JP5273249B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
本発明は、燃料電池とそれに接続された負荷とを備える燃料電池システムに関する。
燃料電池とそれに接続された負荷とを備える燃料電池システムとして、燃料電池の出力電圧を第1のDC/DCコンバータで昇圧して負荷に出力するとともに、負荷に必要な電力が燃料電池の出力だけでは不足するときにその不足分を蓄電装置から第2のDC/DCコンバータを介して前記負荷に出力し、燃料電池の出力電力が負荷の電力を超過するときには前記第1のDC/DCコンバータおよび第2のDC/DCコンバータを介して燃料電池から蓄電装置に電力を供給して蓄電装置を充電するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
下記特許文献1に記載の燃料電池システムにおける制御装置は、負荷としてのモータの目標電力を算出し、その目標電力に応じてモータの目標電圧を算出し、燃料電池の目標出力電流を算出し、その目標出力電流を第1のDC/DCコンバータの目標電流としてフィードバック制御し、モータの目標電圧を第2のDC/DCコンバータの目標電圧としてフィードバック制御するものである。
上記特許文献1に記載の技術は、目標電力に応じて目標電圧及び目標電流を算出してフィードバック制御を行うものであるから、燃料電池における電圧と電流との関係を推定するいわゆるI−V推定が必要になる。このI−V推定に基づいて、目標電圧や目標電流を算出することになるため、例えば、I−V推定の精度が低い場合には要求電力(指令パワー)と実際の供給出力(実パワー)との間に乖離が生じる恐れがある。具体的には、指令パワーに応じた目標電圧を目標電流をI−V推定に基づいて決定し、DC/DCコンバータに対してその目標電圧を出力するように指示した場合、その目標電圧を出力することはできても、I−V推定の精度が低ければ対応する目標電流とは異なる電流が出力されることになり、結果として実パワーが指令パワーとは異なるものとなってしまう。そのため、I−V推定の精度を向上することが極めて重要なことになる。
I−V推定の精度を向上させるためには、I−V推定の学習サイクルを高めるため、高速演算を繰り返し実行することが考えられる。しかしながら、そのような高速演算を実行しても、ノイズや燃料電池のコンデンサ成分を拾ってしまい、燃料電池の実際のI−V特性を正確に演算することが困難であることを本発明者らは見出したものである。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、要求電力(指令パワー)と実際の供給電力(実パワー)との乖離を抑制することが可能な燃料電池システムを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池と、前記燃料電池に接続された負荷とを備える燃料電池システムであって、前記燃料電池と前記負荷との間に接続され、前記燃料電池の出力を調整して前記負荷に出力するコンバータと、前記燃料電池及び前記コンバータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記コンバータに対して、要求電力又は前記燃料電池の運転状態に基づく要求電圧を出力し、前記コンバータは、当該出力された要求電力を満たすように前記負荷に出力される供給電力の調整を実行する出力フィードバック制御と、当該出力された要求電圧を満たすように前記負荷に出力される出力電圧の調整を実行する電圧フィードバック制御とを選択的に実行することを特徴とする。
