JP5315212B2 - 回転角度センサ異常検出装置、モータ制御システム、電動パワーステアリング - Google Patents

回転角度センサ異常検出装置、モータ制御システム、電動パワーステアリング Download PDF

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Description

本発明は、回転角度センサの異常を検出する装置と、この装置を有するモータ制御システムおよび電動パワーステアリングとに関する。
サーボ制御系では回転角を検出しフィードバック制御を実施するために回転角度センサが必要である。またブラシレスモータ制御においてはモータの回転角に応じてモータのコイルに電流を通電させる必要があるために、サーボ制御系に限らず回転角度センサが必要である。回転角度センサとして従来からレゾルバが、その単純な構成に起因する堅牢さ、耐環境性から広く用いられている。
また電動パワーステアリング、x-by-wire特にsteer-by-wire、fly-by-wireなどに適用するサーボ制御系では安全性、信頼性が要求されるために、故障検出機能が要求される。たとえば特許文献1には、sin2θ+cos2θ=1というレゾルバの出力である三角関数の性質を利用してレゾルバの故障を検出することが記載されている。また特許文献2には、判定域を正多角形として演算を簡略化することが記載されている。さらに特許文献3には、レゾルバの代わりに巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)などの磁気抵抗素子を用いて回転角度を検出することが記載されている。
特開平9−280890号公報 特開2005−308634号公報 特開2005−49097号公報
上記特許文献1、2に開示される従来技術によれば、レゾルバからのあるいはレゾルバへの信号が断線すると、レゾルバからの信号が異常となりsinθ、cosθの間の関係が成立しなくなるためsin2θ+cos2θの値が1よりはずれるため故障として検出しマイクロコンピュータに通知することが可能となる。
以上述べた従来技術では、異常の検出だけでなくさらにその異常が実際のシステムの動作に及ぼす影響の重軽の判断という面で更なる考慮が望ましい。システムの動作に重大な影響を及ぼす故障であるかどうかの判断は、安全性を確保しながらシステムをすぐには動作停止にせずにシステムの可用性(availability)を高める上で重要である。特に、車重の大きな自動車に適用される電動パワーステアリングでは、制御異常により危険な事象が発生しない限りモータによるアシストを継続することは、安全確保の見地から望ましいことである。しかし、上記従来技術によれば、このような判断を行っていないため、制御を継続した方が好ましい状況であっても故障と判断されてしまい、制御を停止してしまうことがある。特に、特許文献3に開示される従来技術では、たとえば磁気抵抗素子において制御に影響がない程度の僅かな焼損が発生した場合であっても、制御を停止してしまうおそれがある。
そこで本発明では、レゾルバや磁気抵抗素子の異常検出に留まらず、そのシステムに及ぼす影響が重大か否かを判断してシステムの可用性を高める技術を提供することを目的とする。
本発明による回転角度センサ異常検出装置は、回転軸が回転することにより生じる磁界変化を検出し、前記回転軸の回転角の正弦に応じた正弦信号と、前記回転軸の回転角の余弦に応じた余弦信号とを出力する磁界センサと、前記磁界センサより出力される前記正弦信号および前記余弦信号のリサージュ波形に基づいて、前記磁界センサの異常を検出する異常検出手段とを備えた回転角度センサ異常検出装置であって、前記異常検出手段は、前記リサージュ波形の振幅と、前記リサージュ波形が通過する象限とに基づいて、前記磁界センサの異常の有無を検出する際に、前記リサージュ波形の振幅が所定の第1の検出域内にあり、かつ所定時間内に前記リサージュ波形が通過しない象限がある場合に、前記磁界センサの異常を検出することを特徴とする。
本発明によるモータ制御システムは、上記の回転角度センサ異常検出装置と、前記回転軸と連結されたモータと、前記回転軸に設置された磁石と、前記モータを駆動するモータ駆動回路と、前記回転角の検出結果に基づいて前記モータ駆動回路による前記モータの駆動を制御するモータ駆動制御回路とを備え、前記回転角度センサ異常検出装置が有する前記磁界センサは、前記回転軸の回転に従って前記磁石の回転位置が変化することにより生じる磁界変化を検出し、前記異常検出手段により前記磁界センサの異常が検出されると、その検出結果に応じて前記モータの駆動を禁止することを特徴とする。
本発明による電動パワーステアリングは、上記の回転角度センサ異常検出装置と、前記回転軸と連結されたモータと、前記回転軸に設置された磁石と、前記モータを駆動するモータ駆動回路と、前記モータとコラムシャフトを介して機械的に接続される車輪の舵取り機構と、前記コラムシャフトと機械的に接続されるステアリングホイールと、前記ステアリングホイールを介して入力される操作を検出するトルクセンサと、前記トルクセンサによる前記操作の検出結果と前記回転角の検出結果とに基づいて、前記モータ駆動回路による前記モータの駆動を制御するモータ駆動制御回路とを備え、前記回転角度センサ異常検出装置が有する前記磁界センサは、前記回転軸の回転に従って前記磁石の回転位置が変化することにより生じる磁界変化を検出し、前記異常検出手段により前記磁界センサの異常が検出されると、その検出結果に応じて前記モータの駆動を禁止することを特徴とする。
以上述べたように本発明によれば、安全性を確保しながらシステムの可用性を高めることが可能となる。
本発明の一実施形態によるレゾルバ異常検出装置の基本的構成例を示す図である。 本発明の一実施形態によるリサージュ軌跡振幅判定の処理内容を説明するための図である。 リサージュ軌跡象限判定の検出原理を説明するための図である。 本発明の一実施形態によるリサージュ軌跡象限判定の処理内容を説明するための図である。 本発明の第2の実施の形態によるリサージュ軌跡振幅判定の処理内容を説明するための図である。 本発明の第3の実施の形態によるレゾルバ異常検出装置の基本的構成例を示す図である。 本発明の第3の実施の形態によるリサージュ軌跡振幅判定の処理内容を説明するための図である。 本発明によるレゾルバ異常検出装置をモータ制御システムに適用した例を示す図である。 本発明によるレゾルバ異常検出装置を電動パワーステアリングに適用した例を示す図である。 本発明の第4の実施の形態によるリサージュ軌跡象限判定の処理内容を説明するための図である。 リサージュ軌跡が通過した象限ごとの各場合による判定結果をまとめた一覧表である。 本発明の第4の実施の形態によるリサージュ軌跡象限判定の方法を図1に示した装置に適用した場合のレゾルバ異常の判定結果をまとめた一覧表である。 本発明の第4の実施の形態によるリサージュ軌跡象限判定の方法を図6に示した装置に適用した場合のレゾルバ異常の判定結果をまとめた一覧表である。 本発明の第5の実施の形態による回転角度センサ異常検出装置の基本的構成例を示す図である。 本発明の第5の実施の形態による回転角度センサ異常検出装置を適用した回転角度検出装置の構成を示す断面図である。 磁界センサに用いられるGMR素子の基本構成を示す図である。 GMR素子における自由磁性層、スペーサ層および固定磁性層の断面を模式的に示した図である。 磁界センサが有するブリッジ回路の構成を示す図である。 回転角度検出装置の構成を示すブロック図である。 GMR素子において故障が発生したときの様子を模式的に示した図である。 本発明の第5の実施の形態における磁界センサの出力信号によるリサージュ軌跡を示す図である。 信号上限・下限判定回路の一例を示す図である。 本発明による回転角度センサ異常検出装置をモータ制御システムに適用した例を示す図である。 本発明による回転角度センサ異常検出装置を電動パワーステアリングに適用した例を示す図である。
