JP5318691B2 - 多層盛溶接継手の低温靭性に優れた高強度格納容器用厚鋼板 - Google Patents

多層盛溶接継手の低温靭性に優れた高強度格納容器用厚鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、格納容器を構築する際に用いられる厚鋼板に関するものであり、特に多層盛溶接継手を形成したときに該継手部の熱影響部(以下、「HAZ」と呼ぶことがある)の低温靭性に優れた厚鋼板に関するものである。
焼入れ・焼戻しして用いられる厚鋼板(以下、「QT鋼板」と呼ぶことがある)は、高強度、高靭性を有すると共に、良好な溶接性を有することから、従来からタンクを中心として圧力容器用鋼板として用いられてきた。近年、こうしたQT鋼板は、例えば原子炉の格納容器等に用いられる厚鋼板へとその適用範囲の拡大が図られつつある。
格納容器用として適用される厚鋼板には、近年における溶接構造体の大型化設計に伴って、より高強度(例えば引張強度で585MPa以上)が要求される傾向がある。しかも寒冷地での建築が計画されていることが多いので、母材および溶接継手部において良好な低温靭性を有することが要求されている。
上記のような用途に適用される厚鋼板の高強度化には、一定量以上(例えば、0.12質量%以上)の炭素が必要である。また、厚鋼板を溶接して溶接継手を形成する際には、多層盛溶接されるが(多層盛溶接継手)、こうした溶接継手における靭性を確保するためには、炭素含有量は少ないほど好ましいとされている。
多層盛溶接継手部においては、継手構造との関係から組織上複雑な様相を呈したものとなっている。即ち、多層盛溶接継手部においては、その部位によって、焼戻し粗粒HAZ(CG−HAZ)組織、焼戻し細粒HAZ(FG−HAZ)組織、および2相域加熱HAZ(IR−CGHAZ)組織が存在しており、これらの組織のうちで焼戻しCG−HAZ組織が最脆化部であることが知られている。即ち、溶接継手の低温HAZ靭性を良好にする上で、焼戻しCG−HAZ組織の靭性を改善すること最も有効な手段であると考えられている。
焼戻しCG−HAZ組織が低靭性(最脆化部)になることの原因としては、焼戻しCG−HAZ組織における粒界セメンタイトの存在が挙げられる。即ち、当該組織の粒界に存在するセメンタイトの割れに起因して亀裂が発生し、粒界セメンタイトが多いほど亀裂発生点が多いことになり、こうしたことが低靭性となる原因と考えられる。
溶接継手の低温靭性に優れた厚鋼板を実現するための技術としては、かねてより様々提案されている。こうした技術としては、例えば特許文献1、2には、鋼板中のNb含有量を制御することにより多層盛溶接継手靭性を改善した厚鋼板が提案されている。この技術における原理は、後続の溶接パス時に焼戻しCG−HAZ中の島状マルテンサイト(MA)が分解されやすくするものである。
しかしながら、こうした技術においても、MAが分解された後においても、粒界セメンタイトが依然として残存した状態となっており、焼戻しCG−HAZ組織における粒界セメンタイトを低減して低温靭性を改善するという観点からすれば、十分な改善効果が発揮されているとは言い難いのが実情である。
特開昭63−103020号公報 特開昭63−169325号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、多層盛溶接継手の焼戻しCG−HAZ組織における粒界セメンタイトの生成を低減することによって、該継手部のHAZの低温靭性に優れる引張強度が585MPa以上の高強度格納容器用厚鋼板を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る厚鋼板とは、C:0.12〜0.16%(「質量%」の意味。以下同じ)、Si:0.05〜0.5%、Mn:1〜1.5%、Al:0.01〜0.05%、Nb:0.003〜0.02%、Mo:0.03〜0.3%、V:0.025〜0.04%、Cr:0.3%以下(0%を含まない)、Cu:0.5%以下(0%を含まない)、Ni:0.55%以下(0%を含まない)、Ca:0.006%以下(0%を含まない)を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、且つ下記(1)式で規定されるRPが、RP≧4.5×10-8の関係を満足するものである点に要旨を有する。