本発明に係る燃料電池システムによれば、燃料電池及びコンバータを制御する制御部は、コンバータに対して要求電力又は燃料電池の運転状態に基づく要求電圧を出力するので、燃料電池の運転状態に合わせて要求電力又は要求電圧をコンバータに指示出力することができる。コンバータは、要求電力が出力された場合には、その要求電力を満たすように負荷に出力される供給電力の調整を実行する出力フィードバック制御を実行するので、I−V推定を介して目標電圧を算出することなく、直接的に要求電力と供給電力とを合わせこむように電圧を調整することで高速で精度の高い供給電力制御を行うことができる。また、本発明ではこの出力フィードバック制御と選択的に電圧フィードバック制御を実行するものとしている。電圧フィードバック制御は、要求電圧を満たすように負荷に出力される出力電圧の調整を実行するので、燃料電池の運転状態に応じた電圧調整を行うことができる。例えば、間欠運転中においては、燃料電池から意図的に電力を取り出さないものであるため、出力フィードバック制御では制御が発散してしまう恐れがあるけれども、本発明のように選択的に電圧フィードバック制御を実行することで、そのような運転状態にも対応することができる。
本発明によれば、要求電力(指令パワー)と実際の供給電力(実パワー)との乖離を抑制することが可能な燃料電池システムを提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
最初に、本発明の実施形態である燃料電池車両に搭載される燃料電池システムFCSについて図1を参照しながら説明する。図1は燃料電池車両の車載電源システムとして機能する燃料電池システムFCSのシステム構成を示す図である。燃料電池システムFCSは、燃料電池自動車(FCHV)、電気自動車、ハイブリッド自動車などの車両に搭載することができる。
燃料電池システムFCSは、燃料電池FCと、酸化ガス供給系ASSと、燃料ガス供給系FSSと、電力系ESと、冷却系CSと、コントローラECとを備えている。燃料電池FCは、反応ガス(燃料ガス、酸化ガス)の供給を受けて発電するものである。酸化ガス供給系ASSは、酸化ガスとしての空気を燃料電池FCに供給するための系である。燃料ガス供給系FSSは、燃料ガスとしての水素ガスを燃料電池FCに供給するための系である。電力系ESは、電力の充放電を制御するための系である。冷却系CSは、燃料電池FCを冷却するための系である。コントローラECは、燃料電池システムFCS全体を統括制御するコントローラである。
燃料電池FCは、多数のセル(アノード、カソード、及び電解質を備える単一の電池(発電体))を直列に積層してなる固体高分子電解質形のセルスタックとして構成されている。燃料電池FCでは、通常の運転において、アノードにおいて(1)式の酸化反応が生じ、カソードにおいて(2)式の還元反応が生じる。燃料電池FC全体としては(3)式の起電反応が生じる。
H2→2H++2e- (1)
(1/2)O2+2H++2e-→H2O (2)
H2+(1/2)O2→H2O (3)
(1/2)O2+2H++2e-→H2O (2)
H2+(1/2)O2→H2O (3)
酸化ガス供給系ASSは、酸化ガス流路AS3と酸化オフガス流路AS4とを有している。酸化ガス流路AS3は、燃料電池FCのカソードに供給される酸化ガスが流れる流路である。酸化オフガス流路AS4は、燃料電池FCから排出される酸化オフガスが流れる流路である。
酸化ガス流路AS3には、エアコンプレッサAS2と、加湿器AS5とが設けられている。エアコンプレッサAS2は、フィルタAS1を介して大気中から酸化ガスを取り込むためのコンプレッサである。加湿器AS5は、エアコンプレッサAS2により加圧される酸化ガスを加湿するための加湿器である。
酸化オフガス流路AS4には、圧力センサS6と、背圧調整弁A3と、加湿器AS5とが設けられている。背圧調整弁A3は、酸化ガス供給圧を調整するための弁である。加湿器AS5は、酸化ガス(ドライガス)と酸化オフガス(ウェットガス)との間で水分交換するためのものとして設けられている。
燃料ガス供給系FSSは、燃料ガス供給源FS1と、燃料ガス流路FS3と、循環流路FS4と、循環ポンプFS5と、排気排水流路FS6とを有している。燃料ガス流路FS3は、燃料ガス供給源FS1から燃料電池FCのアノードに供給される燃料ガスが流れる流路である。循環流路FS4は、燃料電池FCから排出される燃料オフガスを燃料ガス流路FS3に帰還させるための流路である。循環ポンプFS5は、循環流路FS4内の燃料オフガスを燃料ガス流路FS3に圧送するポンプである。排気排水流路FS6は、循環流路FS4に分岐接続される流路である。
