JP5309645B2 - 高分子安定化強誘電性液晶組成物及び液晶表示素子 - Google Patents
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当該引用文献においては、光硬化性モノマーをねじれネマチック液晶ホスト中に数%の濃度で添加した後、電圧無印加の状態で光照射して作製した高分子安定型液晶素子の例を示している。さらに実施例において液晶性モノマーを2%、3%、4%、5%を変えた時の電圧−誘電率特性が示されている。この結果によると、液晶性モノマーの添加量が増加すると飽和する誘電率が下がり飽和させるためには更に高い電圧を印加させる必要があり駆動電圧が高くなり、これに応じて素子の駆動電圧も増加する。この点が高分子安定化液晶素子を実用化させる上で課題になっている。
また、液晶素子にスメクチック液晶を用いる場合、ネマチック相とは根本的に異なった挙動を示す。すなわち、スメクチック相を液晶表示素子として応用する場合、スメクチック相が層(レイヤー)構造を有し、液晶分子の長軸(分子の向き)が層構造ができている方向から傾く現象を利用する。液晶分子が層法線方向から傾く角度を、傾き角(チルト角)と呼び、スメクチック液晶を液晶素子として用いる場合に特徴的な物性となり、液晶素子として適したチルト角を得ることが望ましいが、前記引用文献には、このチルト角に与える影響についての開示はない。
また、1枚の基板上に液晶分子を高分子液晶マトリックス中に固定化してハイブリッド配向を固定化させ、該基板上のホモジニアス配向部分が接するよう二枚の基板を張り合わせてOCBモードのベント配向を作り液晶表示素子に用いる技術が開示されている(特許文献2参照)。この場合は、電圧を印加せずベント配向を作ることが特徴である。
しかしながら、これらの引用文献開示の発明においても前述の駆動電圧の問題については解決されておらず、また、光硬化性液晶モノマーの添加が前述のチルト角に与える影響についての開示もない。
又、強誘電性液晶と単官能液晶性(メタ)アクリレートモノマーを含有する液晶組成物を液晶セル中に注入した後、該組成物が所定の液晶相を示す温度において紫外線を照射し、単官能液晶性(メタ)アクリレートモノマーを高分子化させることによって得られる高分子安定化強誘電性液晶表示素子が開示されている(特許文献3、4及び5参照)。液晶分子の配向を高分子安定化することにより新規の機能を付与することができ、上述のOCBモード、及び強誘電性液晶に単官能液晶性(メタ)アクリレートを用いた素子は、良好なベント配向を得たり、良好な中間調表示が可能であるという特徴を有するものの、単官能液晶性(メタ)アクリレートモノマーの重合により得られた高分子の耐熱性が良好でなく、結果として高温での信頼性が良好でないという問題があった。さらに、強誘電性液晶に単官能液晶性(メタ)アクリレートを用いた素子では駆動電圧が高いという問題点があった。また、スメクチックA相で紫外線露光して高分子安定化を行いスメクチックC相へ除冷して相転移させると印加電圧に比例した中間調表示が可能になりうることが開示されているが駆動電圧が高いという問題があった。(特許文献3参照)。このように、これらの引用文献開示の発明においても前述の駆動電圧の問題については解決されておらず、また、光硬化性液晶モノマーの添加が前述のチルト角に与える影響についての開示もなかった。また、液晶が60〜95重量%で残りが網目状の高分子であるため高分子分散型液晶に見られる光散乱が起こる。この散乱が偏光を用いた表示素子のコントラストを低くする原因になる。そのため、コントラスト向上に他の手段が必要となる欠点があった。
更に、単官能液晶性(メタ)アクリレートに比べて多官能液晶性(メタ)アクリレートは、メソゲン基の熱の揺らぎが抑えられて高分子安定化の信頼性は高くなるものの低分子液晶との相互作用が高くなり駆動電圧が高くなる問題も有していた。
高分子安定化状態の安定性を向上するためには、二官能液晶性アクリレート等を用いて架橋高分子を用いればよい。二官能液晶性アクリレートの使用により、メソゲン基が高分子主鎖に配置され該メソゲン基の両端が架橋により固定化されているため熱の揺らぎの影響が少なく低分子液晶の配向安定化の信頼性が向上する。しかし、その反面、熱の揺らぎが小さくなるため低分子液晶との相互作用が増大する、その結果低分子液晶の配向を固定化した際に起こる低分子液晶/高分子界面でのアンカリング力がさらに高くなり、益々駆動電圧が増大するという弊害が生じる。さらに、スメクチック層内で液晶分子が益々傾きにくくなり、チルト角が小さくなるという欠点があった。
高分子安定化の信頼性を上げるのには、高分子鎖の架橋密度を高くしてガラス転移温度等を高くする方法があるが、同時に低分子液晶と該高分子とのアンカーリング力が増加して駆動電圧増加、及び、チルト角の減少を引き起こす。また、網目状高分子鎖の体積割合を増加すると該高分子鎖の熱的、機械的安定性は向上するが該高分子鎖の屈折率が表示素子中に低分子液晶の屈折率分布へ影響を強く及ぼすようになり低分子液晶との屈折率差から光散乱を起こして表示のコントラストを低下させていた。
本願は、一般式(I−a)
A2は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