−第1の実施の形態−
本発明の一実施の形態を、本発明の原理とともに、以下に説明する。
(1)レゾルバからの信号の振幅を監視し、sin2θ+cos2θの値が1より外れていないか監視する。
(2)(1)で、sin2θ+cos2θの値が1より外れている場合には、sinθ、cosθをそれぞれ直交座標上に、座標(sinθ,cosθ)をプロットし、所定の時間内に4つの象限すべてに座標(sinθ,cosθ)のプロットが存在する場合には正常、そうでない場合には異常とみなしモータ駆動禁止とする。
レゾルバの異常により起因するシステムへの影響は、モータの磁極位置検出誤差によるトルク変動である。磁極位置検出誤差とトルク変動の関係は次式で示される。
τm=K・iq・cosθe
但し
τm:モータ出力トルク
K:トルク定数
iq:q軸電流
θe:磁極位置検出誤差
この式より、−90°<θe<+90°の範囲内であれば磁極位置検出誤差によりトルク変動が発生しても、制御性、操作性が悪化するに留まることがわかる。さらに、θe<−90°またはθe>+90°となるとcosθeの値が負となり、iqとτmの符号が逆転するため、モータを回転させようとする方向と逆方向に回る状態になることがわかる。フィードバック制御系でこのような状態が発生するとフィードバックの極性が逆転するため、ネガティブフィードバックがポジティブフィードバックとなり制御系が発散してしまうことになる。このような状態が例えば電動パワーステアリング装置で発生すると、勝手にステアリングをまわしてしまうセルフステアなどの現象となる。このような現象は絶対に避けなければならない。
レゾルバが正常なときにはsinθ,cosθ直交座標上での座標(sinθ,cosθ)のプロット、すなわちリサージュ軌跡は図3の軌跡Aのように原点Oを中心とした単位円を描き、レゾルバに故障が発生した場合には軌跡B、軌跡Cのように単位円から外れることが知られている。さらにレゾルバの故障解析の結果、−90°<θe<+90°のときにはリサージュ軌跡の内部に原点Oを含み、θe<−90°またはθe>+90°の場合にはリサージュ軌跡の内部に原点Oを含まないことがわかった。
ここで、原点Oをリサージュ軌跡の内部に含むということはリサージュ軌跡が4象限すべてを通過することになり、原点Oをリサージュ軌跡の内部に含まないことはリサージュ軌跡が4象限の内いずれかの象限を通過しないことになる。
従って、sinθ,cosθ直交座標上に、座標(sinθ,cosθ)をプロットし、所定の時間内に4つの象限すべてに座標(sinθ,cosθ)のプロットが存在する場合には正常、そうでない場合には異常とみなすことができる。但し、電動パワーステアリングの場合、直進時にはθがほぼ一定で、所定の時間内に座標(sinθ,cosθ)のプロットが4つの象限すべてを通過しない場合が起こりうるので、これだけでは異常と判定できず、他の診断、例えば上記(1)の診断と組み合わせて判定すべきである。
以下図に従い、本発明の一実施形態について説明を加える。
図1は本発明の一実施形態によるレゾルバ異常を検出する装置の基本的構成例を示す図である。レゾルバ1は励磁信号生成部2からの励磁信号f(t)が1次巻線に印加すると、レゾルバ1とモータ5に取り付けられた回転軸7の回転角度θに応じて、信号f(t)sinθ、f(t)cosθが2次巻線に誘起される。なお、励磁信号生成部2、モータ5、回転軸7は図1には図示していないが図8、図9に示してある。レゾルバ1の2次巻線に誘起された信号f(t)sinθ、f(t)cosθはA/D変換器11でデジタル信号に変換され、誤り検出機能12に入力される。誤り検出機能12では他の診断129とともにリサージュ軌跡振幅判定121とリサージュ軌跡象限判定122を実行する。リサージュ軌跡振幅判定121で検出域1と判断されかつリサージュ軌跡象限判定122で異常と判定されたときにはモータ駆動禁止と判断される。また、他の診断129で異常と判断された場合もモータ駆動禁止と判断される。
また、誤り検出機能12はマイコン10内でソフトウェアで実現され、A/D変換器11もマイコン10内蔵のものを用いるのがハードウェア量を削減できるので望ましい。
以上述べた装置によれば、システムの動作の安全性に影響を及ぼさないレゾルバの故障と、システムの動作の安全性に影響を及ぼすレゾルバの故障とを区別することができ、システムの動作の安全性に影響を及ぼさないレゾルバの故障の場合には動作継続が可能となり、安全性を確保しながらシステムの可用性を高めることが可能となる。なお、システムの動作の安全性に影響を及ぼさないレゾルバの故障の場合には警告ランプを点灯させたりモータの駆動出力を制限したりすることも可能である。
図2はリサージュ軌跡振幅判定121における処理内容を説明するための図である。
信号f(t)sinθ、f(t)cosθからsinθ,cosθ直交座標上に、座標(sinθ,cosθ)をプロットし、そのプロットが検出域1にかかった場合には異常とみなす。
なお、本実施形態において、検出域1は例えば単位円(f(t)の振幅で正規化すれば単位円となる。本実施例ではf(t)の振幅も含めて半径r0の円としている。)の内外に一定の幅を持たせて設定してある。この一定の幅は、レゾルバや電子回路の個体差や、温度特性、経時劣化を考慮して決定すればよい。なお、図2では、正常時の半径の中心値をr0、上限をr1、下限をr2としている。
図3はリサージュ軌跡象限判定122の検出原理を説明するための図である。レゾルバが正常なときにはsinθ,cosθ直交座標上に座標(sinθ,cosθ)のプロット、すなわちリサージュ軌跡は図3の軌跡Aのように単位円を描き、レゾルバに故障が発生した場合には軌跡B、軌跡Cのように単位円から外れることが知られている。さらにレゾルバの故障解析の結果、−90°<θe<+90°のときにはリサージュ軌跡の内部に原点Oを含み、θe<−90°またはθe>+90°の場合にはリサージュ軌跡の内部に原点Oを含まないことがわかっている。
図4はリサージュ軌跡象限判定122における処理内容を説明するための図である。軌跡AおよびBのように所定の時間内に4つの象限すべてを通過する場合には正常とみなし、軌跡Cのように2つの象限しか通過しない場合には異常とみなす。
なお、各象限にあるかどうかは、以下のようにsinθ、cosθの正負から判断できる。
第1象限: sinθ>0,cosθ>0
第2象限: sinθ<0,cosθ>0
第3象限: sinθ<0,cosθ<0
第4象限: sinθ>0,cosθ<0
また、所定の時間内に4つの象限すべてを通過しているかの判定は、例えば、各象限を通過した時刻を夫々記憶しておき、現在時刻との差が所定の時間以内であるかどうかで判断することができる。
