図1において、内視鏡システム2は、内視鏡10、プロセッサ装置11、および光源装置12からなる。内視鏡10は、例えば膵管、胆管、乳管、気管支末端といった細管部を観察する際に用いられる。内視鏡10は、患者の体内に挿入される可撓性の挿入部13と、挿入部13の基端部分に連設された操作部14と、プロセッサ装置11および光源装置12にそれぞれ接続されるプロセッサ用コネクタ15および光源用コネクタ16と、操作部14、各コネクタ15、16間を繋ぐユニバーサルコード17とを有する。
挿入部13は、例えば厚み50μm、外径0.9mmのテフロン(登録商標)等の可撓性材料からなる。操作部14には、体内画像を静止画記録するためのレリーズボタン18といった操作部材が設けられている。また、操作部14の先端側には、電気メス等の処置具が挿通される鉗子口19が設けられている。鉗子口19は、挿入部13内の鉗子チャンネル46(図3参照)を通して、挿入部13の先端部20に設けられた鉗子出口26(図2参照)に連通している。
プロセッサ装置11は、光源装置12と電気的に接続され、内視鏡システム2の動作を統括的に制御する。プロセッサ装置11は、ユニバーサルコード17や挿入部13内に挿通された配線ケーブル45(図3参照)を介して内視鏡10に給電を行い、シフト機構32(図3参照)の駆動を制御する。また、プロセッサ装置11は、イメージガイド31(図3参照)で伝達された被観察部位の像を、内蔵のCCD58R、58G、58B(図6参照、以下、まとめてCCD58という)で受像し、これにより得られた撮像信号に各種処理を施して画像を生成する。プロセッサ装置11で生成された画像は、プロセッサ装置11にケーブル接続されたモニタ21に体内画像として表示される。
先端部20は、例えば厚み25μm、外径0.8mmのステンレス製パイプを基体とする。図2において、先端部20の先端面20aには、上方中央に観察窓25が、その直下に鉗子出口26が設けられている。また、観察窓25、鉗子出口26以外の隙間を埋めるように、複数のライトガイド27の先端がランダムに配置されている。
鉗子出口26は、例えば外径0.34mm、内径0.3mmであり、ポリイミド等からなる鉗子チャンネル46(図3参照)に連通している。ライトガイド27は、例えば外径50μmの光ファイバからなる。ライトガイド27は、挿入部13、ユニバーサルコード17に亘って挿通され、その入射端が光源用コネクタ16内に位置している。ライトガイド27は、入射端に入射した光源装置12からの照明光を導光して、先端面20aから露呈した先端(出射端)から照明光を被観察部位に照射する。
ライトガイド27は、複数本の光ファイバをバラで挿入部13内に挿通させ、その後先端部20に接着剤を流し込むことで先端部20に固着される。各ライトガイド27の出射端前方には、ライトガイド27の出射端が配された部分を覆う照明窓28が設けられている。照明窓28と各ライトガイド27の出射端の間には、波長変換部材29(図6参照)が配されている。必要に応じて、固着後にライトガイド27の出射端を表面研磨したり、照明窓28に蛍光物質を塗り込む等して照明光を拡散させてもよい。
図3に示すように、観察窓25の奥には、対物光学系30、イメージガイド31、およびイメージガイド31をシフトさせるシフト機構32が配されている。対物光学系30は、鏡筒33に保持され、被観察部位の像をイメージガイド31の入射端に結像させる。対物光学系30、鏡筒33の外径はそれぞれ、例えば0.35mm、0.4mmである。また、鏡筒33の軸方向長さは、例えば3.2mmである。
イメージガイド31は、例えば外径0.2mmの光ファイバ束からなる(図5参照)。イメージガイド31は、挿入部13、ユニバーサルコード17内を挿通され、その出射端がプロセッサ用コネクタ15内に位置している。イメージガイド31は、対物光学系30に面した入射端から取り込んだ被観察部位の像を出射端に伝達する。
図4にも示すように、シフト機構32は、保持筒34、圧電素子35、および電極36で構成される。保持筒34は、例えば外径0.26mm、内径0.2mmのステンレス製パイプからなり、イメージガイド31が内挿固定される。圧電素子35は、例えば厚み15μmであり、保持筒34の外周面を覆う円筒状に成膜されている。電極36は、例えば厚み5μmであり、圧電素子35の外周面に成膜されている。
シフト機構32は、先端部20の基体内に収容されている。シフト機構32の外周面と先端部20の基体の内周面との間には、例えば0.1mm程度の空洞37が形成されている。
シフト機構32は、イメージガイド31の入射端とともに揺動する、先端面20a側の揺動部38と、イメージガイド31とともに固定される、挿入部13側の固定部39とに分れる。揺動部38では、シフト機構32は先端部20の基体に固着されておらず、イメージガイド31は、固定部39を支点として空洞37内を揺動可能である。固定部39では、シフト機構32は接着剤40で先端部20の基体の内周面に固着されている。接着剤40は、イメージガイド31が剥き出しになるシフト機構32の終端手前から、挿入部13の先端途中に掛けて充填されている。揺動部38、固定部39の軸方向長さはそれぞれ、例えば4mm、1.9mmであり、固定部39と挿入部13の先端途中を含む接着剤40の充填範囲の軸方向長さは、例えば3.2mmである。
