JP2011082133A - 正極活物質、正極、非水電解質電池および正極活物質の製造方法 - Google Patents

正極活物質、正極、非水電解質電池および正極活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高容量で充放電サイクルに優れ、同時に高温環境での使用時に劣化の少ない正極活物質を提供する。
【解決手段】遷移金属と金属元素Mとを含む複合酸化物粒子の表面に硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種が、複合酸化物粒子表面に凝集した形態で存在し、金属元素Mが、複合酸化物粒子の中心から表面に向けて濃くなる濃度勾配を有している正極活物質を用いる。このような正極活物質は、リチウムを含む化合物と、遷移金属を含む化合物と、金属元素Mを含む化合物とを予め混合して焼成し、硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)の少なくとも一つを含む化合物を複合酸化物粒子の表面に被着させ、再度焼成することにより得られる。この化合物もしくは化合物の熱分解物は、融点が70℃以上600℃以下であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

この発明は、正極活物質、正極、非水電解質電池および正極活物質の製造方法に関し、特に、高性能で、高温環境下で充放電を行った場合における容量劣化の少ない非水電解質電池を実現するための正極活物質、正極、非水電解質電池および正極活物質の製造方法に関する。
近年、ビデオカメラやノート型パーソナルコンピュータなどのポータブル機器の普及に伴い、小型高容量の二次電池に対する需要が高まっている。現在使用されている二次電池にはアルカリ電解液を用いたニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池があるが、電池電圧が約1.2Vと低く、エネルギー密度の向上は困難である。このため、現在では、他の電池系に比して高電圧で、エネルギー密度が高いリチウムイオン二次電池が広く用いられている。
ところが、リチウムイオン二次電池は、他の電池系に対するその充電電圧の高さゆえに、充電状態にて長時間放置されるような使用形態では容量劣化を起こし、電池寿命が短くなってしまう。また、高温環境下で使用した場合に内部抵抗の上昇が進行し、十分な容量が取り出せない等の課題があり、これらを解決することが要望されている。
例えば、下記の特許文献1では、金属の塩または水酸化物を正極に添加する方法が示されている。また、特許文献2では、コバルト酸リチウム(LiCoO2)の表面をリン(P)で被覆する技術が示されている。特許文献3では、正極活物質や正極電極の表面に金属酸化物を被覆する方法が示されている
特許文献4等には、リチウム遷移金属複合酸化物を粒子表面に均一に被覆する方法や表面から拡散させる方法が示されている。また、特許文献5には、金属酸化物層の上に金属酸化物の塊が付着された正極活物質が示されている。特許文献6には、リチウム化合物を含むコアの表面に2つ以上のコーティング元素を含む1つ以上の表面処理層を形成した正極活物質が示されている。
特許文献7には、金属フッ化物からなる被膜を粒子表面に有する正極活物質が開示されており、また、特許文献8には、結晶性の金属フッ化物による被覆が示されている。また、特開2003−221235には粒子表面のフッ素のXPSエネルギー値を規定する旨が示されている。本発明者が開示されたように金属フッ化物を混合・熱処理する方法によって正極活物質を作製したところ、実際に高温保存性能に対する効果はみられたが、粒子表面における効果に限定されており、実使用性能に対しては不十分なものであった。さらに、特許文献9には、リチウムと親和性が高く、カチオンを供給する化合物とリチウム遷移金属複合酸化物を反応させた材料が開示されている。
特許第3197763号公報 特開平5−47383号公報 特許第3172388号 特開平7−235292号公報 特開2001−256979号公報 特開2002−164053号公報 特許第3157413号公報 特許第3141858号公報 米国特許第7364793号公報
しかしながら、特許文献1の方法のように通常の均一な形態を有するリチウム遷移金属酸化物に対して添加する形態では、電極の抵抗が上昇し、十分な容量が得られなかった。また、特許文献2の方法では、被覆による容量低下が大きく実際の使用には不十分であった。特許文献3の方法では、開示されている被覆元素、被覆方法、被覆形態のみでは高温環境下での性能向上手法としては不十分であり、効果を得るために被覆量を多くすると、リチウムイオンの拡散を阻害するため、実用領域の充放電電流値では十分な容量が得られない結果となるため不十分であった。
特許文献4で開示された方法は、高い容量を維持できるものの、高度にサイクル特性を向上させ、更に高温使用時の抵抗上昇を抑制するには不十分であった。特許文献5では、開示された製法、構造にて作製したところ、十分な充放電効率が得られず、容量が大きく低下する結果となった。特許文献6の方法では、表面処理のみでは効果が限定され、実際に開示された製法にて正極活物質を作製したところ、均一な多重層が形成され、特に高温使用時の抵抗上昇に対しては効果が認められなかった。
特許文献8では、電子伝導性やリチウムイオン伝導性の低い金属フッ化物によって単純に被覆するのみでは充放電性能の低下が著しく、高温環境での充放電特性に対する効果も不十分であった。また、特許文献9は、本発明者らが開示された方法で正極活物質を作製したところ、被覆材として添加した材料のムラや脱落が生じ、酸化物やフッ化リチウム等の不活性な化合物が形成されるため、被覆機能を十分発揮できなかった。また、充放電時のリチウムイオンの移動を固液界面で阻害したりするために実用レベルでの充放電性能は得られなかった。また、リチウム遷移金属複合酸化物からリチウムが奪われるために容量が低下する傾向もみられ、不十分なものであった。
したがって、この発明は、上述の問題点を解消しようとするものであり、高容量で充放電サイクルに優れ、同時に高温環境での使用時に劣化の少ない正極活物質、正極、非水電解質電池および正極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、第1の発明は、リチウムを含む化合物と、固溶される遷移金属を含む化合物と、遷移金属とは異なる金属元素Mを含む化合物とを混合して焼成して複合酸化物粒子を形成し、
複合酸化物粒子酸化物粒子の表面に、硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させ、
硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させた複合酸化物粒子を焼成することにより、
複合酸化物粒子の中心から表面に向かって金属元素Mの濃度が濃くなる濃度勾配を有し、
硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種が、複合酸化物粒子表面に凝集した形態で存在する正極活物質である。
また、第2の発明は、リチウムを含む化合物と、固溶される遷移金属を含む化合物と、遷移金属とは異なる金属元素Mを含む化合物とを混合して焼成して複合酸化物粒子を形成し、
複合酸化物粒子酸化物粒子の表面に、硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させ、
硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させた複合酸化物粒子を焼成することにより、
複合酸化物粒子の中心から表面に向かって金属元素Mの濃度が濃くなる濃度勾配を有し、
硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種が、複合酸化物粒子表面に凝集した形態で存在する正極活物質を含む正極である。
第3の発明は、正極と、負極と、電解質とを備え、
正極が、
リチウムを含む化合物と、固溶される遷移金属を含む化合物と、遷移金属とは異なる金属元素Mを含む化合物とを混合して焼成して複合酸化物粒子を形成し、
複合酸化物粒子酸化物粒子の表面に、硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させ、
硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させた複合酸化物粒子を焼成することにより、
複合酸化物粒子の中心から表面に向かって金属元素Mの濃度が濃くなる濃度勾配を有し、
硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種が、複合酸化物粒子表面に凝集した形態で存在する正極活物質を含む非水電解質電池である。
第1ないし第3の発明では、硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物の融点を70℃以上600℃以下とし、平均粒径を30μm以下とすることが好ましい。
第4の発明は、リチウムを含む化合物と、固溶される遷移金属を含む化合物と、遷移金属とは異なる金属元素Mを含む化合物とを混合して焼成し、複合酸化物粒子を形成する複合酸化物粒子形成工程と、
複合酸化物粒子酸化物粒子の表面に、硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させる被着工程と、
硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させた複合酸化物粒子を焼成する焼成工程と
からなり、
複合酸化物粒子の中心から表面に向かって金属元素Mの濃度が濃くなる濃度勾配を有し、
硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種が、複合酸化物粒子表面に凝集した形態で存在するようにした
正極活物質の製造方法である。
第4の発明では、複合酸化物粒子の表面に被着された硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物もしくは化合物の熱分解物を溶融させて、複合酸化物粒子の表面を均一に被覆させることが好ましい。また、複合酸化物粒子の表面において、硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物のカチオンを消失させるとともに、この化合物のアニオンと複合酸化物粒子に含まれる元素とを反応させることが好ましい。
