図1は本発明によるガス充填装置の一実施例を模式的に示す図である。図1に示されるように、ガス充填装置10Aは、燃料の供給所等に配置されており、例えば、水素ガスからなる燃料を貯える貯蔵タンク11に一端が連通された供給配管12(ガス充填経路)を有する。供給配管12の他端は、第1の充填カップリング14Aに連通され、且つ分岐配管40を介して第2の充填カップリング14Bと接続されている。本実施例では、一つの供給配管12に複数の充填カップリング14A、14B(図1には2つを図示)が連通される構成になっている。
また、本実施例では、各充填カップリング14A、14Bにおいて、ガス充填終了後に所定時間が経過していなければ、金属部分の表面に氷(空気中の水分が氷結したもの)または水分が付着している可能性が高いので、前回と異なる充填カップリングによるガス充填を行なうように選択的に使用され、ガス充填終了後に所定時間が経過していればガス充填により発生した氷が溶け、水分も蒸発しているので、どちらでも使用することが可能になる。
一方の充填カップリング14Aは、充填ホース42Aを介して供給配管12の下流側に接続される。他方の充填カップリング14Bは、充填ホース42Bを介して供給配管12から分岐された分岐配管40の下流側に接続される。
ガス充填装置10Aは、充填カップリング14A、14B、制御弁17、遮断弁18、冷却器19、流量計22、圧力センサ23、燃料温度センサ24、スイッチ25〜27、制御回路31、切替用遮断弁50A、50B、脱圧弁60等によって構成されている。制御弁17、遮断弁18は、供給配管12を流れるガスの流量及び圧力を制御する制御機器を構成しており、流量計22、圧力センサ23、燃料温度センサ24は供給配管12を流れるガスの流量、圧力、温度を計測する計測機器を構成している。
また、車両32は、例えば、CNG(圧縮天然ガス)または水素ガス等のガスを燃料として駆動力を発生するエンジンあるいは燃料電池とモーターなどの駆動装置と、燃料タンク(被充填タンク)32Aとが搭載されており、燃料タンク32Aには、燃料充填口32Bが設けられている。
また、充填カップリング14A、14Bは、燃料充填口32Bに気液密状態で着脱可能に接続されるように構成されており、且つガス充填中の圧力によって外れないように燃料充填口32Bに対してロックされるロック機構を有する。
ガス充填装置10Aに設けられたカップリング収納部15A、15Bには、燃料の非充填時に充填カップリング14A、14Bが取外し可能に収納される。さらに、カップリング収納部15A、15Bは、充填カップリング14A、14Bがガス充填を終了して戻された場合、所定時間が経過するまで当該充填カップリング14A、14Bをロック(係止)して取り外し操作を阻止する機構が設けられている。
また、車両32の燃料タンク32Bに燃料を充填するときには、二点鎖線で示す如く、充填カップリング14A、14Bの何れかがカップリング収納部15A、15Bから取外されて車両32の燃料充填口32Bに接続される。この充填カップリング接続状態で貯蔵タンク11内の燃料が供給配管12、充填カップリング14等を通じて車両32の燃料タンク32Aに充填される。
さらに、供給配管12には、例えば手動によって開,閉される入口弁16と、該入口弁16の下流側に接続され、後述の制御回路31によって開,閉されることにより供給配管12を流れる燃料の流量を制御する制御弁17と、該制御弁17の下流側に接続された電磁弁または空圧駆動弁などの自動弁からなる遮断弁18とが設けられている。また、遮断弁18と冷却器19との間の供給配管12には、電磁弁または空圧駆動弁などの自動弁からなる脱圧弁60を有する脱圧配管61が分岐接続されている。
遮断弁18は供給配管12の途中部位に設けられた電磁式または空圧作動式の弁装置である。また、遮断弁18は、制御回路31の制御によって開,閉されることにより、供給配管12内を流れる燃料を流通または遮断する。これにより、制御回路31は、充填カップリング14Aまたは14Bを介して車両32の燃料タンク32Bに燃料を充填し、または充填を停止(終了)するように制御することができる。
冷却器19は、ガス充填される車両32の燃料タンク32Bの温度上昇を防止するため、充填される燃料を冷却する。冷却器19は、遮断弁18と充填カップリング14A、14Bとの間で供給配管12に設けられた熱交換器20と、熱交換器20に接続され、例えばコンプレッサ、ポンプ等の駆動機構(図示せず)が搭載されたチラーユニット21とによって構成されている。
そして、チラーユニット21は、制御回路31から通電されることによって作動し、作動時には、例えばエチレングリコール等を含んだ冷却液を熱交換器20との間に循環させる。これにより、冷却器19は、供給配管12内を流れる燃料と冷却液との間で熱交換し、充填カップリング14A、14Bに供給される燃料の温度を−20°Cに低下させる。
流量計22は供給配管12内を流れる燃料の流量を計測し、計測した流量に比例した数の流量パルスを出力する。また、圧力センサ13は、充填カップリング14A、14Bの近傍で供給配管12内の圧力を測定し、測定した圧力に応じた検出信号を出力する。また、燃料温度センサ24は供給配管2内を流れる燃料の温度を検出し、検出した温度に応じた検出信号を出力する。これらの流量計22、圧力センサ23及び燃料温度センサ24は、それぞれ個々の検出結果を検出信号として制御回路31に出力するものである。