電極36は、周方向に90°間隔(図2の上下左右方向に対して45°傾いた位置)に設けられ、軸方向に平行に形成された四本の溝41によって、上下、左右の二対、計四個に分割されている。揺動部38では、各電極36の間隔が溝41の幅分しか空いておらず、各電極36が幅広となっている。対して、固定部39では溝41が周方向に対称に拡がった形の切欠き42が形成されて、幅狭部43となっている。幅狭部43は、圧電素子35の後端付近まで延在している。溝41および切欠き42は、圧電素子35の外周面全体に電極材料を成膜した後、エッチングによって形成される。
幅狭部43の終端にはパッド44が形成され、パッド44には配線ケーブル45が接続されている。パッド44は、保持筒34の終端にも形成されており、これにも配線ケーブル45が接続されている。すなわち、保持筒34は、圧電素子35の共通電極としても機能する。
配線ケーブル45は、例えば導線径15μm、被覆外径20μmである。配線ケーブル45は、イメージガイド31の周囲を這うように挿入部13、ユニバーサルコード17内を挿通され、プロセッサ用コネクタ15を介してプロセッサ装置11に接続される。
上下、左右で対になった電極36には、共通電極である保持筒34に掛かる電圧を基準として、逆の極性の電圧が供給される。例えば保持筒34の電位が0Vであった場合、上側の電極36には+5V、下側には−5Vといった具合である。こうすることで電極36下の圧電素子35が軸方向に伸縮し、この圧電素子35の伸縮に連れて、固定部39から先の揺動部38が、イメージガイド31の入射端とともに空洞37内を揺動する。電圧を供給する電極36の組み合わせや印加電圧の値を種々変更することで、揺動部38を所定角度で所定量移動させることができる。
図5において、イメージガイド31は、周知の如く、コア50とクラッド51からなる複数本(例えば6000本)の光ファイバ52を、六角最密状に束ねてバンドル化した構成である。本例では、コア50、クラッド51の径はそれぞれ、3μm、6μmであり、光ファイバ52の配列ピッチPは6μmである。
図6において、プロセッサ装置11は、拡大光学系55および三板式CCD56を有する。拡大光学系55は、プロセッサ用コネクタ15から露呈したイメージガイド31の出射端に面する箇所に配置されている。拡大光学系55は、イメージガイド31で伝達された被観察部位の像を、適当な倍率で拡大して三板式CCD56に入射させる。
三板式CCD56は、拡大光学系55の背後に配置されている。三板式CCD56は、周知の如く、色分解プリズム57と、三台のCCD58とから構成される。色分解プリズム57は、三個のプリズムブロックと、プリズムブロックの接合面に配された二枚のダイクロイックミラーとからなる。色分解プリズム57は、拡大光学系55からの被観察部位の像を赤、青、緑色の波長帯域を有する光に分け、それぞれの光をCCD58に向けて出射する。CCD58は、色分解プリズム57からの各色光の入射光量に応じた撮像信号を出力する。なお、CCDの代わりにCMOSイメージセンサを用いてもよい。
イメージガイド31のコア50で伝達する像80を、画素81が配列されたCCD58の撮像面に投影した図7において、像80の中心は、画素81の九個分の枡目の中心と略一致する。イメージガイド31の出射端と色分解プリズム57、CCD58は、像80と画素81が図示する位置関係となるように位置決めされている。
図6に戻って、CCD58からの撮像信号は、アナログフロントエンド(以下、AFEと略す)59に入力される。AFE59は、相関二重サンプリング回路(以下、CDSと略す)、自動ゲイン制御回路(以下、AGCと略す)、およびアナログ/デジタル変換器(以下、A/Dと略す)から構成されている。CDSは、CCD58から出力される撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、CCD58で生じるリセット雑音およびアンプ雑音の除去を行う。AGCは、CDSによりノイズ除去が行われた撮像信号を所定のゲイン(増幅率)で増幅する。A/Dは、AGCにより増幅された撮像信号を、所定のビット数のデジタル信号に変換する。A/Dでデジタル化された撮像信号は、デジタル信号処理回路(以下、DSPと略す)65のフレームメモリ(図示せず)に一旦格納される。
CCD駆動回路60は、CCD58の駆動パルス(垂直/水平走査パルス、電子シャッタパルス、読み出しパルス、リセットパルス等)とAFE59用の同期パルスとを発生する。CCD58は、CCD駆動回路60からの駆動パルスに応じて撮像動作を行い、撮像信号を出力する。AFE59の各部は、CCD駆動回路60からの同期パルスに基づいて動作する。なお、図では便宜上、CCD駆動回路60とAFE59はCCD58Gのみに繋がれているが、これらは実際にはCCD58R、58Bにも繋がれている。
圧電素子駆動回路61は、配線ケーブル45を介して電極36および保持筒34に繋がれている。圧電素子駆動回路61は、CPU62の制御の下、圧電素子35に電圧を供給する。
