しかしながら、上記特許文献1による回転入力装置では、ユーザが回転部材を回転させる場合において、回転部材の回転方向がふらつく場合がある。特に、回転部材を回転させるためにユーザが回転部材に触れた際などに回転部材の回転方向がふらつくことが多い。このように回転部材がふらついた状態の回転角度に基づいて回転部材に抵抗を付与した場合には、回転部材が回転していないにもかかわらず抵抗が付与されてしまうので、ユーザに違和感を与えてしまうという問題点がある。また、このような特許文献1の回転入力装置の回転角度の検出に上記特許文献2による位置検出装置の回転角度の検出方法を適用した場合であっても、上記と同様に回転部材がふらついた状態で抵抗が付与されてしまうので、ユーザに違和感を与えてしまうという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ユーザが回転させる回転部材に抵抗を付与することによりユーザに触感を付与する構成において、違和感のない操作感をユーザに与えることが可能な回転入力装置および電子機器を提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
この発明の第1の局面による回転入力装置は、ユーザによる操作により回転可能な回転部材と、回転部材が回転した際の回転角度を検出する角度検出部と、ユーザによる操作により回転部材が回転された際に、回転部材に回転方向の力に抗する抵抗力を付与することによりユーザに触感を付与する抵抗付与部と、角度検出部により検出された過去複数回の回転部材の回転角度の平均値を算出するとともに、算出された平均値に基づいて、回転部材の回転方向が所定の複数回連続で同一の所定方向であると判断した場合に、回転部材が所定方向に回転していると判定するとともに、角度検出部の検出結果に基づく回転角度値を取得し、取得した回転角度値に基づいて、抵抗付与部を制御する制御部とを備える。
この第1の局面による回転入力装置では、上記のように、回転部材の回転方向が所定の複数回連続で同一の所定方向であると判断した場合に、回転部材が所定方向に回転していると判定するとともに、角度検出部の検出結果に基づく回転角度値を取得し、取得した回転角度値に基づいて、抵抗付与部を制御することによって、回転部材の回転方向が所定の複数回連続で同一の所定方向であるか否かを判断することにより、たとえば、ユーザが回転部材に触れた際などに回転部材の回転方向がふらつくことに起因して、回転部材の回転方向が所定方向に回転していると誤判定してしまうのを抑制することができる。これにより、回転部材がふらついた状態の回転角度(検出結果)に基づく回転角度値を取得してしまうのを抑制することができるので、回転部材がふらついた場合に回転部材に抵抗が付与されるのを抑制することができる。その結果、ユーザが回転させる回転部材に抵抗を付与することによりユーザに触感を付与する構成において、違和感のない操作感をユーザに与えることができる。
上記第1の局面による回転入力装置において、好ましくは、角度検出部は、静電容量式角度検出部を含む。このように構成すれば、角度検出部の近傍に抵抗(触感)を付与するための電磁石(励磁コイル)などの磁束を発する部品を配置した場合にも、磁束の影響を受けない静電容量の変化により回転部材の回転角度の検出を行うので、正確に回転部材の回転角度を検出することができる。これにより、正確なタイミングで抵抗を付与することができるので、違和感のない操作感をユーザに与えることができる。
上記第1の局面による回転入力装置において、好ましくは、制御部は、回転部材の回転方向が少なくとも3回連続で同一の所定方向であると判断した場合に、回転部材が所定方向に回転していると判定するとともに、角度検出部の検出結果に基づく回転角度値を取得し、取得した回転角度値に基づいて、抵抗付与部を制御するように構成されている。ここで、回転方向がふらついている時には回転部材の回転方向がすぐに入れ替わると考えられるので、上記のように、少なくとも3回連続で回転部材の回転方向が同一であるという条件を設定すれば、回転方向が定まらなくふらつきがある状態の回転角度値を取得することを抑制することができる。これにより、ふらつきがある状態で回転部材に不要な抵抗が付与されるのを抑制することができるので、より違和感のない操作感をユーザに与えることができる。