また、第4の発明では、融点が70℃以上600℃以下、平均粒径が30μm以下の硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を用いることが好ましい。
この発明では、金属元素Mが、複合酸化物粒子の中心から表面に向けて濃くなる濃度勾配を有し、かつ複合酸化物粒子の表面に硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種が、複合酸化物粒子表面に凝集した形態で存在するため、正極活物質とその界面での安定化を図ることができる。
この発明によれば、高容量で充放電サイクルに優れ、同時に高温環境での使用時に劣化の少ない電池を実現することができる。
この発明の実施の形態による非水電解質電池の一構成例を示す斜視図である。 図1に示した巻回電極体10のII−II線に沿った断面図である。 この発明の実施の形態による非水電解質電池の一構成例を示す断面図である。 図3に示した巻回電極体30の一部を拡大して表す断面図である。 この発明の実施の形態による非水電解質電池の一構成例を示す断面図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下に説明する実施の形態は、この発明の具体的な例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、実施の形態に限定されないものとする。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(非水電解質電池の第1の例)
2.第2の実施の形態(非水電解質電池の第2の例)
3.第3の実施の形態(非水電解質電池の第3の例)
4.第4の実施の形態(非水電解質電池の第4の例)
5.他の実施の形態(変形例)
[この発明の概要]
コバルト酸リチウム(LiCoO2)やニッケル酸リチウム(LiNiO2)をはじめとするリチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムイオン二次電池の正極活物質として広く用いられている。しかしながら、充電状態における安定性に課題があり、特に正極活物質と電解液との界面での反応性が上がることにより、正極から遷移金属成分が溶出し、活物質の劣化や、溶出した金属が負極側で析出するという問題が生じる。これにより、リチウム(Li)吸蔵放出の阻害を引き起こしてしまう。
また、界面での電解液の分解反応を加速させ、表面に皮膜を生成させたり、ガス発生を引き起こすなど電池特性の劣化を引き起こしていると考えられる。また、適切に正極負極比を設計した状態で最高充電電圧が4.20V以上、好ましくは4.35V以上、より好ましくは4.40V以上になるように充電を行うことで、充電時の電池のエネルギー密度を向上させることが可能である。しかしながら充電電圧を上昇させるにつれて、4.25V以上の高充電電圧状態で充放電を繰り返した場合には前述の活物質や電解液の劣化が加速され、充放電サイクル寿命の低下や高温保存後の性能劣化を引き起こす事が判明した。
そこで本発明者らはこの点について鋭意検討を行い、粒子表面を改質されたリチウム遷移金属複合酸化物において、粒子表面に金属化合物を存在させる事により、電池特性の向上に対して大きな相乗効果や新規の効果が生じることを見出した。この発明は、この事実に基づくものであり、高度に電池特性、信頼性を向上せしめるリチウムイオン二次電池用の正極活物質を提供するものである。
1.第1の実施の形態(非水電解質電池の第1の例)
図1は、この発明の第1の実施形態による非水電解質電池の一構成例を示す斜視図である。この非水電解質電池は、例えば、非水電解質二次電池である。この非水電解質電池は、正極リード11および負極リード12が取り付けられた巻回電極体10をフィルム状の外装部材1の内部に収納した構成とされており、扁平型の形状を有するものである。
正極リード11および負極リード12は、それぞれ例えば短冊状であり、外装部材1の内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極リード11は、例えばアルミニウム(Al)などの金属材料により構成されており、負極リード12は、例えばニッケル(Ni)などの金属材料により構成されている。
外装部材1は、例えば、絶縁層、金属層および最外層をこの順に積層しラミネート加工などにより貼り合わせた構造を有するラミネートフィルムである。外装部材1は、例えば、絶縁層の側を内側として、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。
絶縁層は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレンあるいはこれらの共重合体などのポリオレフィン樹脂により構成されている。水分透過性を低くすることができ、気密性に優れているからである。金属層は、箔状あるいは板状のアルミニウム、ステンレス、ニッケルあるいは鉄などにより構成されている。最外層は、例えば絶縁層と同様の樹脂により構成されていてもよいし、ナイロンなどにより構成されていてもよい。破れや突き刺しなどに対する強度を高くすることができるからである。外装部材1は、絶縁層、金属層および最外層以外の他の層を備えていてもよい。
外装部材1と正極リード11および負極リード12との間には、正極リード11および負極リード12と、外装部材1の内側との密着性を向上させ、外気の侵入を防止するための密着フィルム2が挿入されている。密着フィルム2は、正極リード11および負極リード12に対して密着性を有する材料により構成されている。正極リード11および負極リード12が上述した金属材料により構成される場合には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
図2は、図1に示した巻回電極体10のII−II線に沿った断面図である。巻回電極体10は、正極13と負極14とをセパレータ15および電解質16を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ17により保護されている。
[正極]
正極13は、例えば、正極集電体13Aと、この正極集電体13Aの両面に設けられた正極活物質層13Bとを有している。正極集電体13Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔を用いることができる。
正極活物質層13Bは、さらに炭素材料などの導電助剤およびポリフッ化ビニリデンまたはポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤を含む。
[正極活物質]
正極活物質は、例えば複合酸化物粒子内部に主要遷移金属とは異なる金属元素Mを含み、金属元素Mが粒子の中心から粒子表面に向かって濃度勾配を有している。濃度勾配は、粒子表面に近づくにしたがって、金属元素Mの濃度が濃くなるものである。そして、複合酸化物粒子の表面には硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)から選ばれる少なくとも1種の元素を凝集した形態で含むリチウム含有遷移金属複合酸化物を用いている。なお、リチウム遷移金属複合酸化物表面の状態は、得られた粉末をSEM/EDX(Scanning Electron Microscopy/Energy Dispersive X-ray spectrometer)によって観察することにより確認できる。
金属元素Mは特に限定されるものではないが、複合酸化物粒子内部に金属元素Mをあらかじめ存在させ、これと硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物と反応させる事により金属元素Mの表面濃度を上昇させたリチウム含有遷移金属複合酸化物である事が好ましい。
金属元素Mをあらかじめ複合酸化物粒子中に均一に分布させてから表面濃度を上げるようにすることで、金属元素Mを表面にムラなく存在させることができる。これにより、金属元素Mによる粒子表面の改質効果を最大限発揮させることができる。
金属元素Mとしては複合酸化物粒子内部の主要遷移金属元素Aに対して固溶置換可能な少なくとも1種の元素であることが好ましく、なかでもマンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、コバルト(Co)および鉄(Fe)から選ばれる少なくとも1種の元素である事が好ましい。金属元素Mは粒子表面において、主要遷移金属元素Aを置換した状態あるいは粒子表面近傍の内部に拡散し、粒子の中心方向に連続的な濃度分布を有する状態が有効である。
なお、マグネシウム濃度は、リチウム遷移金属複合酸化物の断面を切削して、半径方向の元素分布をオージェ電子分光法により測定することにより確認できる。
更に硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物と反応させて金属元素Mの表面濃度を上昇させる際にリチウム(Li)化合物を共存させることが好ましい。Li化合物を共存させることでリチウム含有複合酸化物中のLi量を調整し、表面改質による容量低下を抑制することができるからである。
粒子内部のリチウム遷移金属複合酸化物としては、公知の物質が使用可能であるが、層状岩塩構造を有し、構成する主要遷移金属元素Aが少なくともニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)から選ばれることが好ましい。高い容量を得ることができるためである。また、少量の添加元素を固溶置換した公知の物質を用いる事も可能である。
なお、正極の母材となる複合酸化物粒子は、例えば、(化1)で平均組成が表される層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物粒子である。このリチウム複合酸化物粒子は、一次粒子であってもよく、二次粒子であってもよい。
(化1)
Liab1-bc
(式中、Mは、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、コバルト(Co)および鉄(Fe)から選ばれる少なくとも1種以上の元素であることが好ましい。a、bおよびcはそれぞれ0.2≦a≦1.4、0≦b≦1.0、1.8≦c≦2.2の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、aの値は完全放電状態における値を表している。)