CPU62は、プロセッサ装置11全体の動作を統括的に制御する。CPU62は、図示しないデータバスやアドレスバス、制御線を介して各部と接続している。ROM63には、プロセッサ装置11の動作を制御するための各種プログラム(OS、アプリケーションプログラム等)やデータ(グラフィックデータ等)が記憶されている。CPU62は、ROM63から必要なプログラムやデータを読み出して、作業用メモリであるRAM64に展開し、読み出したプログラムを逐次処理する。また、CPU62は、検査日時、患者や術者の情報等の文字情報といった検査毎に変わる情報を、後述する操作部68やLAN(Local Area Network)等のネットワークより得て、RAM64に記憶する。
DSP65は、AFE59からの撮像信号をフレームメモリから読み出す。DSP65は、読み出した撮像信号に対して、色分離、色補間、ゲイン補正、ホワイトバランス調整、ガンマ補正等の各種信号処理を施し、一フレーム分の画像を生成する。またDSP65は、後述するシフト撮影モードが選択されたときに、シフトの一周期で得られた複数の画像を合成して一つの高解像度な画像(以下、合成画像という)を出力する画像合成部65a(図10参照)を有する。このためDSP65には、複数のフレームメモリが設けられている。DSP65で生成された画像(合成画像も含む)は、デジタル画像処理回路(以下、DIPと略す)66のフレームメモリ(図示せず)に入力される。
DIP66は、CPU62の制御に従って各種画像処理を実行する。DIP66は、DSP65で処理された画像をフレームメモリから読み出す。DIP66は、読み出した画像に対して、電子変倍、あるいは色強調、エッジ強調等の各種画像処理を施す。DIP66で各種画像処理を施された画像は、表示制御回路67に入力される。
表示制御回路67は、DIP66からの処理済みの画像を格納するVRAMを有する。表示制御回路67は、CPU62からROM63およびRAM64のグラフィックデータを受け取る。グラフィックデータには、体内画像の無効画素領域を隠して有効画素領域のみを表示させる表示用マスク、検査日時、あるいは患者や術者の情報等の文字情報、グラフィカルユーザインターフェース(GUI;Graphical User Interface)といったものがある。表示制御回路67は、DIP66からの画像に対して、表示用マスク、文字情報、GUIの重畳処理、モニタ21の表示画面への描画処理といった各種表示制御処理を施す。
表示制御回路67は、VRAMから画像を読み出し、読み出した画像をモニタ21の表示形式に応じたビデオ信号(コンポーネント信号、コンポジット信号等)に変換する。これにより、モニタ21に体内画像が表示される。
操作部68は、プロセッサ装置11の筐体に設けられる操作パネル、内視鏡10の操作部14にあるボタン、あるいは、マウスやキーボード等の周知の入力デバイスである。CPU62は、操作部68からの操作信号に応じて、各部を動作させる。
プロセッサ装置11には、上記の他にも、画像に所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で画像圧縮を施す圧縮処理回路や、レリーズボタン18の操作に連動して、圧縮された画像をCFカード、光磁気ディスク(MO)、CD−R等のリムーバブルメディアに記録するメディアI/F、LAN等のネットワークとの間で各種データの伝送制御を行うネットワークI/F等が設けられている。これらはデータバス等を介してCPU62と接続されている。
光源装置12は、中心波長445nmの青色レーザ光源(第一レーザ光源)70と、中心波長375nmの近紫外レーザ光源(第二レーザ光源)71と、青色レーザ光源70および近紫外レーザ光源71からのレーザ光をそれぞれ平行光化するコリメータレンズ72、73と、二本のレーザ光を偏光合波する光カップリング手段である偏光ビームスプリッタ74と、偏光ビームスプリッタ74で同一光軸上に合波されたレーザ光を集光する集光レンズ75とを有する。CPU76は、光源ドライバ77、78を経由して青色レーザ光源70と近紫外レーザ光源71の点灯、消灯制御を行う駆動制御手段として機能する。
青色レーザ光源70からのレーザ光と近紫外レーザ光源71からのレーザ光は、偏光ビームスプリッタ74で合波され、集光レンズ75によりライトガイド27の入射端に入射される。ライトガイド27は、入射されたレーザ光を、内視鏡10の挿入部13の先端側まで伝搬する。
一方、ライトガイド27の光出射側には、上述のように、第一波長変換材と第二波長変換材とが一体にされた波長変換部材29が配置されている。波長変換部材29は、複数種の蛍光物質を分散配置して一体に形成された一塊のブロックである。波長変換部材29を構成する第一波長変換材は、青色レーザ光源70からのレーザ光の一部を吸収して、緑色〜黄色に励起発光する複数種の蛍光体を有する。これにより、青色レーザ光源70からのレーザ光と、このレーザ光から変換された緑色〜黄色の励起光とが合波されて、白色光つまり通常照明光が生成される。
波長変換部材29を構成する第二波長変換材は、近紫外レーザ光源71からのレーザ光を吸収して、緑色に励起発光する。この緑色に励起発光する材料としては、例えば、緑色蛍光体であるLiTbW2O8(小田喜 勉、"白色LED用蛍光体について"、電子情報通信学会技術研究報告ED2005-28、 CFM2005-20、SDM2005-28、 pp.69-74(2005-05))や、ベータサイアロン(β−sialon:Eu)青色蛍光体(広崎 尚登、"白色発光ダイオード用酸窒化物・窒化物蛍光体の温度依存性"、第53回応用物理学関係連合講演会予稿集)等を用いることができる。波長変換部材29は、第一波長変換材と第二波長変換材が有する各蛍光体をランダムに分散配置して一体に形成したものである。なお、各蛍光体をランダムに分散させる以外にも、例えば、第一波長変換材と第二波長変換材とをそれぞれ微小ブロック化し、これら微少ブロック同士を接合した構成にする等、蛍光体材料に応じて適宜な変更が可能である。