カップリング収納部15A、15Bには、夫々充填カップリング14A、14Bが収納されたことを検出するカップリング検出スイッチ25A、25Bが設けられている。カップリング検出スイッチ25A、25Bは、例えば2位置切換型のスイッチ等からなり、収納状態の充填カップリング14A、14Bによって押動されるとオン状態に切換わる。そして、カップリング検出スイッチ25A、25Bは、充填カップリング14A、14Bがカップリング収納部15A、15Bから取外されるとオフ状態に切り替わり、検出信号(オンまたはオフの信号)を制御回路31に出力するものである。なお、カップリング検出スイッチ25A、25Bは、カップリング収納部15A、15Bに設けるものに限らず、充填カップリング14A、14B側に設けてもよい。
操作部28には、充填開始スイッチ26と充填停止スイッチ27とが配されている。充填開始スイッチ26は、例えば燃料供給所の従業員等によって操作される操作スイッチで、ガスの充填を開始する場合に操作される。また、充填停止スイッチ27は、ガス充填中にガスの充填を停止する場合に操作される。
そして、充填開始スイッチ26と充填停止スイッチ27とは、操作状態に応じた信号を制御回路31にそれぞれ出力し、制御回路31は、これらの信号に応じて電磁弁または空圧駆動弁などの自動弁からなる遮断弁18及び切替用遮断弁50A、50Bを開または閉とする。
制御回路31は、例えばタイマ機能と記憶回路とを備えた演算処理回路等によって構成され、その入力側には、流量計22、圧力センサ23、燃料温度センサ24、カップリング検出スイッチ25A、25B、充填開始スイッチ26、充填停止スイッチ27等が接続されると共に、制御回路31の出力側には、制御弁17、遮断弁18、チラーユニット21、切替用遮断弁50A、50B、スピーカ52、脱圧弁60等が接続されている。
そして、制御回路31は、カップリング検出スイッチ25A、25Bによって充填カップリング14A、14Bがカップリング収納部15A、15Bから取外されたことを検出し、この状態で充填開始スイッチ26がオンに操作されたときに、遮断弁18を開弁すると共に、カップリング検出スイッチ25A、25Bのうちオフに切り替わった側の切替用遮断弁50A、50Bを開弁してガスの充填を開始する。
このとき、制御回路31は、充填カップリング14A、14Bのうち前回のガス充填を行なった方を記憶しており、且つ充填終了からの経過時間を計測して今回のカップリング検出スイッチ25A、25Bのうちオフに切り替わった側の充填カップリング14A、14Bが前回と同じである場合、経過時間が予め設定された所定時間内であれば、スピーカ52より他方の充填カップリングを使用することを指示する音声指示を発するように制御する。尚、制御回路31は、使用される充填カップリング14A、14Bが前回と今回で異なる場合、あるいは使用される充填カップリング14A、14Bが前回と今回で同じでも充填終了からの経過時間が所定時間以上であれば、上記音声によるアラームを発することはない。
さらに、制御回路31は、例えば流量計12、圧力センサ23、燃料温度センサ24の測定結果をモニタしつつ、制御弁17の開度等を予め設定された制御方式(定圧上昇制御方式または定流量制御方式など)で調整することにより、供給配管12内に供給されるガスの圧力、流量を適切な流通状態に制御する。
また、制御回路31は、流量計22からの流量パルスを積算して燃料の充填量(体積)を演算し、この充填量が予め設定された目標充填量に達するか、または圧力センサ23により検出したガスの圧力が予め設定された目標充填圧に達したときに、遮断弁18及び切替用遮断弁50A、50Bの何れかを閉弁して燃料の充填を停止する。また、充填停止スイッチ17が操作された場合には、例えばガスの充填量や圧力が目標に達していなくても、充填動作が強制的に停止される。
また、制御回路31は、例えばカップリング検出スイッチ25A、25Bがオフになって充填カップリング14A、14Bの取外しを検出した場合、充填開始スイッチ26が操作された場合、冷却装置9を通常の状態で作動させる。さらに、制御回路31は、カップリング検出スイッチ25A、25Bがオンになってガスの充填を行っていないときは、冷却器19を停止状態に保持するか、または少量の冷却液を循環させる予冷状態を保持するように制御する。
また、制御回路31は、燃料温度センサ24の検出信号を読み込み、充填されるガスの温度が所定設定温度(例えば、−20°C)より上昇しないように冷却器19を制御する。
ここで、充填カップリング14A、14B及び燃料タンク32Aの燃料充填口32Bの構成について説明する。図2は接続前の充填カップリング14A、14B及び燃料充填口32Bの状態を示す図である。尚、充填カップリング14Aと14Bとは、同一構成であるので、以下では、充填カップリング14Aの構成について説明し、充填カップリング14Bの説明は省略する。
図2に示されるように、充填カップリング14Aは、円筒形状の本体63の内部に貫通流路62が貫通しており、貫通流路62にはボール弁などからなる弁部64が設けられている。弁部64は、弁軸66の端部に結合された操作レバー68が回動操作されることにより開弁状態または閉弁状態に切り替わるように構成されている。流路62の基端側開口62aには、充填ホース42Aの下流側端部が連通されており、流路62の先端側開口62bは、円筒形状のノズル部67を貫通している。また、ノズル部67の外側には、円筒状凹部69が形成されている。
車両32に配された燃料充填口32Bには、充填カップリング14Aのノズル部67が挿入されるレセプタクル70が設けられている。レセプタクル70は、ノズル部67が挿入される挿入孔72を有する。挿入孔72の内周には、ノズル部67の外周に密着して液密にシールするシール部材73が取り付けられている。また、挿入孔72の奥部には、流路74が貫通しており、流路74は逆止弁76を介して燃料タンク32Aに連通されている。
