以下、図面を参照して、本発明に係る走行支援装置の実施の形態を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施の形態では、本発明に係る走行支援装置を、車車間通信及び路車間通信が可能な車両に搭載されるACC[Adaptive Cruise Control]システムに適用する。本実施の形態に係る車両は、車車間通信で自車両周辺の他車両の情報(走行状態)を取得するとともに、路車間通信でインフラ装置(例えば、光ビーコン)からの情報を取得する。本実施の形態に係るACCシステムでは、レーダで自車両の前方の先行車両を検知し、先行車両を検知できた場合には先行車両との車間時間(車間距離)が目標車間時間(目標車間距離)になるように先行車両追従制御を行い、先行車両を検知できない場合には自車速が目標速度になるようにクルーズ制御(ノーマルクルーズ制御、交通流クルーズ制御)を行う。本実施の形態には、交通流クルーズ制御時の交通流適応加速度を求める方法が異なる7つの形態がある。
図1〜図3を参照して、第1の実施の形態に係るACCシステム1について説明する。図1は、本実施の形態に係るACCシステムの構成図である。図2は、自車両が渋滞末尾に突入する走行シーンの一例である。図3は、自車両周辺が流れている走行シーンの一例である。
ACCシステム1は、通常、運転者によって設定された目標速度に基づいてクルーズ制御を行う。特に、ACCシステム1では、車車間通信で自車両周辺の他車両から走行状態(特に、速度)を取得できた場合、他車両の走行状態から得られる自車両周辺の交通流に適応した加速度を算出し、その交通流適応加速度になるような目標速度を算出し、そのシステム側で設定した目標速度に基づいてクルーズ制御する。
ACCシステム1について具体的に説明する前に、図2及び図3を参照して、自車両周辺の交通流に適応した加速度及び目標速度について説明しておく。図2に示す例が自車両前方が渋滞している場合であり、図3に示す例が自車両周辺が流れている場合である。
図2に示す例では、自車両MVは、高速道路などで高い目標速度でクルーズ制御を行っているときに、前方で発生している渋滞の末尾に突入してゆく。この場合、渋滞中の前方の他車両OV10,OV11,・・・は、低い速度で走行している。また、自車両MVでは、通常、レーダの検知範囲RA内に前方の他車両OV10が入るまで、この高い目標速度でクルーズ制御を継続し、高い速度で走行することになる。そのため、レーダで前方の他車両OV10を検知したときには、自車両MVと前方の他車両OV10との相対速度は、非常に大きい。このような場合、自車両MVは、前方の交通流と速度が合っていないので、事前に減速して前方の交通流との相対速度を小さくしてゆく必要がある。
図3に示す例では、自車両MVは、比較的低い目標速度でクルーズ制御を行っているときに、周辺(特に、前方)が流れている。この際、自車線の前方の他車両OV20,OV21,・・・は、自車両MVの目標速度よりも多少高い速度で走行している。この場合、自車両MVは、周辺の交通流と同じ流れ(実勢速度)に溶け込めていない。また、自車両MVの目標速度が低すぎると、自車両MVを先頭として後続車両OV23,OV24が詰まる場合もある。このような場合、自車両MVは、加減速して周辺の交通流と同じ流れ(実勢速度)に迅速に溶け込んでゆく必要がある。
そこで、レーダの検知範囲RAよりも広い通信範囲CAを持つ車車間通信によって、自車両MV周辺の他車両から走行状態(速度など)を取得する。そして、この取得した他車両の速度などを用いて、自車両MVの速度が周辺(特に、前方)の交通流の実勢速度に一致するように働く交通流適応加速度を求め、交通流適応加速度に応じてクルーズ制御の目標速度を変化させる。このように、車車間通信で他車両から走行状態を取得できる場合には、システム側で交通流に合わせるための交通流適応加速度を求め、その交通流適応加速度に応じて目標速度を変化させ、この交通流に適した目標速度になるようにクルーズ制御を行う。この際、車車間通信で走行状態を取得できる他車両が多いほど、自車両周辺のより確からしい交通流を把握できるので、その確からしい交通流に迅速に合わせるようなより強い(より正確な)交通流適応加速度を求めることができる。
この交通流クルーズ制御では、現在の目標速度V
tgt_nowと交通流適応加速度a
envを用いて、式(1)によって次の目標速度V
tgt_nextを算出する。式(1)におけるΔtは、制御周期である。交通流適応加速度a
envは、自車両の速度をVとし、交通流適応加速度を求める対象の各車両の速度をV
1,V
2,・・・とすると、式(2)によって定義できる。式(2)におけるc
1,c
2,・・・は、ゲインであり、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。第1の実施の形態では、c
1,c
2,・・・は、全て同じ値の固定値とする。したがって、通常(自車両周辺の車両が交通流に従って走行しており、自車両と対象の各車両との各相対速度が同程度の値の場合)、対象の各車両が増加するほど、交通流適応加速度a
envの絶対値は大きくなる。なお、交通流適応加速度a
envは、プラス値の場合が加速するための加速度であり、マイナス値の場合が減速するための減速度である。
図2に示す例の場合、自車両MVが位置P10に到達するまでの車車間通信の通信範囲CA(特に、自車両の前方)内に他車両が存在しない区間NCでは、運転者によって設定された一定の目標速度Vtgtに基づいてノーマルクルーズ制御を行う。自車両MVが位置P10から位置P12までの車車間通信の通信範囲CA内に他車両が存在する区間TCでは、システム側で設定した目標速度Vtgtに基づいて交通流クルーズ制御を行う。特に、自車両MVが位置P10を通過した時点から、車車間通信可能な他車両OV13からの情報を受信開始し、他車両OV13の速度に基づいて交通流適応加速度aenv10を求め、この交通流適応加速度aenv10に応じて目標速度Vtgtを更新してゆく。ここで、自車両MVと他車両OV13をダンパC10で接続した制御モデルを想定した場合、自車両MVの速度と他車両OV13の速度との相対速度に応じてダンパC10によって減速側に引っ張られる制御となる。さらに、自車両MVが位置P11を通過した時点から、車車間通信可能な他車両OV11からの情報も受信開始し、他車両OV13の速度と他車両OV11の速度に基づいて交通流適応加速度aenv11を求め、この交通流適応加速度aenv11に応じて目標速度Vtgtを更新してゆく。ここで、自車両MVと他車両OV13をダンパC10で接続した制御モデルと自車両MVと他車両OV11をダンパC11で接続した制御モデルを想定した場合、自車両MVの速度と他車両OV13の速度との相対速度に応じてダンパC10によって減速側に引っ張られかつ自車両MVの速度と他車両OV11の速度との相対速度に応じてダンパC11によって減速側に引っ張られる制御となる。このように前方で渋滞している場合、対象の他車両が1台の場合の交通流適応加速度aenv10と対象の他車両が2台の場合の交通流適応加速度aenv11とを比較すると、交通流適応加速度aenv11の方が交通流適応加速度aenv10よりも大きな減速度となる。そして、自車両MVが位置P12以降でのレーダの検知範囲RA内に他車両OV10が存在する区間FCでは、目標車間時間に基づいて先行車両追従制御を行う。なお、ダンパC10,C11の減衰係数が、上記の式(2)のゲインに相当する。
図3に示す例の場合も、図2の例と同様に、区間NCではノーマルクルーズ制御を行い、区間TCでは交通流クルーズ制御を行い、区間FCでは先行車両追従制御を行う。特に、区間TCでは、自車両MVが位置P20を通過した時点から、車車間通信可能な他車両OV21からの情報を受信開始し、他車両OV21の速度に基づいて交通流適応加速度aenv20を求め、この交通流適応加速度aenv20に応じて目標速度Vtgtを更新してゆく。ここで、自車両MVと他車両OV21をダンパC20で接続した制御モデルを想定した場合、自車両MVの速度と他車両OV21の速度との相対速度に応じてダンパC20によって加速側に引っ張られる制御となる。さらに、自車両MVが位置P21を通過した時点から、車車間通信可能な他車両OV22からの情報も受信開始し、他車両OV21の速度と他車両OV22の速度に基づいて交通流適応加速度aenv21を求め、この交通流適応加速度aenv21に応じて目標速度Vtgtを更新してゆく。ここで、自車両MVと他車両OV21をダンパC20で接続した制御モデルと自車両MVと他車両OV22をダンパC21で接続した制御モデルを想定した場合、自車両MVの速度と他車両OV21の速度との相対速度に応じてダンパC20によって加速側に引っ張られかつ自車両MVの速度と他車両OV22の速度との相対速度に応じてダンパC21によって加速側に引っ張られる制御となる。なお、ダンパC20,C21の減衰係数が、上記の式(2)のゲインに相当する。
それでは、ACCシステム1の各部について具体的に説明する。ACCシステム1は、前方車間距離センサ10、無線アンテナ11、車速センサ12、加速度センサ13、クルーズレバー14、前方センサECU[Electronic Control Unit]20、無線制御ECU21、車速センサECU22、加速度センサECU23、エンジン制御ECU30(アクセルペダルセンサ15、スロットルアクチュエータ40)、ブレーキ制御ECU31(ブレーキペダルセンサ16、ブレーキアクチュエータ41)及び車両制御ECU51を備えている。前方センサECU20、無線制御ECU21、車速センサECU22、加速度センサECU23、クルーズレバー14と車両制御ECU51との間では通信・センサ系のCAN[Controller Area Network]60で通信を行っており、エンジン制御ECU30、ブレーキ制御ECU31と車両制御ECU51との間では制御系のCAN61で通信を行っている。なお、第1の実施の形態では、車両制御ECU51における各処理が特許請求の範囲に記載する加速度設定手段及び目標速度設定手段に相当する。