上記第1の局面による回転入力装置において、好ましくは、制御部は、回転部材の回転方向が同一の所定方向であると判断した回数が連続して所定の複数回に達しない場合には、回転部材は回転していないと判定するとともに、回転角度値を取得せずに抵抗力を付与しないように抵抗付与部を制御するように構成されている。このように構成すれば、ふらつきがある状態(回転部材が回転していないと判定された場合)において回転部材に不要な抵抗が付与されるのを抑制することができるので、ユーザの操作感を向上することができる。
上記第1の局面による回転入力装置において、好ましくは、制御部は、回転部材の回転状態を認識可能に構成されており、回転部材の回転状態を保存する記憶部をさらに備える。このように構成すれば、回転部材の回転状態を記憶部に複数保存することができるので、記憶部に保存された複数の回転部材の回転状態に基づいて、回転部材の回転方向が複数回連続で同一の所定方向であるか否かを容易に判断することができる。
上記第1の局面による回転入力装置において、好ましくは、制御部は、角度検出部により所定の時間間隔毎に回転部材の回転角度を検出するように構成されており、所定の時間間隔毎に検出された過去複数回の回転部材の回転角度の平均値を算出して回転角度値とするように構成されている。このように構成すれば、ノイズなどにより実際の回転角度と大きく異なる回転部材の回転角度が検出された場合でも、過去複数回の回転部材の回転角度の平均値を算出することにより、ノイズによる異常数値の影響を小さくすることができる。これにより、より適切なタイミングで抵抗付与部を制御することができる。
この場合において、好ましくは、制御部は、過去複数回の回転部材の回転角度の平均値からなる回転角度値に基づいて、回転部材の回転状態を判定するように構成されている。このように構成すれば、ノイズによる異常数値の影響を小さくした平均値からなる回転角度値に基づいて回転部材の回転状態を判定することにより、回転部材の回転状態が誤って判定されるのを抑制することができる。
上記第1の局面による回転入力装置において、好ましくは、回転部材が同一の方向に回転されている場合に、取得されうる回転角度値範囲のうち、抵抗付与部が回転方向の力に抗する抵抗力を回転部材に付与する第1回転角度値範囲と、第1回転角度値範囲以外の抵抗力を回転部材に付与しない第2回転角度値範囲とが交互に繰り返されるように予め設定されており、制御部は、取得した回転角度値が第1回転角度値範囲内の場合には、回転方向の力に抗する抵抗力を回転部材に付与するように抵抗付与部を制御するように構成されているとともに、取得した回転角度値が第2回転角度値範囲内の場合には、回転方向の力に抗する抵抗力を回転部材に付与しないように抵抗付与部を制御するように構成されている。このように構成すれば、ユーザが回転部材を回転させる際に、回転部材の回転に伴って断続的に抵抗力が付与されるので、ユーザの回転部材の操作感を向上させることができる。
上記第1の局面による回転入力装置において、好ましくは、抵抗付与部は、励磁コイルを含み、回転部材は、磁性材料からなるとともに、励磁コイルに通電された場合に、励磁コイルによる電磁力により吸引されることにより回転方向の力に抗する抵抗力が付与されてユーザに触感が付与されるように構成されている。このように構成すれば、励磁コイルと磁性材料からなる回転部材とにより、容易に、回転方向の力に抗する抵抗力を回転部材に付与することができる。
この発明の第2の局面による電子機器は、ユーザによる操作により回転可能な回転部材と、回転部材が回転した際の回転角度を検出する角度検出部と、ユーザによる操作により回転部材が回転された際に、回転部材に回転方向の力に抗する抵抗力を付与することによりユーザに触感を付与する抵抗付与部と、角度検出部により検出された過去複数回の回転部材の回転角度の平均値を算出するとともに、算出された平均値に基づいて、回転部材の回転方向が所定の複数回連続で同一の所定方向であると判断した場合に、回転部材が所定方向に回転していると判定するとともに、角度検出部の検出結果に基づく回転角度値を取得し、取得した回転角度値に基づいて、抵抗付与部を制御する制御部とを備える。
