JP5300013B2 - 柿果実画分およびその利用 - Google Patents
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Description
高脂血症治療薬として、陰イオン交換樹脂のコレスチラミンを含む治療薬が知られている。肝臓でコレステロールから合成される胆汁酸は、十二指腸に分泌され、脂肪の消化・吸収を助ける。胆汁酸の大部分は小腸で再吸収されるが、上記治療薬が経口投与されるとコレスチラミンが小腸において胆汁酸を吸着し、胆汁酸を便とともに体外に排出する。胆汁酸の再吸収が阻害されると、不足した胆汁酸を合成するために、コレステロールの肝臓内へ取り込みが増加するので、血中コレステロール値が減少する。コレスチラミンを含む治療薬は、このようなコレステロールの代謝促進作用を利用したものである(特許文献1)。
柿由来の物質は、人体に対する安全性が高いと考えられ、その有効利用が望まれる。
(i) 柿果実の極性溶媒に不溶性の画分は、胆汁酸吸着作用を有している。
(ii) 極性溶媒に不溶性の画分のうちの酸可溶性画分の胆汁酸吸着活性は、一層高い。
(iii) 柿果実を乾燥処理、又は脱渋処理することにより、胆汁酸吸着活性が向上する。
(iv) 柿果実の極性溶媒に不溶性の画分を摂取することにより、血液中のコレステロール濃度、特にLDL-コレステロール濃度が低下する。
項2. 前記極性溶媒に不溶性の画分のうちの酸可溶性画分である項1に記載の画分。
項3. 柿果実が、乾燥処理、又は脱渋処理した処理物である項1又は2に記載の画分。
項4. 項1〜3の何れかに記載の画分を含む胆汁酸吸着剤。
項5. 項1〜3の何れかに記載の画分を含むLDL-コレステロール低下剤。
項6. 項1〜3の何れかに記載の画分を1〜99重量%含有する栄養補助食品。
項8. さらに、前記極性溶媒に不溶性の画分から酸に可溶性の画分を回収する工程を含む、項7に記載の柿果実加工品の製造方法。
項9. 柿果実が、乾燥処理、又は脱渋処理した処理物である項7又は8に記載の柿果実加工品の製造方法。
項10. 項1〜3の何れかに記載の画分を製造し、この画分をヒトに投与する胆汁酸吸着方法。
項11. 項1〜3の何れかに記載の画分を製造し、この画分を人に投与するLDL-コレステロール低下方法。
本発明における上記極性溶媒不溶性画分は、柿果実由来の繊維分を含むので、胆汁酸吸着による胆汁酸排出効果を相乗的に高めることができる。本発明の柿果実の画分を摂取することにより、血液中のLDL-コレステロール濃度が低下し、メタボリックシンドロームを予防、及び改善することができる。
(I)柿果実の画分
本発明の柿果実の画分は、柿果実の、水及び炭素数1〜4のアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の極性溶媒に不溶性の画分である。
柿果実は、未成熟果でもよく、成熟果でもよいが、得られる画分の胆汁酸吸着活性が高くなる点で、開花から収穫(成熟)までの間に摘果された未成熟果が好ましい。また、柿果実は食に供されずに余って廃棄されるものが多いため、その未成熟果を有効利用することは産業上好ましいことである。
柿果実は、へたを除いた柿果実の全体をそのまま用いてもよく、具体的には、へたを除いた果肉、果皮、及び種子の何れも用いることができるが、作業効率が良い点で、へたを除いた柿果実の全体をそのまま用いるのが好ましい。
柿の品種は、特に限定されないが、例えば蜂屋柿、平核無、四溝、富有、刀根早生柿、次郎、西村早生、愛秋豊、筆柿、太秋、新秋、甲州百日、市田柿、横野、西条柿、花御所、愛宕、紅柿などが挙げられる。
柿果実は、前処理としてへたを除けばよい。また、へたを除いただけの形態でもよいが、切断機などによって、適当な大きさに切断するのが好ましい。その形態としては、ブロック状、スライス状、チップ状、フレーク状、粉末状などの形態が挙げられる。極性溶媒処理、酸処理を効率よく行うためには、チップ状、フレーク状、粉末状のものが好ましい。
また、柿果実は、乾燥、又は脱渋処理したものを用いることが好ましく、これにより、得られる柿果実の画分は胆汁酸吸着活性が一層高いものとなる。
