JP5326561B2 - 液晶装置の駆動方法、液晶装置および電子機器 - Google Patents
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Description
極で液晶を挟持した構成である。液晶に直流成分が印加されると劣化するので、これを防
止するため、画素電極に印加する電圧は、コモン電極に対して高位側の正極性電圧と低位
側の負極性電圧とで交互に切り替えられる(交流駆動)。ただし、交流駆動の際に、正極
性電圧の実効値と負極性電圧の実効値とがなんらかの理由で異なってしまうと、結果的に
液晶に直流成分が印加されて、過去に表示した画像が残像となって現れる。液晶への直流
成分の印加による残像現象は、CRTにおいて同一画像を長期間にわたり表示することに
よって蛍光面が焼き付いたときの現象と似ていることから、同様に焼き付きと呼ばれるこ
とが多い。
正極性電圧の実効値と負極性電圧の実効値とを互いに等しくさせるためには、正極性電
圧の印加による透過率(明るさ)と負極性電圧の印加による透過率との差が最小となるよ
うに、すなわちフリッカーが最小となるように、コモン電極を設定する技術が知られてい
る(例えば特許文献1参照)。
子への直流成分の印加を回避できない場合があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、液晶への
直流成分の印加を、より正確に抑えることが可能な技術を提供することにある。
極とコモン電極とで液晶を挟持し、予め定められた基準電圧に対して高位側の正極性電圧
と前記基準電圧に対して低位側の負極性電圧とが一定の周期毎に交互に書き込まれる液晶
素子を複数有する電気光学装置の駆動方法であって、前記電気光学装置のフリッカーを緩
和するための前記正極性電圧と前記負極性電圧のうち、いずれか一方の電圧からなる偏位
電圧を、前記複数の液晶素子のうちの一部の液晶素子に印加し、前記一部の液晶素子に印
加された前記偏位電圧に基づく電荷を、前記一部の液晶素子の周辺に位置する液晶素子に
拡散させることを特徴とする。本発明によれば、一部の液晶素子に印加した偏位電圧に基
づく電荷が、周辺の液晶素子へと拡散するので、周辺の液晶素子に偏位電圧を印加するこ
となく、さらにコモン電極の電圧を調整することなく、特性差等に起因する液晶の直流成
分の印加を低減することが可能となる。
素子は、前記非表示用としても良い。このように非表示用の液晶素子に偏位電圧を印加す
ることによって、表示に与える影響を最小限にとどめることができる。また、前記一部の
液晶素子は、前記表示用液晶素子のうちの一部の液晶素子であっても良い。
本発明において、前記一部の液晶素子に前記偏位電圧を書き込んだ後、前記一部の液晶
素子における画素電極とコモン電極との通電を解除しても良い。このように通電を解除す
ると、一部の液晶素子に蓄積された電荷が周辺の液晶素子に拡散しやすくなる。また、前
記一部の液晶素子に前記偏位電圧を書き込んだ後、前記一部の液晶素子における画素電極
とコモン電極とを同電位としても、一部の液晶素子に蓄積された電荷が周辺の液晶素子に
拡散しやすくなる。なお、画素電極とコモン電極とを同電位とすると、ノーマリーブラッ
クモードであれば黒表示となるので、いわゆる黒挿入と同じ状態となる。
本発明において、予め定められた数のフレーム期間で表示すべき画像を解析して当該画
像の平均輝度を求め、当該求めた平均輝度に応じた数の液晶素子に前記偏位電圧を印加し
ても良い。平均輝度が判ると、液晶素子に印加すべき電圧の平均値が判り、補正に必要な
電圧も判る。
なお、本発明は、電気光学装置の駆動方法のみならず、電気光学装置や、当該電気光学
装置を有する電子機器としても概念することが可能である。
学装置の構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、電気光学装置10は、制御回路20、操作子30、表示パネ
ル100、Yドライバ130およびXドライバ140を有する。
は、素子基板100aと対向基板100bとを一定の間隙を保って貼り合わせるとともに
、この間隙に液晶105を封止した構成となっている。
素子基板100aのうち、対向基板100bとの対向面には、本実施形態では120行
の走査線112が図において横方向に延在し、また、160列のデータ線114が図にお
いて縦方向に延在し、かつ、各走査線112と互いに電気的に絶縁を保つように設けられ
ている。なお、走査線112を区別するために、以下の説明では図において上から順に1
