以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示し、図中、1はキャブ昇降装置を備えた建設機械としてのリフトキャブ式の油圧ショベルを示している。そして、リフトキャブ式の油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回輪3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4とにより、自走可能な車体が構成されている。また、上部旋回体4の前部側には作業装置5が俯仰動可能に設けられ、この作業装置5を用いて建築物の解体作業等を行うものである。
ここで、油圧ショベル1の上部旋回体4は、強固な支持構造体をなす旋回フレーム6と、該旋回フレーム6の後端側に配設されたカウンタウエイト7と、該カウンタウエイト7の前側に配設され、エンジン、油圧ポンプ等の搭載機器(いずれも図示せず)を収容する建屋カバー8とを備えて構成されている。
そして、旋回フレーム6の前部左側には運転室を画成するキャブ9が配置され、旋回フレーム6とキャブ9との間には、キャブ9を上,下方向に昇降させる後述のキャブ昇降装置11が設けられている。ここで、キャブ9内には、減圧弁型パイロット弁を用いて構成された走行用操作レバー・ペダル、作業用操作レバー等の各種の操作レバー(いずれも図示せず)が配置され、これら各種の操作レバーを操作することにより、下部走行体2の走行動作、上部旋回体4の旋回動作、作業装置5の動作を制御する構成となっている。
11は旋回フレーム6とキャブ9との間に設けられたキャブ昇降装置で、該キャブ昇降装置11は、キャブ9を図1中の実線で示す下降位置と二点鎖線で示す上昇位置との間で昇降させるものである。そして、キャブ昇降装置11は、図2ないし図4に示すように、後述の基台12、平行リンク22、キャブベッド31、昇降シリンダ37等により構成されている。
12はキャブ昇降装置11のベースとなる基台で、該基台12は、建屋カバー8の左前側に位置して旋回フレーム6上に立設されている。ここで、基台12は、旋回フレーム6に固定される平板状のベース板13と、該ベース板13の左,右方向の両端側に立設され、ほぼ「く」字型に屈曲しつつ上,下方向に延びた左,右の側面板14,15と、ベース板13の後端側に立設されて上,下方向に延び、左,右の側面板14,15間を連結する後面板16と、左,右の側面板14,15の上端側を連結して左,右方向に延びる円筒状の補強梁17とにより大略構成されている。
そして、左,右の側面板14,15の内側には、後述の平行リンク22を取付けるための左,右のリンクブラケット18,19が、後面板16と補強梁17とに固着されて配設されている。また、左,右のリンクブラケット18,19の内側には、後述の昇降シリンダ37を取付けるための左,右のシリンダブラケット20,21が、後面板16と補強梁17とに固着されて配設されている。また、後面板16には、後述の各油圧ホース38が挿通されるホース挿通孔16Aが形成されている。
22は基端側が基台12に連結された平行リンクで、該平行リンク22は、後述のキャブベッド31を基台12に対して上,下方向に移動可能に支持するものである。そして、平行リンク22は、上,下方向に互いに平行となるように配置された上リンク部材23と下リンク部材24とにより大略構成され、これら上,下のリンク部材23,24は、それぞれ左,右方向で対をなしている。
ここで、上リンク部材23は、四角形の断面形状を有する角筒体からなり、左,右方向に一定の間隔を保った状態で、基台12とキャブベッド31との間に前,後方向に延びて配置されている。そして、左側の上リンク部材23の基端部23Aは、基台12の左側面板14と左リンクブラケット18とに基台連結軸25を用いて回転可能に連結され、左側の上リンク部材23の先端部23Bは、キャブベッド31にキャブベッド連結軸26を用いて回転可能に連結されている。また、右側の上リンク部材23の基端部23Aは、基台12の右側面板15と右リンクブラケット19とに基台連結軸25を用いて回転可能に連結され、右側の上リンク部材23の先端部23Bは、キャブベッド31にキャブベッド連結軸26を用いて回転可能に連結されている。
