以下に添付図面を参照して、本発明にかかる定着装置、画像形成装置および加熱制御方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、または実質的に同一のものが含まれる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明にかかる第1の実施の形態の画像形成装置100の構成を示す図である。第1の実施の形態の画像形成装置100は、同図に示すように、画像を読み取るためのスキャナ部10と、スキャナ部10で読み取った画像についての所定の処理を施し、処理を施した後の画像に応じたトナー像を転写紙に転写するエンジン部20と、転写紙を格納するための給紙トレイ30と、エンジン部20で転写紙に転写されたトナー像を定着させるための定着装置50とから構成されている。
スキャナ部10では、原稿をスキャン露光することで、原稿にかかる文書情報を画像信号に変換し、当該画像信号をエンジン部20に出力する。
スキャナ部10から画像信号が出力されると、エンジン部20では、スキャナ部20から出力された画像信号に対して、色変換、階調補正などの画像処理を施す。そして、エンジン部20では、画像処理を施した画像に応じて静電潜像を像担持体(図示なし)に作像し、作像した静電潜像にトナーを付着してトナー像を形成し、形成したトナー像を給紙トレイ30から搬送路40を介して搬送された転写紙に転写し、当該転写紙を定着装置50に向けて送り出す。
トナー像が転写された転写紙がエンジン部20から搬送路40を介して定着装置50に送り出されると、定着装置50では、円筒状の定着ローラ51による熱と加圧ローラ52による圧力により、転写紙に転写されているトナー像を定着させ、排紙トレイ(図示なし)に向けて排紙する。
図2は、第1の実施の形態の定着装置50の構成を示す図である。第1の実施の形態の定着装置50は、同図に示すように、メインヒータ51aとサブヒータ51bを内蔵する定着ローラ51と、交流電圧を供給する交流電源53と、交流電源53から供給される交流電圧をメインヒータ51aに通電するメインヒータドライバ54と、交流電源53から供給される交流電圧をサブヒータ51bに通電するサブヒータドライバ55と、メインヒータドライバ54およびサブヒータドライバ55によるヒータへの通電状態を制御するCPU56と、CPU56で実行するための各種プログラムや各種データを格納する外部メモリ57と、交流電源53から供給される交流電圧の信号が0Vを交差するタイミングを検知するゼロクロス検知部58とから構成されている。
定着ローラ51は、同図に示すように、メインヒータ51aとサブヒータ51bとから構成され、メインヒータドライバ54およびサブヒータドライバ55と、交流電源53とに接続されている。定着ローラ51は、エンジン部20から搬送された転写紙上に転写されているトナー像を熱で溶かし、転写紙の繊維の中に埋め込み定着させる。
加熱手段としてのメインヒータ51aとサブヒータ51bは、交流電源53から供給される交流電圧に応じて発熱することにより、定着ローラ51を加熱する。メインヒータ51aとサブヒータ51bは、メインヒータドライバ54とサブヒータドライバ55がそれぞれON状態となって交流電源53に接続されることにより、発熱する。なお、特に区別する必要がない場合は、以下、メインヒータ51aとサブヒータ51bを「ヒータ」と称する。
交流電源53は、定着ローラ51とゼロクロス検知部58とに接続されており、ヒータに対して、交流電圧を供給する。
加熱制御手段としてのメインヒータドライバ54は、CPU56による制御により、交流電源53から供給される交流電圧をメインヒータ51aに通電する。サブヒータドライバ55は、CPU56による制御により、交流電源53から供給される交流電圧をサブヒータドライバ51bに通電する。なお、特に区別する必要がない場合は、以下、メインヒータドライバ54とサブヒータドライバ55を「ドライバ」と称する。
加熱制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)56は、外部メモリ57内部のレジスタに設定されている各パラメータに基づいて、交流電圧の各半波期間におけるオン幅を算出し、算出したオン幅に基づいて、ドライバの通電状態を制御する。また、CPU56は、ゼロクロス検知部58により検知されるゼロクロスに基づいて、ドライバの通電開始時を制御する。ヒータは、オン幅で供給される交流電力により加熱される。
ここで、ヒータが完全に消灯している状態とは、各半波期間におけるオン幅が0(ゼロ)であり、ヒータに交流電力が全く供給されていない状態をいい、その期間を完全消灯期間という。また、ヒータがフル点灯している状態とは、オン幅が各半波期間と同じであり、ヒータに交流電力が常時供給されている状態をいい、その期間をフル点灯期間という。
さらに、ヒータを完全に消灯されている状態から徐々に点灯し、最終的にフル点灯にすることを「ソフトスタート」と称する。その期間(ソフトスタート期間)では、各半波期間ごとに決定されたオン幅で、ヒータに交流電力が供給されており、すなわち、位相制御が行われている。また、ヒ−タをフル点灯の状態から徐々に消灯し、最終的に完全消灯にすることを「ソフトストップ」と称する。その期間(ソフトストップ期間)では、各半波期間ごとに決定されたオン幅で、ヒータに交流電力が供給されており、すなわち、位相制御が行われている。そして、ヒータは、完全消灯−ソフトスタート−フル点灯−ソフトストップ−完全消灯のサイクルを繰り返し、定着ローラ51の温度の微調整を行っている。
記憶手段としての外部メモリ57は、各パラメータを設定するレジスタを格納する。
ゼロクロス検知部58は、交流電源53から供給される交流電圧の信号が0Vを交差するタイミング(以下「ゼロクロス」)を検知した場合に、ゼロクロス検知信号をCPU56に出力する。
ここで、第1の実施の形態の外部メモリ57内部のレジスタに設定される各パラメータについて、図3を参照して説明する。図3は、第1の実施の形態の外部メモリ57のレジスタ設定値を示す図である。
第1の実施の形態の外部メモリ57には、同図に示すように、電源周波数Fpと電源半波Th、デューティステップDs、および、ステップ回数Nsが設定されている。なお、各パラメータの設定値は、同図に示すものに限定されるものではない。そして、各パラメータの設定値は、画像形成装置100の納入先ごとに容易に変更することが可能であり、また、画像形成装置100の納品後にも容易に変更することが可能である。
電源周波数Fpは、交流電源53から供給される交流電圧の周波数を規定するものである。なお、本実施の形態では、同図に示すように、電源周波数Fpの設定値は50Hzである。電源半波Thは、交流電源53から供給される交流電圧の半波の周期を規定するものである。なお、本実施の形態では、同図に示すように、電源半波Thの設定値は10msである。通常、電源周波数Fpおよび電源半波Thは、画像形成装置100が起動時に測定した値が格納される。
デューティステップDsは、オン幅の増加量を規定するものである。なお、本実施の形態では、同図に示すように、デューティステップDsの設定値は5%である。
ステップ回数Nsは、デューティステップDsを加える半波期間の回数を規定するものである。なお、本実施の形態では、同図に示すように、ステップ回数Nsの設定値は5回である。
なお、CPU56は、ソフトスタート期間およびソフトストップ期間のいずれの期間においても、外部メモリ57内部のレジスタに設定されている上記パラメータを用いて、各半波期間におけるオン幅を算出する。
以上の構成において、第1の実施の形態にかかるパラメータに応じた位相制御方法について説明する。初めに、ヒータのソフトスタート期間での位相制御方法について説明する。図4は、ヒータのソフトスタート期間での位相制御方法を示すフローチャートである。
初めに、CPU56は、完全消灯しているヒータに対して、ソフトスタートの開始を決定すると、外部メモリ57のレジスタの1つのレジスタ値(レジスタ値aとする)を0(ゼロ)とする(ステップS401)。次に、CPU56は、オン幅を算出する(ステップS402)。なお、オン幅は、(デューティステップDs)×(レジスタ値a)により求められる。そして、ソフトスタート開始後の最初の半波期間に対して、算出したオン幅で、ヒータへの通電状態を制御する(ステップS403)。
