JP5298642B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡粒子および型内発泡成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子および型内発泡成形体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子に関する。詳しくは、緩衝包装材、通函、断熱材、自動車のバンパー芯材などに用いられるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の製造に好適に使用し得るポリプロピレン系発泡粒子およびそれからなる型内発泡成形体に関する。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、水蒸気で加熱成形して得られる型内発泡成形体は、型内発泡成形体の長所である形状の任意性、軽量性、断熱性などの特徴を持つ。また同様の合成樹脂発泡粒子を用いる型内発泡成形体と比較すると、ポリスチレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体に比べて、耐薬品性、耐熱性、圧縮後の歪回復率(力学特性)に優れており、またポリエチレン系樹脂発泡粒子を用いる型内発泡成形体と比べて、寸法精度、耐熱性、圧縮強度が優れている。これらの特徴により、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体は、断熱材、緩衝包装材、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材など様々な用途に用いられている。
使用者の目に触れる場所に使用される一般緩衝包材、自動車内装部材、通い箱と言った用途に使用される型内発泡成形体は、表面性が重要視されるものが多い。これらの用途では、型内発泡成形体に通常求められる剛性、軽量性、断熱性などの物性に加え、良好な表面性が求められる。型内発泡成形体は、発泡粒子同士を融着させ型内発泡成形体とするため、型内発泡成形体の発泡粒子同士間に隙間が発生したり、もしくは型内発泡成形体表面に細かい皺が見られたりすることがあり、外観を重視する製品にはこれらを嫌うものも多い。発泡粒子間の隙間を目立たなくさせるためには、一般に型内発泡成形時に予め発泡粒子内の空気圧を大気圧以上に加圧し、及び/または、成形機の加熱蒸気圧力を高くし、発泡粒子の膨張力を高めて発泡粒子同士の隙間がなくなるようにして融着を促進させるなどの方法が採られるが、このような方法を用いると、隙間はなくなるものの、逆に型内発泡成形体表面に細かい皺が発生する傾向がある。型内発泡成形体の「表面粒子隙間」と「表面小皺」は一般的には相反する関係にあると考えられる。
従来の発泡粒子では両方のバランスにより加熱条件を定め成形してきたが、このような成形温度幅は狭く、成形機や金型を変更する毎に条件を調査して最適条件を定める煩雑さがあった。また、金型によっては蒸気の通り易い部位や通りにくい部位が存在するため実際には金型内での温度を均質化することが困難で、型内発泡成形体の特定の部位に「表面粒子隙間」や「表面小皺」が発生するという問題があり、幅広い成形温度で「表面粒子隙間」と「表面小皺」が存在しない型内発泡成形体が望まれていた。
また、昨今のエネルギー消費による二酸化炭素排出削減要望や、成形加工コスト減という意味での蒸気ユーティリティーコスト減、成形サイクル減の要望から、なるべく低温の蒸気で成形可能である発泡粒子が望まれている。また、高温蒸気での成形が必要な場合、耐圧仕様の高い成形機や金型を用いる必要が生じ、設備コストが高くなるといった問題もあるため、やはり低温蒸気での成形が望まれている。
ポリプロピレン系樹脂の発泡粒子の表面膜に関する検討としては、特許文献1〜2にポリプロピレン系樹脂発泡粒子表皮部のセル膜厚を発泡粒子内部のセル膜厚よりも2〜4倍以上厚くすることで、型内発泡成形体の繰り返し圧縮強度が向上することや、自己膨張能が付与されることが記載されている。成形に関しては、殆どが3.2〜3.3kgf/cm(ゲージ圧)の比較的高温蒸気でのみの成形結果が開示されているものの皺に関しての言及はなく、また成形温度幅に関する記載はない。
特開昭58−61128号公報 特開平2−14225号公報
本発明の目的は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、水蒸気で加熱成形して型内発泡成形体とする際に、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の融着が低温であっても比較的良好であり、成形温度幅が広く、また、得られた型内発泡成形体表面の発泡粒子同士の隙間が少なく、かつ、型内発泡成形体に皺が少ない、表面性の優れた型内発泡成形体を得ることができるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を提供することにある。
上述の問題に対して、本発明者らが鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂の高倍率の型内発泡成形体を得ようとするときの表面性について、発泡粒子表層に存在する薄膜セルのセル径や薄膜セルの占有面積、内部平均セル径(以下、平均セル径と呼ぶ)が関係していることがわかった。
すなわち、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の型内発泡成形は、加熱によりポリプロピレン系樹脂を軟化させた状態で行うものであるが、ポリプロピレン系樹脂が結晶性ポリマーであるため、結晶と非晶混在した状態、半溶融状態での発泡、すなわちセル膜の膨張延伸をさせるものであるが、平均セル径が小さすぎるとセル膜全体に延伸歪が発生し、発泡時に収縮力が働きやすい。成形時に加熱不足の場合は、粒子隙間を埋めることは出来ず、加熱過剰の場合でも、成形時にセル膜に歪が生じやすく養生工程や経時により緩和され発泡粒子間の間隙が生じる場合がある。
また、薄膜セル部分は、成形加熱時に軟化して伸びやすく、限界まで伸びて永久歪となり、その薄膜セルのセル径が大きかったり、占有面積が大きいと、型内発泡成形体全体でみると発泡粒子のセルがだぶついたり薄膜セルを欠陥として型内発泡成形体の構造体としての強度が弱まり、皺などの発生に繋がりやすい。
