JP5322524B2 - 金属酸化物製造装置 - Google Patents
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Description
尚、本明細書において、酸化性ガスとは、他の物を酸化するガスであり、具体的には、酸素ガスや、空気の如く酸素ガスを含んだガス等が例示される。支燃性ガスとは、当該ガス自体は燃えないが他の物を燃え易くする性質を有するガスであり、具体的には酸素ガスや、空気の如く酸素ガスを含んだガス等が例示される。また、可燃性ガスとは、当該ガス自体が燃える性質を有するガスであり、具体的には水素ガスや、メタン、アセチレン、プロパン、ブタン等の炭化水素ガス等が例示される。
この際、本構成では、可燃性ガスと支燃性ガスとを予め混合した混合ガスをバーナに供給するので、バーナ内の流路の形状に関わらず、混合ガスを均一に混合させることができ、原料に含まれる金属元素の酸化をより安定化することができる。
したがって、本発明に係る金属酸化物製造装置は、均一な品質の金属酸化物を製造することができる。
また、生成した金属酸化物を捕集するフィルタを反応容器内に設けることにより、装置のコンパクト化を図ることができる。また、反応部と回収部とをつなぐ付着が生じやすい配管を省くことができるため、製品を良好に回収できる。
以下に、本発明に係る金属酸化物製造装置の第一の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、本発明を微粒子製造装置に適用した場合について説明する。
この際、可燃性ガスと支燃性ガスとを予め混合した混合ガスを、バーナ2に供給するので、混合ガスを安定に燃焼させることができ、原料の酸化反応をより安定化することができる。
したがって、本発明に係る金属酸化物製造装置は、均一な品質の金属酸化物を製造することができる。
尚、本実施形態においては、混合ガス噴出孔8を原料噴出孔9の周囲に周方向に沿って8個設けた場合を例示したが、混合ガス噴出孔8の数、形状は特に限定されない。例えば、総開孔面積が一定の場合では、個々の開孔面積が大きい混合ガス噴出孔8を少数設けるよりも、個々の開孔面積が小さい混合ガス噴出孔8を多数設ける方が、火炎を安定させるためには望ましい。また、図5(b)に示すように、混合ガス噴出孔8を原料噴出孔9の周囲に周方向に連続するリング状とすることもできる。
金属元素を含有する原料は、特に限定はされず、粉末状、気体状、液体状のいずれでも構わないが、好ましくは有機金属塩、硝酸金属塩、酢酸金属塩、金属塩化物等の溶液を用いることができる。金属元素の種類としては、Li、Na等のアルカリ金属、Mg、Ca等のアルカリ土類金属、Zn、Al等の低融点金属、Ti、Fe、Ag等の重金属、ランタノイド等の遷移金属、Sb、Si等の半金属等を用いることができる。尚、本明細書においては、半金属も金属として取り扱う。
また、図6では、原料噴出孔6が、酸化性ガス噴出孔7および混合ガス噴出孔8に対して突出しているが、各噴出孔を同一面上に設けることもできる。また、図11(a)に示すように、酸化性ガス噴出孔7および混合ガス噴出孔8を原料噴出孔6に対し突出させたり、図11(b)に示すように、原料噴出孔6および酸化性ガス噴出孔7を混合ガス噴出孔8に対し突出させてもよい。
尚、このような構成は、例えば、図6,7,9に示すバーナ2においても適用することができる。特に、図7,9に示すバーナ2の場合では、第1の火炎及び第2の火炎のうち、少なくともいずれかの火炎をバーナ2の中心方向または外方に向かって形成させることもできる。
以下に、本実施形態に係る微粒子製造装置を用いた実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
バーナ2として図4及び図5(a)に示す構造のバーナを使用した。
原料として硝酸アルミニウム34%水溶液と2−プロパノールとを調合したものを使用した。酸化性ガス及び支燃性ガスとして酸素ガスを用い、可燃性ガスとしてプロパンガスを用いた。
まず、支燃性ガスを1.2Nm3/h、可燃性ガスを0.24Nm3/hでバーナ2に供給し着火した。その後、0.6kg/hの原料と、4.8Nm3/hの酸化性ガスとをバーナ2に供給した。尚、冷却ガス供給手段1aからは空気を1.6Nm3/hで供給した。
バグフィルタ20からの回収物を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、図12に示すような微粒子であった。得られた微粒子の比表面積を窒素吸着による1点式BET法により測定した結果、45m2/gであり、比表面積から求めたBET換算径は42nmであった。また、X線構造解析の結果から、微粒子は酸化アルミニウム(Al2O3)であることが確認できた。