次に、CPU56は、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じか否かを判断する(ステップS404)。CPU56が、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じであると判断した場合(ステップS404:Yes)、ソフトスタートを終了し、フル点灯へ移行する。CPU56が、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じではないと判断した場合(ステップS404:No)、レジスタ値aに1を足す(ステップS405)。そして、ステップS402へ戻り、半波期間ごとに以下の処理が繰り返される。
次に、ヒータのソフトストップ期間での位相制御方法について説明する。図5は、ヒータのソフトストップ期間での位相制御方法を示すフローチャートである。
初めに、CPU56は、フル点灯しているヒータに対して、ソフトストップの開始を決定すると、外部メモリ57のレジスタの1つのレジスタ値(レジスタ値aとする)をステップ回数Nsとする(ステップS501)。次に、CPU56は、オン幅を算出する(ステップS502)。なお、オン幅は、(デューティステップDs)×(レジスタ値a)により求められる。そして、ソフトストップ開始後の最初の半波期間に対して、算出したオン幅で、ヒータへの通電状態を制御する(ステップS503)。
次に、CPU56は、レジスタ値aが0(ゼロ)か否かを判断する(ステップS504)。CPU56が、レジスタ値aが0(ゼロ)であると判断した場合(ステップS504:Yes)、ソフトストップを終了し、完全消灯へ移行する。CPU56が、レジスタ値aが0(ゼロ)ではないと判断した場合(ステップS504:No)、レジスタ値aから1を引く(ステップS605)。そして、ステップS502へ戻り、半波期間ごとに以下の処理が繰り返される。
図6は、第1の実施の形態のパラメータに基づいて行われる位相制御の波形を示す図である。
まず、CPU56は、ソフトスタート期間(t0〜t6)の最初の半波期間(t0〜t1)におけるオン幅の割合を0%として、ヒータへの通電状態を制御する(t0〜t1)。
ついで、CPU56は、デューティステップDsを加えた値をオン幅として算出し、算出したオン幅(5%)に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t1〜t2)。
CPU56は、t1〜t2間における制御方法に従って、ステップ回数Nsの設定値(5回)に達するまで、各半波期間におけるオン幅を算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t2〜t6)。CPU56は、ソフトスタート期間の最後の半波期間におけるオン幅(25%)を外部メモリ57内部に記録しておく。
なお、CPU56は、ソフトスタート期間において、ゼロクロス検知部58により検知されたゼロクロス時に、ドライバでの通電が開始するように制御する。
ソフトスタート期間を終えると、ヒータがフル点灯を行うフル点灯期間(t6〜t7)へと移行する。フル点灯期間において、各半波期間に占めるオン幅の割合は100%である。
そして、フル点灯期間を終えると、ソフトストップ期間(t7〜t13)へ移行される。CPU56は、外部メモリ57内部に記録しておいた、ソフトスタート期間の最後の半波期間におけるオン幅の割合(25%)、または、デューティステップDs(5%)とステップ回数(5回)の積算値により求められるオン幅の割合(25%)を、ソフトストップ期間の最初の半波期間におけるオン幅として、ヒータへの通電状態を制御する(t7〜t8)。
ついで、CPU56は、最初の半波期間(t7〜t8)におけるオン幅にデューティステップDsを引いた値(20%)に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t8〜t9)。
CPU56は、t8〜t9間における制御方法に従って、ステップ回数Nsの設定値(5回)に達するまで、各半波期間におけるオン幅を算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t9〜t13)。
ソフトストップ期間を終えると、ヒータが完全に消灯する。完全消灯期間において、各半波期間に占めるオン幅の割合は0%である。
なお、第1の実施の形態では、ソフトスタート期間の最初の半波期間におけるオン幅を0%としたが、これに限定されるものではなく、例えば、デューティステップDsを、ソフトスタート期間の最初の半波期間におけるオン幅としてもよい。
また、第1の実施の形態では、ソフトスタート期間の各半波期間におけるオン幅とソフトストップ期間の各半波期間におけるオン幅を算出するために、共通のパラメータを用いているが、各期間に固有のパラメータをそれぞれ外部メモリ57内部のレジスタに設定しておき、ソフトストップ期間に固有のパラメータに基づいて、ソフトストップ期間の各半波期間におけるオン幅をCPU56により算出する構成としてもよい。
以上説明したように、第1の実施の形態の定着装置50によれば、オン幅を算出するためのパラメータとして、デューティステップDsおよびステップ回数Nsを外部メモリ57のレジスタに設定しておき、当該パラメータに基づいて、ソフトスタート期間およびソフトストップ期間の各半波期間におけるオン幅を算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御することとしたので、オン幅を算出するためのレジスタ規模を減らしつつ、交流電力の位相制御を実行できる。
また、第1の実施の形態の定着装置50によれば、ソフトスタート期間において、交流電源53の交流電圧のゼロクロスをゼロクロス検知部58により検知した場合に、ヒータへの通電を開始するようにCPU56により制御することとしたので、ヒータへの突入電流による交流電源53の電圧変動や、ヒータの故障を防止することができる。また、ソフトスタート期間からフル点灯期間への移行の際に、ヒータの消滅期間を設けることができ、ソフトスタート期間からフル点灯期間への移行を滑らかにすることができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明にかかる第2の実施の形態の画像形成装置100について説明する。なお、第2の実施の形態の説明においては、上述した第1の実施の形態の画像形成装置100の説明と重複する説明を省略する場合がある。
第1の実施の形態では、ソフトストップ期間において、ゼロクロス検知部58により検知されたゼロクロス時に、ヒータへの通電を開始している。図7は、第1の実施の形態においてフル点灯期間からソフトストップ期間への移行状態を示す図である。第1の実施の形態では、図7に示すように、フル点灯期間からソフトストップ期間へ移行する際、ソフトストップ期間の開始時の最初の半波期間においてもオン幅(25%)分だけヒータの点灯が継続して行われてしまうという問題がある。
これに対して、第2の実施の形態では、フル点灯期間からソフトストップ期間へ移行する際、ソフトストップ期間の開始時の最初の半波期間ヒーターへの通電を停止し、その後、ヒータへの通電を行うように制御している。
第2の実施の形態の外部メモリ57内部のレジスタに設定されている各パラメータについて、図8を参照して説明する。図8は、第2の実施の形態の外部メモリ57のレジスタ設定値を示す図である。
第2の実施の形態の外部メモリ57には、同図に示すように、電源周波数Fpと電源半波Th、デューティステップDs、ステップ回数Ns、および、半波OFFが設定されている。
半波OFFは、ソフトストップ期間の開始時の最初の半波期間に、ヒーターへの通電を開始するかどうかを規定するものである。半波OFFに1が設定されている場合(フラグがたっている場合)、CPU56はソフトストップ期間の開始時の最初の半波期間、ヒーターへの通電を停止する。半波OFFに0(ゼロ)が設定されている場合(フラグがたっていない場合)、CPU56はソフトストップ期間の開始時の最初の半波期間からヒーターへの通電を開始する。