以上説明した第1の実施の形態では、リサージュ軌跡象限判定122において、図4に示す軌跡AおよびBのように所定の時間内にリサージュ軌跡が4つの象限すべてを通過した場合はレゾルバ1が正常であるとみなし、軌跡Cのように2つの象限しか通過しない場合は異常であるとみなすこととした。しかし、車両直進時には限られた範囲の電気角でしか回転軸7が回転しないため、正常であるのに異常であるとする誤判定を引き起こす可能性がある。このような誤判定を避けるため、本実施形態では、リサージュ軌跡振幅判定121とリサージュ軌跡象限判定122とを組み合わせている。
また、レゾルバ1が異常であると判定してモータ5による操舵アシストを停止した後、リサージュ軌跡が4つの象限すべてを通過した場合には、これを正常とみなして操舵アシストを再開するようにしてもよい。このようにすれば、たとえ誤判定により直進時に操舵アシストが停止されても、その後に人力で操舵を行うことにより、電気角で360°分回転軸7を回転させてリサージュ軌跡が4つの象限すべてを通過すれば、操舵アシストが再開される。
−第2の実施の形態−
本実施形態では、図2に示した検出域1に換えて、リサージュ軌跡振幅判定121の検出域を正方形とした場合の例を説明する。図5は本実施形態におけるリサージュ軌跡振幅判定121での処理内容を説明するための図である。本実施形態によれば、sinθ、cosθの絶対値が所定の範囲内にあるかどうかの判定だけで異常を検出することができるので、第1の実施の形態において図3で説明したように検出域を円とする場合よりも演算量を削減することができる。この場合には以下の論理式で判断ができる。
|sinθ|<bかつ|cosθ|<b、
かつ
|sinθ|>aかつ|cosθ|>a
ならば正常、
それ以外ならば異常。
同様にして、他に検出域を正多角形にすることも可能である。
−第3の実施の形態−
本実施形態では、リサージュ軌跡振幅判定121の検出域を検出域1、検出域2と2段階にした場合の例を説明する。図6は本実施形態によるレゾルバ異常を検出する装置の基本的構成例を示す図である。図7は本実施形態におけるリサージュ軌跡振幅判定121での処理内容を説明するための図である。図6ではリサージュ軌跡振幅判定121で検出域2と判定された場合にはリサージュ軌跡象限判定122の結果に関わらずモータ駆動禁止とし、検出域1と判定された場合には、リサージュ軌跡象限判定122でも異常と判定された場合にモータ駆動禁止とする。
検出域2は図7に示すように検出域1よりも振幅の小さな領域(半径r3の円内)に設定されている。本実施形態では、レゾルバからの信号の振幅が小さくなり、S/Nが低下してθe<−90°またはθe>+90°となる場合にモータ駆動禁止を禁止するようにしている。
本実施形態のように検出域を2段階にする方法は、図7に示すようにリサージュ軌跡振幅判定121の検出域を円形とした場合に限らない。第2の実施の形態で説明したようにリサージュ軌跡振幅判定121の検出域を正方形や正多角形とした場合にも同様に適用可能である。
−第4の実施の形態−
本実施形態では、リサージュ軌跡象限判定122における誤判定の確率をより低くする方法を説明する。図10は本実施形態によるリサージュ軌跡象限判定122における処理内容を説明するための図である。ここでは、リサージュ軌跡が4つの象限のうち1つの象限を通過していない場合に、当該象限に隣接する2つの象限の軌跡同士を直線で結ぶことにより、当該象限の軌跡を補間する。そして、補間した分を加えた軌跡が原点を囲むかどうかでレゾルバの正常、異常を判断する。
具体的には、当該象限に隣接する2つの象限の軌跡同士を結んだ直線をy=ax+bと表すと、この直線のy切片を表すbの正負から、補間分を加えた軌跡が原点を囲むかどうかを判断できる。すなわち、隣接する2つの象限の軌跡をそれぞれP1(x1、y1)、P2(x2、y2)とすると、これらを結ぶ直線の傾きaとy切片bは以下の式(1)、(2)によって求められる。
a=(y2−y1)/(x2−x1) (1)
b=(x2y1−x1y2)/(x2−x1) (2)
図11はリサージュ軌跡が通過した象限ごとの各場合による判定結果を一覧表にまとめたものである。この一覧表の最上段に示すCase 1では、リサージュ軌跡が4象限を通過した場合の判定結果を示している。この場合は、リサージュ軌跡を補間することなくレゾルバが正常であると判断できる。
2段目に示すCase 2と3段目に示すCase 3では、第1象限以外の3象限を通過した場合の判定結果を示している。この場合は、第1象限に隣接する第2象限と第4象限の軌跡を結ぶ直線のy切片bがいずれも正である場合(Case 2)にはレゾルバが正常であるとみなし、そうでない場合(Case 3)にはレゾルバが異常であるとみなす。なお、第2象限と第4象限の軌跡がそれぞれ複数ある場合には、より第1象限に近い軌跡を用いた直線のy切片bにより判定を行う。すなわち第2象限では、y座標が最大の軌跡を用いる。なおここで、x座標が最大(絶対値が最小)の軌跡を用いないのは、座標の絶対値が小さい、つまり信号強度が小さいことによる誤差が大きくなるのを防ぐためである。同様にして、第4象限ではx座標が最大の軌跡を用いる。
4段目に示すCase 4と5段目に示すCase 5では、第2象限以外の3象限を通過した場合の判定結果を示している。この場合は、第2象限に隣接する第1象限と第3象限の軌跡を結ぶ直線のy切片bがいずれも正である場合(Case 4)にはレゾルバが正常であるとみなし、そうでない場合(Case 5)にはレゾルバが異常であるとみなす。なお、第1象限と第3象限の軌跡がそれぞれ複数ある場合は、より第2象限に近い軌跡を用いた直線のy切片bにより判定を行う。すなわち第1象限ではy座標が最大の軌跡を用いることとし、第3象限ではx座標が最小(絶対値が最大)の軌跡を用いることとする。
6段目に示すCase 6と7段目に示すCase 7では、第3象限以外の3象限を通過した場合の判定結果を示している。この場合は、第3象限に隣接する第4象限と第2象限の軌跡を結ぶ直線のy切片bがいずれも負である場合(Case 6)にはレゾルバが正常であるとみなし、そうでない場合(Case 7)にはレゾルバが異常であるとみなす。なお、第4象限と第2象限の軌跡がそれぞれ複数ある場合は、より第3象限に近い軌跡を用いた直線のy切片bにより判定を行う。すなわち第4象限ではy座標が最小(絶対値が最大)の軌跡を用いることとし、第2象限ではx座標が最小(絶対値が最大)の軌跡を用いることとする。
8段目に示すCase 8と9段目に示すCase 9では、第4象限以外の3象限を通過した場合の判定結果を示している。この場合は、第4象限に隣接する第3象限と第1象限の軌跡を結ぶ直線のy切片bがいずれも負である場合(Case 8)にはレゾルバが正常であるとみなし、そうでない場合(Case 9)にはレゾルバが異常であるとみなす。なお、第3象限と第1象限の軌跡がそれぞれ複数ある場合は、より第4象限に近い軌跡を用いた直線のy切片bにより判定を行う。すなわち第3象限ではy座標が最小(絶対値が最大)の軌跡を用いることとし、第1象限ではx座標が最大の軌跡を用いることとする。
10段目に示すCase 10では、リサージュ軌跡が4象限のうち2つ以上の象限を通過しなかった場合の判定結果を示している。この場合は、リサージュ軌跡を補間することなくレゾルバが異常であると判断できる。
