JP5263067B2 - インバータの故障検出装置 - Google Patents

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Description

この発明は、インバータの故障検出装置に関し、より特定的には、インバータを構成する電力用半導体スイッチング素子の開放故障の検出に関する。
交流電動機を駆動制御するインバータを構成する電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」とも称する)の故障検出が種々提案されている。たとえば、特開2005−094873号公報(特許文献1)には、インバータの各相毎に電流を積算し、モータ回転2周期の間の積算値に応じて開放故障(オフのままになる故障)を検出する構成が記載されている。具体的には、上記積算値が、正(0より大)の場合には上側スイッチング素子の故障、負の場合には下側スイッチング素子の故障、0であれば正常と判定することが記載されている。
また、インバータの開放故障の検出方法の他の例として、特開2002−136147号公報(特許文献2)には、インバータに接続されたシャント抵抗に流れる電流を測定して開放故障の診断を行なうことが記載されている。また、特開2006−320176号公報(特許文献3)には、インバータの直流端子間に分圧抵抗を設置し、分圧抵抗間の接続点を任意の交流端子と接続して診断点を形成するとともに、この診断点の電位を平滑コンデンサの電圧から作った基準値と比較することによって短絡故障(オンのままになる故障)および開放故障を検出することが記載されている。
特開2005−094873号公報 特開2002−136147号公報 特開2006−320176号公報
交流電動機の制御において、パルス幅変調制御(PWM)制御や、矩形波電圧制御等の、複数の制御モードを交流電動機の動作状態に応じて切替えることが行なわれている。このような場合には、制御モード毎に電流挙動が変化するので、上述の様な各相電流の積分値、あるいは、ローパスフィルタによって処理したフィルタ電流値に基づく開放故障の検出については、電流積分値またはフィルタ電流値を制御モード毎に求めることが好ましい。
しかしながら、制御モードが短時間内で頻繁に切替えられる場合には、交流電動機の電気周期、すなわち相電流の1周期が経過しない内に制御モードが切替わる可能性がある。この場合には、1周期の相電流積分値が正常時には0となることに基づいて開放故障を行なう特許文献1の構成では、正確に開放故障の検出をすることができなくなる虞がある。
また、特許文献2および3についても、制御モードが短時間内で頻繁に切替えられる場合に対応して開放故障を検出するための手法については、記載されていない。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、複数の制御モードが切替えられて制御される交流電動機を駆動するインバータを構成する電力用半導体スイッチング素子の開放故障を、制御モードが短時間内で頻繁に切替えられる場合にも正確に検出することである。
この発明によるインバータの故障検出装置は、交流電動機を制御するための複数相のインバータの故障検出装置であって、インバータの各相の電流を検出するための電流検出手段と、交流電動機の動作状態に応じて複数の制御モードのうちの1つを選択するモード選択手段と、電流検出手段によって検出された各相電流をローパスフィルタ処理することによって、各制御モードについて別個に各相のフィルタ電流値を算出するためのフィルタ処理手段と、フィルタ処理手段によって算出されたフィルタ電流値が所定の判定値を超えた場合に、インバータの対応する相のスイッチング素子の開放故障を検知するための故障検知手段と、制御モードが切り替わる際に、切替後の制御モードに対応する各相のフィルタ電流値を、その絶対値が所定範囲内で減少するように修正するための修正手段とを備える。
好ましくは、修正手段は、フィルタ電流値の絶対値が、各相電流の最大定格電流についての半周期の積分値に相当する最大オフセット値よりも大きい場合には、絶対値が最大オフセット値だけ減少するようにフィルタ電流値を修正する一方で、フィルタ電流値の絶対値が最大オフセット値以下のときには、フィルタ電流値を零に設定する。
このようにすると、交流電動機の電気1周期が経過する前に制御モードが切替わった場合には、開放故障が発生していなくてもフィルタ電流値(実質的には電流積分値と等価)が零とならずにオフセットが発生することに対処して、制御モード切替毎に電流フィルタ値の初期値をオフセット修正することができる。このため、制御モードが短時間内で頻繁に切替えられた場合にも、フィルタ電流値が継続的に増大することによる開放故障の誤検出を防止できる。特に、制御モードの切替毎にフィルタ電流値をゼロクリアする場合と比較して、開放故障を見逃す可能性が低くなる。
さらに好ましくは、最大オフセット値は、交流電動機の回転速度の上昇に従って小さい値となるように、交流電動機の回転速度に応じて可変に設定される。
このようにすると、ローパスフィルタ処理によってフィルタ電流値を求めていることと対応させて、スイッチング素子の開放故障を適切に検出することが可能となる。