以上の構成において、第2の実施の形態にかかるパラメータに応じた位相制御方法について説明する。ヒータのソフトストップ期間での位相制御方法について説明する。図9は、ヒータのソフトストップ期間での位相制御方法を示すフローチャートである。
初めに、CPU56は、フル点灯しているヒータに対して、ソフトストップの開始を決定すると、外部メモリ57の半波オフのレジスタにフラグがたっているか否かを判断する(ステップS901)。CPU56が、外部メモリ57の半波オフのレジスタにフラグがたっていると判断した場合(ステップS901:Yes)、CPU56は、ソフトストップ開始後の最初の半波期間、ヒーターへの通電を停止する(ステップS902)。そして、ステップS903へ進む。CPU56が、外部メモリ57の半波オフのレジスタにフラグがたっていないと判断した場合(ステップS901:No)、そのままステップS903へ進む。
ステップS903で、CPU56は、外部メモリ57のレジスタの1つのレジスタ値(レジスタ値aとする)をステップ回数Nsとする。次に、CPU56は、オン幅を算出する(ステップS904)。なお、オン幅は、(デューティステップDs)×(レジスタ値a)により求められる。そして、半波期間に対して、算出したオン幅で、ヒータへの通電状態を制御する(ステップS905)。
次に、CPU56は、レジスタ値aが0(ゼロ)か否かを判断する(ステップS906)。CPU56が、レジスタ値aが0(ゼロ)であると判断した場合(ステップS906:Yes)、ソフトストップを終了し、完全消灯へ移行する。CPU56が、レジスタ値aが0(ゼロ)ではないと判断した場合(ステップS906:No)、レジスタ値aから1を引く(ステップS907)。そして、ステップS904へ戻り、半波期間ごとに以下の処理が繰り返される。
図10は、第2の実施の形態におけるフル点灯期間からソフトストップ期間への移行状態を示す図である。図をみると、フル点灯期間からソフトストップ期間へ移行する際、ソフトストップ期間の開始時の最初の半波期間はヒータへの通電が行われず、次の半波期間でオン幅(25%)分ヒータの点灯が行われ、以後は通常のソフトストップが行われていることがわかる。
以上説明したように、第1の実施の形態の定着装置50によれば、ソフトストップ期間開始後の最初の半波期間はヒータへの通電を行わず、その後ヒータへの通電を開始するようにCPU56により制御することとしたので、フル点灯期間からソフトストップ期間への移行の際に、ヒータの消灯期間を設けることができ、ソフトストップ期間の位相制御を滑らかに開始することができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明にかかる第3の実施の形態の画像形成装置100について説明する。なお、第3の実施の形態の説明においては、上述した第1〜第2の実施の形態の画像形成装置100の説明と重複する説明を省略する場合がある。
第1の実施の形態では、オン幅を算出するためのパラメータとして、デューティステップDsとステップ回数Nsを外部メモリ57内部のレジスタに設定しておき、当該パラメータに基づいて、オン幅を算出した。
これに対して、第2の実施の形態では、オン幅を算出するためのパラメータとして、デューティステップDs、リピート回数Nr、および、ステップ回数Nsをレジスタに設定し、当該パラメータに基づいて、オン幅を算出する。
図11は、第3の実施の形態の外部メモリ57のレジスタ設定値を示す図である。第2の実施の形態の外部メモリ57には、同図に示すように、電源周波数Fp、電源半波Th、デューティステップDs、リピート回数Nr、および、ステップ回数Nsが設定されている。
リピート回数Nrは、算出したオン幅と同じオン幅の半波期間の繰り返し数を規定したものである。
以上の構成において、第3の実施の形態にかかるパラメータに応じた位相制御方法について説明する。ここでは、ヒータのソフトスタート期間での位相制御方法について説明する。図12は、ヒータのソフトスタート期間での位相制御方法を示すフローチャートである。
初めに、CPU56は、完全消灯しているヒータに対して、ソフトスタートの開始を決定すると、外部メモリ57のレジスタの1つのレジスタ値(レジスタ値aとする)を0(ゼロ)とする(ステップS1201)。次に、CPU56は、外部メモリ57のレジスタのさらに1つのレジスタ値(レジスタ値bとする)をリピート回数Nrとする(ステップS1202)。次に、CPU56は、オン幅を算出する(ステップS1203)。なお、オン幅は、(デューティステップDs)×(レジスタ値a)により求められる。そして、ソフトスタート開始後の最初の半波期間に対して、算出したオン幅で、ヒータへの通電状態を制御する(ステップS1204)。
次に、CPU56は、レジスタ値bから1を引き(ステップS1205)、1を引いた後のレジスタ値bが0(ゼロ)か否かを判断する(ステップS1206)。CPU56が、レジスタ値bが0(ゼロ)ではないと判断した場合(ステップS1206:No)、ステップS1204へ戻り、半波期間ごとに以下の処理が繰り返される。
CPU56が、レジスタ値bが0(ゼロ)であると判断した場合(ステップS1206:Yes)、CPU56は、さらに、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じか否かを判断する(ステップS1207)。CPU56が、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じであると判断した場合(ステップS1207:Yes)、ソフトスタートを終了し、フル点灯へ移行する。CPU56が、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じではないと判断した場合(ステップS1207:No)、レジスタ値aに1を足す(ステップS1208)。そして、ステップS1202へ戻り、半波期間ごとに以下の処理が繰り返される。
図13は、第3の実施の形態のパラメータに基づいて行われる位相制御の波形を示す図である。なお、図11に示すように、デューティステップDsの設定値は5%であるものとし、リピート回数Nrの設定値は1回であるものとし、ステップ回数Nsの設定値は5回であるものとする。
まず、CPU56は、デューティステップDsを、ソフトスタート期間(t0〜t10)の最初の半波期間におけるオン幅(0%)として、ヒータへの通電状態を制御する(t0〜t1)。CPU56は、t0〜t1間と同様の動作を、リピート回数分、実行する(t1〜t2)。
ついで、CPU56は、デューティステップDsを加えた値をオン幅として算出し、算出したオン幅(5%)に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t2〜t3)。CPU56は、t2〜t3間と同様の動作を、リピート回数分、実行する(t3〜t4)。
ついで、CPU56は、ステップ回数Nsの設定値(5回)に達するまで、デューティステップDsずつ加えた値をオン幅として算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御し、さらに、それぞれリピート回数Nr分、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t4〜t12)。
なお、ソフトストップ期間における位相制御方法については、第1の実施の形態の方法と同様であるため、ここではその説明を省略する。
また、第3の実施の形態では、ソフトスタート期間の最初の半波期間におけるオン幅を0%としたが、これに限定されるものではなく、例えば、デューティステップDsを、ソフトスタート期間の最初の半波期間におけるオン幅としてもよい。
