以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図28を参照して説明する。図1は、本実施の形態の外科手術装置である超音波処置装置のハンドピース1全体の概略構成を示す。本実施の形態の超音波処置装置は、超音波凝固切開処置装置である。この超音波凝固切開処置装置は、超音波を利用して生体組織の切開、切除、或いは凝固等の処置を行うとともに、高周波による処置を行うこともできる。
ハンドピース1は、図2に示すように振動子ユニット2と、プローブユニット(プローブ部)3と、ハンドルユニット(操作部)4と、シースユニット(シース部)5の4つのユニットを有する。これら4つのユニットは、それぞれに取外し可能に連結されている。
図4に示すように振動子ユニット2の内部には電流を超音波振動に変換する圧電素子によって超音波振動を発生させるための超音波振動子6が組み込まれている。超音波振動子6の外側は円筒状の振動子カバー7により覆われている。図1に示すように、振動子ユニット2の後端には超音波振動を発生させるための電流を図示しない電源装置本体より供給するためのケーブル9が延びている。
超音波振動子6の前端部には超音波振動の振幅拡大を行なうホーン10の基端部が連結されている。このホーン10の先端部にはプローブ取付け用のねじ穴部10aが形成されている。
図5Aはプローブユニット3全体の外観を示す。このプローブユニット3は全体の長さが超音波振動の半波長の整数倍になるように設計されている。プローブユニット3は、先端部および基端部を有し、かつ長軸を有する金属製の棒状の振動伝達部材(プローブ)11を有する。振動伝達部材11の基端部にはホーン10のねじ穴部10aと螺合するためのねじ部12が設けられている。そして、このねじ部12が振動子ユニット2におけるホーン10のねじ穴部10aに螺着されている。これにより、プローブユニット3と、振動子ユニット2との間が組み付けられている。このとき、超音波振動子6とプローブユニット3との連結体には高周波電流が伝達される第1の高周波電気経路13が形成されている。
振動伝達部材11の先端部にはプローブ先端部3aが設けられている。プローブ先端部3aは、ほぼJ字状の湾曲形状に形成されている。さらに、プローブ先端部3aは、バイポーラ電極の一方の第1電極部を形成する。プローブユニット3はプローブ先端部3aで処置に必要な振幅が得られるように、軸方向の途中の振動の節部数箇所で軸方向の断面積を減少させている。プローブユニット3の軸方向の途中にある振動の節位置の数箇所には弾性部材でリング状に形成されているゴムリング3bが取り付けられている。そして、これらのゴムリング3bによってプローブユニット3とシースユニット5との干渉を防止するようになっている。
プローブユニット3の軸方向における最も基端部側の振動の節位置にはフランジ部14が設けられている。このフランジ部14の外周面には、異機種の組付けを防止する非円形の異形状に形成された異形状部が形成されている。この異形状部は、図5Bに示すように例えばフランジ部14の外周面の周方向の3箇所にキー溝状の係合凹部15が形成された形状になっている。
図6は、シースユニット5の縦断面図を示す。シースユニット5は、円筒体によって形成されたシース本体16と、シース本体16の先端に配設されたジョー17とを有する。シース本体16は、外筒である金属製のアウターシース18と、内筒(インナーシース)である金属製の駆動パイプ(駆動部材)19とを有する。駆動パイプ19は、アウターシース18内に軸方向に移動可能に挿入されている。
アウターシース18の外周面は、樹脂などの絶縁材料によって形成された外皮18aで被覆されている。駆動パイプ19の内周面側には、絶縁材料によって形成された絶縁チューブ24が配設されている。絶縁チューブ24の基端部は、シース本体16の基端部側まで延出されている。そして、絶縁チューブ24によって駆動パイプ19とプローブユニット3との間が電気的に絶縁されている。
図7に示すようにアウターシース18の先端部には、左右一対の突片25(図8参照)がアウターシース18の前方に向けて突設されている。図8に示すように各突片25には、円孔25aが形成されている。各突片25の円孔25aには、ジョー17の基端部が後述するボス部27を介してそれぞれ回動可能に取り付けられている。
図9は、ジョー17のプローブ先端部3aとの対向面を示す。図9に示すようにジョー17は、プローブユニット3のプローブ先端部3aの湾曲形状に合わせてプローブ先端部3aの湾曲形状と対応するほぼJ字状の湾曲形状に形成されている。そして、プローブユニット3とシースユニット5との組み付け時には、ジョー17は、プローブユニット3のプローブ先端部3aに対峙される位置に配置される。
ジョー17は、導電性部材である金属製のジョー本体201と、このジョー本体201に取り付けられる把持部材202とを有する。把持部材202は、高周波処置用の電極部材203と、超音波処置用のパッド部材204(図10参照)とで構成されている。電極部材203は、バイポーラ電極の他方の第2電極部を形成する。パッド部材204は、絶縁体、例えばポリテトラフルオロエチレン等の樹脂材料で形成されている。
図9、10に示すように電極部材203の下面には、プローブ先端部3aの湾曲形状に合わせて溝部205が形成されている。この溝部205には、パッド部材204が挿入状態で装着されている。
溝部205の両側の壁面には、図10に示すように下側の開口面側に向かうにしたがって溝幅が大きくなる傾斜面205aがそれぞれ形成されている。さらに、図9に示すように溝部205の両側壁203aには、下側の開口面側にすべり防止用の歯部203bがそれぞれ形成されている。これらの歯部203bは、ジョー17とプローブ先端部3aとの噛合時にプローブ先端部3aとジョー17との間で挟持された挾持物のすべりを防止するすべり防止部を形成する。電極部材203の肉厚Tは剛性、及び凝固性能を考慮して適宜設定される。
さらに、電極部材203には、溝部205の傾斜面205aの底部に切欠部205bが形成されている。この切欠部205bは、プローブ先端部3aの湾曲形状に合わせて形成されている。この切欠部205bには、パッド部材204の押圧部207が配設されている。パッド部材204の押圧部207は、図10に示すようにプローブ先端部3aが当接するプローブ当接部材である。
パッド部材204の押圧部207の中央には、位置合わせ溝207aが設けられている。位置合わせ溝207aは、図9に示すように押圧部207の前端部から後端部までパッド部材204の全長にわたって形成されている。この位置合わせ溝207aには、プローブ先端部3aが噛み合う状態で嵌合されるようになっている。そして、押圧部207の位置合わせ溝207aにプローブ先端部3aが噛み合うように嵌合される状態で、電極部材203に対してプローブ先端部3aが図10中で左右方向に位置ずれすることが防止される状態に位置合わせされる。これにより、プローブ先端部3aと電極部材203の傾斜面205aとの対向面間に一定の距離g1のクリアランスを確保して電極部材203の傾斜面205aとプローブ先端部3aとが接触することを防止するようになっている。
