以下、本発明による基板収納容器の好適な実施形態について図1〜図20を参照しながら説明する。なお、各図において、同一の要素には同一の記号を付し、重複する説明は省略する。
図1〜図14は、本発明の第一実施形態を、図15は、本発明の第二実施形態を、図16及び図17は、本発明の第三実施形態を、図18〜図20は、本発明の第四実施形態を各々示すものであり、先ず、図1〜図14に示す第一実施形態を説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る基板収納容器を示す斜視図であり、コンテナ部材の開口をドア部材により閉鎖しロックした状態の斜視図、図2は、基板収納容器の開口側の右側面図、図3は、基板収納容器の開口側をコンテナ部材及びドア部材を破断して見た斜視図、図4は、基板収納容器の開口側の縦断面図、図5は、図2から***作手段及び支持部を取り外した図、図6は、図2からロックを解除した図、図7は、図6からドア部材を取り外した図、図8は、図7の斜視図、図9〜図11は、コンテナ部材の各斜視図、図12〜図14は、***作手段を示す各図である。
図1に示す基板収納容器100は、半導体ウェハ等の基板A(図8参照)を1枚又は複数枚収納(ここでは複数枚収納)し、輸送、搬送、保管等に使用される収納容器であり、基板Aを収納する全体又は少なくとも一部が透明なコンテナ部材1と、このコンテナ部材1に設けられた開口1a(図9参照)を閉鎖するためのドア部材2と、このドア部材2をコンテナ部材1に係合するための係合手段3を、図2及び図3に示すように、コンテナ部材1の開口側の両側壁側に備えている。
この係合手段3は、詳しくは後述するが、図2、図3及び図6に示すように、上下方向(一軸方向)に延びるシャフト部材4と、このシャフト部材4をコンテナ部材側に軸支する上下一対の支持部5と、シャフト部材側の上下の係合部6cを有する上下のシャフト係合部材6及びシャフト部材側の上下の係合部6cに係合するドア部材側の上下の係合部2bと、を有し、シャフト部材4及びシャフト係合部材6により、他のものに操作される(実際には上方/下方に押圧される)***作手段8が構成されている。
コンテナ部材1は、図1〜図3及び図9に示すように、箱型を成して矩形の正面開口1aを備えると共に、開口1aの周縁に沿って、外側に張り出すリム部1bを備え、このリム部1bの内側にドア部材2を収納する構成とされている。
ドア部材2は、図1及び図8に示すように、開口1aに対応して矩形とされ、その表面には、把持用の凹部2aが設けられている。このドア部材2には、コンテナ部材1の開口1aを密封するためのシールガスケット2g(図7参照)が全周に亘って装着され、コンテナ部材1の開口1aをドア部材2により閉鎖すると、ドア部材2とコンテナ部材1の内面との間にシールガスケット2gが挟持される構成とされている。
ここで、特に本実施形態のドア部材2にあっては、その両側面(外面)に、図2及び図3に示すドアロック時に上下のシャフト部材側の係合部6cが係合する上下のドア部材側の係合部2b(図5及び図6参照)を各々有すると共に、図6に示すドアロック解除時にシャフト部材側の係合部6cの移動を許容する(係合部6cが進入してくる)上下の空間領域2e(図2、図3及び図5参照)を各々有している。
具体的には、図5、図7及び図8に示すように、ドア部材側の係合部2bは、ドア部材2の側面に上下方向(シャフト部材4の軸線方向)に延びる凹部(切欠)2cを形成することにより、その隣に形成された凸部であり、上方に行くに従いコンテナ部材1側に傾斜する凹部2cの側面により、凸部2bの幅が上方に行くに従い狭くなる傾斜面2dを有する構成とされている。そして、この凹部2cは、図2に示すドアロック時にシャフト部材側の係合部6cの移動を許容する(係合部6cが進入してくる)空間領域としても機能し、この空間領域である凹部2cを上方に連続して延在させることにより、前述した凹部である空間領域2eが形成されている。