RP={[Nb]/93+1/60×[V]/51}×[Mo]/96 …(1)
但し、[Nb],[V]および[Mo]は、夫々Nb,VおよびMoの含有量(質量%)を示す。
本発明の厚鋼板には、必要によって、更にTi:0.025%以下(0%を含まない)を含有させることも有用であり、Tiを含有することで厚鋼板の特性が更に改善されることになる。
本発明によれば、Nb,VおよびMoの含有量を上記(1)式の関係を満足させるように制御すると共に、鋼板の化学成分組成を適切な範囲内に納めることによって、多層盛溶接継手の焼戻しCG−HAZ組織における粒界セメンタイトの生成を低減でき、該継手部HAZの低温靭性に優れる引張強度が585MPa以上の高強度格納容器用厚鋼板が実現でき、このような厚鋼板は原子炉の格納容器の素材として極めて有用である。
RP値と粒界セメンタイト面積率の関係を示すグラフである。 RP値とvE-34との関係を示すグラフである。
本発明者らは、多層盛溶接継手の最脆化部である焼戻しCG−HAZ組織における粒界セメンタイトの生成を低減するべく、特にセメンタイトの粒界析出に及ぼす化学成分の影響について広範囲且つ詳細に研究を重ねた。その結果、585MPa以上の高強度および母材靭性の安定性が確保できるC含有量(0.12%以上)であっても、焼戻しCG−HAZの粒界セメンタイト生成量を抑制できる成分系を見出すことによって、溶接継手のHAZの良好な低温靭性が確保できる厚鋼板(QT鋼板)が実現できることを見出し、本発明を完成した。本発明が完成された経緯に沿って、本発明の作用効果について説明する。
鋼板の溶接時においては(溶接加熱温度:1350℃以上)、全ての析出物は固溶し、続く冷却過程において、順次析出物が形成されることになる。このとき、粒界セメンタイト量を抑制する方策としては、下記の2通りの方法が考えられる。
(a)セメンタイト量そのものを減少させる。
(b)セメンタイト析出時の粒界析出を抑制する。
まず上記(a)に関しては、セメンタイト析出時にFe以外の元素がCを捕捉しておけば良いことから、セメンタイト(Fe3C)よりも炭化物析出開始温度が高くなる元素の添加が有効であると考えられる。
そこで、各元素の析出開始温度を調査したところ、NbC(1060℃)>VC(980℃)>Fe3C(690℃)>Mo2C(590℃)の順に析出開始温度が高いことが判明した。尚、上記析出開始温度については、総合熱力学計算ソフトウエア(Thermo−Calc、CRC総合研究所から購入可能)に、鋼材の化学成分組成を入力することによって計算することができる。
以上の結果から、NbおよびVがCの捕捉に有効であると考えられた。但し、本発明者の検討によれば、NbとVとでは炭化物の形成能に違いがあり、Nbに関しては添加量の全てが炭化物形成に寄与するのであるが、Vに関しては添加量の一部が炭化物の形成に寄与することになることが分かった。そこで、Vの添加量に関して、炭化物量を上記Thermo−Calcにより計算し、更に非平衡状態にあうように補正を加えると、添加量の1/60のみが炭化物の形成に寄与していることが判明した。
以上の検討結果から、NbおよびVが炭素を捕捉する割合は、NbおよびVの炭化物形成に寄与する物質量([Nb]/93+1/60×[V]/51:但し[Nb]および[V]は、夫々NbおよびVの含有量(質量%):Nb原子量=93、V原子量=51、Vの炭化物形成割合=1/60)に比例することになる。即ち、([Nb]/93+1/60×[V]/51)が高いほどセメンタイト量が少ないことになる。
一方、上記(b)に関しては、セメンタイトの粒界析出を抑制するためには、粒界に固溶元素を存在させれば良いと考えられた。ここで「粒界」とは、原子配列に乱れがある部位であるため、粒界に捕捉される元素として結晶内で置換固溶のできない大きな元素が有効であると考えられる。そして、基本的な結晶を構成するFe元素よりも十分大きく、またセメンタイト析出時に固溶状態で存在する元素について検索したところ、Moであることが判明したのである。即ち、セメンタイトの粒界析出抑制効果は、Moの物質量(Mo/96:Mo原子量=96)に比例することになる。即ち、(Mo/96)が高いほど、粒界析出抑制効果が高いことになる。
上記(a)、(b)による効果は、連続的に生じ[(a)→(b)]、且つ影響しあいながら進行するものであるので、上記各関係式はかけ算としても求められる。即ち、粒界セメンタイトの生成抑制パラメータとして、下記(1)式で求められるRP値が求められる。
RP値={[Nb]/93+1/60×[V]/51}×[Mo]/96…(1)
但し、[Nb],[V]および[Mo]は、夫々Nb,VおよびMoの含有量(質量%)を示す。
Nb,VおよびMoの含有量によって規定されるRP値が大きければ大きいほど、粒界に析出するセメンタイト量が少なくなるのであるが、粒界セメンタイト量を所定量以下に抑制して、優れた低温靭性を発揮させるためには、上記RP値は4.5×10-8以上(RP値≧4.5×10-8)を満足させる必要がある(後記表2および図1、2参照)。また、各元素(Nb,VおよびMo)はいずれも過剰に含有させることによって、溶接性を阻害することになるので、各元素の含有量は下記のように調整することが好ましい。
[Nb:0.003〜0.02%、V:0.025〜0.04%]
NbおよびVは、セメンタイトへの固溶性が小さく、またCとの親和性が強い元素である。但し、いずれも過剰に含有されると、巨大析出物を形成して継手靭性を劣化させるので、上記のように含有量を適切に調整する必要がある。尚、Nb含有量の好ましい範囲は0.004〜0.010%であり、V含有量の好ましい下限は0.030%である。
[Mo:0.03〜0.3%]
Moは、Cとの親和性がFeと比べて弱く、セメンタイト析出時には結晶粒界に固溶状態で存在する。但し、Mo含有量が過剰になるとセメンタイト析出後に粒界に粗大析出物を形成して母材靭性を劣化させるので、上記のように含有量を適切に調整する必要がある。尚、Mo含有量の好ましい範囲は0.10〜0.20%である。
次に、本発明の鋼材(母材)における成分組成について説明する。上記のように、本発明の鋼板は、その化学成分組成が上記(1)式で規定されるRP値が所定の範囲を満足していても、夫々の化学成分(元素)の含有量が適正範囲内部になければ、優れた低温靭性を達成することができない。従って、本発明の厚鋼板では、適正量のNb,VおよびMoで規定されるRP値[上記(1)式]が所定の範囲に制御されることに加えて、夫々の化学成分の量が、以下に記載するような適正範囲内にあることも必要である。これらの成分の範囲限定理由は、下記の通りである。
[C:0.12〜0.16%]
Cは、鋼板の焼入れ性を向上させて強度を確保する上で重要な元素であるが、その含有量が過剰になると継手靭性を劣化させるので、0.16%以下とする必要がある。溶接性を確保するという観点からすると、C含有量は少ないほど好ましいが、0.12%未満になると、焼入れ性が却って低下し、強度が確保できなくなる。C含有量の好ましい上限は0.14%である。
[Si:0.05〜0.5%]
Siは、鋼を溶製する際に脱酸剤として作用し、鋼の強度を上昇させる効果を発揮する。こうした効果を有効に発揮させるためには、Si含有量は0.05%以上とする必要がある。しかしながら、Si含有量が過剰になると継手靭性が劣化するので、0.5%以下にする必要がある。尚、Si含有量に好ましい下限は0.20%であり、好ましい上限は0.30%である。
[Mn:1〜1.5%]
Mnは、鋼板の強度を高める効果を発揮する元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、Mnは1%以上含有させる必要がある。好ましくは1.2%以上である。しかしながら、Mn含有量が1.5%を超えて過剰に含有させると継手靭性が劣化することになる。好ましくは1.4%以下とするのが良い。
[Al:0.01〜0.05%]
Alは、脱酸剤として添加されるが、その含有量が0.01%未満では十分な効果が発揮されず、0.05%を超えて過剰に含有されると、鋼板における清浄性が阻害されることになる。Al含有量に好ましい下限は0.015%である。
[Cr:0.3%以下(0%を含まない)]
Crは、鋼板の焼入れ性を向上させて強度を高めるのに有効な作用する元素である。また、鋼板の耐食性を向上させる上でも有効に作用する。しかしながら、Cr含有量が過剰になると継手靭性が劣化するので、0.3%以下とする必要がある。尚、Crによる効果を有効に発揮させるための好ましい下限は0.10%である。
[Cu:0.5%以下(0%を含まない)]
Cuは、強度上昇に有効な元素であるが、その含有量が過剰になると、熱間加工の際に割れが発生しやすくなり、また継手靭性が劣化することにもなるので、0.5%以下にする必要がある。尚、Cuによる効果を有効に発揮させるための好ましい下限は0.15%である。