また好ましくは、電流検出手段は、複数相のうちの所定の1相を除く各相に配置された電流センサと、電流センサの出力から所定の1相の電流を演算する電流演算手段とを含む。そして、フィルタ処理手段は、所定の1相では電流演算手段による演算値に基づいてフィルタ電流値を算出する一方で、所定の1相を除く各相では電流センサによる検出値に基づいてフィルタ電流値を算出する。さらに、所定の1相での判定値は、所定の1相を除く各相での判定値よりも大きく設定される。
このようにすると、各相に電流センサを設けることなく、所定の1相については電流センサの配置を省略した構成においても、電力用スイッチング素子の開放故障を正確に検出することができる。
この発明によれば、複数の制御モードが切替えられて制御される交流電動機を駆動するインバータを構成する電力用半導体スイッチング素子の開放故障を、制御モードが短時間内で頻繁に切替えられる場合にも正確に検出することができる。
本実施の形態に従うインバータの故障検出装置が適用されるモータ駆動システムの構成例を示すブロック図である。 図1に示したモータ駆動システムにおける交流モータの制御モードを概略的に説明する図である。 図2に示した制御モードの選択方式を説明するフローチャートである。 正常時における相電流とフィルタ電流との挙動を示す波形図である。 開放故障発生時における相電流とフィルタ電流との挙動を示す波形図である。 制御モード毎にフィルタ電流値(電流積分値)を設定した場合における開放故障検出の問題点を説明する波形図である。 本実施の形態によるインバータの故障検出装置における相電流とフィルタ電流との挙動を示す波形図である。 本実施の形態によるインバータの故障検出の制御構成を示す概略ブロック図である。 制御モード毎の相電流およびフィルタ電流の設定を説明する図表である。 本実施の形態によるインバータの故障検出における一連の制御処理を説明するフローチャートである。 図10に示したオフセット修正処理の詳細を説明するフローチャートである。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下の図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
(電動機制御の全体構成)
図1は、本実施の形態に従うインバータの故障検出装置が適用されるモータ駆動システムの構成例を示すブロック図である。
図1は、本発明の実施の形態に従うモータ駆動システムの全体構成図である。
図1を参照して、モータ駆動システム100は、直流電圧発生部10♯と、平滑コンデンサC0と、インバータ14と、交流モータM1と、制御装置30とを備える。
交流モータM1は、たとえば、電動車両(ハイブリッド自動車、電気自動車や燃料電池車等の電気エネルギによって車両駆動力を発生する自動車をいうものとする)の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動用電動機である。あるいは、この交流モータM1は、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように構成されてもよく、電動機および発電機の機能を併せ持つように構成されてもよい。さらに、交流モータM1は、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。
直流電圧発生部10♯は、直流電源Bと、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC1と、コンバータ12とを含む。
直流電源Bは、代表的には、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電装置により構成される。直流電源Bが出力する直流電圧Vbおよび入出力される直流電流Ibは、電圧センサ10および電流センサ11によってそれぞれ検知される。
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極端子および電力線6の間に接続され、システムリレーSR2は、直流電源Bの負極端子およびアース線5の間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。
コンバータ12は、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2は、電力線7およびアース線5の間に直列に接続される。電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S1およびS2によって制御される。
この発明の実施の形態において、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、
電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラ
トランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置されている。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと電力線6の間に接続される。また、平滑コンデンサC0は、電力線7およびアース線5の間に接続される。