また、特に本実施形態のコンテナ部材1にあっては、図5に示すように、ドア部材側の係合部である凸部2b、凹部である空間領域2c,2eに対応する両側面の上下位置に、図5、図8〜図11に示すように、コンテナ部材1の側壁の内外を連通する長方形状の開口(貫通孔;切欠)1cを有し、この開口1cを通して、図5に示すように、ドア部材2の凸部2b、凹部である空間領域2c,2eが覗ける構成とされている。また、コンテナ部材1は、図5及び図9〜図11に示すように、この開口1cの反リム部側(コンテナ部材1の背面側)に隣接し上下方向に延びる凹部1dを、シャフト部材4及び支持部5を収容するものとして有している。また、この凹部1dには、シャフト部材4の軸線回りの回転を防止するための回転防止機構の一方を構成する長溝1eが上下方向に延びるように設けられている。
また、凹部1dの上下位置には、図2、図3及び図6に示すように、シャフト部材4を軸支し芯ずれを防止して軸線方向に摺動させるための支持部5が各々軽圧入されてセットされている。この支持部5としては、ガイドブッシュ等の軸受部材を用いることができ、また、ベアリングを内蔵しても良い。
***作手段8(係合手段3から支持部5及びドア部材側の係合部2bを除いたもの)は、図2に示すように、コンテナ部材1の側壁とほぼ同じ長さで円柱形状のシャフト部材4及びシャフト係合部材6を備え、シャフト部材4は、支持部5に通されて軸支されコンテナ部材1の凹部1dの設置位置に配置されている。
このシャフト部材4(後述する中央シャフト4a及び端部シャフト4b,4b)は、SUSやアルミ等の金属材料や、ポリエーテルエーテルケトンやポリカーボネート等の剛性を有する合成樹脂や、炭素繊維やガラス繊維等で補強された合成樹脂から形成できる。
シャフト部材4の両端部側は、上下方向の外方に各々突出し、両端部はこれを除く部分よりも太く形成されて両端面が各々平坦面4x,4yとされている。この平坦面4x,4yは、別途用意されるドア部材開閉機構の駆動部(不図示)に当接する部位であり、上側の平坦面4xはドアロック時に上方から押圧され、下側の平坦面4yはドアロック解除時に下方から押圧される。なお、シャフト部材4の下端部をくわえ込んでドアロック時に下方に引き下げ、シャフト部材4の上端部をくわえ込んでドアロック解除時に上方に引き上げるようにしても良い。
また、シャフト部材4は、図2及び図12〜図14に示すように、その軸線方向の途中に拡径されたフランジ部4gを備え、図2に示すように、このフランジ部4gと、これより上方に位置しシャフト部材4に外挿されると共にコンテナ部材1に当接する座金11との間に、シャフト部材4を囲繞するように圧縮スプリングであるコイルスプリング(付勢手段)10が配置されている。このコイルスプリング10は、シャフト部材側の係合部6cがドア部材側の係合部2bに係合するようにシャフト部材4を軸線方向の一方側に押圧するためのものであり、ここでは、その付勢力によってシャフト部材4を下方に押圧する。
また、シャフト部材4には、図12〜図14に示すように、当該シャフト部材4の軸線回りの回転を防止するための回転防止機構の他方を構成するピン4hが突設されており、このシャフト部材4のピン4hが、前述したコンテナ部材1の上下方向に延びる長溝1e(図5及び図11参照)に進入することで、シャフト部材4が軸線回りに回転することが防止されていると共に、シャフト部材4が軸線方向に移動することが可能とされている。
そして、シャフト部材4は、図12〜図14に示すように、ここでは、中央部分を構成する中央シャフト4aと、この中央シャフト4aとは別部材とされて中央シャフト4aの両端部を構成する端部シャフト4b,4bと、を備える構成とされている。
中央シャフト4aの両端部は、図12及び図14に示すように、段差を介して中央部分より小径の小径部4fとされ、この小径部4fの端面に、軸線方向に沿って突出し小径部4fより小径の凸部4dが設けられると共に、この凸部4dの外周面に雄螺子が形成されている。一方、端部シャフト4bの中央シャフト4a側の端部には、軸線方向に沿って凹む凹部4eが設けられ、この凹部4eの内周面に、凸部4dの雄螺子に螺合する雌螺子が形成されている。
そして、図12に示すように、中央シャフト4aにコイルスプリング10及び座金11を通し、図12〜図14に示すように、シャフト係合部材6の円筒状の固定部6aを中央シャフト4aの小径部4fに外挿して段差に突き当て、中央シャフト4aの凸部4dの雄螺子に端部シャフト4bの凹部4eの雌螺子を螺合し中央シャフト4aに端部シャフト4bを連結することで、中央シャフト4aと端部シャフト4bとの間にシャフト係合部材6の固定部6aが挟持されて固定された***作手段8が得られる。