、2、3、…、120行目という呼び方をする場合がある。同様に、データ線114を区
別するために、図において左から順に1、2、3、…、160列目という呼び方をする場
合がある。
対応して、nチャネル型のTFT116と矩形形状で透明性を有する画素電極118との
組が設けられている。TFT116のゲート電極は走査線112に接続され、ソース電極
はデータ線114に接続され、ドレイン電極が画素電極118に接続されている。
一方、対向基板100bのうち、素子基板100aとの対向面には、透明性を有するコ
モン電極108が全面にわたって設けられている。
線112とデータ線114との交差に対応して、画素電極118とコモン電極108とで
液晶105を挟持する液晶素子120が設けられることになる。
ここで、コモン電極108には、図示省略した電圧供給回路によって電圧Vcomが印加
される。
この液晶素子120では、画素電極118およびコモン電極108の差電圧が保持され
るとともに、両電極間で生じる電界に応じて液晶105の分子の配向状態が変化する。こ
のため、液晶素子120は、透過型であれば、保持した差電圧の実効値に応じた透過率と
なる。表示パネル100では、液晶素子120毎に透過率が変化するので、これが表示パ
ネルにおける画素となる。
本実施形態では、走査線112が120行であり、データ線114が160列であるの
で、図3に示されるように、表示パネル100において画素が、縦120行×横160列
でマトリクス状に配列することになるが、このうち、上下の各30行分、および、左右の
各40列分の画素は、遮光膜等で覆われて、表示に寄与しない非表示画素として用いられ
、残りの31行目〜90行目であって41列目〜120列目の画素が、表示画素として用
いられる。
択した走査線112に選択電圧を印加させるとともに、選択した走査線112に対応する
液晶素子120に対して、目的とする階調に応じた電圧のデータ信号を、データ線114
を介して供給させると、選択走査線におけるTFT116がオン状態となり、当該データ
信号が、オン状態のTFT116を介して画素電極118に印加される。
このため、表示画素であれば、液晶素子120に対し階調に応じた電圧を印加・保持さ
せて、階調に応じた透過率とさせて視認させることができる。また、非表示画素でも、液
晶素子120に対しデータ信号に応じた電圧を印加・保持させることができるが、視認さ
れることはない。
走査線に非選択電圧を印加して、TFT116をオフ状態とさせても、TFT116が
オン状態のときに液晶素子120に書き込まれた電圧は、その容量性によりに保持される
。
デオ振幅中心電圧(基準電圧)Vcに対して高位側の正極性電圧と低位側の負極性電圧と
に一定周期毎に、例えばフレーム期間毎に交互に切り替えられる。
ここで、フレーム期間とは、表示パネル100を駆動することによって、画像の1コマ
分を表示させるのに要する時間をいい、垂直走査周波数が60Hzであれば、その逆数で
ある16.7ミリ秒である。また、電圧については、特に説明のない限り、図示省略した
電源の接地電位を電圧ゼロの基準としている。
1フレームの期間において画素の書込極性を空間的にどのような配列させるかについて
は、走査線毎に反転させる行反転方式、データ線毎に反転させる列反転方式、走査線およ
びデータ線方向に対して隣り合う画素毎に反転させる画素反転方式などあるが、本実施形
態では、すべて同一極性とする面反転方式とする。面反転方式では、同一フレーム期間に
わたって全画素に対し同一の書込極性が指定されるとともに、書込極性がフレーム期間毎
に反転する。
このうち、タイミング制御回路22は、図示省略した上位装置から供給される垂直同期
信号Vsync、水平同期信号Hsyncおよびドットクロック信号Dckに基づいて各部を制御す
る。詳細には、タイミング制御回路22は、Yドライバ130に対し、垂直同期信号Vsy
ncによって規定される垂直走査期間(フレーム期間)の開始タイミングにスタートパルス
Dyを出力するとともに、水平同期信号Hsyncの供給周期で規定される水平走査期間の2
倍の周期を有するクロック信号Clyを出力する一方、Xドライバ140に対し、水平走査
期間の開始タイミングにスタートパルスDxを出力するとともに、ドットクロック信号Dc
kの供給周期に応じた周期のクロック信号Clxを出力する。
また、タイミング制御回路22は、データ信号変換回路24に対し信号Frpによって書
込極性を指定する。上述したように本実施形態では、フレーム反転方式としているので、
信号Frpは、図4に示されるようにフレーム期間毎に極性反転する。なお、信号Frpは、