インバータ14は、電力線7およびアース線5の間に並列に設けられる、U相上下アーム15と、V相上下アーム16と、W相上下アーム17とから成る。各相上下アームは、電力線7およびアース線5の間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相上下アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相上下アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相上下アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q3〜Q8のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S3〜S8によって制御される。
代表的には、交流モータM1は、3相の永久磁石型同期電動機であり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中性点に共通接続されて構成される。さらに、各相コイルの他端は、各相上下アーム15〜17のスイッチング素子の中間点と接続されている。
コンバータ12は、昇圧動作時には、直流電源Bから供給された直流電圧Vbを昇圧した直流電圧VH(インバータ14への入力電圧に相当するこの直流電圧を、以下「システム電圧」とも称する)をインバータ14へ供給する。より具体的には、制御装置30からのスイッチング制御信号S1,S2に応答して、スイッチング素子Q1のオン期間およびスイッチング素子のQ2のオン期間(または、スイッチング素子Q1,Q2の両方がオフする期間)が交互に設けられ、昇圧比は、これらのオン期間の比に応じたものとなる。あるいは、スイッチング素子Q1およびQ2をオンおよびオフにそれぞれ固定すれば、VH=Vb(昇圧比=1.0)とすることもできる。
また、コンバータ12は、降圧動作時には、平滑コンデンサC0を介してインバータ14から供給された直流電圧VH(システム電圧)を降圧して直流電源Bを充電する。より具体的には、制御装置30からのスイッチング制御信号S1,S2に応答して、スイッチング素子Q1のみがオンする期間と、スイッチング素子Q1,Q2の両方がオフする期間(または、スイッチング素子のQ2のオン期間)とが交互に設けられ、降圧比は上記オン期間のデューティ比に応じたものとなる。
平滑コンデンサC0は、コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC0の両端の電圧、すなわち、システム電圧VHを検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。
インバータ14は、交流モータM1のトルク指令値が正(Trqcom>0)の場合には、平滑コンデンサC0から直流電圧が供給されると制御装置30からのスイッチング制御信号S3〜S8に応答した、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により直流電圧を交流電圧に変換して正のトルクを出力するように交流モータM1を駆動する。また、インバータ14は、交流モータM1のトルク指令値が0の場合(Trqcom=0)には、スイッチング制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、直流電圧を交流電圧に変換してトルクが0になるように交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値Trqcomによって指定された0または正のトルクを発生するように駆動される。
さらに、モータ駆動システム100が搭載された電動車両の回生制動時には、交流モータM1のトルク指令値Trqcomは負に設定される(Trqcom<0)。この場合には、インバータ14は、スイッチング制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)を平滑コンデンサC0を介してコンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、電動車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
電流センサ24は、交流モータM1に流れるモータ電流(相電流)を検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。なお、三相電流Iu,Iv,Iwの瞬時値の和は0であるので、図1に示すように電流センサ24は2相分のモータ電流(たとえば、V相電流IvおよびW相電流Iw)を検出するように配置すれば足りる。あるいは、各相に電流センサ24を配置することも可能である。
回転角センサ(レゾルバ)25は、交流モータM1のロータ回転角θを検出し、その検出した回転角θを制御装置30へ送出する。制御装置30では、回転角θに基づき交流モータM1の回転数(回転速度)Nmtおよび角速度ω(rad/s)を算出できる。なお、回転角センサ25については、回転角θを制御装置30にてモータ電圧や電流から直接演算することによって、配置を省略してもよい。
制御装置30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵した電子制御ユニットにより構成され、当該メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、各センサによる検出値を用いた演算処理を行なうように構成される。あるいは、ECU80の少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