以上のことから、型内発泡成形体の表面性の悪化を生じさせないためには、表面性に関係する、発泡粒子の表面セル膜について、成形時のセル膜延伸時にセル膜に延伸される余力があり(厚膜であり)、抵抗無くよく伸び、且つセル膜が比較的均一であり、また、低い成形圧で成形するためには低融点のポリプロピレン系樹脂を使用する必要があることが分かり、本発明の完成にいたった。本発明は、特開昭58−61128号公報、特開平2−14225号公報に記載されるような発泡粒子の表皮部(表面部)と内部のセル膜厚の比は関係せず、表皮部(表面部)に存在する薄膜の分布状態を特定の状態に制御することにより幅広い成形温度で美麗な発泡成形体を得る点で技術的に異なるものである。
即ち、本発明の第1は、融点が125℃以上160℃以下、170℃での溶融粘度が7500poise以上12000poise以下、170℃での溶融張力が0.5g以上1.8g以下であるポリプロピレン系樹脂を発泡させて得られる、真倍率が20倍以上40倍以下のポリプロピレン系樹脂発泡粒子において、該発泡粒子の内部平均セル径が150μm以上1000μm以下であり、表面薄膜セルの最大セル径が500μm以下であり、且つ、表面薄膜セルのポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面における面積占有率が0%以上40%以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子に関する。
本発明の第2は、前記記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を、型内に充填して加熱し、粒子相互を融着せしめて得られる、発泡倍率が30〜50倍のポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体に関する。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、比較的低圧の加熱成形圧であっても融着性が良好であり、また、広い成形温度において得られた型内発泡成形体の表面の粒子間隙や皺が少なく、表面性に優れる型内発泡成形体が得られる。
本発明に基材樹脂として使用するポリプロピレン系樹脂は、モノマーとしてプロピレンが50mol%以上含まれる樹脂である。プロピレン以外に使用し得るモノマー成分としては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数2または4〜12のα−オレフィン、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが挙げられる。これらのうち、エチレン、1−ブテンを使用することが耐寒脆性向上、安価等という点で好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂は融点が125℃以上160℃以下である。好ましくは、125℃以上150℃以下である。ここで言う融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、ポリプロピレン系樹脂粒子5〜6mgを10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温する事により樹脂粒子を融解し、その後10℃/minで220℃から40℃まで降温することにより結晶化させた後に、さらに10℃/minで40℃から220℃まで昇温したときに、2回目の昇温時に得られるDSC曲線における融解ピーク温度である。融点が160℃より高い場合、低い加熱成形圧では、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子間の融着が不十分となる。融点が125℃より低い場合、用途によっては耐熱性に劣る場合がある。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子に使用されるポリプロピレン系樹脂の170℃での溶融粘度は、好ましくは7500poise以上12000poise以下である。更に好ましくは、8000poise以上12000poise以下である。本発明において融点はDSC曲線により得られた融解ピークの温度としているが、実際は融点よりも低温、高温の結晶成分も存在する「分布」を示している。その為、ポリプロピレン系樹脂にとって170℃という温度は、溶融延伸加工が可能であるが若干結晶の融け残りが存在しているような温度であり、そのときの溶融粘度はポリプロピレン系樹脂発泡粒子製造中や型内発泡成形中の半溶融時の粘度、樹脂の粘り強さを間接的に反映している。溶融粘度が7500poise未満の場合、発泡時の樹脂の粘り強さが不足し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の独立気泡率が低くなり成形困難となったり、型内発泡成形の際に成形体形状を保てず変形し、養生しても変形時の皺が残る場合がある。溶融粘度が12000poiseを超えては、半溶融時の樹脂に粘りがありすぎて高倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子が得られにくい場合がある。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子に使用されるポリプロピレン系樹脂の170℃での溶融張力は、好ましくは0.5g以上1.8g以下である。更に好ましくは、0.5g以上1.6g以下である。溶融張力が0.5g未満の場合、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子作製の際に気泡を保持する力が不足し、破泡しやすく、独立気泡を保つことが困難となる場合がある。溶融張力が1.8gを越えては、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子作製時や発泡成形時にポリプロピレン系樹脂発泡粒子のセル膜に無理な延伸がかかりやすくなり、その結果、セル膜に潜在歪みが発生する傾向がある。これにより発泡直後の収縮や養生時の加熱による収縮がおき、型内発泡成形体の粒子間隙が開いて表面性が悪化したり、寸法精度が悪化したり、養生回復に長時間かかる場合がある。
