以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<1.第1実施形態>
<1−1.装置>
図1および図2は、本発明に係るアライメント装置1を示す図である。図1はアライメント装置1の縦断面図であり、図2は当該アライメント装置1のI−I断面図である。なお、各図においては、便宜上、XYZ直交座標系を用いて方向等を示している。
アライメント装置1は、減圧下のチャンバ(真空チャンバ)2内で、被接合物91と被接合物92との位置合わせ動作(アライメント動作)を行い、その対向面に表面活性化処理が施された両被接合物91,92を接合する装置である。このアライメント装置1は接合装置であるとも表現される。この装置1によれば、両被接合物91,92を固相接合することが可能である。なお、両被接合物91,92としては、様々な材料(例えばシリコン(半導体ウエハー)など)が用いられる。また、両被接合物91,92は、それぞれ、アライメント動作の対象物であるとも表現される。
アライメント装置1は、両被接合物91,92の処理空間である真空チャンバ2と、当該真空チャンバ2に連結されたロードロックチャンバ3とを備える。真空チャンバ2は、排気管6と排気弁7とを介して真空ポンプ5に接続されている。真空ポンプ5の吸引動作に応じて真空チャンバ2内の圧力が低減(減圧)されることによって、真空チャンバ2は真空状態にされる。また、排気弁7は、その開閉動作と排気流量の調整動作とによって、真空チャンバ2内の真空度を調整することができる。
両被接合物91,92は、ロードロックチャンバ3内において導入棒4の先端部のクランピングチャック4cで保持された後、真空チャンバ2内に移動される。具体的には、上側の被接合物92は、導入棒4の先端部で保持され、ヘッド22の直下位置にまでX方向に移動された後、ヘッド22によって保持される。同様に、下側の被接合物91は、導入棒4の先端部で保持された状態でX方向においてステージ12に向けて移動され、当該ステージ12によって保持される。
ヘッド22およびステージ12は、いずれも、真空チャンバ2内に設置されている。ヘッド22は、アライメントテーブル23によってX方向およびY方向に移動(並進移動)されるとともに、回転駆動機構25によってθ方向(Z軸回りの回転方向)に回転される。ヘッド22は、後述する位置認識部28等による位置検出結果等に基づいてアライメントテーブル23および回転駆動機構25によって駆動され、X方向、Y方向、θ方向におけるアライメント動作が実行される。
また、ヘッド22は、Z軸昇降駆動機構26によってZ方向に移動(昇降)される。Z軸昇降駆動機構26は、不図示の圧力検出センサにより検出した信号に基づいて、接合時の加圧力を制御することができる。なお、X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する方向である。
また、アライメント装置1は、被接合物91,92の位置を認識する位置認識部28を備えている。
図2に示すように、位置認識部28は、光源28a,28bを有するとともに、被接合物等に関する光像を画像データとして取得する撮像部(カメラ)28c,28dを有する。また、両被接合物91,92には、それぞれ、位置識別用パターンマーク(以下、単にパターンあるいはマークとも称する)が付されている。ここでは、一方の被接合物92には4つの位置識別用パターンMT2,MT4,AT2,AT4(図3参照)が設けられ、他方の被接合物91には4つの位置識別用パターンMT1,MT3,AT1,AT3(図4参照)が設けられる。ここで、4つのパターンAT1〜AT4は、ラフアライメント(粗位置決め)用のパターンであり、他の4つのパターンMT1〜MT4は、ファインアライメント(高精度位置決め)用のパターンである。これらのパターンを用いたアライメント動作については後に詳述する。
両被接合物91,92の位置合わせ動作(アライメント動作)は、当該位置認識部(カメラ等)により、両被接合物91,92に付されたパターンの位置を認識することによって実行される。
図2に示すように、位置認識部28は、両被接合物91,92が対向する状態において、光源28a,28bからの光の透過光に関する画像データを用いて、両被接合物91,92の位置を認識する。具体的には、真空チャンバ2の外部側方に配置された光源28a,28bから出射された各光は、真空チャンバ2の窓部(不図示)をそれぞれ透過し、その後、ミラー28e,28fで反射されてその進行方向が変更され下方に進行する。当該各光は、さらに、両被接合物91,92を透過した後、窓部2b(図1)等をも透過して、撮像部28c,28dにそれぞれ到達する。位置認識部28は、このようにして取得された両被接合物91,92に関する光像(透過光に関する画像)を画像データとして取得する。上記のパターンMT1,MT2の重畳画像とパターンPAT1,AT2の重畳画像とは、それぞれ、撮像部28cによって取得される。また、パターンMT3,MT4の重畳画像とパターンAT3,AT4の重畳画像とは、それぞれ、撮像部28dによって取得される。さらに、位置認識部28は、当該画像データに基づいてマークの位置を認識する。なお、光源28a,28bとしては、両被接合物91,92およびステージ12等を透過する光(例えば赤外光)が用いられる。
その後、位置認識部28により認識された位置情報に基づき、アライメントテーブル23と回転駆動機構25とによって、ヘッド22が2つの並進方向(X方向およびY方向)と回転方向(θ方向)とに駆動される。これにより、両被接合物91,92が相対的に移動される。
このようにして、アライメント動作が実行される。
さらに、このような位置認識動作と位置合わせ用の駆動動作とが繰り返し実行される。これによれば、ヘッド22駆動時の駆動誤差が徐々に低減されていき、さらに正確なアライメント動作が実行される。
この装置1は、コントローラ100をさらに備えている。コントローラ100は、アライメント動作および接合動作を制御する制御部である。
コントローラ100(図1)は、画像取得制御部101と、位置ずれ算出部(単に算出部とも称する)102と、位置補正制御部103とを備える。
画像取得制御部101は、撮像部28c,28d等で構成される画像取得部31を制御する。画像取得部31は、対向する2つの対象物の表面にそれぞれ配置された両パターンの重なり画像(重畳画像)GC等を取得する。
算出部102は、画像取得制御部101の制御下で取得された重畳画像GC等に基づいて、所定平面内における両被接合物91,92相互間の位置ずれを算出する。
位置補正制御部103は、アライメントテーブル23を駆動する駆動機構と回転駆動機構25とを備えて構成される位置補正部33を制御し、両被接合物91,92を相対的に駆動して位置ずれを補正する。
<1−2.アライメントの概要>
この第1実施形態においては、アライメント装置1は、図5および図6に示すパターンでラフアライメントを実行し、図7に示すパターン(モアレ生成用2次元パターン)でファインアライメントを実行する。
より具体的には、まず、図5に示すパターンCTと図6に示すパターンDTとを用いてラフアライメント動作が実行される。
パターンCTは、十字状のパターンマークであり、パターンDTは、4つの正方形がグリッド状に配置されたパターンマークである。パターンCTは、上側の被接合物92の接合表面に配置されており、パターンDTは、下側の被接合物91の接合表面に配置されている。例えば、パターンCTの大きさ(長さ)H2とパターンDTの大きさ(長さ)H1とは、それぞれ、約数百μm(マイクロメートル)である。また、パターンCTにおける十字の上下左右への突出部分とパターンDTの4つの正方形との間隙GP(図6参照)は、例えば数十μmである。なお、パターンCT、DTは、ラフアライメント用パターン対であるとも表現される。
両被接合物91,92が正しく位置決めされている場合には、パターンDTの4つの正方形はパターンCTの十字部分と重複しないように配置され且つ当該4つの正方形は当該十字部分からいずれも同じ長さ離れて配置される。
ラフアライメントにおいては、パターンCTの十字部分がパターンDTの4つの正方形の中央部分に配置されるように位置合わせが行われる。これにより、両被接合物91,92の位置誤差を所定範囲内(例えば数μm程度)に収めることが可能である。
さらに、この実施形態においては、図7に示すようなパターン(モアレ生成用2次元パターン)MTを用いることによって両被接合物91,92の位置ずれが再び認識され、さらに高精度のアライメント(ファインアライメント)が実行される。
このパターンMTを用いた位置認識は、互いに異なるピッチで配置される2種類のライン群が重畳されることによって発生するモアレ縞(以下、単にモアレとも称する)を用いて行われる。以下では、このパターンMTを用いた位置認識について、基本原理から詳細に説明する。
<1−3.モアレを用いた位置ずれ検出の基本原理>
図14〜図16は、モアレの発生原理について説明する図である。まず、2種類のライン群LG1,LG2が重畳されることによって発生するモアレについて説明する。
図14は、パターンPT1を示す図であり、図15は、パターンPT2を示す図である。パターンPT1,PT2は、モアレ生成用パターンであるとも表現される。
図14に示すように、パターンPT1は、ピッチp1で平行配置されるライン群LG1を有する。一方、図15に示すように、パターンPT2は、ピッチp2で平行配置されるライン群LG2を有する。ここで、ピッチp2は、ピッチp1よりも微小量Δp大きい(p2=p1+Δp)。例えば、ピッチp1は19μm(マイクロメートル)であり且つピッチp2は20μmである(Δp=1μm)。また、各ライン群LG1,LG2に含まれる複数のラインのそれぞれは、所定幅(例えばピッチp2の半分の値)を有している。
図16は、パターンPT1とパターンPT2との重畳画像を示す図である。図16に示すように、パターンPT1とパターンPT2との重畳部分では、図面の横方向において濃淡が変化しており、いわゆるモアレが発生している。
このモアレの周期PDは、次の式(1)で表現される。
