JP5298018B2 - シラン変性カチオン化セルロースの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シラン変性カチオン化セルロースの製造方法、および前記製造方法により製造されるシラン変性カチオン化セルロースに関する。
本願は、2007年8月22日に日本に出願された特願2007−216089号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ヒドロキシアルキルセルロース等の水溶性セルロースエーテルは、親水性、増粘性を有することから、増粘剤、接着剤、分散剤、乳化安定化剤など、種々の分野において幅広く利用されている。
これらの用途において、水溶性セルロースエーテルは、一般的に、水、または水を含む混合溶媒(以下、水系溶媒ということがある。)に溶解して用いられるため、通常、溶解性を考慮して、微粒子状にして用いられている。
しかし、このような微粒子状の水溶性セルロースエーテルは、水または水系溶媒への溶解性が非常に高いため、そのまま水または水系溶媒に投入した際に、各粒子の表面だけが水に濡れて溶解し、粒子同士が付着して塊、いわゆるママコが生成してしまう。一旦このママコが生成すると、水溶性セルロースエーテルと水との接触面積が極度に減少するため、水溶性セルロースエーテルを完全に溶解するのに時間がかかってしまい、工業プロセス上、問題となる。
このような問題に対し、水溶性セルロースエーテルをグリオキサールで処理し、疎水性を高めて水分散性を向上させるグリオキサール処理が知られている。グリオキサール処理によれば、グリオキサールが水溶性セルロースエーテルの水酸基と反応し、ヘミアセタール結合により、グリオキサールと水溶性セルロースエーテルとが架橋する。この架橋は、アルカリや熱により加水分解するため、グリオキサール処理された水溶性セルロースエーテルは、水または水系溶媒に投入した際には優れた水分散性により分散し、その後、アルカリや熱により優れた溶解性を発現する。
しかし、グリオキサール処理は、グリオキサールが変異源性物質として指定されていることから、その代替技術が求められている。
グリオキサール処理の代替技術として、シラン化合物を用いたシラン変性方法が提案されている。シラン変性方法としては、たとえばアミノシランやエポキシシランを用いる方法(特許文献1、2)、アルキルトリアルコキシルシラン、アルキルテトラアシルオキシシラン、テトラアルコキシシラン、テトラアシルオキシシランを用いる方法(特許文献3〜6)等が提案されている。
一方、水溶性セルロースエーテルをカチオン化してカチオン化セルロースとすることが行われている。カチオン化セルロースの製造方法としては、水溶性セルロースエーテルをアルカリ存在下でカチオン化剤と反応させる方法が知られている(特許文献7)。前記カチオン化セルロースは、主に、シャンプー、ボディーソープ用のコンディショニング剤などとして幅広く利用されている。
特公昭51−2103号公報 特開昭47−35073号公報 特公平6−39481号公報 特開平8−183801号公報 特開2004−155805号公報 特開昭61−195138号公報 特開2005−171089号公報
カチオン化セルロースは、水溶性セルロースエーテルよりも親水性が高いため、さらに水分散性が悪い。そこで、カチオン化セルロースについても、水溶性セルロースエーテルと同様、シラン変性方法によりカチオン化セルロースを処理することが考えられる。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、水溶性セルロースエーテルに対して用いられている従来のシラン変性方法をカチオン化セルロースの変性に用いても、得られるシラン変性カチオン化セルロースの水または水系溶媒への分散性は不十分であり、多くの溶け残りが発生してしまうことがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、水分散性に優れたシラン変性カチオン化セルロースを製造できる製造方法、および前記製造方法により製造されるシラン変性カチオン化セルロースを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、少なくともシラン処理を行う前に、当該カチオン化セルロースを、水相溶性有機溶媒を用いて、水分量が一定値以下の溶媒環境下に置き、その後で、一定量のアミノシラン化合物を用いてシラン処理を行うことにより上記課題が解決されることを見出した。さらに、上記水分調整工程を行わない場合でも、シラン処理後に115℃〜160℃の温度で乾燥減量が一定の割合以下になるまで乾燥を行うことにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
上記課題を解決する本発明の第一の態様は、水への分散性と溶解性に優れるシラン変性カチオン化セルロースの製造方法であって、
水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒中、アルカリ存在下にて、水溶性セルロースエーテルとカチオン化剤とを反応させることによって前記水溶性セルロースエーテルをカチオン化して、カチオン化セルロースを含有するスラリーを得る工程(1)と、
得られた前記スラリーに酸を添加してアルカリを中和する工程(2)と、
前記中和後のカチオン化セルロースに対して、当該カチオン化セルロースと接触する全溶媒中の水分が10質量%以下となるように、水相溶性有機溶媒、または水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒を添加する工程(5)と、
前記工程(5)の後、前記カチオン化セルロースを、水分10質量%超の溶媒とは接触させずに、前記カチオン化セルロースの原料として用いた水溶性セルロースエーテル量の0.3〜10質量%のアミノシラン化合物と反応させる工程(3−1)と、
前記工程(3−1)の反応で得られた生成物を乾燥して粉体とする工程(4−1)とを含み、
前記カチオン化剤が、グリシジルトリアルキルアンモニウムハライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシエチレントリメチルアンモニウムクロリド、および3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアンモニウムハライド化合物であり、
前記アミノシラン化合物が、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2―アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、N−2−カルボエトキシエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするシラン変性カチオン化セルロースの製造方法である。
本発明の第二の態様は、水への分散性と溶解性に優れるシラン変性カチオン化セルロースの製造方法であって、
水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒中、アルカリ存在下にて、水溶性セルロースエーテルとカチオン化剤とを反応させることによって前記水溶性セルロースエーテルをカチオン化して、カチオン化セルロースを含有するスラリーを得る工程(1)と、
得られた前記スラリーに酸を添加してアルカリを中和する工程(2)と、