従って、この***作手段8をコンテナ部材1に組み付ける場合には、支持部5をコンテナ部材1の凹部1dの設置位置に組み込むと共に、***作手段8の端部シャフト4b,4bを除いた部分をコンテナ部材1の凹部1dの設置位置に配置し、端部シャフト4bを支持部5に外側から内挿し中央シャフト4aの凸部4dの雄螺子に端部シャフト4bの凹部4eの雌螺子を螺合して中央シャフト4aに端部シャフト4bを連結すれば良く、このようにシャフト部材4を分割しているため、***作手段8をコンテナ部材側に容易に取り付けることができる。
なお、中央シャフト4aの両端部に凹部を設けて雌螺子を形成し、端部シャフト4bの中央シャフト4a側の端面に凸部を設けて中央シャフト4aの凹部の雌螺子に螺合する雄螺子を設けるようにしても勿論良く、この他、係止フックと係止ホックを、中央シャフト4a、端部シャフト4bに各々設けて連結するようにしても良い。
シャフト部材4に連結されたシャフト係合部材6は、図12〜図14に示すように、中央シャフト4と端部シャフト4bとの間に挟持固定された固定部6aと、この固定部6aから略L字状に張り出すアーム部6bと、このアーム部6bとは別部品とされ当該アーム部6bの先端に装着されてドア部材側の係合部2bに接触し係合するシャフト部材側の係合部としての接触部材6cと、を備える。
接触部材6cは、これに接触し係合するドア部材側の係合部2bより低摩耗性の材質から形成されており、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリエーテルイミド等の摺動性が良好な合成樹脂、或いは、ポリカーボネート等その他の合成樹脂にPTFE等のフッ素系樹脂やシリコン樹脂等の摺動性を改質するための添加剤を付与したもの、各種熱可塑性エラストマーから形成できる。
この接触部材6cの表面は、シャフト部材4の軸線方向の移動(本実施形態では下方への移動)によって、ドア部材側の係合部2bの傾斜面2dに互いに合わさり係合する傾斜面6dとされている。具体的には、下方に行くに従いリム部1b側(前方)に傾斜する、換言すれば、接触部材6cを、コイルスプリング10による付勢方向である下方側が薄く、これとは反対側である上方側が厚くなるようにする傾斜面6dとされている(図4参照)。そして、この接触部材6cは、アーム部6bの先端表面に突設された凸部(不図示)が、当該接触部材6cの裏面(傾斜面6dの反対側の面)に設けられた凹部6e,6e(図12参照)に嵌合することで固着されている。
そして、このようなしっかりとした嵌合により、接触部材6cがドア部材側の係合部2bに対して係合する際に、当該接触部材6cがアーム部6bに対して位置ずれを起こすことが防止されている。なお、接触部材6cのアーム部6bに対する固着は、他に、螺子によるもの、熱溶着や超音波溶着によるもの等を採用できる。
因みに、接触部材6cを用いずに、アーム部6bの先端表面を、ドア部材側の係合部2bに接触し係合する面とし、この面に、フッ素系樹脂やポリエーテルエーテルケトン等の合成樹脂や、ダイヤモンドライクカーボン等のコーティングするようにして、当該面を、ドア部材側の係合部2bより低摩耗性としたシャフト部材側の係合部としても良い。
そして、このような構成を有するシャフト係合部材6は、図2及び図3に示すドアロック状態にあっては、その接触部材6cの傾斜面6dがドア部材側の係合部2bの傾斜面2dに当接した状態とされている。
また、コンテナ部材1は、図4に示すように、支持部5の軸線方向の上下方向に各々隣接して遮蔽部材12,12を備えている。この遮蔽部材12は、例えばシャフト部材4の軸線方向の移動時にシャフト部材4と支持部5との摺接で生じたパーティクル等の汚染物が、シャフト部材4の外周面を伝う気流によって空間領域2c,2eに向かうのを遮蔽する(阻止する)ためのものであり、円環状に構成され、コンテナ部材1に設けられた円環状溝1fにその外周側が収納保持されると共に、その内周側が、支持部5から軸線方向に離間する方向へ湾曲して(上側の遮蔽部材12の内周側は上方へ、下側の遮蔽部材12の内周側は下方へ反り返って)シャフト部材4の外周面に摺接するように構成されている。なお、遮蔽部材12は、ここでは、コンテナ部材1側に設けられているが、シャフト部材4側に設けられていても良い。