A3及びA6はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から18のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から17のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
A4及びA7はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
kは1から40を表し、
B1、B2及びB3は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1から10の直鎖もしくは分岐のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個もしくは2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い)、又は一般式(I−b)
A8は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)で表される基を表す。ただし、2k+1個あるB1、B2及びB3のうち前記一般式(I−b)で表される基となるものの個数は0〜3個である。)
で表される重合性化合物であって、該重合性化合物の重合物のガラス転移温度が−100℃から25℃である重合性化合物(I)と、一般式(II)
で表される液晶性化合物(II)と、一般式(III−a)
C4及びC5はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
Z3及びZ5はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
Z4は、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2O−、−OCH2CH2−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−CF2O−、−OCF2−、−COO−又は−OCO−を表し、
n2は、0、1又は2を表す。ただし、n2が2を表す場合、複数あるC4及びZ4は同じであっても異なっていても良い。)、
一般式(III−b)
C7及びC8はそれぞれ独立してベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基、シクロヘキサン−1,3,4−トリイル基又はシクロヘキサン−1,3,5−トリイル基を表し、Z6及びZ8はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
Z7及びZ9それぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2O−、−OCH2CH2−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−CF2O−、−OCF2−、−COO−又は−OCO−を表し、
n3は、0、1又は2を表すが、n3が2を表す場合、複数あるC6及びZ7は同じであっても異なっていても良く、n5及びn6はそれぞれ独立して1、2及び3を表す。)
及び一般式(III−c)
n4は0又は1の整数を表し、
Y1及びY2はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH2)4−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH2=CHCH2CH2−又は−CH2CH2CH=CH−を表し、
Y3は単結合、−COO−、又は−OCO−を表し、
R8は炭素原子数1から18の炭化水素基を表す。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性化合物(III)と、を含有することを特徴とする高分子安定化強誘電性液晶組成物を提供する。また、本願はこの高分子安定化強誘電性液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供する。
このようにして形成された高分子安定化液晶表示素子は、前記組成物に添加されたモノマーの含有量に比例して駆動電圧、及び光散乱が上昇する。該モノマーの含有量が微量である場合、駆動電圧の上昇度合いは低減されるが、熱的や機械的安定性に乏しい。信頼性を高くするためには、モノマーの含有量を増やす必要があるが、この時に駆動電圧の増加や液晶配向性の低下、及び散乱性の発現が問題になる。駆動電圧の増加は、例えば高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧に関する記述として、特開平6−222320号公報において次式の関係が示されている。高分子安定化液晶素子の駆動電圧に対する考え方は、高分子分散型液晶表示素子と同様で、次の通りになる。