(制御モードの説明)
制御装置30による交流モータM1の制御についてさらに詳細に説明する。
図2は、本発明の実施の形態によるモータ駆動システム100における交流モータM1の制御モードを概略的に説明する図である。
図2に示すように、本発明の実施の形態によるモータ駆動システム100では、交流モータM1の制御、すなわち、インバータ14における電力変換について、3つの制御モードを切替え使用する。
正弦波PWM制御は、一般的なPWM制御として用いられるものであり、各相上下アーム素子のオン・オフを、正弦波状の電圧指令と搬送波(代表的には三角波)との電圧比較に従って制御する。この結果、上アーム素子のオン期間に対応するハイレベル期間と、下アーム素子のオン期間に対応するローレベル期間との集合について、一定期間内でその基本波成分が正弦波となるようにデューティが制御される。周知のように、正弦波状の電圧指令の振幅が搬送波振幅以下の範囲に制限される正弦波PWM制御では、交流モータM1への印加電圧(以下、単に「モータ印加電圧」とも称する)の基本波成分をインバータの直流リンク電圧の約0.61倍程度までしか高めることができない。以下、本明細書では、インバータ14の直流リンク電圧(すなわち、システム電圧VH)に対するモータ印加電圧(線間電圧)の基本波成分(実効値)の比を「変調率」とも称する。
一方、矩形波電圧制御では、上記一定期間内で、ハイレベル期間およびローレベル期間の比が1:1の矩形波1パルス分を交流モータM1へ印加する。これにより、変調率は0.78まで高められる。
過変調PWM制御は、電圧指令(正弦波成分)の振幅が搬送波振幅より大きい範囲で上記正弦波PWM制御と同様のPWM制御を行なうものである。特に、電圧指令を本来の正弦波波形から歪ませること(振幅補正)によって基本波成分を高めることができ、変調率を正弦波PWM制御モードでの最高変調率から0.78の範囲まで高めることができる。過変調PWM制御では、電圧指令(正弦波成分)の振幅が搬送波振幅より大きいため、交流モータM1に印加される線間電圧は、正弦波ではなく歪んだ電圧となる。
交流モータM1では、回転数や出力トルクが増加すると誘起電圧が高くなるため、必要となる駆動電圧(モータ必要電圧)が高くなる。コンバータ12による昇圧電圧すなわち、システム電圧VHはこのモータ必要電圧よりも高く設定する必要がある。その一方で、コンバータ12による昇圧電圧すなわち、システム電圧VHには限界値(VH最大電圧)が存在する。
したがって、交流モータM1の動作状態に応じて、モータ電流のフィードバックによってモータ印加電圧(交流)の振幅および位相を制御する、正弦波PWM制御または過変調PWM制御によるPWM制御モード、および、矩形波電圧制御モードのいずれかが選択的に適用される。なお、矩形波電圧制御では、モータ印加電圧の振幅が固定されるため、トルク実績値とトルク指令値との偏差に基づく、矩形波電圧パルスの位相制御によってトルク制御が実行される。
図3は、制御モードの選択方式を説明するフローチャートである。
図3のフローチャートに示されるように、図示しない上位ECUによって、アクセル開度等に従う車両要求出力に基づき交流モータM1のトルク指令値Trqcomが算出される(ステップS100)のを受けて、制御装置30は、予め設定されたマップ等に基づいて、交流モータM1のトルク指令値Trqcomおよび回転数からモータ必要電圧(誘起電圧)を算出し(ステップS110)、さらに、モータ必要電圧とシステム電圧VHの最大値(VH最大値)との関係に従って、矩形波電圧制御モードおよびPWM制御モードのいずれを適用してモータ制御を行なうか否かを決定する(ステップS120)。基本的には、電圧指令値に対応する変調率が実現できるように制御モードが選択される。PWM制御モードでも、変調率に応じて、正弦波PWM制御および過変調PWM制御の一方が選択される。上記制御フローに従って、交流モータM1の運転条件に従って、図2に示した複数の制御モードのうちから適正な制御モードが適用される。
次に、インバータ14から交流モータM1へ供給される各相のモータ電流(以下、単に相電流とも称する)に基づくスイッチング素子Q3〜Q8の開放故障の検出手法について説明する。
以下では、一例としてW相における、スイッチング素子Q7(上アーム)およびQ8(下アーム)の開放故障検出について説明する。
図4には、正常時におけるW相の相電流(W相電流)Iwの波形が示される。
正常時には、W相電流Iwは、交流モータM1の電気周期に相当する周期の正弦波状電流となる。したがって、W相電流Iwをローパスフィルタ処理して得られるフィルタ電流値Iwfは、モータ電流の1周期の間に0に復帰する。この結果、フィルタ電流値Iwfが継続的に上昇することはなく、開放故障検出のための判定値IJDに対して、|Iwf|<Ijdが維持される。
これに対して、図5には、下アームのスイッチング素子Q8に開放故障が発生した場合の波形が示される。
図5を参照して、下アームに開放故障が発生することにより、W相電流Iwは、正方向の電流のみが流れ、本来、負電流が流れる期間ではIw=0となる。
この結果、ローパスフィルタ処理されたフィルタ電流値Iwfは、電流1周期が経過しても0まで復帰することなく、徐々に増加していく。この結果、複数周期が経過すると、フィルタ電流値Iwfが判定値IJDに達することにより、W相に開放故障が発生したことが検出される。さらに、Iwf>0であることから、開放故障が下アーム素子に発生していることも特定できる。