この第2の局面による電子機器では、上記のように、回転部材の回転方向が所定の複数回連続で同一の所定方向であると判断した場合に、回転部材が所定方向に回転していると判定するとともに、角度検出部の検出結果に基づく回転角度値を取得し、取得した回転角度値に基づいて、抵抗付与部を制御することによって、回転部材の回転方向が所定の複数回連続で同一の所定方向であるか否かを判断することにより、たとえば、ユーザが回転部材に触れた際などに回転部材の回転方向がふらつくことに起因して、回転部材の回転方向が所定方向に回転していると誤判定してしまうのを抑制することができる。これにより、回転部材がふらついた状態の回転角度(検出結果)に基づく回転角度値を取得してしまうのを抑制することができるので、回転部材がふらついた場合に回転部材に抵抗が付与されるのを抑制することができる。その結果、ユーザが回転させる回転部材に抵抗を付与することによりユーザに触感を付与する構成において、違和感のない操作感をユーザに与えることができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態による携帯電話機1の構成について説明する。
図1および図2に示すように、携帯電話機1は、携帯電話機本体10(図1参照)と、表示部20と、回転入力装置30と、ボタン入力部50と、携帯電話機1の制御を司るメイン制御部60(図2参照)とにより構成されている。なお、携帯電話機1は、本発明の「電子機器」の一例である。表示部20、回転入力装置30およびボタン入力部50は、図2に示すように、メイン制御部60と電気的に接続されている。
回転入力装置30は、ユーザにより回転および押圧操作することが可能なように構成されており、ユーザの操作に伴って所定のパラメータを入力することが可能なように構成されている。具体的には、図3に示すように、回転入力装置30は、ユーザによって入力操作が行われる回転部材31と、回転部材31の下部側に設けられ、回転部材31を回転可能に支持する支持台32とを含んでいる。図4および図5に示すように、回転部材31と支持台32との間には空間が形成されており、この空間には複数の部材が配置されている。また、支持台32の下部側には、検知部33が搭載される感圧センサ34が配置されている。なお、支持台32は、本発明の「抵抗付与部」の一例である。
なお、ユーザによる回転部材31の入力操作には、回転部材31を回転させる回転操作と、回転部材31を回転軸の軸方向(上下方向)に押圧する押圧操作とが含まれる。
回転部材31は、鉄を含む磁性材料からなる。また、回転部材31は、中央に開口部31aを有する円板形状に形成されており、支持台32の上側開口を覆う位置に設けられている。回転部材31の上面は、ユーザが回転操作や押圧操作といった入力操作を行う操作面を構成する。回転部材31の上面には、ユーザが入力操作を行う際の滑り止め等として機能する突起31bが形成されている。また、回転部材31の下面側には、図5に示すように、後述する摺動部材37やロータ(回転子)38aが収容保持される溝部31cが形成されている。
支持台32は、鉄を含む磁性材料からなる。また、支持台32は、図4および図5に示すように、中央に開口を有する円板形状の底板部32aと、底板部32aの縁部から上方に向かって突出する側壁部32bと、底板部32aの上面側中央から上方に向かって突出するように形成され、底板部32aの開口と連通する開口(雄ネジが内面に形成されたネジ穴)を有する円筒部32cとにより構成されている。側壁部32bには、図4に示すように、側壁部32bの上部を一部切り欠くように溝部32dが形成されている。また、側壁部32bには、後述する励磁コイル39のケーブル部39bを外部に引き出すための開口部32eが形成されている。
また、回転部材31の開口部31a内には、図4および図5に示すように、ワッシャ35が配置されている。このワッシャ35の貫通孔35aには、回転部材31の回転軸となるネジ36が挿入されている。このネジ36は、支持台32の円筒部32cの内部に形成されている雌ネジに螺合されることによって、ワッシャ35および回転部材31をネジ36を中心に回転可能に支持台32に固定する機能を有する。