本発明の溶融粘度および溶融張力の測定は、直径1mmφ×ランド長10mmのダイスを使用して170℃、剪断速度122sec−1にて押出を実施し、引取速度6m/min、ダイス先端と溶融張力測定用の滑車の接点距離は35cmの条件下で測定したときの値である。このとき周囲の雰囲気は25℃の湿度50%である。溶融張力はチャート上で振幅をもっているが、本発明では振幅の中央値を溶融張力とする。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の内部平均セル径や表面薄膜セルを特定の性状とするためには、ポリプロピレン系樹脂が、半溶融時に適度な強度を持ちつつ且つ延伸に対して抵抗がない、潜在歪みを発生しにくいことが重要な要件のひとつである。このような樹脂としては高分子間の絡み合いが少ない方が好ましいが、溶融張力が適切な範囲にあれば高分子量成分や長鎖分岐、部分架橋がポリプロピレン系樹脂に存在をしていても構わない。この特性はポリプロピレン系樹脂の重合時の条件によって一意的に決まる場合もあれば、意図的に制御することも可能である。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は半溶融時に適度な粘度、強度を持ちつつ且つ延伸に対して抵抗がない、潜在歪みを発生しにくく、発泡粒子表面のセルの不均一さが少ないことが重要になる。このような発泡粒子としては、使用するポリプロピレン系樹脂自体の溶融特性や、成形時の発泡粒子膨張時に伸びる余力がある厚みを、内部セル膜厚みに関係なく、発泡粒子表層部がある程度有していれば可能となる。ポリプロピレン系共重合体樹脂の溶融特性は、本来重合時の分子量分布や組成分布により決定されると考えられるが、溶融張力調整剤により意図的に制御することも可能である。また本発明の発泡粒子の表面や内部のセル構造は、上述した溶融粘度、溶融張力を持つ樹脂において発現されやすいがこれに限った物ではない。また、本発明の発泡粒子の表面や内部のセル構造は発泡セル形成剤や発泡剤の種類、添加量、発泡圧力などによって調整することができる。
意図的にポリプロピレン系樹脂の溶融粘度、溶融張力を制御する方法としては、溶融張力調整剤を使用する方法がある。溶融張力調整剤としては、有機過酸化物やポリプロピレン系オリゴマーがある。具体的には、ポリプロピレン系樹脂を有機過酸化物で分解させ溶融張力を低下させる方法や、ポリプロピレン系オリゴマーをポリプロピレン系樹脂に添加することにより溶融張力を低下させる方法が挙げられる。
一例として、ポリプロピレン系樹脂を有機過酸化物で分解させるには、一般に押出機内で加熱溶融したポリプロピレン系樹脂に有機過酸化物を添加することによって行われる。有機過酸化物の使用量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.001〜0.1重量部の範囲が好適である。市販のポリプロピレン系樹脂にも分子量分布の狭いものは、この方法で分子量分布を調整したものがあり、レオロジーコントロールあるいはビスブレーキングと呼ばれている。狭い分子量分布のポリプロピレン系樹脂は、高分子量成分が少ないため、発泡時、つまり半溶融延伸時に分子間の絡まりが少なく、溶融張力は適度な値となる。過酸化物処理の際、使用するポリプロピレン系樹脂の分子量を適宜選択し、170℃での溶融粘度が7500poise以上12000poise以下の範囲になるようにすることがこのましい。使用する有機過酸化物としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル2,5ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等が挙げられる。
以上のようなポリプロピレン系樹脂を用いて、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を作製するが、ポリプロピレン系樹脂に発泡セル形成剤を添加することが好ましい。発泡剤として、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の揮発性発泡剤を使用する場合は、発泡セル形成剤としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム等の無機造核剤を、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部以上0.1重量部以下添加することが好ましい。発泡剤として、空気、窒素、二酸化炭素、水等の無機発泡剤を使用する場合は、上記無機造核剤および/または吸水物質を使用することが好ましい。
吸水物質としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硼砂、硼酸亜鉛等の水溶性無機物、メラミン(化学名1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)、アンメリン(同1,3,5−トリアジン−2−ヒドロキシ−4,6−ジアミン)、アンメリド(同1,3,5−トリアジン−2,4−ヒドロキシ−6−アミン)、シアヌル酸(同1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオール)、イソシアヌル酸(同1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン)、アセトグアナミン(同1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン−6−メチル)、ベンゾグアナミン(同1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン−6−フェニル)、トリス(メチル)イソシアヌレート、トリス(エチル)イソシアヌレート、トリス(ブチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、メラミン・イソシアヌル酸縮合物等のトリアジン骨格を有する化合物、ポリエチレングリコール、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、ブタジエン(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、カルボキシル化ニトリルゴムのアルカリ金属塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩等の親水性ポリマーが挙げられる。水溶性無機物を使用する場合、その添加量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.01重量部以上1重量部以下であることが好ましい。トリアジン骨格を有する化合物を使用する場合、その添加量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.001重量部以上1重量部以下であることが好ましい。親水性ポリマーを使用する場合、その添加量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.1重量部以上5重量部以下であることが好ましい。これら、水溶性無機物、トリアジン骨格を有する化合物、親水性ポリマーは2種以上を併用してもよい。
