JP5311775B2 - 圧電体素子、インクジェットヘッド及び圧電体素子の製造方法 - Google Patents

圧電体素子、インクジェットヘッド及び圧電体素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録装置に使用される圧電体素子及びインクジェットヘッド並びに圧電体素子の製造方法に関する。
圧電体素子は、電気エネルギーを機械的な変位、応力及び振動等、機械エネルギーに変換するほか、その逆の変換を行う素子であり、発生する屈曲変位によりユニモルフ型やバイモルフ型等のタイプがある。このような圧電体素子は、例えば、インクジェット記録装置のインクジェットヘッド、マイクロホン、発音体(スピーカーなど)、各種振動子や発振子、更にはセンサー等に多用されている。近年、印字性能がよく取り扱いが簡単である、低コストであるなどの理由からパソコンなどの印刷装置としてインクジェットヘッドを用いたプリンタが広く普及している。このインクジェットヘッドには熱エネルギーによってインク等の液体中に気泡を発生させ、その気泡による圧力波により液滴を吐出させるもの、静電力により液滴を吸引吐出させるもの、圧電体素子のような振動子による圧力波を利用したもの等種々の方式がある。
圧電体素子を用いたインクジェットヘッドとして、例えば、図1に示すものが知られている。図1に示したインクジェットヘッドでは、複数の圧力室61が配列された基体41上に、振動板42を介して、2か所以上の圧力室61を覆う大きさに連続形成された圧電体膜45が設けられる。そして、この圧電体膜45を上下から挟む上部電極46及び下部電極44のうちの少なくとも一方は、各圧力室61ごとに分離して形成され、圧電体膜45に各圧力室61ごとに圧電駆動領域が形成される。この圧電駆動領域は、圧電体膜45と平行な面方向において対応する圧力室61より小さく、圧力室61の周縁との間に全周に亘って間隔を設けて配置される。そして圧電体膜45に所定の電圧を印加して圧電体膜45を伸縮させることにより振動板42に撓み振動を起こさせて、圧力室61内のインク等の液体を加圧し、液吐出口53から液滴を吐出させる。
近時、カラーのインクジェットプリンタが普及してきたが、その印字性能の向上、特に高解像度化及び高速印字さらにはインクジェットヘッドの長尺化が求められている。そのためインクジェットヘッドを微細化したマルチノズルヘッド構造を実現することが求められている。そして、液体噴射ヘッドを微細化するために、液体を吐出させるための圧電体素子を小型化することが必要となり、更に、圧電体素子を小型化するために、微細化しても駆動能力が低減しない高い圧電定数を持つ圧電体素子が必要となる。
従来、圧電体素子に用いられる圧電体膜には、例えば、PbO、ZrO2及びTiO2の粉末のペーストをシート状に成型加工してグリーンシートを作成した後、これを焼結して得られるPZT系圧電材料が用いられている。しかし、この方法によるPZT系酸化膜は、例えば10μm以下の厚さに形成することは困難である。また、グリーンシートの焼結は1000℃以上の温度で行うため、加熱時に圧電体膜が70%程に収縮してしまうという問題があった。圧電体膜とインク室等の構造体とを数ミクロンオーダーの寸法精度で位置合わせをすることは困難であることから、満足できる小型の圧電体素子は得られていない。
現在報告されている上記以外の圧電体膜の作製方法としては、スパッタ法や化学気相成長法(CVD法と表すことがある)、分子線エピタキシャル法(MBE法と表すことがある)、ゾルゲル法などの酸化物の圧電体膜を作製する方法がある。これらの方法を用いると膜厚が10μm以下の圧電体膜を得ることができる。
しかし、スパッタ法やCVD法、MBE法、ゾルゲル法などの成膜法による薄膜では、バルクセラミックス同等の特性が得られていないという課題がある。この課題を解決するために、例えば特許文献1には、(001)面に結晶配向を制御する方法が、また特許文献2には正方晶構造の(100)面と(001)面配向とが混在するドメイン構造エピタキシャル膜の作製方法が提案されている。また、特許文献3には配向制御層により、(100)面配向させ、更に残留応力をゼロないし圧縮応力にする方法が提案されている。
しかし、特許文献1開示の方法でも、高電界側では、バルクセラミックス同等の特性が出ないため圧電体素子としての機能に劣る物である。
また、特許文献2開示の方法では、特性の良い組成相境界(MorphotropicPhase Boundary)領域(MPB領域と表すことがある)を利用出来ないこと、及び再現性良く(100)配向と(001)配向の割合を制御出来ない課題がある。また、(100)配向の割合、即ち[100]軸の割合が多過ぎる膜では、90度ドメイン効果の寄与が大きくなり、薄膜素子では、膜の耐久性に劣るという問題がある。
ここで、「90度ドメイン効果」とは、正方晶構造の(100)配向をaドメイン、(001)配向をcドメインとしたときこれらが混在する90°ドメインを利用するものである。これは、aドメインがcドメインに、cドメインがaドメインにと可逆的に変化することにより、それらの格子定数の差分の歪の効果であり、通常の分極方向での伸縮に対して、はるかに大きい圧電定数を示すものである。