[Ni:0.55%以下(0%を含まない)]
Niは、鋼板の強度および靭性を向上させる上で有効な元素である。しかしながら、Ni含有量が過剰になると、継手靭性が劣化することにもなるので、0.55%以下にする必要がある。尚、Niによる効果を有効に発揮させるための好ましい下限は0.40%である。
[Ca:0.006%以下(0%を含まない)]
Caは、鋼中硫化物の形態を制御することにより、Z方向(板厚方向)の材質改善に有効な元素である。しかしながら、Ca含有量が過剰になると鋼中介在物が増加し、鋼板の靭性や継手靭性を損なうので、0.006%以下とする必要がある。尚、Caによる効果を有効に発揮させるための好ましい下限は0.001%である。
本発明で規定する含有元素は上記の通りであって、残部は鉄および不可避的不純物であり、該不可避的不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素(例えば、P,S,N,Sn,As,Pb等)の混入が許容され得る。これらの不純物のうち、P,S,Nについては、下記のように抑制することが好ましい。また、更に所定量のTiを積極的に含有させることも有効であり、これによって鋼板の特性が更に改善される。
[P:0.02%以下(0%を含まない)]
不純物元素であるPは、焼戻し脆化を引き起こすので、その量はできるだけ少ないことが好ましい。靭性を確保するという観点からして、P含有量は0.02%以下に抑制することが好ましく、より好ましくは0.01%以下とする。しかし、工業的に、鋼中のPを0%にすることは困難である。
[S:0.01%以下(0%を含まない)]
Sは、焼戻し脆化を引き起こす不純物であり、その量ができるだけ少ないことが好ましい。靭性を確保するという観点からして、S含有量は0.01%以下に抑制することが好ましく、より好ましくは0.002%以下とする。しかし、工業的に、鋼中のSを0%にすることは困難である。
[N:0.01%以下(0%を含まない)]
Nは、硬化を引き起こす不純物であり、その量はできるだけ少ないことが好ましい。靭性を確保するという観点からして、N含有量は0.01%以下に抑制することが好ましく、より好ましくは0.006%以下とする。しかし、工業的に、鋼中のNを0%にすることは困難である。
[Ti:0.025%以下(0%を含まない)]
Tiは、溶接継手のHAZにおいてNと共に析出物を形成し、組織の粗大化をピン止めにより抑制するのに有効な元素である。こうした効果は、その含有量が増加するにつれて増大するが、過剰に含有されると、継手靭性が劣化するので、0.025%以下に抑えるべきである。Tiによる効果を有効に発揮させるための好ましい下限は0.008%である。
本発明の厚鋼板を製造するには、上記成分組成を満たす溶鋼を用い、通常の条件(圧延温度、圧下率、焼入れ温度、焼戻し温度)に従って鋼板とすれば良い。本発明は厚鋼板に関するものであり、該分野において厚鋼板とは、JISで定義されるように、一般に板厚が3.0mm以上であるものを指す。しかし、本発明で対象とする厚鋼板の板厚は、好ましくは25mm以上である。即ち、本発明では、板厚の大きい鋼板を多層盛溶接によって溶接継手を形成した場合であっても、良好なHAZ靭性を示すものとなる。本発明の厚鋼板は、例えば低温継手靭性が要求される構造物の材料として使用でき、小〜中入熱溶接はもとより大入熱溶接においても、溶接熱影響部の低温靭性劣化を防ぐことができる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
下記表1に示す組成の鋼を、通常の溶製法によって溶製し、この溶鋼を冷却してスラブ(断面形状:210mm×150mm)とした後、1100℃に加熱して熱間圧延を行ない、板厚:45mmの熱間圧延板とし、930℃に加熱して焼入れ(Q)し、650℃に加熱して焼戻し(T)して厚鋼板(QT鋼板)を製造した。
Figure 0005318691
上記の様にして得られた各鋼板を用いて、下記の方法によって母材の強度(TS)および靭性(vE-51)、CG−HAZにおける靭性(vE-34)および粒界セメンタイト面積率を評価した。尚、以下の測定方法においては、いずれの鋼板についても、各3本ずつの試験片を用い、その最低値を求めた。