上記構成により、ライトガイド27から出射される各レーザ光は、波長変換部材29に照射される。波長変換部材29は、第一波長変換材によって、青色レーザ光源70からの青色レーザ光の一部を吸収して、この青色レーザ光よりも長波長の光(緑色〜黄色の光)を励起発光し、青色レーザ光源70からのレーザ光と合波されて、白色光つまり通常照明光が生成される。そして、波長変換部材29は、第二波長変換材によって、近紫外レーザ光源71からの近紫外レーザ光の一部ないしは全てを吸収して、狭帯域の緑色光、青色光に励起発光し、特殊照明光が生成される。これにより、第一波長変換材が励起発光した緑色〜黄色光と青色レーザ光との合波による通常照明光と、第二波長変換材が励起発光した狭帯域の緑色光、青色光による特殊照明光とが光路前方に出射される。
なお、特殊照明光としては、例えば450、500、550、600、780nm近傍の光を、単独または複数組み合わせたものを用いる。450nm近傍の特殊照明光による撮影は、表層の血管やピットパターン等の被観察部位表面の微細構造の観察に適している。500nm近傍の照明光では、被観察部位の陥凹や***等のマクロな凹凸構造を観察することができる。550nm近傍の照明光は、ヘモグロビンによる吸収率が高く、微細血管や発赤の観察に適し、600nm近傍の照明光は、肥厚の観察に適している。深層血管の観察には、インドシアニングリーン(ICG;Indocyanine green)等の蛍光物質を静脈注射し、780nm近傍の照明光を用いることで明瞭に観察することができる。
上記で挙げた特殊照明光の波長域は例示であり、もちろん上記以外の波長域の特殊照明光であっても可である。例えば、ヘモグロビンの吸収波長は550nm近傍の他にも415nm近傍があるので、微細血管や発赤の観察に際して、550nm近傍の照明光の代わりに415nm近傍の照明光を用いてもよい。
内視鏡システム2には、シフト機構32を動作させないで撮影する通常撮影モードと、シフト機構32を使用するシフト撮影モードとが用意されている。シフト撮影モードでは、シフト回数を四回、九回の二種類設定することが可能である。各モードの切り替えおよびシフト回数の設定は、操作部68を操作することにより行われる。
シフト撮影モードが選択されてシフト回数が四回に設定(以下、単に四回シフトという)された場合、圧電素子駆動回路61は、シフト機構32の揺動部38を駆動して、イメージガイド31の入射端を図8に示すようにシフト動作させる。まず、揺動部38は、(a)の初期位置から30°左斜め下方向に、光ファイバ52の配列ピッチPの半分、つまり1/2P分イメージガイド31の入射端を揺動させ、(b)に示す一回シフトの位置に移動させる。そして、順次右斜め下方向、右斜め上方向、左斜め上方向に、最初と同じ角度、同じ移動量でシフトさせて、(c)の二回シフト、(d)の三回シフトの位置に移動させ、再び(a)の初期位置(四回シフトの位置)に戻す。揺動部38は、圧電素子駆動回路61によって、各シフト位置でその都度止められる。なお、実線はイメージガイド31の入射端における実際のコア50の位置、破線は一つ前の位置を表す。
イメージガイド31の入射端におけるコア50は、(a)〜(d)、そして再び(a)に戻る一周期のシフト動作を繰り返すことで、(a)の初期位置だけでは画像化されないクラッド51の部分を埋めるような、図9(a)に示す菱形状の移動軌跡を辿る。
因みにシフト回数が九回に設定(以下、単に九回シフトという)された場合の移動軌跡は、例えば図9(b)に示す如くである。四回シフトの場合と比べて、各方向へのシフト動作が一回多くなる。但し、七回シフトから八回シフトの位置に移るときは、六回シフトから七回シフトの位置に移ったときの左斜め上方向から、左斜め下方向に方向が変えられる。また、八回シフトから初期位置(九回シフトの位置)に移るときは、角度が90°に変えられて上方向に移動される。九回シフトの場合も四回シフトの場合と同様に、初期位置だけでは画像化されないクラッド51の部分を埋めるような移動軌跡となる。そのうえ、隣接する三つのコア50の初期位置と同じ位置(二回、四回、六回シフトの位置)に移動される。
図10において、シフト撮影モードが選択されると、プロセッサ装置11のCPU62には、同期制御部62a、圧電素子制御部62bが構築され、また、DSP65の画像合成部65aが動作する。画像合成部65aおよび各制御部62a、62bは、シフト情報85に基づいて互いに協働しながら各種処理を行う。
シフト情報85は、シフト機構32の揺動部38のシフト動作に関する情報である。シフト情報85は、シフト回数、シフト方向とそのピッチ、図7に示すイメージガイド31のコア50で伝達する像80とCCD58の画素81の位置関係等を含む。シフト回数の情報は操作部68から与えられる。シフト方向、ピッチ、像80と画素81の位置関係といった基本的な情報は例えばROM63に記憶されており、ROM63から画像合成部65aおよび各制御部62a、62bに読み出される。