また、特許文献3では、(100)面配向と(001)面配向の制御が不可能であり、圧電体膜の面内の異方性をもつ90°ドメインの形成は不可能である。
特開平8−116103号公報 特開2000−332569号公報 特開2005−119166号公報
本発明は上記問題点を解決することを目的としたものであり、圧電特性が高く、かつ耐久性の良好な圧電体素子、これを有する変位制御性及び耐久性に優れたインクジェットヘッド及び圧電体素子の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決した本発明の圧電体素子は、基体上に設けられた圧電体膜と該圧電体膜に接して設けられた一対の電極とを有する、ベンディングモードを利用する圧電体素子において、前記圧電体膜が、正方晶の結晶からなるドメインを有し、該ドメインが、前記圧電体膜の膜面と平行に(100)面が配置された結晶からなるドメインであるaドメインを有し、該aドメインが、主に前記圧電体膜の撓む方向に対して±6度の許容範囲内で平行となる様に(001)面の法線軸を持つドメインであるAドメインと、主に前記圧電体膜の撓む方向に対して±6度の許容範囲内で直交する様に(001)面の法線軸を持つドメインであるBドメインと、を有し、前記Aドメインの体積及び前記Bドメインの体積の合計に対する前記Aドメインの体積の割合が50体積%より多いことを特徴とする。
また、本発明のインクジェットヘッドは、上記本発明の圧電体素子を有することを特徴とする。
また、本発明の圧電体素子の製造方法は、上記本発明の圧電体素子の製造方法において、前記基体上に前記圧電体膜を形成する形成工程と、前記基体の、前記圧電体膜が形成されていない側の面に長方形の開口部を形成する開口工程と、前記形成工程時の前記基体の温度より高い温度に前記基体を加熱する加熱工程と、をこの順に有し、前記加熱工程より前の時点で前記基体は前記圧電体膜より線熱膨張係数が大きいことを特徴とする。
本発明によれば、圧電特性が高く、変位制御性に優れ、かつ耐久性の良好な圧電体素子を提供することができる。また、本発明により、インク吐出安定性、吐出力に優れたインクジェットヘッドを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[圧電体素子]
本発明の圧電体素子は、上述したように、基体上に設けられた圧電体膜と該圧電体膜に接して設けられた一対の電極とを有する、ベンディングモードを利用する圧電体素子である。前記圧電体膜は、正方晶系の結晶からなるドメインを有している。本発明においては、この圧電体膜の膜面と平行に(100)面が配置された結晶からなるドメインをaドメイン、この圧電体膜の膜面と平行に(001)面が配置された結晶からなるドメインをcドメインとする。また、aドメインのうち、主に圧電体膜の撓む方向に対して±6度の許容範囲内で平行となる様に(001)面の法線軸を持つ結晶からなるドメインをAドメインとする。また、圧電体膜の主に撓む方向に対して±6度の許容範囲内で直交する様に(001)面の法線軸を持つ結晶からなるドメインをBドメインとする。
本発明の圧電体素子は、圧電体膜が、Aドメインの体積及び前記Bドメインの体積の合計に対するAドメインの体積割合が50体積%より多いことを特徴とする。また、好ましくは、前記体積割合が60体積%より多く、より好ましくは、前記体積割合が80体積%より多い圧電体膜である。
ここで、「主に圧電体膜の撓む方向」とは、図2に示すベンディングモードの圧電体素子において、電圧を印加して圧電体素子を歪ませたときに、最も曲率が高くなる方向(図2における方向1)をいう。
前記圧電体素子は、ベンディングモードの圧電体素子であり、前記圧電体膜を少なくとも正方晶系の結晶からなるドメインを有するものとしている。かつ、前記圧電体膜を、前記Aドメインの体積及び前記Bドメインの体積の合計に対する前記Aドメインの体積割合が50体積%より多いものとしている。これにより本発明の圧電体素子は、非常に大きい変位量を持つものとなる。これは圧縮応力の開放による90°ドメインのでき方として、前記圧電体素子の主に撓む方向に対して±6度の許容範囲内で平行となる様に(001)面の法線軸をもつAドメインの割合が増え、該方向の撓み量が大きくなり非常に大きい変位量を持つと考えられる。
本発明の圧電体素子は、上記構成を有するものであれば、特に制限されるものではない。図3に、本発明の圧電体素子の実施形態の一例を示す。図3に示す実施形態の圧電体素子は、基体41、振動板42、バッファ層43、下部電極44、圧電体膜45及び上部電極46が順次積層された積層構造を有する。基体41の一部は、前記圧電体膜が成膜されていない基体裏面側を長方形等の形状にエッチングして該基体の一部に開口部を形成してもよい。又は、図3に示されているように圧電体素子の振動板として機能する2〜10μmの厚さを有する薄肉部を基体に形成し、上部の振動板42と足し合わせて振動板として機能するようにしてもよい。
本発明の圧電体素子における基体の材質としては、結晶性のよいものが好ましく、例えば、Siなどが好ましい。具体的にはSi上にSiO2膜を形成したSOIなどを挙げることができる。また、線熱膨張係数が圧電体膜より大きいSrTiO3が好ましい。基体の厚さは、例えば、100μm〜1000μmとすることができる。
上記振動板は圧電体膜の変位を伝達するために設けられ、基体に対して格子整合性が高く、振動板として機能するために十分にヤング率の高いものが好ましい。振動板の材質としては、例えば、安定化ジルコニアやSrTiO3などが好ましい。また、基体としてSOIを用いた場合は、Si単結晶層上のSiO2層を振動板として用いてもよい。また、上述したように、基体の一部とバッファ層を足し合わせた層を振動板としてもよい。振動板の厚さは、例えば、2μm〜10μmとすることが好ましい。
上記バッファ層は、基体の結晶格子定数と圧電体膜の結晶格子定数との格子整合性を合わせる役割をも担うために設けられ、基体と圧電体膜相互間で格子整合性がよい場合は省略することもできる。また、本発明におけるバッファ層の役割として圧電体膜に圧縮応力をかけることが重要である為に、圧縮応力をかけることが可能な材料を選択することが好ましい。バッファ層は単層構造としてもよいし、複数層を有する積層構造として、その機能を達成するようにしてもよい。バッファ層の材質としては、直下に設ける振動板に対しても結晶格子整合性が高い材質であることが好ましい。基体の材質がSiの場合、例えば、安定化ジルコニアYSZ(Y23−ZrO2)、CeO2、SrTiO3などが好ましい。また、基体の材質がSrTiO3の場合は、基体の格子定数が圧電体膜との格子整合性が高い為に、敢えてバッファ層を必要としないが、あっても良い。
上記下部電極は、図3に示したようにバッファ層43の直上に設けられても、振動板42とバッファ層43間に設けられていてもよい。また、バッファ層を設けない場合はバッファ層の機能を兼備するものであってもよく、この場合は、下部電極は振動板上に密着性を向上させるための密着層を介して設けてもよい。下部電極の材質としては、白金族の金属や、これらの酸化物系導電材料が好ましい。下部電極の材質として、具体的には、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等の白金族金属や、SrRuO3、LaScCoO3、BaPbO3、RuO2等の酸化物系導電材料を挙げることができる。
密着層の材質としては、例えばTi、Cr、Irなどの金属や、これらの酸化物であるTiO2、IrO2などを挙げることができる。
このような下部電極44は、その上に設けられる圧電体膜の配向結晶方位に影響を及ぼすため、下部電極面における優先配向結晶方位が[100]、[110]、[111]のいずれかであることが好ましい。下部電極面における優先配向結晶方位が[100]、[110]又は[111]であるとき、その上に形成される圧電体膜45の優先配向結晶方位は[100]、[001]となり、これらが圧電体膜面に平行に配向する。
このような下部電極において結晶配向率は80%以上であることが好ましい。この結晶配向率とは、XRD(X線回折)のθ―2θ測定による下部電極の優先配向結晶方向[100]の時(n00)のピークの積分強度の和が全配向のピークの積分強度の和に対する比である。同様に、優先配向結晶方向[110]の時(nn0)のピークの積分強度の和が全配向のピークの積分強度の和に対する比であり、優先配向結晶方向[111]の時(nnn)のピークの積分強度の和が全配向のピークの積分強度の和に対する比である。下部電極の結晶配向率が80%以上であれば、下部電極が良好な電気特性を有し、その上に設けられる圧電体膜45が優れた結晶性を有するものとなる。下部電極の結晶配向率は90%以上であることがより好ましい。
また、下部電極の膜厚は100nm以上、1000nm以下とすることが好ましい。また密着層を設ける場合、密着層の膜厚は5nm以上、300nm以下とすることが好ましく、10nm以上、70nm以下とすることがより好ましい。
本発明の圧電体素子における圧電体膜は、下記化学式(1)
(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)Oz (1)
(式中、Mは、La、Ca、Ba、Sr、Bi、Sb、W、Nbから選択されるいずれか1種類の元素を示す。また、x、xm、y及びzは、それぞれ、0≦x<0.2、1.0≦xm≦1.3、0.40≦y<0.65、2.5≦z≦3.0の関係を満たす実数を示す。)
で表される圧電材料からなる圧電体膜であることが好ましい。具体的には、例えば、
(Pb0.94La0.061.2(Zr0.45Ti0.55)O3
(Pb0.85La0.151.2(Zr0.45Ti0.55)O3
等の圧電材料を挙げることができる。
本発明の圧電体素子においては、基体又はバッファ層材料として圧電体膜より線熱膨張係数の大きな材料を選択することが好ましい。このようにすると、圧電体膜は、圧電体膜が成膜されていない基体裏面側をエッチングし基体の一部に開口部又は薄肉部(薄肉の厚さは1〜10μmが好ましい)を形成して振動板を形成すると、エッチング前に圧電体膜にかかっていた圧縮応力が開放される。
図6は本発明に係る製造工程を示すブロック図であり、図7(a)〜(e)は本発明に係る製造工程を示す断面図である。本発明では、基体裏面側をエッチングし基体の一部に開口部又は薄肉部を形成した(図6の工程(4)及び図7(d))後に、圧電体膜の成膜時の基体温度より高温で圧電体膜の加熱処理を行う(図6の工程(5)及び図7(e))。これにより圧電体膜内にaドメインとcドメインが混在した状態である90°ドメインが形成される。
さらに本発明では、例えば、圧電体膜を形成した後に、基体裏面側をエッチングし基体の一部に開口部又は薄肉部を設けて振動板を形成する時に、通常、開口部又は薄肉部の形状は面内方向に円形の完全な等方ではなく、短手、長手がある形状とされる。このような開口部又は薄肉部とすると、加熱処理によって90°ドメインを形成する時に、長手方向より短手方向に、より圧縮応力が開放され、aドメインの面内方向に異方性が生じる。このとき、短手方向と同一方向に(001)面の法線軸を持つaドメインをAドメインとする。また、長手方向と同一方向に(001)面の法線軸を持つaドメインをBドメインとする。
このとき、Aドメインの体積はBドメインの体積に対して増える。このような圧電体素子においては、大きく変位させるために支配的な大きな圧電定数を有する方向は短手方向であり、Aドメインの変位に対する寄与は、等方的なものに対して大きくなる。したがって、本発明における圧電体膜は、90°ドメインによる大きい圧電定数を利用する為に、大きく歪ませたい方向の90°ドメインをより多く有するようにしたものである。
本発明における圧電体膜のaドメイン、cドメイン、双晶構造及びこれらの体積割合はX線回折の逆格子マッピング法や対称面の極点測定法により確認できる。さらに、特開2003−98124号公報に記載の方法により測定することもできる。また、結晶相はX線回折の逆格子マッピング法により判断できる。エピタキシャル単結晶膜あるいは一軸配向膜はX線回折θ―2θ法、ロッキングカーブ法、非対称面の極点測定法により確認できる。上述したように、圧電体膜の結晶構造はX線回折により容易に確認することが出来るが、例えば透過型電子顕微鏡(TEMと表すことがある)による断面観察等によって確認してもよい。
また、圧電体膜のZr/(Zr+Ti)等の組成比は誘導結合プラズマ発光分析装置による組成分析(ICP組成分析と表すことがある)や蛍光X線分析等で確認することができる。
Aドメイン及びBドメインの体積の合計に対するAドメインの体積割合は、例えば以下の様にして算出できる。まず、図4に示したように、膜厚方向から見た圧電体素子の短手方向と長手方向を定める。そして、膜厚方向に平行なc軸を有する結晶からなるドメインをcドメイン、短手方向に平行なc軸を有する結晶からなるドメインをAドメイン、長手方向に平行なc軸を有する結晶からなるドメインをBドメインとする。
図5は、図4に示した、圧電体素子の面内回転角Φが0°における、X線回折によるPZT圧電体膜の(004)面と(204)面の逆格子マッピング測定の説明図である。図5よりcドメインとaドメインをどう切り分けることができるかが分かる。上段のPZT圧電体膜の(004)面の逆格子マッピング測定の説明図よりcドメインとaドメインとの関係が理解できる。また、下段のPZT圧電体膜の(204)面の逆格子マッピング測定の説明図よりcドメイン、Aドメイン、Bドメインの各々との関係を理解することができる。
PZT圧電体膜の(204)面の逆格子マッピング測定を元に、Aドメインの体積及びBドメインの体積の合計に対するAドメインの体積割合をXA(体積%)、Aドメインの回折X線の積分強度をO、Bドメインの回折X線の積分強度をPとする。XA(体積%)は、下記数式(1)
A=100×[O/(O+P)] (1)
で算出することができる。
前記定義から、aドメインの体積は、AドメインとBドメインの体積の合計である。したがって、aドメインの体積とcドメインの体積の合計に対するaドメインの体積割合Xa(体積%)も、cドメインの回折X線の積分強度をQとすると、同様にPZT(204)面の逆格子マッピング測定から、下記数式(2)
a=100×[(O+P)/(O+P+Q)] (2)
で算出することができる。
本発明における圧電体膜の膜厚は、500nm以上、10000nm以下とすることが好ましく、500nm以上、8000nm以下とすることがより好ましい。圧電体膜の膜厚を500nm以上とすると、圧電体素子をインクジェットヘッドに用いた場合、繰り返し駆動により発生する応力に対し耐久性を有し、10000nm以下とすると、膜剥離の発生を抑制することができる。
上部電極46は、圧電体膜45の直上に設けられ、下部電極と共に圧電体膜に電界を加える。上部電極と圧電体膜間に、下部電極と振動板間に設けられる密着層と同様の材質の密着層を設けてもよい。上部電極46の材質としては、下部電極と同様のものを用いることができる。
このような本発明の圧電体素子として、具体的には以下の層構成のものを挙げることができる。この層構成の表示は、
上部電極46//圧電体膜45//下部電極44//バッファ層43//振動板42//基体41
として表示し、/により積層構造を示す。
例1:Pt/Ti(上部電極46)//PbZrTiO3(圧電体45)//Pt(下部電極44)//LaNiO3/CeO2/YSZ(Y23−ZrO2)(バッファ層43)//Si/SiOx(振動板42)//Si(基体41)
例2:SrRuO3(上部電極46)//PbZrTiO3(圧電体45)//SrRuO3(下部電極44)//LaNiO3/CeO2/YSZ(Y23−ZrO2)(バッファ層43))//Si/SiO2(振動板42)//Si(基体41)