また、レセプタクル70の外側には、充填カップリング14Aの外周部65が挿入される円筒状溝78が設けられている。
次に、図3を参照して充填カップリング14Aを燃料充填口32Bに接続した状態について説明する。図3に示されるように、充填カップリング14Aを燃料充填口32Bに接続する場合、充填カップリング14Aのノズル部67をレセプタクル70の挿入孔72に挿入すると共に、充填カップリング14Aの外周部65をレセプタクル70の円筒状溝78に挿入する。これにより、充填カップリング14Aの先端側の半分が燃料充填口32Bの内部に挿入された状態となり、外周部65に設けられたロック機構が円筒状溝78の内壁またはレセプタクル70の外周に形成された係合部に係合される。そのため、充填カップリング14Aは、ロック機構により燃料充填口32Bに挿入された接続状態でロック(係止)され、ロック解除操作されるまで離脱不可状態に保持される。
尚、上記ロック機構は、周知の機構であるので、ここでは説明を省略する。
また、充填カップリング14Aを燃料充填口32Bに接続完了した状態では、シール部材73がノズル部67の外周を液密にシールしているため、ガスが燃料充填口32Bから漏れないように構成されている。
この接続状態で操作レバー68を回動操作することにより、弁部64が開弁し、貯蔵タンク11に貯蔵された高圧のガスが供給配管12、充填ホース42A、充填カップリング14A、レセプタクル70、逆止弁76を介して燃料タンク32Aに充填される。また、ガス充填が終了した際は、制御弁17が閉弁されると共に、脱圧弁60が開弁されて充填カップリング14Aのガスが放出されて充填カップリング14Aの圧力が大気圧に減圧される。この後、作業員は、操作レバー68を回動操作して弁部64を閉弁させると共に、上記ロック機構によるロックの解除操作を行なって充填カップリング14Aを燃料充填口32Bから引き抜き方向に移動させて分離させる。
この充填カップリング14Aの分離操作を行なう際、充填カップリング14A及びレセプタクル70には、冷却器19によって−20°Cに冷却されたガスが流通したため、金属材料からなる充填カップリング14A及びレセプタクル70の温度が低下し、ガス充填時間によっては、氷点下になるまで冷却される。このように冷却された充填カップリング14A及びレセプタクル70の表面は、大気中に含まれる水分(湿気)が付着して結露したり、結露した水分が凍って氷結することがある。
このように充填カップリング14A及びレセプタクル70の表面が氷結すると、充填カップリング14Aを燃料充填口32Bに挿入する際に挿入孔72の内周に設けられたシール部材73を破損させてしまうことがある。また、結露した水分や氷解した水分が付着したままガス充填カップリング14Aを燃料充填口32Bに挿入させてしまうと、水分が燃料タンク32A内に浸入してしまう可能性もある。
このような、問題を解消するため、本実施例では、二つの充填カップリング14A、14Bを設け、ガス充填終了後に所定時間が経過していなければ、氷や水分が残っているので、二つの充填カップリング14A、14Bのうち前回使用と異なる方を使用し、ガス充填終了後に所定時間が経過していれば付着した氷が溶け、水分が蒸発しているので、二つの充填カップリング14A、14Bのどちらでも使用可能とする。
ここで、図4A〜図4Cを参照して制御回路31が実行するガス充填制御処理1について説明する。尚、制御回路31は、所定時間毎に図4A〜図4Cに示す制御処理を繰り返し実行する。
図4Aにおいて、制御回路31は、S11の処理でカップリング検出スイッチ25A、25Bの何れか一方がオフになったか否かをチェックする。S11の処理において、カップリング検出スイッチ25A、25Bの両方がオンのときは、充填カップリング14A、14Bが共にカップリング収納部15A、15Bに収納されているので、待機状態を継続する。
しかし、カップリング検出スイッチ25A、25Bの何れか一方がオフになったときは、S12の処理に進み、前回の充填終了から所定時間t以上が経過したか否かをチェックする。この所定時間tは、ガス充填中に付着した氷がガス充填終了後に溶け、水分が蒸発するまでの時間である。尚、充填カップリング14A、14Bに付着する氷や水分の量は、大気との温度差、及び空気中に含まれる水分量(湿度)、及びガス充填時間などの条件によって変動する。そのため、所定時間tは、その地域の環境に応じた任意の時間(例えば、過去の経験から求まる)を設定することになる。
S12の処理において、前回の充填終了から所定時間tが経過していない場合(NOの場合)には、ガス充填中に付着した氷が溶けていないか水分が蒸発していない可能性が高いので、S13の処理に進み、カップリング検出スイッチ25A(または25B)のうち前回と同じスイッチがオフになったか否かをチェックして、前回使用した充填カップリング14A(または14B)が今回も使用されている否かを判断する(判断手段)。
S13の処理において、カップリング検出スイッチ25A(または25B)のうち前回と同じスイッチがオフになった場合(YESの場合)には、前回使用した充填カップリング14A(または14B)が今回も使用されると判断し、S14の処理に進む。