燃料ガス供給源FS1は、例えば、高圧水素タンクや水素吸蔵合金などで構成され、高圧(例えば、35MPa〜70MPa)の水素ガスを貯蔵するものである。遮断弁H1を開くと、燃料ガス供給源FS1から燃料ガス流路FS3に燃料ガスが流出する。燃料ガスは、レギュレータH2やインジェクタFS2により、例えば、200kPa程度まで減圧されて、燃料電池FCに供給される。
燃料ガス流路FS3には、遮断弁H1と、レギュレータH2と、インジェクタFS2と、遮断弁H3と、圧力センサS4とが設けられている。遮断弁H1は、燃料ガス供給源FS1からの燃料ガスの供給を遮断又は許容するための弁である。レギュレータH2は、燃料ガスの圧力を調整するものである。インジェクタFS2は、燃料電池FCへの燃料ガス供給量を制御するものである。遮断弁H3は、燃料電池FCへの燃料ガス供給を遮断するための弁である。
レギュレータH2は、その上流側圧力(一次圧)を、予め設定した二次圧に調圧する装置であり、例えば、一次圧を減圧する機械式の減圧弁などで構成される。機械式の減圧弁は、背圧室と調圧室とがダイアフラムを隔てて形成された筺体を有し、背圧室内の背圧により調圧室内で一次圧を所定の圧力に減圧して二次圧とする構成を有する。インジェクタFS2の上流側にレギュレータH2を配置することにより、インジェクタFS2の上流側圧力を効果的に低減させることができる。
インジェクタFS2は、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させることによりガス流量やガス圧を調整することが可能な電磁駆動式の開閉弁である。インジェクタFS2は、燃料ガス等の気体燃料を噴射する噴射孔を有する弁座と、その気体燃料を噴射孔まで供給案内するノズルボディと、このノズルボディに対して軸線方向(気体流れ方向)に移動可能に格納保持され噴射孔を開閉する弁体とを備えている。
インジェクタFS2の弁体は電磁駆動装置であるソレノイドにより駆動され、コントローラECから出力される制御信号によってインジェクタFS2のガス噴射時間及びガス噴射時期を制御することが可能なように構成されている。インジェクタFS2は、その下流に要求されるガス流量を供給するために、インジェクタFS2のガス流路に設けられた弁体の開口面積(開度)及び開放時間の少なくとも一方を変更することにより、下流側に供給されるガス流量(又は水素モル濃度)を調整する。
循環流路FS4には、遮断弁H4が設けられ、排気排水流路FS6が接続されている。排気排水流路FS6には、排気排水弁H5が設けられている。排気排水弁H5は、コントローラECからの指令によって作動することにより、循環流路FS4内の不純物を含む燃料オフガスと水分とを外部に排出するための弁である。排気排水弁H5の開弁により、循環流路FS4内の燃料オフガス中の不純物の濃度が下がり、循環系内を循環する燃料オフガス中の水素濃度を上げることができる。
排気排水弁H5を介して排出される燃料オフガスは、酸化オフガス流路AS4を流れる酸化オフガスと混合され、希釈器(図示せず)によって希釈される。循環ポンプFS5は、循環系内の燃料オフガスをモータ駆動により燃料電池FCに循環供給する。
電力系ESは、DC/DCコンバータES1と、バッテリES2と、トラクションインバータES3と、トラクションモータES4と、補機類ES5とを備えている。燃料電池システムFCSは、DC/DCコンバータES1とトラクションインバータES3とが並列に燃料電池FCに接続するパラレルハイブリッドシステムとして構成されている。
