JP5314256B2 - 回転流体機械のシール装置および回転流体機械 - Google Patents
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Description
ラビリンスシールは、ハウジングなどの固定部と、回転軸などの回転部との間に配置され、ラビリンスシールと回転部の間、またはラビリンスシールと固定部の間には回転部の回転を確保するため、シール隙間が設けられている。
シール隙間にスワール流れが存在すると、回転軸の挙動を乱す励振力、つまり不安定化力が発生する可能性が知られている。この不安定化力は、回転機械内の高圧部と低圧部との圧力差が大きくなると大きくなることが知られている。
つまり、上述の案内溝等と固定部または回転部との間には回転部の回転を確保するために隙間が形成されており、スワール流れは流路抵抗の高い案内溝等ではなく、流路抵抗の低い上述の隙間を流れる傾向にある。そのため、案内溝等による周方向の速度成分の打ち消し、または取り除きが十分に行われないという問題があった。
本発明の回転流体機械のシール装置は、羽根車を有する回転軸を内部に回転可能に収納する筐体と、該筐体の内面に取り付けられ、前記回転軸に対して径方向または軸線方向の少なくとも一方に沿って延びるとともに、前記回転軸に対して周方向に並んで配置された複数の案内部と、前記複数の案内部における前記筐体に取り付けられた一の端部と反対側の他の端部をつなぎ、前記複数の案内部の間の空間と、前記羽根車と前記案内部との間の空間とを仕切る仕切り部と、環状突起であって、前記回転軸または前記仕切り部との間に第1隙間を形成し、前記羽根車と前記案内部との間の空間を通過する流体の流れを遮る第1シール部と、前記径方向に延びる環状突起であって、前記回転軸または前記筐体との間に第2隙間を形成し、前記複数の案内部の間の空間を通過した流体の流れ、および前記第1シール部を通過した流体の流れを遮る第2シール部と、が設けられ、前記複数の案内部は、前記羽根車側から流入する流体に対して前記回転軸の周方向の流速成分を低減させて、前記第2シール部側へ流体を流出させることを特徴とする。
さらに、シール装置における上述の軸線方向に沿う方向の長さを変えることなく、案内部における流体の流れに沿う方向の長さ、つまり径方向の長さを長くすることができる。そのため、流体に含まれる径方向の流速成分を流体が上述の複数の案内部の間を流れる間により確実に打ち消し、または取り除くことができる。
以下、本発明の第1の実施形態に係る圧縮機について図1から図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る圧縮機の構成を説明する模式図である。
圧縮機(回転流体機械)1は、モータなどの外部の動力源から回転駆動力の供給を受けて、高圧のガスを供給するものである。本実施形態では、本発明の単段の圧縮機に適用して説明する。
低圧側流路12は、回転軸3の軸線方向に沿って延びる流路であって、インペラ4の端部を覆うように形成された流路である。
回転軸3には、図1に示すように、中央部に径方向外側に延びるインペラ4が設けられている。
インペラ4には、複数の回転翼21と、ディスク22と、シュラウド23と、が設けられている。なお、インペラ4にシュラウド23が設けられていなくてもよく、特に限定するものではない。
回転翼21は、ディスク22およびシュラウド23の間に、回転軸3の周方向に等間隔に、かつ軸線方向に延びて配置されている。
シュラウド側シール部24は、インペラ室13からシュラウド23に向かって延びる環状の突起であって、ラビリンスシールを形成するものである。
シール装置5には、複数の案内板(案内部)31と、仕切り板(仕切り部)32と、第1シール部33と、第2シール部34とが設けられている。
複数の案内板31は、シール装置5を通過する漏れ流れに含まれる周方向の流速成分を打ち消し等する翼状の部材である。
案内板31は、図1から図3に示すように、インペラ室13のディスク22と対向する面であって、回転軸3の近傍に、回転軸3の軸線方向に沿って延びるとともに、周方向に等間隔に配置されている。さらに、案内板31は、径方向外側に向かって、回転軸3の回転方向と逆方向に傾いて配置されている。
仕切り板32は、径方向に延びるリング板状の部材であって、複数の案内板31におけるディスク22側の端部を繋ぐように配置されるものである。
第1シール部33は、仕切り板32の内周端部から回転軸3に向かって、つまり径方向内側に向かって延びる環状突起であり、回転軸3との間に第1隙間35を形成するものである。
第2シール部34は、筐体2における回転軸3と対向する面に、筐体2から回転軸3に向かって、つまり径方向内側に向かって延びる複数の環状突起であり、ラビリンスシールを形成するものである。第2シール部34と回転軸3との間には第2隙間36が形成されている。