また、回転部材31の下面には、円環形状の摺動部材37が取り付けられている。この摺動部材37の外周部分は、回転部材31の溝部31cの内径と略同一の外径になるように構成されている。また、摺動部材37は、図5に示すように、摺動部材37の中心と回転部材31の中心とが一致するように、回転部材31の下面に設けられた溝部31cに収容されている。また、摺動部材37は、回転部材31に固着されており、回転部材31と共に回転するように構成されている。
また、回転部材31の下面には、静電式エンコーダ38のロータ(回転子)38aが配置されている。静電式エンコーダ38は、ロータ(回転子)38aと、ロータ(回転子)38aが回転部材31と共に回転された際のロータ(回転子)38aの回転位置を検知するステータ(固定子)38bと、ステータ(固定子)38bにより検知された検知信号(検出値)を外部(制御部42)に送信するためのケーブル部38cとにより主に構成されている。なお、静電式エンコーダ38は、本発明の「角度検出部」および「静電容量式角度検出部」の一例である。ロータ(回転子)38aは、フレキシブルプリント基板(FPC)からなり、内部に円形状の電極部38dを有している。ロータ(回転子)38aの電極部38dは、ロータ(回転子)38aの中央部に対して偏心するように配置されている。これにより、ロータ(回転子)38aが回転する際に、ロータ(回転子)38aの電極部38dとステータ(固定子)38bの後述する4つの電極部38eとの間の距離がロータ(回転子)38aの回転角度に応じて変化されて静電容量が変化される。また、ロータ(回転子)38aは、摺動部材37の内周部の内側部分に収容されており、回転部材31の下面に固着されている。これにより、ロータ(回転子)38aは、回転部材31と共に回転するように構成されている。なお、ステータ(固定子)38bおよびケーブル部38cの構成については、後に詳細に説明する。
また、支持台32には、円板形状の励磁コイル39が配置されている。なお、励磁コイル39は、本発明の「抵抗付与部」の一例である。励磁コイル39は、コイル部39aと、コイル部39aから延出するケーブル部39b(図4参照)とにより主に構成されている。励磁コイル39は、コイル部39aの中心が回転部材31の中心と一致するように配置された状態で、両面テープ40により支持台32の底板部32aの上面に固定されている。また、コイル部39aによって発生される磁束によって支持台32を磁化させることが可能となるので、コイル部39aが通電された場合に、回転部材31を支持台32に吸着することが可能となる。この回転部材31を支持台32に吸着させた場合に、回転部材31に固着された摺動部材37が支持台32の側壁部32bの上面に押圧されるので、回転部材31の回転方向の力に抗する抵抗力を付与することが可能である。また、励磁コイル39のケーブル部39bは、図4に示すように、支持台32の側壁部32bに設けられた開口部32eを介して外部に導出されており、後述する制御部42による通電制御によって所定のタイミングでコイル部39aへ通電可能に構成されている。
また、励磁コイル39の上部には、図4および図5に示すように、静電式エンコーダ38のステータ(固定子)38bが配置されている。また、静電式エンコーダ38のステータ(固定子)38bは、ステータ(固定子)38bの中心が回転部材31の中心と一致するように配置された状態で、両面テープ41により励磁コイル39の上部に固定されている。また、ステータ(固定子)38bは、円板形状を有しており、ロータ(回転子)38aと対向するように配置されている。また、ステータ(固定子)38bは、FPCからなり、内部に4つの電極部38eを有している。また、ケーブル部38cは、図4に示すように、支持台32の溝部32dを介して外部に導出されており、ステータ(固定子)38bの電極部38eにより検出された信号を外部(制御部42)に送信可能に構成されている。
また、本実施形態では、静電式エンコーダ38は、256(0〜255の整数値)の分解能で回転部材31の回転位置(回転角度)を検知可能に構成されている。つまり、静電式エンコーダ38は、回転部材31(ロータ(回転子)38a)が1回転(360度)された場合における360度を256分割した約1.4度間隔で回転位置を検知することが可能である。なお、静電式エンコーダ38は、256段階の回転位置のそれぞれに対応する互いに異なる検出値を取得することが可能に構成されている。これにより、静電式エンコーダ38は、回転部材31の回転位置を相対的な角度変化ではなく、絶対的な回転角度として検出することが可能である。
