JP5299960B2 - 脂肪性肝疾患の診断方法、診断装置、診断プログラム、診断薬及び脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニング方法 - Google Patents

脂肪性肝疾患の診断方法、診断装置、診断プログラム、診断薬及び脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニング方法 Download PDF

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Description

本発明は、脂肪性肝疾患の診断方法、診断装置、診断プログラム、診断薬及び脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニング方法に関する。
近年食生活の欧米化、都市化による運動不足にともないわが国を含む欧米諸国でアルコールを飲まないのに脂肪肝から脂肪性肝炎に罹患する患者が急増している。このような新しい疾患概念は非アルコール性脂肪性肝疾患(Non-alcoholic fatty liver disease: NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis: NASH)とよばれている(Ludwig, J., Viggiano, T.R., McGill, et al. :Nonalcoholic steatohepatitis: Mayo Clinic experiences with a hitherto unnamed disease. Mayo Clin Proc 55:434-438, 1980)。NASHは放置すると徐々に肝臓の線維化が進行し肝硬変に至ることがわかっており、時として脂肪肝由来の肝臓がんが発症することも知られている。脂肪肝は、人間ドックや健康診断で高頻度に見つかる異常である。これまで肝機能異常が軽度な脂肪肝はアルコールを飲まないのなら病的意義がほとんどなく放置してよいとされてきた。
アルコール飲酒の習慣があると、これだけでも脂肪肝、肝障害を起こすことは古くから知られている。この場合原因がアルコールにあるので、節酒ないしは禁酒をすることで治療が行われている。一方アルコール習慣のないNASH/NAFLDに関して原因はもとより病態や診断・治療法もいまだ定まったものがないのが現状である。
大変侵襲的な検査であるが肝生検が現在できうる範囲でもっとも確実な診断方法である。肝生検は侵襲度が高いこともあり、より簡単な診断に有用な検査法の開発が望まれている。
また、本疾患の発症メカニズムに関しては、肥満や糖尿病などを背景にすることが多いことがわかっているが、なぜ、肥満や、運動不足などだけで肝硬変にまでなってしまうのかはよくわかっていない。少なくとも以前にはほとんどなかった疾患が近年新しく出現したと考えられその病態解明が求められている。
なお、これら脂肪性肝疾患に関しては、総説としてJohn B. Dixon et al., Gastroenterology 2001; 121, 91-100及びGastroenterology 2002; 123, 1705-1725を参照することができる。
そこで、本発明は、従来の肝生検より簡単で、脂肪性肝疾患の罹患の有無や病態の進行度等(以下の説明においては、重症度や進展過程という場合も有る)についての診断を可能とする脂肪性肝疾患の診断方法、診断装置、診断プログラム及び診断薬を提供することを目的とし、また、脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、コリン欠乏食投与ラットが脂肪肝・脂肪性肝炎を発症し肝硬変・肝臓がんになるモデルを参考に、ヒトにおいてもNASH/NAFLD患者ではコリン欠乏が存在するのではないかとの仮説に基づき肝生検で診断を確定したNASH患者およびNAFLD患者の血液由来試料中のコリン、ベタイン、フォスファチジルコリン、スフィンゴミエリンの血清中の含量をガスクロマトグラフィー-質量分析装置を用いて定量した。結果は予想に反して血液由来試料中のコリン値は、健常者と脂肪性肝疾患患者との間、並びに進行度合いの異なる脂肪性肝疾患患者の間において有意差を示すことを示した。この結果は、血液由来試料に含まれるコリン濃度を測定することにより、脂肪性肝疾患を簡便に診断できる可能性や治療の効果判定に利用できる可能性を強く示唆するものである。本発明は、この知見に基づいて、完成された。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)被験者から採取した血液由来試料に含まれるコリン濃度を測定する工程と、当該コリン濃度に基づいて脂肪性肝疾患への罹患、前記疾患の重症度又は前記疾患に対する治療効果を判定する工程とを含む脂肪性肝疾患の診断方法。
(2)前記血液由来試料は血清試料であり、前記コリン濃度は血清中の遊離コリン濃度であることを特徴とする(1)記載の脂肪性肝疾患の診断方法。
(3)前記コリン濃度は、高速液体クロマトグラフィーによって測定される、液体クロマトグラフィー-質量分析法により測定される、コリンエステラーゼを含む酵素試薬によって測定される、化学的にコリンと反応する試薬によって測定される、電気泳動法により測定される、核磁気共鳴法により測定される、超遠心分離法により測定される、紫外線による分光法により測定される、又は電位差を計測する方法により測定されることを特徴とする(1)記載の脂肪性肝疾患の診断方法。
(4)前記判定する工程では、前記コリン濃度に基づいて健常群又は脂肪性肝疾患に分類することを特徴とする(1)記載の脂肪性肝疾患の診断方法。
(5)前記判定する工程では、前記コリン濃度に基づいて前記被験者における脂肪性肝疾患の進行度を判定することを特徴とする(1)記載の脂肪性肝疾患の診断方法。
(6)前記脂肪性肝疾患の進行度は、非アルコール性単純性脂肪肝を認める1型、非アルコール性脂肪性肝炎を認める2型、非アルコール性脂肪性肝壊死を認める3型、及びマロリー体(Mallory Body)ないしは線維化を伴う肝細胞壊死を認める4型で定義されることを特徴とする(5)記載の脂肪性肝疾患の診断方法。
(7)前記判定する工程では、非アルコール性脂肪性肝炎に分類された前記被験者を、前記コリン濃度に基づいて非アルコール性脂肪性肝炎の進行度について更に分類することを特徴とする(1)記載の脂肪性肝疾患の診断方法。
(8)前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における線維化分類のステージ1〜4で定義されることを特徴とする(7)記載の脂肪性肝疾患の診断方法。
(9)前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における壊死・炎症グレード1〜3で定義されることを特徴とする(7)記載の脂肪性肝疾患の診断方法。
(10)前記判定する工程では、前記コリン濃度に基づいて前記被験者を、健常群、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性単純性脂肪肝又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類することを特徴とする(1)記載の脂肪性肝疾患の診断方法。
(11)前記判定する工程では、脂肪性肝炎が疑われる前記被験者を、前記コリン濃度に基づいてアルコール性脂肪性肝炎又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類することを特徴とする(1)記載の脂肪性肝疾患の診断方法。
(12)被験者から採取した血液由来試料に含まれるコリン濃度を測定する測定手段と、前記測定手段で測定したコリン濃度を入力する入力手段と、前記入力手段で入力したコリン濃度に基づいて脂肪性肝疾患への罹患、前記疾患の重症度又は前記疾患に対する治療効果を判定する演算手段とを備える脂肪性肝疾患の診断装置。
(13)前記血液由来試料は血清試料であり、前記測定手段では、血清中の遊離コリン濃度を測定することを特徴とする(12)記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
(14)前記測定手段は、高速液体クロマトグラフィー装置、液体クロマトグラフィー-質量分析装置、コリンエステラーゼを含む酵素試薬反応装置、化学的にコリンと反応する試薬を含む化学的試薬反応装置、電気泳動装置、核磁気共鳴装置、超遠心分離装置、紫外線による分光測定装置、又は電位差計測装置であることを特徴とする(12)記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
(15)前記演算手段は、前記コリン濃度に基づいて健常群又は脂肪性肝疾患に分類することを特徴とする(12)記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
(16)前記演算手段は、前記コリン濃度に基づいて前記被験者における脂肪性肝疾患の進行度を判定することを特徴とする(12)記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
(17)前記脂肪性肝疾患の進行度は、非アルコール性単純性脂肪肝を認める1型、非アルコール性脂肪性肝炎を認める2型、非アルコール性脂肪性肝壊死を認める3型、及びマロリー体(Mallory Body)ないしは線維化を伴う肝細胞壊死を認める4型で定義されることを特徴とする(16)記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