同期制御部62aは、CCD駆動回路60からCCD58の駆動パルスの情報を受けて、圧電素子制御部62bに圧電素子制御信号Saを、画像合成部65aに画像合成信号Sbをそれぞれ送信する。圧電素子制御部62bは、圧電素子制御信号Saに同期してシフト動作が行われるよう、圧電素子駆動回路61の動作を制御する。同様に、画像合成部65aは、画像合成信号Sbに同期して画像合成処理を実行し、各回のシフト位置で得られた画像G0、G1、G2、G3(四回シフトの場合を例示)の画素を、各シフト位置に対応させてマッピングすることにより、一つの合成画像Gcを生成する。
より詳しくは、四回シフトの場合を例示した図11において、同期制御部62aは、CCD58の電荷蓄積が終了した直後、すなわちCCD58の画素81から垂直転送路に一フレーム分の信号電荷が読み出されたとき(CCD駆動回路60からCCD58に読み出しパルスが出力されたとき)に、圧電素子制御信号Saを発する。また、同期制御部62aは、三回シフトの位置で得られた画像G3に該当するCCD58の電荷読出出力が終了したときに、画像合成信号Sbを発する。電荷読出出力とは、読み出しパルスに応じてCCD58の画素81から垂直転送路に信号電荷が読み出され、垂直転送、水平転送を経て、一フレーム分の撮像信号が出力されるまでの一連のCCD動作をいう。
圧電素子駆動回路61は、圧電素子制御信号Saを受けて圧電素子35に相応の電圧を供給し、揺動部38を前回のシフト位置から次回のシフト位置に移動させる。同期制御部62aから圧電素子駆動回路61に圧電素子制御信号Saが発せられてから、揺動部38が次回のシフト位置に移動するまでの時間は、CCD58が前回の電荷蓄積を終えてから次回の電荷蓄積を開始するまでの時間よりも短い。従って、揺動部38が圧電素子駆動回路61により次回のシフト位置に移動されて制止された状態で、常に次回の電荷蓄積が開始される。
画像合成部65aは、画像合成信号Sbを受けて、各回のシフト位置で得られた画像G0〜G3をフレームメモリから読み出す。画像合成部65aは、各画像G0〜G3の画素を、各シフト位置に対応させてマッピングし、合成画像Gcを出力する。合成時に各画像G0〜G3や合成画像Gcに対して画素補間を施してもよい。
合成画像Gcは、画像化されないクラッド51の部分が画像化され、しかもその部分の画素値が一フレーム内の隣接画素の補間で得た擬似値ではなく、被観察部位の像を反映したものとなる。言い換えれば、通常撮影モードや各回のシフト位置で得られた画像よりも画素数が増え、よりきめ細かい画像となる。この画像の鮮明さは、四回シフトよりもサンプリング数が多い九回シフトのほうが当然より顕著になる。
なお、ここで注意すべきは、各画像G0〜G3の実態は、シフト動作で各シフト位置にずらされたそれぞれ異なる像80であるが、イメージガイド31の出射端を固定して入射端における像80のみをシフトさせており、CCD58の撮像面とイメージガイド31の出射端の相対的な位置関係は変わらないので、データ上は各シフト位置とも同じ画素81から出力されていて区別がつかないという点である。例えば、画像G0内のある位置の像80と画像G1内の同じ位置の像80とは、それぞれシフト位置が異なる像80であるが、CCD58の同じ画素81で撮像される。他の画像も同様である。このため、画像合成部65aは、シフト情報85の像80と画素81の位置関係を元に、各画像の画素値が本来どの画素81に該当するかをマッピングで割り出し、上記の画素補間等を行う。
さらに、内視鏡システム2には、通常照明光を照射する通常照明光照射モードと、特殊照明光を照射する特殊照明光照射モードと、同時観察モードとが用意されている。各モードの切り替えは、通常撮影モード、シフト撮影モードの切り替えと同様、操作部68を操作することにより行われる。
通常照明光照射モードが選択された場合、CPU76は、光源ドライバ77、78を制御して、青色レーザ光源70を点灯、近紫外レーザ光源71を消灯させる。ライトガイド27から出射される青色レーザ光は、波長変換部材29に照射され、波長変換部材29の第一波長変換材によって、緑色〜黄色の励起発光と青色レーザ光が合波されて、白色光(通常照明光)が生成される。この白色光が被観察部位に照射されるため照明光は通常照明光のみとなる。
一方、特殊照明光照射モードが選択された場合は、CPU76は、光源ドライバ77、78の駆動を制御して、青色レーザ光源70を消灯、近紫外レーザ光源71を点灯させる。ライトガイド27から出射される近紫外レーザ光は、波長変換部材29に照射され、波長変換部材29の第二波長変換材が近紫外レーザ光の一部ないしは全てを吸収して、狭帯域の緑色光、青色光に励起発光する。この狭帯域の緑色光、青色光が被観察部位に照射されるため照明光は特殊照明光のみとなる。
同時観察モードが選択された場合は、青色レーザ光源70と、近紫外レーザ光源71を、シフト動作の周期毎に交互に点消灯させる。被観察部位に照射される照明光は、図12に示すように、シフト動作の周期毎に通常照明光と特殊照明光とに順次切り替わる。もしくは、青色レーザ光源70は常時点灯、近紫外レーザ光源71をシフト動作の周期毎に点灯と消灯を交互に繰り返してもよい。以下、通常照明光による撮影で得られた画像を通常画像、特殊照明光による撮影で得られた画像を特殊画像と呼ぶ。