例3:Pt/Ti(上部電極46)//PbZrTiO3(圧電体45)//SrRuO3(下部電極44)//LaNiO3/CeO2/YSZ(Y23−ZrO2)(バッファ層43)//Si/SiO2(振動板42)//Si(基体41)
例4:Pt/Ti(上部電極46)//PbZrTiO3(圧電体45)//Pt/SrRuO3(下部電極44)//LaNiO3/CeO2/YSZ(Y23−ZrO2)(バッファ層43)//Si/SiO2(振動板42)//Si(基体41)
尚、上記構成例の層に記した機能は重複する場合が多いため、機能を限定するものではない。
[インクジェットヘッド]
本発明のインクジェットヘッドは、上記本発明の圧電体素子を有することを特徴としており、上記本発明の圧電体素子を有するものであれば、特に制限をされるものではないが、例えば、好ましい実施形態の例として図1に示すものを挙げることができる。図1に示したように基体41と、基体41に並列して設けられる複数の圧力室(液室)61と、各圧力室61に連通して設けられる液吐出口(ノズル)53及び各圧力室61に対応して設けられる圧電体素子51とから構成されるインクジェットヘッドが挙げられる。このインクジェットヘッドにおいては液吐出口53が、基体41の下側に設けられるノズルプレート52に所定の間隔をもって形成されているが、側面側に設けることもできる。
圧電体素子51は、一例として、各圧力室61にそれぞれ対応して設けられる基体41上面の開口部(図示せず)に位置決めされ、開口部を閉塞するように設けられている。各圧電体素子51として、振動板42、バッファ層43、下部電極44、圧電体膜45、上部電極46が順次積層された積層体から構成されるものを挙げることができる。
本発明のインクジェットヘッドは、基体41上に順次、振動板42、バッファ層43、下部電極44、圧電体膜45、上部電極46を上記のようにそれぞれ結晶配向の方位のそろった膜として形成した圧電体素子を有している。この圧電体素子は、上述した通り異方性を有する90°ドメインから成る圧電体膜を有している。このような、異方性を有する90°ドメインはインクジェットヘッドにおいて基体の圧力室の短手方向(主に撓む方向)に対して±6度の許容範囲内で平行となる様に(001)面の法線軸をもつ結晶からなるAドメインを有している。Aドメインの体積割合(XA)は50体積%よりも大きく、長手方向(主に撓む方向に対し直交する方向)に対して±6度の許容範囲内で平行となる様に(001)面の法線軸をもつ結晶からなるBドメインに対して多い状態で形成されている。このため、本発明のインクジェットヘッドは、等方的な90°ドメインをもつ圧電体膜を有する圧電体素子より大きな変位をもつ圧電体素子を搭載することが可能となり、吐出するエネルギーが大きいインクジェットヘッドとなる。
[圧電体素子の製造方法]
本発明の圧電体素子の製造方法は、次の工程を順に有することを特徴とする。
(a)基体上に圧電体膜を形成する形成工程
(b)基体の、圧電体膜が形成されていない側の面に長方形の開口部を形成する開口工程
(c)形成工程時の基体の温度より高い温度に基体を加熱する加熱工程
ここで、加熱工程より前の時点で基体は圧電体膜より線熱膨張係数が大きいものである。
本発明の圧電体素子の製造方法として薄膜成膜技術を使用する方法を挙げることができる。
上記構成の圧電体素子の製造において、振動板42の作製方法としては、スパッタ法、CVD法、レーザーアブレーション法(PLD法と表すことがある)、MBE法等の薄膜作製方法を用いることができる。特に、スパッタ法では、成膜中に十分基体を加熱することによって、基体41に対してエピタキシャル成長した酸化物薄膜からなる振動板42を得ることができる。
上記圧電体素子のバッファ層43の作製方法としては、バッファ材料を用いて次に述べる電極の作製方法と同様の方法を用いることができる。
上記圧電体素子の製造における基体41上に積層される下部電極44及び上部電極46の作製方法としては、スパッタ法、CVD法、PLD法、ゾルゲル法、MBE法、水熱合成法等の薄膜作製技術を用いることができる。これらの方法により、上部及び下部電極の電極材料の結晶を特定の方向に配向させて成膜することができる。
下部電極44上に圧電体膜45を成膜するには、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、MBE法、水熱合成法等の方法で、圧電体膜を成膜、結晶成長させる方法を用いることができる。
本発明における圧電体膜45の製膜方法は、スパッタ法により各結晶相を成長させる方法を好ましいものとして挙げることができる。かかるスパッタ法による圧電体膜45の成膜においては、結晶相を構成する圧電材料、例えば焼結物であって、好ましくは、下記化学式(2)で表される酸化物などをターゲットとすることが好ましい。
(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)OZ (2)
(式中、Mは、La、Ca、Ba、Sr、Bi、Sb、W、Nbから選択されるいずれか1種類の元素を示す。また、x、xm、y及びzは、それぞれ、0≦x<0.4、1.0≦xm≦1.8、0.30≦y<0.75、2.5≦z≦3.0の関係を満たす実数を示す。)