図12は、以上説明したような本実施形態によるリサージュ軌跡象限判定122の判定方法を図1に示した装置に適用した場合の、リサージュ軌跡振幅判定121とリサージュ軌跡象限判定122の組合せによるレゾルバ異常の判定結果を一覧表にまとめたものである。なお、リサージュ軌跡振幅判定121は、第1または第2の実施の形態で説明したような判定方法を用いて、レゾルバ1が正常であるか異常であるかを判断するものとする。この一覧表の最上段に示すCase 0では、リサージュ軌跡振幅判定121によりリサージュ軌跡が図2または図5に示す検出域1内にないと判定された場合の判定結果を示している。この場合は、リサージュ軌跡象限判定122の判定結果に関わらず、レゾルバが正常であると判断できる。
2段目に示すCase 1から11段目に示すCase 10では、リサージュ軌跡振幅判定121によりリサージュ軌跡が図2または図5に示す検出域1内にあると判定された場合の、リサージュ軌跡が通過した象限ごとの判定結果をそれぞれ示している。ここでは図11で説明したようなリサージュ軌跡象限判定122の判定結果に従って、レゾルバが正常であるか異常であるかが判断される。すなわち、リサージュ軌跡が通過しなかった象限に隣接する2つの象限を結ぶ直線のy切片bの正負に基づいて、レゾルバが正常であるか異常であるかが判断される。
また図13は、本実施形態によるリサージュ軌跡象限判定122の判定方法を図6に示した装置に適用した場合の、リサージュ軌跡振幅判定121とリサージュ軌跡象限判定122の組合せによるレゾルバ異常の判定結果を一覧表にまとめたものである。なお、リサージュ軌跡振幅判定121は、第3の実施の形態で説明したような判定方法を用いて、レゾルバ1が正常であるか異常であるかを判断するものとする。この一覧表の最上段に示すCase 0では、リサージュ軌跡振幅判定121によりリサージュ軌跡が図7に示す検出域1内にないと判定された場合の判定結果を示している。この場合は、図12で説明したのと同様に、リサージュ軌跡象限判定122の判定結果に関わらず、レゾルバが正常であると判断できる。
最下段に示すCase 11では、リサージュ軌跡振幅判定121によりリサージュ軌跡が図7に示す検出域2内にあると判定された場合の判定結果を示している。この場合は、リサージュ軌跡象限判定122の判定結果に関わらず、レゾルバが異常であると判断できる。
2段目に示すCase 1から11段目に示すCase 10では、リサージュ軌跡振幅判定121によりリサージュ軌跡が図7に示す検出域1内にあり、かつ検出域2内にないと判定された場合の、リサージュ軌跡が通過した象限ごとの判定結果をそれぞれ示している。ここでは図12と同様に、図11で説明したようなリサージュ軌跡象限判定122の判定結果に従って、レゾルバが正常であるか異常であるかが判断される。すなわち、リサージュ軌跡が通過しなかった象限に隣接する2つの象限を結ぶ直線のy切片bの正負に基づいて、レゾルバが正常であるか異常であるかが判断される。
図8は、以上説明した第1〜第4の実施の形態によるレゾルバ異常検出装置のいずれかをモータ制御システムに適用した例を示す図である。
マイコン10はモータドライバ4を制御し、モータドライバ4はモータ5を駆動する。モータ5の回転軸7はレゾルバ1と制御対象6に接続されている。レゾルバ1は回転軸7を介してモータ5の回転角度(磁極位置)を検出して、その結果に基づき、マイコン10はモータドライバ4によりモータ5を駆動して制御する。また、モータ5は回転軸7を介して制御対象6を制御する。
誤り検出機能12は、第1〜第4の実施の形態において説明したレゾルバ異常検出方法のいずれかを実行する。誤り検出機能12によりモータ駆動禁止停止になった場合には制御システムはモータ5の駆動を停止する。この場合モータ5の駆動を停止する方法はいくつか考えられるが、モータドライバ4への制御信号を遮断する方法、モータドライバ4への電源供給を停止する方法、モータドライバ4からモータ5への出力を遮断する方法などがある。
図9は、以上説明した第1〜第4の実施の形態によるレゾルバ異常検出装置のいずれかを電動パワーステアリングに適用した例を示す図である。
モータ5は、減速ギア、コラムシャフト、ピニオン、ラックを介して、制御対象6として作用する車輪の舵取り機構に機械的に接続されている。この舵取り機構において、コラムシャフトはステアリングホイール8、トルクセンサ9に機械的に接続されている。ステアリングホイール8を介しての運転者からの操作入力はトルクセンサ9によって検出され、トルクセンサ9の検出信号はマイコン10に入力され、マイコン10はトルクセンサ9によって検出された運転者の操作トルク(操舵力)に応じてモータ5の出力トルクを制御することにより、運転者の操舵を補助する。
−第5の実施の形態−
以上説明した各実施の形態では、レゾルバの診断方法について説明したが、回転角度センサの診断方法に対しても本発明を適用することが可能である。その方法を本発明の第5の実施の形態として以下に説明する。図14は、本実施形態による回転角度センサの異常を検出する装置の基本的構成例を示す図である。本装置は、第1の実施の形態として図1に示した装置におけるレゾルバ1の代わりに、回転軸7の回転に応じて発生する磁界変化を回転角度の変化として検出することで回転角度センサとして作用する磁界センサ201を備えている。この磁界センサ201の異常を検出してモータの駆動を禁止する。
磁界センサ201は、回転軸7(図23、24参照)に設置された磁石による磁界が回転軸7の回転に応じて変化すると、磁気抵抗効果(magnetoresistance, MR)を利用して、その磁界変化を抵抗値の変化として検出する。磁界センサ201は、余弦センサ201Aと正弦センサ201Bにより構成される。余弦センサ201Aは、回転軸7の回転角度θの余弦成分cosθに応じた電圧信号Vc1、Vc2をマイコン10へ出力する。一方、正弦センサ201Bは、回転軸7の回転角度θの正弦成分sinθに応じた電圧信号Vs1、Vs2をマイコン10へ出力する。
マイコン10は、余弦センサ201Aからの電圧信号Vc1、Vc2の差分と、正弦センサ201Bからの電圧信号Vs1、Vs2の差分とを検出する。これらの差分はA/D変換器11でデジタル信号にそれぞれ変換された後、回転角度θの正弦成分sinθと余弦成分cosθの値を算出するのに用いられる。なお、sinθ、cosθの算出方法は後で説明する。誤り検出機能12は、算出されたsinθとcosθの値に基づいて、前述の各実施の形態において説明したいずれかの方法によりリサージュ軌跡振幅判定121とリサージュ軌跡象限判定122を実行すると共に、他の診断129も行う。その結果、リサージュ軌跡振幅判定121で検出域1と判断されかつリサージュ軌跡象限判定122で異常と判定されたときにはモータ駆動禁止と判断される。また、他の診断129で異常と判断された場合もモータ駆動禁止と判断される。
本実施系形態の装置によれば、第1〜第4の実施の形態におけるレゾルバ故障の場合と同様に、システムの動作の安全性に影響を及ぼさない回転角度センサの故障と、システムの動作の安全性に影響を及ぼす回転角度センサの故障とを区別することができる。すなわち、システムの動作の安全性に影響を及ぼさない回転角度センサの故障の場合には動作継続が可能となり、安全性を確保しながらシステムの可用性を高めることが可能となる。なお、システムの動作の安全性に影響を及ぼさない回転角度センサの故障の場合には警告ランプを点灯させたりモータの駆動出力を制限したりすることも可能である。
図15は、上記の回転角度センサ異常検出装置を適用した回転角度検出装置の構成を示す断面図である。この回転角度検出装置は、モータ部100と回転角検出部200とで構成される。