これらの発泡セル形成剤の添加量が不適切な場合、発泡粒子の内部平均セル径や表面薄膜セルのセル径や占有率が本発明の範囲外になることがある。
そのほかに必要に応じて、溶融張力調整剤、造核剤、吸水剤、界面活性剤型もしくは高分子型の帯電防止剤、顔料、難燃性改良材、導電性改良材等をポリプロピレン系樹脂に使用することができ、添加方法としては、通常、ポリプロピレン系樹脂粒子の製造過程において溶融した樹脂中に添加することが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、通常、発泡に利用されやすいようにあらかじめ押出機、ニーダー、バンバリミキサー、ロール等を用いて溶融加工し、円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状等のような所望の形状のポリプロピレン系樹脂粒子とすることが出来る。ポリプロピレン系樹脂粒子の製造は、通常、所望の添加剤をポリプロピレン系樹脂にドライブレンドやマスターバッチブレンドにより添加して、押出機内で溶融混練したあと、押出機先端のダイスからストランド状に押出、水槽などで十分に冷却されたストランドをカットして粒子状に加工する方法や、ダイスから樹脂を直接水中に吐出しながら、粒子状にカットするアンダーウオーターカット方式等の方法が採られる。該押出機としては単軸押出機、二軸押出機などが使用される。加工の際の樹脂温度はポリプロピレン系樹脂の融点+30℃以上、250℃以下が好ましい。250℃を超えるとポリプロピレン系樹脂が分解劣化する場合がある。ポリプロピレン系樹脂の融点+30℃未満の樹脂温度では十分に混練されない場合や、押出機に過大な負荷がかかることがある。
作製されたポリプロピレン系樹脂粒子は再加熱、特に発泡の際に、押出機流れ方向に対して収縮変形することがあり、収縮変形後の発泡粒子形状によっては成形時の金型へ充填が悪くなるため、加熱収縮を予測して、適宜ポリプロピレン系樹脂粒子の長さや厚みといった形状を調整することが好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂粒子の平均粒重量は、好ましくは0.5〜3.0mg、より好ましくは0.5〜2.0mg、更に好ましくは0.5〜1.5mgである。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、上述のポリプロピレン系樹脂粒子を後述の条件により発泡させることで得られる。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂粒子、発泡剤、水、分散剤、分散助剤を含んでなる分散液を耐圧容器内に入れて、所定の温度まで加熱し、加圧下のもと、分散液を耐圧容器内よりも低圧雰囲気下に放出して得られるものである。具体的には、ポリプロピレン系樹脂粒子を、発泡剤、水、分散剤、分散助剤と共に耐圧容器内で分散させ、分散液を、好ましくはポリプロピレン系樹脂の融点−25℃以上、融点+25℃以下の範囲、更に好ましくは融点−10℃以上、融点+10℃以下の範囲の温度に加熱するとともに発泡剤を含浸させ、容器内の温度、圧力を一定に保持しながら、加圧下で、分散液を容器内よりも低圧雰囲気下に放出することによりポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子製造時に使用する耐圧容器には特に制限はなく、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよく、例えばオートクレーブ型の耐圧容器があげられる。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造するに当たり、使用する発泡剤に特に制限はなく、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の揮発性発泡剤;空気、窒素、二酸化炭素、水等の無機発泡剤が例示でき、これらは単独でも2種以上を併用しても使用することが出来る。発泡剤の使用量は、目的とする発泡倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得るために異なるが、通常、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して5重量部以上100重量部以下であることが好ましい。5重量部未満では所望の発泡倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子が得られない場合があり、100重量部を超えると、ポリプロピレン系樹脂への発泡剤の溶解の飽和量以上になり、溶解しない発泡剤が無駄になる場合がある。また、適切な発泡剤の量でない場合に、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均セル径が細かくなったりする場合がある。
本発明で使用することが出来る分散剤としては、例えば、第三リン酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、塩基性炭酸亜鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、アルミノ珪酸塩、硫酸バリウム、カオリン等の無機系分散剤が挙げられ、これらを単独或いは複数を併用して使用することができる。
本発明で使用することが出来る分散助剤としては、例えば、アルキルスルホン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、n−パラフィンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダ等が挙げられ、これらを単独或いは複数を併用して使用することができる。分散剤と分散助剤の組み合わせは、発泡剤などによって適宜選択することができる。
分散剤や分散助剤の使用量は、その種類や、用いるポリプロピレン系樹脂の種類と使用量によって異なるが、通常、水100重量部に対して分散剤0.2重量部以上3重量部以下、分散助剤0.001重量部以上0.1重量部以下であることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂粒子は、水中での分散性を良好なものにするために、通常、水100重量部に対して20重量部以上100重量部以下使用するのが好ましい。
以上の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の真倍率は、20倍以上40倍以下であり、さらに好ましくは25倍以上35倍以下である。真倍率が20倍未満のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を使用すると目的とする発泡倍率の型内発泡成形体が得られない。真倍率が40倍より大きい場合は型内発泡成形の際に成形体が収縮・変形しやすくなり、所望の形状が得られない。
なお、本発明において、ポリプロピレン系樹脂粒子、発泡剤、水、分散剤、分散助剤を含んでなる分散液を耐圧容器内に入れて、所定の温度まで加熱し、加圧下のもと、分散液を耐圧容器内よりも低圧雰囲気下に放出して発泡させることを「一段発泡」と称し、一段発泡で得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を「一段発泡粒子」と称す場合がある。
一段発泡で発泡倍率が所望の発泡倍率に満たない一段発泡粒子が得られた場合でも、該一段発泡粒子を密閉容器内に入れて窒素、空気などを含浸させる加圧処理により一段発泡粒子内の圧力を常圧よりも高くした後、該一段発泡粒子をスチーム等で加熱して更に発泡させることにより、発泡倍率20倍以上40倍以下のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。
ここで一段発泡粒子をさらに発泡させることを「二段発泡」と称し、二段発泡で得られた発泡粒子を「二段発泡粒子」と称す場合がある。
二段発泡を行う場合、一段発泡粒子の好ましい発泡倍率は、5倍以上である。一段発泡粒子の倍率が5倍未満の場合は二段発泡を行っても目的の倍率に到達しない場合や、発泡倍率バラツキが大きくなる場合があり、品質が不良になることがある。
二段発泡させる際の一段発泡粒子内の圧力は、0.20〜0.70MPaが好ましく、特に0.3〜0.55MPaが好ましい。一段発泡粒子内の圧力が0.20MPa未満の場合、二段発泡の効果が少なく殆ど倍率が増加しない場合があり、0.70MPa以上の場合、発泡倍率バラツキが大きくなることがある。
本発明においてポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、特に断りのない限り、型内発泡成形に供する直前のものをいい、例えば、二段発泡を行った場合は、二段発泡粒子をいう。
ここでポリプロピレン系樹脂発泡粒子の真倍率は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の重量w(g)およびエタノール水没体積v(cm)を求め、発泡前のポリプロピレン系樹脂粒子の密度d(g/cm)から次式により求めたものである。
真倍率=d×v/w
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の内部平均セル径は150μm以上1000μm以下であり、好ましくは200μm以上500μm以下である。内部平均セル径が150μm未満の場合、セル膜は薄く引き延ばされて延伸が大きくかかっており、型内発泡成形時の収縮・変形、表面性の悪化の原因になる。また1000μmを超えては内部平均セル径のバラツキが大きくなり、皺の原因となる500μmより大きいセル径を有する表面薄膜セルが増加し、型内発泡成形体の外観が不良となる。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の内部平均セル径が当該範囲のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得るには、ポリプロピレン系樹脂中の添加剤や発泡剤の種類、使用量、発泡圧力を適宜調整することで得られる。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の内部平均セル径は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のほぼ直径を含むような切断面を顕微鏡により観察、撮影し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のほぼ中央を通る直線を引き、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面との2カ所の交点の距離(L)と該直線が貫通している気泡数(n)より以下のように求める。
内部平均セル径=L/n
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の表面薄膜セルの最大セル径は500μm以下であり、好ましくは350μm以下である。表面薄膜セル径の最大セル径が500μm以上の場合、型内発泡成形体にシワが発生しやすくなり好ましくない。
本発明において、表面薄膜セルのポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面における面積占有率は0%以上40%以下である。好ましくは0%以上30%以下である。表面薄膜セルの発泡粒子表面の面積占有率が40%より大きい場合、型内発泡成形体にシワが発生する。
表面薄膜セルの状態が当該範囲のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得るには、ポリプロピレン系樹脂中の添加剤や発泡剤の種類や使用量、発泡圧力を適宜調整することで得られる。
表面薄膜セルのセル径および占有面積は低真空SEMによる観察で行う。低真空SEMでは反射電子により試料表面に分布する物質の密度の違いによるコントラストが得られるため、厚膜で密度の高い部分は白く、薄膜で密度の低い部分は黒く観察される。本発明で使用される低真空SEMの観察条件では、膜厚が数μ以下の薄い部分が黒く見える。これを表面薄膜セルと定義する。薄膜セルの最大セル径は低真空SEM画像で黒く見える部分の最長直径を言う。また、薄膜セルの占有面積は表面画像全体面積に対する黒色部分の面積の比率である。図1にイメージ図を、図2〜図4に実施例・比較例の低真空SEM観察図をしめしている。
具体的には、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を、ほぼ中心を含むように2分割し、蒸着などの処理をせずに発泡粒子の表面部分全体が画面内に入るように立体像モードで観察する。測定装置として、日立計測器製、SEMEDX TypeNを使用した場合、観察条件は、真空度30Pa、加速電圧15kV、エミッション電流約30μA、対物可動絞り3、入力信号BSE2、観察倍率30倍、3Dモード観察にて行う。得られた発泡粒子表面観察像より薄膜セルの状態を観察し、薄膜セル最長径の測定、及び薄膜セルの面積占有率を決める。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、示差走査熱量計(DSC)で測定したとき、DSC曲線において、低温側と高温側に2つの融解ピークを有し、DSC高温側融解ピーク熱量比(以下、単にDSCピーク比と称す場合がある)が10〜50%の範囲にあることが好ましい。DSCピーク比の測定方法は、試料3〜6mgを40℃〜220℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線において、低温側ピークと低温側ピークと高温側ピークの間の極大点からの融解開始ベースラインへの接線で囲まれる熱量である、低温側の融解ピーク熱量QLと、DSC曲線の高温側ピークと低温側ピークと高温側ピークの間の極大点からの融解終了ベースラインへの接線で囲まれる熱量である高温側融解ピーク熱量QHから、
DSCピーク比(%)=QH/(QH+QL)×100
として求められる。DSCピーク比が当該範囲であると、表面美麗性の高い型内発泡成形体が得られやすい。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形に用いる場合には、イ)そのまま用いる方法、ロ)あらかじめポリプロピレン系樹脂発泡粒子中に空気等の無機ガスを圧入し、発泡能を付与する方法、ハ)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を圧縮状態で金型内に充填し成形する方法、など従来既知の方法が使用しうる。
例えば、ロ)の方法を用いる場合、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子から型内発泡成形体を成形するには、あらかじめポリプロピレン系樹脂発泡粒子を耐圧容器内で空気加圧し、粒子中に空気を圧入することにより発泡力を付与し、これを閉鎖しうるが密閉し得ない成形型内に充填し、水蒸気などを加熱媒体として0.15MPa〜0.33MPa(ゲージ圧)程度の加熱水蒸気圧で3〜30秒程度の加熱時間で成形しポリプロピレン系樹脂発泡粒子同士を融着させ、このあと成形金型を水冷により型内発泡成形体取り出し後の型内発泡成形体の変形を抑制できる程度まで冷却した後、金型を開くことで、型内発泡成形体を得ることが出来る。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、融点が125℃以上160℃以下のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を使用しているため、場合によっては0.15MPa程度の加熱成形圧が低い場合でも成形が出来る点に特徴を有している。
融着は、カッターナイフ等で型内発泡成形体の厚み方向に約2mmの切り込みを入れた後、手で切り込み部から型内発泡成形体を破断し、破断面を観察して、破断面に対する、破壊されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子の割合で評価した。
本発明において、型内発泡成形によりポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得ることが出来る。得られた型内発泡成形体の発泡倍率は、好ましくは30〜50倍である。
型内発泡成形体の発泡倍率は、型内発泡成形体のエタノール水没体積(cm)を重量(g)で除して、発泡前の樹脂粒子の密度(g/cm)を乗じたものである。
以下、本発明を実施例、比較例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例、比較例で用いたポリプロピレン系樹脂を表1に、各種添加剤を表2に示した。また、各ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造条件を表3、発泡粒子の諸物性を表4に示した。
各種評価は以下の様に実施した。
<融点の測定>
セイコーインスツルメンツ(株)製のDSC6200型示差走査熱量計を用いて、ポリプロピレン系樹脂粒子5〜6mgを10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温する事によりポリプロピレン系樹脂粒子を融解し、その後10℃/minで220℃から40℃まで降温することにより結晶化させた後に、さらに10℃/minで40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線から、2回目の昇温時の融解ピーク温度を融点とした。
<ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の真倍率>
成形に使用したポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩体積約50cmの重量w(g)およびエタノール水没体積v(cm)を求め、発泡前の樹脂粒子の密度d(g/cm)から次式により求めた。
真倍率=d×v/w
使用した発泡粒子が二段発泡粒子である場合は一段発泡粒子の真倍率も記載した。
<内部平均セル径>
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子20個、それぞれのほぼ直径を含むような切断面を顕微鏡により観察、撮影し、各ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のほぼ中央を通る直線を引き、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面との2カ所の交点の距離(Li)と該直線が貫通している気泡数(ni)より以下のように求め、更に20個の相加平均とした。
セル径Ri=Li/ni
内部平均セル径=Riの20個の相加平均
<表面薄膜セルの最大セル径および表面薄膜セルの面積占有率>