ここで、(化1)において、aの範囲は、例えば、0.2≦a≦1.4である。この値が小さくなると、リチウム複合酸化物の基本的な結晶構造の層状岩塩構造が崩れ、再充電が困難となり、容量が大幅に低下してしまう。この値が大きくなると、リチウムが上述の複合酸化物粒子外に拡散し、次の処理工程の塩基性度の制御の障害となると共に、最終的には、正極ペーストの混練中のゲル化促進の弊害の原因となる。
なお、(化1)のリチウム複合酸化物は、従来よりリチウムを過剰に含むようにしてもよいものとなっている。すなわち、(化1)のリチウム複合酸化物のリチウム組成を示すaは、1.2より大きくてもよい。ここで、1.2という値は従来のこの種のリチウム複合酸化物のリチウム組成として開示されているものであり、a=1の場合と同様の結晶構造により、本願における同様の作用・効果を得られる(例えば本出願人の先願である特開2008−251434号公報参照)。
(化1)のリチウム複合酸化物のリチウム組成を示すaが、1.2より大きくても、リチウム複合酸化物の結晶構造は、aが1.2以下の場合と同様である。また、化1におけるリチウム組成を示すaが、1.2より大きくても、1.4以下であれば、充放電に伴う酸化還元反応におけるリチウム複合酸化物を構成する遷移金属の化学状態は、aが1.2以下の場合と比して、大幅には変わらない。
bの範囲は、例えば、0≦b≦1.0である。この範囲外に値が小さくなると、正極活物質の放電容量が減少してしまう。この範囲外に値が大きくなると、複合酸化物粒子の結晶構造の安定性が低下し、正極活物質の充放電の繰返しの容量低下と、安全性の低下の原因となる。
cの範囲は、例えば、1.8≦c≦2.2である。この範囲外に値が小さくなる場合ならびにこの範囲外に値が大きくなる場合には、複合酸化物粒子の結晶構造の安定性が低下し、正極活物質の充放電の繰返しの容量低下と、安全性の低下の原因となって、正極活物質の放電容量が減少する。
[粒径]
正極活物質の平均粒径は、2.0μm以上50μm以下であることが好ましい。平均粒径が2.0μm未満であると、正極作製時に正極活物質層をプレスする際に正極活物質層が剥離してしまう。また、正極活物質の表面積が増えるために、導電剤や結着剤の添加量を増やす必要があり、単位重量あたりのエネルギー密度が小さくなってしまう傾向がある。一方、この平均粒径が50μmを超えると、粒子がセパレータを貫通し、短絡を引き起こす傾向がある。
このような正極13は、厚みが250μm以下であることが好ましい。
[負極]
負極14は、例えば、負極集電体14Aと、この負極集電体14Aの両面に設けられた負極活物質層14Bとを有している。負極集電体14Aは、例えば、銅箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層14Bは、例えば、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて導電助剤および結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化炭素などの炭素材料が挙げられる。炭素材料には、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、また、平均粒子径の異なる2種以上を混合して用いてもよい。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、リチウムと合金を形成可能な金属元素または半金属元素を構成元素として含む材料が挙げられる。具体的には、リチウムと合金を形成可能な金属元素の単体、合金、あるいは化合物、またはリチウムと合金を形成可能な半金属元素の単体、合金、あるいは化合物、またはこれらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
このような金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)が挙げられる。中でも、長周期型周期表における14族の金属元素あるいは半金属元素が好ましく、特に好ましいのはケイ素(Si)あるいはスズ(Sn)である。ケイ素(Si)およびスズ(Sn)はリチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
ケイ素(Si)の合金としては、例えば、ケイ素(Si)以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズ(Sn)の合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
ケイ素(Si)の化合物あるいはスズ(Sn)の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、ケイ素(Si)またはスズ(Sn)に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
[セパレータ]
セパレータ15は、電気的に安定であると共に、正極活物質、負極活物質あるいは溶媒に対して化学的に安定であり、かつ電気伝導性を有していなければどのようなものを用いてもよい。例えば、高分子の不織布、多孔質フィルム、ガラスあるいはセラミックスの繊維を紙状にしたものを用いることができ、これらを複数積層して用いてもよい。特に、多孔質ポリオレフィンフィルムを用いることが好ましく、これをポリイミド、ガラスあるいはセラミックスの繊維などよりなる耐熱性の材料と複合させたものを用いてもよい。
[電解質]
電解質16は、電解液と、この電解液を保持する高分子化合物を含む保持体とを含有しており、いわゆるゲル状となっている。電解液は、電解質塩と、この電解質塩を溶解する溶媒とを含んでいる。電解質塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、あるいはLiAsF6などのリチウム塩が挙げられる。電解質塩にはいずれか1種を用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンあるいはε−カプロラクトンなどのラクトン系溶媒、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの炭酸エステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン、1−エトキシ−2−メトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフランあるいは2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、スルフォラン系溶媒、リン酸類、リン酸エステル溶媒、またはピロリドン類などの非水溶媒が挙げられる。溶媒は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、溶媒として、環状エステルまたは鎖状エステルの水素の一部または全部がフッ素化された化合物を含むことが好ましい。このフッ素化された化合物としては、ジフルオロエチレンカーボネート(4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン)を用いることが好ましい。負極活物質としてケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)などの化合物を含む負極14を用いた場合であっても、充放電サイクル特性を向上させることができ、特にジフルオロエチレンカーボネートがサイクル特性改善効果に優れるからである。
高分子化合物は、溶媒を吸収してゲル化するものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデンあるいはビニリデンフルオロライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素系高分子化合物、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレンオキサイドあるいはポリメチルメタクリレートを繰返し単位として含むものなどが挙げられる。高分子化合物には、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
特に、酸化還元安定性の点からは、フッ素系高分子化合物が望ましく、中でも、ビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとを成分として含む共重合体が好ましい。さらに、この共重合体は、モノメチルマレイン酸エステルなどの不飽和二塩基酸のモノエステル、三フッ化塩化エチレンなどのハロゲン化エチレン、炭酸ビニレンなどの不飽和化合物の環状炭酸エステル、またはエポキシ基含有アクリルビニルモノマーなどを成分とし
て含んでいてもよい。より高い特性を得ることができるからである。
さらに、固体電解質としては、リチウムイオン導電性を有する材料であれば無機固体電解質、高分子固体電解質いずれも用いることができる。無機固体電解質として、窒化リチウム、よう化リチウム等が挙げられる。高分子固体電解質は電解質塩とそれを溶解する高分子化合物からなり、その高分子化合物はポリ(エチレンオキサイド)や同架橋体などのエーテル系高分子、ポリ(メタクリレート)エステル系、アクリレート系などを単独あるいは分子中に共重合、または混合して用いることができる。
[正極の製造方法]
まず、この発明における金属元素Mを含む複合酸化物粒子を合成する。複合酸化物粒子を合成する手段は特に限定されない。更に硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物と反応させて金属元素Mの表面濃度を上昇させる方法に関しても公知の各種の方法が適用可能である。
また、複合酸化物粒子の表面を被覆する方法の一例として、金属元素Mを含むリチウム遷移金属複合酸化物と硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)を含む化合物とをボールミル、擂潰機、微粉砕機などを用いて粉砕混合被着する方法を用いる事が可能である。この場合、水で例示できる、多少の液体分を添加して行なうことも有効である。また、メカノケミカル処理による被着や、スパッタやCVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法のような気相法によって金属化合物を被着させることもできる。