この遮蔽部材12は、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、各種熱可塑性エラストマーや、フッ素ゴム、EPDM、SBR、NBR等のゴムから形成できる。なお、遮蔽部材12は上記形状に限定されず、一般的に使用されるOリングを用いることもできる。
そして、本実施形態の基板収納容器100にあっては、係合手段3(シャフト部材4、支持部5、シャフト部材側の係合部6cを有するシャフト係合部材6及びドア部材側の係合部2b)の大部分が、図1及び図8に示すように、コンテナ部材1の両側面に取り付けられたカバー7により各々覆われており、コンテナ部材1とカバー7との間に設けられた例えばOリング等のシール部材により密封が図られている。
このような構成を有する基板収納容器100によれば、図2及び図3に示すドアロック状態では、シャフト部材側の係合部である接触部材6cの傾斜面6dがドア部材側の係合部2bの傾斜面2dに密着し、しっかりと保持された状態とされている。このとき、シャフト部材4のピン4hがコンテナ部材1の長溝1eに進入し当該シャフト部材4の軸線回りの回転が防止されているため、シャフト部材側の傾斜面6dがドア部材側の傾斜面2dに対してずれること無く一層密着し一層しっかりと保持された状態とされている。
そして、ドアロック解除時にあっては、ドア部材開閉機構の駆動部により下方の平坦面4yをコイルスプリング10の付勢力に抗して上方に押圧する。すると、シャフト部材4及びシャフト係合部材6より成る***作手段8が軸線方向に沿って上方に移動し、この移動によってシャフト部材側の係合部6cは、ドア部材側の傾斜面2dに密着し係合する係合位置から上方に移動して空間領域2eに進入し、図6に示すように、係合を解除する係合解除位置まで移動することで、ドアロックが解除される。
そして、ドア部材2の把持用の凹部2aを把持して、図7及び図8に示すように、手前側に引き出せば、ドア部材2をコンテナ部材1から取り外すことができる。
一方、ドア部材2をコンテナ部材1に取り付けてドアロック状態とする場合には、ドア部材2の把持用の凹部2aを把持して、図6に示すように、コンテナ部材1内の所定位置に押し込み、次いで、ドア部材開閉機構の駆動部により上方の平坦面4xを下方に押圧する。すると、シャフト部材4及びシャフト係合部材6より成る***作手段8が軸線方向に沿って下方に移動し、このとき、コイルスプリング10の付勢力が補助とされながら移動し、この移動によってシャフト部材側の係合部6cは、係合解除位置から凹部の空間領域2cに進入し、図2及び図3に示すように、ドア部材側の傾斜面2dに密着し係合する係合位置まで移動することで、ドアロック状態とされる。
このように、本実施形態においては、ドア部材2をコンテナ部材1に係合するための係合手段3(シャフト部材4、支持部5、シャフト部材側の係合部6cを有するシャフト係合部材6及びドア部材側の係合部2b)が、ドア部材2及びコンテナ部材1の外面に設けられ、従前のように係合手段がドア部材に内蔵されていないため、ドア部材2内に汚染物が溜まってしまうことが無くなりコンテナ部材1内の汚染が防止されると共に、ドア部材2を分解すること無く係合手段3の点検、補修、洗浄を行うことができ、加えて、ドア部材2内に係合手段を収容する空間を設ける必要が無くドア部材2の薄型化が図られている。
また、シャフト部材側の係合部6cがドア部材側の係合部2bに係合するように、シャフト部材4を軸線方向の一方側に押圧する付勢手段であるコイルスプリング10を有し、当該コイルスプリング10によりシャフト部材側の係合部6cがドアロックするように付勢されているため、ドア部材開閉機構によるものではない意図しないドアロック解除が防止されると共に、シャフト部材側の係合部6cがドア部材側の係合部2bに対して係合する際の補助として機能させることができる。
また、回転防止機構1e,4hを有しているため、シャフト部材4が軸線回りに回転してしまうことが防止されて軸線方向の移動のみが許容され、ドアロック/ドアロック解除が確実に行うことが可能となっている。