外部から回転駆動力が供給された圧縮機1は、回転軸3を介してインペラ4が回転駆動される。インペラ4が回転駆動されると、回転翼21の間のガスは回転翼21とともに回転され、遠心力により径方向外側へ送り出される。一方、回転翼21の間には、低圧側流路12から低圧のガスが流入する。
インペラ室13とシュラウド23との間に流入した高圧ガスは、圧力差により低圧側流路12に向かって流れる。この流れは、シュラウド側シール部24により遮られ、流れの流量が絞られる。
この流れは、回転軸3と筐体2との間に配置されたシール装置5により遮られ、流れの流量が絞られる。シール装置5における漏れガスの流れについては、以下に詳しく述べる。
上述のように、インペラ室13とディスク22との間を流れるディスク背面流れには、ディスク22の回転により、回転軸3の回転方向の流速成分が含まれ、スワール流れまたは旋回流れとなる。
案内板31の流出端部の近傍領域では、案内板31は径方向に沿って延びているため、案内板31の間から流出するディスク背面流れには、回転方向の流速成分は含まれていない。
なお、本実施形態では、第1隙間35は十分に狭く、第1シール部33による流れを遮る機能が十分に作用している例に適用して説明している。
なお、第2シール部34により遮られるガス流れの一部は、第2シール部34と回転軸3との間の第2隙間36を通過して、大気に流出する。
さらに、シール装置5における上述の軸線方向に沿う方向の長さを変えることなく、案内板31におけるディスク背面流れに沿う方向の長さ、つまり径方向の長さを長くすることができる。そのため、ディスク背面流れに含まれる径方向の流速成分を流体が上述の複数の案内板31の間を流れる間に、より確実に打ち消し、または取り除くことができる。
なお、上述の実施形態のように、第1シール部33および第2シール部34は径方向内側に向かって延びる環状突起であって、回転軸3との間にそれぞれ第1隙間35および第2隙間36を形成してもよいし、図4に示すように、第1シール部33および第2シール部34を径方向外側に向かって延びる環状突起とし、第1シール部33と仕切り板32との間に第1隙間35を形成し、第2シール部34と筐体2との間に第2隙間36を形成してもよく、特に限定するものではない。
次に、本発明の第1の実施形態の第1変形例について図5および図6を参照して説明する。
本変形例の圧縮機の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、シール装置の構成が異なっている。よって、本変形例においては、図5および図6を用いてシール装置の構成周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図5は、本変形例に係る圧縮機におけるシール装置の構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
段差部103における、回転軸3の軸線方向の長さは、少なくともディスク22から仕切り板32まで隙間より長く、段差部103の厚さ、つまり段差部103の内周面から外周面までの厚さは、第2隙間36よりも厚く形成されている。
第1シール部33と段差部103との間に形成された第1隙間35を通過したディスク背面流れは、回転軸3の軸線方向に沿って流れ、第2シール部34の環状突起、または筐体2に衝突して遮られる。
以後のガスの流れは、第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
なお、上述の実施形態のように、第1シール部33および第2シール部34は径方向内側に向かって延びる環状突起であって、段差部103との間に第1隙間35を形成し、回転軸3との間に第2隙間36を形成してもよいし、図6に示すように、第1シール部33および第2シール部34を径方向外側に向かって延びる環状突起とし、第1シール部33と仕切り板32との間に第1隙間35を形成し、第2シール部34と筐体2との間に第2隙間36を形成してもよく、特に限定するものではない。
次に、本発明の第1の実施形態の第2変形例について図7を参照して説明する。
本変形例の圧縮機の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、シール装置の構成が異なっている。よって、本変形例においては、図7を用いてシール装置の構成周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図7は、本変形例に係る圧縮機におけるシール装置の構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