また、支持台32の下側には、図4および図5に示すように、感圧センサ34が配置されている。感圧センサ34は、ユーザが回転部材31をネジ36の軸方向(下方)に押圧した際の圧力を検知するために設けられている。具体的には、感圧センサ34は、検知部33が配置された感圧センサ部34aと、感圧センサ部34aにより検知された信号を外部に送信するためのケーブル部34bとにより主に構成されている。感圧センサ部34aは、円板形状を有しており、支持台32の底板部32aの下部に取り付けられている。また、検知部33は、感圧センサ部34aの上部に4つ配置され、4つの検知部33は、回転部材31の回転中心軸を中心として約90度間隔で取り付けられている。また、ケーブル部34bは、図4に示すように、検知部33に電力を供給するとともに、検知部33から出力される信号を外部(制御部42)へ送信するために設けられている。また、検知部33は、支持台32の下面に設けられた脚部32f(図5参照)の位置に対応する位置に配置されている。
また、感圧センサ34、励磁コイル39および静電式エンコーダ38のステータ(固定子)38bは、図2に示すように、回転入力装置30の制御部42と接続されている。また、制御部42には、RAM43およびROM44が接続されている。なお、RAM43は、本発明の「記憶部」の一例である。制御部42は、携帯電話機1の制御を司るメイン制御部60とは異なり、ユーザの回転入力装置30の操作に対して操作触感を付与するための制御を行うなど、回転入力装置30を主に制御する機能を有する。
具体的には、本実施形態では、制御部42は、静電式エンコーダ38のステータ(固定子)38bから出力される回転部材31の回転位置の検知信号によって、回転部材31が一方方向に回転しているか否かを判定するとともに、回転部材31が一方方向に回転していると判定した場合に、回転角度値(角度カウンタ)を取得するように構成されている。そして、制御部42は、取得した回転角度値に基づいて、ユーザに回転操作に対する触感を付与すべく励磁コイル39への通電を制御するように構成されている。すなわち、この回転入力装置30では、360度を256分割(0〜255)した回転角度値のうち0(0度)、4(約5.6度)、8(約11.2度)・・・248(約348.8度)、252(約354.4度)と対応する回転角度値に対応する抵抗付与範囲と、抵抗付与範囲以外の回転角度値に対応する抵抗不付与範囲とが予めプログラムに設定されている。そして、制御部42は、回転角度値を取得した結果、その回転角度値が抵抗付与範囲に対応する回転角度値である場合には、励磁コイル39に通電を行うように構成されているとともに、回転角度値が抵抗不付与範囲に対応する回転角度値である場合には、励磁コイル39に対して通電を行わないように構成されている。なお、回転角度値は、静電式エンコーダ38により検出された回転位置(回転角度)の移動平均値に基づいて取得され、初回の取得時を0とし、次回以降の取得の値は初回値に対する相対的な値となる。また、回転部材31が一方方向に回転していると判定されるまで、回転角度値は取得されない。
また、制御部42は、ユーザによる回転部材31の略軸方向(上下方向)への押圧操作を検知部33により検知するとともに、検知した信号に基づいて、ユーザに押圧した触感(クリック感)を付与すべく励磁コイル39への通電を制御するように構成されている。
また、本実施形態では、制御部42は、所定の時間間隔(たとえば、7msec間隔)で静電式エンコーダ38から回転部材31(ロータ(回転子)38a)の回転位置の検出値を取得するように構成されている。この所定の時間(7msec)間隔は、ユーザが回転部材31を1秒間に約半周回転する際に、静電式エンコーダ38のノイズによる検出値のばらつきの影響を最も小さくすることが可能な時間間隔である。この時間間隔について図6を参照して詳細に説明する。図6の横軸はロータ(回転子)38aを回転した際の実際の回転角度を表わしており、図6の縦軸は静電式エンコーダ38が検出したロータ(回転子)38aの回転位置の検出値を表わしている。静電式エンコーダ38が検出した検出値が実際の回転角度と一致する場合(ノイズがない場合)には、静電式エンコーダ38が検出した検出値は図6の単調比例増加する破線上に位置する。ここで、1.75msec間隔で静電式エンコーダ38の検出値をプロットした場合には、ノイズによる検出値のばらつきが大きく、検出値のプロットが図6の破線から離れた位置に位置する場合が多い。このため、本実施形態では、7msec間隔で静電式エンコーダ38の検出値を取得するようにした。