一方、左,右の下リンク部材24も、上リンク部材23と同様な四角形の断面形状を有する角筒体からなり、上リンク部材23とほぼ等しい長さを有している。そして、左,右の下リンク部材24は、それぞれ左,右の上リンク部材23の下方に平行となるように配置され、基台12とキャブベッド31との間を前,後方向に延びている。そして、左側の下リンク部材24の基端部24Aは、基台12の左側面板14と左リンクブラケット18とに基台連結軸27を用いて回転可能に連結され、左側の下リンク部材24の先端部24Bは、キャブベッド31にキャブベッド連結軸28を用いて回転可能に連結されている。また、右側の下リンク部材24の基端部24Aは、基台12の右側面板15と右リンクブラケット19とに基台連結軸27を用いて回転可能に連結され、右側の下リンク部材24の先端部24Bは、キャブベッド31にキャブベッド連結軸28を用いて回転可能に連結されている。
29は左,右の上リンク部材23間に配設された上面カバーで、該上面カバー29は、左,右の上リンク部材23の上面から立上がる左,右の側面板29Aと、これら左,右の側面板29Aの上端部に配置された上面板29Bとにより構成されている。そして、上面カバー29は、上面板29Bと上リンク部材23との間にホース収容空間30を形成し、このホース収容空間30内に後述の各油圧ホース38を収容することにより、これら各油圧ホース38を保護するものである。
31は平行リンク22の先端側に取付けられたキャブベッドで、該キャブベッド31は、キャブ9を昇降可能に支持するものである。ここで、キャブベッド31は、前,後方向に延びる扁平な直方体の箱状をなし、上面側にキャブ9が搭載されるベッド本体32と、該ベッド本体32の後端部左側に配設された2枚の板体からなる左リンクブラケット33と、ベッド本体32の後端部右側に配設された2枚の板体からなる右リンクブラケット34と、これら左,右のリンクブラケット33,34間に配設された左,右のシリンダブラケット35,36とにより大略構成されている。
そして、キャブベッド31の左リンクブラケット33には、左側の上リンク部材23の先端部23Bがキャブベッド連結軸26を用いて回転可能に連結されると共に、左側の下リンク部材24の先端部24Bがキャブベッド連結軸28を用いて回転可能に連結されている。一方、キャブベッド31の右リンクブラケット34には、右側の上リンク部材23の先端部23Bがキャブベッド連結軸26を用いて回転可能に連結されると共に、右側の下リンク部材24の先端部24Bがキャブベッド連結軸28を用いて回転可能に連結されている。
37は基台12とキャブベッド31との間に設けられた左,右の昇降シリンダで、該各昇降シリンダ37は油圧シリンダからなり、キャブベッド31を昇降させるものである。ここで、昇降シリンダ37は、チューブ37Aと、該チューブ37A内に摺動可能に設けられたピストン(図示せず)と、基端側が該ピストンに固定され先端側がチューブ37Aから突出したロッド37Bとにより構成されている。
そして、左側の昇降シリンダ37のロッド37Bの先端側は、基台12の左リンクブラケット18と左シリンダブラケット20との間に、基台連結軸27を用いて下リンク部材24の基端部24Aと同軸上に連結されている。また、左側の昇降シリンダ37(チューブ37A)のボトム側は、キャブベッド31の左リンクブラケット33と左シリンダブラケット35との間に、キャブベッド連結軸26を用いて上リンク部材23の先端部23Bと同軸上に連結されている。
一方、右側の昇降シリンダ37のロッド37Bの先端側は、基台12の右リンクブラケット19と右シリンダブラケット21との間に、基台連結軸27を用いて下リンク部材24の基端部24Aと同軸上に連結されている。また、右側の昇降シリンダ37(チューブ37A)のボトム側は、キャブベッド31の右リンクブラケット34と右シリンダブラケット36との間に、キャブベッド連結軸26を用いて上リンク部材23の先端部23Bと同軸上に連結されている。