前記工程(2)で得られた前記中和後のカチオン化セルロースを、前記カチオン化セルロースの原料として用いた水溶性セルロースエーテル量の1〜10質量%のアミノシラン化合物と反応させる工程(3−2)と、
前記工程(3−2)の反応で得られた生成物を、120〜160℃の温度で乾燥減量が5重量%以下となるまで乾燥して粉体とする工程(4−2)とを含み、
前記カチオン化剤が、グリシジルトリアルキルアンモニウムハライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシエチレントリメチルアンモニウムクロリド、および3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアンモニウムハライド化合物であり、
前記アミノシラン化合物が、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2―アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、N−2−カルボエトキシエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするシラン変性カチオン化セルロースの製造方法である。
本発明の第の態様は、前記第一の態様または第二の態様のシラン変性カチオン化セルロースの製造方法により製造されるシラン変性カチオン化セルロースである。
本発明のアミノシラン変性カチオン化セルロースの製造方法によれば、水分散性に優れたシラン変性カチオン化セルロースを製造できる。
≪シラン変性カチオン化セルロースの製造方法≫
本発明の第一の態様の製造方法は、前記工程(1)〜(4)を含み、または工程(5)をさらに含む。以下、各工程をより詳細に説明する。
<工程(1)>
工程(1)では、水溶性セルロースエーテルを、水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒中、アルカリ存在下にてカチオン化して、カチオン化セルロースを含有するスラリーを得る。
水溶性セルロースエーテルとしては、ヒドロキシアルキルセルロースエーテルが挙げられる。ヒドロキシアルキルセルロースエーテルは、セルロースの水酸基に、置換基として、ヒドロキシアルキル基が結合したものである。
前記ヒドロキシアルキル基は、一般式−(A−O)Hで表される基である。式中、Aは、炭素数2〜3のアルキレン基であり、エチレン基またはプロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、前記平均付加モル数は、水溶性セルロースエーテルのグルコース残基(単位骨格)1モルに対して、0.5〜3.5モルが好ましく、1〜2.5モルがより好ましい。
ヒドロキシアルキルセルロースエーテルは、ヒドロキシアルキル基以外の置換基を有してもよい。前記置換基としては、たとえば炭素数1〜3のアルキル基等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルセルロースエーテルとして、具体的にはヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチル−ヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチル−ヒドロキシプロピルセルロース(MHEC)、エチル−ヒドロキシエチルセルロース(EHEC)等が挙げられる。中でもHECが安価であり増粘剤等の用途に一般的に使用されるため好ましい。これらはいずれか1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
かかるヒドロキシアルキルセルロースエーテルは、市販のものを用いてもよく、合成してもよい。ヒドロキシアルキルセルロースエーテルは、たとえば、セルロースをアルカリ処理してアルカリセルロースとし、これにアルキレンオキサイドを反応させることにより合成できる。
市販品として、住友精化製:HEC AL‐15、AH‐15、AX‐15、SW‐25F、SG‐25F、SY‐25Fおよびダイセル化学工業製:HECダイセル SE550、SE600、SE900などがある。
水溶性セルロースエーテルの粘度としては、2質量%の水溶液の20℃における粘度が5〜35,000mPa・sであることが好ましい。粘度はB型粘度計で測定開始から1分後の粘度をいう。
水相溶性有機溶媒としては、水と混合した際に均一な溶液となるものであればよく、たとえば、炭素数1〜4のアルコール、アセトン等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4のアルコールが好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。この中で、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコールが価格・安全性面から好ましい。
混合溶媒中の水の割合は、副反応を抑制し、カチオン化反応を効率よく進行させる観点から、12〜30質量%が好ましく、12〜20質量%がより好ましい。下限以上とすることでカチオン化反応をより効率よく進行させることができる。上限以上では生成したカチオン化セルロースや水溶性セルロースエーテルが溶解して歩留まりが低下したり、一部水に溶解することによりゲル化してしまうため取り扱い、製造性の面で好ましくない。
混合溶媒の使用量は、水溶性セルロースエーテルのカチオン化が局部的に進行することを回避する観点、および反応器の容積効率を高める観点から、水溶性セルロースエーテル100質量部に対して、200〜1500質量部が好ましく、300〜800質量部がより好ましい。
アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物を挙げることができる。これらの中では、安価であることから、水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリの使用量は、水溶性セルロースエーテルに対してアルカリの含有量が0.1〜10質量%となる量が好ましい。
水溶性セルロースエーテルのカチオン化は、水溶性セルロースエーテルとカチオン化剤とを反応させることによって実施できる。
カチオン化剤としては、水溶性セルロースエーテルの水酸基の水素原子(活性水素)と反応して水溶性セルロースエーテルにカチオン性を与えるものであればよく、具体的には、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリエチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリメチルアンモニウムブロミド、グリシジルトリエチルアンモニウムブロミド等のグリシジルトリアルキルアンモニウムハライドや、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシエチレントリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどのアンモニウムハライド化合物が挙げられる。これらの中では、安価で反応性が高い観点から、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