S14の処理では、スピーカ52から「他の充填カップリングを使用して下さい」といった音声指示を発して作業員に指示する(指示手段)。続いて、S15の処理に進み、カップリング検出スイッチ25A(または25B)のうち今回オフになったカップリング検出スイッチがオンになったか否かをチェックする。S15の処理において、当該カップリング検出スイッチがオンにならないとき(NOの場合)は、上記S14の処理に戻り、再度、スピーカ52から「他の充填カップリングを使用して下さい」といった音声指示を発して作業員に警告する。
これにより、表面に氷が付着していない充填カップリング14A(または14B)を燃料充填口32Bに挿入することができるので、燃料充填口32Bのシール部材73を破損させることも防止でき、また、充填カップリングに付着した結露した水分や氷解した水分が蒸発するため、水分が燃料タンク内に浸入してしまうことも防止できる。
また、S15の処理において、当該カップリング検出スイッチがオンになったとき(YESの場合)は、前回使用した充填カップリング14A(または14B)と同じ充填カップリングがカップリング収納部15A(または15B)に戻されたものと判断し、S11の処理に戻る。
また、上記S13の処理において、カップリング検出スイッチ25A(または25B)のうち前回と同じスイッチがオフにならない場合(NOの場合)には、S16の処理に進み、前回の同じ充填カップリングによる充填終了からの経過時間が所定時間t以上か否かをチェックする。S16の処理において、前回の同じ充填カップリングによる充填終了からの経過時間が所定時間t未満のとき(NOの場合)は、図4BのS19の処理に進み、スピーカ52から「充填カップリングを収納後、しばらくお待ち下さい」といった音声指示を発する(指示手段)。これにより、当該充填カップリングに付着した氷が溶け、水分が蒸発する時間を稼ぐことができる。
続いて、S20の処理に進み、当該充填カップリングのカップリング検出スイッチ25A(または25B)がオンになったか否かをチェックする。S20の処理において、当該充填カップリングのカップリング検出スイッチ25A(または25B)がオンにならないとき(NOの場合)は、前回使用した充填カップリング14A(または14B)と同じ充填カップリングがカップリング収納部15A(または15B)に戻されていないものと判断し、S19の処理を繰り返す。
また、S20の処理において、当該充填カップリングのカップリング検出スイッチ25A(または25B)がオンになったとき(YESの場合)は、前回使用した充填カップリング14A(または14B)と同じ充填カップリングがカップリング収納部15A(または15B)に戻されたものと判断し、S11の処理に戻る。
また、S16の処理において、前回の同じ充填カップリングによる充填終了からの経過時間が所定時間t以上のとき(YESの場合)は、当該充填カップリングに付着した氷が溶け、水分が蒸発した時間が経過したので、S17の処理に進み、スピーカ52から「充填カップリングは使用できます。車両に充填カップリングを接続して下さい。」といった音声指示を発する(指示手段)。これにより、当該充填カップリングに対する使用許可が下りたため、作業員は図3に示すように充填カップリング14A、14Bのうち所定時間が経過した方の充填カップリング14A(または14B)を車両32の燃料充填口32Bに接続する。
そして、作業員は、充填カップリング14A(または14B)の操作レバー68を回動操作して弁部6を開弁状態に切替える。このカップリング開弁操作により、供給配管12と燃料タンク32Aとは、連通されるため、脱圧により減圧された供給配管12の圧力が大気圧から燃料タンク32Aの圧力に上昇する。
また、上記S12の処理において、前回の充填終了から所定時間tが経過している場合(YESの場合)には、ガス充填中に付着した氷が溶け、水分が蒸発している可能性が高いので、上記S13〜S16の処理を省略してS17の処理に移行する。
次のS18の処理では、供給配管12に設けられた圧力センサ23の検出信号を読み込み、供給配管12の圧力上昇が検出されたか否かをチェックする。S18の処理において、供給配管12の圧力上昇が検出された場合(YESの場合)には、充填カップリング14A、14Bの何れか一方が車両32の燃料充填口32Bに接続されたものと判断して図4CのS21の処理に進む。
S21の処理では、充填開始スイッチ26がオンに操作されたか否かをチェックしており、充填開始スイッチ26がオンになると(YESの場合)、S22の処理に進む。S22の処理では、制御弁17、遮断弁18を開弁して燃料タンク32Aへのガス充填を開始すると共に、冷却器19を作動させて充填されるガスを冷却する。
ガス充填中は、S23で圧力センサ23の検出信号を読み込むと共に、流量計22からの流量パルスを読み込んで充填量を演算すると共に、充填停止スイッチ27からの信号を読み込む。そして、S23の処理において、圧力センサ23の検出圧力が目標充填圧力に達したか、あるいは流量計22により計測された充填量が目標充填量に達したか、あるいは充填停止スイッチ27がオンに操作されたか否かをチェックする。
S23の処理において、圧力センサ23の検出圧力が目標充填圧力に達しないとき、及び流量計22により計測された充填量が目標充填量に達しないとき、及び充填停止スイッチ27がオンに操作されないとき(NOの場合)は、燃料タンク32Aに対するガス充填を継続する。
また、S23の処理において、圧力センサ23の検出圧力が目標充填圧力に達したとき、あるいは流量計22により計測された充填量が目標充填量に達したとき、あるいは充填停止スイッチ27がオンに操作されたとき(YESの場合)は、ガス充填が終了したものと判断してS24の処理に進む。S24の処理では、制御弁17、遮断弁18を閉弁してガス充填を停止すると共に、冷却器19を停止させる。