段差部203における、段差部203の厚さ、つまり段差部203の内周面から外周面までの厚さは、第1隙間35よりも厚く、より好ましくは第1隙間35から流出したガス流れの境界層厚さより厚く形成されている。さらに、第2隙間36の回転軸3からの距離つまり径方向の位置は、第1隙間35よりも離れている、つまり外径側に位置している。
第1シール部33と回転軸3との間に形成された第1隙間35を通過したディスク背面流れは、回転軸3の外周面に沿って流れ、段差部203の端面、つまり回転軸3に段差部203を設けたことにより形成された段差面に当たる。
以後のガスの流れは、第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
次に、本発明の第2の実施形態について図8から図10を参照して説明する。
本実施形態の圧縮機の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、シール装置の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図8から図10を用いてシール装置の構成周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図8は、本実施形態に係る圧縮機のシール装置の構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
複数の案内板331は、シール装置305を通過する漏れ流れに含まれる周方向の流速成分を打ち消す等する板状の部材である。
案内板331は、図8から図10に示すように、筐体2の回転軸3と対向する面に、回転軸3の軸線方向および径方向に沿って延びるとともに、周方向に等間隔に配置されている。
仕切り板32は、回転軸3の軸線方向に延びる円筒状の部材であって、複数の案内板331における回転軸3側の端部を繋ぐように配置されるものである。
第1シール部333は、仕切り板332の外周面における中央部から回転軸3に向かって、つまり径方向内側に向かって延びる環状突起であり、回転軸3との間に第1隙間35を形成するものである。
段差部303における、段差部303の厚さ、つまり段差部303の内周面から外周面までの厚さは、第1隙間35よりも厚く、つまり第1隙間35から流出したガス流れの境界層厚さより厚く、より好ましくは、径方向における案内板331の中間位置付近までの厚さに形成されている。さらに、第2隙間36の回転軸3からの距離つまり径方向の位置は、第1隙間35よりも離れている、つまり外径側に位置している。
ガス流れに含まれる周方向の流速成分は、案内板331の間に形成された流路を流れる間に打ち消し、または取り除かれる。
次に、本発明の第2の実施形態の第1変形例について図11から図13を参照して説明する。
本変形例の圧縮機の基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、シール装置の構成が異なっている。よって、本変形例においては、図11から図13を用いてシール装置の構成周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図11は、本変形例に係る圧縮機のシール装置の構成を説明する模式図である。図12は、図11のシール装置の構成を説明するD−D断面視図である。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
案内板431は、図11および図12に示すように、筐体2の回転軸3と対向する面に、回転軸3の径方向に沿って延びるとともに、周方向に等間隔に配置されている。さらに、案内板431は、軸線方向のディスク22側に向かって、回転軸3の回転方向と逆方向に湾曲して配置されている。
以後のガス流れについては、第2の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
なお、上述の実施形態のように、第1シール部333および第2シール部34は径方向内側に向かって延びる環状突起であって、回転軸3との間に第1隙間35を形成し、段差部303との間に第2隙間36を形成してもよいし、図13に示すように、第1シール部333および第2シール部34を径方向外側に向かって延びる環状突起とし、第1シール部333と仕切り板32との間に第1隙間35を形成し、第2シール部34と筐体2との間に第2隙間36を形成してもよく、特に限定するものではない。
次に、本発明の第2の実施形態の第2変形例について図14および図15を参照して説明する。