なお、ユーザが回転部材31を1秒間に約1回転する場合には、7/2=3.5msec間隔で静電式エンコーダ38から検出値を取得することにより、静電式エンコーダ38のノイズによる検出値のばらつきの影響を最も小さくすることが可能となる。また、ユーザが回転部材31を1秒間に約1.5回転する場合には、7/3=約2.33msec間隔で静電式エンコーダ38から検出値を取得することにより、静電式エンコーダ38のノイズによる検出値のばらつきの影響を最も小さくすることが可能となる。すなわち、ユーザが回転部材31を速く回転した場合には、制御部42は、その回転速度に応じて検出値(検知信号)を短い時間間隔で取得することが好ましい。
また、本実施形態では、図2に示すように、RAM43は、制御部42により判定された回転部材31の回転方向および静電式エンコーダ38から出力された信号に基づいた検出角度(検出値)などを一時的に記憶する機能を有する。また、ROM44は、回転角度値を取得する際の制御部42の制御実行プログラムなどを格納する機能を有する。
次に、図1、図2および図7を参照して、本実施形態による携帯電話機1の制御部42の制御フローについて説明する。
まず、図7に示すように、ステップS1において、制御部42(図2参照)により、7msec間隔で静電式エンコーダ38において検出される回転部材31の回転角度(検出値)が取得される。なお、回転部材31の回転角度の検出は常に行われている。この際、7msec毎に取得した検出値(angle0、angle1、angle2・・・)がRAM43に一時的に時系列的に格納される。そして、ステップS2において、検出値を5個以上取得しているか否かが判断される。具体的には、RAM43に検出値が5つ以上格納されているか否かが判断される。そして、ステップS2において、検出値を5個以上取得していないと判断された場合には、ステップS1に戻る。また、ステップS2において、検出値を5個以上取得していると判断された場合には、ステップS3に進む。
その後、ステップS3において、RAM43に格納されている最新の過去5つ分の検出値に基づいて、過去5つ分の検出値の平均値が算出される。具体的には、最新の過去5つ分の検出値の和を5で除することにより、移動平均値(ave1、ave2・・・)が算出される。そして、算出された移動平均値がRAM43に一時的に格納される。なお、この説明では、検出値(angle0〜angle4)の平均値は移動平均値(ave1)、検出値(angle1〜angle5)の平均値は移動平均値(ave2)、検出値(angle2〜angle6)の平均値は移動平均値(ave3)として説明する。1つ目の移動平均値(ave1)を取得した後新たに回転部材31の回転角度が検出される毎(7msec毎)に、最新の5つの検出値に基づいて移動平均値が算出される。
その後、ステップS4において、移動平均値の算出を2回以上行ったか否かが判断される。具体的には、RAM43に移動平均値が2つ以上格納されているか否かが判断される。そして、ステップS4において、移動平均値の算出を2回以上行っていないと判断された場合には、ステップS1に戻る。また、ステップS4において、移動平均値の算出を2回以上行っていると判断された場合には、ステップS5に進む。