なお、この式(1)は、ピッチp1で配列された(n+1)本のラインの配列長さ(p1×(n+1))とピッチp2で配列されたn本のラインの配列長さ(p2×n)とが、それぞれ、いずれも配列周期PDと等しくなることから導出される。
また、図16の状態から、パターンPT2をパターンPT1に対して左向きにΔpずらすと、モアレは右向きに距離p2ずれる。
同様に、図17に示すように、図16の状態から、パターンPT2をパターンPT1に対して左向きに距離(2×Δp)ずらすと、モアレは右向きに距離(2×p2)ずれる。詳細には、図16ではパターンPT1の最も左の直線とパターンPT2の最も左の直線とが横方向において同一の位置に存在するのに対して、図17ではパターンPT1の左から3番目の直線とパターンPT2の左から3番目の直線とが横方向において同一の位置に存在する。すなわち、パターンPT2がパターンPT1に対して左向きに2×Δpずらされているとき、図17に示されるように、モアレ(例えば高濃度領域の中心部分)は、右向きに距離(2×p2)ずれる。
また、図18に示すように、図16の状態から、パターンPT2をパターンPT1に対して右向きに距離(2×Δp)ずらすと、モアレは左向きに距離(2×p2)ずれる。
このように、モアレのずれ量ΔD1は、両パターンの相対ずれ量Δdに値(p2/Δp)を乗じた値である(式(2)参照)。
ここで、パターンの相対ずれ量Δpに対するモアレのずれ量ΔD1の変化率MG(拡大率とも称する)は、次の式(3)で表される。なお、例えば、p1=19μm且つp2=20μmのときには、MG=20である。
そして、式(2)から導かれる式(4)によれば、図16の状態からのモアレのずれ量ΔD1に基づいて、パターンPT2とパターンPT1とのずれ量Δdを求めることが可能である。
すなわち、モアレのずれ量ΔD1を用いることによれば、両パターンPT1,PT2の相対ずれ量Δdを、値ΔD1の(1/MG)の大きさの値として求めることが可能である。このように、比較的大きなモアレ縞のずれ(実際には微小なずれ)に基づいて、両パターンPT1,PT2の相互間の比較的小さなずれ(さらに微小なずれ)を検出することが可能である。
<1−4.モアレを用いた位置ずれ検出原理(デュアル検出)>
上記の手法(第1の手法とも称する)においては、両パターンPT1,PT2の相互間に位置ずれが存在しない状態でのモアレの位置(図16参照)が既知である場合には、上述の原理によるずれ量Δdの導出が可能である。換言すれば、第1の手法においては、例えば2つのモアレ生成用パターンの重畳画像GA以外の情報(重畳画像の外部の情報)に基づいて、モアレの正規の位置情報を取得することを要する。しかしながら、一般的には、図16の状態におけるモアレの位置(絶対位置)を取得することは容易ではない。
そこで、以下では、位置ずれが存在しない状態でのモアレの絶対位置(図16参照)が既知でない場合にも容易に適用可能な手法(以下、第2の手法とも称する)を、図19〜図23に基づいて説明する。
この第2の手法においては、図19および図20に示すように、2種類のパターンPT1,PT2を図の上下方向(縦方向)に設けた2つのパターンPL,PUを用いる。パターンPLとパターンPUとでは、ラインパターンPT1,PT2が互いに縦方向の逆側に設けられている。具体的には、パターンPLにおいては、縦方向上側にパターンPT1が設けられており、縦方向下側にパターンPT2が設けられている。一方、パターンPUにおいては、縦方向上側にパターンPT2が設けられており、縦方向下側にパターンPT1が設けられている。ここで、パターンPT1は、互いに平行な複数のライン(ライン群LG1)がピッチp1で配置されるパターンであり、パターンPT2は、互いに平行な複数のライン(ライン群LG2)がピッチp2で配置されるパターンである。ピッチp2はピッチp1よりも微小量Δp大きい。
図21は、パターンPLとパターンPUとが基準位置(ここでは左端のライン位置)で正確に位置決めされて重畳された状態(重畳画像GB)を示す図である。すなわち、図21は、両パターンPL,PUが互いに位置ずれを伴うことなく重畳された状態である。
詳細には、上半領域PH1においては、パターンPLのライン群LG1とパターンPUのライン群LG2との重畳によって生成される周期的な濃度変化が図の左右方向において生じる。下半領域PH2においては、パターンPLのライン群LG2とパターンPUのライン群LG1との重畳によって生成される周期的な濃度変化が図の左右方向において生じる。そして、図21においては、上半領域PH1と下半領域PH2とで同一のモアレが発生している。
これに対して、図22は、パターンPUをパターンPLに対して右に微小量Δpずらして両パターンPU,PLを重畳した状態(重畳画像GB)を示す図である。図22においては、微小移動量Δd=Δpである。
このとき、上半領域PH1においては、パターンPU内のパターンPT2がパターンPL内のパターンPT1に対して、右に微少量Δp移動する。そのため、図22に示すように、上半領域PH1のモアレは、図21に比べて左に微少量ΔD1移動する。なお、この移動量ΔD1は、式(2)より、値p2に等しい。
また、下半領域PH2においては、パターンPU内のパターンPT1がパターンPL内のパターンPT2に対して、相対的に右に微少量Δp移動する。換言すれば、パターンPL内のパターンPT2はパターンPU内のパターンPT1に対して、相対的に左に微少量Δp移動する。そのため、図22に示すように、下半領域PH2のモアレは、図21に比べて右に微少量ΔD1移動する。なお、この移動量ΔD1は、式(2)より、値p2に等しい。
このように、パターンPUとパターンPLとが相対的位置ずれを生じると、上半領域PH1のモアレと下半領域PH2のモアレとは逆向きに移動する。また、パターンPUとパターンPLとがずれ量Δdの相対的位置ずれを生じると、上半領域PH1のモアレと下半領域PH2のモアレとは、それぞれ、式(2)のずれ量ΔD1ずれる。そのため、図22に示すように、上半領域PH1のモアレと下半領域PH2のモアレとは、ΔD1の2倍の大きさのずれ量ΔD2ずれる(式(5)参照)。
ここで、式(6)のような拡大率MG2を定義する。なお、例えば、p1=19μm且つp2=20μmのときには、MG2=40である。
このような値MG2を用いると、式(7)に示すように、上半領域PH1のモアレと下半領域PH2のモアレとのずれ量ΔD2は、パターンPUとパターンPLとのずれ量Δdの(MG2)倍の値であると表現される。例えば、MG2=40のとき、ΔD2はΔdの40倍である。
逆に、式(7)から導かれる式(8)によれば、パターンPT2とパターンPT1とのずれ量Δdは、上半領域PH1のモアレと下半領域PH2のモアレとの相対的ずれ量ΔD2に基づいて算出される。
また、図23は、パターンPUをパターンPLに対して右に微小量(3×Δp)ずらして両パターンPU,PLを重畳した状態(重畳画像GB)を示す図である。図23においては、微小移動量Δd=(3×Δp)である。
このとき、式(7)に示されるように、上半領域PH1のモアレと下半領域PH2のモアレとのずれ量ΔD2は、パターンPUとパターンPLとのずれ量Δdの(MG2)倍の値である。
そこで、逆に、ずれ量ΔD2を観測して取得することによれば、式(8)に基づいて、両パターンPU.PLの相対的位置ずれ量Δdを算出することができる。例えば、MG2=40の場合には、Δd=ΔD2/MG2=ΔD2/40である。より具体的には、ΔD2=1μm(マイクロメートル)であるとすると、Δd=1/40μm=25nm(ナノメートル)である。
また、図24は、パターンPUをパターンPLに対して、今度は左に微小量Δpずらして両パターンPU,PLを重畳した状態(重畳画像GB)を示す図である。図24においては、微小移動量Δd=Δpである。
上記と同様に、ずれ量ΔD2を観測して取得することによれば、式(8)に基づいて、両パターンPU.PLの相対的位置ずれ量Δdを算出することができる。
また、図24においては、図22と比較すると判るように、上半領域PH1のモアレと下半領域PH2のモアレとのずれの向きが逆である。したがって、上半領域PH1のモアレと下半領域PH2のモアレとのずれの向きに基づいて、パターンPLに対するパターンPUのずれの向きを知得することができる。
このように、第2の手法によれば、上半領域PH1と下半領域PH2とにおいて、それぞれ、逆向きにずれた状態でのパターンPT1,PT2の重畳画像GBが形成され、当該重畳画像GBの上下においてそれぞれモアレが発生する。そして、上半領域PH1のモアレと下半領域PH2のモアレとのずれの向きおよび大きさを求めることによって、パターンPLに対するパターンPUのずれの向きおよび大きさを知得することができる。
特に第2の手法によれば、両パターンPL,PUの相互間に位置ずれが存在しない状態でのモアレの位置(図16参照)は、必ずしも予め知得されることを要しない。すなわち、第1の手法は、モアレの正規位置の情報を参照することを要するのに対して、第2の手法は、当該正規位置の情報を要しない。つまり、第2の手法によれば、2つのモアレ生成用パターンの重畳画像GB以外の情報(外部情報とも称する)等に基づくモアレの正規位置の情報を要しない。換言すれば、モアレ生成用パターンの重畳画像GB(端的に言えば内部情報のみ)にのみ基づいて、2つのモアレ生成用パターンの位置ずれの向きおよび量を知得することができる。具体的には、重畳画像GB内の上半領域PH1と下半領域PH2とを相互に比較すること(換言すれば内部情報を相互に参照すること)によって、所望の情報(両パターンPL,PUの位置ずれの向きおよび量)を取得することができる。したがって、2つの対象物の位置ずれを容易に知得することができる。
また、モアレの位置を把握するに際しては、モアレの高濃度部分の中央位置を目視等によって、決定するようにしてもよいが、次のようにして上下2つのモアレの周期的な濃度変化をそれぞれ取得することが好ましい。
図25は、重畳画像GBにおける上下2つのモアレのうちの一方のモアレの周期的な濃度変化(実線)を示す概念図である。図25においては、横軸は、重畳画像GBの所定方向(例えばX方向等)における位置Xを示しており、縦軸は、重畳画像GBの各位置Xにおける濃度(画素値)Vを表している。