本変形例の圧縮機の基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、シール装置の構成が異なっている。よって、本変形例においては、図14および図15を用いてシール装置の構成周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図14は、本変形例に係る圧縮機のシール装置の構成を説明する模式図である。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
第1シール部533は、図14に示すように、回転軸3の軸線に沿って、段差部303の段差面に向かって延びる環状突起であり、段差部303との間に第1隙間35を形成するものである。
以後のガス流れについては、第2の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
なお、上述の実施形態のように、第1シール部533が軸線方向に沿って段差部303の段差面に向かって延びる環状突起としてもよいし、図14に示すように、第1シール部533を軸線方向に沿って仕切り板332に向かって延びる環状突起とし、第1シール部533と仕切り板32との間に第1隙間35を形成してもよく、特に限定するものではない。
例えば、上記の実施の形態においては、この発明を単段の圧縮機に適用して説明したが、この発明は圧縮機に限られることなく、エキスパンダなどの他の回転流体機械に適用できるものである。
ここで、エキスパンダとは、例えば、工場の他の装置などに供給される高圧ガスの余剰分などが挙げられる。エキスパンダは、このような高圧ガスの有するエネルギを回転エネルギに変換し、モータなどによる回転駆動の補助として用いられるものである。
2 筐体
3 回転軸
4 インペラ(羽根車)
5,105,205,305,405,505 シール装置
31,331,431 案内板(案内部)
32,332 仕切り板(仕切り部)
33,333,533 第1シール部
34 第2シール部
35 第1隙間
36 第2隙間
103,203,303 段差部(段差部)
Claims (7)
- 羽根車を有する回転軸を内部に回転可能に収納する筐体と、
該筐体の内面に取り付けられ、前記回転軸に対して径方向または軸線方向の少なくとも一方に沿って延びるとともに、前記回転軸に対して周方向に並んで配置された複数の案内部と、
前記複数の案内部における前記筐体に取り付けられた一の端部と反対側の他の端部をつなぎ、前記複数の案内部の間の空間と、前記羽根車と前記案内部との間の空間とを仕切る仕切り部と、
環状突起であって、前記回転軸または前記仕切り部との間に第1隙間を形成し、前記羽根車と前記案内部との間の空間を通過する流体の流れを遮る第1シール部と、
前記径方向に延びる環状突起であって、前記回転軸または前記筐体との間に第2隙間を形成し、前記複数の案内部の間の空間を通過した流体の流れ、および前記第1シール部を通過した流体の流れを遮る第2シール部と、が設けられ、
前記複数の案内部は、前記羽根車側から流入する流体に対して前記回転軸の周方向の流速成分を低減させて、前記第2シール部側へ流体を流出させることを特徴とする回転流体機械のシール装置。 - 前記複数の案内部における前記他の端部は、前記回転軸から径方向外側に延びる羽根車と対向し、
前記仕切り部は、前記径方向に延びるとともに、前記他の端部をつなぐリング板状に形成され、
前記複数の案内部の間の空間を前記径方向内側に向かって、前記流体を通過させることを特徴とする請求項1記載の回転流体機械のシール装置。 - 前記複数の案内部における前記他の端部は、前記回転軸の外周面と対向し、
前記仕切り部は、前記軸線方向に延びるとともに、前記他の端部をつなぐ円筒状に形成され、
前記複数の案内部の間の空間を前記軸線方向に沿って、前記流体を通過させることを特徴とする請求項1記載の回転流体機械のシール装置。 - 前記第1シール部は、前記径方向に延びる環状突起であって、
前記回転軸における前記第1シール部または前記第2シール部と対向する位置に、前記回転軸の外周面を拡径する段差部が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の回転流体機械のシール装置。 - 前記案内部は、前記径方向または前記軸線方向に沿って延びる板状の部材であることを特徴とする請求項1記載の回転流体機械のシール装置。
- 前記案内部は、前記径方向または前記軸線方向に沿って延びる翼状の部材であり、前記回転軸の回転方向に向かって湾曲していることを特徴とする請求項1記載の回転流体機械のシール装置。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載のシール装置が設けられていることを特徴とする回転流体機械。
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