以上説明したように、第3の実施の形態の定着装置50によれば、オン幅を算出するためのパラメータとして、デューティステップDs、リピート回数Nr、および、ステップ回数Nsを外部メモリ57のレジスタに設定しておき、当該パラメータに基づいて、ソフトスタート期間およびソフトスタート期間の各半波期間におけるオン幅を算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御することとしたので、オン幅を算出するためのレジスタ規模を減らしつつ、自由度の高い位相制御を実行できる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明にかかる第4の実施の形態の画像形成装置100について説明する。なお、第4の実施の形態の説明においては、上述した第1〜第3の実施の形態の画像形成装置100の説明と重複する説明を省略する場合がある。
第1の実施の形態では、オン幅を算出するためのパラメータとして、デューティステップDsとステップ回数Nsを外部メモリ57内部のレジスタに設定しておき、当該パラメータに基づいて、オン幅を算出した。
これに対して、第4の実施の形態では、オン幅を算出するためのパラメータとして、ファーストデューティDf、デューティステップDs、および、ステップ回数Nsをレジスタに設定し、当該パラメータに基づいて、オン幅を算出する。
図14は、第4の実施の形態の外部メモリ57のレジスタ設定値を示す図である。第4の実施の形態の外部メモリ57には、パラメータとして、同図に示すように、電源周波数Fp、電源半波Th、ファーストデューティDf、デューティステップDs、および、ステップ回数Nsが設定されている。
ファーストデューティDfは、ソフトスタート期間の最初の半波期間におけるオン幅を規定するものである。
以上の構成において、第4の実施の形態にかかるパラメータに応じた位相制御方法について説明する。ここでは、ヒータのソフトスタート期間での位相制御方法について説明する。図15は、ヒータのソフトスタート期間での位相制御方法を示すフローチャートである。
初めに、CPU56は、完全消灯しているヒータに対して、ソフトスタートの開始を決定すると、外部メモリ57のレジスタの1つのレジスタ値(レジスタ値aとする)を0(ゼロ)とする(ステップS1501)。次に、CPU56は、オン幅を算出する(ステップS1502)。なお、オン幅は、(ファーストデューティDf)+(デューティステップDs)×(レジスタ値a)により求められる。そして、ソフトスタート開始後の最初の半波期間に対して、算出したオン幅で、ヒータへの通電状態を制御する(ステップS1503)。
次に、CPU56は、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じか否かを判断する(ステップS1504)。CPU56が、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じであると判断した場合(ステップS1504:Yes)、ソフトスタートを終了し、フル点灯へ移行する。CPU56が、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じではないと判断した場合(ステップS1504:No)、レジスタ値aに1を足す(ステップS1505)。そして、ステップS1502へ戻り、半波期間ごとに以下の処理が繰り返される。
図16は、第4の実施の形態のパラメータに基づいて行われる位相制御の波形を示す図である。なお、図14に示すように、ファーストデューティDfの設定値は14%であるものとし、デューティステップDsの設定値は2%であるものとし、また、ステップ回数Nsの設定値は4回であるものとする。
まず、CPU56は、ファーストデューティDfを、ソフトスタート期間(t0〜t5)の最初の半波期間(t0〜t1)におけるオン幅(14%)として、ヒータへの通電状態を制御する(t0〜t1)。
ついで、CPU56は、最初の半波期間におけるオン幅にデューティステップDsを加えた値をオン幅として算出し、算出したオン幅(16%)に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t1〜t2)。
CPU56は、t1〜t2間における制御方法に従って、ステップ回数Nsの設定値(4回)に達するまで、各半波期間におけるオン幅を算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t2〜t5)。
なお、ソフトスタート期間の最後の半波期間におけるオン幅は、前述したように以下の式より算出できる。
オン幅(%)=ファーストデューティDf+デューティステップDs×ステップ回数Ns
なお、ソフトストップ期間における位相制御方法については、説明を省略する。
以上説明したように、第4の実施の形態の定着装置50によれば、パラメータとして、ファーストディーティDf、デューティステップDs、および、ステップ回数Nsを外部メモリ57のレジスタに設定しておき、当該パラメータに基づいて、ソフト期間およびソフトスタート期間の各半波期間におけるオン幅を算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御することとしたので、オン幅を算出するためのレジスタ規模を減らしつつ、自由度の高い位相制御を実行できる。
また、第4の実施の形態の定着装置50によれば、ソフトスタート期間の最初の半波期間におけるオン幅を規定するファーストデューティDfをレジスタに設定し、当該設定されているファーストデューティDfに基づいて、当該最初の半波期間におけるオン幅を算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御することとしたので、ゼロクロスの検出精度が低いゼロクロス検知部58を用いてゼロクロスポイントがずれた場合であっても、最初の半波期間で一定のオン幅でヒータへの通電状態を制御することができるので、仕様通りのヒータ点灯を可能にすることができる。
(第5の実施の形態)
次に、本発明にかかる第5の実施の形態の画像形成装置100について説明する。なお、第5の実施の形態の説明においては、上述した第1〜第4の実施の形態の画像形成装置100の説明と重複する説明を省略する場合がある。
第4の実施の形態では、オン幅を算出するためのパラメータとして、ファーストデューティDf、デューティステップDs、および、ステップ回数Nsを外部メモリ57内部のレジスタに設定しておき、当該パラメータに基づいて、オン幅を算出した。
これに対して、第5の実施の形態では、オン幅を算出するためのパラメータとして、ファーストデューティDf、デューティステップDs、リピート回数Nr、および、ステップ回数Nsをレジスタに設定し、当該パラメータに基づいて、オン幅を算出する。
図17は、第5の実施の形態の外部メモリ57のレジスタ設定値を示す図である。第5の実施の形態の外部メモリ57には、パラメータとして、同図に示すように、電源周波数Fp、電源半波Th、ファーストデューティDf、デューティステップDs、リピート回数Nr、および、ステップ回数Nsが設定されている。
以上の構成において、第5の実施の形態にかかるパラメータに応じた位相制御方法について説明する。初めに、ヒータのソフトスタート期間での位相制御方法について説明する。図18は、ヒータのソフトスタート期間での位相制御方法を示すフローチャートである。
初めに、CPU56は、完全消灯しているヒータに対して、ソフトスタートの開始を決定すると、外部メモリ57のレジスタの1つのレジスタ値(レジスタ値aとする)を0(ゼロ)とする(ステップS1801)。次に、CPU56は、外部メモリ57のレジスタのさらに1つのレジスタ値(レジスタ値bとする)をリピート回数Nrとする(ステップS1802)。次に、CPU56は、オン幅を算出する(ステップS1803)。なお、オン幅は、(ファーストデューティDf)+(デューティステップDs)×(レジスタ値a)により求められる。そして、ソフトスタート開始後の最初の半波期間に対して、算出したオン幅で、ヒータへの通電状態を制御する(ステップS1804)。
次に、CPU56は、レジスタ値bから1を引き(ステップS1805)、1を引いた後のレジスタ値bが0(ゼロ)か否かを判断する(ステップS1806)。CPU56が、レジスタ値bが0(ゼロ)ではないと判断した場合(ステップS1806:No)、ステップS1804へ戻り、半波期間ごとに以下の処理が繰り返される。