(18)前記演算手段は、非アルコール性脂肪性肝炎に分類された前記被験者を、前記コリン濃度に基づいて非アルコール性脂肪性肝炎の進行度について更に分類することを特徴とする(12)記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
(19)前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における線維化分類のステージ1〜4で定義されることを特徴とする(18)記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
(20)前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における壊死・炎症グレード1〜3で定義されることを特徴とする(18)記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
(21)前記演算手段は、前記コリン濃度に基づいて前記被験者を、健常群、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性単純性脂肪肝又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類することを特徴とする(12)記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
(22)前記演算手段は、脂肪性肝炎が疑われる前記被験者を、前記コリン濃度に基づいてアルコール性脂肪性肝炎又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類することを特徴とする(12)記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
(23)入力手段及び演算手段を有するコンピュータに、被験者から採取した血液由来試料に含まれるコリン濃度を前記入力手段が入力するステップと、前記ステップで入力したコリン濃度に基づいて脂肪性肝疾患への罹患、前記疾患の重症度又は前記疾患に対する治療効果を前記演算手段が判定するステップとを実行させる脂肪性肝疾患の診断プログラム。
(24)前記血液由来試料は血清試料であり、前記入力手段は、血清中の遊離コリン濃度を入力することを特徴とする(23)記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
(25)前記入力手段は、高速液体クロマトグラフィー装置、液体クロマトグラフィー-質量分析装置、コリンエステラーゼを含む酵素試薬反応装置、化学的にコリンと反応する試薬を含む化学的試薬反応装置、電気泳動装置、核磁気共鳴装置、超遠心分離装置、紫外線による分光測定装置、又は電位差計測装置から出力されたコリン濃度、又は当該装置で測定されたコリン濃度を記録した記録装置から出力されたコリン濃度を入力することを特徴とする(23)記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
(26)前記演算手段は、前記コリン濃度に基づいて健常群又は脂肪性肝疾患に分類することを特徴とする(23)記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
(27)前記演算手段は、前記コリン濃度に基づいて前記被験者における脂肪性肝疾患の進行度を判定することを特徴とする(23)記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
(28)前記脂肪性肝疾患の進行度は、非アルコール性単純性脂肪肝を認める1型、非アルコール性脂肪性肝炎を認める2型、非アルコール性脂肪性肝壊死を認める3型、及びマロリー体(Mallory Body)ないしは線維化を伴う肝細胞壊死を認める4型で定義されることを特徴とする(27)記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
(29)前記演算手段は、非アルコール性脂肪性肝炎に分類された前記被験者を、前記コリン濃度に基づいて非アルコール性脂肪性肝炎の進行度について更に分類することを特徴とする(23)記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
(30)前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における線維化分類のステージ1〜4で定義されることを特徴とする(29)記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
(31)前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における壊死・炎症グレード1〜3で定義されることを特徴とする(29)記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
(32)前記演算手段は、前記コリン濃度に基づいて前記被験者を、健常群、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性単純性脂肪肝又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類することを特徴とする(23)記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
(33)前記演算手段は、脂肪性肝炎が疑われる前記被験者を、前記コリン濃度に基づいてアルコール性脂肪性肝炎又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類することを特徴とする(23)記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
(34)コリン成分を基質としてベダイン及び過酸化水素を生成するコリンオキシダーゼと、当該コリンオキシダーゼにより生成した過酸化水素を検出する検出試薬とを含む、脂肪性肝疾患の診断薬。
(35)前記検出試薬は、ペルオキシダーゼとカップラーと水素供与体とを含むものであることを特徴とする(34)記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
(36)脂肪性肝疾患の進行度を判定するものであることを特徴とする(34)記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
(37)前記脂肪性肝疾患の進行度は、非アルコール性単純性脂肪肝を認める1型、非アルコール性脂肪性肝炎を認める2型、非アルコール性脂肪性肝壊死を認める3型、及びマロリー体(Mallory Body)ないしは線維化を伴う肝細胞壊死を認める4型で定義されることを特徴とする(36)記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
(38)非アルコール性脂肪性肝炎に分類された被験者を、非アルコール性脂肪性肝炎の進行度について更に分類するものであることを特徴とする(34)記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
(39)前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における線維化分類のステージ1〜4で定義されることを特徴とする(38)記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
(40)前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における壊死・炎症グレード1〜3で定義されることを特徴とする(38)記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
(41)健常群、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性単純性脂肪肝又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類するものであることを特徴とする(34)記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
(42)脂肪性肝炎が疑われる被験者を、アルコール性脂肪性肝炎又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類するものであることを特徴とする(34)記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
(43)供試物質を作用させる前後における血液由来試料に含まれるコリン濃度を比較する工程と、前記供試物質によりコリン濃度が有意に低下している場合には、脂肪性肝疾患の治療薬として同定する工程とを含む脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニング方法。
(44)前記血液由来試料は血清試料であり、前記コリン濃度は血清中の遊離コリン濃度であることを特徴とする(43)記載の脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニング方法。
(45)前記コリン濃度は、前記コリン濃度は、高速液体クロマトグラフィーによって測定される、液体クロマトグラフィー-質量分析法により測定される、コリンエステラーゼを含む酵素試薬によって測定される、化学的にコリンと反応する試薬によって測定される、電気泳動法により測定される、核磁気共鳴法により測定される、超遠心分離法により測定される、紫外線による分光法により測定される、又は電位差を計測する方法により測定されることを特徴とする(43)記載の脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニング方法。
(46)前記治療薬は、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性単純性脂肪肝、アルコール性単純性脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎及びアルコール性脂肪性肝炎からなる群から選ばれる少なくとも1種の脂肪性肝疾患に対する治療薬であることを特徴とする(43)記載の脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニング方法。
本発明により、従来の肝生検よりも簡便、安全かつ安価な方法で、脂肪性肝炎の診断やこれらの疾患に対する治療効果の判定ができるようになった。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2006-299978号の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
本発明を適用した分析装置の構成を模式的に説明する構成図である。 各疾患における血清コリン濃度を示す特性図である。 コリン抵抗性のシェーマを示す特性図である。 健常人、単純性脂肪肝及びNASHにおける血清コリン濃度を示す特性図である。 重症度の異なるNASHにおける血清コリン濃度を示す特性図である。 健常人、単純性脂肪肝、NASHにおけるF1、NASHにおけるF2、NASHにおけるF3及びASHにおける血清コリン濃度を酵素試薬によって測定した結果を示す特性図である。 実施例で使用した酵素試薬におけるコリン濃度測定性能を評価した結果を示す特性図である。 分析装置を用いてコリン濃度を測定した結果と酵素試薬を用いてコリン濃度を測定した結果との相関関係を示す特性図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る診断方法は、被験者から採取した血液由来試料に含まれるコリン濃度を測定する工程と、当該コリン濃度に基づいて脂肪性肝疾患への罹患、前記疾患の重症度又は前記疾患に対する治療効果を判定する工程とを含んでいる。特に、本診断方法は、被験者を直接又は間接的に侵襲するものではなく、当該被験者から採取した血液由来試料に対して処理を行うものである。ここで血液由来試料とは、被験者から採取した血液試料、当該血液試料から分離調整した血清試料を含む意味である。本発明においては、後述するコリン濃度分析の精度を高めるため血清試料を使用することが好ましい。例えば、被験者から採取した血液試料を、分離剤の入ったガラスチューブにいれ、例えば遠心分離機により2000回転10分処理することによって血清試料を分離することができる。
また、被験者から血液試料を採取する際には、他の臨床検査等と同様に被験者の空腹時に行うことが望ましい。また、被験者から血液を採取する場合、前腕肘部から5mlの量で静脈血を採取するとよい。これらの採血の方法や量は、適宜、変更してもよい。また、採取日の前日の適当な時刻(例えば、午後8時)以降は飲食禁止とすると、データの再現性及び信頼性が高くなる。
血液由来試料からコリン濃度を測定する際には、従来公知の手法を適用することができる。コリンの構造式を以下に記載する。
Figure 0005299960
コリン濃度測定方法1
血液由来試料からコリン濃度を測定する際には、例えば、Koc, H., et al., (Anal. Che. 2002, 74, 4734-4740)の方法に従い、HPLC-質量分析装置を用いて行うことができる。コリンは、同位体希釈法を用い、測定するとよい。同位体希釈法による測定では、安定同位元素で標識したコリン標品を希釈して定量線を作成するとよい。希釈には、燐酸緩衝液などを用いるとよい。
コリン濃度測定方法2
また、血液由来試料からコリン濃度を測定する際には、特許登録番号第3899041号に開示された分析方法、分析装置及び分析プログラムを使用することができる。本分析方法、分析装置及び分析プログラムは、試料中に含まれるリポタンパク質成分を粒径に依存して分離するとともに、分離後のリポタンパク質成分に含まれるコレステロール成分及びトリグリセリド成分を定量するものである。本発明に適用する場合には、溶出時間の遅い領域に観察される遊離コリンを測定するように、コレステロール測定試薬及びトリグリセリド測定試薬に代えて、リン脂質測定用試薬や遊離コリン測定用試薬を使用すればよい。詳細には、特許登録番号第3899041号に開示された分析装置は、例えば、図1に示すように、被検試料に含まれるリポタンパク質成分を分離できるカラム1と、カラム1から溶出されたリポタンパク質を含む溶離液を2分配するスプリッター2と、スプリッター2によって分配された第1流路3及び第2流路4と、第1流路3に配置されたコレステロール(以下「TC」と称する)反応部5と、第2流路4に配置されたトリグリセリド(以下「TG」と称する)反応部6と、第1流路3におけるTC反応部5の下流に配置されたTC検出部7と、第2流路4におけるTG反応部6の下流に配置されたTG検出部8と、本装置の動作制御及びTC検出部7並びにTG反応部8から信号が入力されるシステムコントローラー9と、システムコントローラー9に接続された演算装置10とを備えている。本発明に係る診断方法に適用する場合には、TC反応部5及びTC検出部7或いはTG反応部6及びTG検出部8に代えて、試料中のコリン濃度を測定できるようなリン脂質測定薬を使用する。リン脂質測定薬としては、東洋紡績株式会社製の商品名:リキッドPLを使用することができる。
なお、このリポタンパク質分析装置は、血清試料をカラム1に供給するサンプラー11と、カラム1に溶離液を供給するための第1ポンプ12と、第1ポンプ12によってカラム1に供給する溶離液から気体を除去するデガッサー13とを備えている。また、このリポタンパク質分析装置においてTC反応部5は、カラム1から溶出されたリポタンパク質を含む溶離液に含まれるTCを定量するための試薬を備えるTC用試薬タンク14と第2ポンプ15を介して連結されている。TG反応部6は、カラム1から溶出されたリポタンパク質を含む溶離液に含まれるTGを定量するための試薬を備えるTG用試薬タンク16と第2ポンプ15を介して連結されている。なお、これら、TC反応部5及びTG反応部6は、上述した試薬とTC又はTGとの反応温度を制御するための反応コイルをそれぞれ備えている。
TC検出部7は、TC反応部5でTCと試薬とが反応して生成した反応生成物の吸光度を検出するための、例えば紫外可視光検出器を備えている。また、TG検出器8は、TG反応部6でTGと試薬とが反応して生成した反応生成物の吸光度を検出するための、例えば紫外可視光検出器を備えている。よって、本装置を用いて試料中のコリン濃度を測定する際にも、紫外可視光検出器を利用することができる。例えば、上述した試薬を使用した場合、紫外可視検出器の測定波長は、590〜610nmとすれば良い。
システムコントローラー9は、TC検出部7及びTG検出部8からの出力信号が入力され、この信号に基づいてTCに関するクロマトグラム及びTGに関するクロマトグラムを結果として出力する機能を備えている。したがって、本装置を用いて試料中のコリン濃度を測定する際にも、横軸を溶出時間(min)とし、縦軸を検出値(mV)として、コリンに関するクロマトグラムを表示することができる。
コリン濃度測定方法3
一方、血液由来試料からコリン濃度を測定する際には、血液由来試料に含まれるコリン成分を定量できる酵素試薬を使用する方法を適用することができる。測定原理は、コリンオキシダーゼ反応によりコリンをベタインに変換させ、同時に生成する過酸化水素を定量するものである。すなわち、本方法に使用する、血液由来試料からコリン濃度を測定する際の試薬は、コリン成分を基質としてベダイン及び過酸化水素を生成するコリンオキシダーゼと、当該コリンオキシダーゼにより生成した過酸化水素を検出する検出試薬とを含んでいる。本方法に用いるコリンオキシダーゼとしては、その起源は特に限定されないが、例えばアースロバクタ・グロビホルミス、アルカリゲネス属等微生物由来のものが挙げられる。また、遺伝子操作によってこれらの遺伝子を単離し、別の微生物に導入して発現させて得られた酵素又はこれらを化学的に修飾した修飾体、若しくはこれらの遺伝子を改変して発現させて得られた酵素又はこれらを化学的に修飾した修飾体等も用いることができる。コリンオキシダーゼの濃度としては、例えば0.1〜100U/ml、好ましくは1.0〜40U/mlである。
生成した過酸化水素は公知の過酸化水素検出系を用いて測定される。代表的な系としては、ペルオキシダーゼの存在下に、カップラーと水素供与体との酸化縮合体を生成させて発色に導き、その吸光度を測定する系が挙げられる。上記カップラーとしては、4-アミノアンチピリン又は3-メチル-2-ベンゾチアゾリノン−ヒドラゾン・塩酸塩などが挙げられる。水素供与体としては、アニリン、アニシジン又はトルイジンの誘導体[例えば、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-m-トルイジン(略名:TOOS)、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-m-アニシジン(略名:ADPS)、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)アニリン(略名:ALPS)、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン(略名:TOPS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メトキシアニリン(略名:ADOS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン(略名:DAOS)、N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン(略名:HDAOS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメチルアニリン(略名:MAOS)]が挙げられる。