そして、成膜された圧電体膜は上記式(2)中のx、xm、y及びzが、それぞれ、0≦x<0.2、1.0≦xm≦1.3、0.40≦y<0.65、2.5≦z≦3.0の関係を満たす組成の結晶相からなるものであることが好ましい。
圧電体膜45上に上部電極46を成膜するには、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、MBE法、PLD法、水熱合成法等の方法、蒸着法などの気相法、スクリーン印刷法などの塗布法、メッキ法などの液相法などの方法によることができる。
圧電体膜内に異方性を有する90°ドメインを形成するには、振動板42が設けられた面と反対側の基体面に、凹部をエッチングにより形成し、その後圧電体膜の成膜時の基体温度より高温で圧電体膜の加熱処理を行う。エッチングの方法は、異方性エッチングを利用したウエットエッチングや、誘導結合プラズマ法(ICP法と表すことがある)、リーガプロセス、ボッシュプロセスなどのドライエッチング等を使用することができる。加熱の方法は、電気炉や急速加熱装置(RTA装置と表すことがある)等を用い酸素雰囲気中で、数時間加熱することが好ましい。
[インクジェットヘッド製造方法]
本発明のインクジェットヘッドの製造方法の代表例は、下記工程を有するインクジェットヘッドの製造方法である。
(A)基体上に圧電体素子を製造する圧電体素子製造工程
(B)基体に圧力室を設ける圧力室形成工程
(C)基体にインク供給路を設けるインク供給路形成工程
(D)基体に液吐出口を設ける液吐出口形成工程
(E)インクジェットヘッドを構成する部材を接合してインクジェットヘッドを組み立てる接合工程
そして、上記本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記圧電体素子製造工程が、上記本発明の圧電体素子の製造方法を用いた圧電体素子製造工程であることを特徴とする。
本発明のインクジェットヘッドの製造方法としては、薄膜成膜技術を使用する方法を挙げることができる。本発明のインクジェットヘッドを製造するには、まず、上記本発明の圧電体素子の製造方法により基体上に圧電体素子を作製する。そして例えば、圧電体素子が形成されている基体面の裏面側に圧力室61や、インク供給路等の所望の部位を設け、別途別個の基体に液吐出孔を穿孔してノズルプレート52を作製しこれらを接合してインクジェットヘッドを組み立てる方法を挙げることができる。また、圧力室、インク供給路、液吐出口等の所望の部位を設けた基体を別途作製し、これらと上記本発明の圧電体素子の製造方法により作製した圧電体素子とを接合する方法などにより製造することができる。
前者の方法においては、上記の本発明の圧電体素子の製造方法で圧電体素子を作製し、基体41の一部を、ドライエッチング法により、一定のピッチで除去し、圧力室61となる複数の凹部を形成する。ドライエッチング方法としては、例えば、異方性エッチングを利用したウエットエッチングや、ICP法、リーガプロセス、ボッシュプロセスなどのドライエッチング法を用いることができる。圧力室の形状は、長方形、円形、楕円形等適宜選択することができるが、長方形とすることが好ましい。また、サイドシューターの場合、圧力室の形状を液吐出口に向かってテーパー部を有する絞った形状にすることもできる。圧力室61となる凹部を形成した基体に、別個の基体に液吐出口53を穿孔して作製したノズルプレート52を接合する、又は、別の基体に液吐出口53及びインク供給路を形成して作製したノズルプレートを接合してインクジェットヘッドを作製することもできる。ノズルプレート等を作製するための基体の材質は、接合する基体と同じ材質であっても異なる材質、例えば、SUS、Ni等であってもよい。ノズルプレート等を作製するための基体の材質は、接合する基体との線熱膨張係数の差が1×10-6/℃以上、1×10-8/℃以下である材料が好ましい。基体に液吐出口を穿孔する方法としては、エッチング、機械加工、レーザー加工などの方法を挙げることができる。
上記基体41とノズルプレート52の接合方法は、有機接着剤を用いる方法でもよいが、無機材料による固相接合による方法が好ましい。固相接合に用いられる材料としては、Si、In、Au、Cu、Ni、Pb、Ti、Cr等を挙げることができる。これらの接合は例えば、2MPa加圧下、250℃以下の低温で上記基体とノズルプレートとを接合するものや、Arプラズマ等で上記基体とノズルプレートの各々の接合面を活性化させ、高真空中、常温で張り合わせるだけで強固に接合するものがある。また、固相接合法は基体との熱膨張係数の差が小さく、長尺化された場合に圧電体素子の反り等による問題が回避され、圧電体素子に対する損傷も抑制できるため、好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明の圧電体素子、本発明の圧電体素子を用いたインクジェットヘッドについて具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
[実施例1]
