ところで、こんろバーナに備えられた温度センサが当接する位置は、鍋の中心付近であり、一方、こんろバーナの炎孔は、温度センサを中心とした半径数センチメートルの円上に形成されている。
水が入った鍋をガスこんろに設置して温度センサで温度の検知を行う場合、温度センサの温度の検知結果から煮物調理として制御される。
しかし、鍋として例えば熱伝導の悪いSUS製の鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている場合に、鍋の中の水がなくなると、(1)鍋底の被加熱部位(すなわちこんろバーナの火炎が当たる部位)と温度センサが当接する部位が離れており、(2)鍋底の熱伝導が悪く、(3)鍋内の水(湯)の対流による熱伝達がなくなる、といった理由により、鍋底において温度センサが当接する部分の温度が降下する状態となる。 特に、鍋の中央部が上方向に凸状に盛り上がっていると温度降下が大きく、従来例では平衡温度がクリアされて加熱停止温度の設定が解除される基準温度まで降下してしまうことがある。温度センサによる検知温度が降下して、平衡温度がクリアされて加熱停止温度の設定が解除されると、新たに平衡状態が検出されるまで、油もの処理が行われ自動で加熱が停止する温度は270℃の高温に設定されるため、空焚き状態に至る寸前となっても加熱が継続してしまう。
その状態で加熱が継続すると、鍋底における温度センサが当接する部分の温度の上昇が始まるが、鍋内の被調理物となる水(湯)が無い状態であるため温度は平衡とならず、上述した「平衡状態が検出されるまで、自動で加熱が停止される温度である270℃」を温度センサが検知するまで加熱が継続してしまい、高温の空焚き状態となってしまう。特に、 被調理物に含まれる水(湯)以外の食材が鍋へ著しくこびりついてしまう惧れがあった。
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、鍋の種類や蓋の有無などによらず、確実に焦げ付き防止ができる加熱調理器を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明は、加熱手段と、被加熱物の温度を検知する温度検知手段と、温度検知手段による検知温度の平衡状態及び平衡温度を検知する平衡検知手段と、検知温度と平衡温度とが所定の条件を満たした時に加熱手段による加熱を停止する制御部とを備え、前記制御部は、加熱手段による加熱が開始されて検知温度が第一の所定温度以上に上昇した時に、検知温度が到達すると自動で加熱を停止する加熱停止温度を前記第一の所定温度よりも高い第二の所定温度に設定すると共に、平衡検知手段による平衡の検知を開始し、平衡検知手段が平衡を検知した場合には平衡温度を基に新たな加熱停止温度を設定し、検知温度が第一の所定温度未満に下がった時に加熱停止温度の設定を解除して、検知温度が再度第一の所定温度以上に上昇した時に加熱停止温度を第二の所定温度に設定する焦げ付き防止制御を行う加熱調理器において、平衡検知手段が平衡を検知して加熱停止温度を設定した後で検知温度が平衡温度から降下した場合で、降下する温度勾配が所定値よりも低い場合には、検知温度が第一の所定温度未満に下がった時でも加熱停止温度の設定を維持することを特徴とするものである。
本発明では、鍋(被加熱物)の温度が降下をしている時に、降下する温度勾配が所定値よりも低い場合には、使用者によって被調理物の投入や鍋の置き換えなどが行われたのではなく、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態なっているものとみなし、検知温度が第一の所定温度未満に下がった場合でも、加熱停止温度を維持するようにしている。これにより、さらに加熱が進んで鍋の温度が上昇に転じた場合でも、鍋の温度が降下する前の平衡温度に基いて設定された加熱停止温度に到達した時に加熱が停止され、被調理物が鍋に焦げ付くのを防止することが可能となる。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、制御部が加熱手段の加熱量を検知可能とした加熱調理器であって、平衡検知手段が平衡を検知して加熱停止温度を設定した後で検知温度が平衡温度から降下した場合で、制御部が加熱量の低下を検知せず且つ降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続した場合には、加熱を停止することを特徴とするものである。