モータ部100は、複数の固定磁極と複数の回転磁極との間の磁気的作用に応じて複数の回転磁極が回転することにより回転トルクを発生するものであって、複数の固定磁極を構成するステータ110、複数の回転磁極を構成するロータ130および筐体から構成される。ステータ110は、ステータコア111と、ステータコア111に装着されたステータコイル112から構成されている。ロータ130は、ステータ110の内周側に空隙を介して対向配置され、回転可能に支持されている。本実施形態では、モータ100として、三相交流式の表面磁石型同期モータを用いている。
モータ部100の筐体は、円筒状のフレーム101と、フレーム101の軸方向の両端部にそれぞれ設けられた第1ブラケット102および第2ブラケット103から構成されている。第1ブラケット102の中空部には軸受106が、第2ブラケット103の中空部には軸受107がそれぞれ設けられている。これらの軸受は回転軸7を回転可能なように支持している。
フレーム101と第1ブラケット102との間には、シール部材(図示せず)が設けられている。シール部材は、環状に設けられたOリングであり、フレーム101と第1ブラケット102によって軸方向及び径方向にそれぞれ圧縮された状態で挟み込まれている。これにより、フレーム101と第1ブラケット102との間を封止でき、フロント側を防水できる。また、フレーム101と第2ブラケット103との間も、同様のシール部材(図示せず)により防水されている。
ステータ110は、ステータコア111と、ステータコア111に装着されたステータコイル112から構成され、フレーム101の内周面に設置されている。ステータコア111は、複数の珪素鋼板を軸方向に積層して形成した磁性体(磁路形成体)であり、円環状のバックコアと、バックコアの内周部から径方向内側に突出して、周方向に等間隔に配置された複数のティースから構成されている。
複数のティースのそれぞれには、ステータコイル112を構成する巻線導体が集中的に巻回されている。複数の巻線導体は、ステータコイル112の一方のコイルエンド部(第2ブラケット103側)の軸方向端部に並置された結線部材によって相毎に電気的に接続され、さらには3相巻線として電気的に接続されている。なお、3相巻線の結線方式にはΔ(デルタ)結線方式とY(スター)結線方式があるが、本実施形態ではΔ(デルタ)結線方式を採用している。
ロータ130は、回転軸7の外周面上に固定されたロータコアと、ロータコアの外周表面に固定された複数のマグネットと、マグネットの外周側に設けられたマグネットカバーとを備えている。マグネットカバーは、マグネットのロータコアからの飛散を防止するためのものであって、ステンレス鋼などの非磁性体から形成された円筒状または管状の形状を有する部材である。
次に、回転角検出部200の構成を説明する。回転角検出部200は、磁界センサ201、センサ磁石202およびハウジング203で構成されている。回転角検出部200はハウジング203と第2ブラケット103とで囲まれた空間に設置されている。センサ磁石202は回転軸7と連動して回転する軸に設置されており、回転軸7が回転位置を変えると、それに応じて発生する磁界方向が変化する。この磁界方向を磁界センサ201で検出することにより回転軸121の回転角(回転位置)を計測できる。
センサ磁石202は、2極に着磁された2極磁石、あるいは4極以上に着磁された多極磁石である。
磁界センサ201は、磁界の方向に応じて出力信号が変化するものであり、磁気抵抗素子を用いて構成される。磁気抵抗素子は、磁界に応じて抵抗値が変化する現象(磁気抵抗効果)を生じる素子である。このような磁気抵抗効果としては、たとえば、異方性磁気抵抗効果(anisotropic magnetoresisitance, AMR)、トンネル磁気抵抗効果(tunneling magnetoresistance, TMR)、巨大磁気抵抗効果(giant magnetoresistance, GMR)などが知られている。本実施形態では、これらのうち巨大磁気抵抗効果を生じる巨大磁気抵抗素子(GMR素子)を磁界センサ201に用いた例を説明する。
磁界センサ201は、予め設定された基準角度を基準として、その設置場所における磁界の方向を検出し、検出結果に応じた信号を出力する。すなわち、回転軸7の回転角度θに対応する信号を出力する。本実施形態で用いた磁界センサ201は、後述するように複数個のGMR素子でそれぞれ構成された2組のブリッジ回路を有している。各ブリッジ回路は、それぞれcosθおよびsinθに比例した信号を出力する。
磁界センサ201はハウジング203に固定されている。ハウジング203は磁束方向に影響を与えないように、その磁化率が所定値以下、たとえばアルミニウムや樹脂などの磁化率が1.1以下の材料で構成するのが好ましい。本実施形態ではアルミニウムで構成した例を説明する。
磁界センサ201は、モータ部100に対してその位置が固定されるように配置する必要がある。これは、回転軸7の回転角が変化してセンサ磁石202の方向が変化したときに、磁界センサ201で磁界方向の変化を検出することで回転軸7の回転角を検出できるようにするためである。本実施形態では、回転軸7の回転軸中心線226上に磁界センサ201が配置されている。このようにすると、センサ磁石202が形成する磁界の歪みを抑えて回転角度の計測精度を向上できるので好ましい。なお、ハウジング203以外の構成要素に磁界センサ201を固定しても構わない。
磁界センサ201にはセンサ配線208が接続されている。センサ配線208により磁界センサ201の出力信号を伝送する。
次に磁界センサ201の構成について説明する。磁界センサ201に用いられるGMR素子の基本構成を図16に示す。GMR素子は、自由磁性層21、スペーサ層22および固定磁性層23が図に示すように重なり合って構成されている。自由磁性層21と固定磁性層23は所定の磁化方向θfとθpにそれぞれ磁化された磁性層であるのに対して、スペーサ層22は磁化されていない非磁性層である。スペーサ層22は、自由磁性層21と固定磁性層23の間に挟みこまれている。GMR素子に外部から磁界を印加すると、固定磁性層23の磁化方向は変化せず固定されたままであるのに対して、自由磁性層21の磁化方向θfは符号20に示すように外部磁界の方向に応じて変化する。なお、固定磁性層23はピン磁性層とも呼ばれる。
GMR素子の両端に電圧を印加すると、所定の素子抵抗に応じた電流が流れる。この素子抵抗の大きさは、固定磁性層23の磁化方向θpと自由磁性層21の磁化方向θfとの差分Δθ=θf−θpに依存して変化する。したがって、固定磁性層23の磁化方向θpが既知であれば、GMR素子の抵抗値を測ることで、この性質を利用して自由磁性層21の磁化方向θf、すなわち外部磁界の方向を検出することができる。
GMR素子の抵抗値がΔθ=θf−θpにより変化するメカニズムを以下に説明する。薄膜状の自由磁性層21と固定磁性層23における磁化方向は、各磁性層に含まれる磁性体中の電子のスピン方向と関連している。したがって、Δθ=0の場合は、自由磁性層21中の電子と固定磁性層23中の電子とでは、スピンの向きが同一方向である電子の割合が高い。逆にΔθ=180°の場合は、両磁性層中の電子では、スピンの向きが互いに逆向きの電子の割合が高い。
図17は上記のGMR素子における自由磁性層21、スペーサ層22および固定磁性層23の断面を模式的に示したものである。自由磁性層21および固定磁性層23中の各矢印は、それぞれの磁性層において多数を占める電子のスピン方向を模式的に示したものである。