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子20個について日立計測器製、SEMEDX TypeNを使用して低真空観察を実施した。発泡粒子のほぼ中央を通るように発泡粒子を切断し、発泡粒子表面部を観察面とし、蒸着などの処理を施さずに、ワーキングディスタンスが20になるように試料高さ調整し観察を行った。観察条件は、真空度30Pa、加速電圧15kV、エミッション電流約30μA、対物可動絞り3、入力信号BSE2、観察倍率30倍、3Dモード観察で行った。得られた発泡粒子表面観察像より薄膜セルの状態を観察し、薄膜セル最長径の測定、及び薄膜セルの面積占有率を目視により行い、面積占有率が20%以下を「◎」、20%よりおおきく40%以下を「○」、40%より大きい場合を「×」とした。
<発泡粒子DSCピーク比>
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を示差走査熱量計(DSC)で測定した。発泡粒子3〜6mgを40℃〜220℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線において、低温側ピークと低温側ピークと高温側ピークの間の極大点からの融解開始ベースラインへの接線で囲まれる熱量である、低温側の融解ピーク熱量QLと、DSC曲線の高温側ピークと低温側ピークと高温側ピークの間の極大点からの融解終了ベースラインへの接線で囲まれる熱量である高温側融解ピーク熱量QHから、
DSCピーク比(%)=QH/(QH+QL)×100
として求めた。
<対金型収縮率(収縮率)>
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子により、400×300×22mmの板状の型内発泡成形体を成形、冷却後金型から取り出し、25℃、50%rhに1時間放置した後、75℃で8時間養生した後、再度25℃、50%rhに12時間放置し、縦・横・厚み寸法を測定し金型寸法に対する収縮率を求めた。その後、縦・横・厚みの収縮率の平均を、平均収縮率とし、これを評価した。平均収縮率3.0%以下を○、3.0%より大きく4.0%以下を△、4.0%より大きい場合を×とした。平均収縮率が3.0%より大きくなると、型内発泡成形体の寸法精度が悪いとされており、実用上問題があるとされている。
<型内発泡成形体変形評価(変形)>
対金型収縮率を測定した板状の型内発泡成形体の外観を目視観察し、ヒケ(凹み)やヒケに由来すると思われるおおきな皺(1cm以上の筋)がほとんど無いものは○、僅かに皺があるがヒケがないものは△、皺が多く形状全体が波打っているものを×とした。
<成形体辺部伸び評価(伸び)>
成形体変形評価を実施した板状(直方体)の型内発泡成形体の12辺部を観察し、辺に発泡粒子が十分伸びなかったためにできた隙間個数と、発泡粒子形状がそのまま残って辺のエッジが出ていないことを観察して以下の判定とした。
隙間無し・・・◎
5個未満・・・○
5個以上10個以下・・・△
辺のエッジが出ていない・・・×
<成形体表面小皺評価(小皺)>
成形体変形評価を実施した板状の型内発泡成形体の表面を観察し小皺(1mm以上、10mm未満の筋)があるか無いかを観察した。
小皺なし・・・◎
小皺あり・・・×
<融着性評価(融着)>
表面性評価を実施した板状の型内発泡成形体を、カッターナイフで型内発泡成形体の厚み方向に約2mmの切り込みを入れた後、手で切り込み部から型内発泡成形体を破断し、破断面を観察して、破壊されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子の割合を求めて判定した。表5における成形蒸気圧1は融着率が60%に達した蒸気圧力を成形可能圧力下限として記載している。
<型内発泡成形体の発泡倍率>
融着性評価を実施した板状の型内発泡成形体より、嵩体積約50cmのブロックを切り出し、その重量W(g)およびエタノール水没体積V(cm)を求め、発泡前の樹脂粒子の密度d(g/cm)から次式により求める。
発泡倍率=d×V/W
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂として、エチレン−プロピレンランダム共重合体(K2)100重量部に溶融張力調整剤として有機過酸化物を使用して得られた融点137.2℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(K3)を使用し、セル造核剤として硼酸亜鉛0.1重量部をドライブレンドした後、50mm単軸押出機(大阪精機工作(株)製20VSE−50−28型)内で溶融混練した。溶融混練した樹脂を直径2mmの円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、ペレタイザーで切断し、一粒の重量が1.2mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部、水300重量部、分散剤としてカオリン(エンゲルハード社製ASP−170)0.8重量部、分散助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.02重量部を容量10Lの耐圧オートクレーブ中に仕込み、攪拌下、発泡剤として炭酸ガスを7重量部添加した。オートクレーブ内容物を昇温し、143℃の発泡温度まで加熱した後、さらに炭酸ガスを追加してオートクレーブ内圧を3.3MPa(ゲージ圧)とした。その後、30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、4.0mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の真倍率は14.5倍、DSCピーク比は23.9%であった。さらに、得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子に対して空気加圧処理を行い、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子内部の空気圧力を0.36MPaとし、0.12MPa(ゲージ圧)の蒸気により加熱膨張、二段発泡させ、真倍率約30倍のポリプロピレン系樹脂(二段)発泡粒子(K3C1)を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子(K3C1)は、ダイセン株式会社製ポリオレフィン発泡成形機KD−345を用い、縦300mm×横400mm×厚み22mmの金型に、あらかじめポリプロピレン系樹脂発泡粒子内部の空気圧力が0.20MPaになるように調整したポリプロピレン系樹脂発泡粒子(K3C1)を充填し、0.21MPa(ゲージ圧)及び0.24MPa(ゲージ圧)の水蒸気で厚み方向に5%圧縮して型内発泡成形させることにより、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。加熱成形時の水蒸気圧力は、融着率を目安に選定した。得られた型内発泡成形体は25℃×50%rhで1時間放置した後、75℃の恒温室内で8時間養生乾燥を行い、再び25℃×50%rhで1時間放置した後に各種評価、観察を実施した。型内発泡成形体の評価結果を表5に示す。