加熱手段での加熱量を低下させた場合には、前記加熱量の低下に起因して、降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続することが考えられるため、この場合には、降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続しても、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態になっているとはみなさず、使用者が自分の意思で加熱量を調節して調理を行っているものとみなして、加熱を停止しない。そして、加熱量を低下させていないのに、降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続する場合には、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態になっているとみなし、加熱を停止して、被調理物が鍋に焦げ付くのを防止することが可能となる。これにより、使用者の意に反した加熱の停止を防止することができ、より確実に、鍋の中の水が無くなって空焚き状態を検知することができる。
また上記課題を解決するために請求項3に係る発明は、加熱手段と、被加熱物の温度を検知する温度検知手段と、温度検知手段による検知温度の平衡状態及び平衡温度を検知する平衡検知手段と、検知温度と平衡温度とが所定の条件を満たした時に加熱手段による加熱を停止する制御部とを備え、制御部が加熱手段の加熱量を検知可能とした加熱調理器であって、前記制御部は、加熱手段による加熱が開始されて検知温度が第一の所定温度以上に上昇した時に、検知温度が到達すると自動で加熱を停止する加熱停止温度を前記第一の所定温度よりも高い第二の所定温度に設定すると共に、平衡検知手段による平衡の検知を開始し、平衡検知手段が平衡を検知した場合には平衡温度を基に新たな加熱停止温度を設定する焦げ付き防止制御を行う加熱調理器において、平衡検知手段が平衡を検知して加熱停止温度を設定した後で検知温度が平衡温度から降下した場合で、制御部が加熱量の低下を検知せず且つ降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続した場合には、加熱を停止することを特徴とするものである。
本発明では、鍋(被加熱物)の温度が降下をしている時に、降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続した場合には、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態になっているとみなして加熱を停止し、これにより、さらに加熱が進んで被調理物が鍋に焦げ付くのを防止することが可能となる。そして、加熱手段での加熱量を低下させた場合には、前記加熱量の低下に起因して、降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続することが考えられるため、この場合には、降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続しても、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態になっているとはみなさず、使用者が自分の意思で加熱量を調節して調理を行っているものとみなして、加熱を停止しない。そして、加熱量を低下させていないのに、降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続する場合には、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態になっているとみなし、加熱を停止して、被調理物が鍋に焦げ付くのを防止することが可能となる。これにより、使用者の意に反した加熱の停止を防止することができ、より確実に、鍋の中の水が無くなって空焚き状態を検知することができる。
また上記課題を解決するために請求項4に係る発明は、加熱手段と、被加熱物の温度を検知する温度検知手段と、温度検知手段による検知温度の平衡状態及び平衡温度を検知する平衡検知手段と、検知温度と平衡温度とが所定の条件を満たした時に加熱手段による加熱を停止する制御部とを備え、制御部が加熱手段の加熱量を検知可能とした加熱調理器であって、前記制御部は、加熱手段による加熱が開始されて検知温度が第一の所定温度以上に上昇した時に、検知温度が到達すると自動で加熱を停止する加熱停止温度を前記第一の所定温度よりも高い第二の所定温度に設定すると共に、平衡検知手段による平衡の検知を開始し、平衡検知手段が平衡を検知した場合には平衡温度を基に新たな加熱停止温度を設定する焦げ付き防止制御を行う加熱調理器において、平衡検知手段が平衡を検知して加熱停止温度を設定した後で検知温度が平衡温度から降下した場合で、降下する温度勾配が所定値よりも低い場合には、検知温度が所定温度未満に下がった時に加熱を停止し、制御部が加熱量の低下を検知せず且つ降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続した場合には、加熱を停止することを特徴とするものである。