図17(a)はΔθ=0の場合であり、自由磁性層21と固定磁性層23のスピンの向きが揃っている。この場合、固定磁性層23から出た右向きスピンの電子は、自由磁性層21中でも同じスピン方向の電子が多数を占めているため、自由磁性層21中での散乱が少ない。その結果、固定磁性層23からの電子は、電子軌跡810のような軌跡を通ってGMR素子内を移動することができる。
一方、図17(b)はΔθ=180°の場合であり、自由磁性層21と固定磁性層23のスピンの向きが逆向きになっている。この場合、固定磁性層23から出た右向きスピンの電子は、自由磁性層21に入ると逆向きスピンの電子が多いため、散乱を強く受ける。その結果、固定磁性層23からの電子は、電子軌跡820のような軌跡を通ってGMR素子内を移動する。このようにΔθ=180°の場合では電子散乱が増えるため、Δθ=0°の場合と比較して電気抵抗が増加する。
Δθが0°と180°の間にある場合は、図17(a)と図17(b)の中間の状態となる。このときの抵抗値は、Δθが0°に近づくほど小さくなり、180°に近づくほど大きくなる。
GMR素子の抵抗値をRとすると、このRの大きさは以下の式(3)によって表される。式(3)において、R’0、R0およびGはいずれも所定の定数である。
Figure 0005315212
(3)
式(3)によって表される抵抗値Rの変化率、すなわちG/R0は、GMR係数と呼ばれる。このGMR係数の大きさが数%〜数10%程度のものが一般的にGMR素子として知られている。
以上説明したように、GMR素子では電子スピンの向きによって電流の流れ方(電気抵抗)を制御できる。このことから、GMR素子はスピンバルブ素子とも呼ばれる。
なお、一般的に膜厚が薄い磁性膜(薄膜磁性膜)では、面の法線方向の反磁界係数が極端に大きいため、磁化ベクトルは法線方向(膜厚方向)に立ち上がることはできず、面内に横たわっている。上記のGMR素子を構成する自由磁性層21と固定磁性層23はいずれも十分薄いため、それぞれの磁化ベクトルは面内方向に横たわっている。
磁界センサ201は、以上説明したようなGMR素子を4個ずつ用いてそれぞれ構成したホイートストン・ブリッジ回路を2組有している。このホイートストン・ブリッジ回路の構成を図18に示す。図18において、左側のブリッジ回路30をCOSブリッジと呼び、右側のブリッジ回路40をSINブリッジと呼ぶ。COSブリッジ30とSINブリッジ40は、図14の余弦センサ201Aと正弦センサ201Bにそれぞれ対応する。
COSブリッジ30は、符号31〜34にそれぞれ示すGMR素子R1〜R4により構成される。素子R1と素子R3の固定磁性層の磁化方向はそれぞれθp=0に設定されており、素子R2と素子R4の固定磁性層の磁化方向はそれぞれθp=180°に設定されている。一方、自由磁性層の磁化方向θfは前述のように外部磁界の方向によって決まるため、外部から磁界が印加されている状態では素子R1〜R4で同一となる。すなわち、回転軸7の回転角度θを外部磁界の方向とすると、素子R1〜R4における自由磁性層の磁化方向はいずれもθf=θと表すことができる。
したがって、素子R1、R3における固定磁性層の磁化方向θpと自由磁性層の磁化方向θfとの差分をΔθ1とし、素子R2、R4における固定磁性層の磁化方向θpと自由磁性層の磁化方向θfとの差分をΔθ2とすると、以下の式(4)の関係が成り立つ。
Δθ1=θf−θp=θ,Δθ2=θf−θp=θ+π (4)
前述の式(3)と式(4)に基づいて、素子R1〜R4の抵抗値は以下の式(5)により表される。
Figure 0005315212
(n=1,3)

Figure 0005315212
(n=2,4) (5)
図18のCOSブリッジ30に励起電圧e0を印加した時の端子V1の電圧Vc1と端子V2の電圧Vc2との差分をΔVc=Vc2−Vc1と表すと、上記の式(5)に基づいてΔVcを以下の式(6)のように表すことができる。
Figure 0005315212
(6)
ここでn=1〜4についてRn0が等しいとすると、前述の式(5)においてRn0=R0と置き換えることができる。すると、式(6)を以下の式(7)のように書き換えることができる。式(7)により、COSブリッジ30から出力される電圧Vc1と電圧Vc2に基づいて、cosθに比例した信号を得られることが分かる。
Figure 0005315212
(7)
一方、SINブリッジ40は、符号41〜44にそれぞれ示すGMR素子R1〜R4により構成される。素子R1と素子R3の固定磁性層の磁化方向はそれぞれθp=90°に設定されており、素子R2と素子R4の固定磁性層の磁化方向はそれぞれθp=270°に設定されている。このSINブリッジ40に励起電圧e0を印加した時の端子V1の電圧Vs1と端子V2の電圧Vs2との差分をΔVs=Vs2−Vs1と表すと、ΔVsを以下の式(8)のように表すことができる。式(8)により、SINブリッジ40から出力される電圧Vs1と電圧Vs2に基づいて、sinθに比例した信号を得られることが分かる。
Figure 0005315212
(8)
式(7)、(8)により、2つのブリッジの出力信号の比をとるとtanθになることが分かる。すなわち、回転角度θは以下の式(9)から求めることができる。
Figure 0005315212
(9)
なお、式(9)では、ΔVcの絶対値が小さくなるとArcTan関数内の分母が小さくなるため、ΔVcの誤差の影響が大きくなり、その結果θの算出精度が悪くなるという問題がある。このような問題に対処するため、ΔVcとΔVsの絶対値の大小関係を判定する。その結果、|ΔVc|が|ΔVs|より大きい場合には、上記式(9)により回転角度θを求めることとする。
一方、|ΔVc|が|ΔVs|より小さい場合には、以下の式(10)を式(9)の代わりに用いて回転角度θを求める。
Figure 0005315212
(10)
以上説明したように、ΔVcとΔVsの絶対値の大小関係に応じて式(9)と(10)を使い分けることで、ΔVcの絶対値が小さくなることによる計算誤差の拡大を防ぐことができる。
また、式(9)ではArcTan関数を用いているため、±90°の範囲でしか回転角度θを求めることができず、0〜360°の全角度範囲にわたって回転角度θを計測することができないという問題がある。このような問題に対処するため、ΔVsとΔVcの符号に基づいて、θが第何象限に入っているかを判定する象限判定を行う。この象限判定の結果と、上記の式(9)と(10)の使い分けとを組み合わせることで、0〜360°の全角度範囲にわたって回転角度θを正しく求めることができる。
図19は磁界センサ201を含む回転角度検出装置の構成を示すブロック図である。回転角度検出装置は、磁界センサ201と、マイコン10、検出回路14Aおよび14B、正極性出力回路15、負極性出力回路16により構成される。
磁界センサ201は、図14で説明したように、上記のCOSブリッジ30とSINブリッジ40を用いてそれぞれ構成される余弦センサ201Aと正弦センサ201Bを有する。これらの各センサには、正極性出力回路15から出力される5Vの直流電圧が前述の励起電圧e0として供給されると共に、負極性出力回路16からのグランド電圧(アース電位)が供給される。これらの供給電圧に基づいて、回転角度θの余弦成分cosθに応じた電圧信号Vc1、Vc2と、回転角度θの正弦成分sinθに応じた電圧信号Vs1、Vs2とが、余弦センサ201Aと正弦センサ201Bから検出回路14A、14Bを介してマイコン10へそれぞれ出力される。なお、磁界センサ201を励起しない期間、すなわち回転角度θを検出しない期間では、正極性出力回路15と負極性出力回路16の出力電圧を等しくしてもよい。
