性酸素種である原子状酸素(O)を供給することができる。これは、二酸化炭素ガスの分解反応(CO→CO+O)によるものである。
平衡状態では、2040℃での原子状酸素(O)は、酸素を用いたほうが二酸化炭素ガスを用いる場合よりも多く存在できる。しかし、COの分解反応(CO→CO+O)は、酸素の分解反応(O→2O)より約40倍早い。2040℃での酸素の分解反応(O→2O)の速度定数は、5.5×10(cm・mol−1・s−1)であるのに対して、2040℃でのCOの分解反応(CO→CO+O)の反応速度定数は、2.2×10(cm・mol−1・s−1)である(化学便覧 基礎編II 改定3版、日本化学会編を参照)。そのため、二酸化炭素ガスを用いることにより、酸素ガスを用いる場合よりも、効率よく活性酸素種である原子状酸素(O)を供給することができる。
この活性酸素によって、泡欠陥の原因である酸化アルミニウムの分解反応(Al⇔AlO+AlO+O…)の平衡を左側に傾けることができ、分解反応が抑制され、泡欠陥が低減する。また、二酸化炭素ガスは、毒性がなく、取り扱いやすいという利点もある。
混合ガスの二酸化炭素ガス濃度(混合ガスの全体積基準)は、0.5体積%以上5.0体積%未満であることが必要である。この二酸化炭素ガス濃度が0.5体積%未満であると、酸化アルミニウムの分解反応を抑制する効果が十分に得られず、5.0体積%以上であると、イリジウム坩堝の酸化によって、イリジウムインクルージョン発生の原因となってしまう。また、泡欠陥の発生を抑制する効果がより優れることから、二酸化炭素ガス濃度は、0.8体積%以上1.5体積%以下であることがより好ましく、泡欠陥の発生を抑制する効果が更に優れることから、二酸化炭素ガス濃度は、1.0体積%以上1.2体積%以下であることが特に好ましい。
また、原料の分解に由来する泡欠陥は、例えば、得られた単結晶にグリーンレーザー(波長:532nm)を照射することで観察することができる。イリジウムインクルージョンについても、例えば、得られた単結晶にグリーンレーザー(波長:532nm)を照射することで観察することができる。
加熱炉14内の空気を上記混合ガスで十分に置換した後、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけることにより、単結晶の構成材料からなる融液18を得る(溶融工程)。
サファイア単結晶の原料としては、酸化アルミニウム(アルミナ)が用いられる。酸化アルミニウムは、純度の高い(好ましくは99.99%以上)ものが好ましい。また、サファイア単結晶の原料には、酸化アルミニウム以外の材料を添加してもよい。泡欠陥の発生を抑制する観点からは、サファイア単結晶の原料には、アルミニウム以外の金属元素を添加することが好ましい。但し、原料中のアルミニウム以外の金属元素は、アルミニウム(Al)原子に対して、100ppm以下であることが好ましい。これは、原料中のアルミニウム以外の金属元素が多いと、サファイアウエハ上へのGaN、InGaNのエピタキシャル成長に悪影響を与えてしまう上、着色の問題も生じてしまうためである。
泡欠陥の発生をより十分に抑制する観点から、サファイア単結晶の原料には、二酸化チタンを加えることが好ましい。この場合、原料中のチタン(Ti)原子の濃度は、アルミニウム(Al)原子に対して、1ppm以上100ppm以下とすることが好ましく、30ppm以上70ppm以下とすることがより好ましい。サファイア単結晶の育成中において、チタン原子はTi4+→Ti3+となるが、その際に自身の酸素を酸化アルミニウムへ供与することができるため、酸化アルミニウムの分解反応(Al⇔AlO+AlO+O…)を抑制できると考えられる。したがって、原料中にチタン原子を添加することで、さらに泡欠陥を抑制することができる。しかし、チタン原子の添加量がアルミニウム原子に対して1ppm未満であると、泡欠陥をさらに抑制する効果が十分に得られず、100ppmを超えると、サファイアウエハ上へのGaN、InGaNのエピタキシャル成長に悪影響を与えてしまう上、着色の問題も生じてしまう。また、二酸化チタンが過剰に存在する場合(上記Ti原子の濃度が100ppmを超える場合)、チタン同士の反応が優先的に起こるため、自身の酸素が酸化アルミニウムへ供給されにくく、充分な効果が得られない場合がある。