上記反応に用いる緩衝液としては、必要なpH域での緩衝能が保持できるものであれば特に限定されないが、例えば、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、GOOD緩衝液などが挙げられる。一方、GOOD緩衝液にはN-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸(CHES)、2-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕エタンスルホン酸(HEPES)、2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノメタンスルホン酸(TES)、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、N-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPSO)、3-〔N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ〕-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、3-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕プロパンスルホン酸(EPPS)、2-ヒドロキシ-3-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕プロパンスルホン酸(HEPPSO)、3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPSO)、ピペラジン-1,4-ビス(2-ヒドロキシ-3-プロパンスルホン酸)(POPSO)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、N-(2-アセトアミド)イミノニ酢酸(ADA)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N-〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシン(Tricine)、などが例示される。該緩衝剤のpHは5〜10の範囲で調整されるが、6.5〜8にすることが好ましい。
また、本方法で使用する試薬は、サンプル中の共存物質の影響を回避する等の目的で、過酸化水素を検出する検出試薬を含む第1試薬と、コリンオキシダーゼを含む第2試薬とに分かれていることが好ましい。第1試薬及び第2試薬として調整した酵素試薬を用いて試料中のコリン濃度を測定する際には、先ず第1試薬を用いて第1の反応を行い、反応終了後の吸光度を測定しておく。第1の反応によれば、試料中に含まれる過酸化水素成分等によるバックグランド発色を導くことができる。次に、第2試薬を添加して第2の反応を行い、反応終了後の吸光度を測定する。第2の反応の終了後に測定した吸光度から、第1の反応終了後に測定した吸光度を差し引けば、試料中のコリンから生成した過酸化水素に起因する発光のみを測定することができる。
これら第1試薬と第2試薬には、公知の各種回避剤を添加することが好ましい。例えば、血液由来試料中のアスコルビン酸の影響を回避するため、第1試薬にアスコルビン酸酸化酵素を添加することが好ましい。第1試薬にアスコルビン酸酸化酵素を添加した場合には、血液由来試料中のアスコルビン酸を消去することができる。
また、これらの試薬は、長期間の安定性を保持させるため、安定化剤等を加えることが好ましく、その安定化剤は本発明に用いられている酵素に限らず他の酵素を安定化させる実績のある公知な安定化剤全般から選択すれば良く、例えば、BSA等の各種タンパク質や、各種糖類、各種糖アルコール類、各種抗菌剤、各種塩類、各種緩衝液類、各種界面活性剤類等が挙げられ、これらを組合せて使用することも可能である。
また、数種類の試薬例えば凍結乾燥した成分の入ったバイアルを溶解液にて溶解し、第1試薬及び第2試薬として使用開始時に調製するような試薬構成にしても良いし、調製不要の液状試薬としてそのまま使用できる構成であっても良い。
また、上述した第1試薬及び第2試薬の安定性は良好であり、調製不要の液状試薬として少なくとも、冷蔵状態では12ヶ月間性能を保持することが可能である。
上述した各種の測定方法1〜3は、それぞれ測定原理が若干異なるが、測定結果が相関するため、本発明においてコリン濃度を測定する際には如何なる測定方法を適用しても良い。また、血液由来試料に含まれるコリン濃度は、上述した測定方法に限定されず、例えば、化学的にコリンと反応する試薬を用いた手法や、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置を用いた手法、電気泳動を用いた手法(Biosci. Biotechnol. Biochem. Vol.65, No.11, p2573-2576 (2001)及びJ. Chromatogr. Vol.343, No.1, p186-189 (1985)参照)、NMRを用いた方法(Anal. Biochem. Vol.137, No.2, p324-329 (1984)及びRadiat. Med. Vol.22, No.3, p148-154 (2004)参照)、超遠心分離装置を用いた方法、紫外線による分光法(Electrophoresis Vol.17, No.10, p1622-1626 (1996)参照)、電位差を計測する方法(Analyst. Vol.125, No.7, p1281-1284 (2000)参照)等を適宜利用して測定することができる。
以上のように、被験者から採取した血液由来試料に含まれるコリン濃度を測定した後、測定されたコリン濃度に基づいて、被験者について脂肪性肝疾患への罹患の可能性を判定することができる。
ここで脂肪性肝疾患とは、従前の臨床的診断に基づいて定義された疾患であり、肝細胞に中性脂肪が沈着して肝障害をきたす疾患の総称である(日本肝臓学会 編『NASH・NAFLDの診療ガイド』文光堂(2006年10月7日第3刷発行)を参照)。また、脂肪性肝疾患は、患者に飲酒歴が有るアルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)と、患者に飲酒歴が無い非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に分類される。また、脂肪性肝疾患は、組織診断において肝細胞の脂肪沈着のみを認める単純性脂肪肝と、脂肪化に壊死・炎症や線維化を伴う脂肪性肝炎に大きく分かれる。よって、患者に明らかな飲酒歴が無く、肝組織で壊死・炎症や線維化を伴う脂肪性肝炎を認める症例を、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と分類される。患者に明らかな飲酒歴が有り、肝組織で壊死・炎症や線維化を伴う脂肪性肝炎を認める症例をアルコール性脂肪性肝炎(ASH)と分類される。すなわち、NASHはNAFLDの重症型であり、ASHはAFLDの重症型となる。
また、NAFLDは、Matteoriらによって4型に分類される(Matteori CA et al., Gastroenterology 116: 1413-1419(1999))。この分類によれば、NAFLDは、単純性脂肪肝を認める1型、脂肪性肝炎を認める2型、脂肪性肝壊死を認める(風船用変性を伴う)3型及びマロリー体(Mallory Body)ないしは線維化を伴う肝細胞壊死を認める4型に分類される。特に、Matteoriらの分類において3型及び4型をNASHと定義される場合もある。
また、NASHは、その進行度を線維化の程度に応じてBruntらによって4段階に分類される(Brunt EM et al., Amr J Gastroenterol 94: 2467-2474 (1999))。この分類によれば、NASHは、小葉中心部(Zone 3)に線維化を認めるstage 1、小葉中心部(Zone 3)に加えて門脈域に線維化を認めるstage 2、さらに架橋形成を伴う門脈域の線維化を認めるstage 3及び肝硬変と認めるstage 4に分類される。
さらに、NASHは、その進行度を壊死・炎症の程度に応じてBruntらによってグレード1〜3に分類される。で定義される(Brunt EM et al., Amr J Gastroenterol 94: 2467-2474 (1999))。この分類におけるグレード1は、軽度の壊死・炎症を意味しており、脂肪肝(主として大滴性)が66%以下であり、中心静脈周囲の軽度肝細胞風船様腫大が認められ、軽度の小葉内炎症細胞の浸潤が無く、軽度の門脈域炎症を認める病態である。この分類におけるグレード2は、中等度の壊死・炎症を意味しており、程度に関係なく脂肪肝であり、中心静脈周囲の軽度肝細胞風船様腫大が顕著に認められ、中心静脈周囲性線維化を伴う小葉内好中球の浸潤が認められ、軽度から中等度の門脈域炎症性細胞浸潤を認める病態である。この分類におけるグレード3は、高度の壊死・炎症を意味しており、小葉全体に広がる脂肪肝が認められ、肝細胞風船様腫大と明らかなdisarray(中心静脈周囲性)が認められ、好中球の浸潤を伴う肝細胞風船様腫大と軽度慢性炎症が認められ、軽度から中等度の門脈域炎症性細胞浸潤が認められる病態である。
本発明に係る診断方法によれば、被験者を健常者又は脂肪性肝疾患、若しくは脂肪性肝疾患の進行度(上述したMatteoriらやBruntらの分類)に分類することができる。具体的には、被験者から採取した血液由来試料に含まれるコリン濃度が基準値を有意に上回る場合、当該被検者を脂肪性肝疾患と診断するか、脂肪性肝疾患の疑いがあると診断することができる。ここで、基準値は、脂肪性肝疾患と確定診断された患者群におけるコリン濃度の平均値及びその信頼区間を算出し、当該信頼区間の下限値として設定することができる。なお、本発明に係る診断方法において、基準値としては特に限定されず、健常者群におけるコリン濃度の平均値及びその信頼区間を有意に上回る値を設定することもできる。また、基準値は、上述したコリン濃度の測定方法に依存して異なる値となり、一意に定義できる数値ではない。また、基準値としては、人種や、性別、年齢、既往症等に依存して変化する可能性もあり、これら人種や、性別、年齢、既往症等に対応して複数準備しても良い。例えば、欧米人における血清中のコリン濃度については、Alan L. BuchmanらのJournal of the American College of Nutrition, Vol. 18, No. 6, 598-601 (1999)を参照することができる。
また、本発明に係る診断方法によれば、被験者を健常者、単純性脂肪肝又は脂肪性肝炎に分類するができる。この場合も同様に、健常者と単純性脂肪肝との間の基準値並びに単純性脂肪肝と脂肪性肝炎との間の基準値を設定する。なお、この診断は、血液由来試料に含まれるコリン濃度は、健常者、単純性脂肪肝及び脂肪性肝疾患の順に高くなっているといった本発明による新規知見に基づいている。
さらに、本発明に係る診断方法によれば、脂肪性肝炎が疑われる被験者を、当該被験者から採取した血液由来試料に含まれるコリン濃度に基づいてASH又はNASHに分類することもできる。なお、ここで、脂肪性肝炎が疑われる被験者とは、従来の臨床検査に適用されていた手法(例えば、腹部エコー検査や肝生検)において脂肪性肝疾患が疑われるとされた者である。従来の臨床検査においては、脂肪性肝疾患が疑われる場合、当該被験者に対する問診によって飲酒歴を聞き取り、飲酒歴有りの場合にASHとし、飲酒歴なしの場合にNASHと診断していた。本発明に係る診断方法では、問診といった曖昧な基準ではなく、血液由来試料に含まれるコリン濃度といった客観的な数値に基づいてASH又はNASHに分類することができる。なお、この診断は、血液由来試料に含まれるコリン濃度は、ASHにおいては健常者と変わらない低レベルであり、NASHにおいて高レベルであるといった本発明による新規知見に基づいている。
さらにまた、本発明に係る診断方法によれば、NASHにおける進展過程(例えば、Bruntらの4段階分類、疾患の重症度及び進行度と同義)を診断することができる。なお、この診断は、血液由来試料に含まれるコリン濃度は、NASHにおける進展過程、特に肝臓の線維化の進行度合いと相関しているといった本発明による新規知見に基づいている。この診断は、血液由来試料に含まれるコリン濃度に基づいて、上述したBruntらの4段階分類に対応したstage 1〜4のいずれかにNASH患者を分類しても良いが、この分類に限定されるものではない。本診断においては、上述したMatteoriらの分類の3型又は4型にNASH患者を分類しても良い。本診断においては、上述したBruntらの壊死・炎症の程度に対応したグレード1〜3のいずれかにNASH患者を分類しても良い。或いは、上述した本発明による新規知見に基づいて、NASHの線維化進行度合いをコリン濃度によって複数段階に新たに分類しておき、この新しい分類に対応するようにNASH患者を診断することもできる。
以上のように、本発明に係る診断方法によれば、血液由来試料に含まれるコリン濃度によって脂肪性肝疾患を診断、その重症度の診断を簡易に行うことができる。特に、本発明に係る診断方法では、生検や腹部エコー検査といった手技の困難性を伴わず、また問診といった曖昧な基準も排除した、簡便且つ客観性に優れた検査となる。特に、上述したコリン濃度の測定方法のなかでも、酵素試薬を用いた方法(コリン濃度測定方法3)においては、特にNASHの診断に有用な血中コリン濃度を測定することができ、その測定域は0.1mg/dL程度から100mg/dL以上まで測定可能であるといった利点がある。
また、本診断方法は、他の診断基準(例えば、飲酒歴がない、画像診断(エコー、CT、MRIなど)で脂肪肝と診断された、他の疾患(例えば、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎など)が除外されるなど)と組合せて診断結果を確定してもよい。
また、本診断方法の基礎となる新規知見によれば、脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニングを行うことができる。詳細には、スクリーニング対象の供試物質を作用させる前後における血液由来試料に含まれるコリン濃度を比較する。作用後の血液由来試料に含まれるコリン濃度が有意に低下している場合には、脂肪性肝疾患用治療薬の候補物質として同定されることとなる。また、コリン濃度の低下率が高いほど、脂肪性肝疾患の治療効果が高いと推定される。本スクリーニング方法によれば、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性単純性脂肪肝、アルコール性単純性脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎及びアルコール性脂肪性肝炎からなる群から選ばれる少なくとも1種の脂肪性肝疾患に対する治療薬を同定することができる。
以上で説明した本発明に係る診断方法は、入力手段及び演算手段を有するコンピュータを脂肪性肝疾患の診断装置として機能させるソフトウェアとして提供することができる。ここで、入力手段とは、上述したコリン濃度を数値データとして入力するための装置であって、例えば、マウス、キーボード、各種インターフェイスを含む意味である。また、コンピュータにおける演算手段(例えばCPU)は、入力手段から入力されたコリン濃度を基準値と比較して上述したような脂肪性肝疾患の診断、重症度の診断を行う。このとき、演算手段は、基準値を記憶した記憶装置から基準値を読み出し、コリン濃度の数値と比較して診断結果を出力する。記憶装置は、コンピュータ内部のRAMやハードディスク等を利用しても良いし、インターネットやLAN等の通信回線網を介してコンピュータがアクセス可能であればよい。
また、記憶装置は、基準値と、人種や性別、年齢、既往症等の情報と関連付けられたリレーショナルデータベースであってもよい。この場合、入力手段から被験者に関する人種や、性別、年齢、既往症等の情報が入力されと、演算手段は、記憶手段から当該情報に対応する基準値を読み出し、当該基準値とコリン濃度とを比較する。
なお、コンピュータは、診断結果を、ディスプレイやプリンタ等の出力手段に出力しても良いし、例えば電子メール形式で他の情報処理端末に出力しても良い。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
材料及び方法
血清試料
肝生検や各種検査にて診断が確定したNAFLD、NASH、糖尿病、慢性C型炎、肝硬変患者より文書による同意を得て早朝空腹時に採血し、血清分離を行った。
<測定方法>
コリンはKoc, H., et al., (Anal. Che. 2002, 74, 4734-4740)の方法に従いHPLC-質量分析機を用いて定量を行った。コリンは同位体希釈法をもちい測定した。
<使用機種>
Walters Z-MS2000型エレクトロンスプレーイオン化質量分析機およびHP1100シリーズのHPLCをもちいておこなった。質量分析機はWaters社製を用い、全窒素ガス流量:150L/minおよびコーンガス流量:50L/min、イオン化電圧:5kV、コーン電圧:30kV、キャピラリー温度:350℃にて測定を行った。HPLCはWaters社製を用い、測定方法は通常の測定で使用方法に従った。
<標準物質>
臭化(N,N,N-トリメチル−d9)-コリンはCNSアイソトープ社(ケベック、カナダ)より購入した。
<前処理方法>
血清試料100μLは1.5mLの遠心チューブにいれ、内部標準試料(重水素化コリン)を1μg添加後、400μLのメタノール/クロロホルム(2:1、v/v)を加えた。1500gで5分間、沈殿物を遠沈させ、上清を新しいチューブに移した。得られた沈殿物はさらに、250μLのメタノール/クロロホルム/水(2:1:0.8、v/v)を加えて再抽出を行った。両上清を合わせ、その溶液に、クロロホルム100μL、水100μLを加え、遠心分離を行い、2層に分離させた。この水層部分はコリンの分析にもちいた。
<コリンの分析>
前処理操作で得られた水層を留去した後、さらに20μLの水を加えて、得られた残渣を溶解させた後に800μLのメタノールを加えた。その10μLをHPLC分析に用いた。HPLCはWaters AtlantisTM HILIC Silica 4.6 x 150 mm、(3μm)のカラムを用いた。溶離液組成はA液:アセトニトリル/水/エタノール/1M酢酸アンモニア/酢酸(800:127:68:3:2、v/v)、B液:アセトニトリル/水/エタノール/1M酢酸アンモニア/酢酸(500:500:85:27:18、v/v)を用い、3分0% B、10分40% B、14分45% B、18分60% B、26分100% Bのグラディエント溶離を行った。また流速は1.0mLおよびカラム温度は40℃に設定した。同方法を用い、コリンのイオン質量m/z 104、113、118、127をモニターした。