乾燥は、自然乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、遠赤外線乾燥など、公知の果実乾燥方法を制限なく採用できる。中でも、成分の変化を防ぐためには、凍結乾燥が好ましい。
乾燥温度は、糖の褐変による変色を防ぐため、通常約80℃以下とすればよく、約60℃以下が好ましい。乾燥温度の下限は、通常約30℃である。
乾燥は、柿果実の水分量が、例えば約3〜14質量%、好ましくは約3〜8質量%になるまで行えばよい。
脱渋方法は、公知の脱渋方法を制限なく採用できる。このような公知の脱渋方法としては、柿果実をエタノールの徐放剤とともに包装容器内に封入するアルコール脱渋法、柿果実をポリプロピレンなどのフィルムで包装して、呼吸により発生した又は注入された二酸化炭素により脱渋する炭酸ガス脱渋法、柿果実を約40℃のお湯に一晩つけておく湯抜き法、約10〜40日間の自然乾燥又は約20〜30℃での乾燥を行う乾燥抜き法などが挙げられる。中でも、処理にかかる時間とコストを抑えることができる点で、炭酸ガス脱渋法が好ましい。
極性溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜4のアルコール、又はそれらの1種若しくは2種以上の混合物が好ましい。中でも、得られる柿果実画分を食品として利用するという観点からは、食品製造への使用が許可されている水およびエタノールが好ましい。
本発明の柿果実の画分は、柿果実を一定量の極性溶媒中に浸漬し、又はさらに撹拌し、又は流水状態の極性溶媒にさらすことにより、可溶性の画分を極性溶媒中に除去することにより得られる。
極性溶媒の温度は、約0℃以上沸点未満の温度とすればよい。中でも、約10〜50℃が好ましく、約20〜50℃がより好ましい。処理時間は、約5〜60分間が好ましく、約15〜60分間がより好ましい。極性溶媒の使用量は、柿果実1質量部に対して約10〜2000質量部が好ましく、約100〜1000質量部がより好ましい。上記処理時間及び極性溶媒使用量の範囲であれば、柿果実中の夾雑物を極性溶媒中に効果的に流出させることができ、かつ有効成分の流出が抑えられる。
極性溶媒に不溶性の画分は、自然乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、フィルター、圧搾機、温風乾燥、遠赤外線乾燥、遠心分離、真空乾燥などにより脱水することが好ましい。
脱水した画分は、そのまま使用してもよく、又はさらに乾燥させて、切断、粉砕などを行ってもよい。粉砕は、ミキサー、粉砕機、ボールミル、ハンマーミル、ロールクラッシャー、石臼式、押出・剪定式などの公知の手段で行えばよい。
上記画分の形状は、ペースト状、スライス状、フレーク状、粉末状が好ましい。また、このようにして得られた画分中の糖質濃度は、通常約0.1〜50質量%、特に約0.1〜20質量%となる。本発明により得られる乾燥粉末は、可溶性成分である糖分が除かれているので、糖による吸湿が起こらず、長期にわたり安定な粉質を保つことができる。また本発明により得られる乾燥粉末は、可溶性成分であるタンニン酸が除かれているので、柿特有の渋みがなく、他のどんな素材にも配合することができる。
これにより、本発明の柿果実の画分(柿果実加工品)が得られる。この画分はそのまま胆汁酸吸着作用を有する医薬又は栄養補助食品などの有効成分として使用できるが、さらに酸処理を行い、酸可溶性画分を回収又は単離することにより、一層胆汁酸吸着活性が高いものとなる。
酸は、酢酸、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、シュウ酸などの有機酸;塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸が挙げられる。中でも、胆汁酸吸着成分を十分に抽出できる点で、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、塩酸、硫酸、リン酸が好ましく、クエン酸、リンゴ酸、塩酸、硫酸、リン酸がより好ましい。
酸性溶液のpHは、約1〜5が好ましく、約1〜3がより好ましい。上記範囲であれば、胆汁酸吸着成分を十分に抽出することができる。
酸可溶性画分は、極性溶媒に不溶性の柿果実の画分を酸性溶液中に浸漬又はさらに撹拌することにより、浸漬液中に抽出できる。浸漬液をろ過などにより分取した後、減圧濃縮などにより濃縮すればよい。また、必要に応じて乾燥すればよい。または、極性溶媒に不溶性の柿果実の画分を酸性溶液中で粉砕し、遠心分離にかけ、上澄み液を濃縮することもできる。
酸可溶性画分は、そのまま使用してもよく、又はさらに乾燥させて、切断、粉砕など行ってもよい。
酸可溶性画分の形状は、ペースト状、スライス状、フレーク状、粉末状が好ましい。また、上記酸可溶性画分中の糖質は、通常約0.1〜30質量%となる
本発明の胆汁酸吸着剤及びLDL-コレステロール低下剤は、上記説明した本発明の柿果実画分を有効成分として含む。本発明の剤は、医薬品、医薬部外品、又は食品組成物などとして使用できる。
医薬製剤
本発明の剤は、各種の経口投与形態を有する製剤とすることができる。固形製剤としては、例えば散剤、顆粒剤、錠剤、タブレット剤、丸剤、カプセル剤、チュアブル剤などが挙げられる。液体製剤としては、乳剤、液剤、シロップ剤などが挙げられる。
固形製剤は、有効成分である上記柿果実の画分に、薬学的に許容される担体や添加剤を配合して調製される。例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖、でんぷん、マンニットのような賦形剤;アラビアゴム、ゼラチン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースのような結合剤;カルメロース、デンプンのような崩壊剤;無水クエン酸、ラウリン酸ナトリウム、グリセロールのような安定剤などが配合される。さらに、ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウなどでコーティングしたり、カプセル化したりしてもよい。また、液体製剤は、例えば、上記柿果実の画分を、水、エタノール、グリセリン、単シロップ、又はこれらの混液などに、溶解又は分散させることにより調製される。これらの製剤には、甘味料、防腐剤、粘滑剤、希釈剤、緩衝剤、着香剤、着色剤のような添加剤が添加されていてもよい。
また、本発明の剤が医薬製剤である場合の1日使用量は、対象者の症状、体重などによっても異なるが、有効成分である本発明の柿果実画分の乾燥重量に換算した1日使用量が、約0.1〜50gとなる量が好ましく、約1〜30gとなる量がより好ましい。上記範囲であれば、十分に胆汁酸を吸着して血中コレステロール(特にLDL-コレステロール)値を下げることができ、メタボリックシンドロームを改善できると共に、副作用が生じない。
使用対象は特に限定されないが、メタボリックシンドロームと診断された人や、例えば血中LDL-コレステロール値が140mg/dL以上の高LDL-コレステロール血症の人などが好適な対象となる。
本発明の剤が食品組成物である場合、この食品組成物は、栄養補助食品(サプリメント)として用いるのに適している。特に、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)として好適に用いることができる。
この食品組成物は、食品に通常用いられる賦形剤または添加剤を配合して、錠剤、タブレット剤、丸剤、顆粒剤、散剤、粉剤、カプセル剤、水和剤、乳剤、液剤、エキス剤、またはエリキシル剤などの剤型に調製することができる。
食品に通常用いられる賦形剤としては、シロップ、アラビアゴム、ショ糖、乳糖、粉末還元麦芽糖、セルロース糖、マンニトール、マルチトール、デキストラン、デンプン類、ゼラチン、ソルビット、トラガント、ポリビニルピロリドンのような結合剤;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ポリエチレングリコールのような潤沢剤;ジャガイモ澱粉のような崩壊剤;ラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤などが挙げられる。添加剤としては、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤などが挙げられる。
飲料としては、スポーツ飲料、ドリンク剤、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、炭酸飲料、野菜飲料、茶飲料、コーヒー飲料、アルコール飲料などが挙げられる。
食品としては、麺類、パン粉のような穀物加工品;味噌のような豆類加工品;ヨーグルト、チーズのような乳製品;ジャム、漬物、水煮のような野菜・果物加工品;米粉、小麦粉、きな粉のような粉類;即席麺、即席スープのような乾燥食品;スープ、カレーのようなレトルト食品;クッキー、ビスケット、スナック、ゼリー、ガム、グミ、飴、チョコレート、アイスクリームのような菓子などが挙げられる。
このような一般の食品組成物中の上記柿果実画分の含有量は、乾燥質量に換算して、例えば約1質量%以上とすればよく、約10質量%以上が好ましく、約20質量%以上がより好ましい。また、当該含有量は通常約99質量%以下とすればよく、約50質量%以下が好ましい。上記範囲であれば、無理なく摂取できる栄養補助食品中に、胆汁酸吸着、ひいては血中コレステロール(特にLDL-コレステロール)低下、メタボリックシンドロームの改善に有効な量の柿果実の画分が含まれることになる。
この食品組成物は、液状、ペースト状、又は粉末状の柿果実の画分そのものも包含し、この場合、柿果実の画分を食事に直接添加することにより摂取することができる。
開花後80日以内に摘果された未成熟の平核無柿果実を用いた。へたを除いた柿果実1kgをスライス状に裁断して、遠赤外線乾燥機(ヴィアノーベ社製)により、60℃で20時間乾燥させた。得られた、柿果実乾燥物(約0.15kg)に対して150Lの水道水に1時間柿果実を浸漬させ、水洗を行った。水洗した柿果実は、脱水機(日本ゼネラル・アプライアンス社製)により脱水し、遠赤外線乾燥機(ヴィアノーベ社製)により、60℃で20時間乾燥させた。乾燥した柿果実を、ミルミキサー(大阪ケミカル社製)により粉末状に粉砕し、乾燥粉末を得た。
開花後80日以内に摘果された未成熟の平核無柿果実を用いた。へたを除いた柿果実1kgをスライス状に裁断して、遠赤外線乾燥機(ヴィアノーベ社製)により、60℃で20時間乾燥させた。得られた、柿果実乾燥物(約0.15kg)に対して150Lの70%EtOHに1時間柿果実を浸漬させ、水洗を行った。水洗した柿果実は、脱水機(日本ゼネラル・アプライアンス社製)により脱水し、遠赤外線乾燥機(ヴィアノーベ社製)により、60℃で20時間乾燥させた。乾燥した柿果実を、ミルミキサー(大阪ケミカル社製)により粉末状に粉砕し、乾燥粉末を得た。
[比較例1]
開花後80日以内に摘果された未成熟の平核無柿果実を用いた。へたを除いた柿果実1kgをスライス状に裁断して、遠赤外線乾燥機(ヴィアノーベ社製)により、60℃で20時間乾燥させた。乾燥した柿果実を、ミルミキサー(大阪ケミカル社製)により粉末状に粉砕し、乾燥粉末を得た。
胆汁酸の主成分である2mMのコール酸水溶液に、実施例1、比較例1の粉末をそれぞれ1%(w/v)となるように添加した。37℃、10分間反応後、上清を回収し、胆汁酸測定試薬(極東製薬社製)により上清中のコール酸量を測定し、吸着率を求めた。
結果を図1に示す。比較例1に比べ実施例1の乾燥粉末では、胆汁酸吸着効果が上昇した。
マウス(C57BL/6系統、オス、各群5匹)にコントロールとして何も加えない無添加の飼料(CE2、日本クレア社製)と、実施例1、比較例1の乾燥粉末を10%(w/w)添加した飼料を10週間摂取させた。マウスの糞を回収し、糞中の胆汁酸量を胆汁酸測定試薬(極東製薬社製)により測定した。
結果を図2に示す。コントロールに比べ、比較例1を与えたマウスでは糞中の胆汁酸***量は3倍に増えたが、実施例1を与えたマウスでは糞中の胆汁酸***量は9倍に増加しており、in vivoの評価においても本発明により胆汁酸吸着効果が高まることが確認された。
開花後150日以降に収穫された成熟の平核無柿果実を用いた。へたを除いた柿果実30kgをスライス状に裁断して、遠赤外線乾燥機(ヴィアノーベ社製)により、60℃で20時間乾燥させた。得られた、柿果実乾燥物(約4.0kg)に対して水道水の流水に1時間柿果実を浸漬させ、水洗を行った。水洗した柿果実は、脱水機(日本ゼネラル・アプライアンス社製)により脱水し、遠赤外線乾燥機(ヴィアノーベ社製)により、60℃で20時間乾燥させた。乾燥した柿果実を、ミルミキサー(大阪ケミカル社製)により粉末状に粉砕し、乾燥粉末を得た。