そして、図3に示すように、昇降シリンダ37を縮小させたときには、平行リンク22を構成する上,下のリンク部材23,24が、基端部23A,24Aから先端部23B,24Bに向けて斜め下向きに延びることにより、キャブベッド31とキャブ9とは、図1中に実線で示す下降位置を保持する。一方、図4に示すように、昇降シリンダ37を伸長させたときには、平行リンク22を構成する上,下のリンク部材23,24が、基端部23A,24Aから先端部23B,24Bに向けて斜め上向きに延びることにより、キャブベッド31とキャブ9とは、図1中に二点鎖線で示す上昇位置を保持する。このようにして、昇降シリンダ37を伸縮させることにより、キャブベッド31に支持されたキャブ9を、下降位置と上昇位置との間で適宜に昇降させることができる構成となっている。
38はキャブ9と上部旋回体4との間を連結して設けられた複数本の油圧ホースを示し、該各油圧ホース38は、減圧弁型パイロット弁を用いて構成されキャブ9内に配設された各種の操作レバー(図示せず)と、例えば上部旋回体4の建屋カバー8内に配設されたコントロールバルブ(図示せず)との間を接続するものである。そして、キャブ9内のオペレータが操作レバーを操作すると、この操作レバーの操作量に応じたパイロット圧が油圧ホース38を介してコントロールバルブに供給される構成となっている。
そして、各油圧ホース38は、図2ないし図4に示すように、キャブベッド31を構成するベッド本体32の内部を通じて平行リンク22側に導出され、上リンク部材23の先端部23B側から基端部23A側へと導出された後、基台12の後面板16に沿って下方に延び、後面板16のホース挿通孔16Aを通じて後方(建屋カバー8側)へと延びる構成となっている。また、各油圧ホース38の長さ方向の途中部位は、キャブ9の昇降時に互いに擦れ合って損傷するのを抑えるため、後述のホースクランプ45によって結束される構成となっている。
次に、39は本実施の形態によるクランプガイド装置を示している。このクランプガイド装置39は、平行リンク22を構成する上リンク部材23の長さ方向の途中部位に、各油圧ホース38を取囲んだ状態で取付けられている。そして、クランプガイド装置39は、後述のホースクランプ45を平行リンク22に対して移動可能に支持するもので、後述のベース板40、支持枠体41、枠体揺動機構42等により構成されている。
40は平行リンク22を構成する左,右の上リンク部材23に固定して設けられたベース板で、該ベース板40は、鋼板等を用いて形成された長方形の板体からなり、左,右の上リンク部材23の上面に溶接等の手段を用いて固着されることにより、該各上リンク部材23間に架渡した状態で配設されている。
41は後述の枠体揺動機構42を介してベース板40上に配置された支持枠体で、該支持枠体41は、後述のホースクランプ45を平行リンク22の長さ方向に移動可能に支持するものである。ここで、支持枠体41は、例えば鋼板材等を折曲げることにより形成され、ベース板40と上,下方向で対面する上面板41Aと、該上面板41Aの左,右方向の両端部から垂下する左,右の側面板41Bと、これら左,右の側面板41Bの下端側を内側に折曲げることにより上面板41Aと対面する左,右の折曲板41Cとを備えている。
一方、支持枠体41のうちキャブ昇降装置11の基台12側には、左,右の側面板41Bからそれぞれ左,右方向に突出する左,右の基台側ピン41Dが設けられている。また、支持枠体41のうちキャブベッド31側には、左,右の側面板41Bからそれぞれ左,右方向に突出する左,右のキャブベッド側ピン41Eが設けられ、これら基台側ピン41Dとキャブベッド側ピン41Eとは、後述する枠体揺動機構42の一部を構成している。
42はベース板40と支持枠体41との間に設けられた枠体揺動機構で、該枠体揺動機構42は、支持枠体41のうち基台12側を支点として、支持枠体41のうちキャブベッド31側を平行リンク22に対して接近、離間する方向に揺動可能に支持するものである。ここで、枠体揺動機構42は、支持枠体41のうち基台12側に突設された左,右の基台側ピン41Dと、支持枠体41のうちキャブベッド31側に設けられた左,右のキャブベッド側ピン41Eと、後述の基台側ブラケット43、キャブベッド側ブラケット44とにより構成されている。
43は平行リンク22を構成する上リンク部材23の基端部23A側に位置してベース板40の上面側に設けられた左,右の基台側ブラケットで、これら左,右の基台側ブラケット43は、「L」字型に屈曲した板体により形成され、ベース板40の上面側にボルト締めされるものである。