さらに、原料を水中やエタノールなどの溶媒中で混合することや、液相における中和による晶析等によりリチウム遷移金属複合酸化物粒子上に元素硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)を含む表面を形成することもできる。このようにして金属元素Mを含むリチウム遷移金属複合坂物に硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)を存在させた後、熱処理を行うことで金属元素Mの表面濃度を上昇させることが好ましい。熱処理は、例えば350〜900℃程度、で行われる。得られたリチウム遷移金属複合酸化物は粉体物性の調整など、公知の技術が施されたものであっても良い。
続いて、正極活物質と、結着剤と、炭素材料などの導電助剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散して正極合剤スラリーを調製する。結着剤は、ポリフッ化ビニリデンまたはポリテトラフルオロエチレンなどを用いる。
次に、この正極合剤スラリーを正極集電体13Aに塗布し乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層13Bを形成し、正極13を得る。なお、炭素材料などの導電助剤は、正極合剤を調製する際に必要に応じて混合する。
[負極の製造方法]
次に、負極14は、以下のようにして作製する。まず、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体14Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して負極活物質層14Bを形成し、負極14を得る。
[非水電解質電池の製造方法]
この非水電解質電池は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、正極13および負極14のそれぞれに、電解液と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質16を形成する。そののち、正極集電体13Aの端部に正極リード11を溶接により取り付けると共に、負極集電体14Aの端部に負極リード12を溶接により取り付ける。
次に、電解質16が形成された正極13と負極14とをセパレータ15を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ17を接着して巻回電極体10を形成する。最後に、例えば、外装部材1の間に巻回電極体10を挟み込み、外装部材1の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード11および負極リード12と外装部材1との間には密着フィルム2を挿入する。これにより、図1および図2に示した非水電解質電池が完成する。
また、この非水電解質電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述のようにして正極13および負極14を作製し、正極13および負極14に正極リード11および負極リード12を取り付ける。そして、正極13と負極14とをセパレータ15を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ17を接着して、巻回電極体10の前駆体である巻回体を形成する。次に、この巻回体を外装部材1に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材1の内部に収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材1の内部に注液する。
電解質用組成物を注入したのち、外装部材1の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次に、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質16を形成し、図1および図2に示した非水電解質電池を組み立てる。
サイクル特性等の改善の詳細は明らかではないが、次のような機構によるものと推測される。充電状態にあるリチウムイオン二次電池内部では、正極は強い酸化性を有する状態にあり、正極に接する電解液は、特に高温環境下では酸化分解が進みやすい環境にある。電解液の分解が進行すると、不活性な被膜が正極活物質粒子上に形成されて電子移動やリチウムイオンの移動を阻害する。
更に、分解された成分は非常に活性な分子を電極細孔内の電解液中に生成し、電解液の劣化を加速させたり、正極活物質を攻撃して構成元素を溶解させ、容量を減少させたりする。すなわち、このような現象を抑制するためには、正極活物質粒子と電解液の界面の安定化のみでは不十分で、更に正極活物質粒子外の粒子近傍で活性分子を安定化の両方の作用を協奏させる事が必要である。
この発明におけるリチウム含有遷移金属酸化物では、粒子内部の主要遷移金属とは異なる金属元素Mを粒子表面に配する事により、正極活物質と電解液界面の安定化を図り、更に粒子近傍に硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)から選ばれる少なくとも1種の元素を凝集した形態で含むリチウム遷移金属複合酸化物を配する事により活性分子の安定化を図ることができる。これにより、両者の相乗効果を誘起させる事で非常に高いレベルの電池性能の向上を実現していると考えられる。
さらにあらかじめ粒子内部に金属元素Mを均一に存在させてから表面の金属元素Mの濃度上げることにより金属元素Mの表面の存在状態を均一にし、金属元素Mによる安定化効果を最大限発揮させることが出来、性能向上が図られているものと考えられる。
〔効果〕
この発明の第1の実施の形態の非水電解質電池によれば、サイクル特性の劣化や高温環境での充放電による内部抵抗の上昇を抑制し、高容量化と電池特性の両立を図ることができる。
2.第2の実施の形態(非水電解質電池の第2の例)
この発明の第2に実施の形態について説明する。この発明の第2の実施の形態による非水電解質電池は、第1の実施の形態の非水電解質電池において、より均一に被覆材を被覆させた正極活物質材料を用いた正極を備えるものである。
なお、第2の実施の形態の非水電解質電池は、正極活物質以外は第1の実施の形態の非水電解質電池と同じ材料および構成であるため、説明を省略する。
[正極活物質]
正極活物質は、第1の実施の形態と同様に、例えば複合酸化物粒子内部に主要遷移金属とは異なる金属元素Mを含み、金属元素Mが粒子の中心から粒子表面に向かって濃度勾配を有している。濃度勾配は、粒子表面に近づくにしたがって、金属元素Mの濃度が濃くなるものである。そして、複合酸化物粒子の表面には硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)から選ばれる少なくとも1種の元素を凝集した形態で含むリチウム含有遷移金属複合酸化物を用いている。
第2の実施の形態では、被覆材として用いられる硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物の融点、もしくはこの化合物の熱分解物の融点が、70℃以上600℃以下であることを特徴としている。複合酸化物粒子の表面にボールミル等によって被着された化合物もしくは化合物の熱分解物は、加熱によって溶融して液状となり、複合酸化物粒子表面を均一に覆うことができる。この後、加熱により溶融した化合物もしくは化合物の熱分解物と、複合酸化物粒子との間に反応が生じる。これにより、第1の実施の形態の正極活物質よりも、被覆材をより効率よく均一に被覆させることができる。
また、600℃を超える温度で熱処理された場合、複合酸化物粒子自体に構造変化等の反応が生じてしまう。しかしながら、第2の実施の形態の正極活物質では、複合酸化物粒子自体に構造変化等の反応が生じてしまう前に、被覆材が溶融して表面を覆うため、上述のような構造変化の前に安定な構造を形成できる。
ここで、化合物もしくは化合物の熱分解物の融点が600℃を超える場合には、融点に達する前に被覆処理が開始される。すなわち複合酸化物粒子と化合物または化合物の熱分解物が溶融して複合酸化物粒子表面を均一に覆う前に化合物または化合物の熱分解物と複合酸化物粒子との反応が開始される。この場合、被覆材が複合酸化物粒子と接している部分のみ反応が生じるため、被覆処理が不均一になってしまい好ましくない。また、600℃を超える温度で熱処理された場合、複合酸化物粒子自体に構造変化等の反応が生じてしまう。一方、化合物もしくは化合物の熱分解物の融点が70℃未満である場合には、ボールミル等による複合酸化物粒子表面への被覆材の被覆処理の際に被覆材が溶解または分解してしまい、均一な被覆がなされないため好ましくない。
被覆材の平均粒径は、30μm以下であることが好ましい。被覆材を均一に被覆させることができるからである。被覆材の平均粒径が大きすぎる場合、被覆材と複合酸化物粒子の混合時において充分に混合されない。このため、ボールミル等による被覆材の被着時に、均一に被着することができなくなってしまう。なお、被覆材の平均粒径については、下限はなく、平均粒径が小さいほど被覆材が均一に被着する。しかしながら、被覆材は粉砕によって粒径が調整され、粉砕により形成できる粒子の粒径の下限は1μm程度となる。
このような被覆材としては、リン酸水素二アンモニウム((NH42HPO4)、リン酸二水素アンモニウム(NH42PO4)、硫酸アンモニウム((NH42HPO4)、リン酸(H3PO4)等が挙げられる。これら材料は、熱処理の際にカチオンが蒸発等により除去される。これにより、正極活物質に不純物が残らないため、容量の低下を防止するとともに、不純物による弊害を防止する。
第2の実施の形態では、金属元素Mの表面濃度が上昇し、複合酸化物粒子の中心から表面に向かって金属元素Mの濃度が濃くなる濃度勾配を有する。そして、熱処理後の正極活物質は、表面に被覆材のカチオンが消失し、被覆材のアニオンに起因する硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)等が均一に点在する。また、被覆材のアニオンと、複合酸化物粒子表面とが反応し、被覆材のアニオンに起因する硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)と、例えば複合酸化物粒子のリチウムとからなる化合物が複合酸化物粒子表面に存在する。