また、シャフト係合部材6は、シャフト部材4とは別部品とされシャフト部材4に連結されているため、シャフト部材とシャフト係合部材とを一体とした一体成形品に比して、そのコンテナ部材側への取り付けが容易とされている。
また、両係合部2b,6cは、シャフト部材4の軸線方向の移動によって軸線方向に移動し互いに合わさることで係合する傾斜面2d,6dを有する構成のため、簡易な構成でしっかりとドアロックを行うことができる。
また、シャフト部材側の係合部6cは、ドア部材側の係合部2bより低摩耗性の材質から構成されているため、確実なドアロックが長期間に亘って実現できる。
また、シャフト部材4が軸線方向に移動するとき(特にドアロック解除時)に、外部からシャフト部材4の外周面を伝って空間領域2c,2eに向かう気流を遮蔽するための遮蔽部材12が、シャフト部材4の外周面に対して配設されているため、当該遮蔽部材12によって、シャフト部材4の軸線方向の移動時にシャフト部材4と支持部5との間で生じたパーティクル等の汚染物が、コンテナ部材1内に侵入することが防止され、コンテナ部材1内の汚染防止が一層図られている。
さらに、係合手段3が、カバー7によりシール可能に覆われているため、コンテナ部材1内の汚染が一層防止されている。
なお、この第一実施形態及び以降の第二実施形態〜第四実施形態にあって、コンテナ部材1内にエアーを供給するようにすると、ドアロック解除時に、パーティクル等の汚染物がコンテナ部材1内に侵入することを一層防止できる。
図15は、本発明の第二実施形態に係る基板収納容器の要部を示す斜視図であり、図3に対応する図である。
この第二実施形態の基板収納容器200が第一実施形態の基板収納容器100と違う点は、シャフト部材4が軸線方向に沿って上下方向に移動するときに、外部から空間領域2c,2e(空間領域2cは、凹部であり図2に示すドアロック時にシャフト部材側の係合部6cの移動(進入)を許容するもの、空間領域2eは、凹部であり図6に示すドアロック解除時にシャフト部材側の係合部6cの移動(進入)を許容するもの)に向かう気流を遮蔽するための遮蔽部材13を、空間領域2c,2eへの流路を塞ぐように設けた点である。
この遮蔽部材13は、ここでは、伸縮自在なベローズとされて、シャフト係合部材6を挟んで上側と下側に各々配設されており、上側の遮蔽部材13は、シャフト係合部材6(具体的にはアーム部6b)の上端面とコンテナ部材1の開口1cを形成する上側の面とに連結され、下側の遮蔽部材13は、シャフト係合部材6(具体的にはアーム部6b)の下端面とコンテナ部材1の開口1cを形成する下側の面とに連結されている。
このような第二実施形態によれば、シャフト部材4が軸線方向に移動するとき(特にドアロック解除時)に、シャフト係合部材6の移動に追従する遮蔽部材13によって、例えばシャフト部材4が上方に移動する場合には上側の遮蔽部材13が縮むと共に下側の遮蔽部材13が伸び、例えばシャフト部材4が下方に移動する場合には上側の遮蔽部材13が伸びると共に下側の遮蔽部材13が縮むことで遮蔽し、シャフト部材4の軸線方向の移動時にシャフト部材4と支持部5との間で生じたパーティクル等の汚染物が、空間領域2c,2eを通じてコンテナ部材1内に侵入することが防止され、コンテナ部材1内の汚染防止が一層図られている。
なお、遮蔽部材13を、ベローズに代えて、伸縮自在でシャフト係合部材6の移動に追従する薄膜やフィルムとしても良く、また、例えば邪魔板としても良い。この邪魔板とする場合には、伸縮自在に変形しないため、上側の邪魔板は、シャフト係合部材6の上端面に固着し、これに対応するコンテナ部材1の開口1cを形成する上側の面に、上昇してくる邪魔板の収納を可能とする溝を設けると共に、下側の邪魔板は、シャフト係合部材6の下端面に固着し、これに対応するコンテナ部材1の開口1cを形成する下側の面に、下降してくる邪魔板の収納を可能とする溝を設けるようにし、このようにシャフト係合部材6の上下移動に対応できるように構成すれば良い。
因みに、遮蔽部材13は、第一実施形態で説明した遮蔽部材12と併用しても良いし、この遮蔽部材13で十分に効果が発揮できれば、遮蔽部材12は無くても良い。