[母材の強度(TS)の評価]
各鋼板のt(板厚)/4部位から、圧延方向に対して直角の方向にASTM A370−05(0.500−in.Round specimen)の試験片を採取して、ASTM A370−05の要領で引張試験を行ない、引張強度(TS)を測定した。そして、TSが585MPa以上のものを合格と評価した。
[母材の靭性(vE-51)の評価]
各鋼板(母材)のt(板厚)/4部位から、圧延方向に対して直角の方向にASTM A370−05の試験片を採取し、母材の靭性を評価した。ASTM A370−05に準拠して、−51℃でシャルピー衝撃試験を行ない、吸収エネルギー(vE-51)を測定した。そして、vE-51の最低値が100J以上のものを靭性に優れると評価した。
[CG−HAZにおける靭性(vE-34)の評価]
CG−HAZ組織を得るために、各鋼板(母材)のt(板厚)/4部位から、12.5mm(板厚方向長さ)×55mm(幅方向長さ)×32mm(圧延方向長さ)の試験片を採取し、下記条件の熱サイクル試験を行ない、CG−HAZにおける靭性を評価した。このとき熱サイクル試験は、上記試験片を1350℃に加熱して5秒間保持した後、800〜500℃の温度範囲を約30秒かけて冷却した後、後続パスによる熱影響を模擬して600℃にて15分間焼戻しを実施し、溶接入熱量が40kJ/cmに相当する熱サイクルを与えた。ASTM A370−05に準拠して、−34℃でシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギー(vE-34)を測定した。そして、vE-34の最低値が48J以上のものをCG−HAZの靭性に優れると評価した。
[CG−HAZにおける粒界セメンタイト面積率の測定]
上記で熱サイクル試験を行なった各試験片の中心箇所を、レペラー腐食を行ない、光学顕微鏡により倍率:1000倍で60×80(μm2)の視野を4視野観察した後、この画像データを画像解析し、粒界に析出しているセメンタイトの面積率を算出した。
これらの結果を、焼入れ温度、焼戻し温度と共に、下記表2に示す。
Figure 0005318691
表1、2から次のように考察できる(尚、下記No.は、表1、2の実験No.を示す)。No.6〜15は、本発明で規定する要件を満足する例であり、化学成分組成およびRP値が本発明で規定する範囲内にあるものであり、CG−HAZにおいて粒界セメンタイトの析出が抑制され(面積率で13%未満)、低温靭性が良好な鋼板が得られていることが分かる。
これに対して、No.1〜5は、本発明で規定するRP値を満たさないものであり、CG−HAZにおいて粒界セメンタイトの析出量が多くなっており(面積率で13%以上)、低温靭性が劣っている。
これらの結果に基づき、RP値と粒界セメンタイト面積率(%)の関係を図1に、RP値とvE-34との関係を図2に夫々示す。この結果から明らかなように、RP値を4.5×10-8以上に制御することによって、粒界セメンタイトの生成を低減できること、および良好な低温靭性が確保できることが分かる。

Claims (2)

  1. C:0.12〜0.16%(「質量%」の意味。以下同じ)、Si:0.05〜0.5%、Mn:1〜1.5%、Al:0.01〜0.05%、Nb:0.003〜0.02%、V:0.025〜0.04%、Mo:0.03〜0.3%、Cr:0.3%以下(0%を含まない)、Cu:0.5%以下(0%を含まない)、Ni:0.55%以下(0%を含まない)、Ca:0.006%以下(0%を含まない)を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、且つ下記(1)式で規定されるRP値が、RP≧4.5×10-8の関係を満足するものであることを特徴とする引張強度が585MPa以上で多層盛溶接継手の低温靭性に優れた高強度格納容器用厚鋼板。
    RP値={[Nb]/93+1/60×[V]/51}×[Mo]/96…(1)
    但し、[Nb],[V]および[Mo]は、夫々Nb,VおよびMoの含有量(質量%)を示す。
  2. 更に、Ti:0.025%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1に記載の厚鋼板。
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