なお、複合酸化物粒子および複合酸化物粒子に含まれる主要遷移金属とは異なる金属元素Mは、第1の実施の形態と同様の材料を用いることができる。
[正極活物質の製造方法]
第2の実施の形態における正極は、例えば次のようにして作製することができる。
まず、複合酸化物粒子の表面を被覆材被覆する。複合酸化物粒子の表面を被覆する方法の一例としては、第1の実施の形態と同様に、金属元素Mを含むリチウム遷移金属複合酸化物と硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)を含む化合物とをボールミル、擂潰機、微粉砕機などを用いて粉砕混合被着する方法を用いる事が可能である。この場合、水で例示できる、多少の液体分を添加して行なうことも有効である。また、メカノケミカル処理による被着や、スパッタやCVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法のような気相法によって金属化合物を被着させることもできる。
このようにして金属元素Mを含むリチウム遷移金属複合坂物に硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)を存在させた後、熱処理を行うことで金属元素Mの表面濃度を上昇させることが好ましい。熱処理は、例えば700〜900℃程度で行われることが好ましい。得られたリチウム遷移金属複合酸化物は粉体物性の調整など、公知の技術が施されたものであっても良い。
熱処理時には、硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)を含む化合物が溶融し、液状となって、複合酸化物粒子の表面が均一に覆われる。そして、さらに熱処理を続けることにより、被覆材が熱分解した後にカチオンが消失し、アニオンと複合酸化物粒子に含まれる金属元素Mとが反応する。なお、複合酸化物粒子表面において被覆材が溶融した後、熱処理の処理温度を上げて被覆材と複合酸化物粒子とを反応させるようにしても良い。
〔効果〕
この発明の第2の実施の形態では、複合酸化物粒子の構造変化等が生じる前に、被覆材により複合酸化物粒子の表面をより均一に覆うことができる。このため、正極活物質としての機能を向上させ、非水電解質電池の電池特性をより向上させることができる。
3.第3の実施の形態(非水電解質電池の第3の例)
この発明の第3の実施の形態について説明する。この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池は、第1の実施の形態の非水電解質電池において、ゲル状の電解質16に代えて電解液を用いるものである。この場合、電解液はセパレータ15に含浸される。電解液としては、上述の第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
このような構成を有する非水電解質電池は、例えば以下のようにして作製することができる。まず、正極13および負極14を作製する。正極13および負極14の作製は、第1の実施の形態の説明と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、正極13および負極14に、正極リード11および負極リード12を取り付けたのち、正極13と負極14とをセパレータ15を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ17を接着する。
これにより、巻回電極体10の構成において、電解質16を省略した構成の巻回電極体を得る。この巻回電極体を外装部材1の間に挟み込んだのち、電解液を注入して外装部材1を密閉する。以上により、この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池が得られる。
〔効果〕
この発明の第3の実施形態では、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、サイクル特性の劣化や高温環境での充放電による内部抵抗の上昇を抑制し、高容量化と電池特性の両立を図ることができる。
4.第4の実施の形態(非水電解質電池の第4の例)
次に、図3〜図4を参照しながら、この発明の第4の実施の形態による非水電解質電池の構成について説明する。図3は、この発明の第4の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す。
この非水電解質電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶21の内部に、帯状の正極31と帯状の負極32とがセパレータ33を介して巻回された巻回電極体30を有している。
セパレータ33には、液状の電解質である電解液が含浸されている。電池缶21は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶21の内部には、巻回電極体30を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板22、23がそれぞれ配置されている。
電池缶21の開放端部には、電池蓋24と、この電池蓋24の内側に設けられた安全弁機構25および熱感抵抗(PTC:Positive Temperature Coefficient)素子26とが、ガスケット27を介してかしめられることにより取り付けられている。これにより、電池缶21の内部は密閉されている。
電池蓋24は、例えば、電池缶21と同様の材料により構成されている。安全弁機構25は、熱感抵抗素子26を介して電池蓋24と電気的に接続されている。安全弁機構25は、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板25Aが反転して電池蓋24と巻回電極体30との電気的接続を切断するようになっている。
熱感抵抗素子26は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット27は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体30は、例えば、センターピン34を中心に巻回されている。巻回電極体30の正極31にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード35が接続されており、負極32にはニッケル(Ni)などよりなる負極リード36が接続されている。正極リード35は安全弁機構25に溶接されることにより電池蓋24と電気的に接続されており、負極リード36は電池缶21に溶接され電気的に接続されている。
図4は、図3に示した巻回電極体30の一部を拡大して表す断面図ある。巻回電極体30は、正極31と負極32とをセパレータ33を介して積層し、巻回したものである。
正極31は、例えば、正極集電体31Aと、この正極集電体31Aの両面に設けられた正極活物質層31Bとを有している。負極32は、例えば、負極集電体32Aと、この負極集電体32Aの両面に設けられた負極活物質層32Bとを有している。正極集電体31A、正極活物質層31B、負極集電体32A、負極活物質層32B、セパレータ33および電解液の構成はそれぞれ、上述の第1の実施形態における正極集電体13A、正極活物質層13B、負極集電体14A、負極活物質層14B、セパレータ15および電解液と同様である。
[非水電解質電池の製造方法]
次に、この発明の第4の実施の形態による非水電解質電池の製造方法について説明する。正極31は、以下のようにして作製する。まず、正極活物質と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散して正極合剤スラリーを調製する。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体31Aに塗布し乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層31Bを形成し、正極31を得る。
負極32は、以下のようにして作製する。まず、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体32Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して負極活物質層32Bを形成し、負極32を得る。
次に、正極集電体31Aに正極リード35を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体32Aに負極リード36を溶接などにより取り付ける。その後、正極31と負極32とをセパレータ33を介して巻回し、正極リード35の先端部を安全弁機構25に溶接すると共に、負極リード36の先端部を電池缶21に溶接する。
そして、巻回した正極31および負極32を一対の絶縁板22、23で挟み、電池缶21の内部に収納する。正極31および負極32を電池缶21の内部に収納したのち、電解質を電池缶21の内部に注入し、セパレータ33に含浸させる。
その後、電池缶21の開口端部に電池蓋24、安全弁機構25および熱感抵抗素子26を、ガスケット27を介してかしめることにより固定する。以上により、図3に示した非水電解質電池が作製される。
〔効果〕
この発明の第4の実施の形態による非水電解質電池では、ガス発生を抑制し、内圧の上昇による破損を防止できる。
5.他の実施の形態(変形例)
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、非水電解質電池の形状は、上述のものに限定されるものではない。例えば、コイン型などであってもよい。
また、例えば、イオン伝導性高分子材料から構成される高分子固体電解質、またはイオン伝導性を有する無機材料から構成される無機固体電解質などを、電解質として用いてもよい。イオン伝導性高分子材料としては、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリフォスファゼン、あるいはポリシロキサンなどを挙げることができる。また、無機固体電解質としては、例えばイオン伝導性セラミックス、イオン伝導性結晶あるいはイオン伝導性ガラスなどを挙げることができる。
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、複合酸化物粒子に対する被覆材の添加量を変化させて、複合酸化物粒子表面における被覆材の分布状態が異なる用にした正極活物質を用いた場合の電池特性を確認する。