本発明では、鍋(被加熱物)の温度が降下をしている時に、降下する温度勾配が所定値よりも低い場合には、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態なっているものとみなし、検知温度が所定温度未満に下がった時点で加熱が停止され、被調理物が鍋に焦げ付くのを防止することが可能となる。そして、加熱手段での加熱量を低下させた場合には、前記加熱量の低下に起因して、降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続することが考えられるため、この場合には、降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続しても、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態になっているとはみなさず、使用者が自分の意思で加熱量を調節して調理を行っているものとみなして、加熱を停止しない。そして、加熱量を低下させていないのに、降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続する場合には、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態になっているとみなし、加熱を停止して、被調理物が鍋に焦げ付くのを防止することが可能となる。これにより、使用者の意に反した加熱の停止を防止することができ、より確実に、鍋の中の水が無くなって空焚き状態を検知することができる。
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、報知手段を備え、制御部が報知手段により報知を行うことを可能とした加熱調理器であって、平衡検知手段が平衡を検知して加熱停止温度を設定した後で検知温度が平衡温度から降下した場合で、降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間継続した場合には、報知手段による報知を行うことを特徴とするものである。
これにより、鍋の中の水が無くなって空焚き状態になっている場合に、使用者に注意を促して確認させることができる。
本発明にあっては、鍋の種類や蓋の有無などによらず、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている場合でも、確実に焦げ付き防止が可能となるものである。
本発明の加熱調理器は、本実施形態ではグリル付きガスこんろAとして説明するが、グリルを備えていないガスこんろや、電磁調理器であってもよく、特に限定されない。以下に、まず加熱調理器全体の概略を説明し、その後、本発明の趣旨となる焦げ付き防止制御について説明する。
図1に示すように、こんろ本体1に、加熱手段としてガスバーナからなるこんろバーナを備えたガスこんろ部2と、加熱手段としてガスバーナからなるグリルバーナを備えたグリル3とを備えたもので、添付図面に示す実施形態においてはビルトインタイプのグリル付きガスこんろAが示してある。
グリル付きガスこんろAの主体を構成するこんろ本体1の内部の左右方向の中央部に、グリル3が配設してあり、こんろ本体1の前面の左右方向の中央部にグリル3のグリル扉3aが配置してある。
こんろ本体1の上面にはガスこんろ部2が複数配設してあり、添付図面に示す実施形態ではこんろ本体1の上面に3つのガスこんろ部2が配設してあり、3つのガスこんろ部2は上面の手前側の左側、右側、及び上面の後側の左右方向の中央部にそれぞれ配設してあり、また、上面の奥辺にはグリル3の排気口11が形成してあり、また、こんろ本体1の上面のガスこんろ部2及びグリル3の排気口11が配設されていない部分はトッププレート10により覆われている。ここで、左右に配設したガスこんろ部2は一方が鍋やその他の被加熱容器である被加熱物(以下、便宜上「鍋」という)の底の温度を検知して燃焼制御を行うようにしたサーミスタからなる温度センサ2d(温度検知手段)を有する標準火力の温度センサ付きガスこんろ部2aとなっており、左右に配設したガスこんろ部2の他方が高火力ガスこんろ部2bとなっている。