JP5300400B2 - 昇華型インクジェット捺染転写紙 - Google Patents

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Description

本発明は、昇華型インクジェット捺染転写紙に関し、具体的には、インクジェット記録方式により転写紙に昇華型捺染インクを用いた印刷を行い、この転写紙上の印刷された画像をポリエステル等の布帛に転写して昇華転写捺染する際に使用する昇華型インクジェット捺染転写紙に関する。
転写捺染法には、ワックスや樹脂等の熱軟化性固着剤と顔料からなるインクを用いた溶融型転写捺染法、ポリ塩化ビニル等の粉末及び可塑剤及び顔料からなるプラスチゾルインキを用いたラバープリント型転写捺染法、熱昇華性染料を用いた昇華型捺染転写法がある。
溶融型転写捺染法では捺染物の風合いや伸縮性が不十分であり、ラバープリント型転写捺染法による捺染物は通気性や感触が良くない。昇華型捺染転写法は、捺染物の風合いを損なわず、他の転写法では出せないシャープな図柄をプリントできることから、現在主に行われている転写捺染法である。従来、熱転写捺染シートはその形成に際してスクリーン版、グラビア版などの印刷版とそれに応じた印刷機が必要であったが、個性の多様化により、小ロットに対応したインクジェット印字用の転写捺染シートの報告がなされ、小ロットに対応した昇華型捺染転写が広まり、需要が伸びてきている。
昇華型捺染転写法とは、ポリエステル生地等の被転写物と昇華型捺染転写紙とを重ね合わせたものを180〜220℃に加熱されたドライヤーに密着させて、昇華型捺染転写紙に印刷された印刷インクを熱にて昇華させ、被転写物に転写捺染を行うものである。
前記インクジェット印字用の昇華型捺染転写紙としては、基材上に、シリカ等の顔料や、ポリビニルアルコールや水溶性セルロース誘導体等の結着剤等を含有するインク受容層を設けてなるものが知られている(特許文献1〜5を参照)。
特開2002−292995号公報 特開2003−276309号公報 特開2004−255715号公報 特開2004−255717号公報 特開2003−266919号公報
近年、転写後の被転写物において、片面だけではなく、両面において、同濃度で同じ転写像を表示できるような昇華型捺染転写が求められている。
しかしながら、従来の昇華型捺染転写紙では、昇華捺染転写インクの吸収量が少量であったために、転写されるインク量も十分でなかった。そのため、被転写物の片面でしか鮮明な転写像を得ることができず、被転写物の両面で、同濃度で同じ画像を表示することは極めて困難であった。
本発明は、昇華型捺染インクを用いたインクジェット印刷において、優れたインク吸収・乾燥性を有しているとともに、転写紙表面での画像再現性、加熱転写後の被転写物表面での画像再現性、被転写物の表裏面からの鮮明な転写像を表示することを可能にする昇華型捺染インクジェット転写紙を提供することを課題とするものである。
本発明は、基材上に昇華型捺染インク受容層を有する昇華型インクジェット捺染転写紙であって、前記昇華型捺染インク受容層は、水溶性樹脂と微細粒子を含有し、前記水溶性樹脂として、カルボキシメチルセルロースを含有し、前記昇華型捺染インク受容層側におけるマイクロトポグラフによる20kg/cmの加圧条件下、測定時間50ミリ秒と150ミリ秒でのRp値の差が、1.0μm以上、5.0μm以下であり、前記昇華型捺染インク受容層表面の、二乗平均粗さが4〜21μmであることを特徴とする昇華型インクジェット捺染転写紙に関する。
また本発明では、前記昇華型捺染インク受容層表面に凹凸部を有し、前記凸部の幅が5〜30μmであることが好ましい。
さらに本発明では、前記昇華捺染インク受容層の微細粒子が平均粒子径が異なる2種類以上の合成非晶質シリカ凝集体を含有することが好ましい。
本発明の昇華型インクジェット捺染転写紙は、昇華型捺染インクを用いたインクジェット印刷において、優れたインク吸収・乾燥性を有しているとともに、転写紙表面での画像再現性、加熱転写後の被転写物表面での画像再現性、被転写物の表裏面からの鮮明な転写像を表示することを可能にする。
本発明の実施に用いられる基材としては、昇華型捺染インク受容層が設けられる基材であればその素材は限定されない。即ち、木材パルプを主成分とする紙や、無機微粒子を含有する熱可塑性樹脂からなる多孔性樹脂フィルム、更には不織布、布帛、樹脂被覆紙、合成紙等が挙げられる。本発明の効果が顕著に現れる基材としては、昇華型インクジェット捺染転写紙の裏面への加熱により、昇華捺染インクが昇華しやすい多孔質な素材であり、具体的には、木材パルプを主成分とする紙や、不織布、布帛である。
基材として、木材パルプを主成分とする紙を使用することが好ましく、ヤンキードライヤーを用いて乾燥工程を行うことで片面を艶面とした片艶紙を使用することが特に好ましい。
本発明の昇華型インクジェット捺染転写紙における基材は、昇華型捺染インク受容層が設けられる支持体であれば、その素材は限定されないが、本発明者が最も好適として見出した片艶紙を基材として以下に説明する。
本発明の実施に用いられる片艶紙は、米坪が60〜150g/m2であることが好ましく、90〜110g/m2がより好ましい。本発明で得られる昇華型インクジェット捺染紙は、昇華捺染インクにて印刷が行われるにおいて、昇華捺染インクにより基材の寸法安定性が損なわれる場合があり、また、昇華捺染時において、高温域を経る工程を有するため、片艶紙の米坪が60g/m2未満であると、引張強度と引裂強度の低下により紙切れが起きやすく、作業性が低下する問題が生じる。片艶紙の米坪が150g/m2を超えると被転写物への昇華捺染インクの加熱転写時に熱伝達が悪くなり、転写効率が低下する。