図16は、本発明の第三実施形態に係る基板収納容器の開口側を示す右側面図であり、図2に対応するドアロック状態を示す図、図17は、図16に示す状態からロック解除した状態を示す図である。
この第三実施形態の基板収納容器300にあっては、コンテナ部材21の両側壁の上下位置の各々に支持部25が設けられ、この支持部25,25に上下方向に延びるシャフト部材24が軸支されている。このシャフト部材24の支持部25に対応する位置には、上下方向に延びる長孔(不図示)が回転防止機構の一方を構成するものとして設けられており、この長孔に、支持部25に水平となるように設けられた回転防止機構の他方を構成するピン25aが遊嵌配置されることで、シャフト部材24は軸線方向(上下方向)に移動可能且つ軸線回りに回転不能とされている。そして、シャフト部材24は、その軸線方向中央部が、コンテナ部材21の側壁に一端が回転自在に連結されたV字状のバネ部材(付勢手段)20のその他端に回転自在に連結され、下方に付勢された状態とされている。
シャフト部材24の上下部には、各々ピン24aが突設されており、シャフト部材24の開口側(図示左側)には、ピン24aを遊嵌配置することでシャフト部材24の軸線方向に沿う上下動を許容する長孔26aを一端に有すると共に、他端に、回転可能な回転ローラ26cをシャフト部材側の係合部として有し、中央部が、コンテナ部材21の側壁の立設ピン27に回転可能に支持されたシャフト係合部材26が配置されている。
このシャフト係合部材26の他端の回転ローラ26は、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート等の摺動性が良好な合成樹脂、或いは、合成樹脂にPTFE等のフッ素系樹脂やシリコン樹脂等の摺動性を改質するための添加剤を付与したものから形成できる。
一方、本実施形態のドア部材22にあっては、その両側面(外面)に、図16に示すドアロック時に上下のシャフト部材側の係合部である回転ローラ26cが係合する上下のドア部材側の係合部22bを各々有すると共に、図17に示すドアロック解除時にシャフト部材側の係合部である回転ローラ26cの移動を許容する(回転ローラ26cが進入してくる)上下の空間領域22eを各々有している。
具体的には、ドア部材側の係合部22bは、ドア部材22の側面に上下方向に延びる凹部(切欠)22cを形成することにより、その隣に形成された凸部である。そして、この凹部22cは、図16に示すドアロック時にシャフト部材側の係合部である回転ローラ26cの移動を許容する(回転ローラ26cが進入してくる)空間領域としても機能し、この空間領域である凹部22cを下方に連続して延在させることにより、前述した凹部である空間領域22eが形成されている。
これに対応してコンテナ部材21は、ドア部材側の係合部である凸部22b、凹部である空間領域22c,22eに対応する両側面の上下位置に、これらを覗ける長方形状の開口(貫通孔;切欠)21cを有する構成とされている。
そして、上記シャフト部材側の係合部である回転ローラ26cは、開口21cを通してドア部材22の空間領域22cに進入し、ドア部材側の係合部22bに当接した状態とされている。
なお、シャフト部材24と、支持部25と、シャフト部材側の係合部である回転ローラ26cを有するシャフト係合部材26及びドア部材側の係合部22bにより、ドア部材22をコンテナ部材21に係合するための係合手段23が構成されている。
このような構成を有する基板収納容器300によれば、図16に示すドアロック状態では、シャフト部材側の係合部である回転ローラ26cがドア部材側の係合部22bに密着し、しっかりと保持された状態とされている。このとき、シャフト部材24の長孔と支持部25のピン25aにより構成された回転防止機構によりシャフト部材24の軸線回りの回転が防止されているため、シャフト部材側の係合部である回転ローラ26cがドア部材側の係合部22dに対してずれること無く一層密着し一層しっかりと保持された状態とされている。