その後、ステップS5において、RAM43に格納されている過去最新の2つの移動平均値に基づいて、静電式エンコーダ38のロータ(回転子)38a(回転部材31)の回転状態の判定が行われる。具体的には、前回の移動平均値に対して今回の移動平均値が大きい場合(たとえば、前回の移動平均値「5」に対して今回の移動平均値「7」の場合)には、静電式エンコーダ38のロータ(回転子)38a(回転部材31)が右方向(時計回り)に回転していると判定される。その一方で、前回の移動平均値に対して今回の移動平均値が小さい場合(たとえば、前回の移動平均値「111」に対して今回の移動平均値「108」の場合)には、静電式エンコーダ38のロータ(回転子)38a(回転部材31)が左方向(反時計回り)に回転していると判定される。また、前回の移動平均値と今回の移動平均値とが同一である場合(たとえば、前回の移動平均値「255」に対して今回の移動平均値「255」の場合)には、静電式エンコーダ38のロータ(回転子)38a(回転部材31)が停止していると判定される。この際、ステップS5において、判定結果は、RAM43に一時的に格納される。なお、静電式エンコーダ38のロータ(回転子)38a(回転部材31)が右方向の回転の場合には「R」、静電式エンコーダ38のロータ(回転子)38a(回転部材31)が左方向の回転の場合には「L」、静電式エンコーダ38のロータ(回転子)38a(回転部材31)が停止している場合には「S」として、RAM43に判定結果が格納される。この状態の判定も、新たに移動平均値が取得される毎(7msec毎)に行われる。
その後、ステップS6において、RAM43に格納されている過去3つの静電式エンコーダ38のロータ(回転子)38a(回転部材31)の回転状態の判定結果に基づいて、静電式エンコーダ38のロータ(回転子)38a(回転部材31)が回転しているか否かが判断される。具体的には、回転状態の判定結果が3回連続で「R」または「L」であるか否かが判断される。つまり、回転状態の判定結果が「R」および「L」が交互に繰り返されるような場合には、ユーザが回転部材31を回転しているのではなく、ユーザが回転部材31に指を触れた際の「ふらつき」や「ぶれ」であると判断される。そして、ステップS6において、静電式エンコーダ38のロータ(回転子)38a(回転部材31)が回転していないと判断された場合には、ステップS7において、回転角度値(角度カウンタ)が取得されることなく、ステップS1に戻る。また、ステップS6において、静電式エンコーダ38のロータ(回転子)38a(回転部材31)が回転していると判断された場合には、ステップS8に進む。
そして、ステップS8において、上記ステップS3において算出した移動平均値に基づいて、回転角度値(角度カウンタ)が取得される。具体的には、直前に算出された最新の移動平均値が回転角度値として取得される。なお、算出された移動平均値が小数点を含む場合には、移動平均値を四捨五入した整数値が回転角度値となる。
その後、ステップS9において、取得された回転角度値が抵抗付与範囲(0、4、8・・・248、252)に対応するか否かが判断される。そして、ステップS9において、取得された回転角度値が抵抗付与範囲に対応すると判断された場合には、ステップS10に進む。そして、ステップS10において、励磁コイル39が通電された後に、回転部材31が回転された際の励磁コイル39に対する制御フローが終了する。また、ステップS9において、取得された回転角度値が抵抗付与範囲に対応しない(抵抗不付与範囲に対応する)と判断された場合には、ステップS11に進む。そして、ステップS11において、励磁コイル39の通電を行うことなく、回転部材31が回転された際の励磁コイル39に対する制御フローが終了する。
本実施形態では、上記のように、回転部材31の回転方向が3回連続で同一の所定方向であると判断した場合に、回転部材31が所定方向に回転していると判定するとともに、静電式エンコーダ38の検出結果に基づく回転角度値を取得し、取得した回転角度値に基づいて、励磁コイル39を制御することによって、回転部材31の回転方向が3回連続で同一の所定方向であるか否かを判断することにより、たとえば、ユーザが回転部材31に触れた際などに回転部材31の回転方向がふらつくことに起因して、回転部材31の回転方向が所定方向に回転していると誤判定してしまうのを抑制することができる。これにより、回転部材31がふらついた状態の回転角度(検出結果)に基づく回転角度値を取得してしまうのを抑制することができるので、回転部材31がふらついた場合に回転部材31に抵抗が付与されるのを抑制することができる。その結果、ユーザが回転させる回転部材31に抵抗を付与することによりユーザに触感を付与する構成において、違和感のない操作感をユーザに与えることができる。