以下の方法により図1に示した構成のインクジェットヘッドを作製した。まず、スパッタリング装置を用いて、Si基体上にエピタキシャル安定化ジルコニアYSZ(Y23−ZrO2)膜、エピタキシャルCeO2膜、エピタキシャルSrTiO3膜を順次成膜し、バッファ層(振動板を兼ねる)を作製した。
このとき、エピタキシャル安定化ジルコニアYSZ(Y23−ZrO2)膜の成膜条件は、Si基体温度800℃、プロセスガスとして、Ar及びO2を用い、Si基体とターゲット間の印加電力を60W、装置内の圧力を1.0Paとした。これにより、膜厚200nmのエピタキシャル安定化ジルコニアYSZ(Y23−ZrO2)膜を得た。
次に、エピタキシャルCeO2膜の成膜条件は、Si基体温度800℃、プロセスガスとしてAr及びO2を用い、Si基体とターゲット間の印加電力を80W、装置内の圧力を0.5Paとした。これにより膜厚200nmのエピタキシャルCeO2膜を得た。
次に、エピタキシャルSrTiO3の成膜条件は、Si基体温度600℃、プロセスガスとして、Ar及びO2を用い、Si基体とターゲット間の印加電力を100W、装置内の圧力を0.3Paとした。これにより膜厚2000nmのエピタキシャルSrTiO3膜を得た。
次に、前記バッファー層(振動板を兼ねる)上に、ターゲットとしてPtを用い、前記バッファ層(振動板を兼ねる)の作製方法と同様の方法で下部電極を作製した(図6の工程(1)及び図7(a))。このとき、下部電極の作製条件は、基体温度600℃、プロセスガスとしてArを用い、バッファ層とターゲット間の印加電力を100W、装置内の圧力を0.5Paとした。これにより、膜厚400nmの単一高配向のPt膜(下部電極)を得た。
その後、前記下部電極上に、上記スパッタリング装置を用い圧電体膜を作製した(図6の工程(2)及び図7(b))。このとき、圧電体膜の作製条件は、基体温度550℃、プロセスガスとしてAr及びO2を用い、下部電極とターゲット間の印加電力を100W、装置内の圧力を0.5Paとした。また、ターゲットとして下記化学式(3)で表される組成を有するターゲットを用いた。
(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3 (3)
(式中、Mは、Laを示す。また、x=0.06、xm=1.10、y=0.52である。)
その後、上部電極を、上記下部電極の作製方法と同様の方法により作製した(図6の工程(3)及び図7(c))。次に、振動板42が設けられた面と反対側のSi基体面からICPによるドライエッチング法を行って中央部を取り除き薄肉部(凹部と表すことがある)を形成した(図6の工程(4)及び図7(d))。前記肉薄部は、深さ200μm、幅70μm(180dpi相当、141μmピッチ)、長さ3mm、薄肉の厚さ3μmである。このとき、基体の温度を20℃、使用ガスをSF6、C48とし、高周波コイルの誘電は高周波(RFと表すことがある)で1800Wの出力で行い、装置内圧力を4.0Paとした。
その後、RTA装置を用い酸素雰囲気中で、圧電体膜の成膜時の成膜温度より高い基体温度である700℃で加熱処理を行い(図6の工程(5)及び図7(e))、圧電体素子を得た。
ここで、上記圧電体素子の加熱処理後の圧電体膜のドメインの評価を行った。ドメインの評価は前述したX線回折による圧電体膜結晶の(004)面と(204)面の逆格子マッピングの測定によって行った。下記数式(1)を用いてAドメインの体積及びBドメインの体積の合計に対するAドメインの体積割合(XA(体積%))を算出した。
A=100×[O/(O+P)] (1)
上記圧電体素子の圧電体膜のXAは80体積%であった。
次に、Si基体にφ30μmの液吐出口を穿孔し液体出口53を備えたSi製のノズルプレートを作製した。このノズルプレートを上記裏面側に凹部を形成したSi基体に、Si−Si接合法(条件は常温下、Arプラズマにより活性化したSi表面と同様にして活性化したSi表面とを10−6Paの高真空内で張り合わせるととにより接合した。)により張り合わせインクジェットヘッドを作製した。得られたインクジェットヘッドは、長さ(長手方向)3mm、幅(短手方向)70μmの圧力室を有していた。
得られた圧電体素子(インクジェットヘッド作製時に、インクの無い状態で)に電圧20V、周波数10kHzの印加電圧を加え、圧電体素子の凹部の中心位置(幅70μmの中心、長さ3mmの中心)における変位量をレーザードップラー変位計で測定した。また、得られたインクジェットヘッドについて吐出液滴と入力信号と同期させてCCDにより液滴を観察しサイズを観察することにより吐出量を求め、吐出速度を測定した。このとき、インクジェットヘッドには、上記圧電体素子の場合と同様に、電圧20V、周波数10kHzの電圧を印加した。得られた結果を表1及び表2に示す。
[実施例2]
ターゲットとして、下記化学式(4)
(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3 (4)
(式中、Mは、Laを示す。また、x=0.06、xm=1.10、y=0.40である。)
で表されるものを使用したこと以外は実施例1と同様にして、圧電体素子及びインクジェットヘッドを作製した。また、実施例1と同様にして、圧電体膜のAドメインの体積及びBドメインの体積の合計に対するAドメインの体積割合XA及びインクジェットヘッドの液滴の吐出量と吐出速度を測定した。圧電体膜のXAは80体積%であった。またインクジェットヘッドの液滴の吐出量と吐出速度の測定結果を表1及び表2に示した。