前方車間距離センサ10は、ミリ波などを利用して前方の車両を検出するレーダセンサである。前方車間距離センサ10は、自車両の前端部の中央の所定の高さ位置(検出対象の車両を確実に検出可能な高さ位置)に取り付けられる。前方車間距離センサ10では、レーダビームを左右方向にスキャンしながら自車両から前方に向けて送信し、反射してきたレーダビームを受信する。そして、前方車間距離センサ10では、その受信できた各反射点(検出点)についてのレーダ情報(左右方向のスキャン角、送信時刻、受信時刻、受信強度など)を前方センサECU20に送信する。
前方センサECU20では、前方車間距離センサ10から送信されたレーダ情報に基づいて、前方車間距離センサ10の検出範囲内の自車線において自車両前方に車両が存在するか否かを判定する。車両(先行車両)が存在すると判定した場合、前方センサECU20では、レーダ情報を各種処理し、デジタル値で先行車両までの相対距離(車間距離)などを出力する。そして、前方センサECU20では、この先行車両の有無や先行車両が存在する場合には距離などの情報を前方車間距離信号として車両制御ECU51に送信する。
無線アンテナ11は、送受信兼用の無線アンテナである。また、無線アンテナ11は、車車間通信用と路車間通信用の共用アンテナである。車車間通信する場合、無線アンテナ11では、通信範囲内に存在する車車間通信可能な車両からの信号を受信するとともに通信範囲内の車両に信号を送信する。信号を送信する場合、車車間送信信号が無線制御ECU21から無線アンテナ11に送られる。信号を受信した場合、車車間受信信号が無線アンテナ11から無線制御ECU21に送られる。路車間通信する場合、無線アンテナ11では、インフラ装置(例えば、光ビーコン)からの信号を受信するとともにインフラ装置に信号を送信する。信号を送信する場合、路車間送信信号が無線制御ECU21から無線アンテナ11に送られる。信号を受信した場合、路車間受信信号が無線アンテナ11から無線制御ECU21に送られる。
無線制御ECU21は、無線で送受信される各種信号を制御する。車車間通信の場合、無線制御ECU21では、車両制御ECU51からの車車間送信情報に各種変換処理を施して車車間送信信号を生成し、その車車間送信信号を無線アンテナ11に送る。また、無線制御ECU21では、無線アンテナ11で受信した車車間受信信号に各種変換処理を施して情報を取り出し、その情報を車車間受信情報信号として車両制御ECU51に送信する。車車間通信で送受信される情報としては、例えば、車両の速度、位置、加速度、走行車線、道路種別(高速道路、一般道路など)、車両識別情報(車両IDなど)がある。路車間通信の場合、無線制御ECU21では、車両制御ECU51からの路車間送信情報に各種変換処理を施して路車間送信信号を生成し、その路車間送信信号を無線アンテナ11に送る。また、無線制御ECU21では、無線アンテナ11で受信した路車間受信信号に各種変換処理を施して情報を取り出し、その情報を路車間受信情報信号として車両制御ECU51に送信する。路車間通信で送信される情報としては、例えば、車両識別情報がある。路車間通信で受信される情報としては、例えば、VICS[Vehicle Information Communication System]情報(渋滞情報、交通規制情報、VICS旅行速度など)やインフラ情報(信号サイクル情報など)がある。各車両の走行車線の情報を路車間通信で受信できる場合もある。
なお、車車間通信及び路車間通信で共用で使用する無線アンテナ及び無線制御ECUとしたが、車車間通信と路車間通信とで別々の無線アンテナ及び無線制御ECUとしてもよい。また、路車間通信では、情報を送受信するのではなく、情報を受信するだけでもよい。
車速センサ12は、自車両の速度を検出するためのセンサである。車速センサ12では、一定時間毎に、自車両の速度に関する情報を検出し、その検出した情報を車速センサECU22に送信する。
車速センサECU22は、車速センサ12から送信された情報を各種処理し、デジタル値の自車両の速度を出力する。そして、車速センサECU22では、その自車両の速度を車速信号として車両制御ECU51に送信する。
加速度センサ13は、自車両の加速度を検出するためのセンサである。加速度センサ13では、一定時間毎に、自車両の加速度に関する情報を検出し、その検出した情報を加速度センサECU23に送信する。
加速度センサECU23は、加速度センサ13から送信された情報を各種処理し、デジタル値の自車両の加速度を出力する。そして、加速度センサECU23では、その自車両の加速度を加速度信号として車両制御ECU51に送信する。
クルーズレバー14は、ACCシステム1のオン(起動)/オフ(停止)操作や目標速度の設定操作(所定速度間隔毎の速度アップ操作と速度ダウン操作が可能)などの各種操作を行うためのレバーである。クルーズレバー14では、運転者によって行われた操作情報をクルーズレバー信号として車両制御ECU51に送信する。なお、先行車両追従制御時の目標車間時間(目標車間距離)を設定(例えば、長、中、短の設定)するために、レバーあるいはスイッチを別体で設けてもよいし、あるいは、クルーズレバー14に組み込んでもよい。
アクセルペダルセンサ15は、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量(アクセル開度)を検出するセンサである。アクセルペダルセンサ15では、一定時間毎に、アクセルペダルの踏み込み量を検出し、その検出した踏み込み量をアクセルペダル信号としてエンジン制御ECU30に送信する。
エンジン制御ECU30は、エンジンを制御する制御装置である。エンジン制御ECU30では、通常、一定時間毎に、アクセルペダルセンサ15からのアクセルペダル信号に基づいて、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に応じて目標加速度を設定する。そして、エンジン制御ECU30では、その目標加速度になるために必要なスロットルバルブの目標開度を設定し、その目標開度を目標スロットル開度信号としてスロットルアクチュエータ40に送信する。特に、車両制御ECU51からのエンジン制御信号を受信した場合、エンジン制御ECU30では、エンジン制御信号に示される目標加速度となるための目標スロットル開度信号をスロットルアクチュエータ40に送信する。
スロットルアクチュエータ40は、スロットルバルブの開度を調整するアクチュエータである。スロットルアクチュエータ40では、エンジン制御ECU30からの目標スロットル開度信号を受信すると、その目標開度に応じて作動し、スロットルバルブの開度を調整する。
ブレーキペダルセンサ16は、ブレーキペダル(図示せず)の踏み込み量を検出するセンサである。ブレーキペダルセンサ16では、一定時間毎に、ブレーキペダルの踏み込み量を検出し、その検出した踏み込み量をブレーキペダル信号としてブレーキ制御ECU31に送信する。
ブレーキ制御ECU31は、各輪のブレーキを制御する制御装置である。ブレーキ制御ECU31では、通常、一定時間毎に、ブレーキペダルセンサ16からのブレーキペダル信号に基づいて、運転者によるブレーキペダルの踏み込み量に応じて目標減速度を設定する。そして、ブレーキ制御ECU31では、その目標減速度になるために必要な各輪のホイールシリンダ(図示せず)の目標ブレーキ油圧を設定し、その目標ブレーキ油圧を目標油圧信号としてブレーキアクチュエータ41に送信する。特に、車両制御ECU51からのブレーキ制御信号を受信した場合、ブレーキ制御ECU31では、ブレーキ制御信号に示される目標減速度となるための目標油圧信号をブレーキアクチュエータ41に送信する。
ブレーキアクチュエータ41は、各輪のホイールシリンダのブレーキ油圧を調整するアクチュエータである。ブレーキアクチュエータ41では、ブレーキ制御ECU31からの目標油圧信号を受信すると、その目標ブレーキ油圧に応じて作動し、ホイールシリンダのブレーキ油圧を調整する。
車両制御ECU51は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read OnlyMemory]、RAM[Random Access Memory]などからなる電子制御ユニットであり、ACCシステム1を統括制御する。車両制御ECU51では、クルーズレバー14からのクルーズレバー信号に示されるON操作情報に応じて起動すると、ROMに格納されているアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することにより、制御切替制御、先行車両追従制御、ノーマルクルーズ制御、交流流クルーズ制御などを行う。車両制御ECU51では、制御周期Δt毎に、制御切替制御で先行車両追従制御、ノーマルクルーズ制御、交流流クルーズ制御のうちのいずれの制御を行うかを決定し、その決定した制御を行う。また、車両制御ECU51では、クルーズレバー14からのクルーズレバー信号に示される目標速度を設定するためのアップ操作量又はダウン操作量を取得する毎に、その操作量にゲインを乗算し、そのアップ分又はダウン分の速度を現在設定されている目標速度に加味した新たな目標速度を演算する。この運転者によって設定される目標速度は、運転者が視認できるように表示される。
制御切替制御について説明する。車両制御ECU51では、前方センサECU20からの前方車間距離信号に基づいて、自車両の前方に先行車両が存在するか否かを判定する。先行車両が存在すると判定した場合、車両制御ECU51では、先行車両追従制御を行う。先行車両が存在しないと判定した場合、車両制御ECU51では、無線制御ECU21からの車車間受信情報信号に基づいて、自車両周辺(特に、前方)に車車間通信可能な他車両が存在するか否かを判定する。自車両周辺に車車間通信可能な他車両が存在しないと判定した場合、車両制御ECU51では、ノーマルクルーズ制御を行う。自車両周辺に車車間通信可能な他車両が存在すると判定した場合、車両制御ECU51では、交通流クルーズ制御を行う。