添付図面に示す実施形態では左側に温度センサ2d付きガスこんろ部2aを配設し、右側に高火力ガスこんろ部2bを配設した例が示してある。また、後方上面の後側の左右方向の中央部に配設したガスこんろ部2は小火力ガスこんろ部2cとなっている。各ガスこんろ部2には、鍋等の被加熱物を受け止め支持するための五徳が配設してある。また、各ガスこんろ部2には、図示しないがこんろバーナに点火する点火装置としての点火プラグと、こんろバーナの着火を検出する着火検出装置としての熱電対が設けられ、グリル3にも同様に、グリル3バーナに点火する点火装置としての点火プラグと、グリル3バーナの着火を検出する着火検出装置としての熱電対が設けられる。点火プラグは、後述する加熱状態調節部4における点火操作によってマイクロコンピュータからなる制御部5(図2参照)により点火動作が行われ、熱電対において検出された着火(点火)情報は制御部5に認識されて、制御部5により点火プラグでの点火処理を終了する。
各こんろバーナ及びグリル3バーナには、図2に示すように、都市ガス等のガス燃料を供給する燃料供給路61からそれぞれ分岐する分岐供給路61aが接続してある。燃料供給路61には電磁弁62が設けてあると共に、各分岐供給路61aには、ガス燃料の供給量の調節を行うためステッピングモータにより駆動されて弁体の開度位置の微調整が可能な流量制御弁63と、前記弁体の開度位置を検出する位置センサ(図示せず)が設けてある。電磁弁62及び流量制御弁63は、制御部5により制御が行われ、位置センサにおける検出情報は制御部5によって認識・処理される。また、流量制御弁63は、対応するこんろバーナ又はグリル3バーナが使用されない時には、流量を零にして遮断状態となるように切り換えられる。
グリル3は、前面が開口されかつ後面部が閉塞された略箱状の加熱室を形成するグリル3庫を備え、被加熱物を載置させる載置部としての焼き網を収容している。
こんろ本体1の前面の上部(添付図面に示す実施形態では左側の上部及び右側の上部)にはそれぞれ上記複数のガスこんろ部2の点火、消火、火力調節の操作を行うための加熱状態調節部4が設けてあると共に、前面の上部の右端に、制御部5をはじめ電磁弁62や流量制御弁63、入力部や加熱状態調節部4等の電気機器への通電の入切を行う自動復帰型で押し釦式の電源スイッチが設けてある。図1に示す実施形態では前面の左側に温度センサ2d付きガスこんろ部2aの点火、消火、火力調節の操作を行うための加熱状態調節部4aを配設し、前面の右側に高火力ガスこんろ部2bの点火、消火、火力調節の操作を行うための加熱状態調節部4bと、小火力ガスこんろ部2cの点火、消火、火力調節の操作を行うための加熱状態調節部4cとを配設してある。
上記各加熱状態調節部4は添付図面においては前後方向に移動自在な押釦により構成してあり、ガスこんろ部2の使用に当たっては、押釦よりなる加熱状態調節部4を押し操作して点火操作をすることで、後退していた加熱状態調節部4が前方に突出して器具栓がONとなり、流出するガス燃料にスパーク放電がなされてガスこんろ部2に点火される。この押釦よりなる加熱状態調節部4が前方に突出した状態で加熱状態調節部4を指で摘んで回動操作すると、前記回動角度がロータリーエンコーダにより検出されて制御部5に認識され、前記回動角度に応じた開度位置となるようにステッピングモータにより流量制御弁63の弁体が駆動されてガス流量が制御されて、ガスこんろ部2の火力調整ができるようになっている。一方、消火にあたっては、前方に突出している加熱状態調節部4を後方に押し操作することで器具栓がOFFとなってガスこんろ部2が消火される。
こんろ本体1の前面の下部には操作パネルPが収納自在に設けてある。添付図面に示す実施形態ではこんろ本体1の前面の左右の下部にそれぞれ操作パネルPが収納自在に設けてある。
こんろ本体1の前面の左右の下部にそれぞれ収納自在に設けた操作パネルPのうち、右側の操作パネルPにはグリル3に関する操作を行うためのグリル用調理設定入力部8が設けてあってこの操作パネルPがグリル側操作パネルとなり、左側の操作パネルPには温度センサ2d付きガスこんろ部2aによる調理設定の入力を行うためのガスこんろ部用調理設定入力部7が設けてあってこの操作パネルPがこんろ部側操作パネルとなっている。
図3(a)にはグリル用調理設定入力部8の一例を示しており、図3(b)にはガスこんろ部用調理設定入力部7の一例を示している。