具体的には、まず、モアレの複数の位置Xにおける画素値V(例えば256段階のグレースケール値)が取得される。そして、異なる位置Xに関する複数の画素値に基づいて、X方向におけるモアレの周期的な濃度変化(画素値変化)が所定形状の曲線で近似される。例えば、回帰処理によって、当該周期的な濃度変化をサインカーブ曲線(コサインカーブ曲線とも表現される)で近似すればよい。なお、図25における破線は、サインカーブによる近似曲線を示している。
ここにおいて、各位置Xにおける画素の画素値は、近似処理の前段階において、各位置Xの画素と当該画素のX方向における周辺の数画素とを含む複数の画素の画素値の平均値(単純平均値あるいは加重平均値等)として取得されるようにしてもよい。より具体的には、モアレに関するX方向の元の画素列に対して平滑化フィルタ処理(ぼかしフィルタ処理)を施して、画素列の画素値を変更しておくようにしてもよい。変更後の画素列における各画素は、各位置Xの画素の近傍画素の平均画素値を有する。なお、これに限定されず、各位置Xの画素の画素値とその周辺数画素の画素値とを含む複数の画素の画素値のうちの最大値、あるいは当該複数の画素の中央値等を、各位置における画素値として決定するようにしてもよい。
上記のような近似処理によって、例えば上半領域PH1に関する1つの近似曲線が得られる。
また、同様にして、他方(たとえば下半領域PH2)のモアレについての近似曲線も得られる。
この結果、上半領域PH1と下半領域PH2との各領域に関する近似曲線(合計2つの近似曲線)が求められる。
図26は、上半領域PH1での周期的な濃度変化(すなわちモアレ)を近似する近似曲線AL1と下半領域PH2での周期的な濃度変化(すなわちモアレ)を近似する近似曲線AL2とを示す図である。例えば、近似曲線AL1は、上半領域PH1の直線LN1(図22参照)上での濃度変化を表現するものであり、近似曲線AL2は、下半領域PH2の直線LN2(図22参照)上での濃度変化を表現するものである。
そして、両近似曲線AL1,AL2の相互間の位置ずれ(ΔD2)に基づいて、両対象物相互間の所定方向における位置ずれ(Δd)が、式(8)に基づいて算出される。なお、両近似曲線AL1,AL2の相互間の位置ずれは、両サインカーブAL1,AL2の位相ずれであるとも表現される。
これによれば、2つのモアレ(周期的な濃度変化)に関する近似曲線AL1,AL2の相互間の位置ずれに基づいて、両パターンPU,PLの相互間の位置ずれ(ひいては両対象物91,92)の位置ずれを把握することができる。
特に、複数の位置での画素値に基づく近似曲線を求めることによってモアレの位置を特定することによれば、人間の目視等によって各濃度変化の或る特徴点の位置(たとえばモアレの黒色領域の中央位置)でモアレの位置を特定する場合に比べて、さらに正確に位置ずれを算出することが可能である。また、仮に、1つの特徴点の位置でモアレの位置を特定する場合には、画像処理のピクセル分解能に依存して、当該1つの特徴点の位置精度が制約される。一方、複数の位置での測定情報に基づいてモアレの位置を特定することによれば、或る1つの点の位置でモアレの位置を特定する場合に比べて、測定誤差が低減される。このように、複数の位置での画素値に基づき2つの近似曲線を求めることによれば、周期的な濃度変化の位置ずれを各濃度変化の1つの特徴点の位置で求める場合に比べて、さらに正確に位置ずれを算出することが可能である。
また、重畳画像GBは、必ずしも合焦状態で取得された鮮明な画像であることを要しない。例えば、完全な合焦状態ではなく若干ピントがぼけた状態(非合焦状態)で撮像された重畳画像GBを用いて、上記の各近似曲線AL1,AL2を求めるようにしてもよい。これによれば、画像処理フィルタ(平準化フィルタ等)を用いることなく、同様の平準効果を得ることが可能である。この場合においては、特に、モアレの複数の位置Xにおける画素値をグレースケール値で取得することが好ましい。
なお、この第2の手法では、重畳画像GBの上半領域PH1における所定方向の直線上での濃度変化と、重畳画像GBの下半領域PH2における所定方向の直線上での濃度変化とが比較される。換言すれば、(上下の)2つの直線上での周期的な濃度変化(近似曲線)が互いに比較される。そのため、この第2の手法は、「デュアルライン比較法」とも称される。また特に、2つの近似曲線を用いて2つのモアレを比較する手法は、「デュアル近似曲線比較法」とも称される。
<1−5.モアレを用いた位置ずれ検出原理(2次元)>
この実施形態においては、基本的には上記の第2の手法を採用する。ただし、両被接合物91,92の対向面に平行な2つの方向(例えばX方向およびY方向)における位置ずれを取得するため、上記第2の手法を1つの方向に関するものから2つの方向に関するものへと拡張した手法(第3の手法とも称する)を採用する。
図7は、本実施形態で用いるモアレ生成用のパターンMTを示す図であり、図8は、当該パターンMTの中央領域RC付近の拡大図である。また、図9は、当該パターンMTの8つの区分領域RG1〜RG8等を示す図である。
図7等に示すように、パターンMTは、略正方形形状を有している。また、図9に示すように、パターンMTは、当該パターンMTの中心から放射状に延びる8つの領域(詳細にはその中心角を45度ずつに区分する八等分領域)RG1〜RG8に区分される。各領域RG1〜RG8は、それぞれ、略直角三角形形状を有している。また、X方向およびY方向に延びる2本の中心線CY,CXで区分した4つの領域のうち、左上領域と右下領域とには複数のライン(ライン群LG1)がピッチp1でそれぞれ配列され、左下領域と右上領域とには複数のライン(ライン群LG2)がピッチp2でそれぞれ配列される。このパターンMTは、その中心点CPに関して点対称の構成を有している。例えば、パターンMTのX方向およびY方向の大きさ(長さ)Hx,Hyは、それぞれ、約2mmであり、ピッチp1は19μm(マイクロメートル)であり、ピッチp2は20μmである(Δp=1μm)。
より詳細には、パターンMTの左上領域に含まれる2つの八等分領域RG1,RG2のうち、図の左右方向(X方向)に延びる中心軸CYに比較的近い領域RG2には、図の上下方向(Y方向)に延びる複数のラインが図の左右方向(X方向)にピッチp1で配列される。パターンMTの左上領域に含まれる2つの八等分領域のうちの他方の領域(縦方向に延びる中心軸CXに比較的近い領域)RG1には、図の左右方向(X方向)に延びる複数のラインが図の上下方向(Y方向)にピッチp3(ここではピッチp1と同一)で配列される。
同様に、パターンMTの右下領域に含まれる2つの八等分領域RG5、RG6のうち、中心軸CYに比較的近い領域RG6には、Y方向に延びる複数のラインがX方向にピッチp1で配列される。パターンMTの右下領域に含まれる2つの八等分領域のうちの他方の領域(中心軸CXに比較的近い領域)RG5には、X方向に延びる複数のラインがY方向にピッチp3(ここではピッチp1と同一)で配列される。
また、パターンMTの左下領域に含まれる2つの八等分領域RG3,RG4のうち、中心軸CYに比較的近い領域RG3には、Y方向に延びる複数のラインがX方向にピッチp2で配列される。パターンMTの左下領域に含まれる2つの八等分領域のうちの他方の領域(中心軸CXに比較的近い領域)RG4には、X方向に延びる複数のラインがY方向にピッチp4(ここではピッチp2と同一)で配列される。
同様に、パターンMTの右上領域に含まれる2つの八等分領域RG7,RG8のうち、中心軸CYに比較的近い領域RG7には、Y方向に延びる複数のラインがX方向にピッチp2で配列される。パターンMTの右上領域に含まれる2つの八等分領域のうちの他方の領域(中心軸CXに比較的近い領域)RG8には、X方向に延びる複数のラインがY方向にピッチp4(ここではピッチp2と同一)で配列される。
また、領域RG2内のライン群LG1と領域RG3内のライン群LG2とは、境界線CYを挟んで、対峙して配置される。境界線CYは、Y方向の中心を通り且つX方向に伸びる境界線(中心線)である。同様に、領域RG6内のライン群LG1と領域RG7内のライン群LG2とは、境界線CYを挟んで、対峙して配置される。
また、領域RG1内のライン群LG3(ここではライン群LG1)と領域RG8内のライン群LG4(ここではライン群LG2)とは、境界線CXを挟んで、対峙して配置される。境界線CXは、X方向の中心を通り且つY方向に伸びる境界線(中心線)である。同様に、領域RG4内のライン群LG4(ここではライン群LG2)と領域RG5内のライン群LG3(ここではライン群LG1)とは、境界線CXを挟んで、対峙して配置される。なお、境界線CX,CYは、それぞれ、実際に描画される線であることを要さず、仮想的な線であってもよい。
図3は、上側の被接合物92に設けられる各パターンMT2,MT4,AT2,AT4の位置を示す図であり、図4は、下側の被接合物91に設けられる各パターンMT1,MT3,AT1,AT3の位置を示す図である。
図4に示すように、下側の被接合物91の接合表面には、図7と同じパターンMTがパターンMT1,MT3として設けられている。一方、図3に示すように、上側の被接合物92の接合表面にも、図7と同じパターンMTがパターンMT2,MT4として設けられている。これらの4つのパターンMT1〜MT4は、いずれも同一であり、同一の(露光用の)マスクパターンを用いて両被接合物91,92の表面(ひょうめん)等に作成される(図10も参照)。
そして、図10および図11に示すように、上側の被接合物92の天地左右が反転されて、上側の被接合物92の接合表面と下側の被接合物91の接合表面とが対向する。図11に示すように、両被接合物91,92の対向状態においては、パターンAT1とパターンAT2とが対向し且つパターンAT3とパターンAT4とが対向するとともに、パターンMT1とパターンMT2とが対向し且つパターンMT3とパターンMT4とが対向する。なお、図10および図11においては、パターンMT1〜MT4,AT1〜AT4の配置等を明示するため、これらのパターンをデフォルメして表現している。
図12は、被接合物92上のパターンMT2が反転して被接合物91上のパターンMT1に対向する様子を模式的に示す図である。図12においては、白矢印の左側に反転前の状態が示されており、白矢印の右側には反転後の状態が示されている。また、図12においては、各領域におけるラインの配置ピッチ(具体的には、p1,p2)が併せて示されている。