<実施例1−1>
[正極の作製]
炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化コバルト(Co34)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)とをLi:Co:Al:Mg=1.00:0.98:0.01:0.01のモル比で混合した後、空気中において900℃で5時間焼成した。これにより、リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)を得た。このリチウム・コバルト複合酸化物の平均粒子径をレーザ散乱法により測定したところ、平均粒子径が13μmであった。
続いて、このリチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して炭酸リチウム(Li2CO3)とリン酸水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)が原子比でCo:Li:P=98:1:1となるように秤量・混合した。そして、リチウム・コバルト複合酸化物含む混合材料をメカノケミカルミカル装置によって1時間処理した。これにより、リチウム・コバルト複合酸化物粒子を中心材として、その表面に炭酸リチウムとリン酸水素二アンモニウムとが被着された焼成前駆体を作製した。
この焼成前駆体を毎分3℃の速度で昇温し、900℃で3時間保持した後、徐冷してこの発明のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。リチウム遷移金属複合酸化物は、マグネシウム(Mg)がリチウム・コバルト複合酸化物粒子表面に均一に分布していた。また、マグネシウム(Mg)の表面濃度が粒子内部に比べて高く、さらにリン酸リチウム(Li3PO4)が粒子表面に点在して存在していた。
なお、リチウム遷移金属複合酸化物表面の状態は、得られた粉末をSEM/EDXによって観察することにより確認した。上述のリチウム遷移金属複合酸化物の表面には、マグネシウム(Mg)が粒子表面に均一に分布し、さらにリン(P)が粒子表面に点在して存在することが確認された。また、マグネシウム濃度は、リチウム遷移金属複合酸化物の断面を切削して、半径方向の元素分布をオージェ電子分光法により測定することにより確認した。上述のリチウム遷移金属複合酸化物を確認したところ、マグネシウム濃度が表面から連続的に変化している様が観察された。
また、この粉末についてCuKαを用いた粉末X線回折パターンを測定したところ、層状岩塩構造を有するLiCoO2に相当する回折ピークに加えてLi3PO4の回折ピークが確認された。
以上のようにして得られたリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として用い、以下に記すように非水電解質二次電池を作製し、高温時のサイクル特性および内部抵抗の変化を評価した。
上述の正極活物質を98重量%、アモルファス性炭素粉(ケッチェンブラック)1.5重量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)3重量%とを混合して正極合剤を調製した。この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーを作製した後、この正極合剤スラリーを帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体の両面に均一に塗布した。続いて、正極集電体表面の正極合剤スラリーを温風乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成型し、正極合剤層を形成した。
[負極の作製]
黒鉛粉末95重量%と、PVdF5重量%とを混合して負極合剤を調製した。この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーを作製した後、負極合剤スラリーを帯状銅箔よりなる負極集電体の両面に均一に塗布し、さらに、これを加熱プレス成型することにより、負極合剤層を形成した。
[電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比で1:1となるように混合した混合溶媒に、濃度が1mol/dm3となるように六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解して非水電解液を調製した。
[電池の組み立て]
以上のように作製された帯状の正極および負極を、多孔性ポリオレフィンフィルムからなるセパレータを介して多数回巻回し、渦巻き型の巻回電極体を作製した。この巻回電極体を、ニッケルめっきを施した鉄製電池缶に収納し、巻回電極体の上下両巻回面に絶縁板を配置した。次に、負極集電体と接続されたニッケル製の負極端子を電池缶の底部に溶接した。また、正極集電体と接続されたアルミニウム製の正極端子を、電池蓋と電気的な導通が確保された安全弁の突起部に溶接した。
最後に、上述の巻回電極体が組み込まれた電池缶内に非水電解液を注入した後、絶縁封口ガスケットを介して電池缶をかしめることにより、安全弁、PTC素子ならびに電池蓋を固定する。これにより、外径が18mm、高さが65mmの円筒型電池を作製した。
[電池の評価]
(a)初回容量
以上のようにして作製した円筒型電池について、環境温度45℃の環境下において、充電電流1.5Aで充電電圧が4.35Vとなるまで定電流充電を行った後、定電圧充電に切り替えて、総充電時間が2.5時間となった時点で充電を終了した。その後、直ちに放電電流2.0Aでの放電を行い、電池電圧が3.0Vとなった時点で放電を終了した。このときの放電容量を測定して初期容量としたところ、初期容量は9.1Whであった。
(b)容量維持率
初回容量測定時の充放電条件と同様の条件で充放電を繰り返し300サイクル目の放電容量を測定して、初期容量に対する容量維持率を求めたところ、容量維持率は82%であった。
<実施例1−2>
充電時の電池電圧を4.20Vとした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が8.0Wh、容量維持率は85%となった。なお、実施例1−2以降において、正極活物質における濃度分布、表面の状態は、下記の表1に記載した。
<実施例1−3>
充電時の電池電圧を4.4Vとした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.4Wh、容量維持率は80%となった。
<実施例1−4>
充電時の電池電圧を4.5Vとした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が10.0Wh、容量維持率は61%となった。
<実施例1−5>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して被着させる被着材料をリン酸水素二アンモニウム((NH42HPO4)のみとした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は80%となった。
<実施例1−6>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して被着させる被着材料を六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)とし、焼成温度を700℃とした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は81%となった。
<実施例1−7>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して被着させる被着材料を四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)とし、焼成温度を700℃とした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は76%となった。
<実施例1−8>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して被着させる被着材料を硫黄(S)とし、焼成温度を700℃とした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は64%となった。
<実施例1−9>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)、炭酸リチウム(Li2CO3)およびリン酸水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)の混合比を原子比でCo:Li:P=98:0.5:0.5とした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は80%となった。
<実施例1−10>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)、炭酸リチウム(Li2CO3)およびリン酸水素二アンモニウム((NH4) 2HPO4)の混合比を原子比でCo:Li:P=98:2.5:2.5とした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が8.9Wh、容量維持率は75%となった。
<実施例1−11>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)、炭酸リチウム(Li2CO3)およびリン酸水素二アンモニウム((NH4) 2HPO4)の混合比を原子比でCo:Li:P=98:5:5とした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が8.2Wh、容量維持率は69%となった。
<実施例1−12>
リチウム・コバルト複合酸化物の組成比を(LiCo0.97Al0.01Mg0.022)とした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.0Wh、容量維持率は84%となった。
<実施例1−13>
リチウム・コバルト複合酸化物の組成比を(LiCo0.95Al0.01Mg0.042)とした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が8.8Wh、容量維持率は82%となった。