DC/DCコンバータES1は、バッテリES2から供給される直流電圧を昇圧してトラクションインバータES3に出力する機能と、燃料電池FCが発電した直流電力、又は回生制動によりトラクションモータES4が回収した回生電力を降圧してバッテリES2に充電する機能とを有する。DC/DCコンバータES1のこれらの機能により、バッテリES2の充放電が制御される。また、DC/DCコンバータES1による電圧変換制御により、燃料電池FCの運転ポイント(出力端子電圧、出力電流)が制御される。燃料電池FCには、電圧センサS1と電流センサS2とが取り付けられている。電圧センサS1は、燃料電池FCの出力端子電圧を検出するためのセンサである。電流センサS2は、燃料電池FCの出力電流を検出するためのセンサである。
バッテリES2は、余剰電力の貯蔵源、回生制動時の回生エネルギー貯蔵源、燃料電池車両の加速又は減速に伴う負荷変動時のエネルギーバッファとして機能する。バッテリES2としては、例えば、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池等の二次電池が好適である。バッテリES2には、SOC(State of charge)を検出するためのSOCセンサS3が取り付けられている。
トラクションインバータES3は、例えば、パルス幅変調方式で駆動されるPWMインバータである。トラクションインバータES3は、コントローラECからの制御指令に従って、燃料電池FC又はバッテリES2から出力される直流電圧を三相交流電圧に変換して、トラクションモータES4の回転トルクを制御する。トラクションモータES4は、例えば、三相交流モータであり、燃料電池車両の動力源を構成する。
補機類ES5は、燃料電池システムFCS内の各部に配置されている各モータ(例えば、ポンプ類などの動力源)、これらのモータを駆動するためのインバータ類、及び各種の車載補機類(例えば、エアコンプレッサ、インジェクタ、冷却水循環ポンプ、ラジエータなど)を総称するものである。
冷却系CSは、ラジエータCS1と、冷却液ポンプCS2と、冷却液往路CS3と、冷却液復路CS4とを有している。ラジエータCS1は、燃料電池FCを冷却するための冷却液を放熱して冷却するものである。冷却液ポンプCS2は、冷却液を燃料電池FCとラジエータCS1との間で循環させるためのポンプである。冷却液往路CS3は、ラジエータCS1と燃料電池FCとを繋ぐ流路であって、冷却液ポンプCS2が設けられている。冷却液ポンプCS2が駆動することで、冷却液はラジエータCS1から燃料電池FCへと冷却液往路CS3を通って流れる。冷却液復路CS4は、燃料電池FCとラジエータCS1とを繋ぐ流路であって、水温センサS5が設けられている。冷却液ポンプCS2が駆動することで、燃料電池FCを冷却した冷却液はラジエータCS1へと還流する。
コントローラEC(制御部)は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インタフェースを備えるコンピュータシステムであり、燃料電池システムFCSの各部を制御するものである。例えば、コントローラECは、イグニッションスイッチから出力される起動信号IGを受信すると、燃料電池システムFCSの運転を開始する。その後、コントローラECは、アクセルセンサから出力されるアクセル開度信号ACCや、車速センサから出力される車速信号VCなどを基に、燃料電池システムFCS全体の要求電力を求める。燃料電池システムFCS全体の要求電力は、車両走行電力と補機電力との合計値である。
ここで、補機電力には、車載補機類(加湿器、エアコンプレッサ、水素ポンプ、及び冷却水循環ポンプ等)で消費される電力、車両走行に必要な装置(変速機、車輪制御装置、操舵装置、及び懸架装置等)で消費される電力、乗員空間内に配設される装置(空調装置、照明器具、及びオーディオ等)で消費される電力などが含まれる。
そして、コントローラECは、燃料電池FCとバッテリES2とのそれぞれの出力電力の配分を決定する。コントローラECは、燃料電池FCの発電量が目標電力に一致するように、酸化ガス供給系ASS及び燃料ガス供給系FSSを制御する。また、コントローラECは、DC/DCコンバータES1に指示信号を出力し、DC/DCコンバータES1によるコンバータ制御を実行させ、燃料電池FCの運転ポイント(出力端子電圧、出力電流)を制御する。更に、コントローラECは、アクセル開度に応じた目標トルクが得られるように、例えば、スイッチング指令として、U相、V相、及びW相の各交流電圧指令値をトラクションインバータES3に出力し、トラクションモータES4の出力トルク、及び回転数を制御する。更に、コントローラECは、冷却系CSを制御して燃料電池FCが適切な温度になるように制御する。