次に、坩堝17の上方から、種結晶2を下部先端に固定した引き上げ棒12を融液18の表面の中央部から融液18中に入れて種付けを行う。なお、サファイア単結晶のc軸の方向に結晶を育成させる場合は、種結晶2をそのc軸が坩堝17の融液面に対して垂直となるように種付けすることが好ましい。種付け後、引き上げ棒12を回転させながら引き上げて、略円柱状の単結晶インゴット1を形成する(単結晶育成工程)。
単結晶育成工程は肩部形成工程と直胴部形成工程とからなる。肩部形成工程は、ヒータ13の加熱出力を調節し、単結晶インゴット1が所望の直径となるまで結晶を育成させる工程である。肩部形成工程を経ることによって単結晶インゴット1の肩部を形成する。次に、直胴部形成工程により、肩部の下方に延在する直胴部を形成する。なお、図1は単結晶インゴット1の直胴部を形成している状態を示している。
次に、冷却工程では、単結晶育成工程により得られた単結晶インゴット1を融液18から切り離した後、所定の速度で冷却する。
このような単結晶インゴット1の製造方法によれば、二酸化炭素ガスが存在する雰囲気下で結晶の育成を行うことで、泡欠陥の発生を効率的に且つ十分に抑制することができるとともに、イリジウムインクルージョンの発生を十分に抑制することができる。
以下、実施例、参考例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例2〜5、参考例1、6及び比較例1)
チョクラルスキ法を用いて、以下の手順でサファイア単結晶を育成した。まず、原料として純度99.99%の酸化アルミニウム240gと、二酸化チタン0.0188g(Al原子に対してTi原子が50ppm相当)とを、直径50mm(φ)、深さ50mmのイリジウム坩堝に充填した。この坩堝を高周波誘導加熱炉内に載置した。坩堝の外周にジルコニア製の円筒を配置して、坩堝周辺を保温した。窒素ガスと二酸化炭素ガスとの混合ガス雰囲気のもとで高周波誘導によって坩堝を加熱し、坩堝内の原料を溶融させて融液とした。このとき、混合ガス雰囲気中の二酸化炭素ガス濃度を、下記表1に示す濃度に調整した。
その後、混合ガス雰囲気のまま、サファイアの種結晶を引き上げ棒の先端に固定し、この種結晶を原料の融液中に入れて種付けを行った。このとき、種結晶は、そのR軸が融液面に対して垂直となるように種付けをした。
種結晶を種付けした後、まず、単結晶インゴットの肩部を形成した。すなわち、引き上げ棒を回転速度3rpmで回転させながら、引上げ速度2.0mm/時間で引き上げた。融液の温度を調整することにより、単結晶インゴットの直径を25mm(φ)まで広げて肩部を形成した。
次いで、単結晶インゴットの直胴部を形成した。すなわち、引き上げ棒の回転速度3rpm、引上げ速度2.0mm/時間の条件で結晶育成を続けた。直胴部の長さが30mmとなるまで引き上げた後、切り離し距離5mm、切り離し速度60mm/分の条件で単結晶インゴットを切り離し、20時間かけて冷却を行った。
得られたサファイア単結晶インゴットの直胴部を、厚さ1cmになるように切断し、その両面を鏡面研磨して評価用サンプルとした。この評価用サンプルを顕微鏡のステージに載せ、横からグリーンレーザー(波長532nm)を当てながら顕微鏡をのぞき、泡(緑のドット)の数を数えた。泡の数は0.5×0.5mmの視野内(被写界深度1mm)での数を数えた。同様の方法で、評価用サンプルの計18箇所について泡の数を数え、その平均値を泡欠陥の数とした。その結果を表1に示す。また、実施例2〜5、参考例1、6及び比較例1で得られたサファイア単結晶について泡欠陥を観察した際の顕微鏡写真を図2〜8にそれぞれ示す。