先行車両追従制御について説明する。車両制御ECU51では、前方センサECU20からの前方車間距離信号に示される先行車両との車間距離と車速センサECU22からの車速信号に示される自車両の速度を用いて、先行車両との車間時間(=車間距離/自車速)を演算する。そして、車両制御ECU51では、車間時間と目標車間時間との差に基づいて、先行車両との車間時間が目標車間時間になるために必要な目標加減速度を演算する。目標加減速度がプラス値の場合(加速制御が必要な場合)、車両制御ECU51では、目標加速度を設定し、その目標加速度をエンジン制御信号としてエンジン制御ECU30に送信する。目標加減速度がマイナス値の場合(減速制御が必要な場合)、車両制御ECU51では、目標減速度を設定し、その目標減速度をブレーキ制御信号としてブレーキ制御ECU31に送信する。なお、先行車両追従制御で用いられる目標車間時間は、上記したレバーなどで運転者によって設定される目標車間時間である(デフォルト値は、例えば、「長」の目標車間時間である)。
ノーマルクルーズ制御について説明する。車両制御ECU51では、車速センサECU22からの車速信号に示される自車両の速度と目標速度との差に基づいて、自車両の速度が目標速度になるために必要な目標加減速度を演算する。目標加減速度がプラス値の場合、車両制御ECU51では、目標加速度を設定し、その目標加速度をエンジン制御信号としてエンジン制御ECU30に送信する。目標加減速度がマイナス値の場合、車両制御ECU51では、目標減速度を設定し、その目標減速度をブレーキ制御信号としてブレーキ制御ECU31に送信する。なお、ノーマルクルーズ制御で用いられる目標速度は、クルーズレバー14で運転者によって設定された目標速度である。
交通流クルーズ制御について説明する。車両制御ECU51では、無線制御ECU21からの車車間受信情報信号に含まれる自車両周辺の車車間通信可能な他車両毎の車両ID、速度、加速度、位置、走行車線、道路種別などの情報を取得する。また、車両制御ECU51では、インフラ装置から信号を受信できた場合には、無線制御ECU21からの路車間受信情報信号に含まれる車両ID毎の走行車線などの情報を取得する。そして、車両制御ECU51では、他車両からの情報とインフラ情報(取得できた場合のみ)に基づいて、車車間通信可能な他車両の中から交通流適応加速度(ひいては、クルーズの目標速度)を求めるための対象の車両を選択する。この選択方法としては、自車両の前方で同方向を走行している他車両を選択し、その中でも基本的には自車線の前方を走行している他車両であるが、場合によっては他車線を走行している他車両や後方を走行している他車両も選択する。
車両制御ECU51では、自車両の速度Vと選択した全ての対象車両の速度Vi及びゲインciを用いて、上記の式(2)により交通流適応加速度aenvを算出する。さらに、車両制御ECU51では、交通流適応加速度aenvと現在の目標速度Vtgt_nowを用いて、上記の式(1)により次の目標速度Vtgt_nextを算出する。そして、車両制御ECU51では、この算出した目標速度Vtgt_nextを目標速度として、ノーマルクルーズ制御と同様の加減速制御を行う。
図1を参照して、ACCシステム1における交通流クルーズ制御中の動作について説明する。特に、車両制御ECU51における交通流クルーズ制御の処理については図4のフローチャートに沿って説明する。図4は、第1の実施の形態に係る車両制御ECUにおける交通流クルーズ制御の流れを示すフローチャートである。ここでは、運転者によるクルーズレバー14でのON操作に応じてACCシステム1が起動しており、車車間通信で自車両の周辺の車車間通信可能な他車両から情報を取得できるが、前方車間距離センサ10で先行車両を検知できていない。
前方車間距離センサ10では、一定時間毎に、自車両の前方をスキャンしながらレーダビームを送信するとともに反射してきた場合にはそのレーダビームを受信し、そのレーダ情報を前方センサECU20に送信している。前方センサECU20では、このレーダ情報を受信し、レーダ情報に基づいて先行車両が存在しないと判定し、そのことを示す前方車間距離信号を車両制御ECU51に送信する。
無線アンテナ11では、通信範囲内の他車両からの信号が送信される毎に、その送信された信号を受信し、車車間受信信号を無線制御ECU21に送信する。無線制御ECU21では、この車車間受信信号を受信すると、車車間受信信号から他車両の各種情報を取り出し、車車間受信情報信号を車両制御ECU51に送信する。車両制御ECU51では、この車車間受信情報信号を受信し、自車両周辺の他車両の情報を取得する(S10)。
また、無線アンテナ11では、自車両がインフラ装置の送信エリアを通過するときに、インフラ装置から送信された信号を受信し、路車間受信信号を無線制御ECU21に送信する。無線制御ECU21では、この路車間受信信号を受信すると、路車間受信信号からインフラ情報を取り出し、路車間受信情報信号を車両制御ECU51に送信する。車両制御ECU51では、この路車間受信情報信号を受信し、インフラ情報を取得する(S11)。
車速センサ12では、一定時間毎に、自車両の速度に関する情報を検出し、その情報を車速センサECU22に送信する。車速センサECU22では、この車速センサ12からの情報を受信すると、各種処理を行ってデジタル値の自車両の速度を車速信号として車両制御ECU51に送信する。車両制御ECU51では、この車速信号を受信し、自車両の速度を取得する。
加速度センサ13では、一定時間毎に、自車両の加速度に関する情報を検出し、その情報を加速度センサECU23に送信する。加速度センサECU23では、この加速度センサ13からの情報を受信すると、各種処理を行ってデジタル値の自車両の加速度を加速度信号として車両制御ECU51に送信する。車両制御ECU51では、この加速度信号を受信し、自車両の加速度を取得する。
アクセルペダルセンサ15では、一定時間毎に、アクセルペダルの踏み込み量を検出し、アクセルペダル信号をエンジン制御ECU30に送信している。エンジン制御ECU30では、このアクセルペダル信号を受信し、アクセルペダルの踏み込み量を取得する。
ブレーキペダルセンサ16では、一定時間毎に、ブレーキペダルの踏み込み量を検出し、ブレーキペダル信号をブレーキ制御ECU31に送信している。ブレーキ制御ECU31では、このブレーキペダル信号を受信し、ブレーキペダルの踏み込み量を取得する。
制御周期Δt毎に、車両制御ECU51では、自車両周辺の車車間通信可能な他車両の情報とインフラ情報(取得できている場合だけ)に基づいて、自車両周辺の車車間通信可能な他車両の中から交通流適応加速度を求める対象の車両を選別する(S12)。
車両制御ECU51では、自車両の速度Vと各対象車両の速度Vi及びゲインciに基づいて、式(2)により交通流適応加速度aenvを演算する(S13)。そして、車両制御ECU51では、交通流適応加速度aenvと現目標速度Vtgt_nowに基づいて、式(1)により次目標速度Vtgt_nextを演算する(S14)。
車両制御ECU51では、自車両の速度Vと次目標速度Vtgt_nextとの差に基づいて、自車両の速度が目標速度になるために必要な目標加減速度を演算する(S15)。目標加減速度がプラス値の場合、車両制御ECU51では、目標加速度を設定し、エンジン制御信号をエンジン制御ECU30に送信する(S15)。エンジン制御ECU30では、このエンジン制御信号を受信すると、エンジン制御信号に示される目標加速度になるために必要なスロットルバルブの目標開度を設定し、目標スロットル開度信号をスロットルアクチュエータ40に送信する。スロットルアクチュエータ40では、この目標スロットル開度信号を受信すると、目標スロットル開度信号に示される目標開度に応じて作動し、スロットルバルブの開度を調整する。これによって、自車両では、次目標速度Vtgt_next(ひいては、交通流適応加速度aenv)になるように加速する。目標加減速度がマイナス値の場合、車両制御ECU51では、目標減速度を設定し、ブレーキ制御信号をブレーキ制御ECU31に送信する(S15)。ブレーキ制御ECU31では、このブレーキ制御信号を受信すると、ブレーキ制御信号に示される目標減速度になるために必要な各輪のホイールシリンダの目標ブレーキ油圧を設定し、目標油圧信号をブレーキアクチュエータ41に送信する。ブレーキアクチュエータ41では、この目標油圧信号を受信すると、目標油圧信号に示される目標ブレーキ油圧に応じて作動し、ホイールシリンダのブレーキ油圧を調整する。これによって、自車両では、次目標速度Vtgt_next(ひいては、交通流適応加速度aenv)になるように減速する。
このACCシステム1によれば、車車間通信で走行状態(速度など)を取得できる対象車両の台数の増加に応じてより確からしい(より大きな)交通流適応加速度を設定することにより、自車両周辺の交通流に応じた適切な交通流適応加速度を設定することができる。そのため、この交通流適応加速度(ひいては、目標速度)を用いてクルーズ制御を行うことにより、迅速に交通流に乗って走行することができるので、燃費や乗り心地などを向上でき、事故や渋滞などの発生も防止できる。例えば、前方の渋滞の突入する場合にはレーダで前方の車両を検知する前に事前に減速でき、周辺が流れている場合にはその流れに迅速に溶け込んで走行できる。
さらに、ACCシステム1によれば、他車両の速度や走行車線が正確に判れば、他車両の位置の精度が低くても、適切な交通流適応加速度(目標速度)を設定することができる。また、ACCシステム1では、通信相手の特定も不要なため、実現が容易である。
図1及び図5、図6を参照して、第2の実施の形態に係るACCシステム2について説明する。図5は、対象車両の台数に対する交通流適応ゲインを示すマップである。図6は、自車両と周辺車両の一例である。