図12の白矢印の右側に示すように、パターンMT2の反転後にパターンMT1とパターンMT2とが重畳する状態を鉛直方向上方から見ると、両パターンMT1,MT2の互いに異なるピッチ部分が重なり合う。具体的には、パターンMT1のピッチp1のライン群とパターンMT2のピッチp2のライン群とが重なり合い、パターンMT1のピッチp2のライン群とパターンMT2のピッチp1のライン群とが重なり合う。
図13は、両被接合物91,92の対向状態において、両パターンMT1,MT2が重畳する様子を詳細に示す模式図である。具体的には、図13に示すように、パターンMT1の領域RG1とパターンMT2の領域RG8とが重畳し、パターンMT1の領域RG2とパターンMT2の領域RG7とが重畳する。また、パターンMT1の領域RG3とパターンMT2の領域RG6とが重畳し、パターンMT1の領域RG4とパターンMT2の領域RG5とが重畳する。さらに、同様に、パターンMT1の領域RG5とパターンMT2の領域RG4とが重畳し、パターンMT1の領域RG6とパターンMT2の領域RG3とが重畳する。また、パターンMT1の領域RG7とパターンMT2の領域RG2とが重畳し、パターンMT1の領域RG8とパターンMT2の領域RG1とが重畳する。
なお、別の1組のパターン対(MT3,MT4)も、上述のパターン対(MT1,MT2)と同様の関係(図12および図13に示す関係と同様の関係)を有する。パターン対(MT3,MT4)の利用法については、後に詳述する。
上記のような反転動作の結果、例えば図27および図28に示すような重畳画像GCが取得される。図27および図28の重畳画像GCは、両パターンMT1,MT2が位置ずれを全く伴わずに重なり合っている状態に対応するものである。なお、図28においては、重畳画像GCを8つに区分した各区分領域RH1〜RH8が当該重畳画像GCにさらに重ねて示されている。また、重畳画像GCは、図示の都合上、撮像部(カメラ)28c,28dによって実際に取得される画像の左右を反転させた画像として示されている。
この重畳画像GCは、複数(ここでは8つ)の周期的な濃度変化(モアレ)を有している。
重畳画像GCはX方向において4つのモアレを有している。具体的には、重畳画像GCは、領域RH2内の直線LN1上におけるモアレと、領域RH7内の直線LN1上におけるモアレと、領域RH3内の直線LN2上におけるモアレと、領域RH6内の直線LN2上におけるモアレとを有している。
このうち、領域RH2内の直線LN1上におけるモアレは、パターンMT1の領域RG2にてピッチp1でX方向に配置されたライン群LG1とパターンMT2の領域RG7にてピッチp2でX方向に配置されたライン群LG2との重なり合いによって生成される(図13も参照)。また、領域RH7内の直線LN1上におけるモアレは、パターンMT1の領域RG7内にてピッチp2でX方向に配置されたライン群LG2とパターンMT2の領域RG2内にてピッチp1でX方向に配置されたライン群LG1との重なり合いによって生成される。このように、直線LN1上における各モアレは、パターンMT1,MT2にて互いに異なるピッチp1,p2でX方向に配置された2種類のライン群が重畳されることによってそれぞれ生成される。
同様に、直線LN2上における各モアレも、パターンMT1,MT2にて互いに異なるピッチp1,p2でX方向に配置された2種類のライン群が重畳されることによってそれぞれ生成される。具体的には、領域RH3内の直線LN2上におけるモアレは、パターンMT1の領域RG3にてピッチp2でX方向に配置されたライン群LG2とパターンMT2の領域RG6にてピッチp1でX方向に配置されたライン群LG1との重なり合いによって生成される。また、領域RH6内の直線LN2上におけるモアレは、パターンMT1の領域RG6内にてピッチp1でX方向に配置されたライン群LG1とパターンMT2の領域RG3内にてピッチp2でX方向に配置されたライン群群LG2との重なり合いによって生成される。
また、重畳画像GCはY方向においても4つのモアレを有している。具体的には、重畳画像GCは、領域RH1内の直線LN3上におけるモアレと、領域RH4内の直線LN3上におけるモアレと、領域RH5内の直線LN4上におけるモアレと、領域RH8内の直線LN4上におけるモアレとを有している。直線LN3,LN4上における各モアレは、パターンMT1,MT2にて互いに異なるピッチp3,p4(ここでは、p3=p1,p4=p2)でY方向に配置された2種類のライン群が重畳されることによってそれぞれ生成される。
具体的には、領域RH1内の直線LN3上におけるモアレは、パターンMT1の領域RG1にてピッチp3(p1)でY方向に配置されたライン群LG3(LG1)とパターンMT2の領域RG8にてピッチp4(p2)でY方向に配置されたライン群LG4(LG2)との重なり合いによって生成される。領域RH4内の直線LN3上におけるモアレは、パターンMT1の領域RG4にてピッチp4(p2)でY方向に配置されたライン群LG4(LG2)とパターンMT2の領域RG5にてピッチp3(p1)でY方向に配置されたライン群LG3(LG1)との重なり合いによって生成される。領域RH5内の直線LN4上におけるモアレは、パターンMT1の領域RG5にてピッチp3(p1)でY方向に配置されたライン群LG3(LG1)とパターンMT2の領域RG4にてピッチp4(p2)でY方向に配置されたライン群LG4(LG2)との重なり合いによって生成される。領域RH8内の直線LN4上におけるモアレは、パターンMT1の領域RG8にてピッチp4(p2)でY方向に配置されたライン群LG4(LG2)とパターンMT2の領域RG1にてピッチp3(p1)でY方向に配置されたライン群LG3(LG1)との重なり合いによって生成される。
図29は、両パターンMT1,MT2がX方向にΔd(例えば1/40μm=25nm)ずれている状態での重畳画像GCを示す図である。図29では、重畳画像GC内の領域RH2,RH6においてモアレが図27に比べて左(−X)向きに移動しており、重畳画像GC内の領域RH3,RH7においてモアレが図27に比べて右(+X)向きに移動している。
したがって、例えば領域RH2でのモアレと領域RH3でのモアレとを比較することによれば、両パターンMT1,MT2の相互間のずれ量Δdを算出することができる。詳細には、領域RH2での直線LN1上のモアレと領域RH3での直線LN2上のモアレとを比較して値ΔX(=ΔD2)を求め、式(8)に基づいて両パターンMT1,MT2の相互間のX方向のずれ量Δd(Δdx)を算出すればよい。例えば、ΔX=40μm(マイクロメートル)の場合には、Δdx=40/40μm=1.0μm(マイクロメートル)として算出される(MG2=40のとき)。また、ΔX=1μm(マイクロメートル)の場合には、Δdx=1/40μm=25nm(ナノメートル)として算出される(MG2=40のとき)。なお、これに限定されず、例えば領域RH6でのモアレと領域RH7でのモアレとを比較して値ΔXを求めて、パターンMT1,MT2の相互間のX方向のずれ量Δd(Δdx)を算出するようにしてもよい。
図30は、両パターンMT1,MT2がX方向にΔdx(例えば1.0μm)ずれており且つY方向にΔdy(例えば2.0μm)ずれている状態での重畳画像GCを示す図である。図30では、重畳画像GC内の領域RH2,RH6においてモアレが図27に比べて左(−X)向きにΔX/2移動しており、重畳画像GC内の領域RH3,RH7においてモアレが図27に比べて右(+X)向きにΔX/2移動している。また、重畳画像GC内の領域RH1,RH5においてモアレが図27に比べて下(−Y)向きにΔY/2移動しており、重畳画像GC内の領域RH4,RH8においてモアレが図27に比べて上(+Y)向きにΔY/2移動している。
したがって、例えば領域RH2でのモアレと領域RH3でのモアレとを比較することによれば、両パターンMT1,MT2の相互間のX方向のずれ量Δdxを算出することができる。詳細には、領域RH2での直線LN1上のモアレと領域RH3での直線LN2上のモアレとを比較して値ΔX(=ΔD2)を求め、式(8)に基づいて両パターンMT1,MT2の相互間のずれ量Δdx(=Δd)を算出すればよい。なお、これに限定されず、例えば領域RH6での直線LN2上のモアレと領域RH7での直線LN1上のモアレとを比較して値ΔXを求めて、パターンMT1,MT2の相互間のずれ量Δdxを算出するようにしてもよい。
また、例えば領域RH1でのモアレと領域RH8でのモアレとを比較することによれば、両パターンMT1,MT2の相互間のY方向のずれ量Δdyを算出することができる。詳細には、領域RH1での直線LN3上のモアレと領域RH8での直線LN4上のモアレとを比較して値ΔY(=ΔD2)を求め、式(8)に基づいて両パターンMT1,MT2の相互間のずれ量Δdy(=Δd)を算出すればよい。なお、これに限定されず、例えば領域RH5での直線LN4上のモアレと領域RH4での直線LN3上のモアレとを比較して値ΔYを求めて、パターンMT1,MT2の相互間のずれ量Δdyを算出するようにしてもよい。
例えば、ΔX=40μm(マイクロメートル)、ΔY=80μmである場合には、Δdx=40/40=1.0μm、Δdy=80/40=2.0μm、として算出される(MG2=40のとき)。また、ΔX=1μm(マイクロメートル)、ΔY=2μmである場合には、Δdx=1/40=0.025μm=25nm(ナノメートル)、Δdy=2/40=0.05μm=50nm、として算出される(MG2=40のとき)。
また、上記のモアレの比較動作においては、重畳画像GC内の複数の画素の画素値に基づいて求めた近似曲線を用いることが好ましい。
例えば、次のような4つの近似曲線AL1,AL2,AL3,AL4を用いるようにすればよい。近似曲線AL1は、領域RH2内の直線LN1上におけるモアレを近似する曲線であり、近似曲線AL2は、領域RH3内の直線LN2上におけるモアレを近似する曲線である。また、近似曲線AL3は、領域RH1内の直線LN3上におけるモアレを近似する曲線であり、近似曲線AL4は、領域RH8内の直線LN4上におけるモアレを近似する曲線である。各近似曲線AL1,AL2,AL3,AL4は、上述のように複数の位置Xにおける各画素値Vに基づいて取得される(図25参照)。
そして、2つの近似曲線AL1,AL2の相互間の位置ずれ(ΔD2)に基づいて、両パターンMT1,MT2相互間のX方向における位置ずれ(Δdx)が、式(8)に基づいて算出される。また、他の2つの近似曲線AL3,AL4の相互間の位置ずれ(ΔD2)に基づいて、両パターンMT1,MT2相互間のY方向における位置ずれ(Δdy)が、式(8)に基づいて算出される。
これによれば、2つのモアレ(周期的な濃度変化)に関する近似曲線の位置ずれに基づいて、両パターンMT1,MT2の相互間の位置ずれ(ひいては両対象物91,92)の位置ずれを把握することができる。詳細には、並進2方向(X方向およびY方向)の位置ずれを補正して正確な位置決めを行うことが可能である。
また、この実施形態においては、さらにもう1組のパターンMT3,MT4を用いる。すなわち、2組のパターン対(MT1,MT2),(MT3,MT4)を用いる。これにより、回転方向の位置ずれ(Δθ)をも補正することが可能である。以下、このような技術について説明する。
具体的には、上記のようにして、1組のパターン対(MT1,MT2)の重畳画像GC(GC1とも称する)に基づき、位置ずれ量(Δdx,Δdy)=(Δxa,Δya)を算出する。ここで、図31に示すように、位置ずれ量(Δxa,Δya)は、パターンMT1の中心位置Q1付近における、パターンMT2のパターンMT1に対する位置ずれ量(Δdx,Δdy)である。換言すれば、位置ずれ量(Δxa,Δya)は、パターンMT1の中心位置Q1に対する、パターンMT2の中心位置Q3のずれ量である。なお、図31においては、図示の都合により、両被接合物91,92が互いに比較的大きくずれているように示されているが、実際には、両被接合物91,92の位置ずれは非常に微小なものである。
また、上記と同様にして、他の1組のパターン対(MT3,MT4)の重畳画像GC(GC2とも称する)に基づき、位置ずれ量(Δdx,Δdy)=(Δxb,Δyb)を算出する。ここで、図31に示すように、位置ずれ量(Δxb,Δyb)は、パターンMT3の中心位置Q2付近における、パターンMT4のパターンMT3に対する位置ずれ量(Δdx,Δdy)である。換言すれば、位置ずれ量(Δxb,Δyb)は、パターンMT3の中心位置Q2に対する、パターンMT4の中心位置Q4のずれ量である。
より具体的には、重畳画像GC2内のX方向における2つのモアレをそれぞれ近似する2つの近似曲線AL11,AL12の相互間の位置ずれΔD2に基づいて、両パターンMT3,MT4相互間のX方向における位置ずれ(Δxb)が算出される。同様に、重畳画像GC2内のY方向における2つのモアレをそれぞれ近似する2つの近似曲線AL13,AL14の相互間の位置ずれΔD2に基づいて、両パターンMT3,MT4相互間のY方向における位置ずれ(Δyb)が算出される。なお、近似曲線AL11〜AL14は、それぞれ、近似曲線AL1〜AL4と同様にして取得されればよい。
そして、これらの位置ずれΔxa,Δya,Δxb,Δybに基づいて、両被接合物91,92相互間の回転方向の位置ずれΔθが算出される。
具体的には、回転方向の位置ずれΔθは、次の式(9)に基づいて算出される。なお、値Lは、点Q1と点Q2との間の距離、すなわち両パターンMT1,MT2相互間の距離である。
この式(9)は、図32に示すような幾何学的関係から導出される。
このようにして、回転方向の位置ずれΔθが算出されるので、回転方向の位置ずれをも補正して正確な位置決めを行うことが可能である。
また、上記の位置ずれΔxa,Δxbに基づいて、両被接合物91,92相互間のX方向の位置ずれΔxが、次の式(10)に基づいて算出される。
さらに、上記の位置ずれΔya,Δybに基づいて、両被接合物91,92相互間のY方向の位置ずれΔyが、次の式(11)に基づいて算出される。
このように、2点での並進方向の位置ずれ量Δxa,Δya,Δxb,Δybに基づいて、両被接合物91,92相互間の並進方向(X方向およびY方向)の位置ずれが求められるので、1点での並進方向の位置ずれを求める場合に比べて、さらに正確な位置決めを行うことが可能である。
<1−6.詳細動作>
つぎに、この第1実施形態に係る接合動作について、図33および図34のフローチャートを参照しながら説明する。図33は、第1実施形態に係る接合動作の概要を示すフローチャートであり、図34は当該接合動作のうちのファインアライメント動作を示すフローチャートである。これらの動作は、コントローラ100の制御下において実行される。
両被接合物91,92が真空チャンバ2内で対向状態にされると、まずステップS10(図33)においてラフアライメント動作が実行される。上述したように、この第1実施形態では、ラフアライメント動作は、パターンCT(図5)とパターンDT(図6)とを用いて実行される。
ステップS10において、算出部102(図1)は、XY平面に平行な平面内における両被接合物91,92相互間の位置ずれ(Δx,Δy,Δθ)に関する粗位置決め用の値(概略値とも称される)を、パターンCTとパターンDTとの重畳画像に基づいて算出する。そして、位置補正部33は、当該概略値に基づき両被接合物91,92を相対的に駆動して位置ずれを補正するラフアライメント動作を行う。
具体的には、パターンCTの十字交差中央部分がパターンDTの4つの正方形の中央部分に配置されるように、位置合わせが行われる(図6参照)。より詳細には、パターンCTにおける十字の上下左右への突出部分とパターンDTの4つの正方形との間隙GP(例えば数十μm)に関する誤差がそれぞれ所定値(例えば数μm程度)以下になるようにラフアライメントが行われる(図6参照)。これにより、両被接合物91,92の位置誤差を所定範囲内(例えば数μm程度)に収めることが可能である。なお、このラフアライメントにおいては、両被接合物91,92の位置誤差を上述のモアレによる位置誤差検出の上限値以内に収めることが好ましい。例えば、両被接合物91,92の位置誤差を、モアレ周期PDの1/2のさらに1/MG2の値(例えば、380/(2×40)=約4.8μm)よりも小さな値にすることが好ましい。
つぎに、ステップS20においてファインアライメント動作が実行される。すなわち、ラフアライメント動作の後に、ファインアライメント動作が実行される。ステップS20においては、上述のようなパターンMT(図7)を用いることによってファインアライメント動作が実行される。
詳細には、図34に示すように、まずステップS21において、画像取得部31は、1組のパターン(MT1,MT2)に関する重畳画像GC1と、別の1組のパターン(MT3,MT4)に関する重畳画像GC2とを取得する。
その後、ステップS22において、算出部102は、上記の第3の手法を用いて、重畳画像GC1に基づき位置ずれΔxa,Δyaを算出する。同様に、ステップS23において、算出部102は、上記の第3の手法を用いて、今度は重畳画像GC2に基づき位置ずれΔxb,Δybを算出する。
次に、ステップS24において、算出部102は、式(9)〜式(11)に基づいて、Δx,Δy,Δθを算出する。すなわち、重畳画像GC1に基づき算出された位置ずれ(Δxa,Δya)と重畳画像GC2に基づき算出された位置ずれ(Δxb,Δyb)とに基づいて、両被接合物91,92の相互間における相対的な位置ずれΔx,Δy,Δθがさらに算出される。
そして、ステップS25において、算出されたずれ量Δx,Δy,Δθが所定の許容誤差範囲内に収まっているか否かが判定される。当該許容誤差としては、例えば、数百nm(ナノメートル)〜数十nm(ナノメートル)の値を設定することが可能である。
ずれ量Δx,Δy,Δθが所定の許容誤差範囲内に収まっていないと判定されるときには、ステップS26に進む。ステップS26においては、算出されたずれ量Δx,Δy,Δθを補正すべく、位置補正部33による位置ずれ補正動作が実行される。具体的には、ヘッド22が、その並進駆動機構および回転駆動機構によって駆動され、被接合物92の位置(すなわち両被接合物91,92の相対位置)が補正される。そして、ステップS21に戻る。
一方、ずれ量Δx,Δy,Δθが所定の許容誤差範囲内に収まっていると判定されるときには、ファインアライメント動作を終了して、ステップS30に進む。
上記のような動作によれば、ずれ量Δx,Δy,Δθが許容誤差範囲に収まるまで、重畳画像GC1,GC2の取得動作(ステップS21)と位置ずれ算出動作(ステップS22〜S24)と位置合わせ用の駆動動作(ステップS26)とが繰り返し実行される。これによれば、ヘッド22駆動時の駆動誤差が徐々に低減されていき、さらに正確なファインアライメント動作が実行される。
その後、ステップS30(図33)において、接合動作が実行される。具体的には、ヘッド22がZ軸昇降駆動機構26によってZ方向に移動(昇降)され、両被接合物91,92を接合する。これによれば、両被接合物91,92を非常に高精度に位置決めした状態で両被接合物91,92を接合することができる。
また、特に、上記実施形態においては、撮像光学系として透過光学系が用いられているため、両被接合物91,92の相互間の間隙に撮像装置(カメラ)を挿入することを要しない。そのため、両被接合物91,92が近接して対向配置された状態で、両被接合物91,92を透過する透過光を用いて重畳画像を取得し、当該重畳画像に基づいてアライメント動作を行うとともに接合動作を実行することが可能である。これによれば、接合時のZ方向の駆動距離を短縮することが可能であるので、良好なアライメント精度を維持したまま両被接合物91,92を接合することが可能である。
また、特に上記実施形態によれば、紫外光および可視光よりも長い波長の赤外光を用いても、非常に高精度の位置ずれ検出動作、および非常に高精度のアライメント動作(ファインアライメント動作)を実行することが可能である。