図示は省略するが、上アーム素子に開放故障が発生した場合には、図5とは反対の極性となり、W相電流Iwは負方向にしか流れなくなる。この結果、フィルタ電流値Iwfは、負方向に絶対値が増大していき、|Iwf|>Ijdとなった時点で、同様にW相に開放故障が発生したことを検出することができる。さらに、Iwf<0であることから、開放故障が上アーム素子に発生していることも特定できる。
ここで、図1に示したモータ駆動システムにおいては、図2および図3で説明したように、複数の制御モードが選択的に適用される。そして、制御モード間では、電流挙動、特に相電流への高周波成分の重畳度合が異なってくるため、図4および図5で説明したような、積分処理に相当する、相電流のフィルタ値に基づく開放故障検出についても、制御モード毎に個別に行うことが好ましい。すなわち、フィルタ電流値および判定値についても、制御モード毎に個別とするにより、スイッチング素子の開放故障をより正確に検出できる。
本実施の形態では、正弦波PWM制御時(以下、PWMモード)と矩形波電圧制御時(以下、矩形波モード)のそれぞれについて、フィルタ電流値および判定値を別個に設定して、スイッチング素子の開放故障を検出するものとする。なお、過変調PWM制御については、基本的には、正弦波PWM制御および矩形波電圧制御の間での制御モード移行時に一時的に選択されるものであるため、スイッチング素子の開放故障については実行しないものとする。
図6には、制御モード毎にフィルタ電流値(電流積分値)を設定した場合における開放故障検出の問題点が示される。
特に図6では、フィルタ電流値に残されるオフセット量が最大となるケースとして、交流モータM1の電気半周期毎に制御モードが切替わる場合が例示される。このオフセット量は、短絡故障が発生していなくても、1周期途中での制御モード切替によって発生するものであり、以下に説明するように、開放故障誤検出の原因となる。
図6では、W相電流Iwは正常な波形であり、W相には開放故障が発生していないことが理解される。このため、相電流の1周期を通じてPWMモードが継続される場合には、フィルタ電流値Iwfが0まで復帰することにより、開放故障が検出されることはない。
しかしながら、時刻t1以降において、相電流の半周期毎に制御モードがPWMモードおよび矩形波の間で切替えられると、制御モードが矩形波モードへ切替わる時刻t1から、再びPWMに復帰する時刻t2までの間は、フィルタ電流値Iwfは、切替え直前の値(時刻t1における値)に保持される。そして時刻t2から、再びフィルタ電流値Iwfが更新される。すなわち電流値の積分が再開されることと等価となる。
図6に示すように、誤検出について最悪のケースを想定すると、相電流の特定の極性の期間(図6では相電流が負の期間)については、制御モードが矩形波モードとなり、反対の極性の期間(図6では相電流が正の期間)では、制御モードがPWMモードとなる。この場合には、PWMモードのフィルタ電流値Iwfは、負方向に更新されることがなくなるため、時間経過に応じて、継続的に上昇することとなる。この結果、実際には開放故障が発生していないにも拘らず、|Iwf|がIJDへ達することにより、W相(下アーム)の開放故障が誤検出されてしまう。
図6の様に、相電流の極性と同期して半周期毎に制御モードが切替わるケースにおいて、正常な相電流に対しては0となるべきフィルタ電流値に残されるオフセットが最大となる。すなわち、当該オフセットの最大値(以下、最大オフセット量と称する)は、相電流が最大定格電流であるときの半周期経過時点でのフィルタ電流値(あるいは、半周期の電流積分値)に相当することになる。
本実施の形態によるインバータの故障検出では、制御モードの切替毎に上記最大オフセット量の範囲内でフィルタ電流値を修正することによって、開放故障の誤検出防止が図られる。
図7を参照して、時刻t1までの間PWMモードが選択され、時刻t1〜t2の間、図6の場合と同様に、相電流の半周期分の期間矩形波モードが選択される。そして、時刻t2以降では、再びPWM制御モードが選択される。
したがって、時刻t1〜t2の間は、図6と同様に、フィルタ電流値Iwfは時刻t1時点の値に保持されることになる。そして、時刻t2において、PWMモードにおけるフィルタ電流値の更新が再開される際に、上記最大オフセット量に対応して定められるオフセット修正量Icrの範囲内で、フィルタ電流値Iwfが修正される。
この結果、短絡故障が発生していない正常時には、時刻t1時点において、相電流半周期分のオフセットが生じていても、時刻t2からPWMモードが再開される際にオフセットを修正することにより、フィルタ電流値Iwfは再び0近傍に戻される。この結果、以降の相電流が正常であれば、フィルタ電流値Iwfが継続的に上昇して判定値IJDに達することがない。すなわち、誤検出を防止することができる。仮に、図6と同様に、時刻t3〜t4の間に矩形波モードが選択されたとしても、PWMモードが再開される時刻t4において、時刻t2と同様のオフセット修正により、フィルタ電流値Iwfが0近傍に戻されるので、誤検出が発生しないことが理解される。
一方で、開放故障が発生している異常時には、時刻t2の時点で正常時と同様にオフセットを修正しても、再び継続的にフィルタ電流値Iwfが上昇することによって、最終的には開放故障を検出することが可能となる。