ACCシステム2は、第1の実施の形態に係るACCシステム1と比較すると、交通クルーズ制御時に速度に基づいて対象車両に重み付けして参照速度を算出し、対象車両の台数に応じた交通流適応ゲインと参照速度を用いて交通流適応加速度aenvを算出する。したがって、ACCシステム2は、第1の実施の形態に係るACCシステム1の構成と比較すると、車両制御ECU52だけが異なる。なお、第2の実施の形態では、車両制御ECU52における各処理が特許請求の範囲に記載する加速度設定手段及び目標速度設定手段に相当する。
ACCシステム2について具体的に説明する前に、図5及び図6を参照して、第2の実施の形態に係る交通流適応加速度の求め方について説明しておく。
上記の式(2)は、交通流適応加速度を求める対象の車両からなる車群の参照速度V
ref(交通流の実勢速度に相当)と自車両の速度Vを用いて式(3)に変形できる。式(3)におけるcは、交通流適応ゲインであり、交通流の確からしさと制御介入の強さをチューニングできる。参照速度V
refは、交通流適応加速度を求める対象の各車両の速度V
1,V
2,・・・,V
nを用いて、式(4)によって算出できる。式(4)におけるm
1,m
2,・・・,m
nは、各車両に対する重みであり、交通流適応加速度を求めるときに重視する車両ほど大きな値が設定される。式(5)に示すように、重みm
1,m
2,・・・,m
nは、合計が1になるように、0以上1以下の値が割り振られる。
交通流適応ゲインcは、図5に示すようなマップGMを用いて設定される。参照速度Vref(ひいては、交通流適応加速度aenv)を求めるための対象車両の台数が増えるほど、自車両周辺(特に、前方)の交通流の確からしさが大きくなるので、交通流適応ゲインcに大きな値を設定して交通流適応加速度aenvを大きくする。このマップGMは、対象車両の台数が増えるほど大きな値が設定され、実験などによってチューニングされる。
実際の交通の流れでは、速度の低い車両ほど後続車両群の流れに影響を与える。例えば、前方の交通流の実勢速度を車車間通信で情報を取得できる車両の平均速度とし、自車両の速度が実勢速度になるように交通流適応加速度を求め、交通流クルーズ制御を行った場合を想定する。この場合、自車両は前方の交通流の実勢速度(平均速度)に一致するように加減速するが、前方の車群の中にはその実勢速度よりも低い速度の車両が存在すると、その低速度の車両で後続車両が詰まるので、自車両も詰まる。その結果、自車両では、減速が必要となる。そこで、交通流適応加速度(ひいては、交通流クルーズ制御の目標速度)を求める場合には、車車間通信で情報を取得できる他車両の中で速度の低い車両ほど重視する必要がある。そこで、式(5)における重みm1,m2,・・・,mnを、少なくとも対象車両の速度に基づいて設定する。
図6に示す例の場合、自車両MVの前方の他車両OV30,・・・,OV36のうち、3台の他車両OV31,OV33,OV36が車車間通信可能な車両である。この3台の車両のうち、まず、車車間通信で他車両OV31の速度(=20km/h)を取得できた場合、対象車両の台数が1台なので、他車両OV31に対する重みm1として1が設定され、参照速度Vrefが演算され、さらに、対象車両の1台に対する小さな交通流適応ゲインcが設定され、交通流適応加速度aenvが演算される。次に、車車間通信で他車両OV33の速度(=15km/h)を取得できた場合、対象車両の台数が2台となり、他車両OV33の速度ほうが低いので、他車両OV31に対する重みm1と他車両OV33に対する重みm2(>m1)が設定され、参照速度Vrefが演算され、さらに、対象車両が1台のときよりも大きな交通流適応ゲインcが設定され、交通流適応加速度aenvが演算される。さらに、車車間通信で他車両OV36の速度(=10km/h)を取得できた場合、対象車両の台数が3台となり、他車両OV36の速度が最も低いので、他車両OV31に対する重みm1、他車両OV33に対する重みm2(>m1)と他車両OV36に対する重みm3(>m2>m1)が設定され、参照速度Vrefが演算され、さらに、対象車両が2台のときよりも大きな交通流適応ゲインcが設定され、交通流適応加速度aenvが演算される。
それでは、ACCシステム2について具体的に説明する。ここでは、第1の実施の形態に係るACCシステム1と異なる車両制御ECU52についてのみ説明する。車両制御ECU52は、第1の実施の形態に係る車両制御ECU51と比較すると、交通流クルーズ制御の処理だけが異なる。そこで、車両制御ECU52における交通流クルーズ制御についてのみ説明する。
交通流クルーズ制御について説明する。車両制御ECU52では、第1の実施の形態に係る車両制御ECU51と同様の処理により、車車間通信可能な他車両の中から交通流適応加速度を求めるための対象の車両を選択する。
そして、車両制御ECU52では、選択した全ての対象車両の速度に基づいて、速度の低い対象車両ほど大きな重みとなるように、各対象車両に対して重みmiをそれぞれ設定する。この重み付け方法としては、例えば、車両の速度が低いほど大きな重みが対応付けられるマップを用いて、全ての重みの合計値が1となるように(式(5)参照)、速度が低い対象車両ほど大きな重みを設定する。このマップは、対象車両の台数、走行シーン(例えば、前方の渋滞のシーン、渋滞中で走行しているシーン、低速で流れているシーン、高速で流れているシーン)などに応じてチューニングされたものにしてもよい。なお、選択された対象車両が1台の場合、その対象車両の重みが1となる。そして、車両制御ECU52では、各対象車両の速度Viと重みmiを用いて、上記の式(4)により参照速度Vrefを算出する。
さらに、車両制御ECU52では、対象車両の台数−交通流適応ゲインのマップを用いて、選択した対象車両の台数に応じた交通流適応ゲインcを設定する。そして、車両制御ECU52では、参照速度Vrefと自車両の速度V及び交通流適応ゲインcを用いて、上記の式(3)により交通流適応加速度aenvを算出する。車両制御ECU52では、交通流適応加速度aenvを算出すると、第1の実施の形態に係る車両制御ECU51と同様の処理により、次目標速度Vtgt_nextを算出し、その次目標速度Vtgt_nextに基づいて加減速制御を行う。
図1及び図5を参照して、ACCシステム2における交通流クルーズ制御中の動作について説明する。特に、車両制御ECU52における交通流クルーズ制御の処理については図7のフローチャートに沿って説明する。図7は、第2の実施の形態に係る車両制御ECUにおける交通流クルーズ制御の流れを示すフローチャートである。ここでは、第1の実施の形態で説明したACCシステム1における動作と比較すると、車両制御ECU52における処理だけが異なるので、車両制御ECU52における処理のみ説明する。
車両制御ECU52では、S20〜S22の各処理については第1の実施の形態に係る車両制御ECU51におけるS10〜S12の各処理と同様の処理を行う。S22で対象車両を選別すると、車両制御ECU52では、その選別した各対象車両の速度に基づいて、対象車両毎に重み付けを行う(S23)。そして、車両制御ECU52では、各対象車両の重みmiと速度Viに基づいて、式(4)により参照速度Vrefを算出する(S24)。
車両制御ECU52では、選別した対象車両の台数に応じて交通流適応ゲインcをマップから設定する(S25)。さらに、車両制御ECU52では、参照速度Vrefと自車両の速度V及び交通流適応ゲインcに基づいて、式(3)により交通流適応加速度aenvを算出する(S26)。
交通流適応加速度aenvを算出すると、車両制御ECU52では、S27〜S28の各処理については第1の実施の形態に係る車両制御ECU51におけるS14〜S15の各処理と同様の処理を行う。
このACCシステム2は、第1の実施の形態に係るACCシステム1と同様の効果を有する上に、以下の効果も有している。特に、ACCシステム2によれば、対象車両の台数が増加するほど大きな交通流適用ゲインを設定することにより、対象車両の台数が増加するほどより大きな交通流適応加速度を算出でき、自車両周辺の交通流に応じたより適切な交通流適応加速度を設定することができる。また、ACCシステム2によれば、交通流での影響の大きい速度の低い対象車両ほど大きい重みを設定して交通流適応加速度(ひいては、目標速度)を算出することにより、自車両周辺の交通流に応じたより適切な交通流適応加速度を設定することができる。
図1及び図6を参照して、第3の実施の形態に係るACCシステム3について説明する。
ACCシステム3は、第2の実施の形態に係るACCシステム2と比較すると、交通流クルーズ制御時に車車間通信可能な通信車両(自車両及び対象車両)間の情報から非通信車両の存在(台数)及び速度を推定し、対象車両及びその推定した非通信車両からなる車群の参照速度を算出する。したがって、ACCシステム3は、第2の実施の形態に係るACCシステム2の構成と比較すると、車両制御ECU53だけが異なる。なお、第3の実施の形態では、車両制御ECU53における各処理が特許請求の範囲に記載する加速度設定手段、目標速度設定手段及び走行状態推定手段に相当する。
ACCシステム3について具体的に説明する前に、図6を参照して、第3の実施の形態に係る交通流適応加速度の求め方について説明しておく。
通常の交通の流れでは、各車両は所定の車間時間(車間距離)を保ちながら走行している。したがって、車車間通信可能な通信車両間の車間時間が通常の車間時間よりも2倍以上長い場合には、その通信車両間には非通信車両が存在している可能が高い。そこで、同一車線に自車両も含めて複数台の通信車両が存在する場合、その各通信車両間の車間時間に応じて、非通信車両の存在を推定し、非通信車両が存在すると推定できた場合にはその非通信車両の速度を推定する。
まず、通信車両間毎に、(通信車両間の車間時間/通常の車間時間−1)によって、非通信車両の台数(0台の場合もある)を推定する。なお、通信の車間時間は、一般的なドライバの車間時間であり、実験などによって予め設定される。