同方法による測定誤差はコリンで8.5%以内であった。
結果
結果を図2に示す。図2中、Normalは健常人、SSはNAFLD、DMは糖尿病、CHは慢性C型肝炎、LCは肝硬変、LC-HCCは肝臓がんを表す。NASHではこの散布図のごとく、健常人、慢性C型肝炎、肝硬変、肝臓がん、糖尿病、単純性脂肪肝(NAFLD)に比べ有意に高値を示している。
考察
ここで、Koc, H., et al., (Anal. Che. 2002, 74, 4734-4740)の方法に従ってHPLC-質量分析装置を用いてコリン濃度を測定した場合、例えば、血清コリン濃度が9.5μg/mlを超えるとき、脂肪性肝炎に罹患している、前記疾患の重症度が高い、あるいは前記疾患に対する治療効果が十分でないと判定することができる。このカットオフ値(9.5μg/ml)での陽性率は、健常者で2%であったが、NAFLD患者で18%、NASH患者で68%の高い値を示した。このカットオフ値は、健常人や糖尿病患者が98%カットオフ値以下かつ、NASHが50%以上拾えるところを選定して得られる。
以上の結果よりNASHの診断に血清コリン値が有用であることを発見したが、ではなぜ血清コリン値が高いかを本発明者らは考察した。本来動物実験で食餌中のコリンを欠乏させることで脂肪肝・脂肪性肝炎ができるのであるが、人においては逆に血清コリン値が高値であったのはどうしてだろう。本発明者らは以下の考察を経て脂肪肝・脂肪性肝炎の病態形成に以下に述べる「コリン抵抗性」が重要な役割をしていると考えるに至った。この病態概念は今後の本疾患の診断・治療を考える意味で重要な発見概念であると考えられる。
(コリン抵抗性の概念(図3))
食事由来のコリンは腸管から吸収され肝臓でリン脂質となる。一方食事中の脂肪や糖質は肝臓でトリグリセリドに変換されリン脂質の膜内にアッセンブリーされVLDL(Very low density lipoprotein)となり抹消臓器への脂肪エネルギーの運搬役として血液中に分泌される。肝臓に病的な脂肪が貯蔵される理由は連動不足や過剰のエネルギー摂取および糖尿病などを背景とした肝臓へのエネルギー流入の増大と肝臓からの脂肪エネルギー放出低下に起因すると考えられる。その結果肝臓内では行き場のなくなったトリグリセリドは脂肪滴として貯蔵される。VLDLの放出低下に伴い利用するリン脂質は低下し、原料となるコリンは利用されなくなり血液中の濃度が高くなると考えられる。元来肝臓は食事と食事の間のエネルギー保存・供給臓器の役割を担っており一時的貯蔵であればコリンを原料にトリグリセリドとリン脂質からVLDLを合成分泌し、血液中のコリンは消費されることになる。つまり、多量のエネルギーを摂取してもコリンを使ってVLDLを合成分泌できるうちは血液中コリンは増加しないと考えられる。一方、同じ脂肪肝でも肝臓内の貯蔵脂肪がいっぱいとなりほとんど貯蔵脂肪が分泌も分解もされなく長期肝臓内にとどまる状態になるとコリンが利用されなくなり血液中のコリン濃度が上昇してくると考えられる。本発明者らが脂肪肝・脂肪性肝炎の患者で発見した血清中コリン高値はこのメカニズムにより発症していると考えると理解できると考えられた。本発見が示していることは肝臓に脂肪が極めて多く貯蔵される状態であってもその貯蔵脂肪が時々刻々ターンオーバーしていれば血液中のコリンは大量消費され血液濃度は上昇しないが、肝臓内の貯蔵脂肪がほとんどターンオーバーしなくなると血液中のコリン値が上昇することであると考えられる。同じ肝臓に脂肪が蓄積した脂肪肝でもその脂肪がダイナミックに肝臓へ流入・放出を繰り返す血清コリン値が高くない脂肪肝と、肝臓内の貯蔵脂肪が動きのないコリン高値の脂肪肝が存在することになる。本発明者らは解析結果からコリン高値の場合は単なる脂肪肝よりは脂肪性肝炎であることが多いことから、NASHの病態にはコリンが高値であるにもかかわらず肝臓でそれを利用できない病態があり、これまでにないまったく新しい概念として「コリン抵抗性」として呼称することにした。
〔実施例2〕
血清試料
肝生検や各種検査にて診断が確定した健常者、単純脂肪肝患者、NASH患者より文書による同意を得て早朝空腹時に採血し、血清分離を行った。また、NASHについては、肝生検の結果より、線維化の進行度により重症度を判定し、F1、F2、F3、F4に分類した。これらF1、F2、F3及びF4は、上述したBruntらの4段階分類(stage 1〜4)にそれぞれ対応している。
本例において、測定法、使用機種、標準物質、前処理方法、コリンの分析は実施例1と同条件とした。本実施例の結果を図4及び5に示す。
図4に示すように、健常人、単純性脂肪肝及びNASHにおいてはこの順で血清中のコリン濃度が有意に上昇していることがわかった。この結果から、血液由来試料に含まれるコリン濃度を指標として、単純性脂肪肝及びNASHの診断が可能であることが明らかとなった。また、図5に示すように、NASHの重症度、すなわち線維化の程度に応じて血清中のコリン濃度が有意に上昇することがわかった。この結果から、血液由来試料に含まれるコリン濃度を指標として、NASHの進行度について診断が可能であることが明らかとなった。
〔実施例3〕
血清試料
肝生検や各種検査にて診断が確定した健常人、単純脂肪肝患者、NASH患者、アルコール性肝炎(ASH)患者より文書による同意を得て早朝空腹時に採血し、血清分離を行った。また、NASHについては、肝生検の結果より、線維化の進行度により重症度を判定し、進行度によりF1、F2、F3に分類した。これらF1、F2及びF3は、上述したBruntらの4段階分類のうちstage 1〜3にそれぞれ対応している。
測定法
本実施例では、血清中のコリン濃度を酵素試薬を用いて測定した。詳細に血清中のコリン濃度は、血清中に遊離するコリンにコリンオキシターゼを作用させ、ベタインに酸化し、このとき生じる過酸化水素をペルオキシターゼにより、N-エチル-N(3-スルホプロピル)-m-アニシジン(ESPAS)と4-アミノアンチビリン(4-AA)を酸化縮合し、高感度色素に導き、吸光度を測定することにより求めた。
本実施例に使用する酵素試薬としては、下記組成の第1試薬及び第2試薬を調製した。
第1試薬の組成
TES(同仁化学社製)-NaOH(ナカライテスク社製) 50mM pH7.1
アスコルビン酸オキシダーゼ(東洋紡社製ASO-311) 2U/mL
ペルオキシダーゼ(東洋紡社製PEO-301) 4U/mL
4-アミノアンチピリン(第一化学薬品社製) 1.5mM
なお、TESとはN-Tris(hydroxymethyl)methyl-2-aminoethanesulfonic acidである。
第2試薬の組成
PIPES(同仁化学社製)-NaOH(ナカライテスク社製) 50mM pH7.5
コリンオキシダーゼ(東洋紡社製CHO-301) 20U/mL
N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-m-アニシジン(同仁化学社製) 3mM
なお、PIPESとはPiperazine-1,4-bis(2-ethanesulfonic acid)である。
第1試薬及び第2試薬を用いたコリン濃度の測定は以下の手順に従った。まず血清試料50μLに第1試薬150μL添加し、37℃にて5分間インキュベーションし第1反応とした。その後、第2試薬を50μL添加し15分間インキュベーションし第2反応とした。第1反応の終了後、及び第2反応の終了後にそれぞれ吸光度を測定した。第2反応の終了後の吸光度と第1反応の終了後の吸光度との差をとり、別途準備しておいた検量線に基づいてコリン濃度を定量した。なお、吸光度は、マイクロプレートリーダー マルチスキャンJX(サーモエレクトロン株式会社)にて630nmの波長で測定した。検量線を作成する際のコリンの標準物質には、塩化コリン 54mg/dL(リン脂質測定用標準液 東洋紡績株式会社)を用いた。
本実施例の結果を図6に示す。図6に示すように、健常人、単純性脂肪肝、NASHにおけるF1、NASHにおけるF2、NASHにおけるF3と脂肪性肝炎の症状が重症化するに従い、血清中のコリン濃度が上昇することがわかった。また、脂肪性肝炎のなかでもアルコール性の病態(ASH)においては、NASHと異なり血清中のコリン濃度は健常者レベルであることが判った。以上の結果から、酵素試薬を用いて血液由来試料に含まれるコリン濃度を測定した場合であっても、コリン濃度の測定値を指標として単純性脂肪肝及びNASHの診断が可能であることが明らかとなった。また、酵素試薬を用いて血液由来試料に含まれるコリン濃度を測定した場合であっても、NASHの進行度について診断が可能であることが明らかとなった。さらに、上述した結果から、例えば肝生検や各種検査にて脂肪性肝炎の診断が確定した患者に対して、血液由来試料に含まれるコリン濃度が上昇している場合にはNASHと診断し、当該コリン濃度が上昇していない場合にはASHと診断できることが明らかとなった。すなわち、NASH或いはASHの診断を、問診といった曖昧の基準ではなく血液由来試料に含まれるコリン濃度といった客観的な数値に基づいて診断できることが明らかとなった。
なお、本実施例で使用した酵素試薬におけるコリン濃度測定性能は以下のように評価された。先ず、試料5μLに第1試薬120μL添加し、37℃にて5分間インキュベーションし第1反応とした。その後、第2試薬を60μL添加し5分間インキュベーションし第2反応とした。第1反応の終了後、及び第2反応の終了後にそれぞれ吸光度を測定した。そして、第1反応及び第2反応の吸光度を液量補正した各吸光度の差をとる2ポイントエンド法で測定波長は、主波長600nm(副波長800nm)における吸光度を測定した。吸光度の測定には、株式会社日立製作所製 7180形自動分析機を使用した。ここで試料としては、血清に高濃度塩化コリンを添加し、生理食塩水にて作製した希釈系列を使用した。校正には53mg/dLの塩化コリン水溶液を用いた。測定後、試料濃度を算出し、プロットしたところ、100mg/dLまで直線的に測定されることが確認できた(図7)。