図8は、本実施の形態によるインバータの故障検出の制御構成を示す概略ブロック図である。なお、図8に示された各機能ブロックについては、当該ブロックに相当する機能を有する回路(ハードウェア)で構成してもよいし、予め設定されたプログラムに従って制御装置30がソフトウェア処理を実行することにより実現してもよい。また、図8には、1相分(W相)の開放故障検出のための構成を例示するが、各相、すなわちU相およびV相にも、同様の構成が設けられることを確認的に記載する。
図8を参照して、本発明の実施の形態によるインバータの故障検出装置101は、フィルタ処理部110と、オフセット修正部120と、判定値設定部130と、検出部140とを含む。
フィルタ処理部110は、電流センサ24によって検出されたW相電流Iwを、下記(1)式に従ってフィルタ処理する。すなわちフィルタ処理部110は電流検出値Iwをローパスフィルタ処理することによって、フィルタ電流値Iwfを算出する。
Iwf={Iw−Iwf(0)}・fa+Iwf(0) …(1)
(1)式において、Iwf(0)は、フィルタ電流値Iwfの前回値を示す。そして、平滑化係数faは、0〜1.0の範囲の値であり、faが0に近いほどフィルタの時定数は大きくなり、faが1.0に近いほどフィルタの時定数は小さくなる。すなわち、平滑化係数faは、フィルタ処理部110に持たせるべき時定数に応じて定められる。ローパスフィルタ処理の時定数は、基本的には、フィルタ処理部110によってW相電流Iwの電流積分値を求めるのと等価になるように設定されることが好ましい。
なお、図1に示したように、電流センサ24は必ずしも各相に設ける必要はない。すなわち3相のうちの所定の1相を除く2相の各々にのみ電流センサ24を配置し、残りの1相については、各相の電流瞬時値の和が0であることから、演算で求めることもできる。たとえば図1の構成では、U相電流Iuについては、下記(2)式に従って求めることもできる。
Iu=−(Iv+Iw) …(2)
U相では、(2)式により演算された相電流Iuに基づいて、フィルタ処理部110がフィルタ電流値(Iuf)を算出する。このように、電流センサ24が配置された相、および非配置の相のいずれについても、図8に示した開放故障検出を共通に適用できる。ただし、演算によって相電流を求めると誤差の影響による誤検出が懸念される。このため、それぞれの制御モードについて、電流センサ24が配置された相における判定値と比較して、非配置の相での判定値を大きくすることが好ましい。
フィルタ処理部110には、制御モード選択部35からの制御信号CMDが入力される。制御モード選択部35は、図3のフローチャートに示された制御処理に従って、交流モータM1の動作状態に応じて、図2に示された複数の制御モードのうちの1つを選択する。制御信号CMDは、制御モード選択部35によって選択された制御モードを示す。
判定値設定部130は、制御信号CMDに従って、選択中の制御モードに対応する判定値を設定して検出部140へ出力する。
図10を参照して、フィルタ処理部110は、各相のフィルタ電流値について、制御モード毎に設定する。たとえば、PWMモードに対応して、U相〜W相のそれぞれについてフィルタ電流値Iuf(1),Ivf(1),Iws(1)が設定されている。また、矩形波モードに対応して、U相〜W相のそれぞれについて、フィルタ電流値Iuf(1),Ivf(1),Iws(1)とは別個に、フィルタ電流値Iuf(2),Ivf(2),Iws(2)が設定されている。
上述のように、PWMモード選択中には、フィルタ処理部110は、(1)式に従ってフィルタ電流値Iuf(1),Ivf(1),Iwf(1)を逐次更新する一方で、フィルタ電流値Iuf(2),Ivf(2),Iwf(2)は保持する。一方で、矩形波モード選択中には、フィルタ処理部110は、(1)式に従ってフィルタ電流値Iuf(2),Ivf(2),Iwf(2)を逐次更新する一方で、フィルタ電流値Iuf(1),Ivf(1),Iwf(1)は保持する。
さらに、判定値IJDについても制御モード毎に設定されることが好ましい。たとえばPWMモード適用時には、フィルタ電流値Iuf(1),Ivf(1),Iwf(1)が判定値IJD(1)と比較される一方で、矩形波モード選択時には、フィルタ電流値Iuf(2),Ivf(2),Iwf(2)が、判定値IJD(2)と比較される。
再び、図8を参照して、オフセット修正部120は、制御信号CMDに基づいて、制御モードの切替を検出するとともに、制御モードの切替時には、切替後の制御モードに対応するフィルタ電流値の初期値を、図7に示したようにオフセット修正する。
このときのオフセット修正量Icrは、下記(3)式に従って求められる。
Icr=Ifmax・Nn♯/Nm …(3)
(3)式中において、Ifmaxは、交流モータM1の回転速度が基準速度Nn♯であるときの、最大オフセット量に相当する。この最大オフセット量は、相電流が最大定格電流であるときの半周期経過時点でのフィルタ電流値Iwfに相当する。
フィルタ処理部110によってローパスフィルタ処理が行なわれることに鑑み、交流モータM1の回転速度が高いときには、同一振幅の相電流に対するオフセット量も小さくなることから、オフセット修正量Icrも小さくする必要がある。したがって、(3)式に示すように、オフセット修正量Icrは、モータ回転速度が上昇すると小さくなるように、モータ回転速度に応じて可変に設定される。すなわち、オフセット修正量Icrは、モータ回転速度を考慮して設定された、電流1周期の途中で制御モードが切替えられた際にフィルタ電流値に発生する「最大オフセット値」に相当する。