バーナ2として図6に示す構造のバーナを使用した。
原料として2−エチルヘキサン酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸ランタン、テトラ(2−エチルへキシル)チタネート及びミネラルスピリットを調合したものを使用した。酸化性ガス及び支燃性ガスとして酸素ガスを用い、可燃性ガスとしてプロパンガスを用いた。
まず、支燃性ガスを2.4Nm3/h、可燃性ガスを0.48Nm3/hでバーナ2に供給し着火した。その後、0.9kg/hの原料と、2.7Nm3/hの酸化性ガスとをバーナ2に供給した。尚、冷却ガス供給手段1aからは空気を9.0Nm3/hで供給した。
バグフィルタ20からの回収物を、TEMで観察したところ、図13に示すような微粒子であった。得られた微粒子の比表面積を、窒素吸着による1点式BET法により測定した結果、7.1m2/gであり、比表面積から求めたBET換算径は102nmであった。また、X線構造解析の結果から、微粒子はほぼ単相のBLT粒子であることが確認できた。
バーナ2として図7及び図8(c)に示す構造のバーナを使用した。
原料としてナフテン酸リチウム、2−エチルヘキサン酸コバルト及びミネラルスピリットを調合したものを使用した。酸化性ガス及び支燃性ガスとして酸素ガスを用い、可燃性ガスとしてプロパンガスを用いた。
まず、支燃性ガスを2.4Nm3/h、可燃性ガスを0.48Nm3/hでバーナ2に供給し着火した。その後、0.9kg/hの原料と、2.7Nm3/hの酸化性ガスとをバーナ2に供給した。尚、冷却ガス供給手段1aからは空気を9.0Nm3/hで供給した。
バグフィルタ20からの回収物を、TEMで観察したところ、図14に示すような微粒子であった。得られた微粒子の比表面積を、窒素吸着による1点式BET法により測定した結果、30m2/gであり、比表面積から求めたBET換算径は42nmであった。X線構造解析の結果から、微粒子は単相LiCoO2粒子であることが確認できた。
次に、本発明に係る金属酸化物製造装置の第二の実施形態について説明する。ここでは、本発明を第一の実施形態と同様に微粒子製造装置に適用した場合について説明する。
排気口54にはエジェクタやブロワ等の排気部(図示しない)が接続してあり、この排気部により、反応容器51内のガスをフィルタ53を介して排気することで、生成した微粒子を反応容器51内のフィルタ53表面で捕集することができる。
尚、本実施形態においては、バーナ2は開口部52に隙間を設けて挿通してあり、排気部により反応容器51内のガスを排気することで隙間から反応容器51内に外気が導入され反応場を冷却できるようになっている。その他の構成、原料等は、第一の実施形態と同様である。
本実施形態において、燃焼による熱量を小さくする場合、微粒子の生成を安定させるため、バーナ2における混合ガス噴出孔8や第2の混合ガス噴出孔8´の位置は原料噴出孔9に近付ける方が好ましい。
[CeO2粒子の製造]
バーナ2として図11(a)に示す構造のバーナを使用した。
原料として2―エチルヘキサン酸セリウム溶液と2−エチルヘキサン酸を調合したものを使用した。酸化性ガス及び支燃性ガスとして酸素ガスを用い、可燃性ガスとしてプロパンガスを用いた。
まず、支燃性ガスを0.3Nm3/h、可燃性ガスを0.06Nm3/hでバーナ2に供給し着火した。その後、0.12kg/hの原料と、0.72Nm3/hの酸化性ガスとをバーナ2に供給した。
反応容器内に設置したフィルタ53からの回収物を、TEMで観察したところ、図16に示すような微粒子であった。得られた微粒子の比表面積を窒素吸着による1点式BET法により測定した結果、202m2/gであり、比表面積から求めたBET換算径は4nmであった。X線構造解析の結果から、微粒子は酸化セリウム(CeO2)である事が確
認できた。
次に、本発明に係る金属酸化物製造装置の第三の実施形態について説明する。ここでは、本発明を成膜装置に適用した場合について説明する。
ターンテーブル32の下面には、ターンテーブル32の上に配置した基材31の温度を一定に保つため電熱ヒータ等の加熱手段(図示しない)が設けてある。また、ターンテーブルのそれぞれの基材31の間には仕切り板(図示しない)が設けてあり、成膜中に他の基材31への微粒子の飛散を防止している。
尚、本実施形態においては、基材支持部としてターンテーブル32を設けた場合を例示したが、特に限定されるものではなく、コンベア等を採用することもできる。その他の構成、原料等は、第一の実施形態と同様である。
本実施形態に係る成膜装置によれば、例えば、基材31に、ガラス膜、酸化物超伝導体前駆体物質膜、保護膜、強誘電体膜、圧電体膜、導電性膜、電極用膜等の膜を任意の厚さで容易に形成することができる。