通信車両間に挟まれている非通信車両の速度は、前方の通信車両の速度と後方の通信車両の速度との間の速度である可能性が高い。そこで、通信車両間に非通信車両の台数が1台以上と推定した場合、安全性を考慮して、前方の通信車両の速度と後方の通信車両の速度のうち低いほうの速度を非通信車両の速度として設定する。
そして、各対象車両(自車両以外の各通信車両)及び推定された各非通信車両の速度V
1,V
2,・・・,V
nを用いて、式(6)によって参照速度V
refを算出する。さらに、対象車両(自車両を除いた通信車両)の台数と推定できた非通信車両の台数の合計台数に応じて交通流適応ゲインcを設定する。さらに、第2の実施の形態と同様の方法により、交通流適応加速度a
envを算出する。ちなみに、非通信車両の速度として前後の通信車両の速度のうち低い速度と仮定しているので、低速度側に重み付けしたことになり、参照速度V
refは速度の低い車両の速度を重視した速度となっている。
図6に示す例の場合、自車両MVの前方の他車両OV30,・・・,OV36のうち、自車両MV及び3台の他車両OV31,OV33,OV36が車車間通信可能な通信車両であり、4台の他車両OV30,OV32,OV34,OV35が車車間通信不能な非通信車両である。ここで、通信車両の自車両MVの速度を100km/h、他車両OV31の速度を80km/h、他車両OV33の速度を50km/h、他車両OV36の速度を70km/hとし、通常の車間時間を1秒とする。自車両MVと他車両OV31との車間時間が2秒であった場合、(2/1−1)により1台の非通信車両が存在すると推定でき、その非通信車両の速度として低いほうの他車両OV31の速度が設定される。他車両OV31と他車両OV33との車間時間が2秒であった場合、(2/1−1)により1台の非通信車両が存在すると推定でき、その非通信車両の速度として低いほうの他車両OV33の速度が設定される。他車両OV33と他車両OV36との車間時間が3秒であった場合、(3/1−1)により2台の非通信車両が存在すると推定でき、その2台の非通信車両の速度として低いほうの他車両OV33の速度が設定される。したがって、この例の場合、参照速度Vrefは、(80+80+50+50+50+50+70)/7=61.4km/hとなる。
それでは、ACCシステム3について具体的に説明する。ここでは、第2の実施の形態に係るACCシステム2と異なる車両制御ECU53についてのみ説明する。車両制御ECU53は、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と比較すると、交通流クルーズ制御の処理だけが異なる。そこで、車両制御ECU53における交通流クルーズ制御についてのみ説明する。
交通流クルーズ制御について説明する。車両制御ECU53では、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と同様の処理により、車車間通信可能な他車両の中から交通流適応加速度を求めるための対象の車両を選択する。
車両制御ECU53では、通信車両間(自車両と自車両に最も近い対象車両間、各対象車両間)毎に、車間時間を演算する。この演算方法としては、各通信車両の絶対位置により通信車両間の車間距離を演算し、その車間距離を後方側の通信車両の速度で除算することによって車間時間を演算する。そして、車両制御ECU53では、通信車両間毎に、通信車両間の車間時間と通常の車間時間に基づいて、通信車両間の非通信車両の台数(0台の場合もある)を推定する。通信車両間に非通信車両が1台以上存在すると推定した場合、車両制御ECU53では、その非通信車両に対して前後の通信車両の速度のうち低いほうの速度を設定する。そして、車両制御ECU53では、各対象車両及び推定できた非通信車両の速度Viを用いて、上記の式(6)により参照速度Vrefを算出する。
車両制御ECU53では、選別した対象車両の台数と推定した非通信車両の台数を加算し、その加算した台数に応じて、第2の実施の形態と同様の方法により交通流適応ゲインcをマップから設定する、そして、車両制御ECU53では、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と同様の処理により、交通流適応加速度aenvを算出し、次目標速度Vtgt_nextを算出し、その次目標速度Vtgt_nextに基づいて加減速制御を行う。
図1を参照して、ACCシステム3における交通流クルーズ制御中の動作について説明する。特に、車両制御ECU53における交通流クルーズ制御の処理については図8のフローチャートに沿って説明する。図8は、第3の実施の形態に係る車両制御ECUにおける交通流クルーズ制御の流れを示すフローチャートである。ここでは、第2の実施の形態で説明したACCシステム2における動作と比較すると、車両制御ECU53における処理だけが異なるので、車両制御ECU53における処理のみ説明する。
車両制御ECU53では、S30〜S32の各処理については第2の実施の形態に係る車両制御ECU52におけるS20〜S22の各処理と同様の処理を行う。S32で対象車両を選別すると、車両制御ECU53では、自車両及び選別した各対象車両の位置と速度に基づいて、自車両及び選別した対象車両による各通信車両間の車間時間をそれぞれ演算する(S33)。そして、車両制御ECU53では、通信車両間毎に、車間時間に基づいて通信車両間に存在する非通信車両の台数を推定し、非通信車両が存在する場合には前後の通信車両の速度に基づいて非通信車両の速度を推定する(S34)。
車両制御ECU53では、選別した各対象車両の速度と推定した各非通信車両の速度に基づいて、式(6)により参照速度Vrefを算出する(S35)。また、車両制御ECU53では、選別した対象車両の台数と推定した非通信車両の台数の合計台数に応じて交通流適応ゲインcをマップから設定する(S36)。さらに、車両制御ECU53では、参照速度Vrefと自車両の速度V及び交通流適応ゲインcに基づいて、交通流適応加速度aenvを算出する(S37)。
交通流適応加速度aenvを算出すると、車両制御ECU53では、S38〜S39の各処理については第2の実施の形態に係る車両制御ECU52におけるS27〜S28の各処理と同様の処理を行う。
このACCシステム3は、第1の実施の形態に係るACCシステム1と同様の効果を有する上に、以下の効果も有している。特に、ACCシステム3によれば、通信車両間の情報から通信車両間に存在する非通信車両の台数及び速度を推定し、その推定できた非通信車両の情報も用いて参照速度及び交通流適応ゲインを求めることにより、自車両周辺の交通流に応じたより適切な交通流適応加速度を設定することができる。また、ACCシステム3によれば、非通信車両の速度として前後の通信車両の低いほうの速度を設定することにより、低い速度側に重み付けができ、交通流での影響の大きい速度の低い車両を重視して参照速度や交通流適応加速度(ひいては、目標速度)を算出でき、自車両周辺の交通流に応じたより適切な交通流適応加速度を設定することができる。これによって、車車間通信の普及率が低い場合でも、より確からしい交通流に応じた制御が可能となり、交通流に迅速に合わせることができる。
図1及び図9を参照して、第4の実施の形態に係るACCシステム4について説明する。図9は、非通信車両の速度の推定方法の説明図である。
ACCシステム4は、第2の実施の形態に係るACCシステム2と比較すると、交通流クルーズ制御時に対象車両(車車間通信可能な通信車両)が前方又は/及び後方の車間センサを備える場合にはその車間センサによる捕捉情報から前方又は/及び後方の非通信車両の存在及び速度を推定し、対象車両及びその推定した非通信車両からなる車群の参照速度を算出する。したがって、ACCシステム4は、第2の実施の形態に係るACCシステム2の構成と比較すると、車両制御ECU54だけが異なる。なお、第4の実施の形態では、車両制御ECU54における各処理が特許請求の範囲に記載する加速度設定手段、目標速度設定手段及び走行状態推定手段に相当する。
ACCシステム4について具体的に説明する前に、図9を参照して、第4の実施の形態に係る交通流適応加速度の求め方について説明しておく。
前方車間距離センサ10のような前方や後方の車両を捕捉できる車間センサを備える車両の場合、その車間センサによる情報に基づいて前方や後方の他車両の捕捉状態や他車両を捕捉している場合にはその他車両との捕捉情報(相対距離、相対速度など)を得ることができる。したがって、車車間通信可能な通信車両(特に、対象車両)が車間センサを備える場合、その車間センサによる捕捉状態や捕捉情報を利用することにより、通信車両の前方や後方に存在する非通信車両の存在や速度を推定することができる。そこで、車車間通信可能な通信車両が車間センサを備える場合、自車両では、車車間通信で車間センサによる捕捉状態や捕捉情報を取得し、捕捉状態で車両を捕捉できているときには非通信車両が存在していると判断し、非通信車両が存在する場合には車間センサによる相対速度と通信車両の速度に基づいて非通信車両の速度を演算する。ちなみに、捕捉できた車両が通信車両(対象車両)であった場合、非通信車両が存在すると判断しない。
そして、非通信車両の存在を推定できた場合、対象車両(通信車両)及びその非通信車両の情報を用いて、各車両の重み付け、参照速度Vrefの算出、交通流適応ゲインcの設定、交通流適応加速度aenvの算出を行う。
図9に示す例の場合、自車両MVの前方の他車両OV40,・・・,OV44のうち、2台の他車両OV41,OV43が車車間通信可能な通信車両であり、そのうち他車両OV41だけが前方側の車間センサを備えている。このとき、他車両OV41では、車間センサによる情報に基づいて前方の他車両OV42を捕捉しており、その他車両OV42との相対速度を求めている。そして、自車両MVでは、この捕捉状態や相対速度などの情報を車車間通信で他車両OV41から取得することにより、非通信車両OV42の存在及び速度を推定することができる。したがって、この例の場合、非通信車両OV42の速度も含めて参照速度Vrefを算出でき、非通信車両OV42の台数も含めて交通流適応ゲインcを設定できる。