(実施例2〜11、比較例1〜5)
表2記載の樹脂種、添加剤配合、及び発泡粒子製造条件とし、二段発泡条件を適宜調整した以外は、実施例1と同様の方法にて、真倍率約30倍のポリプロピレン系樹脂(二段)発泡粒子(K3C2〜K1C11、K3C12〜K3C16)を得た。
これらのポリプロピレン系樹脂(二段)発泡粒子(K3C2〜K1C11、K3C12〜K3C16)に関して、加熱成形圧力0.21、0.24、0.27、0.30MPa(ゲージ圧)から融着率を目安に適宜選択して成形を実施し、実施例1と同様の方法にてポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。得られた型内発泡成形体は実施例1と同様の評価を行った。型内発泡成形体の評価結果を表5に示す。
(実施例12)
ポリプロピレン系樹脂として、表1記載の融点141.5℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(K1)を使用し、セル造核剤としてタルク0.1重量部をドライブレンドした後、50mm単軸押出機(大阪精機工作(株)製20VSE−50−28型)内で溶融混練した。溶融混練した樹脂を直径2mmの円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、ペレタイザーで切断し、一粒の重量が1.2mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部、水300重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム(太平化学産業社製)2重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.04重量部を容量4.5Lの耐圧オートクレーブ中に仕込み、攪拌下、発泡剤としてイソブタンを28重量部添加した。オートクレーブ内容物を昇温し、136.0℃の発泡温度まで加熱した。その後、30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、直径4.0mmの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子(K1B1)の発泡倍率は約30倍、セル径は290μm、DSCピーク比は23.5%であった。
得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子(K1B1)は、0.27、0.30MPa(ゲージ圧)の水蒸気で加熱成形させることにより、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。得られた型内発泡成形体は実施例1と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
実施例では、いずれも型内発泡成形体の対金型収縮率、型内発泡成形体変形、伸び、小皺、融着性とも良好であった。
比較例1〜4では、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率、内部平均セル径は本発明の範囲内であるが、表面薄膜セル率は範囲外であり、型内発泡成形体の金型収縮率、伸び、小皺のいずれか及び複数が不十分であった。比較例5は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の内部平均セル径、表面薄膜セル率ともに範囲外であり、型内発泡成形体の収縮率、伸び、小皺が不十分であった。成形蒸気圧力を変更しても品質バランスの良い型内発泡成形体は得られなかった。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内成形した型内発泡成形体は、高倍率で緩衝包装材用途等の変形や収縮しやすい形状においても変形が少なく、寸法安定性に優れており発泡粒子間の伸びが優れており、成形体表面に微細なシワがなく、表面性が美麗である。且つ、比較的低圧の水蒸気圧で成型可能であり、工業的に経済的に製造することができる。
発泡粒子表面薄膜セル部分についてのイメージを表した図である。 実施例1のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の断面を低真空SEMで観察したの断面写真である。黒い部分が表面薄膜セルである。 実施例6のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の断面を低真空SEMで観察したの断面写真である。黒い部分が表面薄膜セルである。

Claims (2)

  1. 融点が125℃以上160℃以下、170℃での溶融粘度が7500poise以上12000poise以下、170℃での溶融張力が0.5g以上1.8g以下であるポリプロピレン系樹脂を発泡させて得られる、真倍率が20倍以上40倍以下のポリプロピレン系樹脂発泡粒子において、該発泡粒子の内部平均セル径が150μm以上1000μm以下であり、表面薄膜セルの最大セル径が500μm以下であり、且つ、表面薄膜セルのポリプロピレン系樹脂発泡粒子表面における面積占有率が0%以上40%以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  2. 請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を、型内に充填して加熱し、粒子相互を融着せしめて得られる、発泡倍率が30〜50倍のポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体。
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