次のS25の処理では、脱圧弁60を開弁して当該充填カップリングの圧力を減圧して当該充填カップリングの分離操作を容易に行えるようにする。これにより、作業員は、当該充填カップリング14A(または14B)の操作レバー68を回動操作して弁部64を閉弁させると共に、上記ロック機構によるロック解除操作を行なって当該充填カップリング14A(または14B)を燃料充填口32Bから引き抜いて分離させる。
次のS26の処理では、ガス充填を行なった充填カップリング14A(または14B)のカップリング検出スイッチ25A(または25B)がオンになったか否かをチェックする。S26の処理において、当該充填カップリングのカップリング検出スイッチ25A(または25B)がオンになったとき(YESの場合)は、当該充填カップリングがカップリング収納部に戻されたものと判断し、S27の処理に進む。
S27の処理では、「充填作業終了しました」といった音声指示をスピーカ52から発する。続いて、S28の処理に進み、充填終了後の経過時間の計測(タイマによる計時)を開始する。これで、制御回路31によるガス充填制御処理は終了する。
上記説明では、スピーカ52からの音声指示により作業員が充填終了後所定時間tが経過していない充填カップリングを使用しないように注意(警告)したが、この方法に限らず、例えば、充填OKの表示ランプと充填NGの表示ランプを設け、表示ランプを点灯または点滅させることで作業員に報知する方法を用いても良い。あるいは、音声指示の代わりに液晶モニタの操作手順を文字や画像で表示すると共に、充填終了後所定時間tが経過していない充填カップリングを使用しないようにメッセージあるいは画像で表示する方法を用いても良いのは勿論である。
(実施例1の変形例)
次に図5A、図5Bを参照して実施例1の変形例として制御回路31によるガス充填制御処理2について説明する。尚、制御回路31は、所定時間毎に図5A、図5Bに示す制御処理を繰り返し実行する。
図5Aにおいて、制御回路31は、S31の処理で各充填カップリング14A、14Bの前回充填からの経過時間を計測する。続いて、S32の処理では、計測された経過時間が予め決められた所定時間t以上か否かをチェックする。S32の処理において、経過時間が所定時間t以上の場合(YESの場合)には、ガス充填中に付着した氷が溶け、水分が蒸発している可能性が高いので、S33の処理に進み、「充填カップリングは使用できます」といった充填カップリング14A(または14B)の使用許可を音声指示(指示手段)すると共に、例えば、カップリング収納部15A(または15B)のロック機構による充填カップリング14A(または14B)に対するロック(係止)を解除する。これにより、作業員は、カップリング収納部15A(または15B)に収納された充填カップリング14A(または14B)を取り出すことが可能になる。
また、S32の処理において、経過時間が所定時間t未満の場合(NOの場合)には、ガス充填中に付着した氷が溶けておらず、水分が蒸発していない可能性が高いので、S34の処理に進み、「充填カップリングは使用できません」といった充填カップリング14A(または14B)の使用禁止を音声指示(指示手段)すると共に、例えば、カップリング収納部15A(または15B)のロック機構による充填カップリング14A(または14B)に対するロック(係止)を継続する。これにより、作業員は、氷や水分の付いた充填カップリング14A(または14B)をカップリング収納部15A(または15B)から取り出すことができないことになる。そのため、作業員が誤って経過時間が所定時間t未満の充填カップリング14A(または14B)を使用することが確実に阻止される。
続いて、S35の処理では、スピーカ52から「しばらくお待ち下さい」といった音声指示を発する(指示手段)。この後は、S31の処理に戻り、S31以降の処理を繰り返す。
上記S33の処理で使用許可を指示された場合は、S34の処理に進み、使用許可された充填カップリング14A(または14B)をカップリング収納部15A(または15B)から取り出したか否かをチェックする。S34の処理において、使用許可されていない充填カップリング14A(または14B)をカップリング収納部15A(または15B)から取り出した場合(NOの場合)には、S37の処理に進み、「他の充填カップリングを使用して下さい」といった音声指示をスピーカ52より発する。
また、S34の処理において、使用許可された充填カップリング14B(または14A)をカップリング収納部15B(または15A)から取り出した場合(YESの場合)には、S38の処理に進み、スピーカ52から「車両に充填カップリングを接続して下さい」といった音声指示を発する(指示手段)。これにより、作業員は図3に示すよう使用許可された充填カップリング14B(または14A)を車両32の燃料充填口32Bに接続する。
そして、作業員は、充填カップリング14A(または14B)の操作レバー68を回動操作して弁部6を開弁状態に切替える。このカップリング開弁操作により、供給配管12と燃料タンク32Aとは、連通されるため、脱圧により減圧された供給配管12の圧力が大気圧から燃料タンク32Aの圧力に上昇する。
次のS39の処理では、供給配管12に設けられた圧力センサ23の検出信号を読み込み、供給配管12の圧力上昇が検出されたか否かをチェックする。S39の処理において、供給配管12の圧力上昇が検出された場合(YESの場合)には、充填カップリング14A、14Bの何れか一方が車両32の燃料充填口32Bに接続されたものと判断してS40に進む。