このように、液晶性モノマーと非液晶性モノマーで構成される高分子安定化強誘電性液晶組成物を用いることで駆動電圧が低く、中間調表示が可能で、且つ高分子安定化の信頼性が高く、更に、光散乱が無く、チルト角が大きく高コントラストの液晶表示素子を得ることができる。液晶が配向膜等で配向させた状態を配向欠陥無く固定化させるためには、少なくとも、ネマチック相から除冷してスメチック相へ相転移させることが好ましく、用いる液晶セルの基板面が平坦であることがより好ましい。また、ネマチック相やスメクチック相等の液晶相中で該モノマーを網目状、又は分散した状態に重合させる必要がある。更に、該相分離構造形成を避けるためには、モノマーの含有量を少なくして、液晶が配向している状態で液晶分子間に網目状高分子が形成できるよう該高分子前駆体含有量や該前駆体の組成を調整することが好ましく、さらに、光重合の場合は、UV露光時間、UV露光強度、及び温度を調整して網目状の高分子を形成させて液晶配向欠陥が無いようにすることが好ましい。また、組成物中のモノマーを重合させる際に、所望の液晶配向を得るためには、垂直配向、パラレル配向やアンチパラレル配向のラビング配向処理や光配向処理を施した配向膜、あるいは無機物の形状効果を利用した配向膜を有する液晶セルを用いたり、上下基板が垂直配向膜、又は垂直配向膜と平行配向との組み合わせた液晶セル等を用いたりすることができる。さらには、光、熱、電圧、磁場等の外場を印加して得られる捩れ配向、ベント配向やスプレイ配向、平行配向等や、配向膜単独だけでは得ることが難しい液晶配向状態を作り、該モノマーの高分子化により、それらの配向状態を固定化させて目的の高分子安定化液晶表示素子を得ることができる。例えば、スメクチック相では外場によりダイレクターを一定方向へ揃えた配向状態を高分子安定化させたり、スイッチングさせて過度的な配向状態を高分子化により固定化させ所望の高分子安定化液晶表示素子を得ることもできる。
本発明の高分子安定化強誘電性液晶組成物は、一般式(I−a)で表される非液晶性モノマー(I)
と、一般式(II)で表される液晶化合物(II)と、一般式(III−a)、(III−b)及び(III−c)からなる群より選ばれる少なくとも1種の液晶性モノマー(III)をそれぞれ少なくとも一種含有するものである。
本発明の高分子安定化強誘電性液晶組成物に用いられる重合性化合物(I)は、一般式(I−a)
で表される重合性化合物を用いる。
一般式(I−a)で表される重合性化合物(I)の好ましい構造として、下記一般式(I−c)
A12及びA18はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
A13及びA16はそれぞれ独立して炭素原子数2から20の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)を表し、
A14及びA17はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
A15は炭素原子数9から16のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する少なくとも1個以上5個以下のメチレン基において、該メチレン基中の水素原子の一つはそれぞれ独立に炭素原子数1から10の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されている。該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)を表す。)で表される化合物、一般式(I−d)
eは0〜6の整数を表す。)で表される化合物、及び一般式(I−f)
好ましくは、それぞれ独立して炭素原子数2から18の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、
より好ましくは、それぞれ独立して炭素原子数3から15の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)である。
好ましくは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から7のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、
より好ましくは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から5のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、
さらに好ましくは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から3のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)である。
更に、複数のエポキシ基を有する化合物と飽和脂肪酸とを反応させ、水酸基を有する化合物を合成し、次に水酸基と反応し得る基を有するアクリル酸塩化物等の重合性化合物とを反応させることにより得ることができる。
このようにして得られた一般式(I−c)の化合物のうち、特に下記の構造を持つものが好ましい。
A12及びA18はそれぞれメチレン基を表し、
A13及びA16はそれぞれ独立して炭素原子数2から20の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)を表し、
A14及びA17はそれぞれ独立して炭素原子数1から10のアルキル基を表し、