Hレベルであるときに正極性書込を指定し、Lレベルであるときに負極性書込を指定する
ものとする。
なお、タイミング制御回路22は、操作子30が操作されたとき、後述するように特定
の液晶素子に偏位電圧を印加すべき旨を、データ信号変換回路24に指示する。
基準電圧Vcに対して信号Frpにより指定される極性のアナログのデータ信号dsに変換し
て出力するものである。ここで、映像信号Vidは、表示パネル100の各画素について明
るさ(階調)をそれぞれ指定するデジタルデータであり、垂直同期信号Vsync、水平同期
信号Hsyncおよびドットクロック信号Dckにしたがった走査の順で画素毎に供給される。
において走査信号G1をHレベルとし、同様に2、3、4、…、120行目の画素に対応
する映像信号Vidが供給される水平走査期間において走査信号G2、G3、G4、…、G120
を順次Hレベルとする走査線駆動回路である。詳細には、Yドライバ130は、図4に示
されるように、スタートパルスDyをクロック信号Clyにしたがって順次シフトさせると
ともに、パルス幅をクロック信号Clyの半周期に狭めた走査信号G1、G2、G3、G4、…
、G120を、1、2、3、4、…、120行目の走査線112に供給する構成となってい
る。
なお、走査信号のHレベルは、TFT116をオン(導通)状態とさせる選択電圧VH
であり、走査信号のLレベルは、TFT116をオフ(非導通)状態とさせる非選択電圧
VLである。
素に対応するデータ信号dsを、それぞれ1〜160列目のデータ線114にサンプリン
グするデータ線駆動回路である。Xドライバ140の詳細については省略するが、スター
トパルスDxをクロック信号Clxにしたがって順次シフトさせるとともに、パルス幅をク
ロック信号Clxの半周期に狭めたサンプリング信号を1、2、3、…、160列目に対応
して出力し、データ信号変換回路24によって変換されたデータ信号dsを、当該サンプ
リング信号にしたがってそれぞれデータ線114にサンプリングする構成となっている。
なお、1、2、3、…、160列目のデータ線114にサンプリングされるデータ信号
を、図1において、それぞれd1、d2、d3、…、d160と表記している。
位装置からは、映像信号Vidが、1行1列〜1行160列、2行1列〜2行160列、3
行1列〜3行160列、…、120行1列〜120行160列の画素の順番でフレーム期
間にわたって供給される。
ここで、正極性書込が指定される奇数nフレームにおいて、1行1列〜1行160列の
映像信号Vidが供給される水平走査期間では、当該映像信号Vidがデータ信号変換回路2
4によって正極性のデータ信号dsに変換されるとともに、当該データ信号dsがXドライ
バ140によって1、2、3、…、160列目のデータ線114にデータ信号d1、d2、
d3、…、d160としてサンプリングされる。一方、Yドライバ130によって走査信号G
1だけがHレベルとなるので、1行目のTFT116がオン状態となる。これにより、デ
ータ線114にサンプリングされたデータ信号は、オン状態にあるTFT116を介して
画素電極118に印加されるので、1行1列〜1行160列の液晶素子には、それぞれ階
調に応じた正極性電圧が書き込まれることになる。
次に、2行1列〜2行160列の映像信号Vidが供給される水平走査期間では、同様に
して、当該映像信号Vidが正極性のデータ信号dsに変換されるとともに、当該データ信
号dsがデータ線114にサンプリングされる。一方、走査信号G2だけがHレベルとなる
ので、2行目のTFT116がオン状態となる。これにより、データ線114にサンプリ
ングされたデータ信号が、画素電極118に印加されるので、2行1列〜2行160列の
液晶素子には、それぞれ階調に応じた正極性電圧が書き込まれることになる。以下同様な
書込動作が3、4、…、120行目に対して実行される。
次の偶数(n+1)フレームにおいては、信号Frpの反転により、映像信号Vidが負極
性のデータ信号dsに変換される以外、同様な書込動作が実行される。これにより、各液
晶素子には、それぞれ階調に応じた負極性電圧が書き込まれることになる。
このような電圧書込によって、表示パネル100では、映像信号Vidに応じたデータ信
号が書き込まれて、表示画素によって画像が表示される。
の電圧を変動させるフィールドスルー(プッシュダウン、突き抜け)や、チャネル領域へ
の侵入光によりオフリークが発生する。ここで、コモン電極108に印加する電圧Vcom
を、正負振幅の基準電圧Vcに一致させると、液晶素子に印加される電圧の実効値は、フ