カチオン化剤の使用量は、カチオン化セルロースの収率を高める観点および使用量に見合う効果がなく経済的でなくなるのを回避する観点から、水溶性セルロースエーテル中のグルコース残基単位骨格当たりに対して0.1〜1.4モルとなる量が好ましく、0.3〜1.2モルとなる量がより好ましい。
水溶性セルロースエーテルとカチオン化剤との反応は、たとえば、水溶性セルロースエーテルと前記混合溶媒とアルカリとを混合、撹拌した後、カチオン化剤を添加し、所定の反応温度とすることにより実施できる。
このときの反応温度は、反応を促進させ、反応時間を短縮させる観点および反応が急激に進行するのを回避する観点から、通常、40〜60℃の範囲内であり、好ましくは45〜55℃である。
反応時間は、反応温度によって異なるので一概には決定することができないが、通常、2〜4時間程度である。
このようにして、カチオン化セルロースを含有するスラリーが得られる。
前記カチオン化セルロースのカチオン化度は、特に限定されず、最終的に得られるシラン変性カチオン化セルロースの使用目的に応じて適宜選択することができる。好ましくは0.3〜2.5質量%であり、0.5〜2.0質量%がより好ましい。前記カチオン化度が0.3質量%以上であると、前記カチオン化セルロースのカチオン性、ひいては最終的に得られるシラン変性カチオン化セルロースのカチオン性が向上し、その機能(増粘性等)が向上する。2.5質量%以下であると、アミノシラン化合物との反応性が良好であり、シラン変性カチオン化セルロースの水分散性も向上する。
ここで、カチオン化セルロースのカチオン化度とは、前記カチオン化セルロースのグルコース残基単位骨格当たりの窒素原子の割合を意味する。カチオン化度は医薬部外品原料規格2006(薬事日報社)の塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースの頁に記載の方法により測定できる。前記窒素原子は、カチオン化剤に由来するものであり、カチオン化度は、カチオン化剤の使用量等を調節することにより調節できる。
<工程(2)>
工程(2)では、前記工程(1)で得たスラリーに酸を添加してアルカリを中和する。
酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の強酸、及び酢酸、リン酸等の弱酸を挙げることができる。これらの中では、安価であることから、塩酸、硫酸、硝酸が好ましい。
酸の使用量は、最終的なシラン変性カチオン化セルロースを水溶液とした際のpHが後述の所望の範囲内となるように適宜調整すればよい。工程(3)で用いるアミノシラン化合物がアルカリ性であることから、前記酸の添加後のスラリーのpHが、前記所望のpHよりも低pHとなる量が好ましい。具体的には、前記酸の添加後のスラリーのpHが、25℃の条件下で、2.0〜6.0となる量が好ましく、3.5〜5.5となる量がより好ましい。前記pHが上記範囲内であると、最終的に得られるシラン変性カチオン化セルロースの水分散性が良好で、水溶性も良好である。
<工程(3)>
工程(3)では、前記工程(2)で得たカチオン化セルロースを、前記カチオン化セルロースの原料として用いた水溶性セルロースエーテル量の0.3〜10質量%のアミノシラン化合物と反応させる。カチオン化セルロースを上記所定量のアミノシラン化合物と反応させることにより、本発明の効果が得られる。
アミノシラン化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメチルエトキシシラン、N−2―アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2―アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、N−2−カルボエトキシエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらの中でも、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2―アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、N−2−カルボエトキシエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランが、最終的に得られるシラン変性カチオン化セルロースをシャンプーやボディーソープなどに使用する際に、メタノールの遊離などが生じない点で好ましい。アミノシラン化合物としては、信越化学工業製:KBE−903、KBE−603、KBE−9103、東レ・ダウコーニング製:AY43−059などの市販品を利用できる。
アミノシラン化合物の使用量は、当該アミノシラン化合物と反応させるカチオン化セルロースの原料として用いた水溶性セルロースエーテル量の0.3〜10質量%であり、0.5〜10質量%が好ましく、0.9〜5質量%がより好ましく、0.9〜3質量%がさらに好ましい。また、後述の工程(5)を行わない方法の場合には、アミノシラン化合物の使用量は若干多めが好ましく、1質量%〜8質量%がより好ましく、2質量%〜5質量%がさらに好ましい。前記アミノシラン化合物の使用量が0.3質量%以上であると、水分散性が良好であり、10質量%以内であると、水分散性が良好であり、カチオン化セルロースの有効成分量が高く、コストも抑えられるので工業的に好ましい。
カチオン化セルロースとアミノシラン化合物とを反応させる方法(シラン処理方法)としては、特に制限はなく、目的に応じ、従来のシラン処理方法を利用できる。ただし、工程(5)を行う場合は、工程(5)の後、カチオン化セルロースを、水分10質量%超の溶媒(水、水の割合が10質量%以上の混合溶媒等)とは接触させずシラン処理を行う必要がある。
工程(3)の反応に供するカチオン化セルロースとしては、工程(2)において得られた中和後のカチオン化セルロースを含有するスラリーをそのまま使用してもよく、工程(2)で得られたスラリーを脱液して溶媒の一部または全部を除去し、ケーキまたは乾燥品としたものでもよい。また工程(5)において、溶媒中の水分を10質量%以下としたスラリーまたはケーキをそのまま使用してもよく、前記スラリーまたはケーキの溶媒の一部または全部を除去し、ケーキまたは乾燥品としたものを用いてもよい。
工程(2)において得られたスラリーを脱液する方法は特に限定されず、ろ過や遠心分離などの従来公知の固液分離方法を利用できる。たとえば、濾布を用いて遠心脱液機を使用することにより実施できる。脱液処理は、ケーキ中の固形分が30〜80質量%となるように行うことが好ましい。
好ましいシラン処理方法としては、前記カチオン化セルロースのスラリーに対してアミノシラン化合物を添加し反応させた後に乾燥させる方法、ケーキまたは乾燥品に対し、アミノシラン化合物を、スプレーなどで噴霧する等により添加し、反応させた後に乾燥させる方法が挙げられる。この場合、均一にシラン処理を行なうために、アミノシラン化合物を添加後に攪拌を行なうことが好ましい。
シラン処理において、カチオン化セルロースとアミノシラン化合物とを反応させる際の反応温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。好ましくは20〜80℃であり、25〜75℃がより好ましく、30〜70℃がさらに好ましい。前記温度が20℃以上であると、反応が充分に進行し、得られるシラン変性カチオン化セルロースの水分散性が良好であり、80℃以下であると、前記シラン変性カチオン化セルロースの色調が良好である。
反応時間は、特に制限はなく、反応温度、目的等に応じて適宜選択することができる。