言う迄もないが、シフト撮影モードと通常照明光照射モードが選択された場合、画像合成部65aで生成される合成画像Gcは通常画像であり、シフト撮影モードと特殊照明光照射モードが選択された場合は、合成画像Gcは特殊画像である。シフト撮影モードと同時観察モードが選択された場合は、合成画像Gcはシフト動作の周期毎に通常画像と特殊画像に変わる(図12参照)。なお、図示はしていないが、DSP65(画像合成部65a)およびDIP66はそれぞれ、通常画像用と特殊画像用の二種類ある。
表示制御回路67は、通常照明光照射モードでは通常画像のみを、特殊照明光照射モードでは特殊画像のみを、それぞれモニタ21に表示させる。同時観察モードでは、表示制御回路67は、図13(A)に例示するように、通常画像と特殊画像をモニタ21に並列表示、または(B)に示すように重畳表示させる。
次に、上記のように構成された内視鏡システム2の作用について説明する。内視鏡10で患者の体内を観察する際、術者は、内視鏡10と各装置11、12とを繋げ、各装置11、12の電源をオンする。そして、操作部68を操作して、患者に関する情報等を入力し、検査開始を指示する。
検査開始を指示した後、術者は、挿入部13を体内に挿入し、光源装置12からの照明光で体内を照明しながら、CCD58による体内画像をモニタ21で観察する。
CCD58から出力された撮像信号は、AFE59の各部で各種処理を施された後、DSP65に入力される。DSP65では、入力された撮像信号に対して各種信号処理が施されて画像が生成される。DSP65で生成された画像は、DIP66に出力される。
DIP66では、CPU62の制御の下、DSP65からの画像に各種画像処理が施される。DIP66で処理された画像は、表示制御回路67に入力される。表示制御回路67では、CPU62からのグラフィックデータに応じて、各種表示制御処理が実行される。これにより、画像がモニタ21に体内画像として表示される。
図14において、シフト撮影モードが選択された場合(S10でyes)、プロセッサ装置11のCPU62に同期制御部62a、圧電素子制御部62bが構築される。そして、シフト情報85、およびCCD駆動回路60からのCCD58の駆動パルスの情報に基づいて、同期制御部62aから圧電素子制御部62bに圧電素子制御信号Saが、画像合成部65aに画像合成信号Sbがそれぞれ送信される。
圧電素子制御信号Saを受けた圧電素子制御部62bによって、圧電素子駆動回路61の動作が制御され、圧電素子駆動回路61から圧電素子35に相応の電圧が供給される。これにより、設定されたシフト回数に応じて、揺動部38が所定角度、所定ピッチ分順次シフトされる(S11)。そして、揺動部38が各シフト位置に止まっているときに、CCD58による電荷蓄積が行われ、イメージガイド31で伝達された被観察部位の像80が各画素81で撮像される(S12)。揺動部38が初期位置からシフトされて再び初期位置に戻り、一周期のシフト動作が終了するまで、S11、S12の処理が繰り返される(S13でno)。
一周期のシフト動作が終了すると(S13でyes)、画像合成信号Sbを受けた画像合成部65aによって画像合成処理が実行され、各回のシフト位置で得られた画像から、一つの合成画像が生成される(S14)。生成された合成画像は、前述のようにDIP66、表示制御回路67を経由して、モニタ21に表示される(S15)。一方、通常撮影モードが選択された場合は、S12の撮影は行われるが、S11、S14の処理は実行されない。これら一連の処理は、検査終了が指示される(S16でyes)まで繰り返される。
操作部68で通常照明光、または特殊照明光照射モードが選択された場合は、光源装置12のCPU76を介して光源ドライバ77、78が制御され、被観察部位には通常照明光、または特殊照明光のみが照射される。これにより、モニタ21には、通常画像、または特殊画像のみが表示される。
操作部68で同時観察モードが選択された場合は、光源装置12のCPU76を介して光源ドライバ77、78を制御され、被観察部位に照射される照明光が、シフト動作の周期毎に通常照明光と特殊照明光とに順次切り替えられる。これにより、モニタ21には、通常画像と特殊画像とが並列表示、または重畳表示される。
以上説明したように、通常照明光とは波長域の異なる特殊照明光を、イメージガイド31の入射端のシフト動作に同期して、通常照明光と切り替え可能に照射するので、胆管、乳管、気管支末端といった細管部の表層だけでなく、例えば、表層の血管やピットパターン等の被観察部位表面の微細構造、被観察部位の陥凹や***等のマクロな凹凸構造、微細血管や発赤、肥厚、あるいは深層血管も観察することが可能となる。
通常照明光のみを照射する通常照明光照射モード、特殊照明光のみを照射する特殊照明光照射モード、および通常照明光と特殊照明光を交互照射する同時観察モードの切り替えが可能で、同時観察モードのときには、通常画像と特殊画像をモニタ21に同時表示させるので、目的に合った内視鏡検査を行うことができる。