A15は炭素原子数9から16のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する少なくとも1個以上5個以下のメチレン基において、該メチレン基中の水素原子の一つはそれぞれ独立に炭素原子数1から10の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されている。該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)を表す。)(1−c−1)で表される化合物のうち、A15に含まれる−COO−又は−OCO−基の数が2以下で、かつ、A13及びA16に含まれる−COO−又は−OCO−基の数がそれぞれ1以下であるものが特に好ましく、具体的には、下記(I-1)から(I-9)の化合物が挙げられる。
本発明の高分子安定化強誘電性液晶組成物において、液晶性化合物(II)は、一般式(II)
で表される化合物を用いる 一般式(II)で表される化合物のうち、強誘電性の発現に必要な傾いたスメクティック相を得るため、あるいは、分子の傾き角を大きくするため、もしくは融点を低下させるためには分子の環の部分に置換基として、少なくとも1つ以上のフッ素原子、CF3基、あるいはOCF3基が導入されることが好ましい。置換基としては形状の小さなフッ素を導入することが、液晶相を安定に保ち、また、高速応答性も保持する面で好ましい。置換基の数は1〜4が好ましく、1〜3が更に好ましい。
粘度が低く高速応答するため、環をつなぐ連結器としては、単結合、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CH=CH−、あるいは、−C≡C−であることが好ましく、特に、単結合あるいは−CH2O−であることが好ましい。分子の局部的な分極を抑制することが良いスイッチングを得るために必要な場合には単結合が好ましい。一方、層構造の安定性を保つための材料としては粘度が高い方が好ましく、その場合には、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−が好ましく用いられ、特に、−CO−O−、−O−CO−、が好ましく用いられる。
一方、融点を低下させる効果を大きくするという点では、側鎖にアルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルオキシカルボニルオキシ基を用いることが好ましい。
TFT駆動に適していて、安定な強誘電性液晶相を示し、かつ、粘度が低く高速応答に適した化合物としては、下記一般式(II−b)
その中でも、R211及びR212は各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、但し、R211とR212が同時にフッ素原子となることはなく、さらに、1つ又は2つの隣接していない−CH2−基が−O−で置き換えられてもよく、X211〜X217は各々独立に水素原子、フッ素原子を示し、但し、X211〜X217の少なくともひとつはフッ素原子であり、L211、L212、L213、L214は各々独立に単結合、、−CH2O−、−OCH2−、a1、b1、c1、d1は各々独立に0又は1の整数を示し、但し、a1+b1+c1+d1は1、2又は3であり、a1が0の場合はd1は0であり、a1が1の場合はc1は0である化合物がさらに好ましい。
一般式(II−b)で表される化合物のうち、特に好ましく用いられる化合物を次に示す。
Y2、Z2、U2、W2の炭素原子数は6〜12であることがさらに好ましく、スメクチックC相の安定性を保ち上限温度を高く保つため、あるいは、粘度を低く従って応答速度を早くするためにはアルキル部分は直鎖であることが好ましく、一方、融点を低下させるためにはアルキル部分に分岐構造があるのが好ましい。分岐構造としては液晶性を過度に低下させないため、エチル基あるいはメチル基分岐が好ましく、メチル分岐が特に好ましい。
また、透過率の高い表示素子を得るためには、セル厚に依存して複屈折率(Δn)を調節しなければならない。表示素子の製造の点、及び、セル内での分子運動が容易なため高速応答が得られる点ではセル厚が厚い方が好ましいが、その場合にはΔnが小さい液晶を使用する必要がある。Δnが小さい液晶の具体例として、一般式(II)の環構造として、シクロヘキシル構造を持つものを挙げることができる。シクロヘキシル構造は、一つの分子中に一つ、あるいは2つ存在することが好ましい。あるいは、一般式(II)で表される化合物ににシクロヘキシル、あるいは、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル構造を持つ化合物を混合することもΔnを小さくするためには好ましい。この場合、添加する化合物としてシクロヘキシル構造は、一つの分子中に一つ、あるいは2つ存在する化合物が好ましく、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイルは一つの分子中に一つ存在する化合物が好ましい。1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル構造を持つ化合物は極性が高いのでTFT駆動に悪影響を与えない程度の量を使用することが望ましい。
また、更なる温度範囲の拡大、特に、低温領域の拡大のため、一般式(II)の化合物に加えて一般式(IV−a)の化合物を含有することも好ましい。
又は、一般式(IV−c)
一般式(IV−a)で表される化合物としては、下記に示す化合物、
