JP5308692B2 - インドアニリン色素の製造方法 - Google Patents
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Description
これらインドアニリン色素の一般的な製造方法としては、酸無水物又は酸ハロゲン化物存在下フェノール又はナフトール類とp−ニトロソアニリン誘導体とので縮合反応が知られている。しかし、この方法は皮膚感作性の強いp−ニトロソアニリン誘導体を直接取り扱うため、人体への影響が大きく、工業的な製造方法に用いることは好ましくない。他の方法として、酸化剤存在下でのフェノール又はナフトール類とp−フェニレンジアミン誘導体との酸化カップリング法が知られている。この方法はp−ニトロソアニリン誘導体を取り扱わないので先の問題は回避できるが、高純度のインドアニリン色素を得るために精製を行う必要があり、コスト的な面から工業的な製造法として相応しくない。
また、ニトロソ化合物を合成し、次いで取り出さずにそのままオルトアミノフェノール化合物と反応するインドアニリン色素の合成法を見出した。
更にはニトロソ化反応を特定の酸素濃度条件下で行うことにより、顕著な反応率の向上および不安定なニトロソ化合物の劣化抑制効果を初めて見出し、ニトロソ化合物を取り出さない工業生産可能な合成法を完成させた。すなわち、本発明は以下の方法によって達成される。
(a)下記一般式(I)で表されるオルトアミノフェノール化合物をアミド化合物(II)に誘導する工程、
(b)下記一般式(III)で表されるアニリン化合物をニトロソ化合物(IV)に誘導する工程、および
(c)工程(a)で得られたアミド化合物と工程(b)で得られたニトロソ化合物とを酸無水物または酸ハロゲン化物存在下で縮合する工程、
を含み、且つ少なくとも工程(b)で得られたニトロソ化合物を単離することなく工程(c)を行うことを特徴とする下記一般式(V)で表されるインドアニリン色素の製造方法。
前記工程(a)で得られるアミド化合物(II)の単離精製を行なわず反応液の状態で工程(c)を行うことを特徴とする(1)のインドアニリン色素の製造方法。
前記工程(b)で得られたニトロソ化合物の反応溶液に、上記一般式(I)で表されるオルトアミノフェノール化合物を添加することで、前記工程(a)と前記工程(c)とを同一系内で行うことを特徴とする上記(1)のインドアニリン色素の製造方法。
系内の酸素濃度が12体積%以下の条件で前記工程(b)を行うことを特徴とする(1)〜(3)記載のインドアニリン色素の製造方法。
本発明の方法をより詳しく説明するために、本発明の方法の一態様を一例として下記に示すが、本発明の内容がこれに限定されるものではない。
R1およびR2は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。R1とR2が連結して環を形成してもよい。
R3およびR4は各々独立してアルキル基またはアリール基を表す。
R5は水素原子、アルキル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。
R6はアルキル基、アリール基またはヘテロ環残基を表す。
nは1〜2の整数を表す。nが2の場合、複数のR5は同じでも異なってもよい。
R1〜R6が表すアリール基とは、例えばフェニル、ナフチル等の5〜10員の単環式またはニ環式炭素アリール基を表す。
R1〜R2およびR5が表すアルコキシ基とは、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、オクタデシルオキシ、ノナデシルオキシ、イコシルオキシ等の炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。
R1、R2およびR5が表すアリールカルボニル基とは、ベンゾイル、ナフトイル等の5〜10員の単環式またはニ環式炭素アリール基が置換したカルボニル基を表す。
R1、R2およびR5が表すアルキルカルボニルアミノ基とは、例えばアセチルアミノ、プロパノイルアミノ、tert−ブチルカルボニルアミノ、n−ヘキシルカルボニルアミノ等の炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状アルキル基が置換したカルボニルアミノ基を表す。