<2.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、ラフアライメント用のパターンAT1〜AT4を用いる場合を例示した。この第2実施形態においては、ラフアライメント用のパターンAT1〜AT4を用いることなく、ファインアライメント用のパターンPT1〜PT4を用いてラフアライメントをも実行する場合を例示する。なお、この第2実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下では、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
この第2実施形態においては、次述するような原理に基づく位置ずれ検出動作と当該検出された位置ずれを補正する駆動動作とが、図33のステップS10の代わりにラフアライメント動作として実行される。
以下では、第2実施形態のラフアライメント動作で用いられる位置ずれ検出動作について説明する。
図35は、上記の2つのパターンMT1,MT2がX方向に比較的大きく(例えば、ずれ量Δdx=50μm)ずれている状況を示す図である。
このような状況においては、図35に示すように、重畳画像GCのY方向に延びる細長形状(帯状)の非モアレ領域(モアレが発生していない領域)がX方向の中央部分CRに存在する。
図36〜図38はこのような非モアレ領域について説明する図である。なお、図37および図38においては、上側のパターンと下側のパターンとを区別するため、上側のパターンのラインを淡色で示している。後述の図39および図41でも同様である。
図36は、図19および図20に示す2つのパターンPL,PUがそれぞれ90度回転された後にさらにX方向に距離Wx(=Δdx)ずらされて重ね合わせられた状態での重畳画像を示している。図36には、図35と同様の非モアレ領域が存在する。これらの図35,36に関しては、パターンPLとパターンMT1とが対応し、パターンPUとパターンMT2とが対応する。
図37および図38は、このような非モアレ領域の発生原理について説明する図である。図37は、2つのパターンPL,PUの重ね合わせを概念的に示す断面図である。
図37に示すように、下側のパターンPLは、左側(−X側)にライン群LG1を有しており且つ右側(+X側)にライン群LG2を有している。一方、上側のパターンPUは、左側(−X側)にライン群LG2を有しており且つ右側(+X側)にライン群LG1を有している。なお、図38に示すように、ライン群LG1はY方向(図37では紙面に垂直な方向)においてピッチp1で配列されており、ライン群LG2はY方向においてピッチp2で配列されている。
そして、上側のパターンPUは、下側のパターンPLに対して+X方向に距離Wxずらされて重ねられている。
X方向中央の中央領域CRの両側の領域MRでは、図21と同様のモアレが発生する。各領域MRは、モアレ生成領域(ないしモアレ領域)であるとも表現される。
一方、X方向中央の中央領域CRでは、ライン群LG1が存在せず、パターンPUのライン群LG2とパターンPLのライン群LG2とのみが重畳される。
図36および図38では、パターンPUのライン群LG2の各ラインのY方向位置とパターンPLのライン群LG2の各ラインのY方向位置とが同一である場合が示されている。この場合には、中央領域CRにおいては、両パターンPU.PLの各ライン群LG2にそれぞれ含まれる複数のラインが互いに重なってピッチp2で配列されるため、規則正しい縞模様が帯状に伸延されて生成される。中央領域CRは、非モアレ領域(モアレが発生しない領域)とも表現される。この帯状の縞模様の領域CRは、巨視的に見ると、一定輝度(一定濃度)を有する領域として認識される。特に、図36および図38における中央領域CRは、モアレ領域MRに比べて明るい領域(高輝度領域)として取得される。なお、これらの図においては、帯状の中央領域CRとその両側のモアレ領域MRとの各境界(仮想的な境界線)BL1,BL2は互いに平行である。
同様に、図35の重畳画像GCにおいても、中央線Cx付近においてパターンMT1,MT2の双方の同一ピッチのライン群LG2(LG4)が重畳することによって一定輝度領域が生成される。具体的には、Y方向に延びる帯状の中央領域CRが、一定輝度の非モアレ領域(モアレが発生しない領域)として存在する。
また、図39および図40では、パターンPUのライン群LG2の各ラインのY方向位置とパターンPLのライン群LG2の各ラインのY方向位置とが距離(p2/2)ずれている場合が示されている。この場合には、中央領域CRにおいては、両パターンPU.PLの各ライン群LG2にそれぞれ含まれる複数のラインが交互にピッチ(p2/2)で配列されるため、黒領域(ベタ領域)が帯状に伸延されて生成される。図39および図40の帯状の領域CRも、巨視的に見ると、一定輝度(一定濃度)を有する領域として認識される。特に、図39および図40における中央領域CRは、モアレ領域MRに比べて暗い領域(低輝度領域)として取得される。
このように、非モアレ領域CRの輝度は、パターンPUのライン群LG2とパターンPLのライン群LG2とのY方向における相対的なずれ量によって変化する。換言すれば、非モアレ領域CRの輝度は、互いに同じピッチp2で配列された2つのライン群LG2のY方向における相対的なずれ量によって変化する。ただし、各非モアレ領域CRは、巨視的にみると一様な輝度を有している点で共通している。
また、図41は、図37とは逆向きに両パターンPU,PLがずれた状態を示す図である。すなわち、上側のパターンPUが、下側のパターンPLに対して−X方向に距離Wxずらされて重ねられている状態を示す概念図である。
このような状態においても、X方向中央の中央領域CRの両側の領域MRでは、モアレが発生する。
この場合には、X方向中央の中央領域CRでは、ライン群LG2が存在せず、パターンPUのライン群LG1とパターンPLのライン群LG1とのみが重畳される。したがって、中央領域CRには、互いに同じピッチp1で配列される2つのライン群LG1によって構成される一定輝度領域が形成される。なお、上記と同様に、当該中央領域CRの輝度は、2つのライン群LG1のY方向における相対的なずれ量によって変化する。
このように、重畳画像GCは、両パターンMT1,MT2の相互間でのX方向の位置ずれに応じて、中央線Cx付近において両パターンMT1,MT2の同一ピッチのライン群LG1(あるいはLG2)が互いに重畳して形成される非モアレ領域を有する(図35も参照)。
算出部102は、図35の重畳画像GCの画像に基づいて、中央領域CRのX方向の幅Wxを算出する。詳細には、算出部102は、1画素に相当するX方向の実際の長さを求めるとともに、中央領域CRの幅Wxが何画素に相当するかを求めることによって、値Wx、即ち、ずれ量Δdxの概略値を算出する。その後、当該ずれ量Δdxを低減するようなラフアライメント動作が実行される。なお、このずれ量Δdxとしては、複数の位置Yでの中央領域CR1のX方向長さ(幅)の平均値が算出されることが好ましい。
第2実施形態においては、X方向の位置ずれ検出動作等がこのようにして実行される。
また、Y方向に関しても、上記のX方向における位置ずれ検出動作等と同様の動作が実行される。
この第2実施形態においては、以上のような原理に基づく位置ずれ検出動作と当該検出された位置ずれを補正する駆動動作とが、図33のステップS10の代わりのラフアライメント動作として実行される。
また、図42は、別の重畳画像GCを示す図である。図42においては、上記の2つのパターンMT1,MT2がX方向およびY方向のいずれにも比較的大きく(例えば、ずれ量Δdx=50μm、ずれ量Δdy=100μm)ずれている状況下での重畳画像GCが示されている。
図42のような重畳画像GCがラフアライメントの際に取得される場合には、当該重畳画像GCに含まれる非モアレ領域CR1を用いて、上記のX方向における位置ずれ検出動作等を行えばよい。
また、Y方向に関しても、上記のX方向における位置ずれ検出動作等と同様の動作が実行される。具体的には、図42の重畳画像GCに含まれる非モアレ領域CR2を用いて、Y方向における位置ずれ検出動作等を行えばよい。詳細には、算出部102は、中央領域CR2のY方向の幅Wyを算出する。詳細には、算出部102は、1画素に相当するY方向の実際の長さを求めるとともに、中央領域CR2の幅Wyが何画素に相当するかを求めることによって、値Wy、即ち、ずれ量Δdyの概略値を算出する。そして、当該ずれ量Δdyを低減するようなラフアライメント動作が実行される。なお、このずれ量Δdyとしては、複数の位置Xでの中央領域CR2のY方向長さ(幅)の平均値が算出されることが好ましい。
これによれば、図42のX方向およびY方向の位置ずれ量Δdx,Δdyをそれぞれ算出することおよび当該位置ずれの補正動作を行うことが可能である。
図43は、さらに別の重畳画像GCを示す図である。図43においては、上記の2つのパターンMT1,MT2がX方向およびY方向においてさらに大きく(例えば、ずれ量Δdx=200μm、ずれ量Δdy=200μm)ずれている状況下での重畳画像GCが示されている。この場合にも、同様にして、重畳画像GCに含まれる非モアレ領域を用いて、X方向およびY方向における位置ずれ検出動作等を行うことによって、ラフアライメントを実行することが可能である。
以上のように、この第2実施形態においては、上述のようにして、ファインアライメント用のパターンMT1〜MT4を用いてラフアライメントが実行される。したがって、ラフアライメント用の別途のパターンを用いることなく、並進方向における比較的大きな位置ずれをもパターンMT1〜MT4によって検出することが可能である。例えば、モアレ周期PDの1/2のさらに1/MG2の値(例えば、380/(2×40)=約4.8μm)を上回るような位置ずれ(例えば数十μm〜数百μm)が存在する場合にも、パターンMT1〜MT4のみによって当該位置ずれを検出することが可能である。換言すれば、ラフアライメント用の別途のパターンAT1〜AT4を用いることなく、ファインアライメント用のパターンPT1〜PT4のみを用いて、ラフアライメントをも行うことが可能である。
なお、第2実施形態においては、ステップS20以降は、上記第1実施形態と同様の動作が行われる。すなわち、再び重畳画像GC1,GC2を取得する動作が実行されるとともに、重畳画像GC1,GC2に基づいて、近似曲線AL1〜AL4,AL11〜AL14が求められて、位置ずれΔxa,Δya,Δxb,Δybが求められる。そして、位置ずれΔxa,Δya,Δxb,Δybに基づいて、位置ずれ量Δx,Δy,Δθが求められ、当該位置ずれ量Δx,Δy,Δθを補正する動作が実行される。
<3.第3実施形態>
上記第1および第2実施形態においては、2組のパターン対(MT1,MT2),(MT3,MT4)に関する2つの重畳画像GC1,GC2に基づいて、両被接合物91,92の2つの並進方向の位置ずれ(Δx,Δy)と1つの回転方向の位置ずれΔθとが求められる場合を例示した。
一方、この第3実施形態においては、1組のパターン対(MT1,MT2)に関する1つの重畳画像GC1に基づいて、両被接合物91,92の2つの並進方向の位置ずれ(Δx,Δy)と1つの回転方向の位置ずれΔθとの双方が求められる場合を例示する。
この第3実施形態においては、1組のパターン対(MT1,MT2)のみを用いてアライメント動作が実行される。なお、この第3実施形態は、第2実施形態の変形例であり、以下では、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
まず、第2実施形態と同様にして、重畳画像GCを用いてラフアライメントが実行される。ただし、この第3実施形態においては、1つの重畳画像GC1を用いて位置ずれ量Δdx,Δdyが求められ、当該位置ずれ量Δdx,Δdyを補正する駆動動作が実行される。
また、第3実施形態に係るラフアライメント動作においては、次のようにして単一の重畳画像GC1に基づいて回転方向の位置ずれΔθも求められる。そして、この位置ずれΔθを補正する駆動動作が実行される。
図44は、或る重畳画像GC(GC1)を示す図である。図44においては、2つのパターンMT1,MT2が回転方向θにおいて微小角度Δθ(ここでは3度)ずれている状況下での重畳画像GCが示されている。なお、図44においては、X方向およびY方向のずれはいずれも存在しない場合が示されている。
図44の重畳画像GCにおいては、中央領域CRとモアレ領域MRとの境界線BL1,BL2が斜行している。
そこで、この第3実施形態においては、重畳画像GC1を画像処理して、中央領域CRとその両側のモアレ領域MRとの2つの境界線BL1,BL2がなす角度(斜行角度)を算出する。換言すれば、非モアレ領域CRの形状に基づいて、2つのパターンMT1,MT2の回転ずれ量Δdθを算出する。
図45は、別の重畳画像GC1を示す図である。図45の重畳画像GC1は、2つのパターンMT1,MT2がX方向およびY方向のいずれにも比較的大きく(例えば、ずれ量Δdx=50μm、ずれ量Δdy=100μm)ずれており且つ回転方向θに微小角度(ここでは3度)ずれている状況で取得されたものである。
図46は、さらに別の重畳画像GC1を示す図である。図46の重畳画像GC1は、2つのパターンMT1,MT2がX方向およびY方向のいずれにもさらに大きく(例えば、ずれ量Δdx=200μm、ずれ量Δdy=200μm)ずれており且つ回転方向θに微小角度(ここでは3度)ずれている状況で取得されたものである。
図44〜図46のいずれの状況においても、算出部102は、重畳画像GC1を画像処理して、中央領域CRとその両側のモアレ領域MRとの2つの境界線BL1,BL2がなす角度(斜行角度)を算出する。これにより、2つのパターンMT1,MT2の回転ずれ量Δdθが算出される。
ここにおいて、ラフアライメント時に当該回転ずれ量Δθが存在する場合には、算出部102は、次のようにして、中央領域CR1のX方向の幅Wxと中央領域CR2のY方向の幅Wyとを求めるようにすればよい。具体的には、中央領域CR1の幅(X方向長さ)を複数の位置Yで求め、その平均値を値Wx(Δdx)として求めればよい。同様に、中央領域CR2の幅(Y方向長さ)を複数の位置Xで求め、その平均値を値Wy(Δdy)として求めればよい。また、2つの境界線BL1、BL2が交差する場合(図44参照)には、当該幅に関する正負の符号を境界線BL1、BL2の交差前後で逆転させた上で加算して平均値を算出するようにすればよい。なお、第2実施形態においても同様である。
以上のように、第3実施形態に係るラフアライメント動作においては、単一の重畳画像GC1に基づいて位置ずれ量Δdx,Δdy,Δθが求められ、当該位置ずれ量Δdx,Δdy,Δθを補正する駆動動作が実行される。
その後、第1実施形態および第2実施形態と同様の原理に基づいて、ファインアライメントが実行される。ただし、この第3実施形態に係るステップS20のファインアライメントにおいては、1つの重畳画像GC1のみを用いてラフアライメントが実行される。
具体的には、重畳画像GC1に基づいて、X方向の微小なずれ量ΔxaとY方向の微小なずれ量Δyaとが求められる。また、回転方向の角度については、上記のラフアライメント時のずれ量検出と同様の動作が実行される。すなわち、ファインアライメントにおいても、重畳画像GC1における中央領域CR1(もしくはCR2)の形状、詳細には境界線BL1,BL2の角度に基づいて、ずれ角度Δθが算出される。
そして、これらのずれ量Δxa,Δya,Δθの位置ずれを補正すべく、X方向、Y方向、θ方向にヘッド22が駆動(微小駆動)される。すなわち、位置ずれ補正動作が実行される。
以上のように、この第3実施形態においては、非モアレ領域CR1,CR2の形状に基づいて、回転方向の位置ずれΔθが算出される。そのため、第1および第2実施形態のように、回転方向の位置ずれΔθを求める際に、2組のパターン対(MT1,MT2),(MT3,MT4)を用いることを要しない。すなわち、1組のパターン対(MT1,MT2)のみによって、回転方向の位置ずれをも検出することが可能である。
なお、この第3実施形態においては、ラフアライメントとファインアライメントとの双方において、重畳画像GC1における中央領域CR1,CR2の形状に基づいて回転ずれΔθを算出する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、ラフアライメントとファインアライメントとの一方においてのみ、重畳画像GC1における中央領域CR1,CR2の形状に基づいて回転ずれΔθを算出して当該ずれΔθを補正するようにしてもよい。
<4.変形例等>
<4−1.2次元モアレパターンに関する変形例>
上記各実施形態においては、図7のような略正方形のパターンMTを用いる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、図47に示すようなパターンMSを用いるようにしてもよい。
図47のパターンMSは、X方向とY方向とを対角線方向とする略菱形形状を有しており、図7に示す略正方形形状のパターンMTの四隅を削除したものに相当する。
パターンMSは、その中心点に関して点対称の構成を有している。パターンMSは、その左上領域と右下領域とのそれぞれにおいて、複数のラインがピッチp1で配列されたライン群LG1を有している。左上領域においては、互いに異なる方向(X方向およびY方向)に配列された2つのライン群LG1が、2つの放射状領域に区分されて配置される。右下領域についても同様である。また、パターンMSは、その左下領域と右上領域とのそれぞれにおいて、複数のラインがピッチp2で配列されたライン群LG2を有している。左下領域においては、互いに異なる方向(X方向およびY方向)に配列された2つのライン群LG2が、2つの放射状領域に区分されて配置される。右上領域についても同様である。
そして、このようなパターンMSを被接合物91,92上にそれぞれに形成しておき、さらに図48に示すように、被接合物92上のパターンMSを反転して被接合物91上のパターンMSに対向させる。これにより、上記各実施形態と同様に、互いに異なるピッチで配列されたライン群が互いに対向する。具体的には、上側のパターンMSのピッチp1のライン群と下側のパターンMSのピッチp2のライン群とが重なり合い、上側のパターンMSのピッチp2のライン群と下側のパターンMSのピッチp1のライン群とが重なり合う。この結果、上下の2つのパターンMSの重畳画像においてモアレが生じる。
図49〜図55は、それぞれ、上記のような2つのパターンMSの重畳画像GSの例を示す図である。図49は、図27と同様、2つのパターンMS2が位置ずれを全く伴わずに重なり合っている状態において生成される重畳画像を示す図である。また、図50は、図30と同様のずれ具合を示す重畳画像である。さらに、図51は図42に対応し、図52は図43に対応する。同様に、図53は図44に対応し、図54は図45に対応し、図55は図46に対応する。
このパターンMSを用いることによっても、上記各実施形態と同様の効果を得ることが可能である。特に、略菱形形状のパターンMSを用いることによれば、略正方形形状のパターンMTに比べて被接合物91,92の表面上での専有面積が少なくて済む。
<4−2.2次元モアレパターンに関する別の変形例>
また、「デュアルライン比較法」を用いて2つの異なる方向の位置ずれを検出するパターン(モアレ生成用の2次元パターンないし2次元モアレパターンとも称する)としては、図7および図47に示すようなパターンに限定されない。
例えば、図56に示すような2次元モアレパターンを用いるようにしてもよい。
図56の2次元モアレパターンは、X方向に対して45度傾いてピッチp1で配列されたライン群LG1を左上領域と右下領域とに有しており、X方向に対して逆向きに45度傾いてピッチp2で配列されたライン群LG2を左下領域と右上領域とに有している。そして、図56の左側に示されている上側モアレパターンを反転させ図56の右側に示されている下側モアレパターンに重ね合わせて得られる重畳画像が取得される。当該重畳画像においても、上側パターンのピッチp1のライン群LG1と下側のパターンのピッチp2のライン群LG2とが重なり合い、上側のパターンのピッチp2のライン群LG2と下側のパターンのピッチp1のライン群LG1とが重なり合う。この結果、上下の2つのパターンの重畳画像においてモアレが生じる。なお、図56においては、各ライン群LG1,LG2が模式的に示されている。
このような上側モアレパターンおよび下側モアレパターンは、それぞれ、互いに異なる所定ピッチで配置される2つのライン群LG1,LG2を有している。
そして、上側モアレパターンおよび下側モアレパターンとの重畳画像は、上側モアレパターンおよび下側モアレパターンの双方における異なるピッチのライン群LG1,LG2の重畳によって生成される2つの周期的な濃度変化をX方向に有する。そして、これらの2つの周期的な濃度変化を近似した2つの近似曲線の相互間のX方向の位置ずれに基づいて、両被接合物91,92相互間のX方向における位置ずれが取得される。
同様に、当該重畳画像は、上側モアレパターンおよび下側モアレパターンの双方における異なるピッチのライン群LG1,LG2の重畳によって生成される別の2つの周期的な濃度変化をY方向に有する。そして、これらの2つの周期的な濃度変化を近似した2つの近似曲線の相互間のY方向の位置ずれに基づいて、両被接合物91,92相互間のY方向における位置ずれが取得される。
ただし、図56の2次元モアレパターンを用いる場合には、モアレの本来の発生方向がX方向およびY方向に対して45度傾いている。周期的な濃度変化(モアレ)は、上述のようにX方向およびY方向にも存在するが、X方向およびY方向におけるモアレの移動量は、モアレの本来の発生方向における移動量の約0.7倍(=1/√2)に低減される。そのため、精度向上の効果が低減してしまう。逆に言えば、このような観点からは、図7および図47に示すようなパターンを採用することが好ましい。
あるいは、図57に示すような2次元モアレパターンを用いるようにしてもよい。なお、図57および図58(次述)においても、図56と同様に、各ライン群LG1,LG2が模式的に示されている。
図57の右側に示されている下側モアレパターンPL内の右側においては、ピッチp2で配列されたライン群LG2とピッチp1で配列されたライン群LG1とが、それぞれ、C方向に沿って互いに対峙するように配置されている。また、下側モアレパターンPL内の左側においては、ピッチp1で配列されたライン群LG1とピッチp2で配列されたライン群LG2とが、それぞれ、D方向に沿って互いに対峙するように配置されている。なお、ここでは、C方向およびD方向は、それぞれX方向およびY方向に対して45度傾いた方向である。ただし、これに限定されず、C方向およびD方向は、それぞれ、X方向およびY方向と同一であってもよい。
図57の左側に示されている上側モアレパターンPUも同様の構成を有する。
そして、図57の左側に示されている上側パターンPUを反転させ図57の右側に示されている下側パターンPLに重ね合わせて得られる重畳画像が取得される。この重畳画像においても、異なるピッチの平行ライン群が重なり合う部分においてモアレが生じる。
図57の左側に示されている上側モアレパターンPUは、反転時において、C方向とD方向とが入れ替わる。そして、下側モアレパターンPLのC方向に配列された(右下側の)ライン群LG1には上側モアレパターンPUの(反転前の左下側の)ライン群LG2が重なり、下側モアレパターンPLのC方向に配列された(右上側の)ライン群LG2には上側モアレパターンPUの(反転前の左上側の)ライン群LG1が重なる。この結果、この重畳画像は、上側モアレパターンおよび下側モアレパターンの双方における異なるピッチのライン群LG1,LG2の重畳によって生成される2つの周期的な濃度変化をC方向に有する。そして、これらの2つの周期的な濃度変化を近似した2つの近似曲線の相互間のC方向の位置ずれに基づいて、両被接合物91,92相互間のC方向における位置ずれが取得される。
同様に、下側モアレパターンPLのD方向に配列された(左上側の)ライン群LG1には上側モアレパターンPUの(反転前の右上側の)ライン群LG2が重なり、下側モアレパターンPLのD方向に配列された(左下側の)ライン群LG2には上側モアレパターンPUの(反転前の右下側の)ライン群LG1が重なる。この結果、当該重畳画像は、上側モアレパターンおよび下側モアレパターンの双方における異なるピッチのライン群LG1,LG2の重畳によって生成される2つの周期的な濃度変化をD方向にも有する。そして、これらの2つの周期的な濃度変化を近似した2つの近似曲線の相互間のD方向の位置ずれに基づいて、両被接合物91,92相互間のD方向における位置ずれが取得される。
ただし、図57の2次元モアレパターンは、サイズが比較的大きくなる。逆に言えば、図7および図47に示すようなパターンによれば、パターンサイズをより小さくすることができる。すなわち、サイズ低減の観点からは図7等に示すようなパターンを採用することが好ましい。
あるいは、図58に示すような2次元モアレパターンを用いるようにしてもよい。
図58の下側モアレパターンPL内の左側においては、ピッチp2でX方向に配列されたライン群LG2とピッチp1でX方向に配列されたライン群LG1とが互いに対峙するように配置されている。また、下側モアレパターンPL内の右側においては、ピッチp1でY方向に配列されたライン群LG1とピッチp2でY方向に配列されたライン群LG2とが互いに対峙するように配置されている。
また、図58の上側モアレパターンPUの反転前の右側においては、ピッチp2でX方向に配列されたライン群LG2とピッチp1でX方向に配列されたライン群LG1とが互いに対峙するように配置されている。また、上側モアレパターンPUの反転前の左側においては、ピッチp1でY方向に配列されたライン群LG1とピッチp2でY方向に配列されたライン群LG2とが互いに対峙するように配置されている。
そして、図58の上側パターンPUを反転させて図58の下側パターンPLに重ね合わせて得られる重畳画像を用いるようにしてもよい。当該重畳画像においても、異なるピッチの平行ライン群が重なり合う部分においてモアレが生じる。
ただし、図58においては、上側パターンPUと下側パターンPLとは同一ではなく、重ね合わせ前において左右が反転している。そのため、例えば、半導体製造工程に含まれる露光工程においては、互いに異なる(露光用の)マスクパターン(単にマスクとも称する)を用いて各2次元モアレパターンがそれぞれ作成される。このように上下のパターン対が別個のマスクで製造される場合には、上下のパターン対が同一のマスクで製造される場合に比べて、合計の製作誤差が大きく生じ易くモアレの位置精度を確保しにくい。
一方、上記各実施形態に係る2次元モアレパターンMTを採用する場合には、同一の(露光用の)マスクパターンを用いた露光動作によって、両被接合物91,92の表面に同一の2次元モアレパターン(MT1〜MT4)が作成される(図10参照)。そして、両被接合物91,92の天地左右が反転されて上下のパターンが重ね合わせられることによって、上述のようなモアレが発生する。このように、上記実施形態に係る2次元モアレパターンMT等を用いれば、同一のマスクを用いて2次元モアレパターンMT1〜MT4を両被接合物91,92の表面上に作成することが可能である。特に、上下のパターン対(例えば(MT1,MT2)等)が同一のマスク(単一のマスク)によって生成されるため、両パターンを互いに異なるマスクで生成する場合に比べて、合計の製作誤差が低減され得る。端的に言えば、製作誤差を1/2に低減することが可能である。したがって、モアレの位置精度を確保し易い。また、露光用のマスクの製作に要するコストを削減することも可能である。なお、同様に、これらの観点からは、図58以外の変形例に係るパターン(図47、図56、図57)を採用することが、図58の変形例に係る2次元モアレパターンMTを採用することよりも好ましい。
また、上記各実施形態および各変形例等においては、X方向のモアレを発生させる2つのライン群LG1,LG2の各ピッチp1,p2とY方向のモアレを発生させる2つのライン群LG3,LG4のピッチp3,p4とが、それぞれ同一である場合を例示した。例えば、図7および図9では、ライン群LG3のピッチp3(例えば領域RG1,RG5におけるピッチ)がライン群LG1のピッチp1と同一であり且つライン群LG4のピッチp4(例えば領域RG4,RG8におけるピッチ)がライン群LG2のピッチp2と同一である場合を例示した。しかしながら、本発明は、これに限定されない。例えば、ライン群LG3のピッチp3がライン群LG1のピッチp1と異なる値であってもよい。また、ライン群LG4のピッチp4がライン群LG2のピッチp2と異なる値であってもよい。より詳細には、図7の領域RG1、RG5においてピッチp1と異なるピッチ(例えば29μm)でY方向に平行配置されたライン群を設け、図7の領域RG4、RG8においてピッチp2と異なるピッチ(例えば30μm)でY方向に平行配置されたライン群を設けるようにしてもよい。
また、上記第1実施形態等においては、2組のパターン対(MT1,MT2),(MT3,MT4)として全て同じパターンMTが用いられる場合等を例示した。換言すれば、パターン対(MT3,MT4)における4つのライン群LG5〜LG8においても、パターン対(MT1,MT2)における4つのライン群LG1〜LG4がそれぞれ採用される場合を例示した。しかしながら、本発明は、これに限定されない。
例えば、1組のパターン対(MT1,MT2)と他の1組のパターン対(MT3,MT4)とで異なるパターンが用いられてもよい。より具体的には、パターン対(MT3,MT4)におけるライン群LG5〜LG8の各ピッチp5〜p8として、パターン対(MT1,MT2)におけるライン群LG1〜LG4の各ピッチp1〜p4とはそれぞれ異なる値が採用されてもよい。あるいは、図7のパターンMTがパターン対(MT1,MT2)として採用され、図47のパターンMSがパターン対(MT3,MT4)として採用されるようにしてもよい。
<4−3.その他>
また、上記各実施形態においては、アライメントを伴う接合動作に本発明を適用する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、本発明をナノインプリントにおけるアライメント技術に適用するようにしてもよい。より詳細には、金型(透明金型)の位置と回路パターンの形成対象の基板の位置とを合わせる際に、金型と基板とにそれぞれ上記のようなパターンMT等を配置して、上述のようなアライメント動作を行うようにしてもよい。