より具体的には次の構造を持つ化合物が好ましい。
これら化合物の中で環A4、環B4、環C4がフェニル基あるいはシクロヘキシル基である場合には、化合物の持つ分極性が低いため、その含有量を増やしてもTFT駆動には影響を与えない面で好ましい。液晶の温度範囲を広げ、融点を低下させるという面では、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環を有する化合物を使うことが良いが、その場合には化合物の持つ分極性が比較的大きいため、TFT駆動に悪影響を与えない含有量以下で使用することが好ましい。
強誘電性液晶組成物の強誘電性を発現するためのキラル成分としては、公知慣用のキラル化合物を用いることができる。キラル化合物としては不斉原子を持つ化合物、あるいは軸不斉を持つ化合物を用いることが好ましく、さらに、不斉炭素を持つ化合物、あるいは炭素−炭素結合を軸とした不斉を持つ化合物を用いることが好ましい。不斉炭素は鎖状構造の一部に導入されていても、環状構造の一部に導入されていても良い。不斉炭素としては、炭素上にフッ素原子、メチル基、CF3基が導入されているのもが好ましく、また特に、一般式(V−a)、あるいは、一般式(V−e)で表される化合物の環構造としては具体的には次の構造を持つことが好ましい。
一般式(V−a)の化合物としては下記構造のものが特に好ましく用いられる。
本発明の高分子安定化液晶組成物に用いられる重合性液晶化合物(III)は、下記一般式(III−a)
C4及びC5はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
Z3及びZ5はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
Z4は、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2O−、−OCH2CH2−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−CF2O−、−OCF2−、−COO−又は−OCO−を表し、
n2は、0、1又は2を表す。ただし、n2が2を表す場合、複数あるC4及びZ4は同じであっても異なっていても良い。)、
C7及びC8はそれぞれ独立してベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基、シクロヘキサン−1,3,4−トリイル基又はシクロヘキサン−1,3,5−トリイル基を表し、Z6及びZ8はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
Z7及びZ9それぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2O−、−OCH2CH2−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−CF2O−、−OCF2−、−COO−又は−OCO−を表し、
n3は、0、1又は2を表すが、、n3が2を表す場合、複数あるC6及びZ7は同じであっても異なっていても良く、n5及びn6はそれぞれ独立して1、2及び3を表す。)
及び一般式(III−c)
6員環T1、T2及びT3はそれぞれ独立的に、
n4は0又は1の整数を表し、
Y1及びY2はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH2)4−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH2=CHCH2CH2−又は−CH2CH2CH=CH−を表し、
Y3は単結合、−COO−、又は−OCO−を表し、
R8は炭素原子数1から18の炭化水素基を表す。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性化合物(III)である。
より具体的には、一般式(III−d)及び(III−e)
Y11及びY12はそれぞれ独立して単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、
Y13及びY14はそれぞれ独立して−COO−又は−OCO−を表し、
Y15及びY16はそれぞれ独立して−COO−又は−OCO−を表し、
r及びsはそれぞれ独立して2〜14の整数を表す。式中に存在する1,4−フェニレン基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)のいずれかで表される化合物を用いると、機械的強度や耐熱性に優れた光学異方体が得られるので好ましい。
また、一般式(III−d)及び(III−e)のいずれかで表される化合物の具体例を以下の(III−12)から(III−21)に挙げることができる。
一般式(III−b)で表される化合物の具体例を以下の(III−30)、(III−31)に挙げることができる。
本発明の高分子安定化液晶表示素子用組成物を重合させる場合の重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等を用いることが可能であるが、ラジカル重合により重合することが好ましい。
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;
ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル系;
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;
2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;
ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;
10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が好ましい。この中でも、ベンジルジメチルケタールが最も好ましい。
本発明の高分子安定化強誘電性液晶組成物は、化合物(II)で表される液晶性化合物と、重合性化合物(I)及び重合性化合物(III)で表される重合性化合物で構成される。該液晶性化合物と、重合性化合物の構成比は、重合性化合物の構成割合が多すぎると高分子安定化強誘電性液晶組成物としての特性を損なうため最適な構成比が存在する。具体的には、重合性化合物が0.1%〜8%であることが好ましく、1%〜8%であることがより好ましく、2%〜6%含有であることが特に好ましい。
本発明の高分子安定化強誘電性液晶組成物においては、重合性化合物(III)の含有率が0.05%から7%であって、重合性化合物(III)と前記重合性化合物(I)との組成比が(III):(I)=1:1から49:1であることが好ましい。
本発明の液晶表示素子は、液晶中にナノ粒子状に分散して低分子液晶を固定化した高分子安定化液晶表示素子、又は液晶中に三次元網目状の高分子鎖を形成させた高分子安定化液晶表示素子であって、該高分子の低分子液晶分散構造が、上述の本発明に係る高分子安定化強誘電性液晶組成物に紫外線露光して低分子液晶の配向を高分子安定化させたものである。
また、低分子液晶の液晶相がキラルスメクチックC相を示す温度で交流を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流は、周波数500Hzから10kHzの交流が好ましく、より好ましくは、周波数1kHzから10kHzの矩形波である。
さらに好ましくは、高分子安定化強誘電性液晶組成物が示すスメクチックA相とキラルスメクチックC相との相転移温度をT(℃)とするとき、(T−40)℃以上(T+5)℃以下であってかつ35℃以上の温度にて該高分子安定化液晶組成物に交流を印加しながら紫外線露光することが望ましい。
紫外線露光においては、紫外線1000mJ/cm2以上を露光することが望ましい。
実施例中の高分子安定化液晶表示素子は以下の方法で作製した。
高分子安定化強誘電性液晶組成物のキラルネマチック相転移以上に加熱して真空注入方で注入した。セルは、液晶は一軸配向(ホモジニアス配向)が得られるように、セルギャップ2μmのポリイミド配向膜を塗布したITO付きパラレルラビングの配向セルを用いた。
強誘電性液晶組成物と化合物群(I)及び(III)をそれぞれ少なくとも一種以上モノマー成分として配合した高分子安定化強誘電性液晶組成物を調整した。強誘電性液晶組成物(FLC−1)の各成分の構造と割合は下記のとおりである。
(実施例1)
このようにして作製した高分子安定化強誘電性液晶組成物(MFLC−1)について、上述の高分子安定化液晶表示素子の作成方法によって高分子安定化強誘電性液晶組成物中のアクリレート化合物を重合させて液晶表示素子を作製した。このようにして得られた表示素子は室温で安定なV型のスイッチング挙動を示し、透過率50%の時の印加電圧(Vr50)は40℃で3V,20℃で3V,0℃で3Vと低い値で、かつ温度依存性が少ない良好なものであった。また、20℃で直流電界を印加して測定したチルト角は20°と大きいものであった。
(比較例1)
モノマー組成物として一般式(I)で表される化合物を含まないこと以外は実施例と同様に強誘電性液晶組成物(FLC−1)、(III−A)、(III−B)及びイルガキュア651を下記の割合で混合し、比較用高分子安定化強誘電性液晶組成物(MFLC−C1)を作製した。
Claims (7)
- 一般式(I−a)
A2は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
A3及びA6はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から18のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から17のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
A4及びA7はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
kは1から40を表し、
B1、B2及びB3は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1から10の直鎖もしくは分岐のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個もしくは2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い)、又は一般式(I−b)