検出回路14Aは、余弦センサ201Aからの電圧信号Vc1、Vc2に基づいて、前述の式(7)で表される差分ΔVcを差動検出する。検出回路14Bは、正弦センサ201Bからの電圧信号Vs1、Vs2に基づいて、前述の式(8)で表される差分ΔVsを差動検出する。こうして検出された差分ΔVc、ΔVsはそれぞれ10倍程度に増幅された後、マイコン10へそれぞれ出力される。マイコン10では、入力された差分ΔVc、ΔVsがA/D変換器11A、11Bによりデジタル信号に変換された後、演算部13に入力される。なお、A/D変換器11A、11Bは図14のA/D変換器11に対応するものである。演算部13は、この差分ΔVc、ΔVsに基づいて、前述のように式(9)、(10)を用いて回転角度θを求める。演算部13において求められた回転角度θは、マイコン10より外部へ出力される。
演算部13はまた、図14の誤り検出機能12に対応する処理も実行する。すなわち、差分ΔVc、ΔVsに基づいて、前述の式(7)、(8)を用いてsinθとcosθの値を求める。そして、求めたsinθとcosθの値に基づいて、前述のようなリサージュ軌跡振幅判定とリサージュ軌跡象限判定を実行することにより、モータの駆動を禁止するか否かを判断する。この判断結果は、回転角度θと同様にマイコン10より外部へ出力される。
次に、磁界センサ201のGMR素子を用いた故障検出の原理を説明する。磁界センサ201を構成するGMR素子は、数nm程度の厚さの薄膜により構成されている。そのため、過大な電流が流れたりするとGMR素子の一部が焼損し、故障を生じる可能性がある。このような故障が起きるとGMR素子において局所的な抵抗増大が生じる。このGMR素子の抵抗増大を検出することで、磁界センサ201の故障検出が行われる。
図20は、磁界センサ201において前述のようなブリッジ回路を構成している4つのGMR素子のうちの1つにおいて故障が発生したときの様子を模式的に示した図である。配線210はGMR素子によって形成された配線パターンであり、その内部を矢印に示す方向に電流が流れる。図20において、(a)は故障が発生していない正常な状態における配線210の様子を示している。一方(b)は、配線210の一部が焼損して符号211に示すように細くなった様子を示している。この焼損部211が高抵抗化することで、GMR素子において局所的な抵抗増大が生じる。
一例として、図18に示したSINブリッジ40のなかのGMR素子R1において焼損が発生した場合を考える。この場合、焼損部211の配線パターンが図20のように細くなって断面積が減少することで、局部的な抵抗値(バルク抵抗値)が上昇する。その結果、GMR素子R1の全体の抵抗値が上昇する。一方、GMR素子R1における磁気抵抗効果は、配線210全体における各層(自由磁性層21、スペーサ層22および固定磁性層23)間の界面における電子の散乱に起因するものである。そのため、焼損部211において前述のように局部的なバルク抵抗値の増加が起きても、磁気抵抗効果による抵抗値の変化量はあまり影響を受けない。すなわち、配線の焼損により増加する抵抗成分は、磁界方向に依存しない成分である。この磁界方向非依存項の増加率をb倍とすると、前述の式(5)から、GMR素子R1の抵抗値は以下の式(11)のように表すことができる。
Figure 0005315212
(11)
この場合のSINブリッジ40における端子V1、V2間の差分ΔVs=Vs2−Vs1は、Rn0=R0とすると、以下の式(12)で表される。
Figure 0005315212
(12)
本実施形態における磁界センサ201の出力信号によるリサージュ軌跡を図21に示す。このリサージュ軌跡は、式(12)により表されるsinθに比例する差分ΔVsと、前述の式(7)により表されるcosθに比例する差分ΔVcとに基づくものである。
図21のリサージュ軌跡から以下の(a)〜(c)のことが分かる。
(a)b<5 の時は、リサージュ波形は原点を含む。すなわち、角度ズレは90度より小さい。
(b)b=5 の時は、リサージュ波形は原点上を通る。
(c)b>5 の時は、リサージュ波形は原点を通らない。すなわち、角度ズレは90度より大きい。
以上の結果を踏まえて、マイコン10では、(ΔVc、ΔVs)のリサージュ軌跡をモニターし、これが原点を含まなくなった場合に、前述のリサージュ軌跡象限判定122において磁界センサ201が異常であると判定する。
なお、以上説明した実施の形態において、差分ΔVc、ΔVsが所定の上限と下限から外れているか否かを検知することにより異常を検出する信号上限・下限判定回路を回転角度検出装置内に設けるようにしてもよい。この信号上限・下限判定回路の一例を図22に示す。この図22に示す回路では、分割抵抗391A〜391Cの各抵抗値に応じて設定される異常検出範囲の上限値および下限値と、磁界センサ201のCOSブリッジ30からの差分出力ΔVc=Vc2−Vc1とを、コンパレータ393A、393Bで比較する。コンパレータ393A、393Bの出力は論理和回路(OR回路)394に入力される。論理和回路394は、ΔVcが上限値または下限値のいずれかを越えた場合に異常検出信号を出力する。これにより、ΔVcがある一定範囲(異常検出範囲)を超えていないかを判定する。
上記の説明ではCOSブリッジ30の出力信号ΔVcについて述べたが、SINブリッジ40の出力信号ΔVsについても同様に判定する。このとき信号ΔVc、ΔVsを増幅してからコンパレータ393A、393Bに入力してもよい。この場合は、上限・下限値を増幅率に応じて適切に設定する。
なお、図22の回路では、たとえば異常検出範囲を、励起電圧e0と各ブリッジ回路のg端子電圧(たとえば0V)との中点電位を中心として±1Vの範囲に設定する。また、励起電圧e0を5Vに、enを−2Vにそれぞれ設定する。
以上説明した信号の上限・下限判定と、図21に示したリサージュ軌跡による象限管理基準(クライテリア)との関係を述べる。上述の通り、リサージュ波形の象限管理基準で異常信号が報知されるのは、b>5の場合、すなわち抵抗値が5倍よりも大きく増加した場合である。一方、抵抗値が5倍になると、差分ΔVcまたはΔVsの変化幅は前述の中点電位より+0.8Vまたは−0.8Vであるため、図28の回路において異常判定されない。すなわち、信号上限・下限判定基準よりもリサージュ波形象限管理基準の方がより厳しく異常を判定する。
このように信号上限・下限判定基準とリサージュ波形象限管理基準とを組み合わせることで、早期に回転角検出装置の異常を検出することができるので好ましい。
また、図22に示す信号上限・下限判定回路では、前述したように、磁気抵抗素子ブリッジの励起電圧e0を基準電圧として、分割抵抗391A〜391Cにより異常検出範囲の上限値と下限値を設定している。式(7)に示したように、信号電圧ΔVcは励起電圧e0に比例するので、このような構成にすると励起電圧e0が変動した場合もそれに比例した異常検出範囲で異常検出できるので好ましい。
以上説明した本実施形態では、磁気抵抗素子としてGMR素子を用いた場合を述べたが、他の磁気抵抗素子、例えば異方性磁気抵抗効果素子(AMR素子)や、トンネル磁気抵抗素子(TMR素子)などの磁気抵抗素子でも本発明が同様に有効であることは言うまでもない。なお、TMRを用いた場合には、磁界センサ201にTMR素子で構成したブリッジ構成を設ける。