[比較例1]
ターゲットとして、下記化学式(5)
(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3 (5)
(式中、Mは、Laを示す。また、x=0.06、xm=1.10、y=0.40である。)
で表されるものを使用したこと、RTA装置を用いて加熱処理後、振動板42と反対側のSi基体面からICPによるドライエッチング法を行って中央部を取り除き凹部を形成したこと以外は実施例1と同様にして圧電体素子及びインクジェットヘッドを作製した。また、実施例1と同様にして、圧電体膜のAドメインの体積及びBドメインの体積の合計に対するAドメインの体積割合XA及びインクジェットヘッドの液滴の吐出量と吐出速度を測定した。圧電体膜のXAは50体積%であった。またインクジェットヘッドの液滴の吐出量と吐出速度の測定結果を表1及び表2に示した。
Figure 0005311775
表1に示したように、実施例1及び2の圧電体素子の圧電体膜はAドメインの体積及びBドメインの体積の合計に対するAドメインの体積割合(XA)が80体積%であった。これに対し比較例1の圧電体素子の圧電体膜はXAが50体積%であった。Aドメインの体積割合(XA)が多い実施例1及び2の圧電体素子の変位量は、比較例1の圧電体素子の変位量よりも大きく、優れた性能を示した。
Figure 0005311775
表2に示したように、実施例1及び2のインクジェットヘッドは、比較例1のインクジェットヘッドに比べ、20V、10kHzの印加電圧を印加したときの吐出量が多く、吐出速度が大きく優れた性能を示した。
本発明のインクジェットヘッドの一実施形態の断面構造を示す模式図である。 本発明の圧電体素子の一実施形態における主に撓む方向(方向1)について説明するための模式図である。 本発明の圧電体素子の一実施形態の断面構造を示す模式図である。 本発明の圧電体素子の各ドメイン構造の定義を示す平面図である。 本発明の逆格子空間マップによる各ドメイン構造のプロファイルの説明図である。 本発明に係る製造工程を示すブロック図である。 本発明に係る製造工程を示す断面図である。
符号の説明
41 基体
42 振動板
43 バッファ層
44 下部電極
45 圧電体膜
46 上部電極
51 圧電体素子
52 ノズルプレート
53 液吐出口
61 圧力室(液室)

Claims (7)

  1. 基体上に設けられた圧電体膜と該圧電体膜に接して設けられた一対の電極とを有する、ベンディングモードを利用する圧電体素子において、
    前記圧電体膜が、正方晶系の結晶からなるドメインを有し、
    該ドメインが、前記圧電体膜の膜面と平行に(100)面が配置された結晶からなるドメインであるaドメインを有し、
    該aドメインが、主に前記圧電体膜の撓む方向に対して±6度の許容範囲内で平行となる様に(001)面の法線軸を持つドメインであるAドメインと、主に前記圧電体膜の撓む方向に対して±6度の許容範囲内で直交する様に(001)面の法線軸を持つドメインであるBドメインと、を有し、
    前記Aドメインの体積及び前記Bドメインの体積の合計に対する前記Aドメインの体積の割合が50体積%より多いことを特徴とする圧電体素子。
  2. 前記正方晶の結晶からなるドメインは、前記圧電体膜の膜面と平行に(001)面が配置された結晶からなるcドメインを更に有することを特徴とする請求項1記載の圧電体素子。
  3. 主に前記圧電体膜の撓む方向は、前記圧電体膜の短手方向であることを特徴とする請求項1記載の圧電体素子。
  4. 前記圧電体膜が、下記式(1)
    (Pb1-xxxm(ZryTi1-y)Oz (1)
    (式中、Mは、La、Ca、Ba、Sr、Bi、Sb、W、Nbから選択されるいずれか1種類の元素を示す。また、x、xm、y及びzは、それぞれ、0≦x<0.2、1.0≦xm≦1.3、0.40≦y<0.65、2.5≦z≦3.0の関係を満たす実数を示す。)
    で表される圧電材料からなることを特徴とする請求項1記載の圧電体素子。
  5. 前記圧電体膜が、500nm以上、10000nm以下の膜厚を有することを特徴とする請求項1記載の圧電体素子。
  6. インクを吐出する吐出口に連通する液室と、該液室に対応して設けられインクを吐出するエネルギーを発生する請求項1記載の圧電体素子と、を有することを特徴とするインクジェットヘッド。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載の圧電体素子の製造方法において、
    前記基体上に前記圧電体膜を形成する形成工程と、
    前記基体の、前記圧電体膜が形成されていない側の面に長方形の開口部を形成する開口工程と、
    前記形成工程時の前記基体の温度より高い温度に前記基体を加熱する加熱工程と、
    をこの順に有し、前記加熱工程より前の時点で前記基体は前記圧電体膜より線熱膨張係数が大きいことを特徴とする圧電体素子の製造方法。
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