CPU56が、レジスタ値bが0(ゼロ)であると判断した場合(ステップS1806:Yes)、CPU56は、さらに、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じか否かを判断する(ステップS1807)。CPU56が、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じであると判断した場合(ステップS1807:Yes)、ソフトスタートを終了し、フル点灯へ移行する。CPU56が、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じではないと判断した場合(ステップS1807:No)、レジスタ値aに1を足す(ステップS1808)。そして、ステップS1802へ戻り、半波期間ごとに以下の処理が繰り返される。
次に、ヒータのソフトストップ期間での位相制御方法について説明する。図19は、ヒータのソフトストップ期間での位相制御方法を示すフローチャートである。
初めに、CPU56は、フル点灯しているヒータに対して、ソフトストップの開始を決定すると、外部メモリ57のレジスタの1つのレジスタ値(レジスタ値aとする)をステップ回数Nsとする(ステップS1901)。次に、CPU56は、外部メモリ57のレジスタのさらに1つのレジスタ値(レジスタ値bとする)をリピート回数Nrとする(ステップS1902)。次に、CPU56は、オン幅を算出する(ステップS1903)。なお、オン幅は、(ファーストデューティDf)+(デューティステップDs)×(レジスタ値a)により求められる。そして、ソフトストップ開始後の最初の半波期間に対して、算出したオン幅で、ヒータへの通電状態を制御する(ステップS1904)。
次に、CPU56は、レジスタ値bから1を引き(ステップS1905)、1を引いた後のレジスタ値bが0(ゼロ)か否かを判断する(ステップS1906)。CPU56が、レジスタ値bが0(ゼロ)ではないと判断した場合(ステップS1906:No)、ステップS1904へ戻り、半波期間ごとに以下の処理が繰り返される。
CPU56が、レジスタ値bが0(ゼロ)であると判断した場合(ステップS1906:Yes)、CPU56は、さらに、レジスタ値aが0(ゼロ)か否かを判断する(ステップS1907)。CPU56が、レジスタ値aが0(ゼロ)であると判断した場合(ステップS1907:Yes)、ソフトストップを終了し、完全消灯へ移行する。CPU56が、レジスタ値aが0(ゼロ)ではないと判断した場合(ステップS1907:No)、レジスタ値aから1を引く(ステップS1908)。そして、ステップS1902へ戻り、半波期間ごとに以下の処理が繰り返される。
図20は、第5の実施の形態のパラメータに基づいて行われるソフトスタート期間での位相制御の波形を示す図であり、図21は、第5の実施の形態のパラメータに基づいて行われるソフトストップ期間での位相制御の波形を示す図である。なお、図17に示すように、ファーストデューティDfの設定値は14%であるものとし、デューティステップDsの設定値は2%であるものとする。また、リピート回数Nrの設定値は1回であるものとし、ステップ回数Nsの設定値は4回であるものとする。
まず、CPU56は、ファーストデューティDfを、ソフトスタート期間(t0〜t10)の最初の半波期間におけるオン幅として、ヒータへの通電状態を制御する(t0〜t1)。CPU56は、t0〜t1間と同様の動作を、リピート回数Nr分、実行する(t1〜t2)。
ついで、CPU56は、ステップ回数Nsの設定値(4回)に達するまで、デューティステップDsずつ加えた値をオン幅として算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御し、さらに、それぞれリピート回数Nr分、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t2〜t10)。CPU56は、ソフトスタート期間の最後の半波期間におけるオン幅(22%)を外部メモリ57内部に記録しておく。
なお、CPU56は、ソフトスタート期間において、ゼロクロス検知部58により検知されたゼロクロス時に、ドライバでの通電が開始するように制御する。
ソフトスタート期間を終えると、ヒータがフル点灯を行うフル点灯期間へと移行する。フル点灯期間において、各半波期間に占めるオン幅の割合は100%である。
そして、フル点灯期間を終えると、ソフトストップ期間(t11〜t21)へ移行される。CPU56は、外部メモリ57内部に記録しておいた、ソフトスタート期間の最後の半波期間におけるオン幅の割合(22%)、または、ファーストデューティDf(14%)と、デューティステップDs(2%)とステップ回数(8回)の積算値を合計することにより求められるオン幅の割合(22%)を、ソフトストップ期間の最初の半波期間におけるオン幅として、ヒータへの通電状態を制御する(t11〜t12)。CPU56は、t11〜t12間と同様の動作を、リピート回数Nr分、実行する(t12〜t13)。
ついで、CPU56は、ステップ回数Nsの設定値(4回)に達するまで、デューティステップDsずつ引いた値をオン幅として算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御し、さらに、それぞれリピート回数Nr分、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t3〜t21)。
ソフトストップ期間を終えると、ヒータが完全に消灯する。完全消灯期間において、各半波期間に占めるオン幅の割合は0%である。
以上説明したように、第5の実施の形態の定着装置50によれば、パラメータとして、ファーストディーティDf、デューティステップDs、リピート回数Nr、および、ステップ回数Nsを外部メモリ57のレジスタに設定しておき、当該パラメータに基づいて、ソフトスタート期間およびソフトストップ期間の各半波期間におけるオン幅を算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御することとしたので、オン幅を算出するためのレジスタ規模を減らしつつ、より自由度の高い位相制御を実行できる。
また、第5の実施の形態の定着装置50によれば、ソフトスタート期間の最初の半波期間におけるオン幅を規定するファーストデューティDfをレジスタに設定し、当該設定されているファーストデューティDfに基づいて、ソフトスタート期間の最初の半波期間におけるオン幅を算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御することとしたので、ゼロクロスの検出精度が低いゼロクロス検知部58を用いてゼロクロスポイントがずれた場合であっても、最初の半波期間で一定のオン幅でヒータへの通電状態を制御することができるので、仕様通りのヒータ点灯を可能にすることができる。
(第6の実施の形態)
次に、本発明にかかる第6の実施の形態の画像形成装置100について説明する。なお、第6の実施の形態の説明においては、上述した第1〜第5の実施の形態の画像形成装置100の説明と重複する説明を省略する場合がある。
第1の実施の形態では、オン幅を算出するためのパラメータとして、デューティステップDsとステップ回数Nsを外部メモリ57内部のレジスタに設定しておき、当該パラメータに基づいて、オン幅を算出した。
これに対して、第6の実施の形態では、オン幅を算出するためのパラメータとして、ファーストデューティDfとリピート回数Nrをレジスタに設定し、当該パラメータに基づいて、オン幅を算出する。
図22は、第6の実施の形態の外部メモリ57のレジスタ設定値を示す図である。第6の実施の形態の外部メモリ57には、パラメータとして、同図に示すように、電源周波数Fp、電源半波Th、ファーストデューティDf、および、リピート回数Nrが設定されている。
以上の構成において、第6の実施の形態のパラメータに応じた位相制御方法について、図23を参照して説明する。図23は、第6の実施の形態のパラメータに基づいて行われる位相制御の波形を示す図である。なお、図22に示すように、ファーストデューティDfの設定値は14%であるものとし、リピート回数Nrの設定値は7回であるものとする。