また、片艶紙の艶面のJISP8119記載のベック平滑度が40〜200秒であることが好ましく、60〜100秒がより好ましい。艶面のベック平滑度が40秒未満であると印刷時の昇華捺染インクの吸収乾燥性は高くなるももの、画像再現性が低下し、被転写物への昇華捺染インクの転写時の画像再現性と転写効率が著しく低下する恐れが有り。また、200秒を超えると水溶性樹脂と微細粒子からなるインク受容層の形成にムラが発生し、画像再現性が低下する場合がある。
非艶面である裏面の平滑度は、18秒程度が好ましい。裏面が艶面と同等以上の平滑度を有すると、加熱時の熱保持性が劣り、転写による被転写物の画像再現性や転写効率の点で劣る問題が発現する恐れがある。従って、表裏面とも多筒ドライヤーで乾燥処理された上質紙などは、片艶紙に比べ転写による被転写物の画像再現性や転写効率の点で劣る。
本発明に係る片艶紙はいわゆる製紙分野で使用される原料より構成される。使用するパルプとしては特に限定されないが、例えば、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)や針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)や広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の化学パルプ;サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)等の機械パルプ;デインキングパルプ(DIP)、ウェストパルプ(WP)等の化学パルプや機械パルプを含む古紙パルプ等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を選択して用いることができる。これらのうち、針葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹晒クラフトパルプを、紙質強度と基材表面の平坦性、昇華捺染インクの昇華型インクジェット捺染転写紙における品質確保において適宜組合せて用いることが好ましい。
片艶紙は、艶面の平坦性が高いので、ここに昇華型捺染インク受容層を設けることによって均質性の高い昇華型捺染インク受容層を得ることが可能になり、画像再現性や作業性に優れているとともに、昇華捺染のための加温転写時に被転写物の画像再現性や、転写効率の点においても優れた特性を有することができ、本発明における昇華型インクジェット捺染転写紙に特に優れた基材として好適に用いられる。
また、基材には、酸化澱粉、アセチル化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の各種澱粉や、紙力増強剤、内添サイズ剤、外添サイズ剤、歩留向上剤等の添加薬品、更に調整可能な範囲で、酸化チタン、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の填料を含有してもよい。
当該基材上に設ける昇華型捺染インク受容層は、微細粒子と、バインダーとして水溶性樹脂とを含有するものであり、かつ、当該昇華型捺染インク受容層側におけるマイクロトポグラフによる20kg/cmの加圧条件下、測定時間50ミリ秒と150ミリ秒でのRp値の差が、1.0〜5.0μm以内である。従来の昇華型捺染転写紙ではマイクロトポグラフによる測定時間50ミリ秒と150ミリ秒でのRp値の差が0.2〜0.8μmであったが、本発明の昇華型インクジェット捺染転写紙は当該Rp値の差を従来品よりも高く設定したものである。
本発明者らが鋭意検討した結果では、マイクロトポグラフは、一定の圧力条件で基材をガラス表面に押し付けてその平滑度を測定する装置であり、一般的な空気漏洩式の平滑度測定器であるベック平滑度やパーカープリントサーフなどの如く基材の透気性の影響を受けることがなく、実際の平滑性と極めて相関関係の優れた測定値が得られ、測定圧20kg/cmで測定した場合に、本発明の所望の効果が極めて適切に判断し得ることが明らかになったものである。
また、一定の加圧(20kg/cm)経過後において、測定値(Rp値)が変化するということは、塗工層の平滑性が圧力により経時的に変化しやすいということであり、すなわちクッション性(柔軟性)があるということになる。
昇華型捺染インク受容層に印刷された昇華型捺染インクを、被転写物に昇華捺染させる場合、昇華型インクジェット捺染紙を加温し、昇華型捺染インク受容層に記録された情報を被転写物に昇華転写する機構で被転写物に情報が転写されるため、昇華型インクジェット捺染紙と被転写物が密接に接触する必要が有る。
前述のようにマイクロトポグラフによる20kg/cmの加圧条件下、測定時間50ミリ秒と150ミリ秒でのRp値の差が1.0〜5.0μmの範囲にあると、昇華型捺染インク受容層がある程度のクッション性(柔軟性)を有することになるので、加熱転写時に転写紙と被転写物とを十分に密着させることが可能になる。これにより、昇華型捺染インク受容層に高濃度で印刷されたインクの転写効率が向上し、被転写物の両面で、同濃度で同じ画像の転写像を表示することが容易になる。好ましくは、マイクロトポグラフによる20kg/cmの加圧条件下、測定時間50ミリ秒と150ミリ秒でのRp値の差が2.0〜4.0μmの範囲である。