ィールドスルー等のために、負極性の方が正極性よりも大きくなってしまう(TFT11
6がnチャネル型の場合)。このため、コモン電極108に印加する電圧Vcomについて
は、基準電圧Vcよりも若干低位側にオフセットするとともに、そのオフセット量につい
ては、フリッカーが最小となるように初期段階(工場出荷前)で調整される。
ここで、フィールドスルー等による電圧変動分をΔV1とすると、コモン電極108に
印加する電圧Vcomは、フリッカーを最小とさせる調整によって、基準電圧Vcよりも、電
圧変動分ΔV1を相殺する方向の低位側にオフセットされることになる。
違に基づく特性の非対称性(特性差)が存在する。この特性差も、液晶に直流成分が印加
される原因の一つである。このため、コモン電極108に印加する電圧Vcomを、フリッ
カーが最小となるように設定しただけでは、液晶に印加される直流成分が時間経過ととも
に増大し、最小となるように調整したはずのフリッカーが大きくなってしまう場合がある
。この特性差に起因する電圧変動分をΔV2とすると、当該電圧変動分ΔV2を相殺させる
電圧を、液晶素子に印加すれば良いことになる。
印加する電圧Vcomを再調整すると、すべての液晶素子に一律に変化する関係上、正極・
負極の電圧実効値の差が却って拡大してしまう場合があり得る。かといって、一部の液晶
素子だけに、電圧変動分ΔV2を相殺させるような電圧を印加しただけでは、表示パネル
全体のフリッカーを減少させることはできない。
ここで、本件発明者は、一部の液晶素子に、正極または負極に偏った偏位電圧を印加し
た後に、ある特定の条件を付することによって、フリッカーが減少しやすくなる傾向を見
出した。その条件とは、一部の液晶素子に偏位電圧を印加した後に、当該液晶素子の通電
状態を変化させることであり、具体的には、動作状態から、電源オフにすることや、全液
晶素子への印加電圧をゼロとすることである。このように通電状態を変化させると、一部
の液晶素子に印加された偏位電圧に基づく電荷が、パネル面において周辺の画素に拡散し
て、あたかも電圧変動分ΔV2を相殺させたかのようにフリッカーが減少する。
けるフリッカーの経時変化を示す図である。電源オフ状態においては、ある一定時間毎に
表示パネル100を動作させてフリッカーを測定した。詳細には、図5に示されるように
、駆動状態において、一部の液晶素子に偏位電圧を印加して電圧を偏らせても、表示パネ
ル100の全体的なフリッカーは、偏位電圧を印加しない場合と、大きな相違はないが、
電源オフとさせると、偏位電圧を印加した場合の方が、偏位電圧を印加しない場合よりも
、フリッカーが大きく減少する。また、再び駆動状態にさせると、偏位電圧を印加したこ
とにより、電圧変動分ΔV2がある程度相殺するために、フリッカーの増加が抑えられて
いる。
ことから、偏位電圧を印加する画素を表示画素の中から選択すると、目立ってしまう。こ
のため、偏位電圧を印加する画素を非表示画素の一部にして、表示上の不具合として視認
されないようしている。
るための動作について説明する。なお、この動作では、コモン電極108に印加する電圧
Vcomは、基準電圧Vcに対して電圧変動分ΔV1だけ低位側に設定されているものとする
。
まず、操作子30が操作されると、タイミング制御回路22は、データ信号変換回路2
4に対し、非表示画素の一部に偏位電圧を印加するように指示する。
に対しては、上述した表示動作と同様に、映像信号Vidを信号Frpによって指定された極
性に変換した電圧のデータ信号を出力する一方、非表示画素の一部に対しては、映像信号
Vidにかかわらず、液晶素子に偏位電圧を印加するためのデータ信号を出力する。
てみたとき、液晶素子に、電圧変動分ΔV2を相殺する方向の極性に偏った電圧が印加さ
れるのであれば良いので、例えば正極性に偏った偏位電圧を液晶素子に印加する場合には
、信号Frpで負極性書込が指定されるフレーム期間であっても、正極性電圧のデータ信号
を供給すれば良い。反対に、負極性に偏った偏位電圧を液晶素子に印加する場合には、信
号Frpで正極性書込が指定されるフレーム期間であっても、負極性電圧のデータ信号を供
給すれば良い。
また、非表示画素の一部としては、例えば図3に示されるように、表示画素に近い8点
(29行39列、29行80列、29行122列、60行39列、60行122列、92
行39列、92行80列、92行122列)などが考えられるが、これら8点以外であっ
ても良い。
この動作を複数フレーム期間にわたって実行すると、非表示画素における8点の画素の
液晶素子には、偏位電圧に基づく電荷が十分に蓄積される一方、それ以外の画素には、映