まず、CPU56は、ファーストデューティDfを、ソフトスタート期間(t0〜t8)の最初の半波期間におけるオン幅(14%)として、ヒータへの通電状態を制御する(t0〜t1)。
ついで、CPU56は、t0〜t1間と同様の動作を、リピート回数Nr分、実行する(t1〜t8)。
なお、ソフトストップ期間における位相制御方法については、説明を省略する。
以上説明したように、第6の実施の形態の定着装置50によれば、パラメータとして、ファーストデューティDfとリピート回数Nrを外部メモリ57のレジスタに設定しておき、当該パラメータに基づいて、ソフトスタート期間およびソフトストップ期間の各半波期間におけるオン幅を算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御することとしたので、オン幅を算出するためのレジスタ規模を減らしつつ、交流電圧の位相制御を実行できるとともに、ゼロクロスの検出精度が低いゼロクロス検知部58を用いてゼロクロスポイントがずれた場合であっても、最初の半波期間で一定のオン幅でヒータへの通電状態を制御することができるので、仕様通りのヒータ点灯を可能にすることができる。
(第7の実施の形態)
次に、本発明にかかる第7の実施の形態の画像形成装置100について説明する。なお、第7の実施の形態の説明においては、上述した第1〜第6の実施の形態の画像形成装置100の説明と重複する説明を省略する場合がある。
第1〜第6の実施の形態において、ソフトスタート期間またはソフトストップ期間(以下「位相制御期間」と称する)は、測定した電源周波数Fp、計算によって求められる電源半波Th、リピート回数Nr、ステップ回数Nsの設定値に基づいて定まるものである。
これに対して、第7の実施の形態では、位相制御期間を外部メモリ57内部のレジスタに設定し、当該設定されている期間内に位相制御を行う。
また、第1〜第6の実施の形態においては、算出したオン幅に基づいて、一律にヒータへの通電状態を制御する。
これに対して、第7の実施の形態では、半波期間におけるオン幅の閾値を規定するラストデューティDlをレジスタに設定しておき、算出したオン幅がラストデューティDlを超える場合に、ラストデューティDlに基づいて、ヒータへの通電状態を制御する。
位相制御期間やオン幅は、高調波電流やフリッカ(電圧変動)の発生に関係が深いため、位相制御期間やオン幅の上限を予め定めることができれば、高調波電流やフリッカの発生を抑制することが可能となる。
第7の実施の形態の外部メモリ57内部のレジスタに設定されている各パラメータについて、図24を参照して説明する。図24は、第7の実施の形態の外部メモリ57のレジスタ設定値を示す図である。
第7の実施の形態の外部メモリ57には、パラメータとして、同図に示すように、電源周波数Fp、電源半波Th、位相制御期間T、ラストデューティDl、デューティステップDs、ソフトスタート回数N、および、ステップ回数Nsが設定されている。
電源周波数Fpは、交流電源53から供給される交流電圧の周波数を規定するものである。また、電源半波Thは、交流電源から供給される交流電圧の半波の周期を規定するものである。
位相制御期間Tは、ソフトスタート期間またはソフトストップ期間を規定するものである。また、デューティステップDsは、オン幅の増加量を規定するものである。
ラストデューティDlは、半波期間におけるオン幅の閾値を規定するものである。CPU56は、算出したオン幅がラストデューティDlを超える場合に、ラストデューティDlに基づいて、ヒータへの通電状態を制御する。
ソフトスタート回数Nは、ソフトスタート期間においてソフトスタートを行う回数を規定するものである。ソフトスタート回数Nの値は、位相制御期間Tの設定値を電源半波Thの設定値で割ることにより求めることができる。なお、位相制御期間Tおよび電源半波Thをレジスタ設定することで、CPU56によりソフトスタート回数Nが算出され、算出された回数がソフトスタート回数Nとしてレジスタ設定される。
ステップ回数Nsは、デューティステップDsを加える半波期間の回数を規定するものである。なお、本実施の形態のステップ回数Nsは、ソフトスタート回数Nに基づいて、算出されるものである。本実施の形態では、各半波期間にデューティステップDsを加えるものとする。
以上の構成において、第7の実施の形態にかかるパラメータに応じた位相制御方法について説明する。ここでは、ヒータのソフトスタート期間での位相制御方法について説明する。図25は、ヒータのソフトスタート期間での位相制御方法を示すフローチャートである。
初めに、CPU56は、完全消灯しているヒータに対して、ソフトスタートの開始を決定すると、外部メモリ57のレジスタの1つのレジスタ値(レジスタ値aとする)を0(ゼロ)とする(ステップS2501)。次に、CPU56は、オン幅を算出する(ステップS2502)。なお、オン幅は、(デューティステップDs)×(レジスタ値a)により求められる。
次に、CPU56は、算出したオン幅がラストデューティDlの値より大きいか否かを判断する(ステップS2503)。CPU56が、算出したオン幅がラストデューティDlの値より大きいと判断した場合(ステップS2503:Yes)、CPU56は、オン幅をラストデューティDlの値に設定し(ステップS2504)、その後、半波期間に対して、ラストデューティDlの値に設定したオン幅で、ヒータへの通電状態を制御する(ステップS2505)。CPU56が、算出したオン幅がラストデューティDlの値より大きくないと判断した場合(ステップS2503:No)、CPU56は、そのまま半波期間に対して、算出したオン幅で、ヒータへの通電状態を制御する(ステップS2505)。
次に、CPU56は、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じか否かを判断する(ステップS2506)。CPU56が、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じであると判断した場合(ステップS2506:Yes)、ソフトスタートを終了し、フル点灯へ移行する。CPU56が、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じではないと判断した場合(ステップS2506:No)、レジスタ値aに1を足す(ステップS2507)。そして、ステップS2502へ戻り、半波期間ごとに以下の処理が繰り返される。
図26は、第7の実施の形態のパラメータに基づいて行われる位相制御の波形を示す図である。なお、図24に示すように、位相制御期間Tの設定値は100msであるものとし、ラストデューティDlの設定値は27%であるものとし、デューティステップDsの設定値は5%であるものとする。また、電源半波Thの設定値は10msであるものとする。
また、ソフトスタート回数Nの値は、位相制御期間Tの設定値および電源半波Thの設定値から、10回(位相制御期間(T:100ms)/電源半波(Th:10ms))と算出できる。また、ステップ回数Nsは、各半波期間にデューティステップDsを加えるものとすれば、9回(ソフトスタート回数(N:10回)−1回)と算出できる
まず、CPU56は、ソフトスタート期間(t0〜t10)の最初の半波期間(t0〜t1)におけるオン幅を0%として、ヒータへの通電状態を制御する(t0〜t1)。
ついで、CPU56は、最初の半波期間におけるオン幅にデューティステップDsを加えた値を算出し、算出したオン幅(5%)に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t1〜t2)。
ついで、CPU56は、t1〜t2間における制御方法に従って、最初の半波期間(t0〜t1)におけるオン幅(0%)にデューティステップDsずつ加えた値に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t2〜t6)。
CPU56は、算出したオン幅がラストデューティDlを超える場合には、ラストデューティDlに基づいて、ヒータへの通電状態を制御する。算出したt6〜t7間以降の半波期間における各オン幅は、ラストデューティDlを超える値となるので、CPU56は、ラストデューティDlをt6〜t7間以降の半波期間におけるオン幅として、ステップ回数Nsの設定値(9回)に達するまで、ヒータへの通電状態を制御する(t6〜t10)。