グリル3による調理設定の入力を行うためのグリル用調理設定入力部8は図3(a)に示すように、グリル3の点火・消火操作をするための点火・消火スイッチ81、グリル3による調理時間(焼成時間)を設定するためのタイマスイッチ82、上火、下火の火力を切換るための火力切替スイッチ83、焼成するメニューを選んで該当する焼成物に対応した焼成制御を選択するためのメニュースイッチ84、焼き加減を調整するための焼き加減スイッチ85、上記タイマスイッチ82、火力切替スイッチ83、メニュースイッチ84、焼き加減スイッチ85等を操作して設定した各入力を取り消すための取消しスイッチ86等を備えている。
一方、温度センサ付きガスこんろ部2aによる調理設定の入力を行うためのガスこんろ部用調理設定入力部7は図3(b)に示すように、温度センサ2d付きガスこんろ部2aによる調理時間を設定するためのタイマスイッチ71、揚げ物、炊飯、湯沸し等の自動調理のメニューを設定するためのメニュースイッチ72、タイマスイッチ71やメニュースイッチ72を操作して設定した各入力を取り消すための取消しスイッチ76等を備えている。図3(b)の実施形態ではメニュースイッチ72として揚げ物スイッチ73、炊飯スイッチ74、湯沸しスイッチ75が設けてある。そして、揚げ物スイッチ73を押すことで揚げものを自動調理で行う揚げ物モードとすることができ、揚げ物スイッチ73を何回押すかで200℃、180℃、160℃といった複数種類の揚げ物の調理の中から目的とする温度の揚げ物調理が設定できるようにしてある。また、炊飯スイッチ74を押すことで炊飯を自動調理で行う炊飯モードとすることができ、炊飯スイッチ74を何回押すかでご飯、おかゆといった複数種類の炊飯の調理の中から目的とする炊飯の調理が設定できるようにしてある。また、湯沸しスイッチ75を押すことで湯沸しを自動調理で行う湯沸しモードとすることができ、湯沸しスイッチ75を何回押すかで自動消火、5分保温といった湯沸し後にすぐ消火するか、あるいは一定時間保温するかといった湯沸しを選択して設定できるようにしてある。これらのガスこんろ部用調理設定入力部7において温度センサ2d付きガスこんろ部2aにおける調理設定の入力が行われると、制御部5によりあらかじめ設定された制御内容に基づいて温度センサ2d付きガスこんろ部2aにおける火力調整、調理時間等が制御されるものであり、この場合、なべ底温度を温度センサ2d付きガスこんろ部2aに設けた温度センサ2dにより検出して、該温度センサ2dで検出したなべ底温度を制御部5に入力してフィードバック制御により火力調整を行うようになっている。
このように、ガスこんろ部2の使用に当たっては、手動により加熱を行う場合には、こんろ本体1の前面に露出している加熱状態調節部4を直接指で操作して制御部5に指令を与えて点火、火力調整、消火を行うと共に、自動調理を行う場合には、加熱状態調節部4の回動操作位置によらずに制御部5によりガス流量及び火力が調整されるものである。
また、自動調理の終了や、タイマ機能や、安全装置により異常が検知されることで、自動消火される場合があり、この場合には点火・消火操作部は器具栓をONとする状態であっても安全弁により燃料ガスが遮断されて消火される。
なお、本実施例では各ガスこんろ部2の分岐供給路61aにステッピングモータにより駆動される流量制御弁63を設け、加熱状態調節部4を操作することで制御部5を介して電動により火力調整を行っているが、手動により直接弁体を操作する手動式ガス流量調節弁を設けてもよい。この場合、前記手動式ガス流量調節弁と直列にガス流量を制限するための電磁弁62を設けることで自動調理が可能となるが、自動調理を行う場合には使用者が手動で前記手動式ガス流量調節弁を最大ガス流量位置に調節することで、より確実な自動調理が行われるものである。本実施例では、ステッピングモータにより駆動される流量制御弁63のみが設けてあり、自動調理を行う際には前記流量制御弁63を最小から最大の範囲内で任意のガス流量に制御するため、使用者が加熱状態調節部4を操作して手動で加熱を行う際の最大ガス流量に合わせるといった操作が不要である。
以下に、焦げ付き防止制御について図4に基づいて説明する。
制御部5は、温度センサ2d付きガスこんろ部2aにて調理容器を加熱しているときに、温度センサ2dの検知温度が第一の所定温度(本実施形態では70℃であり、以下単に「70℃」と記載する)以上か否かを判断する(#01)。検知温度が70℃以上でなければ、再びこのステップ(#01)の開始時に戻り、検知温度が70℃以上であれば、加熱停止温度(焦げ付きを未然に防止するための基準温度)を第一の所定温度よりも高い第二の所定温度(本実施形態では180℃であり、以下単に「180℃」と記載する)に仮設定する(#02)。前記第一の所定温度、第二の所定温度は適宜設定を行う。