このように、オフセット修正部120は、制御モードの切替時に、再開される制御モードのフィルタ電流値Iwfについて、オフセット修正量Icrだけ修正する。そして、それ以外のタイミング、すなわち制御モード切替時以外には、フィルタ処理部110によって算出されたフィルタ電流値Iwfはそのまま検出部140へ出力される。
検出部140は、このようにして求められたフィルタ電流値Iwfと判定値設定部130によって設定された判定値IJDとを比較し、フィルタ電流値Iwfの絶対値が判定値IJDよりも大きくなると開放故障を検出して、検出フラグFDGをオンする。検出フラグFDGがオンされると、開放故障に対応したインバータの保護処理等が実行されることになる。
図10は、本実施の形態によるインバータの故障検出における一連の制御処理を説明するフローチャートである。以降に示すフローチャートの各ステップは、基本的には制御装置30によるソフトウェア処理によって実現されるが、ハードウェア処理によって実現されてもよい。
なお、図10には、W相のPWMモードにおけるフィルタ電流値Iwfの算出に基づく開放故障検出のための制御処理が示されるが、同様の制御処理が、制御モード毎に各相電流に対応して設けられている。
図10を参照して、制御装置30は、ステップS100により、相電流Iwを取得する。上述のように相電流Iwは電流センサ24の検出値であってもよく、他の相の電流センサ24による検出値から求めた演算値であってもよい。
さらに、制御装置30は、ステップS110により、現在の制御モードが対象の制御モードであるか否か、図10の例では、制御信号CMD(図9)に基づいてPWMモードであるか否かが判定される。
現在の制御モードがPWMモード以外のとき(S110のYES判定時)には、制御装置30は、ステップS160により、フィルタ電流値Iwf(1)を現在値に保持する。
一方、制御装置30は、現在の制御モードが対象の制御モードであるとき(S110のYES判定時)には、ステップS120により、制御モード切替時点、すなわち当該制御モードの再開タイミングであるかどうかを判定する。そして、制御モード切替タイミングであるとき(S120のYES判定時)には、制御装置30は、ステップS140に処理を進めて、これまで保持されたフィルタ電流値Iwf(1)をオフセット修正する。
図11には、図10のステップS140によるオフセット修正処理の詳細が示される。
図11を参照して、制御装置30は、ステップS141では、交流モータM1の現在のモータ回転速度Nmを取得する。そして、制御装置30は、ステップS142により、所得したモータ回転速度Nmに応じて、オフセット修正量Icrを上述の(3)式に従って決定する。
さらに、制御装置30は、ステップS143により、制御モード切替時点までに保持されたフィルタ電流値Iwf(1)の絶対値が、ステップS142で設定されたオフセット修正量Icr以下であるかどうかを判定する。そして、制御装置30は、|Iwf(1)|≦Icrのとき(S143のYES判定時)には、ステップS145に処理を進めて、Iwf(1)=0とする。これにより、最大オフセット量に対応して求められたオフセット修正量Icrよりも小さい電流オフセットは、対象の制御モードが再開される時点でクリアされることになる。
制御装置30は、|Iwf(1)|>Icrのとき(S143のNO判定時)には、ステップS144により、保持されているフィルタ電流値Iwf(1)の極性を判定する。そして、フィルタ電流値Iwf(1)が正のとき(S144のYES判定時)には、制御装置30は、ステップS147に処理を進めて、フィルタ電流値Iwf(1)からオフセット修正量Icrを減算することによって、オフセット修正を実行する。一方、フィルタ電流値Iwf(1)が負のとき(S144のNO判定時)には、制御装置30は、ステップS146により、フィルタ電流値Iwf(1)にオフセット修正量Icrを加算することによって、オフセット修正を行なう。
このようにすると、フィルタ電流値Iwf(1)の極性を反転させることなく、オフセット修正量Icrの絶対値の範囲内で、制御モード切替前まで保持されていたフィルタ電流値Iwf(1)が修正されることになる。なお、単純なゼロクリアではなく、制御モード切替から派生するオフセット量(Icr)のみを修正することにより、開放故障の発生によりフィルタ電流値の絶対値が判定値へ向けて上昇しているケースにおける故障検出漏れを防止することが可能である。
再び図10を参照して、制御装置30は、制御モードの切替タイミング以外(S120のNO判定時)には、ステップS130に処理を進めて、上記(1)式に従ったローパスフィルタ処理により、フィルタ電流値Iwf(1)を更新する。
このように、ステップS130またはS140の処理により、PWMモードのフィルタ電流値Iwf(1)が決定されると、制御装置30は、ステップS150により、フィルタ電流値Iwf(1)の絶対値と判定値IJD(1)とを比較する。そして、制御装置30は、|Iwf(1)|>IJD(1)のとき(S150のYES判定時)には、ステップS200により当該相(ここではW相)の開放故障を検出する。一方で、|Iwf(1)|≦IJD(1)のとき(S150のNO判定時)には、ステップS200がスキップされるので、開放故障は検出されない。