このS40以降の制御処理(S40〜S46)は、前述した実施例のS21〜S27の処理と同様であるので、この説明は省略する。
図6は実施例2のガス充填装置の構成を模式的に示す図である。図6において、前述した図1と同じ部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示されるように、実施例2のガス充填装置10Bでは、充填カップリング14に乾燥気体を供給するドライヤ(乾燥気体供給手段)80が設けられている。このドライヤ80は、乾燥気体を吐出する乾燥気体吐出口が乾燥気体供給チューブ84を介して充填カップリング14の接続部に連通されている。乾燥気体供給チューブ84は、可撓性を有する樹脂製チューブからなり、充填カップリング14の移動範囲に応じた長さを有する。また、乾燥気体供給チューブ84には、電磁弁または空圧駆動弁などの自動弁からなる乾燥気体供給開閉弁82が配されている。尚、図6においては、乾燥気体供給チューブ84を短く図示しているが、例えば、コイル状に巻かれており、充填カップリング14の移動位置に応じて伸縮する構成としても良い。
乾燥気体供給手段としては、上記ドライヤ80に限らず、ドライヤ80の代わりに乾燥した窒素ガスなどの乾燥気体が蓄圧された窒素ボンベを用いても良いのは勿論である。
ここで、実施例2の充填カップリング14及び燃料タンク32Aの燃料充填口32Bの構成について説明する。図7は接続前の充填カップリング14及び燃料充填口32Bの状態を示す図である。尚、図7において、前述した実施例1と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
図7に示されるように、充填カップリング14の外周部65には、乾燥気体供給チューブ84の他端が接続されるチューブ接続部86が設けられている。チューブ接続部86の中心には、円筒状凹部69に貫通する貫通孔88が設けられている。貫通孔88の外側開口には、乾燥気体供給チューブ84の先端が接続されており、貫通孔88の内側開口は、乾燥気体を噴射する噴射口となる。
そのため、制御回路31からの制御信号により乾燥気体供給チューブ84に配された乾燥気体供給開閉弁82が開弁すると、ドライヤ80で生成された乾燥気体が貫通孔88の噴射口から充填カップリング14の内部に形成された円筒状凹部69に供給され、円筒状凹部69の内部の湿気(水分)をパージ(除去)することができる。
次に、図8を参照して充填カップリング14を燃料充填口32Bに接続した状態について説明する。図8に示されるように、充填カップリング14を燃料充填口32Bに接続する場合、充填カップリング14のノズル部67をレセプタクル70の挿入孔72に挿入すると共に、充填カップリング14Aの外周部65を円筒状溝78に挿入する。これにより、充填カップリング14の先端側の半分が燃料充填口32Bの内部に挿入された状態となり、外周部65に設けられたロック機構が円筒状溝78の内壁またはレセプタクル70の外周に形成された係合部に係合される。そのため、充填カップリング14は、ロック機構により燃料充填口32Bに挿入された接続状態でロック(係止)され、ロック解除操作されるまで離脱不可状態に保持される。
また、充填カップリング14Aを燃料充填口32Bに接続完了した状態では、シール部材73がノズル部67の外周を液密にシールしているため、ガスが燃料充填口32Bから漏れないように構成されている。この接続状態で乾燥気体供給チューブ84に配された乾燥気体供給開閉弁82が開弁すると、ドライヤ80で生成された乾燥気体が充填カップリング14の内部に形成された円筒状凹部69に供給され、さらに燃料充填口32Bの円筒状溝78、外周部65と円筒状溝78の内壁との隙間90を通過して大気中に放出される。
そのため、ガス充填中においてもドライヤ80で生成された乾燥気体が充填カップリング14の内部及びレセプタクル70の表面に供給され続けることで、充填カップリング14の内部及びレセプタクル70の表面が氷結や結露することが防止される。
ここで、図9を参照して実施例2の制御回路31が実行するガス充填制御処理3について説明する。
図9において、制御回路31は、S51でカップリング検出スイッチ25がオフになったか否かをチェックする。S51の処理でカップリング検出スイッチ25がオフになると(YESの場合)、ガス充填カップリング14がカップリング収納部15から取り出されたものと判断してS52の処理に進む。S52の処理では、充填開始スイッチ26がオンに操作されたか否かをチェックしており、充填開始スイッチ26がオンになると(YESの場合)、S53に進む。
S53の処理では、制御弁17、遮断弁18を開弁して燃料タンク32Aへのガス充填を開始すると共に、冷却器19を作動させて充填されるガスを冷却する。続いて、S53aの処理では、ドライヤ80を作動させると共に、乾燥気体供給開閉弁82を開弁して乾燥気体を充填カップリング14の内部及びレセプタクル70の表面に供給する(図8参照)。
このように乾燥気体を充填カップリング14の内部に供給することにより、ガス充填中に充填カップリング14と燃料充填口32Bとの間で凍結や結露が生じず、ガス充填終了には充填カップリング14を燃料充填口32Bから容易に外すことが可能になる。さらには、充填カップリング14の表面に氷が付着していない状態で燃料充填口32Bに挿入することができるので、燃料充填口32Bのシール部材73を破損させることも防止できる。また、結露した水分や氷解した水分が付着していないので充填カップリング14を燃料充填口32Bに挿入させても、水分が燃料タンク32A内に浸入してしまうことも防止できる。