以上説明したように、本実施形態ではレゾルバ1の代わりに磁界センサ201を用いることとしたので、レゾルバの場合と比べて装置の小型化、軽量化を図ることができる。また、レゾルバの場合に要求される高い製作精度や組立精度が不要になると共に、磁界センサ201の大きさをロータ軸の太さに関わらず一定とすることができるため、装置の低コスト化を実現することができる。
図23は、以上説明した第5の実施の形態による回転角度センサ異常検出装置をモータ制御システムに適用した例を示す図である。また図24は、以上説明した第5の実施の形態による回転角度センサ異常検出装置を電動パワーステアリングに適用した例を示す図である。これらの図に示す例では、図8、9のレゾルバ1、励磁信号生成部2および変換トリガ生成部3を磁界センサ201に変えている点以外は、図8、9と同じである。
以上説明した第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態において説明したのと同様の作用効果を奏することができる。さらに加えて、レゾルバの代わりに磁界センサを用いているため、装置の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
なお、以上説明した第5の実施の形態では、第1の実施の形態におけるレゾルバ1の代わりに磁界センサ201を備えた例を説明したが、これと同様に、第2〜第4の実施の形態におけるレゾルバ1を磁界センサ201に置き換えても良い。この場合も、第2〜第4の実施の形態で説明したのと同様の作用効果を奏することができる。その上、レゾルバを用いた第2〜第4の実施の形態と比べて、装置の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
以上説明した各実施の形態および各種の変形例はあくまで一例である。したがって、本発明はこれらの内容や構成に何ら限定されるものではない。
1 レゾルバ
2 励磁信号生成部
3 変換トリガ生成部
4 モータドライバ
5 モータ
6 制御対象
7 回転軸
8 ステアリングホイール
9 トルクセンサ
10 マイコン
11 A/D変換器
12 誤り検出機能
13 演算部
14A,14B 検出回路
15 正極性出力回路
16 負極性出力回路
20 外部磁界方向
21 自由磁性層
22 スペーサ層
23 固定磁性層
30 COSブリッジ
40 SINブリッジ
100 モータ部
101 フレーム
102 第1ブラケット
103 第2ブラケット
106,107 軸受
110 ステータ
111 ステータコア
112 ステータコイル
121 リサージュ軌跡振幅判定
122 リサージュ軌跡象限判定
123 AND(論理積)
124 OR(論理和)
130 ロータ
200 回転角検出部
201 磁界センサ
202 センサ磁石
203 ハウジング

Claims (6)

  1. 回転軸が回転することにより生じる磁界変化を検出し、前記回転軸の回転角の正弦に応じた正弦信号と、前記回転軸の回転角の余弦に応じた余弦信号とを出力する磁界センサと、
    前記磁界センサより出力される前記正弦信号および前記余弦信号のリサージュ波形に基づいて、前記磁界センサの異常を検出する異常検出手段とを備えた回転角度センサ異常検出装置であって、
    前記異常検出手段は、前記リサージュ波形の振幅と、前記リサージュ波形が通過する象限とに基づいて、前記磁界センサの異常の有無を検出する際に、前記リサージュ波形の振幅が所定の第1の検出域内にあり、かつ所定時間内に前記リサージュ波形が通過しない象限がある場合に、前記磁界センサの異常を検出することを特徴とする回転角度センサ異常検出装置。
  2. 回転軸が回転することにより生じる磁界変化を検出し、前記回転軸の回転角の正弦に応じた正弦信号と、前記回転軸の回転角の余弦に応じた余弦信号とを出力する磁界センサと、
    前記磁界センサより出力される前記正弦信号および前記余弦信号のリサージュ波形に基づいて、前記磁界センサの異常を検出する異常検出手段とを備えた回転角度センサ異常検出装置であって、
    前記異常検出手段は、前記リサージュ波形の振幅と、前記リサージュ波形が通過する象限とに基づいて、前記磁界センサの異常の有無を検出する際に、前記リサージュ波形の振幅が所定の第1の検出域内にあり、かつ所定時間内に前記リサージュ波形がいずれか一つの象限を通過しない場合に、当該象限に隣接する二つの象限におけるリサージュ波形に基づいて当該象限のリサージュ波形を補間し、補間後のリサージュ波形が原点を囲まないときに、前記磁界センサの異常を検出することを特徴とする回転角度センサ異常検出装置。
  3. 請求項に記載の回転角度センサ異常検出装置において、
    前記異常検出手段は、前記隣接する二つの象限におけるリサージュ波形の軌跡同士を直線で結ぶことにより当該象限のリサージュ波形を補間し、
    前記直線のy切片の正負に基づいて前記補間後のリサージュ波形が原点を囲むか否かを判断することを特徴とする回転角度センサ異常検出装置。
  4. 請求項のいずれか一項に記載の回転角度センサ異常検出装置において、
    前記異常検出手段は、前記リサージュ波形の振幅が所定の第2の検出域内にある場合は、所定時間内に前記リサージュ波形が通過しない象限があるか否かに関わらず、前記磁界センサの異常を検出することを特徴とする回転角度センサ異常検出装置。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の回転角度センサ異常検出装置と、
    前記回転軸と連結されたモータと、
    前記回転軸に設置された磁石と、
    前記モータを駆動するモータ駆動回路と、
    前記回転角の検出結果に基づいて前記モータ駆動回路による前記モータの駆動を制御するモータ駆動制御回路とを備え、
    前記回転角度センサ異常検出装置が有する前記磁界センサは、前記回転軸の回転に従って前記磁石の回転位置が変化することにより生じる磁界変化を検出し、
    前記異常検出手段により前記磁界センサの異常が検出されると、その検出結果に応じて前記モータの駆動を禁止することを特徴とするモータ制御システム。
  6. 請求項1〜いずれか一項に記載の回転角度センサ異常検出装置と、
    前記回転軸と連結されたモータと、
    前記回転軸に設置された磁石と、
    前記モータを駆動するモータ駆動回路と、
    前記モータとコラムシャフトを介して機械的に接続される車輪の舵取り機構と、
    前記コラムシャフトと機械的に接続されるステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールを介して入力される操作を検出するトルクセンサと、
    前記トルクセンサによる前記操作の検出結果と前記回転角の検出結果とに基づいて、前記モータ駆動回路による前記モータの駆動を制御するモータ駆動制御回路とを備え、
    前記回転角度センサ異常検出装置が有する前記磁界センサは、前記回転軸の回転に従って前記磁石の回転位置が変化することにより生じる磁界変化を検出し、
    前記異常検出手段により前記磁界センサの異常が検出されると、その検出結果に応じて前記モータの駆動を禁止することを特徴とする電動パワーステアリング。
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