ここで、基台側ブラケット43は、ベース板40から上方に立上る立上り板43Aを有し、該立上り板43Aの上端側にはピン挿通孔43Bが穿設されている。そして、左,右の基台側ブラケット43に設けられたピン挿通孔43Bには、支持枠体41に設けられた左,右の基台側ピン41Dが回転可能に挿通される構成となっている。
44は平行リンク22を構成する上リンク部材23の先端部23B側に位置してベース板40の上面側に設けられた左,右のキャブベッド側ブラケットで、これら左,右のキャブベッド側ブラケット44は、「L」字型に屈曲した板体により形成され、ベース板40の上面側にボルト締めされるものである。
ここで、キャブベッド側ブラケット44は、ベース板40から上方に立上る立上り板44Aを有し、該立上り板44Aには、上,下方向に延びる長溝孔44Bが設けられ、該長溝孔44Bは、基台側ブラケット43のピン挿通孔43Bの孔中心を中心とする円弧状に形成されている。そして、左,右のキャブベッド側ブラケット44に設けられた長溝孔44Bには、支持枠体41に設けられた左,右のキャブベッド側ピン41Eが摺動可能に挿通される構成となっている。
従って、支持枠体41は、基台側ピン41Dを基台側ブラケット43のピン挿通孔43Bに挿通し、キャブベッド側ピン41Eをキャブベッド側ブラケット44の長溝孔44Bに挿通することにより、これら基台側ブラケット43とキャブベッド側ブラケット44とによって支持されている。そして、支持枠体41のキャブベッド側ピン41Eが、キャブベッド側ブラケット44の長溝孔44Bに沿って移動することにより、支持枠体41のうちキャブベッド31側は、基台側ブラケット43のピン挿通孔43Bに挿通された基台側ピン41Dを支点として、図3に示す如く上リンク部材23に対して接近した位置と、図4に示す如く上リンク部材23に対して離間した位置との間で揺動する構成となっている。
45は各油圧ホース38の長さ方向の途中部位に設けられた2個のホースクランプを示し、該各ホースクランプ45は、各油圧ホース38の長さ方向の途中部位を一定の間隔をもって結束した状態で、クランプガイド装置39の支持枠体41内に収容されるものである。そして、このホースクランプ45は、図5ないし図7に示すように、後述の外枠体46、2組のホース把持部材47、蓋体48、複数のボルト49およびナット50等により構成されている。
46はホースクランプ45の外殻をなす外枠体で、該外枠体46は、左,右方向で対面する左,右の側板46Aと、左,右方向に延びて各側板46A間を連結する上板46Bとにより、ほぼ「コ」字型の枠状に形成され、上板46Bには、左,右方向に間隔をもって3個のボルト挿通孔46Cが穿設されている。
47は外枠体46の内側に配置されるホース把持部材で、1組のホース把持部材47は、例えば樹脂材料、硬質ゴム等の可撓性材料を用いて形成され、外枠体46の左,右の側面板46Aの間隔とほぼ等しい長さを有する2個の板状の半割体47A,47Aによって構成されている。ここで、半割体47Aは、その長さ方向(左,右方向)に間隔をもって複数個の凹溝47Bが並列に形成され、各凹溝47Bは、油圧ホース38の半径とほぼ等しい半径を有する半円弧状の断面形状に形成されている。従って、2個の半割体47Aを組合わせることにより、これら2個の半割体47Aに形成された複数の凹溝47Bによって油圧ホース38を把持する構成となっている。また、各半割体47Aには、外枠体46のボルト挿通孔46Cと対応する3個のボルト挿通孔47Cが穿設されている。
48は蓋体で、該蓋体48は、ホース把持部材47の半割体47Aよりも一回り大きな長方形の板体として形成され、外枠体46との間で2組のホース把持部材47を挟込むものである。また、蓋体48には、外枠体46のボルト挿通孔46Cと対応する3個のボルト挿通孔48Aが穿設されている。
そして、2組のホース把持部材47によって油圧ホース38の途中部位を把持し、この2組のホース把持部材47を外枠体46と蓋体48との間に挟込んだ状態で、これら外枠体46、各ホース把持部材47、蓋体48にボルト49を挿通し、蓋体48から突出したボルト49にナット50を螺合させて締込むことにより、図7に示すように、複数本の油圧ホース38の長さ方向の途中部位を、互いに適度な間隔を保った状態でホースクランプ45によって結束することができる構成となっている。