加熱停止温度を180℃に仮設定した後、制御部5は、温度センサ2dの検知温度が150℃以上か否かを判断する(#03)。
ステップ(#03)において検知温度が第三の所定温度(本実施形態では150℃であり、以下単に「150℃」と記載する)より大きければ、油もの処理を実行し消火温度を第四の所定温度(本実施形態では270℃であり、以下単に「270℃」と記載する)に設定する(#04)。なお油もの処理は、詳細な説明を省略するが、油調理を行っている時の油の発火を防止するのが目的で、270℃程度の比較的高温に設定される油カット温度に到達した時に自動で加熱が停止されるものである。前記第三の所定温度、第四の所定温度は適宜変更可能である。
ステップ(#03)において検知温度が150℃に達していなければ、次に、検知温度が平衡状態となっているか否かを検知する(#05)。ここで、平衡状態の検知は、温度センサ2dの検知温度の上昇がほぼ飽和状態であるか否かで判断する。本実施形態では、制御部5が、検知温度が平衡状態となっているか否か、平衡状態となっていれば平衡温度が何度であるかを検知する平衡検知手段としての機能を備えている。
ステップ(#05)において平衡状態が検知されていない場合には、加熱停止温度以上か否かを判断し(#16)、加熱停止温度以上の場合には、加熱停止を行い(#09)、加熱停止温度に達していない場合には、ステップ(#03)の判断の開始時に戻る。
ステップ(#05)において平衡状態が検知されている場合には、検出した平衡温度を基にして、前記平衡温度+20℃を加熱停止温度として、以前の加熱停止温度をクリアして新たに設定する(#06)。なお加熱停止温度は、前記のように平衡温度+20℃に限定されず、適宜設定可能である。
ステップ(#06)において加熱停止温度を設定した後、温度センサ2dの検知温度が温度降下しているか否かが判断される(#07)。
ステップ(#07)において温度降下していない場合には、温度センサ2dの検知温度が加熱停止温度以上か否かが判断され(#08)、加熱停止温度以上の場合には、加熱停止を行い(#09)、加熱停止温度に達していない場合には、ステップ(#05)の平衡状態の検知の開始時に戻る。
ステップ(#07)において温度降下している場合には、次に、温度が降下する際の温度勾配が0.2℃/秒以下を継続しているか否かが判断される(#10)。
ステップ(#10)において、温度が降下する際の温度勾配が所定値(本実施形態では0.2℃/秒で、以下単に「0.2℃/秒」と記載する)以下を継続していなければ、急激な変化が起こったことを意味し、使用者によって被調理物の投入や鍋の置き換えなどが行われたことに起因する温度降下が生じたと想定し、その後、検知温度が70℃以下か否かが判断され(#11)、検知温度が70℃以下の場合には、加熱停止温度をクリアして(#12)、ステップ(#01)の温度センサ2dの検知温度が70℃以上か否かの判断の開始時に戻り、新たに開始する。
またステップ(#11)において検知温度が70℃以下でない場合には、ステップ(#05)の平衡状態の検知の開始時に戻る。
ステップ(#10)において、温度が降下する際の温度勾配が0.2℃/秒以下を継続している場合には、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態になっていると判断される。そして、検知温度が70℃以下か否かが判断され(#13)、検知温度が70℃以下の場合には、加熱停止温度をクリアせず(#14)、ステップ(#03)の温度センサ2dの検知温度が150℃以上か否かの判断の開始時に戻り、この点が従来の技術と異なっている。
すなわち従来の技術では、ステップ(#07)で温度降下を検知しても、本発明のようにステップ(#10)で温度が降下する際の温度勾配が0.2℃/秒以下であるか否かの判断を行わず、ステップ(#11)において検知温度が70℃以下になった時には、使用者によって被調理物の投入や鍋の置き換えなどが行われたことに起因する温度降下が生じたと想定し、ステップ(#12)において加熱停止温度を一旦クリアし、ステップ(#02)の焦げ付き防止制御を再スタートさせていた。そのため、熱伝導の悪い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態になった場合でも、温度降下によって検知温度が70℃以下になったときには、焦げ付き防止制御を再スタートさせて、焦げ付き防止温度としてステップ(#02)で仮設定された180℃が用いられることになり、温度センサ2dが180℃を検知するまで加熱されて被調理物が鍋に著しくこびりつく状態になる惧れがあった。