そして、ドアロック解除時にあっては、ドア部材開閉機構の駆動部によりシャフト部材24の下部が、V字状バネ部材20の付勢力に抗して上方に押圧されて当該シャフト部材24が上方に移動し、この移動によって、シャフト係合部材26が立設ピン27を軸心として反時計回りに回転し、シャフト部材側の係合部である回転ローラ26cは、ドア部材側の係合部22dに密着し係合する係合位置から反時計回りに移動して空間領域22eに進入し、図17に示すように、係合を解除する係合解除位置まで移動することで、ドアロックが解除される。これにより、ドア部材22を取り外すことができる。
一方、ドアロック時にあっては、ドア部材開閉機構の駆動部によりシャフト部材24の上部が下方に押圧されて当該シャフト部材24が下方に移動し、このとき、V字状バネ部材20の付勢力が補助とされながら移動し、この移動によって、シャフト係合部材26が立設ピン27を軸心として時計回りに回転し、シャフト部材側の係合部である回転ローラ26cは、係合解除位置から空間領域22cに進入し、図16に示すように、ドア部材側の係合部22dに密着し係合する係合位置まで移動することで、ドアロック状態とされる。
このように、本実施形態においても、ドア部材22をコンテナ部材21に係合するための係合手段23が、ドア部材22及びコンテナ部材21の外面に設けられているため、コンテナ部材21内の汚染が防止されると共に、ドア部材22を分解すること無く係合手段23の点検、補修、洗浄を行うことができ、加えて、ドア部材22内に係合手段を収容する空間を設ける必要が無くドア部材22の薄型化が図られている。
また、シャフト部材側の係合部である回転ローラ26cがドア部材側の係合部22bに係合するように、シャフト部材4を軸線方向の一方側に押圧する付勢手段であるV字状バネ部材20を有しているため、ドア部材開閉機構によるものではない意図しないドアロック解除が防止されると共に、シャフト部材側の係合部である回転ローラ26cがドア部材側の係合部22bに対して係合する際の補助として機能させることができる。
また、回転防止機構25aを有しているため、シャフト部材24が軸線回りに回転してしまうことが防止されて軸線方向の移動のみが許容され、ドアロック/ドアロック解除が確実に行うことが可能となっている。
加えて、シャフト部材側の係合部として回転ローラ26cを用い、この回転ローラ26cを立設ピン27を軸心として回転させドア部材側の係合部22bに当接させることで係合するようにしているため、第一実施形態に比して、擦れが少なくパーティクル等の汚染物の発生をより低減できる。
図18は、本発明の第四実施形態に係る基板収納容器の***作手段及び支持部を示す斜視図であり、ドアロック状態を示す図、図19は、図18に示す状態からロック解除した状態を示す斜視図、図20は、図18のドアロック状態、図19のロック解除状態を説明するための模式平面図である。
この第四実施形態の基板収納容器400にあっては、円柱形状のシャフト部材34が、コンテナ部材31側の複数の支持部35に支持されると共に、上下位置に、外方に突出する突部(ピン)34aを各々有し、当該シャフト部材34を囲繞するように配設されたコイルスプリング30により、下方に付勢される構成とされている。なお、このシャフト部材34は、図示を省略した回転防止機構により軸線回りの回転が防止されている。
また、シャフト部材34の突部34aが進入し係合するカム溝36bと、円筒状に構成され周壁に上記カム溝36bを有することでシャフト部材34に軸線回りに回動可能に連結された円筒部36aと、この円筒部36aから湾曲して張り出したアーム部36dと、このアーム部36dの先端に回転可能に支持されシャフト部材側の係合部を構成する回転ローラ36cと、を有するカム部材が、シャフト係合部材36として設けられている。
そして、ドア部材32にあっては、その両側面(外面)に、図20に示すように、実線で示すドアロック時に上下のシャフト部材側の係合部である回転ローラ36cが係合する上下のドア部材側の係合部32bを各々有すると共に、回転ローラ36cの移動を許容する(回転ローラ36cが進入してくる)空間領域32cを有し、仮想線で示すドアロック解除時に回転ローラ36cの移動を許容する上下の空間領域32eを各々有している。
そして、上記シャフト部材側の係合部である回転ローラ36cは、ドア部材32の空間領域32cに進入し、ドア部材側の係合部32bに当接した状態とされている。