特殊照明光照射モード、または同時観察モードを選択して、特殊画像、または通常画像と特殊画像を同時に観察するとき、術者は、通常照明光照射モードで通常画像のみを観察するときよりも、通常画像では視認しにくい病変を確認するため、先端面20aを被観察部位に近付ける等して、被観察部位を相対的に拡大する傾向がある。そこで、特殊画像をより高精細な画質で取得するため、通常照明光照射モードでは四回シフトとし、特殊照明光照射モードおよび同時観察モードでは、九回シフトに自動的に切り替えてもよい。もしくは、同時観察モードで通常画像を取得するときには四回シフト、特殊画像のときには九回シフトとしてもよい。なお、シフトの回数には四回、九回の制限はなく、通常画像を取得する際よりも特殊画像を取得する際のシフト回数(シフト位置)が多ければよい。
モニタ21における通常画像および特殊画像の表示形態は、図13に例示する通常画像と特殊画像との並列表示、重畳表示に限定されない。例えば、通常画像内に特殊画像の縮小画像を重畳して、いわゆる入れ子画像(ピクチャーインピクチャー、PinP)としてもよい。さらには、モニタを複数台用意して、一台目は通常画像の表示用、二台目は特殊画像の表示用というように、マルチモニタ形式を採用してもよい。
また、通常照明光と特殊照明光とを発生する光源装置についても、上記実施形態に限定されない。例えば、駆動電流に応じて照明光の発振波長を変更可能なLEDやLDを用いても可である。光源が一つで済むので、部品コスト、設置スペースの削減に寄与することができる。
また、図15に示す光源装置100を用いてもよい。光源装置100は、通常照明光用光源(以下、通常光源と略す)101と、特殊照明光用光源(以下、特殊光源と略す)102の二つの光源を有する。通常光源101は、赤から青までのブロードな波長の光(例えば、480nm以上750nm以下の波長帯の光、つまり通常照明光)を発生するキセノンランプや白色LED(発光ダイオード)等である。一方、特殊光源102は、通常光源101とは逆に特定の狭い波長帯域の光、つまり特殊照明光を発生させるものであり、例えば、青色LED、またはLD(レーザーダイオード)である。特殊光源102は、450、500、550、600、780nm近傍の特殊照明光を、単独または複数組み合わせて発するものである。
各光源101、102は、光源ドライバ77、78によって駆動される。絞り機構103、104は、各光源101、102の光射出側に配置され、集光レンズ105、106に入射される光量を増減させる。集光レンズ105、106は、絞り機構103、104を通過した光を集光して、ライトガイド27の入射端に導光する。
CPU76は、プロセッサ装置11のCPU62と通信し、光源ドライバ77、78および絞り機構103、104の動作制御を行う。ライトガイド27の出射端に導かれた照明光は、照明窓28を介して体内の被観察部位に照射される。なお、この場合、ライトガイド27と照明窓28との間に波長変換部材29は配されていない。
各光源101、102の光射出側に配された二本のライトガイド27a、27bは、周知の光ファイバの合波技術を用いて、光源装置12内で合流して一本のライトガイド27となる。なお、ライトガイド27を27a、27bの二股に分けるのではなく、各光源101、102用に二本のライトガイドを設けてもよい。この構成によっても、上記実施形態と同様に、通常光源101のみを点灯させる通常照明光照射モード、特殊光源102のみを点灯させる特殊照明光照射モード、各光源101、102をシフト動作の周期毎に点灯させる同時観察モードを実行することが可能である。
さらに、図16に示す光源装置110を用いてもよい。光源装置110は、基本的な構成は上記した各光源装置と同様であるが、通常照明光用フィルタ部と特殊照明光用フィルタ部が一体化した円盤状のフィルタ111と、フィルタ111の回転軸111aに接続されたモータ112と、モータ112の駆動を制御するモータドライバ113と、フィルタ111の回転位置を検出する位置センサ114とを有している。また、光源115として白色光を発するハロゲンランプを用いている。
図17において、フィルタ111は、通常照明光透過領域120および特殊照明光透過領域121を有する。これら各領域120、121は、各々が同じ中心角α(例えば30°)を有する扇形で同数(例えば六個ずつ)あり、フィルタ111の周方向に沿って交互に配されている。
通常照明光透過領域120は、光源115からの白色光の波長帯成分、つまり通常照明光を透過する。特殊照明光透過領域121は、光源115からの白色光のうち、狭い波長帯成分(例えば450nm、550nm、780nm近傍)の光、つまり特殊照明光を透過する。特殊照明光透過領域121を透過する特殊照明光は、三板式CCD56の各CCD58の各画素81が感応する波長帯よりも狭い半値幅である。
通常照明光照射モードまたは特殊照明光照射モードが選択された場合、フィルタ111は、モータ112によって通常照明光透過領域120または特殊照明光透過領域121が光源115の前面に対面する位置に停止される。
同時観察モードが選択された場合、フィルタ111は、位置センサ114の検出結果に基づいたモータドライバ113の制御の下、モータ112によって各領域120、121を合せた個数分の周期(本例では12周期)のシフト動作に対して一回転される。このため、シフト動作の周期毎に、各領域120、121が光源115の前面を順に横切り、通常照明光と特殊照明光が交互に被観察部位に照射される。モータ112は、四回シフトと九回シフトの切り替えに対応するため、四回シフトでは九回シフトよりもフィルタ111の回転速度(単位時間当たりの回転数)を2.25倍速める。この構成によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