像信号に基づく電圧が印加されることになる。
停止するとともに、コモン電極108への電圧Vcomの印加を停止させて、電源オフの状
態と同じとする。これにより、8点の画素に蓄積された電荷は、図6に示されるように、
周辺画素に拡散する。このような偏位電圧の印加と通電停止とを何回か繰り返すと、電荷
の拡散により、おおよそすべての液晶素子にわたって、特性差に起因する電圧変動分ΔV
2が相殺されることになる。電圧変動分ΔV2が相殺されていれば、フリッカーが生じない
ので(または、目立たないので)、その時点で偏位電圧の印加を終了すれば良い。
このように本実施形態によれば、特性差に起因する直流成分の印加を回避することによ
って、フリッカーや焼き付きといった表示上の不具合を改善することが可能となる。
上述した実施形態では、次のような変形・応用が可能である。
実施形態では、電荷を拡散させるために、Yドライバ130およびXドライバ140の
駆動を停止するとともに、コモン電極108への電圧Vcomの印加を停止させたが、実際
に電源オフとしても良いし、液晶素子への印加電圧をゼロまたは僅少とすることによって
も良い。
ここで、液晶素子への印加電圧をゼロまたは僅少にする、とは、ノーマリーブラックモ
ードにおいて透過率を最小とすることとほぼ同じ意味であるので、非表示画素の一部に偏
位電圧を印加した後に、非表示画素および表示画素に黒色に相当する電圧を順次書き込み
(黒挿入)、全画素における液晶素子への印加電圧をゼロまたは僅少とすることによって
、偏位電圧に基づく電荷を周辺画素に拡散させても良い。
は偏位電圧を印加させるデータ信号を書き込む一方、表示画素には映像信号に基づくデー
タ信号を書き込み、第2に、電源オフ等または黒挿入とし、第3に、全画素に映像信号に
基づくデータ信号をそれぞれ書き込み、第4に、電源オフ等または黒挿入する、というサ
イクルを繰り返しても良い。
特性差に起因する電圧変動分ΔV2を相殺するための電圧は、液晶素子における平均透
過率、すなわち、平均輝度に応じて変化する。このため、例えば1フレーム期間分の映像
信号Vidを解析して、全画素にわたった平均輝度を算出すれば、必要な補正電圧を求める
ことができる。
なお、必要な補正電圧は、例えばノーマリーブラックモードであれば、平均輝度が高い
ほど(明るいほど)大きくなり、ノーマリーホワイトモードであれば、平均輝度が高いほ
ど小さくなる。
そして、次のフレーム期間に、必要な補正電圧に相当する分だけ電圧を偏らせれば、直
前の1フレーム期間で生じた電圧変動分V2を相殺できるはずである。
ただし、上記実施形態では、偏位電圧を印加する画素を8点としたために、拡散させる
のに十分な電荷を蓄積させるためには、ある程度多くのフレーム期間を要した。このため
、電圧変動分V2をより短期間で相殺するためには、より多くの画素に偏位電圧を印加す
る必要がある。
そうであれば、極性反転しない画素数を、例えば走査線単位として、電圧変動分ΔV2
に応じて決めれば、直前の1フレーム期間で生じた電圧変動分を次の1フレーム期間とい
う短い期間のうちに相殺することができると考えられる。
以上の考えに基づいて、実施例を改良したのが、次に説明する応用例である。
この図において、図1と相違する部分は、主に解析回路26、算出回路27および行数
指示回路28を有する点にある。
このうち、解析回路26は、1フレーム期間分の映像信号Vidにおける各画素の輝度を
累積するとともに、その累積値を全画素数で除することによって1フレーム期間における
の平均輝度を算出するものである。
算出回路27は、平均輝度から、特性差に起因する電圧変動分ΔV2を求めるものであ
る。なお、算出回路27は、平均輝度に対する電圧変動分ΔV2を出力するLUT(ルッ
クアップテーブル)であっても良い。
ム期間において極性反転させない走査線数(ライン数)を指示する。詳細には、全画素の
平均輝度が求められると、液晶素子に印加される電圧の平均値も判り、1行分の画素を極
性反転しない場合の電圧の偏りも判る。このため、ライン数指示回路28は、求められた
電圧変動分ΔV2を相殺するためには、何行分の画素を極性反転しなければ良いのかを求
めて、この行数を、データ信号変換回路24に指示する。
0行)のうち、行数指示回路28によって指示された行数分の走査線を選択し、選択した
走査線に対応する画素の映像信号Vidについては、信号Frpで指定された極性とは反対極
性の電圧に変換し、他の走査線行の映像信号Vidについては、信号Frpで指定された極性