以下に、本実施形態に係る成膜装置を用いた実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
バーナ2として図4及び図5(a)に示す構造のノズルを使用した。
原料として2−エチルヘキサン酸コバルト溶液を使用し、基材31としてシリコン基板を使用した。バグフィルタ40の後段にはブロワを設置し、シリコン基板に堆積しなかった微粒子はバグフィルタ40により回収した。酸化性ガス及び支燃性ガスとして酸素ガスを用い、可燃性ガスとしてプロパンガスを用いた。
バーナ2とシリコン基板の距離は15cmとし、支燃性ガスを0.72Nm3/h、可燃性ガスを0.24Nm3/hでバーナ2に供給し着火した。その後、0.3kg/hの原料と、1.2Nm3/hの酸化性ガスとをバーナ2に供給した。
成膜処理後のシリコン基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図18に示すように、シリコン基板に膜厚約8μmの膜が形成されていた。また、X線構造解析の結果、図19に示すように得られた膜はCoOをメインピークとした酸化コバルト膜であることが確認できた。尚、一部Co3O4のピークが確認された。
バーナ2として図6に示す構造のバーナを使用した。
原料として硝酸アルミニウム34%水溶液と硝酸マグネシウム・六水和物60%水溶液とを調合したものを使用し、基材31としてシリコン基板を使用した。バグフィルタ40の後段にはブロワを設置し、シリコン基板に堆積しなかった微粒子はバグフィルタ40により回収した。酸化性ガス及び支燃性ガスとして酸素ガスを用い、可燃性ガスとしてプロパンガスを用いた。
バーナ2とシリコン基板との距離は11.5cmとし、支燃性ガスを0.72Nm3/h、可燃性ガスを0.24Nm3/hでバーナ2に供給し着火した。その後、0.3kg/hの原料と1.2Nm3/hの酸化性ガスとをバーナ2に供給した。
成膜処理後のシリコン基板の断面をSEMで観察したところ、図20に示すように、シリコン基板に膜厚約25μmの膜が形成されていた。また、X線構造解析の結果、図21に示すように得られた膜はスピネル(MgAl2O4)のほぼ単相膜であることが確認できた。尚、一部弱いピークではあるが酸化マグネシウム(MgO)のピークが確認された。
前記各実施形態においては、バーナ2を1本設けた場合を例として説明したが、バーナ2は複数本設けても構わない。
2 バーナ
3 流量調節手段(原料供給手段)
3a 供給管(原料供給手段)
3b 供給管(原料供給手段)
4 流量調節手段(酸化性ガス供給手段)
4a 供給管(酸化性ガス供給手段)
4b 供給管(酸化性ガス供給手段)
5 混合手段(混合ガス供給手段)
5a 供給管(混合ガス供給手段)
8 混合ガス噴出孔
9 原料噴出孔
Claims (5)
- 金属元素を含む原料を噴出させるバーナを備え、火炎を利用して金属酸化物を製造する装置であって、
内部に前記バーナを配設した反応容器と、
前記反応容器の内部に設けられ、前記金属酸化物を捕集するフィルタと、
前記原料を前記バーナに供給する原料供給手段と、
酸化性ガスを、前記原料と共に前記バーナから噴出させる酸化性ガス供給手段と、
予め可燃性ガスと支燃性ガスとを混合した混合ガスを前記バーナに供給する混合ガス供給手段とを備え、
前記バーナに、前記原料及び前記酸化性ガスを噴出する原料噴出孔を備えると共に、当該原料噴出孔の周囲に前記混合ガスを噴出する混合ガス噴出孔を設けてあり、
前記混合ガス噴出孔の近傍に、前記混合ガス噴出孔の開口面積より小さい開口面積を有する第2の混合ガス噴出孔を備える金属酸化物製造装置。 - 前記第2の混合ガス噴出孔は、前記原料噴出孔に対して前記混合ガス噴出孔よりも少なくとも遠方に設けてある請求項1に記載の金属酸化物製造装置。
- 前記第2の混合ガス噴出孔は、前記原料噴出孔に対して前記混合ガス噴出孔よりも遠方及び近傍の両方に設けてある請求項1又は2に記載の金属酸化物製造装置。
- 前記混合ガス噴出孔が複数設けてあり、
前記第2の混合ガス噴出孔が複数の前記混合ガス噴出孔に対応するように複数設けてあり、
それぞれの前記混合ガス噴出孔に対して、対応する複数の前記第2の混合ガス噴出孔が当該混合ガス噴出孔を取り囲むように設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属酸化物製造装置。 - 前記反応容器は開口部を有し、
前記開口部に、当該開口部との間に外気を導入可能な隙間をあけた状態で前記バーナが配設されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属酸化物製造装置。
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