〔実施例4〕
血清試料
肝生検や各種検査にて診断が確定した健常人、単純脂肪肝患者、NASH患者より文書による同意を得て早朝空腹時に採血し、血清分離を行った。
測定法
本実施例では、図1に示したような分析装置を用いて血清試料に含まれるコリン濃度を測定した。分析装置においてHPLC装置は、Prominenceシリーズ(島津製作所)を使用した。分析カラムは、TSKgelLipopropakXL(東ソー株式会社)を用いた。検出用試薬として、リン脂質測定用試薬 リキッドPL(東洋紡績株式会社)を用いた。標準物質として、塩化コリン 54mg/dL(リン脂質測定用標準液 東洋紡績株式会社)を用いた。血清を10μL注入し、溶離液としてTSKeluentLP-1またはLP-2を流速0.7ml/minで送液した。得られたクロマトグラムより、特許第3899041号に示す分析プログラムにより遊離コリン濃度を求め、血清コリン値とした。また、本実施例では、実施例3と同様にして同じ血清試料に含まれるコリン濃度を酵素試薬を用いて測定した。
図1に示した分析装置を用いてコリン濃度を測定した結果及び実施例3の酵素試薬を用いてコリン濃度を測定した結果を図8に示す。図8に示すように、酵素試薬によるコリン濃度の測定値とHPLC装置によるコリン濃度の測定値との間には高い相関があることが示された(R2=0.7221)。この結果から、血液由来試料に含まれるコリン濃度は、図1に示すような分析装置を用いても、実施例3の酵素試薬と同等の精度で測定できることが示された。したがって、図1に示すような分析装置を用いて血液由来試料に含まれるコリン濃度を測定し、測定したコリン濃度を指標として単純性脂肪肝及びNASHの診断、NASHの進行度についての診断、更には肝生検や各種検査にて脂肪性肝炎の診断が確定した患者に対してNASH或いはASHの診断を正確に行えることが実証された。
本発明により、コリンが脂肪性肝炎の血清診断マーカーとして有用であることが明らかとなった。従って、コリンを血清診断マーカーとして、脂肪性肝炎の診断やこれらの疾患に対する治療効果の判定をすることができる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (46)

  1. 被験者から採取した血液由来試料に含まれるコリン濃度を測定する工程と、当該コリン濃度に基づいて脂肪性肝疾患への罹患、前記疾患の重症度又は前記疾患に対する治療効果を判定するためのデータを収集する工程とを含む、脂肪性肝疾患への罹患、前記疾患の重症度又は前記疾患に対する治療効果を判定するためのデータを収集する方法。
  2. 前記血液由来試料は血清試料であり、前記コリン濃度は血清中の遊離コリン濃度であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 前記コリン濃度は、高速液体クロマトグラフィーによって測定される、液体クロマトグラフィー-質量分析法により測定される、ガスクロマトグラフィー質量分析法によって測定される、コリンエステラーゼを含む酵素試薬によって測定される、化学的にコリンと反応する試薬によって測定される、電気泳動法により測定される、核磁気共鳴法により測定される、超遠心分離法により測定される、紫外線による分光法により測定される、又は電位差を計測する方法により測定されることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  4. 前記判定するためのデータを収集する工程では、前記コリン濃度に基づいて健常群又は脂肪性肝疾患に分類するためのデータを収集することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  5. 前記判定するためのデータを収集する工程では、前記コリン濃度に基づいて前記被験者における脂肪性肝疾患の進行度を判定するためのデータを収集することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  6. 前記脂肪性肝疾患の進行度は、非アルコール性単純性脂肪肝を認める1型、非アルコール性脂肪性肝炎を認める2型、非アルコール性脂肪性肝壊死を認める3型、及びマロリー体(Mallory Body)ないしは線維化を伴う肝細胞壊死を認める4型で定義されることを特徴とする請求の範囲第5項記載の方法。
  7. 前記判定するためのデータを収集する工程では、非アルコール性脂肪性肝炎に分類された前記被験者を、前記コリン濃度に基づいて非アルコール性脂肪性肝炎の進行度について更に分類するためのデータを収集することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  8. 前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における線維化分類のステージ1〜4で定義されることを特徴とする請求の範囲第7項記載の方法。
  9. 前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における壊死・炎症グレード1〜3で定義されることを特徴とする請求の範囲第7項記載の方法。
  10. 前記判定するためのデータを収集する工程では、前記コリン濃度に基づいて前記被験者を、健常群、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性単純性脂肪肝又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類するためのデータを収集することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  11. 前記判定するためのデータを収集する工程では、脂肪性肝炎が疑われる前記被験者を、前記コリン濃度に基づいてアルコール性脂肪性肝炎又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類するためのデータを収集することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  12. 被験者から採取した血液由来試料に含まれるコリン濃度を測定する測定手段と、前記測定手段で測定したコリン濃度を入力する入力手段と、前記入力手段で入力したコリン濃度に基づいて脂肪性肝疾患への罹患、前記疾患の重症度又は前記疾患に対する治療効果を判定する演算手段とを備える脂肪性肝疾患の診断装置。
  13. 前記血液由来試料は血清試料であり、前記測定手段では、血清中の遊離コリン濃度を測定することを特徴とする請求の範囲第12項記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
  14. 前記測定手段は、高速液体クロマトグラフィー装置、液体クロマトグラフィー-質量分析装置、ガスクロマトグラフィー質量分析装置、コリンエステラーゼを含む酵素試薬反応装置、化学的にコリンと反応する試薬を含む化学的試薬反応装置、電気泳動装置、核磁気共鳴装置、超遠心分離装置、紫外線による分光測定装置、又は電位差計測装置であることを特徴とする請求の範囲第12項記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
  15. 前記演算手段は、前記コリン濃度に基づいて健常群又は脂肪性肝疾患に分類することを特徴とする請求の範囲第12項記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
  16. 前記演算手段は、前記コリン濃度に基づいて前記被験者における脂肪性肝疾患の進行度を判定することを特徴とする請求の範囲第12項記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
  17. 前記脂肪性肝疾患の進行度は、非アルコール性単純性脂肪肝を認める1型、非アルコール性脂肪性肝炎を認める2型、非アルコール性脂肪性肝壊死を認める3型、及びマロリー体(Mallory Body)ないしは線維化を伴う肝細胞壊死を認める4型で定義されることを特徴とする請求の範囲第16項記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
  18. 前記演算手段は、非アルコール性脂肪性肝炎に分類された前記被験者を、前記コリン濃度に基づいて非アルコール性脂肪性肝炎の進行度について更に分類することを特徴とする請求の範囲第12項記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
  19. 前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における線維化分類のステージ1〜4で定義されることを特徴とする請求の範囲第18項記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
  20. 前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における壊死・炎症グレード1〜3で定義されることを特徴とする請求の範囲第18項記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