それでは、ACCシステム4について具体的に説明する。ここでは、第2の実施の形態に係るACCシステム2と異なる車両制御ECU54についてのみ説明する。車両制御ECU54は、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と比較すると、交通流クルーズ制御の処理だけが異なる。そこで、車両制御ECU54における交通流クルーズ制御についてのみ説明する。
交通流クルーズ制御について説明する。車両制御ECU54では、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と同様の処理により、車車間通信可能な他車両の中から交通流適応加速度を求めるための対象の車両を選択する。ちなみに、第4の実施の形態では、車車間通信で取得できる情報には、上記で示した情報の他に、前方及び/又は後方の車間センサの有無、車間センサを備える場合には捕捉状態及び捕捉情報(相対距離、相対速度など)も含まれるものとする。
車両制御ECU54では、選択した対象車両の車間センサの有無情報に基づいて、車間センサを備える対象車両を抽出する。車間センサを備える対象車両が存在する場合、車両制御ECU54では、その対象車両の車間センサによる捕捉状態に基づいて、対象車両の前方又は/及び後方に非通信車両が存在するかを判断する。非通信車両が存在すると判断した場合、車両制御ECU54では、その対象車両の速度及び捕捉情報(特に、相対速度)に基づいて、その非通信車両の速度を算出する。
そして、車両制御ECU54では、選択した全ての対象車両及び非通信車両が存在すると推定している場合には推定できた全ての非通信車両の速度に基づいて、第2の実施の形態と同様の方法により、各車両に対して重みmiをそれぞれ設定する。そして、車両制御ECU54では、各対象車両及び非通信車両が存在すると推定している場合には推定できた各非通信車両の速度Viと重みmiを用いて、上記の式(4)により参照速度Vrefを算出する。
さらに、車両制御ECU54では、選択した対象車両及び非通信車両が存在すると推定している場合には推定できた非通信車両の合計の台数に応じて、第2の実施の形態と同様の方法により交通流適応ゲインcをマップから設定する、そして、車両制御ECU54では、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と同様の処理により、交通流適応加速度aenvを算出し、次目標速度Vtgt_nextを算出し、その次目標速度Vtgt_nextに基づいて加減速制御を行う。
図1を参照して、ACCシステム4における交通流クルーズ制御中の動作について説明する。特に、車両制御ECU54における交通流クルーズ制御の処理については図10のフローチャートに沿って説明する。図10は、第4の実施の形態に係る車両制御ECUにおける交通流クルーズ制御の流れを示すフローチャートである。ここでは、第2の実施の形態で説明したACCシステム2における動作と比較すると、車両制御ECU54における処理だけが異なるので、車両制御ECU54における処理のみ説明する。
車両制御ECU54では、S40〜S42の各処理については第2の実施の形態に係る車両制御ECU52におけるS20〜S22の各処理と同様の処理を行う。S42で対象車両を選別すると、車両制御ECU54では、対象車両のうち車間センサを備える対象車両が存在する場合、その対象車両毎に、車間センサによる捕捉状態に基づいて非通信車両の存在を推定し、非通信車両が存在すると推定した場合にはその非通信車両との相対速度と対象車両の速度に基づいて非通信車両の速度を推定する(S43)。
車両制御ECU54では、その選別した各対象車両及び推定できた各非通信車両の速度に基づいて、その車両毎に重み付けを行う(S44)。そして、車両制御ECU54では、選別した各対象車両及び推定できた各非通信車両の重みmiと速度Viに基づいて、式(4)により参照速度Vrefを算出する(S45)。
車両制御ECU54では、選別した対象車両の台数と推定できた非通信車両の台数の合計台数に応じて交通流適応ゲインcをマップから設定する(S46)。さらに、車両制御ECU54では、参照速度Vrefと自車両の速度V及び交通流適応ゲインcに基づいて、交通流適応加速度aenvを算出する(S47)。
交通流適応加速度aenvを算出すると、車両制御ECU54では、S48〜S49の各処理については第2の実施の形態に係る車両制御ECU52におけるS27〜S28の各処理と同様の処理を行う。
このACCシステム4は、第2の実施の形態に係るACCシステム2と同様の効果を有する上に、以下の効果も有している。特に、ACCシステム4によれば、対象車両(通信車両)の車間センサによる捕捉状態や捕捉情報から非通信車両の存在及び速度を推定し、その推定できた非通信車両の情報も用いて参照速度及び交通流適応ゲインを求めることにより、自車両周辺の交通流に応じたより適切な交通流適応加速度を設定することができる。
例えば、一般道で赤信号の信号機の手前で減速するときに、赤信号で停止する車両の台数を多く推定することにより、より大きな力(加速度)が加わって減速することができ、早めに減速する効果がある。したがって、信号待ちの車列の手前で安全に減速しやすくなる。
図1を参照して、第5の実施の形態に係るACCシステム5について説明する。
ACCシステム5は、第1の実施の形態に係るACCシステム1と比較すると、交通流クルーズ制御時に自車両の車間距離制御機能(先行車両追従制御機能)の有無に応じて交通流適応加速度の大きさを変える。したがって、ACCシステム5は、第2の実施の形態に係るACCシステム2の構成と比較すると、車両制御ECU55だけが異なる。なお、第5の実施の形態では、車両制御ECU55における各処理が特許請求の範囲に記載する加速度設定手段及び目標速度設定手段に相当する。
ACCシステム5について具体的に説明する前に、第5の実施の形態に係る交通流適応加速度の求め方について説明しておく。
車間センサを利用した車間距離制御機能を備える車両では、車間センサで前方の他車両を捕捉すると、車間距離制御に移行して、その捕捉した他車両との車間距離を一定に保持する。そのため、例えば、前方の他車両よりも自車両のほうがかなり高い速度で走行している場合でも、ドライバのブレーキ操作がなくても、車両側で自動的に減速し、捕捉した他車両との車間距離が一定距離以上は短くならない。一方、車間距離制御機能を備えない車両では、前方の他車両よりも自車両のほうがかなり高い速度で走行している場合には、ドライバのブレーキ操作が遅れるほど、その前方の他車両との車間距離が短くなり、急接近する。
したがって、安全性を考慮すると、車間距離制御機能を備えない車両の場合、急な減速や加速を車間距離制御機能を備える車両よりも抑える必要がある。そこで、自車両の車間距離制御機能の有無を判断し、車間距離制御機能を備える場合には交通流適応ゲインを基準値よりも大きくし(基準値のままでもよい)、車間距離制御機能を備えない場合には交通流適応ゲインを基準値よりも小さくする。交通流適応ゲインをどの程度大きくするあるいは小さくするかは、実験などによって予め設定される。そして、この補正した交通流適応ゲインを用いて、交通流適応加速度aenvを算出する。したがって、車間距離制御機能を備えない場合には、交通流適応加速度aenvは小さくなり、急な加速や減速が抑えられる。
それでは、ACCシステム5について具体的に説明する。ここでは、第2の実施の形態に係るACCシステム2と異なる車両制御ECU55についてのみ説明する。車両制御ECU55は、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と比較すると、交通流クルーズ制御の処理だけが異なる。そこで、車両制御ECU55における交通流クルーズ制御についてのみ説明する。
交通流クルーズ制御について説明する。車両制御ECU55では、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と同様の処理により、車車間通信可能な他車両の中から交通流適応加速度を求めるための対象の車両を選択する。そして、車両制御ECU55では、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と同様の処理により、対象車両毎の重み付け及び参照速度を演算する。
車両制御ECU55では、選択した対象車両の台数に応じて、第2の実施の形態と同様の方法により交通流適応ゲインc(基準値)を設定する。さらに、車両制御ECU55では、先行車両追従制御機能(車間距離制御機能)を有しているので、交通流適応ゲインc(基準値)に1以上の補正係数を乗算し、交通流適応ゲインcの補正値を求める。ちなみに、車間距離制御機能を有していない車両の場合、交通流適応ゲインc(基準値)に1未満の補正係数を乗算して交通流適応ゲインcの補正値を求める。そして、車両制御ECU55では、参照速度Vrefと自車両の速度V及び交通流適応ゲインc(補正値)を用いて、上記の式(3)により交通流適応加速度aenvを算出する。車両制御ECU55では、交通流適応加速度aenvを算出すると、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と同様の処理により、次目標速度Vtgt_nextを算出し、その次目標速度Vtgt_nextに基づいて加減速制御を行う。
図1を参照して、ACCシステム5における交通流クルーズ制御中の動作について説明する。特に、車両制御ECU55における交通流クルーズ制御の処理については図11のフローチャートに沿って説明する。図11は、第5の実施の形態に係る車両制御ECUにおける交通流クルーズ制御の流れを示すフローチャートである。ここでは、第2の実施の形態で説明したACCシステム2における動作と比較すると、車両制御ECU55における処理だけが異なるので、車両制御ECU55における処理のみ説明する。