なお、ソフトストップ期間における位相制御方法については、説明を省略する。
また、第7の実施の形態では、位相制御期間Tおよび電源半波Thに基づいてソフトスタート回数Nを算出する構成としたが、ソフトスタート回数Nの値をレジスタ設定し、ソフトスタート回数Nおよび電源半波Thに基づいて位相制御期間Tを算出してレジスタ設定する構成であってもよい。
また、第7の実施の形態では、ステップ回数Nsの設定値に達するまで、オン幅を算出していく構成であるが、算出したオン幅がラストデューティDlを超えた時点で、ソフトスタート期間からフル点灯期間へ移行する構成であってもよい。
また、第7の実施の形態では、パラメータとして、電源周波数Fp、電源半波Th、位相制御期間T、ラストデューティDl、デューティステップDs、および、ソフトスタート回数Nがレジスタに設定されている構成としたが、ファーストデューティDlやリピート回数Nrをさらにレジスタ設定し、ファーストデューティDlやリピート回数Nrを含めたパラメータに基づいて、オン幅を算出する構成であってもよい。
以上説明したように、第7の実施の形態の定着装置50によれば、パラメータとして、位相制御を行う期間を規定する位相制御期間Tを外部メモリ57のレジスタに設定しておき、当該設定されている期間をソフトスタート期間またはソフトストップ期間として、ヒータへの通電状態を制御することとしたので、オン幅を算出するためのレジスタ規模を減らしつつ、交流電圧の位相制御を実行できるとともに、高調波電流やフリッカ発生の抑制を効率良く実現することができる。
また、第7の実施の形態の定着装置50によれば、パラメータとして、半波期間におけるオン幅の閾値を規定するラストデューティDlを外部メモリ57のレジスタに設定することとしたので、高調波電流やフリッカ発生の抑制に効果的なオン幅に基づいた位相制御を行うことができる。
また、第7の実施の形態の定着装置50によれば、パラメータとして、ラストデューティDlを外部メモリ57のレジスタに設定しておき、算出したオン幅が、ラストデューティDlを超える場合には、ラストデューティDlに基づいて、ヒータへの通電状態を制御することとしたので、高調波電流やフリッカの発生の抑制をより効率良く実現することができる。
(第8の実施の形態)
次に、本発明にかかる第8の実施の形態の画像形成装置100について説明する。なお、第8の実施の形態の説明においては、上述した第1〜第7の実施の形態の画像形成装置100の説明と重複する説明を省略する場合がある。
第7の実施の形態では、最初の半波期間におけるオン幅を0%として、ヒータへの通電状態を制御した。
これに対して、第8の実施の形態では、最初の半波期間におけるオン幅を規定するファーストデューティDfをレジスタ設定し、ファーストデューティDfを、最初の半波期間におけるオン幅として、ヒータへの通電状態を制御する。
図27は、第8の実施の形態の外部メモリ57のレジスタ設定値を示す図である。第8の実施の形態の外部メモリ57には、パラメータとして、同図に示すように、電源周波数Fp、電源半波Th、位相制御期間T、ラストデューティDl、ファーストデューティDf、デューティステップDs、ソフトスタート回数N、および、ステップ回数Nsが設定されている。
ファーストデューティDfは、ソフトスタート期間の最初の半波期間におけるオン幅を規定するものである。
以上の構成において、第8の実施の形態にかかるパラメータに応じた位相制御方法について説明する。ここでは、ヒータのソフトスタート期間での位相制御方法について説明する。図28は、ヒータのソフトスタート期間での位相制御方法を示すフローチャートである。
初めに、CPU56は、完全消灯しているヒータに対して、ソフトスタートの開始を決定すると、外部メモリ57のレジスタの1つのレジスタ値(レジスタ値aとする)を0(ゼロ)とする(ステップS2801)。次に、CPU56は、オン幅を算出する(ステップS2802)。なお、オン幅は、(ファーストデューティDf)+(デューティステップDs)×(レジスタ値a)により求められる。
次に、CPU56は、算出したオン幅がラストデューティDlの値より大きいか否かを判断する(ステップS2803)。CPU56が、算出したオン幅がラストデューティDlの値より大きいと判断した場合(ステップS2803:Yes)、CPU56は、オン幅をラストデューティDlの値に設定し(ステップS2804)、その後、半波期間に対して、ラストデューティDlの値に設定したオン幅で、ヒータへの通電状態を制御する(ステップS2805)。CPU56が、算出したオン幅がラストデューティDlの値より大きくないと判断した場合(ステップS2803:No)、CPU56は、そのまま半波期間に対して、算出したオン幅で、ヒータへの通電状態を制御する(ステップS2805)。
次に、CPU56は、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じか否かを判断する(ステップS2806)。CPU56が、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じであると判断した場合(ステップS2806:Yes)、ソフトスタートを終了し、フル点灯へ移行する。CPU56が、レジスタ値aと設定されたステップ回数Nsとが同じではないと判断した場合(ステップS2806:No)、レジスタ値aに1を足す(ステップS2807)。そして、ステップS2802へ戻り、半波期間ごとに以下の処理が繰り返される。
図29は、第8の実施の形態のパラメータに基づいて行われる位相制御の波形を示す図である。なお、図27に示すように、位相制御期間Tの設定値は100msであるものとし、ラストデューティDlの設定値は27%であるものとする。また、ファーストデューティDfの設定値は11%であるものとし、デューティステップDsの設定値は2%であるものとする。
なお、ソフトスタート回数Nは、第7の実施の形態で説明した算出方法により、10回と算出できる。また、ステップ回数Nsは、第7の実施の形態で説明した算出方法により、9回と算出できる。
まず、CPU56は、ファーストデューティDfを、ソフトスタート期間(t0〜t10)の最初の半波期間(t0〜t1)におけるオン幅(11%)として、ヒータへの通電状態を制御する(t0〜t1)。
ついで、CPU56は、最初の半波期間におけるオン幅にデューティステップDsを加えた値をオン幅として算出し、算出したオン幅(13%)に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t1〜t2)。
ついで、CPU56は、最初の半波期間(t0〜t1)におけるオン幅(11%)にデューティステップDsずつ加えた値をオン幅として算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t1〜t9)。
CPU56は、デューティステップDsを加えて算出したオン幅が、ラストデューティDlを超える場合には、ラストデューティDlに基づいて、ヒータへの通電状態を制御する。算出したt8〜t9間の半波期間におけるオン幅は、ラストデューティDlを超えるので、CPU56は、ラストデューティDlをt8〜t9間以降の半波期間におけるオン幅として、ステップ回数Nsの設定値(9回)に達するまで、ヒータへの通電状態を制御する(t8〜t10)。
なお、ソフトストップ期間における位相制御方法については、説明を省略する。
以上説明したように、第8の実施の形態の定着装置50によれば、パラメータとして、ソフトスタート期間の最初の半波期間におけるオン幅を規定するファーストデューティDfの設定値をレジスタに設定し、当該設定されているファーストデューティDfを最初の半波期間におけるオン幅として、ヒータへの通電状態を制御することとしたので、ゼロクロスの検出精度が低いゼロクロス検知部58を用いてゼロクロスポイントがずれた場合であっても、最初の半波期間で一定のオン幅でヒータへの通電状態を制御することができるので、仕様通りのヒータ点灯を可能にすることができる。