  21. 前記演算手段は、前記コリン濃度に基づいて前記被験者を、健常群、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性単純性脂肪肝又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類することを特徴とする請求の範囲第12項記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
  22. 前記演算手段は、脂肪性肝炎が疑われる前記被験者を、前記コリン濃度に基づいてアルコール性脂肪性肝炎又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類することを特徴とする請求の範囲第12項記載の脂肪性肝疾患の診断装置。
  23. 入力手段及び演算手段を有するコンピュータに、被験者から採取した血液由来試料に含まれるコリン濃度を前記入力手段が入力するステップと、前記ステップで入力したコリン濃度に基づいて脂肪性肝疾患への罹患、前記疾患の重症度又は前記疾患に対する治療効果を前記演算手段が判定するステップとを実行させる脂肪性肝疾患の診断プログラム。
  24. 前記血液由来試料は血清試料であり、前記入力手段は、血清中の遊離コリン濃度を入力することを特徴とする請求の範囲第23項記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
  25. 前記入力手段は、高速液体クロマトグラフィー装置、液体クロマトグラフィー-質量分析装置、ガスクロマトグラフィー質量分析装置、コリンエステラーゼを含む酵素試薬反応装置、化学的にコリンと反応する試薬を含む化学的試薬反応装置、電気泳動装置、核磁気共鳴装置、超遠心分離装置、紫外線による分光測定装置、又は電位差計測装置から出力されたコリン濃度、又は当該装置で測定されたコリン濃度を記録した記録装置から出力されたコリン濃度を入力することを特徴とする請求の範囲第23項記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
  26. 前記演算手段は、前記コリン濃度に基づいて健常群又は脂肪性肝疾患に分類することを特徴とする請求の範囲第23項記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
  27. 前記演算手段は、前記コリン濃度に基づいて前記被験者における脂肪性肝疾患の進行度を判定することを特徴とする請求の範囲第23項記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
  28. 前記脂肪性肝疾患の進行度は、非アルコール性単純性脂肪肝を認める1型、非アルコール性脂肪性肝炎を認める2型、非アルコール性脂肪性肝壊死を認める3型、及びマロリー体(Mallory Body)ないしは線維化を伴う肝細胞壊死を認める4型で定義されることを特徴とする請求の範囲第27項記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
  29. 前記演算手段は、非アルコール性脂肪性肝炎に分類された前記被験者を、前記コリン濃度に基づいて非アルコール性脂肪性肝炎の進行度について更に分類することを特徴とする請求の範囲第23項記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
  30. 前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における線維化分類のステージ1〜4で定義されることを特徴とする請求の範囲第29項記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
  31. 前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における壊死・炎症グレード1〜3で定義されることを特徴とする請求の範囲第29項記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
  32. 前記演算手段は、前記コリン濃度に基づいて前記被験者を、健常群、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性単純性脂肪肝又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類することを特徴とする請求の範囲第23項記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
  33. 前記演算手段は、脂肪性肝炎が疑われる前記被験者を、前記コリン濃度に基づいてアルコール性脂肪性肝炎又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類することを特徴とする請求の範囲第23項記載の脂肪性肝疾患の診断プログラム。
  34. コリン成分を基質としてベタイン及び過酸化水素を生成するコリンオキシダーゼと、当該コリンオキシダーゼにより生成した過酸化水素を検出する検出試薬とを含む、脂肪性肝疾患の診断薬。
  35. 前記検出試薬は、ペルオキシダーゼとカップラーと水素供与体とを含むものであることを特徴とする請求の範囲第34項記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
  36. 脂肪性肝疾患の進行度を判定するものであることを特徴とする請求の範囲第34項記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
  37. 前記脂肪性肝疾患の進行度は、非アルコール性単純性脂肪肝を認める1型、非アルコール性脂肪性肝炎を認める2型、非アルコール性脂肪性肝壊死を認める3型、及びマロリー体(Mallory Body)ないしは線維化を伴う肝細胞壊死を認める4型で定義されることを特徴とする請求の範囲第36項記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
  38. 非アルコール性脂肪性肝炎に分類された被験者を、非アルコール性脂肪性肝炎の進行度について更に分類するものであることを特徴とする請求の範囲第34項記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
  39. 前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における線維化分類のステージ1〜4で定義されることを特徴とする請求の範囲第38項記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
  40. 前記進行度は、非アルコール性脂肪性肝炎における壊死・炎症グレード1〜3で定義されることを特徴とする請求の範囲第38項記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
  41. 健常群、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性単純性脂肪肝又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類するものであることを特徴とする請求の範囲第34項記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
  42. 脂肪性肝炎が疑われる被験者を、アルコール性脂肪性肝炎又は非アルコール性脂肪性肝炎に分類するものであることを特徴とする請求の範囲第34項記載の脂肪性肝疾患の診断薬。
  43. 供試物質を作用させる前後における血液由来試料に含まれるコリン濃度を比較する工程と、前記供試物質によりコリン濃度が有意に低下している場合には、脂肪性肝疾患の治療薬として同定する工程とを含む脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニング方法。
  44. 前記血液由来試料は血清試料であり、前記コリン濃度は血清中の遊離コリン濃度であることを特徴とする請求の範囲第43項記載の脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニング方法。
  45. 前記コリン濃度は、高速液体クロマトグラフィーによって測定される、液体クロマトグラフィー-質量分析法により測定される、ガスクロマトグラフィー質量分析法によって測定される、コリンエステラーゼを含む酵素試薬によって測定される、化学的にコリンと反応する試薬によって測定される、電気泳動法により測定される、核磁気共鳴法により測定される、超遠心分離法により測定される、紫外線による分光法により測定される、又は電位差を計測する方法により測定されることを特徴とする請求の範囲第43項記載の脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニング方法。
  46. 前記治療薬は、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性単純性脂肪肝、アルコール性単純性脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎及びアルコール性脂肪性肝炎からなる群から選ばれる少なくとも1種の脂肪性肝疾患に対する治療薬であることを特徴とする請求の範囲第43項記載の脂肪性肝疾患用治療薬のスクリーニング方法。
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