[比較例2]
開花後150日以降に収穫された成熟の平核無柿果実を用いた。へたを除いた柿果実30kgをスライス状に裁断して、遠赤外線乾燥機(ヴィアノーベ社製)により、60℃で20時間乾燥させた。乾燥した柿果実を、ミルミキサー(大阪ケミカル社製)により粉末状に粉砕し、乾燥粉末を得た。
2mMのコール酸水溶液に、比較例2、実施例3の乾燥粉末をそれぞれ1%(w/v)となるように添加した。37℃、10分間反応後、上清を回収し、胆汁酸測定試薬(極東製薬社製)により上清中のコール酸量を測定し、吸着率を求めた。
結果を図3に示す。比較例2に比べ実施例3の乾燥粉末では、胆汁酸の吸着効果が上昇した。開花日から日数が経過した成熟柿果実においても本発明により、胆汁酸吸着活性が高まることが確認された。
実施例1の乾燥粉末10gに対し、70%(v/v)メタノールを800mL加え、80℃湯浴中で15分間加熱した。溶液を遠心分離(3000rpm、10分間)にかけ、上清を除去した。残渣に1%(v/v)塩酸(シグマ社製)を含む70%(v/v)メタノール800mLを加え、80℃湯浴中で30分間加熱した。溶液を遠心分離(3000rpm、10分間)にかけ上清を分離し、これを減圧濃縮した後、凍結乾燥を行い、酸可溶性画分粉末(約2.5g)を得た。
2mMのコール酸水溶液、及び2mMのデオキシコール酸水溶液に、ポジティブコントロールとしてコレスチラミン(シグマ社製)、ネガティブコントロールとしてセルロース(シグマ社製)、比較例1、実施例1の乾燥粉末、実施例4の酸可溶性画分粉末をそれぞれ1%(w/v)となるように添加し、37℃、10分間反応後、上清を回収し、胆汁酸測定試薬(極東製薬社製)により上清中のコール酸及びデオキシコール酸の量を測定し、吸着率を求めた。
結果を図4に示す。実施例4の酸可溶性画分粉末では、比較例1、実施例1の乾燥粉末よりもコール酸及びデオキシコール酸の吸着率がさらに高まり、コレスチラミンにほぼ匹敵するほど効果が高まることが確認された。
実施例1の製法で得られた乾燥粉末を使用し、ヒト試験用のサンプルを調整した。強力粉3100g、実施例1の製法で得られた乾燥粉末3410g、塩93g、砂糖310g、イースト124g、水3720g、ショートニング620gを加えよく攪拌した。生地がまとまった時点で30℃で保温し、発酵を行った。生地が2倍程度に膨らんだ時点でガス抜きし、成形を行った。170℃に加熱したオーブンで15分焼き、実施例1の製法で得られた乾燥粉末入りのグリッシーニ(スティックパン)を作製した。グリッシーニ1本には実施例1の製法で得られた乾燥粉末が3.7g含まれる。
ヒト試験を行うためにモニターを募集し、試験の内容を十分に理解し、了承の得られた被験者の中からLDL-コレステロール値が正常値(70〜139mg/dL)を上回る10名を選択した。この被験者に実施例5で得られたグリッシーニを1ヶ月間にわたり、毎日、食事前に1本ずつ(合計1日3本)摂取してもらった。試験開始時と1ヵ月後に採血を行い、血漿中の総コレステロール値、LDL-コレステロール値を測定した。
図5に総コレステロール値の結果を示す。ヒト試験において、1ヶ月間のグリッシーニの摂取で総コレステロール値が減少した。
図6にLDL-コレステロール値の結果を示す。1ヶ月間のグリッシーニの摂取でLDL-コレステロール値が有意に減少した。
これらにより、ヒトにおいてもコレステロールの低減効果が認められ、本発明はメタボリックシンドロームに対して非常に有効であることが確認された。
Claims (3)
- 柿果実の、水及び炭素数1〜4のアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の極性溶媒に不溶性の画分のうちの酸可溶性画分を有効成分とする胆汁酸吸着剤。
- 柿果実の、水及び炭素数1〜4のアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の極性溶媒に不溶性の画分のうちの酸可溶性画分を有効成分とするLDL-コレステロール低下剤。
- 柿果実が、乾燥処理、又は脱渋処理した処理物である請求項1又は2に記載の剤。
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