また、本実施形態では、上記のように、回転部材31の回転方向が同一の所定方向であると判断した回数が連続して3回に達しない場合には、回転部材31は回転していないと判定するとともに、回転角度値を取得せずに抵抗力を付与しないように励磁コイル39の制御を行うことによって、ふらつきがある状態(回転部材31が回転していないと判定された場合)において回転部材31に不要な抵抗が付与されるのを抑制することができるので、ユーザの操作感を向上することができる。
また、本実施形態では、上記のように、回転部材31の回転状態を保存するRAM43を設けることによって、回転部材31の回転状態をRAM43に複数分保存することができるので、RAM43に保存された複数の回転部材31の回転状態に基づいて、回転部材31の回転方向が同一の所定方向であるか否かを容易に判断することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部42を、静電式エンコーダ38により所定の時間間隔(7msec)毎に回転部材31の回転角度(検出値)を検出するように構成されており、所定の時間間隔毎に検出された過去5回の回転部材31の回転角度(検出値)の平均値(移動平均値)を算出して回転角度値とするように構成することによって、ノイズなどにより実際の回転角度と大きく異なる回転部材31の回転角度(検出値)が検出された場合でも、過去5回の回転部材31の移動平均値を算出することにより、ノイズなどによる異常数値の影響を小さくすることができる。これにより、より適切なタイミングで励磁コイル39を制御することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部42を、過去5回の回転部材31の移動平均値からなる回転角度値に基づいて、回転部材31の回転状態を判定するように構成することによって、ノイズによる異常数値の影響を小さくした平均値からなる回転角度値に基づいて回転部材31の回転状態を判定することにより、回転部材31の回転状態が誤って判定されるのを抑制することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本発明の電子機器の一例としての携帯電話機に本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限らない。電子機器であれば、たとえば、携帯型音楽プレーヤー、リモートコントローラおよびカーナビゲーション装置などの携帯電話機以外の他の電子機器に適用してもよい。
また、上記実施形態では、回転部材の回転方向が3回連続で同一の所定方向であると判断した場合に、回転部材が所定方向に回転していると判定する例について示したが、本発明はこれに限られない。複数回連続であれば、2回または4回以上連続で同一の所定方向であると判断した場合に、回転部材が所定方向に回転していると判定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、回転部材が回転した際の回転角度(検出値)を静電式エンコーダにより取得した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、回転部材が回転した際の回転角度(検出値)を光により検出可能な光学式エンコーダなど、静電式エンコーダ以外の検出装置により回転角度(検出値)を取得するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、静電式エンコーダの検出角度(検出値)の取得を7msec間隔で行う例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ユーザが回転部材を回転する回転速度に適した時間間隔で検出角度(検出値)の取得を行うように検出時間間隔を設定可能にするなど、検出角度を行う時間間隔を変更することが可能なようにしてもよい。
また、上記実施形態では、過去5つ分の検出角度より移動平均値を算出した例について示したが、本発明はこれに限られない。過去複数回分であれば、過去2〜4つ分、または、過去6つ分以上の検出角度より移動平均値を算出するようにしてもよい。