続いて、コントローラECとDC/DCコンバータES1による燃料電池FCの運転ポイント制御について図2,図3,図4,図5を参照しながら説明する。図2は、コントローラECとDC/DCコンバータES1による燃料電池FCの運転ポイント制御を示すフローチャートである。図3は、電力フィードバック制御を説明するためのブロック図である。図4は、電圧フィードバック制御を説明するためのブロック図である。図5は、従来のフィードバック制御を説明するためのブロック図である。
ステップS01では、コントローラECが、現在の運転モードが燃料電池FCから電力の取り出しを意図した運転モードか否かを判断する。燃料電池FCから電力の取り出しを意図した運転モードとは、通常の運転モードである。一方、燃料電池FCから電力の取り出しを意図しない運転モードとは、間欠運転モード、始動・停止モード、氷点下始動モードといった運転モードの場合である。現在の運転モードが燃料電池FCから電力の取り出しを意図した運転モードの場合にはステップS02の処理に進み、現在の運転モードが燃料電池FCから電力の取り出しを意図しない運転モードの場合にはステップS03の処理に進む。
ステップS02では、コントローラECからDC/DCコンバータES1に対して、要求電力としてのFC指令パワーが出力され、DC/DCコンバータES1は電力フィードバック制御を実行する。図3に示すように、DC/DCコンバータES1は、コントローラECから出力されるFC指令パワー21と、燃料電池FCのFC発電電力22との偏差によって、FC電力偏差23(=FC指令パワー21−FC発電電力22)を算出する。このFC電力偏差23にPID補正24(比例補正(P補正)、積分補正(I補正)、微分補正(D補正))を施し、制御量としてコンバータ指令電圧を出力する。
本実施形態では、このように要求電力としてのFC指令パワー21が出力され、そのFC指令パワー21とFC発電電力22との偏差に基づいて電力フィードバック制御を行っているので、I−V推定を行わずに高速で精度の高い電力コントロールを実現することができる。比較のため、従来のフィードバック制御について図5を参照しながら説明する。図5に示すように、DC/DCコンバータは、コントローラから出力されるFC指令パワー41に基づいて、電力から電圧への変換をI−V推定に基づいて実行し、FC指令電圧42を算出する。このFC指令電圧42とFC実電圧43との偏差によって、FC電圧偏差44(=FC指令電圧−FC実電圧)を算出する。このFC電圧偏差44にPID補正45を施し、制御量としてコンバータ指令電圧を出力する。従って、I−V推定の精度が低いと、FC指令パワー41に適切に対応したFC指令電圧42を算出することができず、結果としてFC指令パワー41とFC実発電パワーとが乖離してしまう。そのように乖離した入力に基づいてFC電圧偏差44を算出し、PID補正45を施してコンバータ指令電圧を出力しても正確な制御を行うことはできない。また、I−V推定の精度が低ければ、演算速度を速めても結果は同じことになってしまい、パワー誤差を解消することはできないものである。これに対して本実施形態では、上述したようにそもそもI−V推定を必要としないので、精度の高い電力コントロールを実現することができる。
図2に戻り、ステップS03では、コントローラECからDC/DCコンバータES1に対して、燃料電池FCの運転状態に基づく要求電圧としてのFC指令電圧が出力され、DC/DCコンバータES1は電圧フィードバック制御を実行する。上述したように、ステップS03の処理は、燃料電池FCから電力の取り出しを意図しない運転モード(間欠運転モード、始動・停止モード、氷点下始動モード等)の場合に行われるものである。この場合に電力フィードバック制御を行ってしまうと、例えば間欠運転モードの場合にはDC/DCコンバータES1で動作点電圧を変化させても、燃料電池FCには燃料ガスが供給されないため発電量は増えず、PID制御中の積分項(I補正項)が発散してしまう恐れがある。そこで、本実施形態では、燃料電池FCから電力の取り出しを意図していない場合には、そもそも電力をきめ細かくコントロール必要が無いことに着目し、電圧フィードバック制御を実行することとしている。