の電圧に変換する。具体的には、選択した走査線に対応する画素に、例えば正極性の偏位
電圧を印加する必要がある場合には、信号Frpによって負極性の電圧が指定されていても
正極性の電圧を印加し、信号Frpによって正極性の電圧が指定されている時は正極性の電
圧を印加する。そして、他の走査線に対応する画素には、信号Frpによって指定されたと
おりの極性の電圧を印加する。
なお、この応用例では、電荷の拡散を促進させるために、上記黒挿入を行う。
分ΔV2は、次のフレーム期間において、指定された行数分の走査線を極性反転しないこ
とによる偏位によって相殺される。したがって、この応用例によれば、特性差に起因する
直流成分の印加をより短期間で抑えることが可能となる。
なお、この応用例では、極性反転させない画素を走査線に対応する1行分を単位として
正極、負極の一方に偏位させたが、極性反転させない画素を画素単位で決めるようにして
も良い。
上述した実施形態では、偏位電圧を印加する液晶素子は非表示用液晶素子であったが、
表示用液晶素子に偏位電圧を印加しても良い。この構成によれば、偏位電圧を印加する画
素において表示上の不具合が視認される可能性はあるものの、電荷が拡散すべき距離が短
くなるため、より短期間で直流成分の印加を解消することが可能となる。
次に、上述した実施形態や応用例に係る電気光学装置を用いた電子機器の一例として、
上述した電気光学装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図8
は、このプロジェクタの構成を示す平面図である。
この図に示されるように、プロジェクタ2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色
光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102か
ら射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイ
ックミラー2108によってR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に分離されて、各原
色に対応するライトバルブ10R、10Gおよび10Bにそれぞれ導かれる。なお、B色
の光は、他のR色やG色と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レ
ンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系
2121を介して導かれる。
の各色に対応して3組設けられる。そして、R、G、Bの各色に対応する表示データがそ
れぞれ外部上位装置から供給される構成となっている。ライトバルブ10R、10Gおよ
び10Bの構成は、上述した実施形態における表示パネル100と同様であり、R、G、
Bのそれぞれに対応する映像信号でそれぞれ駆動されるものである。
ライトバルブ10R、10G、10Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイッ
クプリズム2112に3方向から入射する。そして、このダイクロイックプリズム211
2において、R色およびB色の光は90度に屈折する一方、G色の光は直進する。したが
って、各色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射レンズ2114によっ
てカラー画像が投射されることとなる。
によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必
要はない。また、ライトバルブ10R、10Bの透過像は、ダイクロイックプリズム21
12により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ10Gの透過像はそのまま投
射されるので、ライトバルブ10R、10Bによる水平走査方向は、ライトバルブ10G
による水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を表示する構成となっている。
ダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子
手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、デジタ
ルスチルカメラ、携帯電話機、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、