また、第8の実施の形態の定着装置50によれば、パラメータとして、位相制御を行う期間を規定する位相制御期間Tを外部メモリ57のレジスタに設定しておき、当該設定されている期間をソフトスタート期間またはソフトストップ期間として、ヒータへの通電状態を制御することとしたので、高調波電流やフリッカ発生の抑制を効率良く実現することができる。
(第9の実施の形態)
次に、本発明にかかる第9の実施の形態の画像形成装置100について説明する。なお、第9の実施の形態の説明においては、上述した第1〜第8の実施の形態の画像形成装置100の説明と重複する説明を省略する場合がある。
第7〜第8の実施の形態においては、パラメータとして、デューティステップDsを外部メモリ57内部のレジスタに設定しておき、デューティステップDsずつ加えた値をオン幅として算出した。
これに対して、第9の実施の形態では、各パラメータに基づいてデューティステップDsを算出し、算出したデューティステップDsずつ加えた値をオン幅として算出する。
第9の実施の形態の外部メモリ57内部のレジスタに設定されている各パラメータについて、図30を参照して説明する。図30は、第9の実施の形態の外部メモリ57のレジスタ設定値を示す図である。
第9の実施の形態の外部メモリ57には、パラメータとして、同図に示すように、電源周波数Fp、電源半波Th、位相制御期間T、ラストデューティDl、ファーストデューティDf、ソフトスタート回数N、および、ステップ回数Nsが設定されている。
デューティステップDsは、オン幅の増加量を規定するものである。なお、本実施の形態のデューティステップDsは、デューティステップDsを加えて算出されるオン幅が線形的になるようなオン幅の増加量であり、位相制御期間T、ラストデューティDl、および、ファーストデューティDfの各設定値に基づいて算出される。
デューティステップDsの算出式は、各半波期間におけるオン幅が線形的になるようなオン幅の増加量を算出することができれば、何でもよい。
例えば、図30に示すように、ラストデューティDlの設定値が22%であり、ファーストデューティDfの設定値が4%であり、ステップ回数が上記の方法により9回と算出できる場合、以下の式より、オン幅の増加量を2%と算出できる。
Ds={(Dl:22%)−(Df:4%)}/(Ds:9回)
以上の構成において、第9の実施の形態のパラメータに応じた位相制御方法について、図31を参照して説明する。図31は、第9の実施の形態のパラメータに基づいて行われる位相制御の波形を示す図である。なお、図30に示すように、位相制御期間Tの設定値は100msであるものとする。また、ラストデューティDlの設定値は22%であるものとし、また、ファーストデューティDfの設定値は4%であるものとする。
また、ステップ回数Nsの値は、第7の実施の形態で説明した算出方法より、9回であるものとする。また、デューティステップDsの算出値は、上記の算出方法により、2%であるものとする。
まず、CPU56は、ファーストデューティDfを、ソフトスタート期間(t0〜t10)の最初の半波期間(t0〜t1)におけるオン幅(4%)として、ヒータへの通電状態を制御する(t0〜t1)。
ついで、CPU56は、最初の半波期間におけるオン幅にデューティステップDsを加えた値をオン幅として算出し、算出したオン幅(6%)に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t1〜t2)。
CPU56は、t1〜t2間における制御方法に従って、ステップ回数Nsの設定値(9回)に達するまで、各半波期間におけるオン幅を算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御する(t2〜t10)。
なお、ソフトストップ期間における位相制御方法については、説明を省略する。
なお、第9の実施の形態において、ステップ回数Nsの閾値をレジスタ設定し、当該閾値を超えない範囲で、デューティステップDsを算出する構成としてもよい。ステップ回数Nsの閾値を設けることにより、デューティステップDsを加える半波期間の回数を制限でき、膨大な算出桁を不要とすることができる。
また、第9の実施の形態では、ラストデューティDl、ファーストデューティDf、および、ステップ回数Nsに基づいて、デューティステップDsを算出する構成であるが、リピート回数Nrを含めたパラメータに基づいて、デューティステップDsを算出する構成としてもよい。
以上説明したように、第9の実施の形態の定着装置50によれば、各パラメータに基づいて、ステップ回数Ns、および線形的なオン幅の増加量であるデューティステップDsを算出し、算出したデューティステップDsをステップ回数Ns分加えていった各値をオン幅として算出し、算出したオン幅に基づいて、ヒータへの通電状態を制御することとしたので、高調波電流やフリッカの発生の抑制を効率良く実現することができる。
(第10の実施の形態)
次に、本発明にかかる第10の実施の形態の画像形成装置100について説明する。なお、第10の実施の形態の説明においては、上述した第1〜第9の実施の形態の画像形成装置100の説明と重複する説明を省略する場合がある。
第1〜第9の実施の形態においては、CPU56は、ソフトスタート期間およびソフトストップ期間中、ゼロクロス検知部58により検知された交流電力の各半波期間のゼロクロス時に、ドライバでの通電(ヒータへの通電)を開始し、算出したオン幅が終了するとドライバでの通電(ヒータへの通電)を終了するように制御している。
これに対して、第10の実施の形態では、CPU56は、ソフトスタート期間およびソフトストップ期間中、ゼロクロス検知部58により検知された交流電力の各半波期間のゼロクロス時から一定の時間経過後に、ドライバでの通電(ヒータへの通電)を開始し、算出したオン幅が終了するとドライバでの通電(ヒータへの通電)を終了するように制御する。
第10の実施の形態の外部メモリ57内部のレジスタに設定されている各パラメータについて、図32を参照して説明する。図32は、第10の実施の形態の外部メモリ57のレジスタ設定値を示す図である。
第10の実施の形態の外部メモリ57には、同図に示すように、電源周波数Fpと電源半波Th、デューティステップDs、ステップ回数Ns、および、通電開始時間Tsが設定されている。
通電開始時間Tsは、ドライバでの通電開始を、ゼロクロス検知部58により検知されたゼロクロス時からどれだけ経過後に行うかを規定するものである。なお、本例では、電源半波Thが10ms、通電開始時間Tsが5msと設定されている。
図33は、第10の実施の形態のパラメータに基づいて行われるヒータのソフトスタート期間での位相制御の波形を示す図であり、図34は、第10の実施の形態のパラメータに基づいて行われるヒータのソフトストップ期間での位相制御の波形を示す図である。なお、いずれの場合もオン幅は25%である。図をみると、ソフトスタート期間およびソフトストップ期間のいずれにおいても、電源半波Thのゼロクロス時から5ms後に通電が開始されていることがわかる。
なお、通電開始時間Tsは任意に設定が可能であるので、例えば、ソフトストップ期間において、ヒータへの通電が各半波期間の終了時に終えるように、通電開始時間Tsを設定すれば、フル点灯期間からソフトストップ期間への移行の際に、ヒータの消灯期間を設けることができ、ソフトストップ期間の位相制御を滑らかに開始することができるので、第2の実施の形態にかかる画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
また、通電開始時間Tsにオン幅を加えた値が電源半波Thを超える場合は、電源半波Thが終了した時点でドライバでの通電(ヒータへの通電)を終了するようにしてもよいし、次の電源半波Thまで継続して通電を行いオン幅終了後にドライバでの通電(ヒータへの通電)を終了するようにしてもよい。
以上説明したように、第10の実施の形態の定着装置50によれば、ソフトスタート期間およびソフトストップ期間において、ヒータへの通電を半波期間の任意のタイミングで行えるようにドライバの通電開始時をCPU56により制御することとしたので、ソフトスタート期間およびソフトストップ期間の位相制御を柔軟に行うことができる。