車両制御ECU55では、S50〜S55の各処理については第2の実施の形態に係る車両制御ECU52におけるS20〜S25の各処理と同様の処理を行う。S55で交通流適応ゲイン(基準値)を設定すると、車両制御ECU55では、自車両の車間距離制御機能の有無に応じて交通流適応ゲイン(基準値)を補正する(S56)。ここでは、自車両が先行車両追従制御機能を有しているので、交通流適応ゲイン(基準値)より大きな値あるいは交通流適応ゲイン(基準値)のままの交通流適応ゲイン(補正値)となる。そして、車両制御ECU55では、参照速度Vrefと自車両の速度V及び交通流適応ゲイン(補正値)に基づいて、交通流適応加速度aenvを算出する(S57)。
交通流適応加速度aenvを算出すると、車両制御ECU55では、S58〜S59の各処理については第2の実施の形態に係る車両制御ECU52におけるS27〜S28の各処理と同様の処理を行う。
このACCシステム5は、第2の実施の形態に係るACCシステム2と同様の効果を有する上に、以下の効果も有している。特に、ACCシステム5によれば、自車両の車間距離制御機能の有無に応じて交通流適応ゲインを補正することにより(特に、車間距離制御機能が無い場合には交通流適応ゲインを小さくすることにより)、より適切な交通流適応加速度を設定することができ(特に、車間距離制御機能が無い場合には交通流適応加速度を小さくすることができ)、安全性を向上させることができる。
図1及び図12を参照して、第6の実施の形態に係るACCシステム6について説明する。図12は、合流時の交通流適応加速度の設定方法の説明図である。
ACCシステム6は、第2の実施の形態に係るACCシステム2と比較すると、交通流クルーズ制御時に自車両が他車線に合流や自車線から退出する場合には合流先又は退出先の車線(道路)の進行方向に分解した自車両の速度成分を用いて参照速度を算出する。したがって、ACCシステム6は、第2の実施の形態に係るACCシステム2の構成と比較すると、車両制御ECU56だけが異なる。なお、第6の実施の形態では、車両制御ECU56における各処理が特許請求の範囲に記載する加速度設定手段及び目標速度設定手段に相当する。
ACCシステム6について具体的に説明する前に、図12を参照して、第6の実施の形態に係る交通流適応加速度の求め方について説明しておく。
インターチェンジなどで自車両が他車線に合流する場合や自車線から退出する場合、合流後又は退出後には自車両は合流先の車線の交通流又は退出先の車線の交通流に合うように走行しなければならない。そこで、合流前又は退出前に、合流先の車線又は退出先の車線に存在する他車両の情報を用いて、自車両の速度が合流先の車線又は退出先の車線の交通流の実勢速度に一致するように働く交通流適応加速度を求める。特に、自車両の速度Vを合流先の車線又は退出先の車線の進行方向に分解し、自車両の速度としてその進行方向の速度成分V
dを求める。また、合流先の車線又は退出先の車線に存在する交通流適応加速度を求める対象の各車両の速度を用いて、第2の実施の形態と同様の方法により、重みm
1,m
2,・・・,m
nを設定し、参照速度V
refを算出する。また、合流先の車線又は退出先の車線に存在する交通流適応加速度を求める対象の各車両の台数に基づいて、第2の実施の形態と同様の方法により、交通流適応ゲインcを設定する。そして、参照速度V
refと自車両の速度成分V
d及び交通流適応ゲインcを用いて、式(7)によって交通流適応加速度a
envを算出する。
図12に示す例は、自車両MVが車線OLに合流する場合であり、合流先の車線OLに存在する他車両OV50,・・・,OV53のうち、2台の他車両OV50,OV53が車車間通信可能な車両である。自車両MVは走行中の車線の進行に沿った速度Vで走行しており、その速度Vを合流先の車線OLの進行方向に分解した速度成分がVdである。合流先の車線OLでの車車間通信可能な他車両OV50の速度(必要に応じて、後方の車車間通信可能な他車両OV53の速度も用いる)から参照速度Vrefを算出し、その車車間通信可能な他車両の台数から交通流適応ゲインcを設定する。そして、自車両MVの合流先の車線OLの進行方向の速度成分Vdと参照速度Vref及び交通流適応ゲインcを用いて、自車両MVが車線OLに合流するための適切な交通流適応加速度aenvが求められる。
それでは、ACCシステム6について具体的に説明する。ここでは、第2の実施の形態に係るACCシステム2と異なる車両制御ECU56についてのみ説明する。車両制御ECU56は、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と比較すると、交通流クルーズ制御の処理だけが異なる。特に、交通流クルーズ制御において、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52における交通流クルーズ制御と同様の処理を行う上に、自車両が他車線に合流する場合や自車線から退出する場合の処理も行う。そこで、車両制御ECU56における交通流クルーズ制御の中の自車両が他車線に合流する場合や自車線から退出する場合の処理についてのみ説明する。
交通流クルーズ制御について説明する。車両制御ECU56では、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と同様の処理により、自車両周辺の車車間通信可能な他車両毎の情報及びインフラ情報を取得する。
車両制御ECU56では、他車両からの情報とインフラ情報(取得できた場合のみ)に基づいて、車車間通信可能な他車両の中から交通流適応加速度を求めるための対象の車両を選択する。自車両が他車線に合流する場合や自車線から退出する場合の選択方法としては、合流先の車線又は退出先の車線において前方を走行している他車両を選択し、特に、合流する場合には合流先の車線において後方を走行している他車両も選択してもよい。
そして、車両制御ECU56では、選択した全ての対象車両の速度に基づいて、第2の実施の形態と同様の方法により、各対象車両に対して重みmiをそれぞれ設定し、上記の式(4)により参照速度Vrefを算出する。また、車両制御ECU56では、選択した対象車両の台数に応じて、第2の実施の形態と同様の方法により、交通流適応ゲインcを設定する。
また、車両制御ECU56では、合流先の車線又は退出先の車線の進行方向dに基づいて、自車両の速度Vをその進行方向dの成分に分解し、その進行方向dの速度成分Vdを算出する。なお、合流先の車線又は退出先の車線の進行方向dは、ナビゲーションシステムなどで利用される地図データを用いてもよいし、あるいは、インフラ装置から周辺道路のデータとして路車間通信で取得してもよい。
そして、車両制御ECU56では、参照速度Vrefと自車両の進行方向dの速度成分Vd及び交通流適応ゲインcを用いて、上記の式(7)により交通流適応加速度aenvを算出する。車両制御ECU56では、交通流適応加速度aenvを算出すると、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と同様の処理により、次目標速度Vtgt_nextを算出し、その次目標速度Vtgt_nextに基づいて加減速制御を行う。
図1及び図12を参照して、ACCシステム6における交通流クルーズ制御中の自車両が他車線に合流する場合や自車線から退出する場合の動作について説明する。特に、車両制御ECU56における交通流クルーズ制御の処理については図13のフローチャートに沿って説明する。図13は、第6の実施の形態に係る車両制御ECUにおける交通流クルーズ制御の流れを示すフローチャートである。ここでは、第2の実施の形態で説明したACCシステム2における動作と比較すると、車両制御ECU56における処理だけが異なるので、車両制御ECU56における処理のみ説明する。
車両制御ECU56では、S60〜S61の各処理については第2の実施の形態に係る車両制御ECU52におけるS20〜S21の各処理と同様の処理を行う。
制御周期Δt毎に、車両制御ECU56では、自車両周辺の車車間通信可能な他車両の情報とインフラ情報(取得できている場合だけ)に基づいて、自車両周辺の合流先の車線又は退出先の車線に存在する車車間通信可能な他車両の中から交通流適応加速度を求める対象の車両を選別する(S62)。対象車両を選別すると、車両制御ECU56では、その選別した各対象車両の速度に基づいて、対象車両毎に重み付けを行う(S63)。そして、車両制御ECU56では、各対象車両の重みmiと速度Viに基づいて、式(4)により参照速度Vrefを算出する(S64)。
車両制御ECU56では、自車両の速度Vを合流先の車線又は退出先の車線の進行方向の速度成分Vdに分解する(S65)。また、車両制御ECU56では、選別した対象車両の台数に応じて交通流適応ゲインcをマップから設定する(S66)。さらに、車両制御ECU56では、参照速度Vrefと分解した自車両の速度成分Vd及び交通流適応ゲインcに基づいて、式(7)により交通流適応加速度aenvを算出する(S67)。
交通流適応加速度aenvを算出すると、車両制御ECU56では、S68〜S69の各処理については第2の実施の形態に係る車両制御ECU52におけるS27〜S28の各処理と同様の処理を行う。
このACCシステム6は、第2の実施の形態に係るACCシステム2と同様の効果を有する上に、以下の効果も有している。特に、ACCシステム6によれば、自車両が合流する場合や退出する場合には自車両の速度を進入先の車線の進行方向で分解し、その分解した速度成分で交通流適応加速度を求めることにより、合流先の車線又は退出先の車線での交通流に応じたより適切な交通流適応加速度を設定することができる。これによって、合流先の車線又は退出先の車線の交通流に合うような速度で合流又は退出できるので、スムーズに合流又は退出できる。
図1及び図14を参照して、第7の実施の形態に係るACCシステム7について説明する。図14は、交通密度と交通流速の関係における渋滞領域、臨界領域及びスムーズ領域を示すマップである。