これらの各種の電子機器に対して、本発明に係る電気光学装置が適用可能なのは言うまで
もない。
コモン電極、116…TFT、118…画素電極、120…液晶素子、2100…プロジ
ェクタ
Claims (8)
- 複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差に対応して配置された複数の画素電極とを備えた第1の基板と、前記複数の画素電極に対向するコモン電極を備えた第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された液晶とを有し、前記複数の画素電極に第1の画素電極と第2の画素電極とを含む液晶装置の駆動方法であって、
前記第1の基板と前記第2の基板との特性差に起因して、前記液晶に印加される直流成分を相殺する補正期間を有し、
前記補正期間は、第1の期間と第2の期間を含み、
前記第1の期間において、
前記第1の画素電極に基準電位に対して高位側の正極性電位と低位側の負極性電位とを交互に供給し、
前記第2の画素電極に前記高位側と前記低位側の何れか一方の極性の補正電位を供給し、
前記コモン電極にコモン電位を供給し、
前記第1の画素電極に前記正極性電位と前記負極性電位とを複数回交互に供給した後の前記第2の期間において、
前記第1の画素電極への前記正極性電位と前記負極性電位の供給を停止し、前記第2の画素電極への前記一方の極性の補正電位の供給を停止し、前記コモン電極への前記コモン電位の供給を停止し、
前記第1の期間と前記第2の期間とを複数回繰り返し、
前記一方の極性の補正電位は、前記高位側と前記低位側のうち、前記液晶に印加される直流成分を相殺する側の電位である
ことを特徴とする液晶装置の駆動方法。 - 前記第1の画素電極は、表示に寄与する表示領域に配置され、前記第2の画素電極は、表示に寄与しない非表示領域に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の駆動方法。 - 前記第1の画素電極と前記第2の画素電極は、表示に寄与する表示領域に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の駆動方法。 - 前記第2の期間では、前記液晶装置への通電を解除する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液晶装置の駆動方法。 - 前記第2の期間では、前記第2の画素電極と前記コモン電極とは、同電位となる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液晶装置の駆動方法。 - 予め定められた数のフレーム期間で表示すべき画像を解析して当該画像の平均輝度を求め、前記複数の画素電極のうち前記求めた平均輝度に応じた数の第1の画素電極に前記補正電位を印加する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液晶装置の駆動方法。 - 複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差に対応して配置された複数の画素電極とを備えた第1の基板と、前記複数の画素電極に対向するコモン電極を備えた第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された液晶とを有し、前記複数の画素電極に第1の画素電極と第2の画素電極とを含む液晶装置であって、
前記第1の基板と前記第2の基板との特性差に起因して、前記液晶に印加される直流成分を相殺する補正期間を有し、
前記第1の期間において、
前記第1の画素電極に基準電位に対して高位側の正極性電位と低位側の負極性電位とを交互に供給し、
前記第2の画素電極に前記高位側と前記低位側の何れか一方の極性の補正電位を供給し、
前記コモン電極にコモン電位を供給し、
前記第1の画素電極に前記正極性電位と前記負極性電位とを複数回交互に供給した後の前記第2の期間において、
前記第1の画素電極への前記正極性電位と前記負極性電位の供給を停止し、前記第2の画素電極への前記一方の極性の補正電位の供給を停止し、前記コモン電極への前記コモン電位の供給を停止し、
前記第1の期間と前記第2の期間とを複数回繰り返し、
前記一方の極性の補正電位は、前記高位側と前記低位側のうち、前記液晶に印加される直流成分を相殺する側の電位である
ことを特徴とする液晶装置。 - 請求項7に記載の液晶装置を有することを特徴とする電子機器。
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