反応時間は、好ましくは5〜120分間であり、10〜100分間がより好ましく、15〜80分間がさらに好ましい。前記反応時間が5分間以上であると反応が充分に進行し、得られるシラン変性カチオン化セルロースの水分散性が良好であり、120分間以内であると、前記シラン変性カチオン化セルロースの色調が良好である。
<工程(4)>
工程(4)では前記工程(3)で得られたカチオン化セルロースとアミノシラン化合物との反応生成物を乾燥させて粉体とする。
工程(5)を行わない場合、工程(4)における乾燥は温度115〜160℃において、水、水溶性有機溶媒などを蒸発させ、乾燥減量が5重量%以下になるまで乾燥させる。
この場合、115℃より高い乾燥温度であれば十分な水への分散性、溶解性が得られる。一方、160℃以下であれば分散性、溶解性の向上効果が得られ、着色が起こり難い。少ないシラン添加量でより高い効果が得られる点で120℃以上が好ましく、さらには130℃以上がより好ましい。
乾燥は、以下に示す方法で測定した乾燥減量が5重量%以下になるまで行う。
(乾燥減量の測定方法)
乾燥減量は、乾燥後のサンプル約1g(A)を予め恒量化した秤量瓶(B)に量り取り、乾燥機内において105℃で2時間乾燥させた後に、秤量瓶に蓋をして乾燥機から取り出し、30分間デシケーター内で放冷した後の重量(C)を秤量して以下の式に基づいて求める。

乾燥減量(%)=〔A−(C−B)〕/A×100

前記乾燥減量は、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下になるまで処理を行なう。乾燥減量が小さくなるほど得られるカチオン化セルロースの水への分散性が良好となり溶解時間が短くなる。なお、工程(4)の乾燥前に脱液処理を行なってもよい。
脱液処理は、たとえば、濾布を用いて遠心脱液機を使用することにより実施できる。
乾燥は、前記のように温度115〜160℃において、乾燥減量が5重量%以下になるまで乾燥できれば方法は特に限定されず、公知の方法により行うことができる。
例えば、常圧下又は減圧下、前記温度下に置くことで実施できる。蒸発率や熱劣化防止の観点から減圧で行うことが好ましく、例えば一般的に使用されている真空攪拌ドライヤーや振動式真空乾燥機などにより、1〜30Torr程度の減圧下で攪拌しながら行うことができる。
なお、工程(5)を行う場合には乾燥温度は上記に制限されない。粉体として取り扱う上では乾燥減量が10重量%以下になることが好ましく、5重量%以下まで乾燥することがより好ましく、上記と同様の装置、方法により乾燥を行うことができる。
<工程(5)>
前記工程(2)で得たスラリー中には、カチオン化時に使用した水分が残存しており、前記スラリーにおける全溶媒中の水分は、通常、12〜30質量%である。
工程(5)では、前記中和後のカチオン化セルロースに対して、当該カチオン化セルロースと接触する全溶媒中の水分が10質量%以下となるように、水相溶性有機溶媒、または水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒を添加する。当該カチオン化セルロースと接触する全溶媒中の水分は、分散性・溶解時間の観点から、2〜7%がより好ましい。
水相溶性有機溶媒としては、前記工程(1)で挙げた水相溶性有機溶媒と同様のものが挙げられる。
水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒中の水の割合は、当該混合溶媒を添加した後のカチオン化セルロースのスラリーあるいは前記スラリーを脱液処理して得られるケーキ中に含まれる全溶媒(母液)中の水分が10質量%以下となる範囲であればよく、当該混合溶媒を添加するスラリーあるいはケーキ中の水分量に応じて適宜選択すればよい。
工程(5)の実施方法として、具体的には、以下の方法(5−1)、(5−2)等が挙げられる。
方法(5−1):前記工程(2)で得たスラリーに対して水相溶性有機溶媒、または水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒を加えて混合、撹拌する方法。
方法(5−2):前記工程(2)で得たスラリーの脱液処理を行い、得られたケーキに水相溶性有機溶媒、または水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒を添加する方法。
方法(5−2)として、より具体的には、以下の方法(5−2a)、(5−2b)等が挙げられる。
方法(5−2a):前記工程(2)で得た中和後のスラリーを脱液した後に、得られたケーキを水相溶性有機溶媒または混合溶媒中に再分散させてスラリーとする方法。
方法(5−2b):前記工程(2)で得た中和後のスラリーを脱液した後に、得られたケーキ上に水相溶性有機溶媒または混合溶媒をシャワーする方法。
シャワーによりケーキの処理を行なう場合は、ケーキをベルトコンベアなどにのせて、その上にシャワーをする連続的な処理方法もとることができる。
また、これらの処理の後、さらに、使用した水相溶性有機溶媒または混合溶媒を除去するために、脱液処理を行ってもよい。
方法(5−1)および(5−2a)の場合、水相溶性有機溶媒、または水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒を加えた後のスラリーに含まれる母液中の水分が10質量%以下となるように前記溶媒を添加すればよい。
また、方法(5−2b)のようにシャワーによりケーキの処理を行なう場合は、最終的にケーキに含まれる母液中の水分が10質量%以下となるまでシャワーすればよい。
方法(5−2)において、脱液処理方法は特に限定されず、ろ過や遠心分離などの従来公知の固液分離方法を利用できる。たとえば、濾布を用いて遠心脱液機を使用することにより実施できる。
脱液処理は、ケーキ中の固形分が30〜80質量%となるように行うことが好ましい。
前記固形分量は、1gのケーキを105℃、2時間乾燥させて、その前後の差分量から算出する。
なお、水相溶性有機溶媒または混合溶媒の前記全溶媒中の水分は、たとえばスラリーを静置または遠心分離し、その上澄みを採取して水分を測定する方法、水相溶性有機溶媒または混合溶媒添加後のスラリーまたはケーキの脱液処理を行い、脱液した液中の水分を測定する等により確認できる。
液中の水分量は、カールフィッシャー法により、市販の水分測定装置、たとえば平沼産業株式会社製、微量水分測定装置AQV−7等を使用して測定できる。
前記中和後のカチオン化セルロースには、中和により生成した塩が含まれる。本工程の水相溶性有機溶媒または混合溶媒による処理は、この塩の洗浄除去による精製工程を兼ねることもできるが、洗浄液として用いる水相溶性有機溶媒または混合溶媒中の水分量が少ないと中和塩の除去効率が低下し、得られるカチオン化セルロース中に中和塩が残存するおそれがある。
そのため、中和塩を除去効率の観点から、水分を10質量%以下とするための水相溶性有機溶媒または混合溶媒の添加の前に、別途、水分量が15〜30質量%程度の水溶性有機溶媒と水との混合溶媒を用いて、カチオン化セルロースの洗浄(精製)を行うことが好ましい。
≪シラン変性カチオン化セルロース≫
本発明のシラン変性カチオン化セルロースは、上記本発明の製造方法により製造されるシラン変性カチオン化セルロースである。
本発明のシラン変性カチオン化セルロースの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。水への分散性、溶解性等を考慮すると、粉末状であることが好ましい。
粉末状である場合、前記シラン変性カチオン化セルロースの粒子径は、使用目的等を考慮して適宜選択すればよい。前記粒子径は、好ましくは10〜1,000μmであり、30〜800μmがより好ましく、50〜600μmがさらに好ましい。前記粒子径が10μm以上であると、水分散性が向上し、また、使用時に粉塵が発生しにくく、ハンドリング性が良好である。
前記粒子径が1,000μm以下であると、水への溶解性が良好である。
また、本発明のシラン変性カチオン化セルロースは、2質量%水溶液とした際のpHが、25℃の条件下で、5〜7.5であることが好ましい。前記pHが7.5以下であると水分散性が向上し、5以上であると水への溶解性が向上する。
本発明のシラン変性カチオン化セルロースは、上述したように、水分散性に優れており、水や、水と水相溶性有機溶媒との混合溶媒等の水系溶媒に投入すると、短時間で容易に分散する。また、水系溶媒への溶解性にも優れている。また、従来のグリオキサール処理されたカチオン化セルロースに比べて安全性の点においても優れている。そのため、たとえばシャンプーやボディーソープ用のコンディショニング剤、頭髪化粧品、基礎化粧品、メークアップ化粧品、芳香化粧品、日焼け用化粧品、日焼け止め用化粧品、爪化粧品、入浴用化粧品など、幅広い用途に有用であり、なかでもコンディショニング剤として有用である。
以下、本発明について、実施例を示してさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されない。
以下の例においては、特に断りのない限り、「部」および「%」は、それぞれ質量部および質量%を示す。
以下の実施例および比較例において用いた原料・試薬等、分析方法、評価方法は下記のとおりである。
(1)原料・使用試薬等
ヒドロキシエチルセルロース:住友精化製「AH−15L」、純度80%、2質量%水溶液粘度(25℃)1,200mPa・s)。
イソプロピルアルコール:関東化学社製、純度99.5%。
水酸化ナトリウム:関東化学社製。
グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド:阪本薬品製「SY−GTA80」、有効分73%水溶液。
3−アミノプロピルトリエトキシシラン:信越化学社製「KBE−903」、有効分100%。
(2)分析方法
(a)溶媒中の水分(%)(カールフィッシャー法)
シラン処理前のカチオン化セルロースに接触している全溶媒中の水分量の割合。実施例1〜16、比較例1〜9では上澄み中の、実施例8及び比較例5についてはシラン処理前に脱液した液中の水分量の割合をさす。
平沼産業株式会社製、微量水分測定装置AQV−7を用い、サンプル量として0.3gを分析に供した。
(b)処理シラン量(%)
下記式により算出した。
処理シラン量=(B/A)×100(%)
[式中、Aは、水溶性セルロースエーテル(ヒドロキシエチルセルロース)の有効添加量(総質量(g)×純度(%))であり、Bは、シラン化合物(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)の有効添加量(総質量(g)×有効分(%))である。]
(c)pH測定方法
横河電気株式会社製のpHメータ「PH71」を用い、測定した。
(3)評価方法
各実施例および比較例で得られた粉末状のシラン変性カチオン化セルロースを、ふるいで分別し、得られた粒子径106〜425μmのものをサンプルとして以下の評価に用いた。
(a)水分散性
(i)2分後分散量
100mLビーカーに蒸留水50gを加え、サンプル0.5gを水面から高さ4cmのところから投入し、サンプルを投入し終わってから2分後に目視で粉末が水面に残らず水中に分散した割合(%)を評価し、これを2分後分散量とした。
(ii)完全分散時間
100mLビーカーに蒸留水50gを加え、サンプル0.5gを水面から高さ4cmのところから投入し、サンプルを投入し終わってから、粉末が水中に完全に分散するまでの時間を測定し、これを完全分散時間とした。なお、投入後300秒経過しても完全には分散しなかったものはそこを測定の終点とし、評価を「300秒以上」とした。
(b)溶解時間
200mLトールビーカー(外径6cm)に25℃の蒸留水を150g加え、スリーワンモーター(HEIDOH社製)にセットした攪拌羽根により攪拌する。攪拌羽根はφ40mmのファンタービン型(2枚パドル)を用い、羽根の下部がビーカーの下部より2cm上となるようにセットした。攪拌回転数は400rpmとした。
攪拌しながらサンプル3.5gを加えて、直後に70℃のウォーターバスに浴して攪拌を続けた。サンプルを投入してから、サンプルが完全に溶解して透明な液体となるまでの時間を目視で測定した。
[実施例1]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液7.1gをセパラブルフラスコにとり、30分間攪拌混合した。その後攪拌を止めて静置し、混合溶媒の上澄みを250g除去した。続けてセパラブルフラスコの残部を50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間、50℃で攪拌を続けた。その後、10質量%塩酸イソプロピルアルコール溶液を加えてpH4.5(温度50℃)に調製し、カチオン化セルローススラリーを得た。続いてこのスラリー中にイソプロピルアルコール(99.5%)を1350g加えて15分攪拌・混合した。その後、攪拌を止めて静置してその上澄み液1400g除去した。この上澄み液中の水分は2%であった。続いてこのスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを1.2g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、減圧乾燥(105℃)を5時間行い、目的のシラン変性カチオン化セルロースを得た。前記シラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは7.0(温度25℃)であった。
[実施例2]
pH4.5に調製したカチオン化セルローススラリーを得るまでは実施例1と同様に行った後、得られたスラリー中にイソプロピルアルコール(99.5%)を550g加えて15分攪拌・混合した。その後、攪拌を止めて静置してその上澄み液を600g抜き出した。この上澄み液中の水分は7%であった。その後は、実施例1と同様の処理を行い、目的のシラン変性カチオン化セルロースを得た。前記シラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは6.3(温度25℃)であった。
[実施例3]
3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.2g加えた以外は実施例2と同様の方法により、シラン変性カチオン化セルロースを得た。前記シラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは5.6(温度25℃)であった。
[実施例4]
3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.36g加えた以外は実施例2と同様の方法により、シラン変性カチオン化セルロースを得た。前記シラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは5.8(温度25℃)であった。