以上説明したように本実施の形態によるインバータの故障検出装置によれば、正常時(開放故障の非発生時)に、制御モードが相電流の1周期が経過する前に切替えられることが継続的に発生しても、開放故障を誤検出することがない。また、制御モードの切替毎にフィルタ電流値(電流積分値)を単純にゼロクリアする場合と比較して、開放故障を見逃してしまう可能性が低くなるので、検出精度を向上することができる。
したがって、複数の制御モードが切替えられて制御される交流電動機を駆動するインバータを構成する電力用半導体スイッチング素子の開放故障を、制御モードが短時間内で頻繁に切替えられる場合にも正確に検出することができる。
なお、本実施の形態では、好ましい構成例として、インバータ14への入力電圧(システム電圧VH)を可変制御可能なように、モータ制御システムの直流電圧発生部10♯がコンバータ12を含む構成を示したが、インバータ14への入力電圧を可変制御可能であれば、直流電圧発生部10♯は本実施の形態に例示した構成には限定されない。また、インバータ入力電圧が可変であることは必ずしも不可欠ではなく、直流電源Bの出力電圧がそのままインバータ14へ入力される構成(たとえば、コンバータ12の配置を省略した構成)に対しても本発明を適用可能である。
また、モータ制御システムの負荷となる交流電動機についても、本実施の形態では、電動車両(ハイブリッド自動車、電気自動車等)に車両駆動用として搭載された永久磁石モータを想定したが、それ以外の機器に用いられる任意の交流電動機を負荷とする構成についても、本願発明を適用可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、インバータを構成する電力用半導体スイッチング素子の開放故障検出に用いることができる。
5 アース線、6,7 電力線、10,13 電圧センサ、10♯ 直流電圧発生部、11 電流センサ、12 コンバータ、14 インバータ、15 U相上下アーム、16 V相上下アーム、17 W相上下アーム、24 電流センサ、25 回転角センサ、30 制御装置(ECU)、35 制御モード選択部、100 モータ駆動システム、101 故障検出装置、110 フィルタ処理部、120 オフセット修正部、130 判定値設定部、140 検出部、B 直流電源、C0,C1 平滑コンデンサ、CMD 制御信号(制御モード)、D1〜D8 逆並列ダイオード、FDG 検出フラグ(開放故障)、Ib 直流電流、Icr オフセット修正量、IJD 判定値、Iu,Iv,Iw 相電流、Iuf,Ivf,Iwf フィルタ電流値、L1 リアクトル、M1 交流モータ、Nm モータ回転速度、Q1〜Q8 電力用半導体スイッチング素子、S1〜S8 スイッチング制御信号、SR1,SR2 システムリレー、Trqcom トルク指令値、Vb,VH 直流電圧、θ ロータ回転角。

Claims (4)

  1. 交流電動機を制御するための複数相のインバータの故障検出装置であって、
    前記インバータの各相の電流を検出するための電流検出手段と、
    前記交流電動機の動作状態に応じて、複数の制御モードのうちの1つを選択するモード選択手段と、
    前記電流検出手段によって検出された各相電流をローパスフィルタ処理することによって、各前記制御モードについて別個に各相のフィルタ電流値を算出するためのフィルタ処理手段と、
    前記フィルタ処理手段によって算出された前記フィルタ電流値が所定の判定値を超えた場合に、前記インバータの対応する相のスイッチング素子の開放故障を検知するための故障検知手段と、
    前記制御モードが切り替わる際に、切替後の前記制御モードに対応する各相の前記フィルタ電流値を、その絶対値が所定範囲内で減少するように修正するための修正手段とを備える、インバータの故障検出装置。
  2. 前記修正手段は、前記フィルタ電流値の絶対値が、各相電流の最大定格電流についての半周期の積分値に相当する最大オフセット値よりも大きい場合には、前記絶対値が前記最大オフセット値だけ減少するように前記フィルタ電流値を修正する一方で、前記フィルタ電流値の絶対値が前記最大オフセット値以下のときには、前記フィルタ電流値を零に設定する、請求項1記載のインバータの故障検出装置。
  3. 前記最大オフセット値は、前記交流電動機の回転速度の上昇に従って小さい値となるように、前記交流電動機の回転速度に応じて可変に設定される、請求項1または2に記載のインバータの故障検出装置。
  4. 前記電流検出手段は、
    前記複数相のうちの所定の1相を除く各相に配置された電流センサと、
    前記電流センサの出力から前記所定の1相の電流を演算する電流演算手段とを含み、
    前記フィルタ処理手段は、前記所定の1相では前記電流演算手段による演算値に基づいて前記フィルタ電流値を算出する一方で、前記所定の1相を除く各相では前記電流センサによる検出値に基づいて前記フィルタ電流値を算出し、
    前記所定の1相での前記判定値は、前記所定の1相を除く各相での前記判定値よりも大きく設定される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインバータの故障検出装置。
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