A8は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)で表される基を表す。ただし、2k+1個あるB1、B2及びB3のうち前記一般式(I−b)で表される基となるものの個数は0〜3個である。)
で表される重合性化合物であって、該重合性化合物の重合物のガラス転移温度が−100℃から25℃である重合性化合物(I)と、一般式(II)
X11〜X17は各々独立に水素原子、フッ素原子、CF3基又はOCF3基を表し、
L11、L12、L13、L14は各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH2CH2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、
a1、b1、c1及びd1は各々独立に0又は1の整数を表すが、a1+b1+c1+d1は1、2又は3であり、a1が0の場合はd1は0であり、a1が1の場合はc1は0である。)
で表される液晶性化合物(II)と、一般式(III−a)
C4及びC5はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
Z3及びZ5はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
Z4は、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2O−、−OCH2CH2−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−CF2O−、−OCF2−、−COO−又は−OCO−を表し、
n2は、0、1又は2を表す。ただし、n2が2を表す場合、複数あるC4及びZ4は同じであっても異なっていても良い。)、
一般式(III−b)
C6は1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
C7及びC8はそれぞれ独立してベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基、シクロヘキサン−1,3,4−トリイル基又はシクロヘキサン−1,3,5−トリイル基を表し、Z6及びZ8はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
Z7及びZ9それぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2O−、−OCH2CH2−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−CF2O−、−OCF2−、−COO−又は−OCO−を表し、
n3は、0、1又は2を表すが、n3が2を表す場合、複数あるC6及びZ7は同じであっても異なっていても良く、n5及びn6はそれぞれ独立して1、2又は3を表す。)
及び一般式(III−c)
6員環T1、T2及びT3はそれぞれ独立的に、
n4は0又は1の整数を表し、
Y1及びY2はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH2)4−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH2=CHCH2CH2−又は−CH2CH2CH=CH−を表し、
Y3は単結合、−COO−、又は−OCO−を表し、
R8は炭素原子数1から18の炭化水素基を表す。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性化合物(III)と、を含有することを特徴とする高分子安定化強誘電性液晶組成物。 - 一般式(II)の化合物として、一般式(II)のb1が0の場合はX13〜X16のすくなくとも1つはフッ素原子、CF3基、あるいはOCF3基であり、c1が0の場合はX11、X12、X15、X16、X17の少なくとも1つはフッ素原子、CF3基、あるいはOCF3基であり、b1=c1=1の場合はa1=d1=0でかつX11〜X17の少なくとも1つはフッ素原子、CF3基、あるいはOCF3基である化合物を用いることを特徴とする請求項1に記載の高分子安定化強誘電性液晶組成物。
- 一般式(II)の化合物として、一般式(II)のb1が0の場合はX13〜X16のすくなくとも1つはフッ素原子であり、c1が0の場合はX11、X12、X15、X16、X17の少なくとも1つはフッ素原子であり、b1=c1=1の場合はa1=d1=0でかつX11〜X17の少なくとも1つはフッ素原子である化合物を用いることを特徴とする請求項1に記載の高分子安定化強誘電性液晶組成物。
- 一般式(IV−a)
又は、一般式(IV−c)
- 一般式(V−a)
及び、一般式(V−e)
- 前記重合性化合物(III)の含有率が0.05%から7%であって、前記重合性化合物(III)と前記重合性化合物(I)との組成比が(III):(I)=1:1から49:1である請求項1〜5のいずれかに記載の高分子安定化強誘電性液晶組成物。
- 請求項1〜6のいずれかの高分子安定化強誘電性液晶組成物を用いた液晶表示素子。
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