ガス充填中は、次のS54の処理で圧力センサ23の検出信号を読み込むと共に、流量計22からの流量パルスを読み込んで充填量を演算すると共に、充填停止スイッチ27からの信号を読み込む。そして、S54の処理において、圧力センサ23の検出圧力が目標充填圧力に達したか、あるいは流量計22により計測された充填量が目標充填量に達したか、あるいは充填停止スイッチ27がオンに操作されたか否かをチェックする。
S54の処理において、圧力センサ23の検出圧力が目標充填圧力に達しないとき、及び流量計22により計測された充填量が目標充填量に達しないとき、及び充填停止スイッチ27がオンに操作されないとき(NOの場合)は、S53の処理に戻り、燃料タンク32Aに対するガス充填を継続する。
また、S54の処理において、圧力センサ23の検出圧力が目標充填圧力に達したとき、あるいは流量計22により計測された充填量が目標充填量に達したとき、あるいは充填停止スイッチ27がオンに操作されたとき(YESの場合)は、ガス充填が終了したものと判断してS55の処理に進む。S55の処理では、制御弁17、遮断弁18を閉弁してガス充填を停止すると共に、冷却器19を停止させる。続いて、S55aの処理に進み、乾燥気体供給開閉弁82を閉弁すると共に、ドライヤ80を停止して乾燥気体の供給を止める。
次のS56の処理では、カップリング検出スイッチ25がオンになったか否かをチェックする。S56の処理において、カップリング検出スイッチ25がオンになると(YESの場合)、ガス充填カップリング14がカップリング収納部15に戻されたものと判断してS57に進む。S57の処理では、ドライヤ80を作動させると共に、乾燥気体供給開閉弁82を開弁して乾燥気体を充填カップリング14の内部に供給する(図8参照)。これにより、ガス充填終了後に充填カップリング14に付着した氷や水分を除去することができる。
次のS58の処理では、乾燥気体の供給開始からのパージ経過時間を計測するための計時(タイマ)を開始する。続いて、S59の処理に進み、パージ経過時間が予め設定された所定時間を経過したか否かをチェックする。S59の処理において、パージ経過時間が所定時間を経過していないとき(NOの場合)は、S60の処理に進み、カップリング検出スイッチ25がオンか否かをチェックする。S60の処理において、カップリング検出スイッチ25がオフの場合(NOの場合)、ガス充填カップリング14がカップリング収納部15に収納されたままと判断してS59の処理に戻り、所定時間が経過するまで、S59、S60の処理を繰り返す。
また、S59の処理において、パージ経過時間が所定時間を経過したとき(YESの場合)は、S61の処理に進み、乾燥気体供給開閉弁82を閉弁すると共に、ドライヤ80を停止して乾燥気体の供給を止める。続いて、S62に進み、タイマの計時を停止すると共に、タイマをゼロリセットする。
また、S60の処理において、カップリング検出スイッチ25がオフの場合(YESの場合)、パージ経過時間が経過していないのにガス充填カップリング14がカップリング収納部15から外されたものと判断してS63の処理に進む。S63の処理では、例えば、「ガス充填カップリングを収納位置に戻して下さい」といった音声指示をスピーカ52から発して、作業員にエラーを報知する。これで、実施例2のガス充填制御処理は終了する。
上記説明では、乾燥気体によるパージをガス充填中及びガス充填終了後にガス充填カップリング14をカップリング収納部15に戻したときに行なう場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、ガス充填カップリング14がカップリング収納部15から外されてからガス充填を行なってガス充填カップリング14をカップリング収納部15に戻すまでの間、あるいはガス充填カップリング14をカップリング収納部15に戻して所定時間が経過するまでの任意の時間帯に乾燥気体によるパージを継続しても良いし、あるいは乾燥気体の供給を所定時間間隔で間欠的に行なって短い時間のパージを繰り返し行なうようにしても良い。
図10は実施例3のガス充填装置の構成を模式的に示す図である。図10において、前述した図1、図6と同じ部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図10に示されるように、実施例3のガス充填装置10Cでは、カップリング収納部15に乾燥気体を供給するドライヤ(乾燥気体供給手段)80が設けられている。このドライヤ80は、電磁弁または空圧駆動弁などの自動弁からなる乾燥気体供給開閉弁82を有する乾燥気体供給チューブ84を介してカップリング収納部15のパージ用フード100に連通されている。
乾燥気体供給手段としては、上記ドライヤ80に限らず、ドライヤ80の代わりに乾燥した窒素ガスなどの乾燥気体が蓄圧された窒素ボンベを用いても良いのは勿論である。
図11はカップリング収納部15及びパージ用フード100の構成を示す縦断面図である。図11に示されるように、カップリング収納部15は、不使用状態のガス充填カップリング14が垂直状態で載置するカップリング保持部110を有する。カップリング保持部110は、水平方向に延在するように設けられ、中央部には充填ホース42を挿通するためのU字状開口部112が設けられている。また、カップリング収納部15は、カップリング保持部110の上方に起立ように形成された垂直壁部120を有する