[実施例5]
3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.8g加えた以外は実施例2と同様の方法により、シラン変性カチオン化セルロースを得た。前記シラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは6.1(温度25℃)であった。
[実施例6]
3−アミノプロピルトリエトキシシランを2.0g加えた以外は実施例2と同様の方法により、シラン変性カチオン化セルロースを得た。中和時のスラリーのpHは4.0(温度50℃)、得られたシラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは6.6(温度25℃)であった。
[実施例7]
3−アミノプロピルトリエトキシシランを4.0g加えた以外は実施例2と同様の方法により、シラン変性カチオン化セルロースを得た。中和時のスラリーのpHは2.6(温度50℃)、得られたシラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは7.1(温度25℃)であった。
[実施例8]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液7.1gをセパラブルフラスコにとり、30分間攪拌混合した。その後攪拌を止めて静置し、混合溶媒の上澄みを250g除去した。続けてセパラブルフラスコの残部を50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間、50℃で攪拌を続けた。その後、10質量%塩酸イソプロピルアルコール溶液を加えてpH4.5(温度50℃)に調製し、続いてこのスラリーを遠心脱水機で脱液しカチオン化セルロースケーキを得た。その後、このケーキをイソプロピルアルコール/水(質量比)=79/21となる混合溶媒250g中に再分散させて15分攪拌・混合した。
そして、このスラリーを遠心脱水機で脱液した。更に得られたケーキにイソプロピルアルコール(99.5%)を93g加えて15分攪拌・混合して得られたスラリーを遠心脱水機で脱液した。この時の脱液した液中の水分は7%であった。得られたカチオン化セルロースケーキに3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.5g噴霧させて、攪拌・混合させた後、減圧乾燥(105℃)で5時間行い、目的のシラン変性カチオン化セルロースを得た。
前記シラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは5.6(温度25℃)であった。
[実施例9]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を7.1g加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを250g抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH5.8に調製したカチオン化セルローススラリーを得た。この上澄み液中の水分は19%であった。そして、このスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを1.2g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、125℃で5時間減圧乾燥させて、目的のカチオン化セルロースを得た。
[実施例10]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を7.1g加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを250g抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH4.5に調製したカチオン化セルローススラリーを得た。この上澄み液中の水分は20%であった。そして、このスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを4.0g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、125℃で5時間減圧乾燥させて、目的のカチオン化セルロースを得た。
[実施例11]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を7.1g加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを250g抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH5.8に調製したカチオン化セルローススラリーを得た。この上澄み液中の水分は19%であった。そして、このスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.8g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、135℃で5時間減圧乾燥させて、目的のカチオン化セルロースを得た。
[実施例12]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を7.1g加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを250g抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH5.2に調製したカチオン化セルローススラリーを得た。この上澄み液中の水分は19%であった。そして、このスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを2.0g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、135℃で5時間減圧乾燥させて、目的のカチオン化セルロースを得た。
[実施例13]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を7.1g加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを250g抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH4.7に調製したカチオン化セルローススラリーを得た。この上澄み液中の水分は20%であった。そして、このスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを3.2g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、135℃で5時間減圧乾燥させて、目的のカチオン化セルロースを得た。
[実施例14]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を7.1g加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを250g抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH4.5に調製したカチオン化セルローススラリーを得た。この上澄み液中の水分は20%であった。そして、このスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを4.0g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、135℃で5時間減圧乾燥させて、目的のカチオン化セルロースを得た。
