JPH05296190A - ターボ機械 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】流体機械の性能・効率を向上した動力回復装置
を提供する。 【構成】シールラビリンス１，回転軸２，回転軸上に形
成される翼４（翼列４′）により構成される装置。 【効果】ターボ式流体機械の回転軸に簡略な翼を複数枚
設置することで、高圧部からの流体の漏洩を利用して、
流体機械の性能・効率を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば、遠心圧縮機，
送風機，ポンプ，タービンなどのターボ式流体機械に関
する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ターボ式流体機械は、高圧部の
流体が低圧部へ漏れ出ることを防ぐために、例えば、図
３に示すような漏洩防止用の軸封装置を、その軸端部に
有している。即ち、高圧部の流体３は、複数の突起部を
有するシールラビリンス１と回転軸２から構成される軸
封装置を介して低圧部の流体３′とつながっているた
め、相互の間に圧力差が生じている場合にも、前述した
ような形状のシールラビリンス構造により、高圧部の流
体は、容易には低圧部へ流出せず、漏洩量は、比較的少
量に抑えられる（機械工学便覧Ｂ５・流体機械１１８ペ
ージに記載されたラビリンスシールの例）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述したように軸封装
置を有した流体機械でも、ある量の流体が高圧部から低
圧部へ漏洩しており、その量は、高圧部と低圧部との圧
力差が大きい程、多い。

【０００４】一般に漏洩する流体の量は、その流体機械
が扱う流体絶体の量に比して特に考慮しなければならな
い程多くないが、高圧のＣＯ₂ 圧縮機などでは、漏洩す
る流体の量が全体の取扱流量の数％にのぼることもあ
り、高圧の流体の漏洩に伴うエネルギの損失も大きく、
そのため、ターボ式流体機械の流体性能を悪化させてし
まう。

【０００５】本発明の目的は、高圧流体の漏洩によるエ
ネルギの損失が無視できない場合の軸封機構に対して、
良好な流体性能を発揮するターボ式流体機械を提供する
ことにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前述のような、漏洩によ
るエネルギ損失の課題を解決するために、本発明は、従
来型の軸封装置の低圧側の回転軸上に複数枚の翼を設け
ることにより軸封部からの漏れ流れが持つ運動エネルギ
を回収し、回転軸の回転エネルギとして使用することを
特徴とした。

【０００７】

【作用】即ち、本発明に係わる動力回復装置では、あら
かじめ、軸封部よりの流体の漏洩に対処して複数枚の翼
からなる動力回復装置を回転軸の一部に装備することに
より、漏洩によるエネルギ損失の一部をターボ機械の回
転エネルギとして吸収・利用することが可能である。

【０００８】この装置により、全体として従来よりも良
好な流体性能・効率を有するターボ式流体機械の設計・
製作を比較的容易に行うことが可能である。

【０００９】

【実施例】本発明の実施例を、図１に基づき説明する。
図１（ａ）は本発明の一実施例に係わる動力回復装置の
説明図である。

【００１０】図において、翼４は図１（ｂ）に示すよう
に、各々、回転軸２上に機械加工により削り出されて形
成されている。翼はスリーブ上に加工し、回転軸に焼ば
めするなどしても良い。図１（ａ）はシールラビリンス
構造付近のターボ機械の断面図であり、図２（ａ）は、
回転軸表面を平面状に展開して示した図である。

【００１１】このような構造の軸封部付近の流体の流れ
は図２（ａ）に示すように回転軸の回転方向に沿う周方
向成分と、ラビリンスを垂直に回転軸の長さ方向に沿っ
て低圧側へ向う軸方向成分から成る。

【００１２】今、このような流れが存在する軸封構造付
近に図２（ａ）に示すように翼列４′を回転軸上に配置
する。この翼列４′は軸封部の流れ方向を図２（ａ）に
示すように転向させることにより流体から回転方向へ仕
事を受けることになる。これが回転軸の回転エネルギと
して回収するエネルギであり、翼列の出入口部での速度
成分を図２（ｂ)，(ｃ）のように表わすと、次のように
なる。

【００１３】 Ｌ＝ρ・Ｑ・（ｕ₁ｃｕ₁−ｕ₁ｃｕ₂） （ｋＷ） ただし、ρ：流体の密度（kgS²／ｍ⁴) Ｑ：単位時間当りの漏洩量（ｍ³／ｓ） 以上のような装置を軸封部に設置した場合、本来の流体
機械としての特性を損なうことなく、漏洩によるエネル
ギの損失を最小限に抑えることができ、省エネルギ化に
寄与する。

【００１４】

【発明の効果】本発明によれば、設計・製作も比較的容
易である上、装備した流体機械自体の特性を損なうこと
なく、性能・効率を向上させることが可能である。

【００１５】また、一般に非常な精密さを要するラビリ
ンス部の加工精度をある程度低下させても、機械の性能
・効率を犠牲にすることがないため、加工の簡略化によ
る経済性の向上が図られる。

【００１６】さらに、ターボ流体機械がその運転中、た
とえば、不測の振動発生などにより、ラビリンス先端部
と回転軸が接触し、ラビリンス先端部を損傷した場合に
も、ラビリンスの損傷が引き起こす流体の洩れ量の増加
に伴うエネルギの損失を回転エネルギの形で回収でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示すラビリンス構造と動力回
復装置の全体構成を表す中央縦断面図。

【図２】回転軸の要部を示す説明図（ａ），展開図
（ｂ）。

【図３】従来のターボ式流体機械の軸封装置の説明図。

【符号の説明】

１…シールラビリンス、２…回転軸、３…高圧部、３′
…低圧部、４…翼、４′…翼部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ターボ式流体機械において高圧部から漏洩
   する流体の運動エネルギを回転軸上に設置した翼列によ
   り回収し回転エネルギとして利用するとことを特徴とす
   るターボ機械。