<比較例1−1>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)の被覆処理を行わない以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.2Wh、容量維持率は31%となった。
<比較例1−2>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)の被覆処理を行わず、充電時の電池電圧を4.2Vとした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が8.1Wh、容量維持率は71%となった。
<比較例1−3>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)の被覆処理を行わず、充電時の電池電圧を4.4Vとした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.5Wh、容量維持率は25%となった。
<比較例1−4>
リチウム・コバルト複合酸化物の組成比を(LiCoO2)とし、リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)に対して被着させる被着材料を炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)およびリン酸水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)とした。リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)、炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)およびリン酸水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)の混合比を原子比でCo:Li:Mg:P=100:1:1:1となるように秤量・混合した。これ以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は32%となった。
<比較例1−5>
リチウム・コバルト複合酸化物の組成比を(LiCoO2)とし、リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)に対して被着させる被着材料をフッ化アルミニウム(AlF3)とした。リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)と、フッ化アルミニウム(AlF3)の混合比を原子比でCo:Al=100:1となるように秤量・混合した。これ以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は30%となった。
<比較例1−6>
リチウム・コバルト複合酸化物の組成比を(LiCoO2)とし、リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)に対して被着させる被着材料をリン酸アルミニウム(AlPO4)とした。リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)と、リン酸アルミニウム(AlPO4)の混合比を原子比でCo:Al=100:1となるように秤量・混合した。これ以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は25%となった。
<比較例1−7>
リチウム・コバルト複合酸化物の組成比を(LiCoO2)とした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は20%となった。
<比較例1−8>
リチウム・コバルト複合酸化物の組成比を(LiCoO2)とし、リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)に対して被着させる被着材料をリン酸リチウム(Li3PO4)とした。リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)と、リン酸リチウム(Li3PO4)の混合比を原子比でCo:P=100:1となるように秤量・混合した。これ以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は15%となった。
<比較例1−9>
リン酸水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)被覆処理後の焼成温度を300℃とした以外は実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が8.6Wh、容量維持率は35%となった。
以下の表1に、評価の結果を示す。
Figure 2011082133
評価結果から分かるように、マグネシウム(Mg)が均一で粒子内部から表面に向かって濃度分布があり、かつ表面を硫黄(S)、リン(P)等が点在するように被覆した正極活物質を用いた実施例では、初期容量とともに高い容量維持率を実現することができた。
これに対して、被覆材の無い比較例1−1〜比較例1−3では、電池の充電電圧が高くなるほど、顕著に容量維持率が低下してしまった。また、粒子内部のマグネシウム(Mg)が不均一である比較例1−4〜比較例1−6の場合には、濃度分布があったとしても、高い容量維持率を維持することができなかった。さらに、上述したような金属元素Mが無い場合には、表面に硫黄(S)、リン(P)等が点在していても、容量維持率が非常に低くなってしまった。
<実施例2>
実施例2では、融点の異なる被覆材を用いた場合の電池特性を確認する。
<実施例2−1>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して被着させる被着材料を、レーザ散乱法により測定した平均粒子径が10μmであり、融点が190℃のリン酸水素二アンモニウム((NH42HPO4)のみとした以外は、実施例1−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。実施例1−1と同様に満充電圧を4.35Vとして電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は85%となった。
<実施例2−2>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して被着させる被着材料を、レーザ散乱法により測定した平均粒子径が10μmであり、融点が513℃の硫酸アンモニウム((NH42HSO4)とした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は87%となった。
<実施例2−3>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して被着させる被着材料を、レーザ散乱法により測定した平均粒子径が30μmであり、融点が190℃のリン酸水素二アンモニウム((NH42HPO4)とした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は80%となった。
<実施例2−4>
被覆材の被覆処理を行うリチウム・コバルト複合酸化物の構成をLiNi0.79Co0.19Al0.01Mg0.012とした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が10.9Wh、容量維持率は81%となった。
<実施例2−5>
被覆材の被覆処理を行うリチウム・コバルト複合酸化物の構成をLiNi0.49Co0.19Mn0.29Al0.02Mg0.012とした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.5Wh、容量維持率は80%となった。
<実施例2−6>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して被着させる被着材料を、レーザ散乱法により測定した平均粒子径が10μmであり、融点が43℃のリン酸(H3PO4)とした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は53%となった。
<実施例2−7>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して被着させる被着材料を、レーザ散乱法により測定した平均粒子径が10μmであり、融点が480℃の硫酸第二鉄(Fe2(SO43)とした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が8.9Wh、容量維持率は80%となった。
<実施例2−8>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して被着させる被着材料を、レーザ散乱法により測定した平均粒子径が100μmであり、融点が190℃のリン酸水素二アンモニウム((NH42HPO4)とした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.1Wh、容量維持率は58%となった。
<実施例2−9>
リチウム・コバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して被着させる被着材料を、レーザ散乱法により測定した平均粒子径が10μmであり、融点が837℃のリン酸リチウム(Li3PO4)とした以外は、実施例2−1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。電池の評価を行ったところ、初回容量が9.0Wh、容量維持率は60%となった。
以下の表2に、評価の結果を示す。なお、表2では、比較のために比較例1−1の結果を併せて示す。
Figure 2011082133
評価結果から分かるように、実施例2−1〜実施例2−5では、リン、およびフッ素を含む化合物または化合物の熱分解物の融点が80℃から600℃の範囲にある。このため、900℃で焼成した際に、リン、およびフッ素を含む化合物または化合物の熱分解物が液状となることで、複合酸化物粒子の表面を硫黄、リン、およびフッ素の化合物が均一に覆うことが可能となり、容量維持率の高い正極活物質を得たと考えられる。また、分解物のアンモニウムが気化することで活物質内に残らず、初期容量も高いままを維持した。