昇華型捺染インク受容層のマイクロトポグラフによる20kg/cmの加圧条件下、測定時間50ミリ秒と150ミリ秒でのRp値の差が1.0μm未満であると、昇華型捺染インク受容層のクッション性が十分でなく、インクの転写効率が低下するため、熱転写後の被転写物の転写濃度が十分でなく、逆に5.0μmを超えると昇華型インクジェット捺染転写紙へのインクジェット印字の画像が鮮明でなくなるため、本発明の効果を達成することができない。
このような所定範囲のRp値の差を達成するには、昇華型捺染インク受容層の塗工量を調整することや、水溶性樹脂としてカルボキシメチルセルロースを使用することが必要となる。さらには、昇華型捺染インク受容層を形成する際に使用する塗工液の調製条件を制御して、昇華型捺染インク受容層表面が、前記微細粒子の凝集塊により被覆され、後述する凹凸を形成するようにすることにより、前記Rp値の差の達成が容易になる。
本発明では、昇華型捺染インク受容層で使用する微細粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、コロイダルシリカ、合成非晶質シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物(擬ベーマイト等)、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
なかでも、微細粒子として、合成非晶質シリカを用いることが好ましい。このような合成非晶質シリカの中でも、ケイ酸のゲル化によりSiOの三次元構造を形成させた、細孔容積の多い多孔性で不定形の微粒子であり、10〜2000オングストローム程度の細孔径を有する物が好ましい。該合成非晶質シリカを用いることによって、本発明の昇華型インクジェット捺染転写紙の昇華捺染インクの吸収・乾燥性を向上させると共に、昇華捺染インクの被転写物への転写効率も向上し、被転写物上の画像を一層鮮明にすることができる。
このような合成非晶質シリカとしては、市販のものを好適に用いることができ、例えば、ミズカシルP−526、ミズカシルP−801、ミズカシルNP−8、ミズカシルP−802、ミズカシルP−802Y、ミズカシルC−212、ミズカシルP−73、ミズカシルP−78A、ミズカシルP−78F、ミズカシルP−87、ミズカシルP−705、ミズカシルP−707、ミズカシルP−707D、ミズカシルP−709、ミズカシルC−402、ミズカシルC−484(以上、水澤化学工業(株)製)、トクシールU、トクシールUR、トクシールGU、トクシールAL−1、トクシールGU−N、トクシールN、トクシールNR、トクシールPR、ソーレックス、ファインシールE−50、ファインシールT−32、ファインシールX−30、ファインシールX−37、ファインシールX−37B、ファインシールX−45、ファインシールX−60、ファインシールX−70、ファインシールRX−70、ファインシールA、ファインシールB(以上、(株)トクヤマ製)、シペルナート、カープレックスFPS−101、カープレックスCS−7、カープレックス22S、カープレックス80、カープレックス80D、カープレックスXR、カープレックス67(以上、DSL.ジャパン(株)製)、サイロイド63、サイロイド65、サイロイド66、サイロイド77、サイロイド74、サイロイド79、サイロイド404、サイロイド620、サイロイド800、サイロイド150、サイロイド244、サイロイド266(以上、富士シリシア化学(株)製)、ニップジェルAY−200、ニップジェルAY−6A2、ニップジェルAZ−200、ニップジェルAZ−6A0、ニップジェルBY−200、ニップジェルBY−200、ニップジェルCX−200、ニップジェルCY−200、ニップシールE−150J、ニップシールE−220A、ニップシールE−200A(以上、東ソー・シリカ(株)製)などが挙げられる。
本発明で用いられる合成非晶質シリカは微細な粒子の凝集体であることが好ましく、凝集体の平均粒子径(後述する、コールターカウンター法粒度分布測定器による体積平均粒子径)が1.7μm〜13.0μm、好適には3.7μm〜12.7μmの範囲内にあることが好ましい。合成非晶質シリカとして平均粒子径が1.7μm〜13.0μmの凝集体を使用することにより、高品質な色再現性、画像再現性を得ることができる。微細な粒子の凝集体の平均粒子径が1.7μm未満であると昇華捺染インクの吸収・乾燥性が低下する傾向があり、また、微細な粒子の凝集体の平均粒子径が13.0μmを超えると転写したプリント物の発色濃度が低くなる場合がある。
本発明では、合成非晶質シリカ1種類のみの単独での凝集体を用いることができるが、好適には、凝集体の平均粒子径が異なる2種類以上の合成非晶質シリカ凝集体を組み合わせて使用することが好ましい。特に、凝集体の平均粒子径が1.7〜5.0μm、より好ましくは3.7〜4.3μmの合成非晶質シリカ凝集体と、凝集体の平均粒子径が5.0μmを超える合成非晶質シリカ凝集体とを併用し、組合せた微細粒子の混合体を用いることが好ましい。このように平均粒子径が数μmの範囲で異なる合成非晶質シリカ凝集体を併用することによって、凝集体と凝集体の間隙を異なる平均粒子径の凝集体が補完する混合体が形成され、昇華捺染インクを用いた昇華型インクジェット捺染転写紙への印刷時の優れた昇華捺染インク吸収・乾燥性がより良好になり、転写紙表面での画像再現性、加熱転写時の耐熱性、転写後の被転写物表面での画像再現性や転写効率の点でもより良好な特性を得ることができる。
更に好適には、理由が明確ではないが、2種類以上の合成非晶質シリカ凝集体を組み合わせて使用することで、優れた昇華捺染インク吸収・乾燥性など本発明の効果を達成することができる。
このような合成非晶質シリカ凝集体としては、市販のものを用いることができ、例えば、凝集体の平均粒子径が1.7〜5.0μmの合成非晶質シリカ凝集体の市販品としてはニップジェルAY−200等が挙げられ、凝集体の平均粒子径が5.0μmを超える合成非晶質シリカ凝集体の市販品としてはニップジェルAY−6A2等が挙げられる。
本発明でいう平均粒子径は、少量のサンプルをメタノール溶液に添加し、超音波分散器で3分間分散した溶液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定を行った。
好適な平均粒子径が異なる合成非晶質シリカ凝集体の組合せにおいて、凝集体の平均粒子径が1.7〜5.0μm、好適には3.7〜4.3μmの合成非晶質シリカ凝集体と、凝集体の平均粒子径が5.0μmを超える、好適には6.2〜12.7μmの合成非晶質シリカ凝集体の配合比としては、特に限定されないが、好適には、固形分の重量比で90:10〜50:50程度であることが好ましい。固形分の重量比で90:10〜50:50程度とすることで、粒子径の大きいシリカ凝集体の間隙を、粒子径の小さいシリカ凝集体が埋めるため、得られる混合体の多孔性が増し、より優れた昇華捺染インクの吸収・乾燥性を達成することができ、また、昇華型インクジェット捺染転写紙における画像再現性、加熱転写時の耐熱性、被転写物における画像再現性と、高い昇華捺染インクの転写効率を得ることができる。
前記昇華型捺染インク受容層中の微細粒子の含有量は20〜50質量%が好ましく、23〜45質量%がより好ましい。含有量が20質量%未満だと昇華捺染インク受容量が少なくなり転写効率が低下する傾向がある。また50質量%を超えると、昇華捺染インク受容量は多くなるが、転写時の昇華効率が低下する傾向があり、汚損の問題が生じる場合がある。なお、昇華型捺染インク受容層中の水溶性樹脂が熱可塑性を示す場合があるため、昇華型捺染インク受容層中の微細粒子の含有率を高くすることにより、昇華捺染転写紙の耐熱性が向上する。
本発明において水溶性樹脂は主としてバインダーとして用いられ、少なくともカルボキシメチルセルロースを使用する。カルボキシメチルセルロースと前記微細粒子を組合わせて使用することによって、前述したRp値の差を達成することが可能になり、インクジェット印刷時のインク吸収量が増大するとともに、被転写物への転写後に、被転写物の両面で、同濃度で同じ画像の転写像を表示することが可能になる。
本発明で使用可能なカルボキシメチルセルロースとしては、特に限定されず、エーテル化度で0.5〜1.0の範囲のものが好ましい。このようなカルボキシメチルセルロースの市販品としては、セロゲン7A(以上、第一工業製薬(株)製)等を使用することができる。
カルボキシメチルセルロースの配合量としては、固形分で、少なくとも合成非晶質シリカを含む微細粒子100重量部に対して100〜400重量部程度が好ましく、好適には100〜350重量部程度がより好ましい。カルボキシメチルセルロースの配合量が100重量部未満では、昇華捺染インクの被転写物への転写効率が低下する問題が生じる場合がある。カルボキシメチルセルロースの配合量が400重量部を超えると、昇華捺染インクの吸収・乾燥性が低下し、保管時に昇華捺染インクの裏写りなど汚損の問題が生じやすくなる。
本発明では、水溶性樹脂としてカルボキシメチルセルロースを単独で使用してもよいが、カルボキシメチルセルロースを他の樹脂と併用してもよい。カルボキシメチルセルロース以外の樹脂としては、澱粉、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート等のセルロース誘導体、各種鹸化度のポリビニルアルコール又はそのシラノール変性物、カルボキシル化物、カチオン化物等の各種誘導体、カゼイン、ゼラチン、変性ゼラチン、大豆蛋白等の水溶性天然高分子、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム等の水溶性合成高分子が挙げられ、これらの水溶性高分子を単独で若しくは併用して用いることができる。なかでも、カルボキシメチルセルロースとポリビニルアルコールを併用することが最も好ましい。
本発明で使用可能なポリビニルアルコールとしては特に限定されず、各種ケン化度のポリビニルアルコールを使用することができるが、ケン化度としては、87〜89mol%程度が好ましい。重合度としては特に限定されないが、例えば、重合度が約1000以下のものが、カルボキシメチルセルロースとの相溶性や昇華型捺染インクをインク受容層に留め置くに特に好ましい。このようなポリビニルアルコールの市販品としては、ポバールPVA−210、ポバールPVA−205((株)クラレ製)等が挙げられる。
ポリビニルアルコールの配合量としては、固形分で、少なくとも合成非晶質シリカを含む微細粒子100重量部に対して1〜200重量部程度が好ましく、2〜100重量部程度がより好ましい。この範囲によって、優れた昇華捺染インクの乾燥性と、高度の昇華捺染インク裏抜け防止性を両立することができる。
微細粒子100重量部に対してポリビニルアルコールの配合量が1重量部未満では、ポリビニルアルコールによるバインダー効果が十分に発揮されず、インク受容層の剥離や傷が入りやすくなり、画像再現性を低下させる問題が生じる。
微細粒子100重量部に対してポリビニルアルコールの配合量が200重量部を超えると、ポリビニルアルコールによる被膜形成のため、昇華捺染インク乾燥性の低下が問題となる。
本発明におけるポリビニルアルコールとカルボキシメチルセルロースの好適な配合割合は、重量比(固形分)が1:100〜200:400の割合になるよう含有することが好ましい。この範囲内では、印刷時のインク吸収量がより増大しやすく、転写後に、被転写物の両面で、同濃度で同じ画像の転写像を表示することが容易になる。
本発明で最も好適な態様では、水溶性樹脂として、エーテル化度で0.5〜1.0のカルボキシメチルセルロースと、ケン化度が87〜89mol%程度で、重合度が約1000以下のポリビニルアルコールとを組み合わせて使用する。両樹脂は相溶性が良好であると共に、合成非晶質シリカの分散性、特に2種類以上の合成非晶質シリカ凝集体を組み合わせて使用する際における凹凸の形成能を阻害させることなく、昇華捺染インクを用いた昇華型捺染転写紙への印刷時のインク吸収量が特に多くなり、転写後に、被転写物の両面で、同濃度で同じ画像の転写像を表示することが容易になる。
本発明の昇華型インクジェット捺染転写紙の好適な態様では、従来品とは異なり、昇華型捺染インク受容層が特異な凹凸の表面構造を呈している。従来品では図2に示すように、昇華型捺染インク受容層は顔料とバインダーがほぼ一定の厚みで基材表面を被覆するものであったが、本発明の好適な態様では、昇華型捺染インク受容層の表面には図1に示すように凹凸が形成されている。この凹凸は、微細粒子による凝集塊であることが好ましいが、特に、粒子径の異なる2種類の合成非晶質シリカ凝集体が凝集することによって得られる凝集塊により形成された凹凸であることがより好ましい。最も好ましくは、凝集塊により、好ましくは幅が5μm以上の凸部が多数形成され、このような凹凸を表面に有する昇華型捺染インク受容層が基材の表面を被覆することによって本発明の昇華型インクジェット捺染転写紙が形成されている。
この凹凸が存在すると基材表面の比表面積が増大するので、多量の昇華捺染インクを昇華型捺染インク受容層で吸収、保持することが可能になり、転写紙表面での画像再現性、加熱転写後の被転写物表面での画像再現性、被転写物の表裏面からの鮮明な転写像を表示することが出来る。
ここで、本発明で云う凹凸とは、微細粒子の凝集塊による昇華型捺染インク受容層表面の起伏のことを云い、その形成は昇華型捺染インク受容層を形成する塗工液の攪拌段階で水溶性樹脂に微細粒子を添加し、混合分散処理する事により得られるものである。混合分散時の物理的剪断力が強すぎると、微細粒子の均質な分散が生じ凹凸を形成し難くなるため、好適には分散処理を適宜調整し、塗工液中に微細粒子の凝集塊を形成させ、昇華型捺染インク受容層形成時に凹凸を形成させる。凹凸を形成するメカニズムは明確ではないが、水溶性樹脂が基材に含浸することで、水溶性樹脂中に分散された微細粒子の凝集塊が表出し、基材表面上に昇華型捺染インク受容層を形成すると共に、凝集塊による凹凸を形成する。
凹凸を形成する具体的手段には、前記塗工液を下記の手順で作成する。すなわち、まずカルボキシメチルセルロースのスラリーを比較的高温(例えば50〜80℃程度)で調製する。別途、微細粒子のスラリーを比較的低温(例えば20〜40℃程度)で調製する。前記カルボキシメチルセルロースのスラリーに前記微細粒子のスラリーを添加することで、微細粒子を凝集させ、ゲル化した混合物を得る。その後、必要に応じて、他の水溶性樹脂を添加する。得られた混合物では微細粒子の固形分濃度を2〜25質量%、好ましくは3〜12質量%程度に調整する。この混合物に対して、常温付近(例えば15〜45℃、好ましくは20〜35℃)で30分以内、好ましくは20分以内の混合分散処理を行い、これによりほぼ均一な粒径を有する微細粒子の凝集塊を形成する。この混合分散時において、前記凝集塊の大きさが数十μm(具体的には10〜30μm程度)になるように物理的剪断力を調整することで、本発明の昇華型インクジェット捺染転写紙を製造するのに適した塗工液を製造することができる。
凹凸の存在は後述のように分析走査型電子顕微鏡(日本電子データム(株)製JSM−6390A型)を用いて確認することができる。本発明者らの知見によると、凹凸を形成する凝集塊の凸部の幅が大きくなりすぎると、昇華捺染インクの裏抜け防止性が低下する傾向があるので、30μm程度以下が好ましく、20μm程度以下がより好ましい。なお、この幅は無作為に選択した凝集塊60個の、個々の長短の幅からの平均値を実測し、最小値5個、最大値5個を除く50個の実測平均値を測定した。
また、当該昇華型捺染インク受容層の表面粗さをレーザー顕微鏡(キーエンス(株)製カラーレーザー顕微鏡 高解像度タイプVK−9700型)で測定した測定値で、二乗平均粗さで4μm以上を満足することが好ましい。上限は21μm以下、あるいは20μm以下程度が好ましい。表面粗さが4μm未満と低すぎると昇華捺染インクの吸収・乾燥性が十分でなく、21μmを超える過大な粗さの場合は、昇華型インクジェット捺染転写紙における画像再現性が低下すると共に、被転写物における画像再現性、転写効率が低下するほか本発明の効果を達成するのに不都合である。なお、従来品における二乗平均粗さは2μm未満である。
本発明の好適な態様における昇華型インクジェット捺染転写紙では昇華型捺染インク受容層の表面に凹凸が形成されているが、昇華型捺染インク受容層同士の静摩擦係数としてJIS P 8147に準拠して0.20〜1.05、好適には0.30〜0.99、更に好適には0.35〜0.95とすることが好ましい。静摩擦係数が0.20未満と低すぎると昇華捺染インクの乾燥性が十分でなく、逆に、1.05を超えるほど高すぎると昇華捺染インクの転写効率が低下する傾向がある。なお、従来品における静摩擦係数は0.20未満である。