ACCシステム7は、第2の実施の形態に係るACCシステム2と比較すると、交通流クルーズ制御時に渋滞状態になる前の臨海状態では交通流適応加速度を制限し、渋滞状態では目標速度を制限する。したがって、ACCシステム7は、第2の実施の形態に係るACCシステム2の構成と比較すると、車両制御ECU57だけが異なる。なお、第7の実施の形態では、車両制御ECU57における各処理が特許請求の範囲に記載する加速度設定手段及び目標速度設定手段に相当する。
ACCシステム7について具体的に説明する前に、図14を参照して、第7の実施の形態に係る交通流適応加速度の求め方について説明しておく。
図14に示すように、単一車線には渋滞状態になる臨界線CLがあり、臨界線CLを超えると渋滞状態になることが一般に知られている。臨界線CLは、交通密度と交通流速との関係で決まり、交通密度が0から増加すると交通流速が略線形に高くなり、交通密度が25(台/km)以降では交通密度が増加すると交通流速が低くなる。交通密度は、単位距離当たりの車両台数であり、車間距離に相当する。この臨界線CLよりも上側の領域が渋滞状態の領域であり、下側の領域が渋滞状態になる手前の臨界状態の領域である。さらに、臨界領域の下側には、車両がスムーズに流れる状態の領域がある。なお、図14に示す交通道度と交通流速の関係における渋滞領域、臨界領域及びスムーズ領域を示すマップは、実験などで求められた一般的なマップである。
臨界状態において車両が強い減速を行うと、後続の車両が次々に減速し、渋滞を引き起こす。したがって、臨界状態の場合には、加減速度(特に、減速度)を抑える必要があり、加速度制限モードとする。また、渋滞状態では、渋滞を緩和するために、交通密度に応じて臨界線CLまで速度を制限する必要があり、速度制限モードとする。スムーズに流れている状態では、加減速度や速度を抑える必要がなく、無制限モードとする。
そこで、交通密度−交通流速との関係から渋滞状態(速度制限モード)、臨界状態(加速度制限モード)、スムーズ状態(無制限モード)のいずれのモードかを判断する。加速度制限モードの場合、交通流適応加速度a
envが算出されると、式(8)によって交通流適応加速度a
envの絶対値を制限加速度a
limまでに制限する。制限加速度a
limは、臨界状態で渋滞を引き起こさない加減速度の大きさであり、交通密度や交通流速に応じた可変値である。速度制限モードの場合、次目標速度V
tgt_nextが算出されると、式(9)によって次目標速度V
tgt_nextを制限速度V
limまでに制限する。制限速度V
limは、臨界線CLの交通流速に相当し、交通密度に応じた可変値である。さらに、速度制限モードの場合、加速度制限モードの場合と同様に、式(8)によって交通流適応加速度a
envの絶対値を制限加速度a
limまでに制限する。
それでは、ACCシステム7について具体的に説明する。ここでは、第2の実施の形態に係るACCシステム2と異なる車両制御ECU57についてのみ説明する。車両制御ECU57は、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と比較すると、交通流クルーズ制御の処理だけが異なる。そこで、車両制御ECU57における交通流クルーズ制御についてのみ説明する。
交通流クルーズ制御について説明する。車両制御ECU57では、第2の実施の形態と同様の処理により、交通流適応加速度aenvや次目標速度Vtgt_nextを算出する。
特に、車両制御ECU57では、車車間通信で取得した他車両からの情報に基づいて、自車両が走行している車線において車車間通信の通信範囲内に存在する車両の台数(交通密度に相当)を取得するとともに、その車両の平均速度(交通流速に相当)を算出する。そして、車両制御ECU57では、車車間通信の通信範囲内に存在する車両の台数(交通密度)と平均速度(交通流速)の関係により、交通密度−交通流速のマップから現在の交通状態(渋滞状態、臨界状態、スムーズ状態)を判定する。そして、車両制御ECU57では、その現在の交通状態に応じた制限モード(速度制限モード、加速度制限モード、無制限モード)を決定する。この際、交通密度−交通流速のマップを、車車間通信の通信範囲当たりの車両台数を交通密度としたマップにしておくとよい。
加速度制限モードの場合、車両制御ECU57では、第2の実施の形態と同様の処理により交通流適応加速度aenvを算出すると、交通密度や交通流速に応じた制限加速度alimを設定し、式(8)によって交通流適応加速度aenvの絶対値を制限加速度alimまでに制限する。そして、車両制御ECU57では、その制限された交通流適応加速度aenvを用いて、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と同様の処理により、次目標速度Vtgt_nextを算出する。
速度制限モードの場合、車両制御ECU57では、第2の実施の形態と同様の処理により交通流適応加速度aenvを算出すると、加速度制限モードの場合と同様の処理により交通流適応加速度aenvの絶対値を制限し、その制限された交通流適応加速度aenvを用いて次目標速度Vtgt_nextを算出する。そして、車両制御ECU57では、交通密度に応じた制限速度Vlimを設定し、式(9)によって次目標速度Vtgt_nextを制限速度Vlimまでに制限する。そして、車両制御ECU57では、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と同様の処理により、制限された次目標速度Vtgt_nextに基づいて加減速制御を行う。
無制限モードの場合、車両制限ECU57では、第2の実施の形態と同様の処理により交通流適応加速度aenvや次目標速度Vtgt_nextを算出すると、交通流適応加速度aenvや次目標速度Vtgt_nextを制限することなく、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52と同様の処理を行う。
図1を参照して、ACCシステム7における交通流クルーズ制御中の動作について説明する。特に、車両制御ECU57における交通流クルーズ制御の処理については図15のフローチャートに沿って説明する。図15は、第7の実施の形態に係る車両制御ECUにおける交通流クルーズ制御の流れを示すフローチャートである。ここでは、第2の実施の形態で説明したACCシステム2における動作と比較すると、車両制御ECU57における処理だけが異なるので、車両制御ECU57における処理のみ説明する。
車両制御ECU57では、S70〜S71の各処理については第2の実施の形態に係る車両制御ECU52におけるS20〜S21の各処理と同様の処理を行う。
制御周期Δt毎に、車両制御ECU57では、自車両周辺の車車間通信可能な他車両の情報から得られる車車間通信の通信範囲内の車両の台数と平均速度により、交通密度−交通流速マップから現在の交通状態を把握する(S72)。そして、車両制御ECU57では、その現在の交通状態により、速度・加速度の制限モードを決定する(S73)。
車両制御ECU57では、S74〜S78の各処理については第2の実施の形態に係る車両制御ECU52におけるS22〜S26の各処理と同様の処理を行う。
交通流適応加速度aenvを演算すると、加速度制限モード又は速度制限モードの場合、車両制御ECU57では、式(8)によって交通流適応加速度aenv(絶対値)を制限する(S79)。そして、車両制御ECU57では、S79で制限した交通流適応加速度aenvあるいはS78で演算した交通流適応加速度aenvと現目標速度Vtgt_nowに基づいて、式(1)により次目標速度Vtgt_nextを演算する(S80)。
次目標速度Vtgt_nextを演算すると、速度制限モードの場合、車両制御ECU57では、式(9)によって次目標速度Vtgt_nextを制限する(S81)。そして、車両制御ECU57では、S81で制限した次目標速度Vtgt_nextあるいはS80で演算した次目標速度Vtgt_nextになるように、第2の実施の形態に係る車両制御ECU52におけるS28の処理と同様に加減速制御を行う。
このACCシステム7は、第2の実施の形態に係るACCシステム2と同様の効果を有する上に、以下の効果も有している。特に、ACCシステム7によれば、臨界状態の場合には交通流適応加速度aenvを制限するので、臨界状態から渋滞状態になるのを抑制できる。また、ACCシステム7によれば、渋滞状態の場合には次目標速度Vtgt_nextを制限するので、渋滞状態を緩和できる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では先行車両追従制御とクルーズ制御を行うACCシステムに適用したが、クルーズ制御(特に、交通流クルーズ制御)だけを行う装置、交通流に応じた車両の目標速度や加速度の設定だけを行う装置などの他の装置にも適用可能である。
また、本実施の形態ではクルーズ制御のための目標速度や交通流適応加速度を求める構成としたが、自動運転を行う場合あるいはドライバによる操作によって走行する場合の目標速度や交通流適応加速度を求める場合でも適用可能である。
また、第1の実施の形態では交通流適応加速度を算出するときのゲインc1,c2,・・・を同じ値の固定値としたが、対象車両の速度や台数などに応じて、異なる値としてもよいし、可変値としてもよい。
また、第2の実施の形態では参照速度を算出するときの各対象車両に対する重みm1,m2,・・・を対象車両の速度に基づいて設定する構成としたが、対象車両の位置、車両状態(停車中、安全システムの作動状況など)、属性(緊急車両など)などの他の情報も考慮して重みを設定してもよい。また、各対象車両に対する重みを台数に応じた同じ値としてもよい(この場合、参照速度が対象車両の速度の平均値となる)。
また、第3の実施の形態では対象車両間の車間時間も自車両で求める構成としたが、対象車両で求めた車間時間を車車間通信で自車両が取得してもよい。