これに対し、本発明では、上述したように温度が降下する際の温度勾配が0.2℃/秒以下を継続している場合には、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水がなくなったものと判断して、検知温度が70℃以下となっても加熱停止温度をクリアしないため(#14)、温度降下前に設定された加熱停止温度が維持される。
従って、さらに加熱が進んで温度センサ2dの検知温度が上昇に転じた場合でも、新たに平衡検出することがなくても温度降下が始まる前に検出された平衡温度に基いて加熱停止温度が設定されているから、ステップ(#16)において温度降下前に設定された前記加熱停止温度より温度センサ2dの検知温度が高ければ加熱停止する。これにより、鍋の焦げ付きがひどくなる前に加熱が停止されるため被調理物が高温により鍋に著しくこびりつくことを未然に防げる。
またステップ(#13)において検知温度が70℃以下でない場合には、温度降下の下降勾配が0.2℃/秒以下を継続し且つ継続時間が所定時間(本実施形態では30秒であり、以下単に「30秒」と記載する)以上であるか否かが判断される(#15)。
ステップ(#15)において温度降下の下降勾配が0.2℃/秒以下を継続し且つ継続時間が30秒以上である場合には、加熱停止を行う(#09)。すなわち、鍋の温度が降下をしている時に、降下する温度勾配が0.2℃/秒よりも低い状態を30秒継続した場合には、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態になっているとみなし、検知温度が第一の所定温度未満に下がらなくても加熱を停止し、これにより、さらに加熱が進んで被調理物が鍋に焦げ付くのを防止することが可能となる。
なお、ステップ(#13)で検知温度が70℃以下の場合に、本実施形態のように加熱停止温度をクリアしないのではなく、加熱を停止してもよい。この場合、鍋の温度が降下をしている時に、降下する温度勾配が所定値よりも低い場合には、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態なっているものとみなし、検知温度が第一の所定温度未満に下がった時点で加熱が停止され、被調理物が鍋に焦げ付くのを防止することが可能となる。なお、この場合、降下する温度勾配が所定値よりも低い場合に検知温度が第一の所定温度と同じ温度である70℃未満に下がった時点で加熱を停止しているが、第一の所定温度とは異なる別の所定温度(例えば平衡温度−7℃)未満に下がった時に加熱を停止するなど適宜変更可能である。
またステップ(#15)において温度降下の下降勾配が0.2℃/秒以下を継続し且つ継続時間が30秒以上でない場合には、ステップ(#10)の平衡状態の検知の開始時に戻る。
また、制御部5が加熱手段の加熱量を検知可能であるため、検知温度の平衡を検知して加熱停止温度を設定した後で検知温度が平衡温度から降下した場合で、制御部5が加熱量の低下を検知せず且つ降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間(例えば30秒)継続した場合に、加熱を停止するようにしてもよい。
また、加熱調理器が報知手段を備え、制御部が報知手段により報知を行うのを可能とするものでもよい。この場合、降下する温度勾配が所定値よりも低い状態を所定時間(例えば25秒)継続した場合には、報知手段による報知を行うようにすることで、鍋の中の水が無くなって空焚き状態になっているか否かを使用者に確認させることができる。
本発明では、鍋の温度が降下をしている時に、降下する温度勾配が所定値よりも低い場合には、使用者によって被調理物の投入や鍋の置き換えなどが行われたのではなく、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている際に鍋の中の水が無くなって空焚き状態なっているものとみなし、検知温度が第一の所定温度未満に下がった場合でも、加熱停止温度を維持するようにしている。これにより、さらに加熱が進んで鍋の温度が上昇に転じた場合でも、鍋の温度が降下する前の平衡温度に基いて設定された加熱停止温度に到達した時に加熱が停止され、被調理物が鍋に焦げ付くのを防止することが可能となる。
これにより、鍋の種類や蓋の有無などによらず、熱伝導の低い鍋を用いて蓋をせずに調理を行っている場合でも、確実に焦げ付き防止が可能となるものである。