また、実施例2−4、実施例2−5では、正極活物質の中心材である複合酸化物粒子としてリチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物、または、リチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物を用いた場合においても、金属元素Mの濃度が高くなる濃度勾配を有する活物質を得ることができ、容量維持率の高い正極活物質を得た。
また、実施例2−6では、被覆のメカノケミカル処理中にリン酸が溶解したため、容量維持率は向上したものの実施例2−1〜実施例2−5程良好な被覆を達成することができず、被覆材を用いることによる容量維持率の向上が小さくなった。これは、メカノケミカル処理によって生じる処理温度よりもリン酸の融点が低いためである。実施例2−7では、融点は70℃から600℃の範囲にあり良好な被覆を得られたものの、分解物として鉄化合物が正極表面に残ってしまった。このため、充放電に寄与しない不純物の存在により、初期放電容量がやや減少した。
実施例2−8では、被覆材の平均粒子径が大きすぎるために複合酸化物粒子と充分に混合されなかった。このため、容量維持率は向上したものの実施例2−1〜実施例2−5程良好な被覆を達成することができず、被覆材を用いることによる容量維持率の向上が小さくなった。これは、混合状態が不十分であるために被覆が良好な部分と不良な部分に分かれたためである。実施例2−9では、容量維持率は向上したものの実施例2−1〜実施例2−5程大きい向上とはならなかった。これは、被覆材の融点が600℃より高い837℃と焼成温度に近く、被覆材が溶解して良好な被覆を形成する前に、局所的に被覆材との反応が進行し始め良好な被覆を得ることができなかったためである。
この発明の正極活物質を用いることにより、高容量で充放電サイクルに優れた非水電解質電池を得ることができる。
1・・・外装部材
2・・・密着フィルム
10、30、53・・・巻回電極体
11、35・・・正極リード
12、36・・・負極リード
13、31・・・正極
13A、31A・・・正極集電体
13B、31B・・・正極活物質層
14、32・・・負極
14A、32A・・・負極集電体
14B、32B・・・負極活物質層
15、33・・・セパレータ
16・・・電解質
17・・・保護テープ
21・・・電池缶
22、23・・・絶縁板
24・・・電池蓋
25・・・安全弁機構
25A・・・ディスク板
26・・・熱感抵抗素子
27・・・ガスケット
34・・・センターピン

Claims (18)

  1. リチウムを含む化合物と、固溶される遷移金属を含む化合物と、該遷移金属とは異なる金属元素Mを含む化合物とを混合して焼成して複合酸化物粒子を形成し、
    上記複合酸化物粒子の表面に、硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させ、
    上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させた上記複合酸化物粒子を焼成することにより、
    上記複合酸化物粒子の中心から表面に向かって上記金属元素Mの濃度が濃くなる濃度勾配を有し、
    上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種が、上記複合酸化物粒子表面に凝集した形態で存在する
    正極活物質。
  2. 上記遷移金属が、少なくともニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)から選択される
    請求項1に記載の正極活物質。
  3. 上記金属元素Mが、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、コバルト(Co)および鉄(Fe)のうちの少なくとも一種である
    請求項1に記載の正極活物質。
  4. リチウムを含む化合物を共存させて上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させた上記複合酸化物粒子の焼成を行った
    請求項1に記載の正極活物質。
  5. 上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物もしくは該化合物の熱分解物の融点が、70℃以上600℃以下である
    請求項1〜請求項4のいずれかに記載の正極活物質。
  6. 上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物もしくは該化合物の平均粒径が、30μm以下である
    請求項1〜請求項4のいずれかに記載の正極活物質。
  7. リチウムを含む化合物と、固溶される遷移金属を含む化合物と、該遷移金属とは異なる金属元素Mを含む化合物とを混合して焼成して複合酸化物粒子を形成し、
    上記複合酸化物粒子の表面に、硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させ、
    上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させた上記複合酸化物粒子を焼成することにより、
    上記複合酸化物粒子の中心から表面に向かって上記金属元素Mの濃度が濃くなる濃度勾配を有し、
    上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種が、上記複合酸化物粒子表面に凝集した形態で存在する正極活物質を含む正極。
  8. 上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物もしくは該化合物の熱分解物の融点が、70℃以上600℃以下である
    請求項7に記載の正極。
  9. 上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物もしくは該化合物の平均粒径が、30μm以下である
    請求項7に記載の正極活物質。
  10. 正極と、負極と、電解質とを備え、
    上記正極が、
    リチウムを含む化合物と、固溶される遷移金属を含む化合物と、該遷移金属とは異なる金属元素Mを含む化合物とを混合して焼成して複合酸化物粒子を形成し、
    上記複合酸化物粒子の表面に、硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させ、
    上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させた上記複合酸化物粒子を焼成することにより、
    上記複合酸化物粒子の中心から表面に向かって上記金属元素Mの濃度が濃くなる濃度勾配を有し、
    上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種が、上記複合酸化物粒子表面に凝集した形態で存在する正極活物質を含む
    非水電解質電池。
  11. 上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物もしくは該化合物の熱分解物の融点が、70℃以上600℃以下である
    請求項10に記載の非水電解質電池。
  12. 上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物もしくは該化合物の平均粒径が、30μm以下である
    請求項10に記載の正極活物質。
  13. リチウムを含む化合物と、固溶される遷移金属を含む化合物と、該遷移金属とは異なる金属元素Mを含む化合物とを混合して焼成し、複合酸化物粒子を形成する複合酸化物粒子形成工程と、
    上記複合酸化物粒子の表面に、硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させる被着工程と、
    上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を被着させた上記複合酸化物粒子を焼成する焼成工程と
    からなり、
    上記複合酸化物粒子の中心から表面に向かって上記金属元素Mの濃度が濃くなる濃度勾配を有し、
    上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種が、上記複合酸化物粒子表面に凝集した形態で存在するようにした
    正極活物質の製造方法。
  14. 上記焼成工程において、
    上記複合酸化物粒子の表面に被着された上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物もしくは該化合物の熱分解物を溶融させ、
    溶融した上記化合物もしくは該化合物の熱分解物により、上記複合酸化物粒子の表面を均一に被覆させる
    請求項13に記載の正極活物質の製造方法。
  15. 上記焼成工程において、
    上記複合酸化物粒子の表面に被着された上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物のカチオンを消失させるとともに、
    上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物のアニオンと、上記複合酸化物粒子に含まれる元素とを反応させる
    請求項14に記載の正極活物質の製造方法。
  16. 融点が70℃以上600℃以下である上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を用いる
    請求項13〜請求項15のいずれかに記載の正極活物質の製造方法。
  17. 平均粒径が30μm以下である上記硫黄(S)、リン(P)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む化合物を用いる
    請求項13〜請求項15のいずれかに記載の正極活物質の製造方法。
  18. 上記焼成工程における焼成温度が、700℃以上900℃以下である
    請求項13〜請求項15のいずれかに記載の正極活物質の製造方法。
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