シフト機構の構成は、円柱状に限らない。例えば四角柱状でもよい。この場合はイメージガイドを四角筒状の保持筒に内挿固定し、保持筒の四辺にそれぞれ電極を形成する。そして、上下左右に保持筒毎イメージガイドをシフト動作させる。例えば、初期位置から90°左方向に√3/4P分シフトさせ、一回シフトの位置に移動させる。そして、初期位置に戻してから90°下方向に1/4P分シフトさせ、二回シフトの位置に移動させる。二回シフトの位置から再度初期位置に戻した後、順次右方向、上方向にシフトさせ、再び初期位置に戻す。こうすることで、コア50は十字状の移動軌跡を辿る。
圧電素子にはヒステリシス特性があり、無秩序に駆動させるとシフト位置がずれるため、移動軌跡は毎回同じとし、常に同じ移動経路でシフト機構をシフトさせる。つまり、シフト機構をシフトさせる際の圧電素子の駆動順序を毎回同じにする。また、上下、左右で対になった電極に電圧を供給する順序も同じにする。シフト量の校正をする場合も同様である。
イメージガイドは揺動部が根元から撓ることでシフトをするので、各シフト位置にすぐには停止せず、しばらく振動してから止まる可能性がある。このため、シフト機構の停止後、シフト方向とは逆方向に瞬間的に揺動部が振れるように、圧電素子駆動回路で圧電素子を駆動する等の制振対策を講じることが好ましい。具体的には、反力をシミュレーションや実測で求めて、これを打ち消すための圧電素子の駆動電圧をROMに記憶させておき、圧電素子制御部がその駆動電圧の情報をROMから読み出して圧電素子駆動回路に与える。あるいは、空洞に絶縁性の粘性流体を封入してダンピング効果を利用し、制振対策を講じてもよい。
なお、揺動部が次回のシフト位置に移動するまでの時間が、CCDが前回の電荷蓄積を終えてから次回の電荷蓄積を開始するまでの時間よりも短いと説明しているが、揺動部の長さ、材質、あるいはシフト量、さらには圧電素子自体の性能等が要因で、前者の時間が後者の時間よりも長くなることもあり得る。前述のようにイメージガイドの慣性質量が比較的重いことから、前者の時間が後者の時間よりも長くなる可能性が高い。
こうした場合には、揺動部がシフト位置に移動している間は、プロセッサ装置のCPUの制御の下、CCD駆動回路からCCDに電子シャッタパルスを供給して電荷蓄積を開始する時間を遅らせ、揺動部がシフト位置に停止してから電荷蓄積を開始する。あるいは、揺動部がシフト位置に移動している間は光源を消灯し、揺動部がシフト位置に停止したら光源を点灯する。
揺動部が次回のシフト位置に移動するまでの時間を基準にしてCCDを駆動しようとすると、前者の時間が後者の時間よりも長くなる場合はフレームレートを落とさなければならないが、電子シャッタパルスで電荷を掃き出すか、光源を点消灯させる上記いずれかの方法を採用すれば、フレームレートは現行を維持しつつブレのない画像を得ることができる。
なお、シフト撮影モードが選択されたときのみ画像合成部で画像合成処理をしているが、通常撮影モード時にも画像合成処理をしてもよい。クラッドの位置に対応する被観察部位の像を反映した画像は得られないが、クラッドの影は埋めることができる。
また、シフトの一周期毎に画像合成部で画像合成処理を行い、一つの合成画像を出力しているが、この方法であると通常撮影モードに比べてフレームレートが落ちる。このフレームレート低下の対策としては、四回シフトの場合は通常撮影モードの四倍といったように、シフト撮影モードが選択されたときにフレームレートを上げることが考えられる。
具体的には、CPU62のシステムクロックのクロック信号の周期を変化させることで、CCD駆動回路60の駆動信号の周期を変化させる。あるいは、システムクロックのクロック信号は変化させずに、CCD駆動回路60に分周器を設け、この分周器でシステムクロックのクロック信号を分周することで変化させてもよい。同時観察モードでは、通常、特殊画像をシフト動作の周期毎に生成するため、これらの画像の同時性を保つという観点からも、フレームレートの低下を防止することは効果がある。
あるいは、例えば四回シフトの場合に、同じシフト周期の画像G0〜G3で合成画像Gcを生成した後、その画像G1〜G3と次のシフト周期の画像G0から合成画像Gcを生成するというように、画像の組み合わせを一画像ずつずらして、G0〜G3の画像のうちの一番古い画像を新しく得られた画像に順次置き換えながら合成画像Gcを生成してもよい。こうすれば、クロック信号の周期を変化させたりする制御の面倒が省け、しかもフレームレートの低下を防ぐことができる。
三板式CCD、モード切り替えとシフト回数の設定をする操作部、および画像合成部と同期制御部と圧電素子制御部の機能を実現するハードウェアを、プロセッサ装置とは別の筐体に搭載してもよいし、内視鏡に搭載してもよい。
なお、イメージセンサとしては、単板式を用いてもよい。また、上記実施形態では、イメージガイドと配線ケーブルのプロセッサ装置への接続を同じコネクタで果たしているが、イメージガイドと配線ケーブルを別のコネクタに実装してもよい。