垂直壁部120は、ガス充填装置10Cの筐体側面に締結されており、その上端にはパージ用フード100が取り付けられている。パージ用フード100は、背面側に乾燥気体供給チューブ84の先端が接続される接続部102を有し、接続部102には、パージ用フード100の内部空間106に連通する連通孔104が設けられている。
連通孔104の一端側開口には、乾燥気体供給チューブ84の先端が接続されており、連通孔104の他端側開口は、乾燥気体をパージ用フード100の内部空間106に噴射する噴射口となる。
さらに、パージ用フード100は、カップリング収納部15に収納保持された状態のガス充填カップリング14の上方を覆うように突出する傾斜部108を有する。連通孔104から内部空間106に噴射された乾燥気体は、傾斜部108に沿って下方に向かう流れとなる。また、カップリング収納部15に収納保持された状態のガス充填カップリング14は、先端部分がパージ用フード100の内部空間106に挿入された状態で収納されているので、連通孔104の噴射口から内部空間106に噴射された乾燥気体は、ガス充填カップリング14の先端部分をパージするように供給される。
この乾燥気体の供給により、ガス充填カップリング14の表面だけでなく、内部の円筒状凹部69に付着した結露や氷を除去することができ、燃料充填口32Bに接続される部分の表面を乾燥状態にすることができる。
ここで、図12を参照して実施例3の制御回路31が実行するガス充填制御処理4について説明する。
図12において、S71〜S73の処理は、前述した図9のS51〜S53の処理と同じため、この説明は省略する。
S74では、燃料タンク32Aへのガス充填が終了したか否かをチェックする。S74において、例えば、圧力センサ23の検出圧力が目標充填圧力に達したとき、あるいは流量計22により計測された充填量が目標充填量に達したとき、あるいは充填停止スイッチ27がオンに操作されたとき(YESの場合)は、ガス充填が終了したものと判断してS75の処理に進む。S75の処理では、制御弁17、遮断弁18を閉弁してガス充填を停止すると共に、冷却器19を停止させる。
次のS76の処理では、カップリング検出スイッチ25がオンになったか否かをチェックする。S76の処理において、カップリング検出スイッチ25がオンになると(YESの場合)、ガス充填カップリング14がカップリング収納部15に戻されたものと判断してS77に進む。S77の処理では、ドライヤ80を作動させると共に、乾燥気体供給開閉弁82を開弁して乾燥気体をパージ用フード100の内部空間106に供給する(図11参照)。これにより、ガス充填終了した充填カップリング14に付着した氷や水分を除去することができる。
このように乾燥気体をパージ用フード100の内部空間106に供給することにより、充填カップリング14の表面及び内部の円筒状凹部69に付着した結露や氷を除去することができ、燃料充填口32Bに接続される部分の表面を乾燥状態にすることができる。そのため、充填カップリング14の表面及び内部に氷が付着していない状態で燃料充填口32Bに挿入することができるので、燃料充填口32Bのシール部材73を破損させることも防止できる。また、結露した水分や氷解した水分が付着していないので充填カップリング14を燃料充填口32Bに挿入させても、水分が燃料タンク32A内に浸入してしまうことも防止できる。
続いて、S78の処理に進み、充填カップリング14をカップリング収納部15に収納された状態にロック(係止)する。このカップリングロック手段として、例えば、カップリング収納部15にソレノイドを設け、ソレノイドに駆動されたレバーを充填カップリング14に係合させる構成のもの、あるいは、パージ用フード100を昇降可能に設けると共に、パージ用フード100を駆動するエアシリンダを設けることにより、パージ用フード100を降下させて充填カップリング14を外させないように動作する構成のものでも良い。
次のS79の処理では、乾燥気体の供給開始からのパージ経過時間を計測するための計時(タイマ)を開始する。続いて、S80の処理に進み、パージ経過時間が予め設定された所定時間を経過したか否かをチェックする。S80の処理において、パージ経過時間が所定時間を経過していないとき(NOの場合)は、S78の処理に進み、充填カップリング14がカップリング収納部15にロック(係止)された状態を継続する。
また、S80の処理において、パージ経過時間が所定時間を経過したとき(YESの場合)は、S81の処理に進み、充填カップリング14のロック(係止)を解除する。次のS82では、乾燥気体供給開閉弁82を閉弁すると共に、ドライヤ80を停止して乾燥気体の供給を止める。続いて、S83に進み、タイマの計時を停止すると共に、タイマをゼロリセットする。これで、実施例3のガス充填制御処理は終了する。
上記実施例3では、ガス充填終了後に充填カップリング14がカップリング収納部15に収納されてから所定時間が経過するまでの間、乾燥気体をパージ用フード100に供給する場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、ガス充填が終了した時点(遮断弁18の閉弁時)で乾燥気体をパージ用フード100に供給開始しても良い。上記以外の供給方法としては、充填カップリング14の有無に関係なく、常に乾燥気体を供給する方法、あるいは、充填カップリング14がカップリング収納部15に収納された状態で乾燥気体の供給を所定時間間隔で間欠的に行なってパージを断続的に繰り返し行なう方法を用いても良い。