[実施例15]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を7.1g加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを250g抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH5.8に調製したカチオン化セルローススラリーを得た。この上澄み液中の水分は19%であった。そして、このスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.8g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、145℃で5時間減圧乾燥させて、目的のカチオン化セルロースを得た。
[実施例16]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を7.1g加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを250g抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH4.5に調製したカチオン化セルローススラリーを得た。この上澄み液中の水分は20%であった。そして、このスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを4.0g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、145℃で5時間減圧乾燥させて、目的のカチオン化セルロースを得た。
[比較例1]
pH4.5に調製したカチオン化セルローススラリーを得るまでは実施例1と同様に行った後、得られたスラリー中にイソプロピルアルコール(99.5%)を加える処理を行なわずにそのまま静置分離し、その上澄みを50g抜き出した。この上澄み液中の水分は14%であった。その後は実施例1と同様の処理を行い、シラン変性カチオン化セルロースを得た。前記シラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは5.9(温度25℃)であった。
[比較例2]
pH4.5に調製したカチオン化セルローススラリーを得るまでは実施例1と同様に行った後、スラリー中に蒸留水を13g加えて15分攪拌・混合した。この上澄み液中の水分は17%であった。その後は実施例1と同様の処理を行ない、シラン変性カチオン化セルロースを得た。前記シラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは5.7(温度25℃)であった。
[比較例3]
pH4.5に調製したカチオン化セルローススラリーを得るまでは実施例1と同様に行った後、スラリー中に蒸留水を30g加えて15分攪拌・混合した。この上澄み液中の水分は20%であった。その後は実施例1と同様の処理を行ない、シラン変性カチオン化セルロースを得た。前記シラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは5.3(温度25℃)であった。
[比較例4]
3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.04g加えた以外は、実施例2と同様の方法により、シラン変性カチオン化セルロースを得た。前記シラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは5.3(温度25℃)であった。
[比較例5]
pH4.5に調製したスラリーを遠心脱水機で脱液しカチオン化セルロースケーキを得るまでは実施例8と同様に行った後、得られたケーキをイソプロピルアルコール/水(質量比)=79/21となる混合溶媒250g中に再分散させて15分攪拌・混合した。そして、このスラリーを遠心脱水機で脱液した。この時の脱液した液中の水分は20%であった。得られたカチオン化セルロースケーキに3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.5g噴霧させて、攪拌・混合させた後、減圧乾燥(105℃)で5時間行い、シラン変性カチオン化セルロースを得た。中和時のスラリーのpHは4.0(温度50℃)、得られたシラン変性カチオン化セルロースの2%水溶液のpHは5.6(温度25℃)であった。
[比較例6]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を7.1g加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを250g抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH5.6に調製したカチオン化セルローススラリーを得た。この上澄み液中の水分は19%であった。そして、このスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを1.2g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、100℃で5時間減圧乾燥させて、目的のカチオン化セルロースを得た。
[比較例7]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を7.1g加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを250g抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH5.6に調製したカチオン化セルローススラリーを得た。この上澄み液中の水分は19%であった。そして、このスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを1.2g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、115℃で5時間減圧乾燥させて、目的のカチオン化セルロースを得た。
[比較例8]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を7.1g加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを250g抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH6.0に調製したカチオン化セルローススラリーを得た。この上澄み液中の水分は19%であった。そして、このスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.04g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、145℃で5時間減圧乾燥させて、目的のカチオン化セルロースを得た。
[比較例9]
ヒドロキシエチルセルロース50gに対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を500g、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を7.1g加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを250g抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを24g加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH6.0に調製したカチオン化セルローススラリーを得た。この上澄み液中の水分は19%であった。そして、このスラリーを50℃まで加温して3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.2g加えて45分混合させた。そしてこのスラリーを遠心脱水機で脱液し、145℃で5時間減圧乾燥させて、目的のカチオン化セルロースを得た。
上記実施例1〜16および比較例1〜9で得られたシラン変性カチオン化セルロースについて、上記(3)に示した評価方法による評価を行った。その結果を表1〜2に示す。
Figure 0005298018
Figure 0005298018


上記結果から明らかなように、実施例1〜16で得られたシラン変性カチオン化セルロースは、2分後分散量が多く、完全分散時間も短く、優れた水分散性を示した。また、溶解時間も短かった。水分散性は、特に、処理シラン量が0.9〜10質量%の実施例1〜2、4〜16において良好であった。
一方、シラン処理前の溶媒中の水分が10質量%を超えていた比較例1〜3、5〜9で得られたシラン変性カチオン化セルロースは、実施例1〜8に比べて、2分後分散量が少なく、比較例7を除き、完全分散時間がいずれも300秒以上であるなど、水分散性が悪かった。また、処理シラン量が0.1質量%であった比較例4及び8は、2分後分散量、完全分散時間ともに非常に悪かった。また、比較例4は溶解時間が最も長かった。
本発明のシラン変性カチオン化セルロースの製造方法によれば、水分散性に優れたシラン変性カチオン化セルロースの製造を実現できる。

Claims (7)

  1. 水への分散性と溶解性に優れるシラン変性カチオン化セルロースの製造方法であって、
    相溶性有機溶媒と水との混合溶媒中、アルカリ存在下にて、水溶性セルロースエーテルとカチオン化剤とを反応させることによって前記水溶性セルロースエーテルをカチオン化して、カチオン化セルロースを含有するスラリーを得る工程(1)と、
    得られた前記スラリーに酸を添加してアルカリを中和する工程(2)と、
    前記中和後のカチオン化セルロースに対して、当該カチオン化セルロースと接触する全溶媒中の水分が10質量%以下となるように、水相溶性有機溶媒、または水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒を添加する工程(5)と、
    前記工程(5)の後、前記カチオン化セルロースを、水分10質量%超の溶媒とは接触させずに、前記カチオン化セルロースの原料として用いた水溶性セルロースエーテル量の0.3〜10質量%のアミノシラン化合物と反応させる工程(3−1)と、
    前記工程(3−1)の反応で得られた生成物を乾燥して粉体とする工程(4−1)とを含
    前記カチオン化剤が、グリシジルトリアルキルアンモニウムハライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシエチレントリメチルアンモニウムクロリド、および3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアンモニウムハライド化合物であり、
    前記アミノシラン化合物が、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2―アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、N−2−カルボエトキシエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするシラン変性カチオン化セルロースの製造方法。
  2. 水への分散性と溶解性に優れるシラン変性カチオン化セルロースの製造方法であって、
    水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒中、アルカリ存在下にて、水溶性セルロースエーテルとカチオン化剤とを反応させることによって前記水溶性セルロースエーテルをカチオン化して、カチオン化セルロースを含有するスラリーを得る工程(1)と、
    得られた前記スラリーに酸を添加してアルカリを中和する工程(2)と、
    前記工程(2)で得られた前記中和後のカチオン化セルロースを、前記カチオン化セルロースの原料として用いた水溶性セルロースエーテル量の1〜10質量%のアミノシラン化合物と反応させる工程(3−2)と、
    前記工程(3−2)の反応で得られた生成物を、120〜160℃の温度で乾燥減量が5重量%以下となるまで乾燥して粉体とする工程(4−2)とを含み、
    前記カチオン化剤が、グリシジルトリアルキルアンモニウムハライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシエチレントリメチルアンモニウムクロリド、および3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアンモニウムハライド化合物であり、
    前記アミノシラン化合物が、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2―アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、N−2−カルボエトキシエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするシラン変性カチオン化セルロースの製造方法。
  3. 前記工程(2)で得られたスラリーに対してアミノシラン化合物を添加して工程(3−2)を行う請求項に記載の製造方法。
  4. 前記工程(2)で得られたスラリーの脱液処理を行なって得たケーキに対してアミノシラン化合物を添加して工程(3−2)を行う請求項に記載の製造方法。
  5. 前記工程(2)で得たスラリーに対して水相溶性有機溶媒、または水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒を加えて混合、撹拌することにより前記工程(5)を行う請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記工程(2)で得たスラリーの脱液処理を行い、得られたケーキに水相溶性有機溶媒、または水相溶性有機溶媒と水との混合溶媒を添加することにより前記工程(5)を行う請求項1に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載のシラン変性カチオン化セルロースの製造方法により製造されるシラン変性カチオン化セルロース。
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