また、上記と同様の方法で、評価用サンプルの計18箇所についてイリジウムインクルージョンの有無を顕微鏡にて確認し、1箇所もイリジウムインクルージョンが確認されなかった場合を「無し」、1箇所でもイリジウムインクルージョンが確認された場合を「有り」として評価した。その結果を表1に示す。
(比較例2)
チョクラルスキ法を用いて、以下の手順でサファイア単結晶を育成した。まず、原料として純度99.99%の酸化アルミニウム270gと、二酸化チタン0.0212g(Al原子に対してTi原子が50ppm相当)とを、直径50mm(φ)、深さ50mmのイリジウム坩堝に充填した。この坩堝を高周波誘導加熱炉内に載置した。坩堝の外周にジルコニア製の円筒を配置して、坩堝周辺を保温した。窒素ガス雰囲気のもとで高周波誘導によって坩堝を加熱し、坩堝内の原料を溶融させて融液とした。
その後、窒素ガス雰囲気のまま、サファイアの種結晶を引き上げ棒の先端に固定し、この種結晶を原料の融液中に入れて種付けを行った。このとき、種結晶は、そのc軸が融液面に対して垂直となるように種付けをした。
種結晶を種付けした後、まず、単結晶インゴットの肩部を形成した。すなわち、引き上げ棒を回転速度10rpmで回転させながら、引上げ速度1.5mm/時間で引き上げた。融液の温度を調整することにより、単結晶インゴットの直径を25mm(φ)まで広げて肩部を形成した。
次いで、単結晶インゴットの直胴部を形成した。すなわち、引き上げ棒の回転速度70rpm、引上げ速度3.0mm/時間の条件で結晶育成を続けた。直胴部の長さが30mmとなるまで引き上げた後、切り離し距離5mm、切り離し速度60mm/分の条件で単結晶インゴットを切り離し、49時間かけて冷却を行った。
得られたサファイア単結晶インゴットの直胴部を、厚さ1cmになるように切断し、その両面を鏡面研磨して評価用サンプルとし、参考例1等と同様の方法で泡欠陥の数、及び、イリジウムインクルージョンの有無を確認した。その結果を表1に示す。また、比較例2で得られたサファイア単結晶について泡欠陥を観察した際の顕微鏡写真を図9に示す。なお、図中のAが泡欠陥である。
混合ガス雰囲気中の二酸化炭素ガス濃度を5体積%とした比較例1では、得られたサファイア単結晶に、イリジウム坩堝由来のインクルージョンが確認された。図10は、比較例1で得られたサファイア単結晶のイリジウムインクルージョンを観察した顕微鏡写真である。なお、図中のBがイリジウムインクルージョンである。5体積%以上の二酸化炭素ガス濃度では、二酸化炭素の分解により生成した酸素(活性酸素)がイリジウムを酸化し、酸化イリジウムとなって結晶中に取り込まれたものと考えられる。そして、結晶中に取り込まれた酸化イリジウムは、酸素を結晶に受け渡して金属イリジウムとなり、結晶中にイリジウムインクルージョンとして析出したと考えられる。このようなイリジウムインクルージョンは、サファイア単結晶を基板ウエハとした際に、ピットの原因となるため好ましくない。なお、実施例2〜5、参考例1、6及び比較例2で得られたサファイア単結晶では、イリジウムインクルージョンは確認されなかった。
1…単結晶、2…種子結晶、10…引き上げ装置、12…引き上げ棒、13…抵抗加熱ヒータ、14…高周波誘導加熱炉、15…高周波誘導コイル、16…支持棒、17…イリジウム坩堝、18…融液。

Claims (2)

  1. イリジウム坩堝に酸化アルミニウムを含むサファイア単結晶の原料を装入して加熱溶融し、原料融液から成長結晶を引き上げるチョクラルスキ法を用いたサファイア単結晶の製造方法であって、
    前記原料の溶融及び前記サファイア単結晶の育成を行う際の雰囲気を、二酸化炭素ガスと不活性ガスとを混合した混合ガス雰囲気とし、前記混合ガス中の二酸化炭素ガス濃度を0.8体積%以上1.5体積%以下とし、
    前記原料が、アルミニウム原子に対して30ppm以上70ppm以下のチタン原子を含有する、サファイア単結晶の製造方法。
  2. 前記混合ガスが、前記不活性ガスとして窒素ガス及び/又はアルゴンガスを含有する、請求項1に記載のサファイア単結晶の製造方法。
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