プローブ先端部3aは、図10に示す断面形状に形成されている。すなわち、プローブ先端部3aの上面側には、電極部材203の左右の傾斜面205aと平行に左右の傾斜面3a1がそれぞれ形成されている。プローブ先端部3aの下面側には、左右の傾斜面3a1と逆向きの左右の傾斜面3a2がそれぞれ形成されている。また、プローブ先端部3aの上面側には、左右の傾斜面3a1間にパッド部材204の押圧部207の位置合わせ溝207aと平行な平面部3a3が形成されている。
さらに、前記電極部材203とパッド部材204とは、一体的に組み付けられて把持部材202が形成されている。把持部材202には、プローブ先端部3aとの噛合面206とは反対側に取付け用の突起部210が突設されている。この突起部210は、固定ねじ214を介してジョー本体201に螺着されている。これにより、ジョー本体201に把持部材202が取り付けられている。ここで、把持部材202の電極部材203とジョー本体201とは固定ねじ214を介して電気的に導通されている。
ジョー本体201の基端部は、二股形状のアーム部215a,215bを有する。各アーム部215a,215bには、ジョー本体201の中心線の位置から斜め下向きに延出された延出部215a1,215b1を有する。図8に示すように各延出部215a1,215b1の外面には、前記ボス部27がそれぞれ外向きに突出する状態で形成されている。そして、各延出部215a1,215b1のボス部27はアウターシース18の先端部の左右の突片25の円孔25aに挿入された状態で係合されている。これにより、ジョー本体201がボス部27を介してアウターシース18の先端部の左右の突片25にそれぞれ回動可能に取り付けられている。
さらに、2つのアーム部215a,215bの付け根部分(図7中で上端部)には、連結ピン挿入用の穴216がそれぞれ形成されている。この穴216には、ジョー本体201と駆動パイプ19との間を連結する連結ピン217が装着されている。そして、ジョー本体201と駆動パイプ19との間が連結ピン217を介して電気的に導通されている。
これにより、駆動パイプ19が軸方向に進退動作することにより、駆動パイプ19の駆動力が連結ピン217を介してジョー17に伝達される。そのため、ジョー17が支点ピンを中心に回動駆動される。このとき、駆動パイプ19が後方に引っ張り操作されることにより、ジョー17が支点ピンを中心にプローブ先端部3aから離れる方向(開位置)に向けて駆動される。逆に、駆動パイプ19が前方に押し出し操作されることにより、ジョー17が支点ピンを中心にプローブ先端部3a側に接近する方向(閉位置)に向けて駆動される。ジョー17が閉位置に回動操作されることにより、ジョー17とプローブユニット3のプローブ先端部3aとの間で生体組織を把持するようになっている。
これらジョー17とプローブユニット3のプローブ先端部3aとによってハンドピース1の処置部1Aが形成されている。前記処置部1Aは、複数、本実施の形態では、2つの処置機能(第1処置機能と第2処置機能)が選択可能になっている。例えば、前記第1処置機能は、超音波処置出力と、高周波処置出力とを同時に出力する機能に設定されている。前記第2処置機能は、前記高周波処置出力のみを単独で出力する機能に設定されている。
なお、前記処置部1Aの第1処置機能と第2処置機能は、上記構成に限定されるものではない。例えば、前記第1処置機能は、超音波処置出力を最大出力状態で出力させる機能に設定され、前記第2処置機能は、前記超音波処置出力を前記最大出力状態よりも出力状態が低い予め設定された任意の設定出力状態で出力させる機能に設定される構成にしても良い。
図11は、シース本体16の基端部を示す。前記アウターシース18の基端部には、内径が他の部分よりも拡がっているフレア部229を有する。前記駆動パイプ19の基端部は、前記アウターシース18のフレア部229よりも後方側に延出されている。
また、シース本体16の基端部には、ハンドルユニット4と着脱するための着脱機構部31が設けられている。着脱機構部31は、円筒状の大径なつまみ部材32と、金属製の円筒体によって形成されたガイド筒体(第1の管状部材)33と、樹脂材料で形成された円筒状の接続管体(第2の管状部材)34とを有する。
図12に示すようにつまみ部材32は、リング形状のつまみ本体32aを有する。つまみ本体32aは、図14に示すようにほぼC字状の2つのC字状部材32a1、32a2を有する。これら2つのC字状部材32a1、32a2は、樹脂材料で形成され、両端部間が接合された状態で、リング形状のつまみ本体32aが形成される。
2つのC字状部材32a1、32a2の内周面には、係合穴301がそれぞれ形成されている。係合穴301には、内部部品の移動を規制するピン35の頭部35aが係合される。これにより、ピン35の位置を規制できるようにしている。
前記ガイド筒体33は、前記アウターシース18の基端部のフレア部229に外嵌して後方に延びる管状体33aを有する。図15に示すように管状体33aの先端部には他の部分よりも外径が大きい大径部33bが設けられている。この大径部33bには、つまみ部材32が外嵌されている。ガイド筒体33の後端部外周面には、外側に突出する接続フランジ部33cが形成されている。
前記ガイド筒体33の大径部33bには、半径方向に延設された2つのピン挿通孔33b1がそれぞれ形成されている。これらのピン挿通孔33b1には、ピン35の軸部35bが挿通されている。
アウターシース18のフレア部229には、管状体33aの2つのピン挿通孔33b1と対応する位置に同様に2つのピン挿通孔が形成されている。ピン35の軸部35bは、管状体33aの2つのピン挿通孔33b1とアウターシース18の2つのピン挿通孔とを通して内部側に突出されている。これにより、ピン35によってつまみ部材32と、ガイド筒体33と、アウターシース18のフレア部229との間がアウターシース18の軸方向の移動と、アウターシース18の軸回り方向の回転とがそれぞれ規制される状態で一体的に組み付けられている。
前記ガイド筒体33の内部には、接続管体34が前記アウターシース18の軸方向に沿ってスライド可能に内嵌されている。接続管体34の先端部内周面には、駆動パイプ19の基端部が内嵌状態で、挿入されている。
図11に示すように前記駆動パイプ19の基端部には、回転規制ピン235が固定されている。回転規制ピン235は、図13に示すように大径な頭部235aと、小径な軸部235bとを有する。接続管体34には、回転規制ピン235の頭部235aと係合する係合穴部302が形成されている。前記駆動パイプ19の基端部には、回転規制ピン235の軸部235bと係合するピン係合穴303が形成されている。そして、前記駆動パイプ19と接続管体34との間が回転規制ピン235を介して連結されている。このとき、前記駆動パイプ19と接続管体34との間の駆動パイプ19の軸方向の移動と、駆動パイプ19の軸回り方向の回転とがそれぞれ回転規制ピン235によって規制される状態で一体的に組み付けられている。
接続管体34の先端部は、前記アウターシース18のフレア部229の内部に挿入され、アウターシース18とフレア部229との段差部229aの近傍位置まで延出されている。
前記フレア部229と前記駆動パイプ19との間には、前記アウターシース18と前記駆動パイプ19との間をシールするシール手段230が設けられている。前記シール手段230は、1つのバックアップリング231と、1つのOリング233とを有する。Oリング233は、フレア部229の段差部229aと、バックアップリング231との間に前記アウターシース18の軸方向に沿って移動可能に設けられている。そして、接続管体34の先端部でOリング233のバックアップリング231の位置を規制するようにしている。さらに、フレア部229の段差部229aの形状を利用することで、Oリング233の前側のバックアップリングを兼用させることができる。これにより、Oリング233のバックアップリング231を1つのみにすることができる。
接続管体34の先端部は、前記駆動パイプ19の軸方向に沿って延設された2つのスリット305を有する。これらのスリット305には、ピン35の軸部35bの内端部が挿入されて係合されている。これにより、つまみ部材32に対するガイド筒体33と、アウターシース18と、接続管体34との3部品の回転方向の動きの規制をピン35で行うことができる。
つまみ部材32の後端部には、ハンドルユニット4との着脱部36が配置されている。つまみ部材32の着脱部36は、傾斜面状の図示しないガイド溝と、係合凹部42とを有する。ガイド溝は、つまみ部材32の基端部外周面に周方向に沿って延設されている。さらに、ガイド溝は、つまみ部材32の後端部側に向かうにしたがって外径が小さくなるテーパー状の傾斜面を有する。
係合凹部42は、ガイド溝の一端部に形成されている。係合凹部42は、ガイド溝の傾斜面よりも小径な凹陥部によって形成されている。係合凹部42には、ハンドルユニット4側の後述する係合レバー43が係脱可能に係合されるようになっている。
図3に示すようにハンドルユニット4は、主に固定ハンドル47と、保持筒48と、可動ハンドル49と、回動操作ノブ50とを有する。固定ハンドル47は、例えば使用者の親指以外の複数の手指が挿入される複数指挿入リング部61を有する。
図4に示すように本実施の形態の固定ハンドル47は、保持筒48側と複数指挿入リング部61とが一体に成形されたハンドル本体631を有する。固定ハンドル47のハンドル本体631は、複数指挿入リング部61と保持筒48との間にスイッチ保持部51を有する。
図3に示すようにスイッチ保持部51は、前面側に複数、本実施の形態では2つのハンドスイッチ(第1スイッチ54と第2スイッチ55)を取付けるスイッチ取付け面633を有する。これら第1スイッチ54と第2スイッチ55は、ハンドピース1の処置部1Aの処置機能を選択するスイッチである。
スイッチ保持部51は、第1スイッチ54と第2スイッチ55とが上下方向に並べて配置されている。さらに、第1スイッチ54と第2スイッチ55との間には、指受けを兼ねる仕切り壁となる***部634が形成されている。
前記第1スイッチ54は、***部634の上側に配置されている。この第1スイッチ54は、前記複数の処置機能のうち使用頻度が高い第1処置機能を選択するスイッチが設定されている。
第2スイッチ55は、前記***部634の下側に配置されている。この第2スイッチ55は、前記複数の処置機能の他の1つの第2処置機能を選択するスイッチが設定されている。例えば、第1スイッチ54は切開用スイッチボタン、第2スイッチ55は凝固用スイッチボタンとしてそれぞれ設定されている。
***部634は、前記スイッチ取付け面633から突出する突出高さが前記第1スイッチ54と第2スイッチ55とがそれぞれ前記取付け面633から突出する突出高さよりも大きくなるように設定されている。前記***部634は、前記固定ハンドル47の前記スイッチ取付け面633から両側面に向けて連続して延設される延設部634aを有する。
図17に示すように固定ハンドル47のハンドル本体631は、スイッチ保持部51の部分にハンドル本体631の後部側が開口されている凹部632を有する。凹部632の前壁部には、前記スイッチ取付け面633が形成されている。
スイッチ取付け面633には、前記***部634と、第1スイッチボタン挿入孔635と、第2スイッチボタン挿入孔636とが形成されている。第1スイッチボタン挿入孔635は、***部634の上側に配置されている。第2スイッチボタン挿入孔636は、***部634の下側に配置されている。
図4A、4Bに示すようにハンドル本体631の凹部632には、スイッチユニット641と、スイッチ押し付け部材651とが挿入された状態で固定されている。前記スイッチユニット641は、図17に示すように2つのスイッチ(第1スイッチ54と第2スイッチ55)を1つのユニットに一体化したものである。
スイッチユニット641は、前記第1スイッチ54用の押しボタン54aと、前記第2スイッチ55用の押しボタン55aと、前記2つのスイッチ(第1スイッチ54と第2スイッチ55)用のフレキシブルな配線回路基板503aと、前記配線回路基板503aを2枚の絶縁性のゴム板(弾性体)503b内に埋設させた柔軟性を有するベース部材503cとを有する。
前記配線回路基板503aには、一端が第1スイッチ54に接続された第1処置機能用配線93aと、一端が第2スイッチ55に接続された第2処置機能用配線93bと、一端がグランド用のコモン端子に接続されたグランド用の配線93cとが接続されている。これら3本の配線93a〜93cは丸められた状態でハンドル本体631の凹部632内に組み込まれている。
スイッチユニット641は、第1スイッチ54用の押しボタン54aが第1スイッチボタン挿入孔635に挿入され、第2スイッチ55用の押しボタン55aが第2スイッチボタン挿入孔636内に挿入される。この状態で、スイッチユニット641のベース部材503cが後端側からスイッチ押し付け部材651によってスイッチ取付け面633側に押し付けられる状態で、ハンドル本体631の凹部632に組み付けられている。
図17に示すようにスイッチ押し付け部材651は、ガイド面652と、スイッチユニット押し付け用の凸部653と、配線保持部654とを有する。ガイド面652は、ハンドル本体631の凹部632の図17中で下側の壁面に沿って接合される。
スイッチユニット押し付け用の凸部653は、スイッチユニット641のベース部材503cをスイッチ取付け面633側に押し付ける。このとき、スイッチユニット641のベース部材503cは、スイッチユニット押し付け用の凸部653によって湾曲された状態で、スイッチ取付け面633側に圧接される状態で押し付けられている。これにより、スイッチユニット641のベース部材503c自体がパッキンの機能を果たすので、スイッチユニット641の周囲のシール部材などを少なくすることができる。
配線保持部654は、ハンドル本体631の凹部632内のスイッチユニット641の配線93a、93b、93cを保持する。
さらに、ハンドル本体631には、凹部632と保持筒48の内部空間との間にボス部637が突設されている。このボス部637は、スイッチユニット641の配線93a、93b、93cが保持筒48の内部空間側に進入して保持筒48の内部の動作部材と干渉することを防止する。
可動ハンドル49は、上部にほぼU字状のアーム部56を有する。可動ハンドル49の下部には、例えば使用者の親指が挿入される指挿入リング部62を有する。指挿入リング部62には、耐熱性のあるゴムライニングのリング状指当て部材62aが装着されている。
U字状のアーム部56は、2つのアーム56a,56bを有する。可動ハンドル49は、2つのアーム56a,56b間に保持筒48が挿入される状態で、保持筒48に組み付けられている。
アーム56a,56bはそれぞれ支点ピン57と、作用ピン58とを有する。図21に示すように保持筒48の両側部には、ピン受け穴部59と窓部60とがそれぞれ形成されている。各アーム56a,56bの支点ピン57は保持筒48のピン受け穴部59内に挿入されている。これにより、可動ハンドル49の上端部は、支点ピン57を介して保持筒48に回動可能に軸支されている。そして、支点ピン57を介して可動ハンドル49が回動し、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49が開閉操作されるようになっている。
可動ハンドル49の各作用ピン58は保持筒48の窓部60を通って保持筒48の内部に延出されている。保持筒48の内部には可動ハンドル49の操作力をジョー17の駆動パイプ19に伝達する操作力伝達機構63が設けられている。
図18に示すように操作力伝達機構63は、主に金属製で円筒状のスライダ受け部材64と、スライダ部材65とを有する。スライダ受け部材64は、保持筒48の中心線と同軸に配置され、プローブユニット3の挿入方向と同方向に延設されている。
スライダ受け部材64の外周面には、ストッパ68と、バネ受け69とが配設されている。ストッパ68は、スライダ受け部材64の基端部の外周面に固定されている。バネ受け69は、スライダ受け部材64の先端部側の外周面に突設されている。ストッパ68と、バネ受け69との間には、前記スライダ部材65と、コイルばね67とが配設されている。ストッパ68は、スライダ部材65の後端側の移動位置を規制する。バネ受け69には、コイルばね67の前端部が当接されている。コイルばね67は、バネ受け69とスライダ部材65との間に一定の装備力量で装着されている。
スライダ部材65の外周面には周方向に沿ってリング状の係合溝65aが形成されている。この係合溝65aには図21に示すように可動ハンドル49の作用ピン58が挿入された状態で係合されている。そして、可動ハンドル49を握り、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49が閉操作されるとこのときの可動ハンドル49の回動動作にともない作用ピン58が支点ピン57を中心に回動する。この作用ピン58の動作に連動してスライダ部材65が軸方向(プローブユニット3の挿入方向と同方向)に沿って前進方向に移動する。このとき、スライダ部材65にコイルばね67を介して連結されているスライダ受け部材64もスライダ部材65と一緒に進退動作する。
スライダ受け部材64の先端部には、シースユニット5と、ハンドルユニット4側との着脱時に使用される一対の係合ピン45が固定されている。これにより、一対の係合ピン45を介してシースユニット5の接続管体34に可動ハンドル49の操作力が伝達され、ジョー17の駆動パイプ19が前進方向に移動する。そのため、ジョー17のジョー本体201が支点ピンを介して回動するようになっている。
さらに、この操作によりジョー17の把持部材202とプローブユニット3のプローブ先端部3aとの間で生体組織を挟む際に、プローブ先端部3aの撓みに追従して固定ねじ214を支点として把持部材202が一定の角度回動して把持部材202の全長に渡り均一に力が掛かるようになっている。この状態で、超音波を出力することにより、血管等の生体組織の凝固、切開が可能となる。
保持筒48の前端部には、リング状の軸受部70が形成されている。この軸受部70には、金属製で、円筒状の回転伝達部材71が軸回り方向に回動可能に連結されている。回転伝達部材71は、軸受部70の前方に突出される突出部72と、軸受部70から保持筒48の内部側に延設される大径部73とが形成されている。
突出部72には、回動操作ノブ50が外嵌される状態で固定されている。この回動操作ノブ50の前端部には、小径な固定リング部50aが形成されている。この固定リング部50aの外周面の一部には、図19,20に示すように半径方向に沿って外側に突出する外側突出部50bが形成されている。外側突出部50bには、ハンドルユニット4とシースユニット5との着脱操作用の着脱操作部50cが設けられている。
着脱操作部50cには、シースユニット5のつまみ部材32の係合凹部42と係脱可能に係合する前記係合レバー43が配設されている。係合レバー43の中間部は、図19に示すようにピン74を介して回動操作ノブ50の外側突出部50bに回動可能に連結されている。係合レバー43の基端部は、回動操作ノブ50の前面に形成されたレバー収納凹部75の内部側に延出されている。
回動操作ノブ50の着脱操作部50cには、係合レバー43を係合解除方向に操作する操作ボタン76が配設されている。図20に示すように操作ボタン76には、下向きの作動ピン77が突設されている。作動ピン77は、回動操作ノブ50の外側突出部50bの壁穴を介してレバー収納凹部75の内部側に延出されている。作動ピン77の下端部には、係合レバー43の基端部がピン78を介して回動可能に連結されている。
回転伝達部材71の突出部72の先端部には、回動操作ノブ50の抜け止めリング80が配設されている。ここで、突出部72の先端部には、雄ねじ部79が形成されている。抜け止めリング80の内周面には、雄ねじ部79と螺着される雌ねじ部80aが形成されている。そして、抜け止めリング80の雌ねじ部80aが突出部72の雄ねじ部79にねじ結合されることにより、回動操作ノブ50が回転伝達部材71に固定されている。
スライダ受け部材64のバネ受け69には金属製の位置決めピン81が径方向外向きに突設されている。回転伝達部材71の大径部73には、スライダ受け部材64の1つのピン81が挿入される長穴状の係合穴部82が形成されている。係合穴部82は、プローブユニット3の挿入方向と同方向に延設されている。これにより、可動ハンドル49の操作時にはピン81を係合穴部82に沿って移動させることにより、スライダ受け部材64の進退動作が回転伝達部材71に伝達されることを防止する。
これに対し、回動操作ノブ50の回転操作時には、回動操作ノブ50と一緒に回転する回転伝達部材71の回転動作がピン81を介してスライダ受け部材64側に伝達される。これにより、回動操作ノブ50の回転操作時には、回動操作ノブ50と一緒に保持筒48の内部の回転伝達部材71と、ピン81と、スライダ受け部材64と、スライダ部材65と、コイルばね67との組み付けユニットが一体的に軸回り方向に回転駆動されるようになっている。
回転伝達部材71の内周面には、シースユニット5の接続フランジ部33cに対して係脱可能に係合する係合手段94が設けられている。図22A,22Bは、この係合手段94を示す。この係合手段94は、シースユニット5とハンドルユニット4との連結時に、接続フランジ部33cが挿入される挿入穴部94aと、挿入穴部94a内に配置された導電ゴムリング(付勢手段)94bとを有する。
導電ゴムリング94bの内周面形状は、接続フランジ部33cの係合部46とほぼ同形状、すなわち円形状の内周面の複数箇所、本実施の形態では3箇所を切欠させた3つの平面部94b1と、3つの平面部94b1間の各接合部に配置され、平面部94b1よりも大径な3つの角部94b2とがそれぞれ形成されている。これにより、ほぼ三角形状に近い断面形状に形成されている。そのため、図22Aに示すように導電ゴムリング94bの内周面形状と、接続フランジ部33cの係合部46とが対応している位置、すなわち接続フランジ部33cの3つの角部46bと、導電ゴムリング94bの3つの角部94b2とがそれぞれ一致している状態では、導電ゴムリング94bは自然状態の非圧縮位置で保持される。これに対し、ハンドルユニット4とシースユニット5との間をシースユニット5の中心軸の軸回り方向に相対的に回転させることにより、図22Bに示すように導電ゴムリング94bは接続フランジ部33cの3つの角部46bに圧接される圧接位置に切替えられる。このとき、接続フランジ部33cの3つの角部46bは、導電ゴムリング94bの3つの平面部94b1と当接することにより、圧縮される。
本実施の形態では、シースユニット5とハンドルユニット4との連結時に、シースユニット5の接続フランジ部33cが導電ゴムリング94bの内部に真っ直ぐに挿通される挿入動作時には、図22Aに示すように導電ゴムリング94bは自然状態の非圧縮位置で保持される。このとき、ハンドルユニット4側の係合レバー43は、シースユニット5のつまみ部材32のガイド溝の傾斜面に乗り上げた状態で保持される。その後、シースユニット5のつまみ部材32をハンドルユニット4に対して軸回り方向に回転させることにより、ハンドルユニット4側の係合レバー43がガイド溝の一端部の係合凹部42に挿入される状態で係合される。このとき、図22Bに示すように導電ゴムリング94bは接続フランジ部33cの3つの角部46bに圧接される圧接位置に切替えられる。これにより、シースユニット側電気経路40(ガイド筒体33と、固定ねじ39と、つなぎ管38と、シース18と、先端カバー25と、支点ピンと、ジョー本体28との間に形成される)とハンドルユニット側電気経路95(電気接点部材96と、スライダ受け部材64と、コイルばね806と、回転伝達部材71との間に形成される)との間が導電ゴムリング94bを介して導通されるようになっている。このとき、シースユニット5とハンドルユニット4との連結体には、高周波電流が伝達される第2の高周波電気経路97が形成されている。
ハンドルユニット4は、スライダ受け部材64の内周面に絶縁材料によって形成された管状部材98を有する。管状部材98は、スライダ受け部材64の内周面に固定されている。これにより、プローブユニット3とハンドルユニット4との接続時には第1の高周波電気経路13と第2の高周波電気経路97との間が管状部材98によって絶縁される。
図21に示すように管状部材98の内周面には、プローブユニット3のフランジ部14の3つの係合凹部15とそれぞれ対応する位置に凸部98aが形成されている。これにより、管状部材98の内周面には、プローブユニット3のフランジ部14の異形状部と対応する異形状の係合穴部98bが形成されている。プローブユニット3とハンドルユニット4との接続時には、プローブユニット3のフランジ部14の異形状部と管状部材98の異形状の係合穴部98bとが係脱可能に係合される。これにより、プローブユニット3とハンドルユニット4の管状部材98との回転方向の位置が規制される。そのため、回動操作ノブ50の回転操作時には保持筒48の内部の組み付けユニットと一緒にプローブユニット3と振動子ユニット2との連結体が一体的に回転駆動されるようになっている。
なお、プローブユニット3のフランジ部14と管状部材98との間の係合部は、上記構成に限定されるものではない。例えば、管状部材98をD字状の断面形状に形成し、プローブユニット3のフランジ部14をこれに対応するD字状の断面形状に形成してもよい。
また、本実施の形態のハンドピース1には、ハンドルユニット4の可動ハンドル49の操作時に、操作力伝達機構63のスライダ部材65が設定量以上移動した状態を告知する告知機構801が組み込まれている。
告知機構801は、図24に示す円筒体802と、図25に示す板ばね部材803とを有する。円筒体802は、スライダ部材65の移動をガイドするスライダ受け部材64側に固定されている。板ばね部材803は、スライダ部材65に固定されている。
円筒体802は、外径が異なる2つの円筒部802a,802bを有する。第1の円筒部802aの径は、コイルばね67の径よりも大径に形成されている。第2の円筒部802bは、第1の円筒部802aの径よりも大径に形成されている。第1の円筒部802aと第2の円筒部802bとの間には外径が変化する段差部802cが形成されている。
第1の円筒部802aの一端部(段差部802cとは反対側の端部)には、スライダ受け部材64のバネ受け69に接合される接合リング802dが設けられている。図26に示すように円筒体802は、接合リング802dがスライダ受け部材64のバネ受け69に接合された状態で、スライダ受け部材64側に固定されている。
板ばね部材803は、板ばねをほぼ半円形状に湾曲させた板ばね部材本体803aを有する。この板ばね部材本体803aの一端部には、複数、本実施の形態で3つの固定用の屈曲片803bが設けられている。各屈曲片803bには、それぞれピン挿通孔803cが形成されている。板ばね部材本体803aの他端部には、前方に突出する2つの突片803dが設けられている。各突片803dには、内方向にほぼV字状に屈曲させた圧接部803eが形成されている。
板ばね部材803は、前記3つの固定用の屈曲片803bがスライダ部材65の前端部に接合されている。スライダ部材65の前端部には、3つのねじ穴65bが形成されている。固定ねじ65cのねじ部が各屈曲片803bのピン挿通孔803cに挿入されたのち、各ねじ穴65bにねじ込み固定される。ここで、各屈曲片803bのピン挿通孔803cは、固定ねじ65cのねじ部よりも大径に形成されている。これにより、板ばね部材803は、スライダ部材65の前端部に遊嵌状態で取り付けられている。さらに、板ばね部材本体803aの圧接部803eは、円筒体802の外周面に圧接される状態でセットされている。
告知機構801は、スライダ部材65の動作時にスライダ部材65と一緒に板ばね部材803がスライダ部材65と同方向に移動する。そして、板ばね部材803の圧接部803eが円筒体802の第1の円筒部802aと第2の円筒部802bとの間の段差部802cを通過する際に、前記段差部802cを落下する。このとき、板ばね部材803の圧接部803eが前記段差部802cの下側の第1の円筒部802aの周壁面に打ち付ける打ち付け音を発生することにより、操作力伝達機構63のスライダ部材65が設定量以上移動した状態が告知される。
また、図27は、スライダ部材65の動作時のコイルばね67の変形状態を説明するための説明図である。図27中で、長さL0は、コイルばね67の自然長、長さL1は、コイルばね67が操作力伝達機構63のバネ受け69とスライダ部材65との間に一定の装備力量で装着された際のセット長さである。この状態で、スライダ部材65のストロークSは、S0である。
その後、可動ハンドル49が閉じる方向に操作される場合には、可動ハンドル49の操作に応じてスライダ部材65に操作力が伝達される。このとき、可動ハンドル49の回動動作にともない作用ピン58が支点ピン57を中心に回動する。この作用ピン58の動作に連動してスライダ部材65が軸方向(プローブユニット3の挿入方向と同方向)に沿って前進方向に移動する。このとき、スライダ部材65にコイルばね67を介して連結されているスライダ受け部材64もスライダ部材65と一緒に進退動作する。
そして、予め設定された一定の操作力以上に達するとスライダ受け部材64がストッパに当接し、前進方向に移動が止まる。そのため、これ以後は、可動ハンドル49の回動動作にともないコイルばね67のばね力に抗してスライダ部材65のみが前進方向に移動する。
その後、ジョー17の把持部材202とプローブユニット3のプローブ先端部3aとの間で生体組織を挟む把持力量が適正な設定値に達した時点が処置時力量となる。このとき、スライダ部材65のストロークSはS1、コイルばね67の長さはL2である。なお、可動ハンドル49が最大の回動動作位置(使用最大力量)に達したスライダ部材65のストロークSはSmax、コイルばね67の長さはL3である。
そして、本実施の形態の告知機構801は、スライダ部材65のストロークSがS1、コイルばね67の長さがL2に変形した時点で、板ばね部材803の圧接部803eが前記段差部802cの下側の第1の円筒部802aの周壁面に打ち付ける打ち付け音を発生するように設定されている。
さらに、本実施の形態のハンドピース1には、スライダ部材65の係合溝65aの内部壁面と可動ハンドル49の作用ピン58との当接部に摩擦力低減部821が設けられている。この摩擦力低減部821は、スライダ部材65の係合溝65aの内部壁面に固定された滑り性のよい樹脂部材、例えばテフロン(登録商標)などのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂材料によって形成されたリング状の当接部材804を有する。この当接部材804は、係合溝65aの内部に挿入された可動ハンドル49の作用ピン58の前方側に配置されている。係合溝65aの底部には当接部材804を係合溝65aの前方側の壁面に固定する係止突起805が突設されている。
そして、作用ピン58から係合溝65aの前方側の壁面に押圧力が作用する際に、作用ピン58は当接部材804と当接される。これにより、作用ピン58が係合溝65aの前方側の壁面の金属面に直接接触することが防止されている。そのため、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49が閉操作され、ジョー17の把持部材202とプローブユニット3のプローブ先端部3aとの間で生体組織を挟持した状態で、回動操作ノブ50を回動操作する際の回動操作ノブ50の回転力量を軽くすることができる。
さらに、本実施の形態のハンドピース1には、スライダ部材65の前面と、回転伝達部材71の突出部72の後端面との間に金属などの導電製のコイルばね806が配設されている。このコイルばね806によってスライダ部材65の前面と、回転伝達部材71との間に安定した高周波電流の経路を確保することができる。さらに、このコイルばね806のばね力を閉じた可動ハンドル49を自動的に開く際の付勢力として作用させることができる。
さらに、本実施の形態のハンドピース1には、固定ハンドル47の保持筒48の軸受部70と、回転伝達部材71との接触面に滑り性のよい樹脂部材、例えばテフロン(登録商標)によって形成されたリング状のワッシャ807が装着されている。これにより、回動操作ノブ50を回動操作する際に、固定ハンドル47の保持筒48の軸受部70と、回転伝達部材71との接触面間に作用する摩擦力を小さくすることができる。そのため、回動操作ノブ50を回動操作する際の回動操作ノブ50の回転力量を軽くすることができる。
また、本実施の形態のハンドピース1には、図19、20に示すように回転伝達部材71の突出部72の内周面に非円形の異形状穴部808が形成されている。この異形状穴部808は、円形状の内周面に3つの平面808a、808b、808cを有するほぼ三角形状の穴部によって形成されている。
さらに、図16に示すようにシースユニット5のガイド筒体33の接続フランジ部33cには、上記異形状穴部808と対応する非円形の異形状係合部809が形成されている。この異形状係合部809は、接続フランジ部33cの円形状の外周面に3つの平面809a、809b、809cを有するほぼ三角形状のフランジ部によって形成されている。
そして、シースユニット5とハンドルユニット4との連結時に、同じ機種同士の正しい組み合わせの場合にはハンドルユニット4の回転伝達部材71の異形状穴部808と、シースユニット5のガイド筒体33の異形状係合部809とが正しく噛み合い正常に連結できるようになっている。
次に、本実施の形態の作用を説明する。本実施の形態の外科手術装置のハンドピース1は、図2に示すように振動子ユニット2と、プローブユニット3と、ハンドルユニット4と、シースユニット5の4つのユニットに取外し可能になっている。そして、ハンドピース1の使用時には、振動子ユニット2と、プローブユニット3との間が連結される。これにより、振動子ユニット2とプローブユニット3との連結体に高周波電流が伝達される第1の高周波電気経路13が形成される。
続いて、ハンドルユニット4と、シースユニット5との間が連結される。ハンドルユニット4と、シースユニット5との連結時には、シースユニット5のつまみ部材32を把持した状態で、接続管体34がハンドルユニット4の回転伝達部材71の内部に挿入される。このシースユニット5とハンドルユニット4との連結時には、ハンドルユニット4側の係合レバー43は、シースユニット5のつまみ部材32のガイド溝の傾斜面に乗り上げた状態で保持される。このとき、図22Aに示すように導電ゴムリング94bの内周面形状と、接続フランジ部33cの係合部46とが対応している位置、すなわち接続フランジ部33cの3つの角部46bと、導電ゴムリング94bの3つの角部94b2とがそれぞれ一致している状態で保持される。そのため、シースユニット5の接続フランジ部33cが導電ゴムリング94bの内部に真っ直ぐに挿通される。この挿入動作時には、図22Aに示すように導電ゴムリング94bは自然状態の非圧縮位置で保持される。この状態では、シースユニット側電気経路40とハンドルユニット側電気経路95との間は導通されていない。
続いて、この挿入動作の終了後、シースユニット5のつまみ部材32をハンドルユニット4に対して軸回り方向に回転させる操作が行われる。この操作により、ハンドルユニット4側の係合レバー43がガイド溝の一端部の係合凹部42に挿入される状態で係合される。このとき、図22Bに示すように導電ゴムリング94bは接続フランジ部33cの3つの角部46bに圧接される圧接位置に切替えられる。これにより、シースユニット側電気経路40とハンドルユニット側電気経路95との間が導電ゴムリング94bを介して導通される。この結果、シースユニット5とハンドルユニット4との連結体には、高周波電流が伝達される第2の高周波電気経路97が形成される。
このシースユニット5の軸回り方向の回転操作時には、同時にハンドルユニット4側の一対の係合ピン45がシースユニット5のガイド溝44の終端部の係合溝44aに係脱可能に係合される。これにより、ハンドルユニット4側のスライダ受け部材64とシースユニット5側の接続管体34との間が係合ピン45を介して連結される。その結果、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉操作する際のハンドルユニット4側の操作力がシースユニット5側のジョー17の駆動パイプ19に伝達可能となる。この状態が、シースユニット5とハンドルユニット4との連結状態である。
その後、シースユニット5とハンドルユニット4との連結体と、超音波振動子6とプローブユニット3との連結体とが合体される状態に組み付けられる。この組み付け作業時には、ハンドルユニット4の接点ユニット66と、振動子ユニット2の前端部とが接続される。これにより、シースユニット5とハンドルユニット4との連結体の第2の高周波電気経路97がケーブル9の内部の高周波通電用の配線104と接続される。さらに、ケーブル9の内部の3つの配線105,106,107とスイッチ保持部51内の配線回路基板とが接続される。この状態が、ハンドピース1の組み付け作業の終了状態である。
そして、このハンドピース1の使用時には、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を開閉操作する。この可動ハンドル49の操作に連動して駆動パイプ19を軸方向に移動させ、この駆動パイプ19の軸方向の進退動作に連動してジョー17をプローブユニット3のプローブ先端部3aに対して開閉駆動する。ここで、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉操作した場合には、この可動ハンドル49の操作に連動して駆動パイプ19が前方に押し出し操作される。この駆動パイプ19の押し出し操作に連動してジョー17がプローブユニット3のプローブ先端部3a側に接近する方向(閉位置)に向けて駆動される。ジョー17が閉位置に回動操作されることにより、ジョー17とプローブユニット3のプローブ先端部3aとの間で生体組織を把持する。
このとき、本実施の形態では、図27中で、スライダ部材65のストロークSがS1、コイルばね67の長さがL2に変形した時点で、板ばね部材803の圧接部803eが前記段差部802cを乗り越える。そのため、板ばね部材803の圧接部803eが前記段差部802cの下側の第1の円筒部802aの周壁面に打ち付けることにより、告知機構801が打ち付け音を発生する。これにより、使用者に適切な可動ハンドル49の操作量を音で知らせることができる。
この状態で、固定ハンドル47の第1スイッチ54と第2スイッチ55のいずれか一方が選択的に押し込み操作される。第1スイッチ54の押し込み操作時には、前記高周波通電と同時に超音波振動子6に駆動電流が通電され、超音波振動子6が駆動される。このとき、超音波振動子6からの超音波振動は振動伝達部材11を介してプローブ先端部3aに伝達される。これにより、前記高周波通電と同時に超音波を利用して生体組織の切開、切除等の処置を行うことができる。なお、超音波を利用して生体組織の凝固処置を行うこともできる。
第2スイッチ55の押し込み操作時には、プローブユニット3のプローブ先端部3aに高周波電流を導通する第1の高周波電気経路13と、シースユニット5のジョー本体28に高周波電流を導通する第2の高周波電気経路97とにそれぞれ通電される。これにより、プローブユニット3のプローブ先端部3aと、シースユニット5のジョー本体28とによって高周波処置用の2つのバイポーラ電極が構成される。そして、プローブユニット3のプローブ先端部3aと、シースユニット5のジョー本体28との2つのバイポーラ電極間に高周波電流を通電することにより、ジョー17とプローブユニット3のプローブ先端部3aとの間の生体組織に対してバイポーラによる高周波処置を行うことができる。
また、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を開操作した場合には、この可動ハンドル49の開操作に連動して駆動パイプ19が手元側に引っ張り操作される。この駆動パイプ19の引っ張り操作に連動してジョー17がプローブユニット3のプローブ先端部3aから離れる方向(開位置)に向けて駆動される。
また、回動操作ノブ50の回転操作時には、回動操作ノブ50と一緒に回転する回転伝達部材71の回転動作がピン81を介してスライダ受け部材64側に伝達される。これにより、回動操作ノブ50の回転操作時には、回動操作ノブ50と一緒に保持筒48の内部の回転伝達部材71と、ピン81と、スライダ受け部材64と、スライダ部材65と、コイルばね67との組み付けユニットが一体的に軸回り方向に回転駆動される。さらに、保持筒48の内部のスライダ受け部材64と一緒に回転する管状部材98を介して回動操作ノブ50の回転操作力がプローブユニット3の振動伝達部材11に伝達される。これにより、保持筒48の内部の組み付けユニットと、振動子ユニット2とプローブユニット3との連結体が一緒に一体的に軸回り方向に回転駆動される。
このとき、回動操作ノブ50と一緒にシースユニット5のつまみ部材32とガイド筒体33とが回転する。さらに、このガイド筒体33と一緒にシース18が回転するとともに、ガイド筒体33の回転は、ねじ付きピン235を介して接続管体34と駆動パイプ19とに伝達される。そのため、回動操作ノブ50と一緒に処置部1Aのジョー17と、プローブ先端部3aとが同時に軸回り方向に回転駆動される。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のハンドピース1では、スライダ部材65の係合溝65aの内部壁面と可動ハンドル49の作用ピン58との当接部に摩擦力低減部821が設けられている。この摩擦力低減部821は、スライダ部材65の係合溝65aの内部壁面に固定された滑り性のよい樹脂部材、例えばテフロン(登録商標)などのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂材料によって形成されたリング状の当接部材804を有する。この当接部材804は、係合溝65aの内部に挿入された可動ハンドル49の作用ピン58の前方側に配置されている。そのため、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した際に、作用ピン58から係合溝65aの前方側の壁面に作用する押圧力を当接部材804で受けることができる。その結果、作用ピン58が係合溝65aの前方側の壁面の金属面に直接接触することが防止できる。これにより、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した場合に作用ピン58が係合溝65aの前方側の壁面との間に作用する摩擦力を小さくできる。したがって、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した場合でも回転操作ノブ50を軽い力で回転操作することができる。その結果、回転操作ノブ50を回転させる操作が重くなることを防ぐことができ、安定した操作を行うことができる。