なお、シャフト部材34と、支持部35と、シャフト部材側の係合部である回転ローラ36cを有するシャフト係合部材36及びドア部材側の係合部32bとにより、ドア部材32をコンテナ部材31に係合するための係合手段33が構成されている。また、シャフト部材34及びシャフト係合部材36により***作手段が構成されている。
このような構成を有する基板収納容器400によれば、図18に示すドアロック状態では、シャフト部材側の係合部である回転ローラ36cがドア部材側の係合部32bに密着し、しっかりと保持された状態とされている。このとき、回転防止機構によりシャフト部材34の軸線回りの回転が防止されているため、シャフト部材側の係合部である回転ローラ36cがドア部材側の係合部32bに対してずれること無く一層密着し一層しっかりと保持された状態とされている。
そして、ドアロック解除時にあっては、ドア部材開閉機構の駆動部によりシャフト部材34の下部が、コイルスプリング(付勢手段)30の付勢力に抗して上方に押圧されて当該シャフト部材34が上方に移動し、この移動によって、突部34aが進入するカム溝36bを備えた円筒部36aが図20の反時計回りに回転し、シャフト部材側の係合部である回転ローラ36cは、ドア部材側の係合部32bに密着し係合する係合位置から反時計回りに移動して空間領域32eに移動し、係合を解除する係合解除位置まで移動することで、ドアロックが解除される。これにより、ドア部材32を取り外すことができる。
一方、ドアロック時にあっては、ドア部材開閉機構の駆動部によりシャフト部材34の上部が下方に押圧されて当該シャフト部材34が下方に移動し、このとき、コイルスプリング30の付勢力が補助とされながら移動し、この移動によって、突部34aが進入するカム溝36bを備えた円筒部36aが図20の時計回りに回転し、シャフト部材側の係合部である回転ローラ36cは、係合解除位置から空間領域32cに進入し、ドア部材側の係合部32bに密着し係合する係合位置まで移動することで、ドアロック状態とされる。
このような第四実施形態にあっても、第三実施形態とほぼ同様な効果を得ることができるというのはいうまでもない。
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、係合手段3,23,33をコンテナ部材1,21,31の両側壁側に各々設けているが、上壁側と底壁側に各々設けるようにしても良い。また、1本のシャフト部材4,24,34により複数の係合部(上下の係合部)を係合させるようにしているが、シャフト部材を係合部ごとに設ける(一対一に対応させる)ようにしても良い。また、第一実施形態〜第三実施形態のシャフト部材4,24は円柱に限定されるものではなく、角柱であっても良い。なお、角柱の場合には、軸支する支持部の筒孔も角形状とされて回転が防止されるため、回転防止機構を別途設けなくても良い。
また、付勢手段は、例示したようなコイルスプリング10,30やV字状バネ部材20の他、各種形状のバネ部材、板バネ、ゴム等の弾性部材、或いは、エアバックや熱等によって膨張可能な袋状部材としても良い。また、付勢手段は一箇所に複数個設けても良い。
また、第三、第四実施形態においても、係合手段23,33を、カバーによりシール可能に覆うようにし、コンテナ部材21,31内の汚染を一層防止するのが好ましい。
1,21,31…コンテナ部材、1a…コンテナ部材の開口、1e…長溝(回転防止機構)、2,22,32…ドア部材、2b,22b,32b…ドア部材側の係合部、2c,2e,22c,22e,32c,32e…空間領域、2d,6d…傾斜面、3,23,33…係合手段、4,24,34…シャフト部材、4h,25a…ピン(回転防止機構)、5,25,35…支持部、6,26…シャフト係合部材、6a…固定部(シャフト係合部材からシャフト部材側の係合部を除いた部分)、6b…アーム部(シャフト係合部材からシャフト部材側の係合部を除いた部分)、6c…接触部材(シャフト部材側の係合部)、7…カバー、10,30…コイルスプリング(付勢手段)、12…遮蔽部材、13…ベローズ(遮蔽部材)、20…V字状バネ部材(付勢手段)、26c,36c…回転ローラ(シャフト部材側の係合部)、34a…シャフト部材の突部、36b…カム溝、36…カム部材(シャフト係合部材)、100,200,300,400…基板収納容器、A…基板。