そして、油圧ホース38の途中部位を結束したホースクランプ45は、クランプガイド装置39を構成する支持枠体41の内側に適度な隙間をもって挿入され、ホースクランプ45を構成する外枠体46の左,右の側板46Aの下面は、支持枠体41の左,右の折曲板41Cに摺動可能に当接している。これにより、ホースクランプ45は、キャブ9の昇降動作に伴う平行リンク22の動きに応じて、支持枠体41内を上リンク部材23の長さ方向に移動することができる構成となっている。
本実施の形態によるリフトキャブ式の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1を用いて建築物の解体作業を行うときには、例えば下部走行体2によって作業現場まで自走した後、上部旋回体4を旋回させつつ、作業装置5を用いて建築物を解体する。そして、建築物の解体によって発生した建築廃材、鉄屑等のスクラップ材を、作業装置5を用いてトラック等の荷台に積込む。
ここで、例えばトラックの荷台の周囲が仕切り板等によって囲まれている場合には、キャブ9内のオペレータが、トラックの荷台を上方から見下ろすことができるように、キャブ昇降装置11を作動させ、キャブ9を図1中の実線で示す下降位置から二点鎖線で示す上昇位置へと移動させる。
即ち、キャブ昇降装置11の昇降シリンダ37を、図3に示す縮小状態から図4に示す如く伸長させることにより、平行リンク22を構成する上,下のリンク部材23,24が、基端部23A,24Aから先端部23B,24Bに向けて斜め上向きに延びる。これにより、上,下のリンク部材23,24の先端部23B,24Bに取付けられたキャブベッド31が、図3に示す下降位置から図4に示す上昇位置へと平行移動し、該キャブベッド31に支持されたキャブ9を、図1中に二点鎖線で示す上昇位置へと移動させることができる。
この結果、例えばトラックの荷台が仕切り板等によって囲まれている場合でも、上昇位置となったキャブ9内のオペレータは、仕切り板等の上方から荷台を見下ろすことができるので、作業装置5を用いてトラックの荷台にスクラップ材を積込む作業を、迅速かつ安全に行うことができる。
ここで、キャブ9を下降位置と上昇位置との間で昇降させるときには、キャブ9と上部旋回体4との間に延在して設けられた複数の油圧ホース38が、キャブベッド31の昇降動作に伴って屈曲するようになる。この場合、本実施の形態では、各油圧ホース38の途中部位を結束するホースクランプ45を、クランプガイド装置39によって平行リンク22に対して移動可能に支持することにより、油圧ホース38が無理に折曲げられるのを抑えるようになっており、以下、このクランプガイド装置39の作動について説明する。
まず、図3に示すように、昇降シリンダ37が縮小状態となってキャブベッド31が下降位置にあるときには、平行リンク22を構成する上,下のリンク部材23,24が、基端部23A,24Aから先端部23B,24Bに向けて斜め下向きに延びる。このため、クランプガイド装置39を構成する支持枠体41のキャブベッド31側は、各油圧ホース38の重さにより、基台側ピン41Dを中心として上リンク部材23に接近する方向に揺動し、支持枠体41は、基台側ピン41Dがキャブベッド側ピン41Eよりも上方となって斜め下向きに傾斜する。
これにより、油圧ホース38を結束した各ホースクランプ45は、クランプガイド装置39の支持枠体41にガイドされつつ、上リンク部材23の長さ方向に沿って基台12側からキャブベッド31側へと移動する。この結果、各油圧ホース38の長さの余剰分をキャブベッド31のベッド本体32内に収容することができ、各油圧ホース38が、キャブベッド31と基台12との間で大きく撓んで互いに擦れるのを抑えることができる。
次に、図4に示すように、昇降シリンダ37が伸長状態となってキャブベッド31が上昇位置に移動したときには、平行リンク22を構成する上,下のリンク部材23,24が、基端部23A,24Aから先端部23B,24Bに向けて斜め上向きに延びる。このため、クランプガイド装置39を構成する支持枠体41のキャブベッド31側は、屈曲した各油圧ホース38の反力(復元力)により、基台側ピン41Dを中心として上リンク部材23から離間する方向に揺動する。