図29は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態の摩擦力低減部821の構成を次の通り変更したものである。すなわち、本実施の形態では、前記当接部材804と前記ピン58との係合面に前記当接部材804の樹脂材料のへたりを防止する金属製のワッシャ811が配設されている。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のハンドピース1では、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した際に、作用ピン58から係合溝65aの前方側の壁面に作用する押圧力を金属製のワッシャ811と、当接部材804とを介して係合溝65aの前方側の壁面の金属面に伝達することができる。そのため、作用ピン58が係合溝65aの前方側の壁面の金属面に直接接触することが防止できる。これにより、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した場合に作用ピン58と係合溝65aの前方側の壁面との間に作用する摩擦力を小さくできる。したがって、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した場合でも回転操作ノブ50を軽い力で回転操作することができる。その結果、回転操作ノブ50を回転させる操作が重くなることを防ぐことができ、安定した操作を行うことができる。
さらに、本実施の形態では、当接部材804と前記ピン58との係合面に前記当接部材804の樹脂材料のへたりを防止する金属製のワッシャ811が配設されている。ここで、当接部材804と前記ピン58との係合面は、リング状の当接部材804全体の中の一部のみである。そして、この当接部材804の一部の前記ピン58との係合面には、局所的に前記ピン58から大きな押圧力を受ける。そのため、金属製のワッシャ811が配設されていない場合には、比較的柔らかいリング状の当接部材804の一部が局所的に前記ピン58からの押圧力を受けることにより、当接部材804が前記ピン58と当接する部分が他の部分に比べて局所的に樹脂材料のへたりが発生しやすくなる。これに対し、本実施の形態のように当接部材804と前記ピン58との係合面に金属製のワッシャ811を配設することにより、前記ピン58からの押圧力をワッシャ811全体に分散させた状態で受けることができる。そのため、当接部材804の一部が局所的に前記ピン58からの押圧力によって樹脂材料のへたりが発生することを防止することができる。
図30は、本発明の第3の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態の摩擦力低減部821の構成を次の通り変更したものである。すなわち、本実施の形態では、前記当接部材804に代えて金属製のワッシャ812の表面に、前記低摩擦性の樹脂部材でコーティングされたコーティング部813が設けられているリング状当接部材814を設けたものである。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のハンドピース1では、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した際に、作用ピン58から係合溝65aの前方側の壁面に作用する押圧力をリング状当接部材814を介して係合溝65aの前方側の壁面の金属面に伝達することができる。そのため、作用ピン58が係合溝65aの前方側の壁面の金属面に直接接触することが防止できる。これにより、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した場合に作用ピン58と係合溝65aの前方側の壁面との間に作用する摩擦力を小さくできる。したがって、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した場合でも回転操作ノブ50を軽い力で回転操作することができる。その結果、回転操作ノブ50を回転させる操作が重くなることを防ぐことができ、安定した操作を行うことができる。
図31は、本発明の第4の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態の摩擦力低減部821の構成を次の通り変更したものである。すなわち、本実施の形態では、スライダ部材65の係合溝65aの内部壁面に、前記低摩擦性の樹脂部材でコーティングされたコーティング部815が設けられている。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のハンドピース1では、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した際に、作用ピン58から係合溝65aの前方側の壁面に作用する押圧力を係合溝65aの内部壁面のコーティング部815を介して係合溝65aの前方側の壁面の金属面に伝達することができる。そのため、作用ピン58が係合溝65aの前方側の壁面の金属面に直接接触することが防止できる。これにより、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した場合に作用ピン58と係合溝65aの前方側の壁面との間に作用する摩擦力を小さくできる。したがって、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した場合でも回転操作ノブ50を軽い力で回転操作することができる。その結果、回転操作ノブ50を回転させる操作が重くなることを防ぐことができ、安定した操作を行うことができる。
図32および図33は、本発明の第5の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態の摩擦力低減部821の構成を次の通り変更したものである。すなわち、本実施の形態は、可動ハンドル49の作用ピン58の表面に前記低摩擦性の樹脂部材でコーティングされたコーティング部816を設けたものである。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のハンドピース1では、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した際に、作用ピン58から係合溝65aの前方側の壁面に作用する押圧力を作用ピン58のコーティング部816を介して係合溝65aの前方側の壁面の金属面に伝達することができる。そのため、作用ピン58の金属部分が係合溝65aの前方側の壁面の金属面に直接接触することが防止できる。これにより、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した場合に作用ピン58と係合溝65aの前方側の壁面との間に作用する摩擦力を小さくできる。したがって、固定ハンドル47に対して可動ハンドル49を閉じる方向に操作した場合でも回転操作ノブ50を軽い力で回転操作することができる。その結果、回転操作ノブ50を回転させる操作が重くなることを防ぐことができ、安定した操作を行うことができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、第5の実施の形態では、可動ハンドル49の作用ピン58の表面に前記低摩擦性の樹脂部材でコーティングされたコーティング部816を設けている。これに代えて、作用ピン58自体を低摩擦性の樹脂部材で形成してもよい。また、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態のいずれかと、上記第5の実施の形態とを組み合わせてもよい。さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。