より具体的には、図4に示すように、DC/DCコンバータES1は、コントローラECから出力されるFC指令電圧31と、燃料電池FCのFC実電圧32との偏差によって、FC電圧偏差33(=FC指令電圧31−FC実電圧32)を算出する。このFC電圧偏差33にPID補正34(比例補正(P補正)、積分補正(I補正)、微分補正(D補正))を施し、制御量としてコンバータ指令電圧を出力する。
FCS:燃料電池システム
FC:燃料電池
ASS:酸化ガス供給系
AS1:フィルタ
AS2:エアコンプレッサ
AS3:酸化ガス流路
AS4:酸化オフガス流路
AS5:加湿器
A3:背圧調整弁
CS:冷却系
CS1:ラジエータ
CS2:冷却液ポンプ
CS3:冷却液往路
CS4:冷却液復路
FSS:燃料ガス供給系
FS1:燃料ガス供給源
FS2:インジェクタ
FS3:燃料ガス流路
FS4:循環流路
FS5:循環ポンプ
FS6:排気排水流路
H1:遮断弁
H2:レギュレータ
H3:遮断弁
H4:遮断弁
H5:排気排水弁
ES:電力系
ES1:DC/DCコンバータ
ES2:バッテリ
ES3:トラクションインバータ
ES4:トラクションモータ
ES5:補機類
EC:コントローラ
S1:電圧センサ
S2:電流センサ
S3:SOCセンサ
S4,S6:圧力センサ
S5:水温センサ
ACC:アクセル開度信号
IG:起動信号
VC:車速信号
FC:燃料電池
ASS:酸化ガス供給系
AS1:フィルタ
AS2:エアコンプレッサ
AS3:酸化ガス流路
AS4:酸化オフガス流路
AS5:加湿器
A3:背圧調整弁
CS:冷却系
CS1:ラジエータ
CS2:冷却液ポンプ
CS3:冷却液往路
CS4:冷却液復路
FSS:燃料ガス供給系
FS1:燃料ガス供給源
FS2:インジェクタ
FS3:燃料ガス流路
FS4:循環流路
FS5:循環ポンプ
FS6:排気排水流路
H1:遮断弁
H2:レギュレータ
H3:遮断弁
H4:遮断弁
H5:排気排水弁
ES:電力系
ES1:DC/DCコンバータ
ES2:バッテリ
ES3:トラクションインバータ
ES4:トラクションモータ
ES5:補機類
EC:コントローラ
S1:電圧センサ
S2:電流センサ
S3:SOCセンサ
S4,S6:圧力センサ
S5:水温センサ
ACC:アクセル開度信号
IG:起動信号
VC:車速信号
Claims (1)
- 燃料電池と、前記燃料電池に接続された負荷とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池と前記負荷との間に接続され、前記燃料電池の出力を調整して前記負荷に出力するコンバータと、
前記燃料電池及び前記コンバータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記コンバータに対して、要求電力又は前記燃料電池の運転状態に基づく要求電圧を出力し、
前記コンバータは、
当該出力された要求電力と前記燃料電池の発電電力との偏差に基づいて前記負荷に出力される供給電力の調整を実行する出力フィードバック制御と、
当該出力された要求電圧と前記燃料電池の実電圧との偏差に基づいて前記負荷に出力される出力電圧の調整を実行する電圧フィードバック制御と、
を選択的に実行するものであって、
前記燃料電池から電力の取り出しを意図する運転モードの場合には前記出力フィードバック制御を選択し、前記燃料電池から電力の取り出しを意図しない運転モードの場合には前記電圧フィードバック制御を選択することを特徴とする燃料電池システム。
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