これにより、支持枠体41に支持されたホースクランプ45とキャブベッド31との間の距離Lを大きくすることができる。この結果、キャブ9を上昇位置に移動させることにより、キャブベッド31と支持枠体41との間で各油圧ホース38が折曲げられたとしても、これら各油圧ホース38の曲率半径を大きく保つことができるので、各油圧ホース38が無理に折曲げられて損傷するのを確実に抑えることができ、各油圧ホース38の寿命を延ばすことができる。
ここで、図8は比較例によるホースクランプ101を用いて各油圧ホース38の長さ方向の途中部位を結束した状態を示している。この場合、比較例によるホースクランプ101は、従来技術に用いられるもので、各油圧ホース38の途中部位を結束した状態で、平行リンク22の上リンク部材23に固定されている。
この状態で、昇降シリンダ37が伸長することによりキャブベッド31が上昇位置に移動すると、ホースクランプ101は上リンク部材23に固定された位置を保持するため、ホースクランプ101とキャブベッド31との間の距離L′は、本実施の形態による支持枠体41に支持されたホースクランプ45とキャブベッド31との間の距離Lよりも小さくなる(L>L′)。
このため、比較例によるホースクランプ101を用いた場合には、キャブ9を上昇位置に移動させた状態で、各油圧ホース38は、キャブベッド31とホースクランプ101との間で小さな曲率半径をもって無理に折曲げられるようになり、各油圧ホース38の損傷や耐久性の低下を招くことになる。
かくして、本実施の形態によれば、キャブ昇降装置11を構成する平行リンク22に、支持枠体41と枠体揺動機構42とからなるクランプガイド装置39を設け、複数の油圧ホース38の途中部位を結束したホースクランプ45を、支持枠体41内に移動可能に収容することにより、キャブ9の昇降動作に伴って各油圧ホース38が互いに擦れ合うのを、ホースクランプ45によって抑えることができる上に、ホースクランプ45が平行リンク22の動きに応じて支持枠体41内を移動することにより、各油圧ホース38が無理に折曲げられるのを抑えることができる。この結果、キャブ昇降装置11によってキャブ9を昇降させた場合でも、キャブ9と上部旋回体4との間に設けられた複数の油圧ホース38を保護することができ、当該各油圧ホース38の寿命を延ばすことができる。
また、キャブ9が上昇位置に移動したときには、ホースクランプ45を収容した支持枠体41のキャブベッド31側が、折曲げられた各油圧ホース38の復元力によって平行リンク22から離間する方向に揺動する。これにより、支持枠体41に支持されたホースクランプ45とキャブベッド31との間の距離を大きくすることができるので、キャブベッド31と支持枠体41との間で折曲げられた各油圧ホース38の曲率半径を大きく保つことができ、これら各油圧ホース38を保護することができる。
次に、図9ないし図11は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、クランプガイド装置の枠体揺動機構として、支持枠体のキャブベッド側に揺動可能に取付けられた回転アームを用いたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は本実施の形態によるクランプガイド装置を示し、このクランプガイド装置51は、ホースクランプ45を平行リンク22に対して移動可能に支持するものである。ここで、クランプガイド装置51は、上述した第1の実施の形態によるクランプガイド装置39とほぼ同様に、ベース板40、支持枠体41、枠体揺動機構52等により構成されているものの、枠体揺動機構52の構成が第1の実施の形態によるものとは異なるものである。
52はベース板40と支持枠体41との間に設けられた枠体揺動機構で、該枠体揺動機構52は、支持枠体41のうち基台12側を支点として、支持枠体41のうちキャブベッド31側を平行リンク22に対して接近、離間する方向に揺動可能に支持するものである。そして、枠体揺動機構52は、後述の基台側ピン53、回転アーム54、基台側ブラケット55、キャブベッド側ブラケット56とにより構成されている。
53は支持枠体41のうち基台12側に突設された左,右の基台側ピンで、これら各基台側ピン53は、その基端側が支持枠体41の左,右の側面板41Bに固着され、先端側が左,右方向に突出している。そして、各基台側ピン53の先端側は、後述する基台側ブラケット55の長溝孔55Bに摺動可能に挿通される構成となっている。