昇華型捺染インク受容層を、主成分として水溶性樹脂と微細粒子にて構成し、昇華型捺染インク受容層同士の静摩擦係数としてJIS P 8147に準拠して0.20〜1.05になるように、昇華型捺染インク受容層の表面に凹凸を形成することで、更に、本発明の昇華型インクジェット捺染転写紙は、印刷時の昇華捺染インクの吸収乾燥性に優れているとともに、転写紙表面での画像再現性、加熱転写時の耐熱性、転写後の被転写物表面での画像再現性や転写効率の点でも良好な特性を有することができる。
インク受容層の塗工量としては、3〜25g/mの範囲が好ましく、5〜15g/mの範囲がより好ましい。3g/m未満では十分な昇華型インクの吸収容量が確保できず、転写画像の解像性が悪化し、ベタ画像部にムラが発生する傾向がある。インク受容層の塗工量が25g/mを超えると、相対的に表面強度が低下し、粉落ち等が発生して作業性を低下させる原因になる。
昇華型捺染インク受容層の塗工にあたってその手法は特に限定されないが、本発明の効果を効率よく達成するには、上述のように調整した塗工液を、塗工量が乾燥重量で3〜25g/cmとなるように基材上に塗工する方法が好ましい。塗布方法としては特に限定されないが、例えば、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター等の公知の塗工機を用いて塗工することができる。
好適な塗工手段にはブレード塗工が好ましく、特には塗工液中に含まれる凝集塊に起因してストリークが生じやすいので、塗工手段としてベントブレードを用いることで、ストリークを生じさせることなく、所望の塗工量で塗工層を形成することができる。以上の工程により、本発明の規定を満足する昇華型インクジェット捺染転写紙を好適に製造することができる。
また、塗工層を形成した後は、平坦化処理を行わないことが好ましい。これにより、後述する凹凸を表面に有するインク受容層の形成が容易になり、これによりインク吸収量を増大させることができる。
またカール等の補正を目的にバックコート層を設けることも可能である。
以下に、インクジェット記録方法を用いて昇華捺染インクにて昇華捺染型記録用紙に記録を行った場合の実施例を掲げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例で示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り重量部、及び重量%を示す。なお、配合において示す部数は、固形分の部数である。
<基材の作成>
フリーネス530ml(C.S.F.)の広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)とフリーネス580ml(C.S.F.)の針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を等重量配合し、助剤(固形分)として、カチオン化デンプンを0.8%、内添サイズ剤を1.1%、アニオン変性ポリアクリルアマイドを0.3%添加して紙料を調製し、ヤンキードライヤーを備えた抄紙機で抄紙し、米坪100g/m、艶面の平滑度60秒の片艶紙を製造した。
実施例1
微細粒子として、平均粒子径が3.7μmの合成非晶質シリカであるシリカA(トクヤマ社製、型番:ファインシールX37B)を85部、平均粒子径が6.2μmの合成非晶質シリカであるシリカB(トクヤマ社製、型番:ファインシールX60)を15部、前記微細粒子100部に対して、水溶性樹脂としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(以下CMCと略す。) CMC−A(第一工業製薬社製、商品名:セロゲンPR、重合度220〜250、分子量47000〜54000)を200部、ポリビニルアルコール(以下PVAと略す。) PVA−A(クラレ社製、商品名:PVA−205、ケン化度87〜89mol%、重合度500)を25部使用し、固形分濃度6.6%の昇華捺染インク受容層塗料を調製した。微細粒子の凝集塊を生成するため、65〜80℃の高温のCMC中に、20℃〜30℃の低温のシリカ分散スラリーを添加しシリカを凝集させ、ゲル化した混合物を得た。その後PVAを添加し、20〜45℃にて混合分散しシリカ凝集塊の大きさが15μmになるよう物理的剪断力を調整した。
微細粒子の凝集塊を調整した塗液は、前記基材の艶面に乾燥塗工量が5g/mになるよう塗工し、昇華型インクジェット捺染転写紙を得た。製造した昇華型捺染転写紙を、後述する評価基準により評価した。
以下の実施例、比較例は、実施例1の条件を基本に、表1に示すとおり、基材、微細粒子、水溶性樹脂、塗工量を変更して昇華型捺染転写紙を製造し、実施例1と同様に評価した。
実施例2では、坪量及び平滑度を表1に記載のとおり変更するとともに、シリカAの代わりに、凝集体の平均粒子径が1.7μmの合成非晶質シリカ凝集体であるシリカC(東ソー・シリカ社製、型番:ニップジェルAZ−204)、CMC−Aの替わりに、CMC−C(第一工業製薬社製、商品名:セロゲン5A、重合度120以下、分子量27000以下)を使用した。
実施例3では、坪量及び平滑度を表1に記載のとおり変更するとともに、シリカAの代わりに、凝集体の平均粒子径が4.3μmの合成非晶質シリカ凝集体であるシリカD(DSL.ジャパン(株)製、型番:カープレックスBS−312AJ)、CMC−Aの替わりに、CMC−D(第一工業製薬社製、商品名:セロゲンWS−A、重合度460〜500、分子量100000〜110000)を使用した。
実施例4では、坪量及び平滑度を表1に記載のとおり変更するとともに、シリカAの代わりにシリカDを使用し、シリカBの代わりに、凝集体の平均粒子径が12.7μmの合成非晶質シリカ凝集体であるシリカG(DSL.ジャパン(株)製、型番:カープレックスBS−303)を使用した。
実施例5では、平滑度を表1に記載のとおり変更するとともに、シリカBの代わりに、凝集体の平均粒子径が10.1μmの合成非晶質シリカ凝集体であるシリカF(DSL.ジャパン(株)製、型番:カープレックスBS−304N)を使用した。
実施例6及び7では、シリカAとシリカBの配合量を表1に記載のように変更した。
実施例8では、坪量及び平滑度を表1に記載のとおり変更するとともに、シリカAの代わりにシリカCを使用し、シリカBの代わりに、平均粒径6.3μmの焼成クレーを使用した。
実施例9では、CMC−Aの代わりに、CMC−B(第一工業製薬社製、商品名:セロゲン7A、重合度120〜150、分子量27000〜33000)を使用した。
実施例10では、CMC−A 200部の代わりに、CMC−C(第一工業製薬社製、商品名:セロゲン5A、重合度120以下、分子量27000以下)を90部使用し、かつ、PVA−Aを10部使用した。
実施例11では、CMC−Aの代わりに、CMC−D(第一工業製薬社製、商品名:セロゲンWS−A、重合度460〜500、分子量100000〜110000)を使用した。
実施例12では、PVA−A 25部の代わりに、PVA−B(クラレ社製、商品名:PVA210、ケン化度87〜89mol%、重合度1000) 200部を使用した。
実施例13では、PVA−A 25部の代わりに、PVA−C(クラレ社製、商品名:PVA203、ケン化度87〜89mol%、重合度300) 100部を使用した。
実施例14では、PVA−A 25部の代わりに、PVA−D(クラレ社製、商品名:PVA110、ケン化度98〜99mol%、重合度1000) 2部を使用した。
実施例15では、CMC−Aを300部使用し、かつ、PVA−A 25部の代わりに、PVA−E(クラレ社製、商品名:PVA120、ケン化度98〜99mol%、重合度2000) 100部を使用した。
比較例1では、微細粒子を使用せずに水溶性樹脂のみを塗工した。
比較例2では、微細粒子として、平均粒径6.3μmの焼成クレー(エンゲルハード社製、型番:アンシレックス)のみを使用し、前記微細粒子100部に対して、水溶性樹脂として、PVA−Aのみを25部使用した。
市販の昇華型捺染転写紙である市販品1、市販品2、インクジェット記録塗工紙である市販品3を購入し、評価対象とした。市販品1と市販品3は基材が上質紙、市販品2は基材がクラフト紙であった。
測定・評価方法
昇華型捺染インクを用いたインクジェット記録評価には、ミマキ株式会社製、JV4型インクジェットプリンタを用いて、ISO300にて規定されているインクジェット記録評価用の画像を、ミマキ製の昇華型インク(SPC−370シリーズ)を用いて行った。
被転写物には、ポリエステル布素材を使用した。
(a)坪量
JIS P 8124に準拠して測定した。
(b)平滑度
JIS P 8119に準拠して測定した。
(1)Rp値の差:
マイクロトポグラフ(東洋精機製作所社製)を用い、Rp値を求めた。
ここで、マイクロトポグラフによる光学的接触率について簡単に説明する。被測定面をプリズムの一面に圧着し、プリズム側から45度の角度で平行光を入射すると、屈折率の異なる媒質の境界面で反射を起こす。このとき光はその波長に応じて境界面、すなわち被測定面の内部にもぐりこんで反射する(短い波長ほど、もぐりこむ深さが浅いため、表面の近傍で反射しやすい)。マイクロトポグラフは、このような光の性質を利用して、入射光量に対する反射光量の比率から、加圧下におけるプリズムと被測定面との間の光学的接触率(%:パーセントで表示する)を測定するものであり、この光学的接触率の値が大きいほど、加圧下における被測定面の表面平滑性がよいことを意味するものである。
本発明に用いるマイクロトポグラフ(東洋精機社製)では、特定波長として0.9μmを選び、光学接触率F(λi)を求め、これから光学接触率曲線F(λ)を推定する。ここで、F(λ)はある波長の入射した光量に対する、その波長に見合った深さにおいて紙中に滲透してしまう光量の比であるから、逆に紙中に滲透せず、反射してくる光量との比を波長λについて0→∞まで積分するなら、紙の窪みの総容量あるいは窪みの平均深さに比例した物理量が得られる。これを次式で示されるRp(PrintingRoughness)と定義し、その値が大きい程表面が粗く、平滑性が悪いと判定することができる。本件発明では、測定圧20Kg/cmにおける、測定時間が50ミリ秒と150ミリ秒におけるRp値を測定し、50ミリ秒の測定値から150ミリ秒の測定値のRp値の差を算出した。
Rp=∫〔1−F(λ)〕dλ
(2)平坦化処理:走査型電子顕微鏡(日本電子データム社製JSM−6390A型)を用い、昇華型捺染インク受容層表面が物理的に平坦化された痕跡(表面が押し潰された痕跡)の有無を目視にて確認した。
(3)二乗平均粗さ:インク受容層の表面粗さをレーザー顕微鏡(キーエンス社製カラーレーザー顕微鏡 VK−9700型)を用い、二乗平均粗さ(μm)として測定した。
(4)凹凸の有無及び凸部の幅:
凹凸の有無:走査型電子顕微鏡(日本電子データム社製JSM−6390A型)を用い、凹凸(シリカ凝集塊)の有無を確認した。
凹凸の有無を観察し、凹凸がある場合については、任意の凝集塊60個の凸部の幅を実測し、個々の長短の幅からの平均値を実測し、最小値5個、最大値5個を除く50個の実測平均値を測定した。
(5)インク乾燥性:製造した各転写紙にインクジェットプリンタで黒ベタ印字した直後に印字面をテッシュペーパーにて擦り、拭取った際に紙面上のインクの伸びを目視で確認し、下記の基準にて5段階評価した。3段階以上の評価が実用レベルである。
5:乾燥が早い。テッシュペーパーによる擦り拭取りした紙面は、インクの伸びがない。
4:乾燥が早い。テッシュペーパーによる擦り拭取りした紙面は、インクの伸びが殆どない。
3:乾燥が若干遅いが、実用上問題ないレベル。テッシュペーパーによる擦り拭取りした紙面は、インクの伸びが少しある。
2:乾燥が遅く、テッシュペーパーによる擦り拭取りした紙面は、インクの伸びがある。
1:乾燥が遅く、装置汚れや印字部の汚れにつながり、使用不可。テッシュペーパーによる擦り拭取りした紙面は、インクの伸びが長い。
(6)画像再現性:目視にて、ISO300に規定されるデジタル画像の転写紙紙面への画像再現性を下記の基準にて5段階評価した。3段階以上の評価が実用レベルである。
5:原版と差異の無い画像再現性である。
4:画像再現性が良好。
3:画像再現性がやや劣るが使用可能。
2:画像再現性が劣り、使用不可能。
1:画像再現性が悪く、使用不可。
(7)寸法安定性:10×150mmの各転写紙について、自動式紙伸縮計(熊谷理機工業株式会社製)を用いて温度による伸びを測定した。測定は、20℃におけるサンプルの長さを基準にして60℃で30分保持後の伸びを測定し、20℃におけるサンプルの長さ(基準長さ)に対する伸びを%表示した。下記の基準にて5段階評価した。3段階以上の評価が実用レベルである。
5:換算値が30未満
4:換算値が30以上〜35未満
3:35以上〜40未満
2:40以上〜50未満
1:50以上
(8)インクの裏抜け(昇華性染料裏抜け防止性):製造した各転写紙に昇華性インクを印字し、熱源より熱(210℃)を昇華型インクジェット捺染紙に加え昇華型捺染インクを転写した後、昇華型インクジェット捺染紙のインク受容層面の反対面におけるインクの裏抜けを目視で判定し、裏抜け防止性を下記の基準にて5段階評価した。3段階以上の評価が実用レベルである。
5:昇華性インクの裏抜けがない。
4:僅かに昇華性インクの裏抜けが殆どない。
3:僅かに昇華性インクの裏抜けがあるが実用上問題がない。
2:昇華性インクの裏抜けが認められ、熱源が少し汚れる。
1:昇華性染料の裏抜けが多く認められ、熱源装置を激しく汚す。
(9)耐熱性:製造した各転写紙に昇華性インクを印字し、温度条件を変えた熱源より熱を加えた際に、製造した転写紙のインク受容層面の劣化が始まる温度を測定した。210℃以上が実用レベルである。
(10)転写効率:(i)解像性の評価、(ii)ベタ画像部の評価(ベタ画像部の画像濃度と均一性)を目視で判定して昇華捺染型インクジェット記録の転写効率を下記の基準にて5段階評価した。3段階以上の評価が実用レベルである。
(i)解像性
5:解像性良好。印字面にゆがみなどの現象が認められず、印字原稿に匹敵する印字調子の再現性がある。
4:解像性良好。印字面にゆがみなどの現象が認められないが、印字原稿に匹敵する印字調子の再現性が若干劣る。
3:解像性がやや劣るが、実用上問題が無い。印字面にゆがみなどの現象が認められず、印字原稿に匹敵する印字調子の再現性がやや劣るが被転写物の使用上問題が起こらない。
2:解像性がやや悪いが、条件によって使用可能。印字面にゆがみなどの現象が僅かに認められ、印字原稿に匹敵する印字調子の再現性がやや劣る。
1:解像性が悪く、使用不可。印字面にゆがみなどの現象が認められ、印字原稿に匹敵する印字調子の再現性がない。
(ii)ベタ画像部
5:画像濃度が高く、ベタ画像部にムラがない。
4:画像濃度が高く、ベタ画像部に若干ムラが認められる。
3:画像濃度やや高く、ベタ画像部にムラが認められるが実用上問題がない。
2:画像濃度がやや低く、ベタ画像部にムラが認められる。
1:画像濃度が低く、ベタ画像部に多くのムラが認められる。
以上により得られた結果を表2に示す。
昇華型捺染インク受容層表面に凹凸が形成されている場合(本発明の好適な態様)を示す電顕写真 昇華型捺染インク受容層表面に凹凸が形成されていない場合(比較例:市販品インクジェット記録用紙)を示す電顕写真 昇華型捺染インク受容層表面に凹凸が形成されていない場合(比較例:市販品上質紙)を示す電顕写真受容層表面に凹凸が形成されていない場合(従来品:市販品)を示す電顕写真

Claims (3)

  1. 基材上に昇華型捺染インク受容層を有する昇華型インクジェット捺染転写紙であって、
    前記昇華型捺染インク受容層は、水溶性樹脂と微細粒子を含有し、
    前記水溶性樹脂として、カルボキシメチルセルロースを含有し、
    前記昇華型捺染インク受容層側におけるマイクロトポグラフによる20kg/cmの加圧条件下、測定時間50ミリ秒と150ミリ秒でのRp値の差が、1.0μm以上、5.0μm以下であり、前記昇華型捺染インク受容層表面の、二乗平均粗さが4〜21μmであることを特徴とする昇華型インクジェット捺染転写紙。
  2. 前記昇華型捺染インク受容層表面に凹凸部を有し、前記凸部の幅が5〜30μmであることを特徴とする請求項に記載の昇華型インクジェット捺染転写紙。
  3. 前記昇華捺染インク受容層の微細粒子が平均粒子径が異なる2種類以上の合成非晶質シリカ凝集体を含有する請求項1又は2に記載の昇華型インクジェット捺染転写紙。
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