R1、R2およびR5が表すアリールカルボニルアミノ基とは、例えばベンゾイルアミノ、ナフトイルアミノ等の5〜10員の単環式またはニ環式炭素アリール基が置換したカルボニルアミノ基を表す。
R1、R2およびR5が表すアルキルスルホニルアミノ基とは、例えばメチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノ、n−オクチルスルホニルアミノ等の炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状アルキル基が置換したスルホニルアミノ基を表す。
R1、R2およびR5が表すアリールスルホニルアミノ基とは、例えばフェニルスルホニルアミノ、ナフチルスルホニルアミノ等の5〜10員の単環式またはニ環式炭素アリール基が置換したスルホニルアミノ基を表す。
R1、R2およびR5が表すハロゲン原子とは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等を表す。
R1とR2が連結して環を形成してもよい。かかる環としてはシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等の4〜7員の部分飽和環;ベンゼン等の芳香環が挙げられる。
R2は好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、塩素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
R3およびR4は、各々好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4の低級アルキル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
R5は好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
R6は好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、5〜6員の含窒素ヘテロ環残基であり、より好ましくは炭素数1〜4の低級アルキル基、フェニル基、ピリジル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、フェニル基である。
<工程(a)>
まず、一般式(I)で表されるオルトアミノフェノール化合物をアミド化する工程(a)について説明する。
本発明で用いる原料のオルトアミノフェノール化合物(I)は多種市販されており、容易に入手可能である。また、同様に入手容易なオルトニトロフェノール類から、公知の還元反応により容易に合成することもできる。
本工程では、従来から知られているアミド化反応を用いることができる。本工程のアミド化剤は通常酸無水物または酸ハロゲン化物を用いるが、R6の構造によって選択する酸無水物または酸ハロゲン化物が決定する。例えば、R6がメチル基の場合は無水酢酸や塩化アセチルを、R6がフェニル基の場合は無水安息香酸やベンゾイルクロリドを、各々目的物に応じたアミド化剤を選択する必要がある。これらの酸無水物または酸ハロゲン化物は多種市販されており入手容易であるし、また、種々のカルボン酸化合物から公知の脱水反応またはクロル化反応により調製することも可能である。
これらアミド化剤の使用量は、オルトアミノフェノール化合物1モルに対し通常0.1〜5.0モルであり、好ましくは0.5〜3.0モル、より好ましくは0.8〜2.0モルである。
アミド化剤はそのまま反応系に加えても良いし、アミド化剤を反応溶媒等に溶解しその溶液を滴下して添加してもよい。アミド化剤を添加する際の温度は通常内温−20〜50℃の範囲であり、好ましくは−10〜40℃、より好ましくは10〜30℃の範囲である。添加/滴下時間は系内の温度を範囲内に保って行うことで特に制限されない。
アミド化反応における反応温度は−20〜100℃の範囲であり、好ましくは−10〜50℃、より好ましくは10〜30℃である。反応時間は通常24時間以内で終了し、多くの場合、1〜4時間で終了する。
アミド化反応終了後、通常の有機化合物の単離・精製方法を用いてアミド化合物を単離してもよいが、一貫法で次工程の縮合反応に使用すると低コストに製造できるので好ましい。
なお、本発明における一貫法とは、反応後に反応器から反応液を取り出さずそのまま次工程を行うか、或いは合成した化合物の単離精製を行わず反応液の状態で次工程を行うことをいう。
次に、一般式(III)で表されるアニリン化合物をニトロソ化する工程(b)について説明する。本工程で用いるアニリン化合物(III)も多種市販されており、容易に入手可能である。
本工程では通常のニトロソ化剤を用いることができるが、安価で入手し易く取り扱いが容易な亜硝酸ナトリウムを用いることが好ましい。亜硝酸ナトリウムの使用量は、アニリン化合物1モルに対し通常0.1〜5.0モル、好ましくは0.5〜3.0モル、より好ましくは0.8〜2.0モルである。
ニトロソ化剤はそのまま反応系に加えても良いし、水溶液として滴下してもよい。ニトロソ化剤を添加/滴下する際の温度は通常内温−20〜50℃の範囲であり、好ましくは−10〜30℃、より好ましくは0〜10℃の範囲である。添加/滴下時間は特に制限されないが、ニトロソ化剤の添加/滴下時間が長いと副生成物を与えやすいので、系内の温度を範囲内に保って短時間に行うことが好ましい。
ニトロソ化反応の際、反応温度が高いと不純物が多量に生成するため、反応温度は通常−20〜50℃の範囲であり、好ましくは−10〜40℃、より好ましくは0〜20℃である。反応時間は通常24時間以内で終了し、多くの場合、30分〜2時間で終了する。
具体的には、原料投入した後、ニトロソ化剤を加える前に反応器内を減圧して酸素を除去し、次いで窒素等の不活性ガスを導入し反応器内を常圧に戻す。不活性ガスの導入は反応器の上部からでも良いし、反応器下部より導入しバブリングさせてもよい。このとき投入した原料中の酸素を効率良く除去するために、攪拌下で酸素を除去するのが好ましい。この操作を1回又は数回繰り返した後、不活性ガスを反応器内に流通させながら、大気中の酸素濃度を20.9体積%に補正した酸素濃度計を用いて反応系内の酸素濃度が12体積%以下であることを確認する。その酸素濃度雰囲気下、密閉系でニトロソ化剤を添加/滴定し、その後所定温度でニトロソ化反応を行う。用いる不活性ガスは化学的に不活性なものであれば特に制限されないが、安価な窒素がより好ましく用いられる。
なお、上述の低酸素濃度の状態はニトロソ化反応終了後、少なくとも酢酸エチルやトルエン等の有機溶媒を反応液に添加し抽出するまで継続することが好ましい。得られた反応溶液は水で洗浄した後、単離せずに反応溶液のまま縮合反応に使用する。
次に、前記で得られた一般式(II)で表されるアミド化合物と一般式(IV)で表されるニトロソ化合物とを縮合反応させて一般式(VI)で表されるインドアニリン色素を得る工程(c)について説明する。なお、本工程では、ニトロソ化合物の反応溶液とアミド化反応後に単離したアミド化合物またはアミド化反応後の反応溶液とを混合しそのまま縮合反応を行う。
用いる酸無水物としては、具体的には無水酢酸、無水プロピオン酸、無水n−酪酸、無水イソ酪酸、無水n−吉草酸、無水イソ吉草酸、無水n−カプロン酸、無水マレイン酸、無水コハク酸等のアルキルカルボン酸無水物;無水安息香酸、無水フタル酸等のアリールカルボン酸無水物;ベンゼンスルホン酸無水物、無水トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸無水物が挙げられる。
用いる酸ハロゲン化物としては、具体的には塩化アセチル、トリクロロアセチルクロリド、塩化プロピオニル、ベンゾイルクロリド、クロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニル等のハロゲン化アシル;メタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド等のハロゲン化スルホニルが挙げられる。
これらの中で好ましくは、塩化アセチル、ベンゾイルクロリド、メタンスルホニルクロリド、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸、ベンゼンスルホン酸無水物であり、より好ましくは塩化アセチル、ベンゾイルクロリド、無水酢酸、無水プロピオン酸である。
酸無水物または酸ハロゲン化物の使用量は、アミド化合物(II)に対して0.1〜10モルであり、好ましくは0.5〜5モル、より好ましくは1〜3モルである。
本工程の反応温度は、−20〜80℃の範囲であり、好ましくは−10〜40℃、より好ましくは0〜20℃である。反応時間は通常24時間以内で終了し、多くの場合、30分〜2時間で終了する。
本工程は、オルトアミノフェノール化合物(I)と工程(b)で得られたニトロソ化合物の反応溶液とを混合し、アミド化反応と縮合反応とを同一系内にて行う工程である。
本工程のオルトアミノフェノール化合物(I)の使用量は、アニリン化合物(III)1モルに対して0.05〜3.0モルであり、好ましくは0.1〜2.0モル、より好ましくは0.5〜1.0モルである。
本工程の反応温度は、−20〜80℃の範囲であり、好ましくは−10〜40℃、より好ましくは0〜20℃である。反応時間は通常24時間以内で終了し、多くの場合30分〜2時間で終了する。
反応終了後の後処理は、通常行われている如何なる方法でも可能であるが、好ましくは反応液に水や有機溶剤を添加して析出した結晶を取り出す方法である。
更に、目的物は必要に応じて酢酸エチル、トルエン、アルコール、ヘキサン等を用いた洗浄や、再結晶、シリカゲルを用いたカラム精製、または減圧蒸留等により精製する。これらの精製方法を単独又は2つ以上組み合わせて行うことにより、目的物を高純度で得ることが可能である。特に粗結晶単離後にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤で繰り返し洗浄し精製を行った場合は、高純度且つ低コストで目的物を製造できるのでより好ましい。精製の際の溶媒量は、インドアニリン色素粗結晶に対して通常1〜10重量部、好ましくは3〜8重量部、より好ましくは4〜6重量部である。
実施例中、%は別に規定が無い限り質量%を表す。
なお、純度の評価は高速液体クロマトグラフィー(HPLCと略記する)により行った。
HPLC条件は以下の通りである。
カラム:YMC−PACK A−312、
検出UV 254nm、
流量1.0ml/min、
溶離液:メタノール/水=90/10 バッファー トリエチルアミン0.2%および酢酸0.2%
6−アミノメタクレゾール15g(0.123mol)を酢酸エチル50mlに溶解し、無水酢酸12.5g(0.123mol)を滴下後、25℃で3時間反応した。その後、濾別し水で洗浄後、結晶を取り出し乾燥して、アミド体の結晶16.7gを得た(収率82.3%)。HPLC測定の結果、純度は98.8%であった。
ジエチルトルイルアミン30.1g(0.184mol)を水200mlおよびジエチルアセトアミド50mlに溶解した。塩酸48g(0.460mol)を添加した後、酸素濃度計(横河電気社製POCKET OXYGEN ALARM OX51)で測定しながら系内に窒素を導入し、系内の酸素濃度を5%にした。酸素濃度5%の雰囲気下、内温を5℃に冷却しながら亜硝酸ソーダ14g(0.202mol)を水32mlに溶解した水溶液を滴下し、その後5℃で2時間反応した。反応終了後、酢酸エチル150mlを添加し分液して有機層を取り出した。得られた有機層に、先に単離したアミド体20.3gを添加し、無水酢酸18.8g(0.184mol)を滴下後、10℃で2時間反応した。反応終了後、メタノール199mlと水132mlを添加し、10℃で1時間晶析した。結晶を濾過し、目的物の粗結晶36.6gを得た。更に、この粗結晶をメタノール185mlで洗浄して精製し乾燥して、目的物の結晶33.4gを得た(収率73.0%)。HPLCによる測定の結果、純度は99.2%であった。
6−アミノメタクレゾール15g(0.123mol)を酢酸エチル50mlに溶解し、無水酢酸12.5g(0.123mol)を滴下した後、25℃で3時間反応してアセトアミド体の反応溶液を調製した。
次に、別の容器でジエチルトルイルアミン30.1g(0.184mol)を水200mlおよびジエチルアセトアミド50mlに溶解した。塩酸48g(0.460mol)を添加した後、酸素濃度計(横河電気社製POCKET OXYGEN ALARM OX51)で測定しながら系内に窒素を導入し、系内の酸素濃度を5体積%にした。次いで酸素濃度5体積%の雰囲気下、内温を5℃に冷却しながら亜硝酸ソーダ14g(0.202mol)を水32mlに溶解した水溶液を滴下し、次いで5℃で2時間反応した。反応終了後、酢酸エチル150mlを添加して分液し、有機層を取り出してニトロソ体反応溶液を得た。ここに、先に調製したアセトアミド体反応溶液を添加した。この混合液に無水酢酸18.8g(0.184mol)を滴下し、その後10℃で2時間反応した。反応終了後、メタノール199mlと水132mlを添加し、10℃で1時間晶析した。析出した結晶を濾過し、目的物の粗結晶36.6gを得た。更に粗結晶をメタノール185mlで洗浄して精製し、乾燥して目的物の結晶32gを得た(収率70%)。HPLCによる測定の結果、純度は99.3%であった。
アニリン化合物のニトロソ化反応において反応系内の酸素濃度を表1に示す値に変更した以外は実施例2と同様に操作した。
実施例2〜10の結果を表1、図1〜2に示す。
アミド化剤および縮合剤を変更した以外は実施例2と同様の方法で表1に示す化合物を合成した。表2にその結果を示す。
ジエチルトルイルアミン30.1g(0.184mol)を水200mlおよびジメチルアセトアミド50mlに溶解した。この溶液に塩酸48g(0.460mol)を添加した後、系内に窒素を導入し酸素濃度を5体積%にした。次いで酸素濃度を5%の雰囲気下、内温を5℃に冷却しながら亜硝酸ソーダ14g(0.202mol)を水32mlに溶解した水溶液を滴下し、続いて5℃で2時間反応した。反応終了後分液を行い、得られた有機層に6−アミノメタクレゾール15g(0.123mol)を添加した。次いで無水酢酸31g(0.307mol)を滴下し、20℃で2時間反応した。反応終了後、メタノール199mlおよび水132mlを添加し、10℃で1時間晶析した。結晶を濾過し、目的物の粗結晶29.2gを得た。更にメタノール221mlで洗浄して精製後、乾燥して目的物の結晶25gを得た(収率60%)。HPLCによる測定の結果、純度は99.2%であった。
出発物質および酸無水物を変更した以外は実施例18と同様の方法で表3に示す化合物を合成した。実施例18〜22の結果を表3に示す。
また表3より、本発明のアミド化反応と縮合反応を同一工程で実施する方法は、例えば実施例18と個別に行う実施例2とを比較しても、収率、純度共にほぼ同等である。このことから、本発明の方法によりインドアニリン色素を更に低コストで製造することが可能である。
Claims (4)
- (a)下記一般式(I)で表されるオルトアミノフェノール化合物をアミド化合物(II)に誘導する工程、
(b)下記一般式(III)で表されるアニリン化合物をニトロソ化合物(IV)に誘導する工程、および
(c)工程(a)で得られたアミド化合物と工程(b)で得られたニトロソ化合物とを酸無水物または酸ハロゲン化物存在下で縮合する工程、
を含み、且つ少なくとも工程(b)で得られたニトロソ化合物を単離することなく工程(c)を行うことを特徴とする下記一般式(V)で表されるインドアニリン色素の製造方法。
式中、
R1およびR2は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。R1とR2が連結して環を形成してもよい。
R6はアルキル基、アリール基またはヘテロ環残基を表す。
式中、
R3およびR4は各々独立してアルキル基またはアリール基を表す。
R5は水素原子、アルキル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。
nは1〜2の整数を表す。nが2の場合、複数のR5は同じでも異なってもよい。
式中、R1〜R6、およびnは前記と同じ意味を有する。 - 前記工程(a)で得られるアミド化合物(II)の単離精製を行なわず反応液の状態で工程(c)を行うことを特徴とする請求項1に記載のインドアニリン色素の製造方法。
- 前記工程(b)で得られたニトロソ化合物の反応溶液に、上記一般式(I)で表されるオルトアミノフェノール化合物を添加することで、前記工程(a)と前記工程(c)とを同一系内で行うことを特徴とする、請求項1に記載のインドアニリン色素の製造方法。
- 系内の酸素濃度が12体積%以下の条件で前記工程(b)を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインドアニリン色素の製造方法。
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