54は支持枠体41のうちキャブベッド31側に設けられた左,右の回転アームで、該各回転アーム54は、「く」字型に屈曲した板体により構成されている。そして、各回転アーム54の基端側は、支持ピン54Aを介して支持枠体41の左,右の側面板41Bにそれぞれ回転可能に取付けられている。また、各回転アーム54の先端側には、左,右方向に突出する係合ピン54Bが固着され、この係合ピン54Bは、後述するキャブベッド側ブラケット56のピン挿通孔56Bに挿通される構成となっている。
55は上リンク部材23の基端部23A側に位置してベース板40の上面側に設けられた左,右の基台側ブラケットで、これら左,右の基台側ブラケット55は、「L」字型に屈曲した板体により形成され、ベース板40の上面側にボルト締めされるものである。ここで、基台側ブラケット55は、ベース板40から上方に立上ると共に上リンク部材23の長さ方向に延びる立上り板55Aを有し、該立上り板55Aには、上リンク部材23の長さ方向に延びる長溝孔55Bが形成されている。そして、左,右の基台側ブラケット55に設けられた長溝孔55Bには、支持枠体41に設けられた左,右の基台側ピン53が摺動可能に挿通されている。
56は上リンク部材23の先端部23B側に位置してベース板40の上面側に設けられた左,右のキャブベッド側ブラケットで、これら左,右のキャブベッド側ブラケット56は、「L」字型に屈曲した板体により形成され、ベース板40の上面側にボルト締めされるものである。ここで、キャブベッド側ブラケット56は、ベース板40から上方に立上る立上り板56Aを有し、該立上り板56Aの上端側にはピン挿通孔56Bが穿設されている。そして、左,右のキャブベッド側ブラケット56に設けられたピン挿通孔56Bには、支持枠体41に設けられた左,右の回転アーム54の係合ピン54Bが挿通されている。
従って、回転アーム54の基端側が、キャブベッド側ブラケット56に支持された係合ピン54Bを支点として回転(揺動)することにより、支持枠体41の基台12側に突設された基台側ピン53は、基台側ブラケット55の長溝孔55Bに沿って上リンク部材23の長さ方向に移動する。これにより、支持枠体41のうちキャブベッド31側は、基台側ピン53を支点として、図9に示す如く上リンク部材23に対して接近した位置と、図10に示す如く上リンク部材23に対して離間した位置との間で揺動する構成となっている。
本実施の形態は上述の如きクランプガイド装置51を備えたもので、図9に示すように、キャブベッド31が下降位置にあるときには、回転アーム54の基端側は、係合ピン54Bを支点として上リンク部材23に接近する方向に揺動し、支持枠体41は、基台側ピン53が回動アーム54よりも上方となって斜め下向きに傾斜する。
これにより、ホースクランプ45は、支持枠体41にガイドされつつ基台12側からキャブベッド31側へと移動するので、各油圧ホース38の長さの余剰分をキャブベッド31のベッド本体32内に収容することができ、各油圧ホース38が、キャブベッド31と基台12との間で大きく撓んで互いに擦れるのを抑えることができる。
一方、図10に示すように、キャブベッド31が上昇位置に移動したときには、支持枠体41のキャブベッド31側は、屈曲した各油圧ホース38の反力(復元力)により、回転アーム54の基端側は、係合ピン54Bを支点として上リンク部材23から離間する方向に揺動し、支持枠体41のキャブベッド31側は、基台側ピン53を支点として上リンク部材23から離間する方向に揺動する。
これにより、支持枠体41に支持されたホースクランプ45とキャブベッド31との間の距離を大きくすることができ、キャブ9を上昇位置に移動させることにより、キャブベッド31と支持枠体41との間で各油圧ホース38が折曲げられたとしても、これら各油圧ホース38の曲率半径を大きく保つことができるので、各油圧ホース38が無理に折曲げられて損傷するのを確実に抑えることができ、各油圧ホース38の寿命を延ばすことができる。
なお、上述した各実施の形態では、建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の油圧ショベル、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができるものである。