JP5261089B2 - リコート用水性プライマー及び塗膜形成方法 - Google Patents

リコート用水性プライマー及び塗膜形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5261089B2
JP5261089B2 JP2008233406A JP2008233406A JP5261089B2 JP 5261089 B2 JP5261089 B2 JP 5261089B2 JP 2008233406 A JP2008233406 A JP 2008233406A JP 2008233406 A JP2008233406 A JP 2008233406A JP 5261089 B2 JP5261089 B2 JP 5261089B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
parts
primer
water
aqueous primer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008233406A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009173861A (ja
Inventor
真子 長谷
尊久 須藤
清一 岩田
恭幸 岸田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Bee Chemical Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Nippon Bee Chemical Co Ltd
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Bee Chemical Co Ltd, Toyota Motor Corp filed Critical Nippon Bee Chemical Co Ltd
Priority to JP2008233406A priority Critical patent/JP5261089B2/ja
Publication of JP2009173861A publication Critical patent/JP2009173861A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5261089B2 publication Critical patent/JP5261089B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Description

本発明は、プラスチック部材等を塗装する際に、水性プライマーを塗布し、ウエット・オン・ウエット方式でベース塗料及びクリヤー塗料を塗布し、3層を同時に焼き付け硬化させる3Wet塗装系(3コート1ベーク(3C1B)法)の後、最初の3層上に生じた、ゴミ、塗り残し、傷等のマスキングを目的として、該3層上に更に塗装(リコート)する際に用いるリコート用水性プライマー、及び該リコート用水性プライマーを用い、優れた仕上がり外観を得ることができる塗膜形成方法に関する。
リコート可能なプライマーとは、例えば、ポリプロピレン樹脂からなる素材に、水性プライマー/水性ベース塗料/トップクリヤーからなる3層膜の塗装・乾燥を行った後、クリヤー層の表面汚れや若干の傷、意匠性の不具合などが出た時点で、この3層膜の上に、上記と同じ塗装を行っても密着性やその他の膜性能が問題にならないような水性プライマーである。
自動車ボディを構成する金属や樹脂からなるパネルなどの部材の塗装方法として、まず、電着塗装により下塗りし、次いで、中塗りした後、仕上げに上塗りすることが、広く知られている。また、上塗り工程では、まず、着色塗料でベース塗装し、その後、クリヤー塗料でクリヤー塗装することが普及している。
上述の多層塗膜を得るための塗装工程として、素材に対して電着塗装により下塗り塗装をした後、加熱硬化させ、その上に中塗り塗装をして加熱硬化させ、さらにその上に着色塗料でベース塗装し、その後クリヤー塗料でクリヤー塗装して、ベース塗装とクリヤー塗装を一緒に加熱硬化させる工程を行っていた(3コート2ベーク(3C2B)法)。
3コート2ベーク(3C2B)法の多層塗膜の塗装工程によれば、十分に意匠性を満足できる塗膜を形成することができるが、各加熱硬化工程により塗装工程が長時間化し、それに伴い、ランニングコストも嵩むおそれがあった。
また、従来、美的外観を重要視される自動車などでは、平滑性、鮮映性、耐候性などの塗膜性能に優れた塗膜の形成が要求されるため、有機溶剤により希釈した溶剤型塗料が中塗塗料やベース塗料として、一般に用いられていた。
このような塗装方法において、近年、環境負荷を低減する観点から、中塗りおよび上塗りするための塗料として、従来から用いられている有機溶剤系の塗料から、水系の塗料(水性塗料)へ移行することが、進められている。そこで、水性塗料を用いた塗装工程において、塗装時間を短縮化する塗装方法が提案されてきている。
そこで、このような水性塗料による中塗りおよび上塗りでは、水性塗料で中塗りした後、ウエット状態のまま着色水性塗料でカラーベース塗装し、さらに、ウエット状態のままクリヤー塗装した後に、焼き付ける、3Wet塗装系又は3コート1ベーク(3C1B)方式と呼ばれる塗装方法が、生産効率の向上を図れる観点より、検討されている。
この3Wet塗装系(3コート1ベーク(3C1B))方式では、例えば、各塗装工程において、塗料をウエット状態(ウエット・オン・ウエット)で重ねて塗工することから、中塗り層とベース層との間、あるいは、ベース層とクリヤー層との間での混層を防止し、また、焼付工程での残留水分の突沸を防止すべく、中塗り工程とベース塗装工程との間、および、ベース塗装工程とクリヤー塗装工程との間で、それぞれ予備加熱(プレヒート)することが提案されている。
ところで、自動車バンパーやモールなどに用いられるプラスチック素材は、一般に塗料の濡れ性が悪く、塗装性が悪い。特に、プラスチック素材がプロピレン樹脂などである場合は、これらの樹脂が化学的に不活性であるので、上塗り塗装を直接に塗装することは、素材との密着性も含めて難しいので、上塗り塗料を塗装する前に、種々の溶剤型プライマーや水性プライマーを塗装することがなされてきた。水性プライマーは、特に、溶剤型プライマーに比べて、素材との密着性が悪く、またプラスチック素材は高温での乾燥が難しいので低温乾燥などの水性プライマーが開発されてきた。
例えば、下記特許文献1では、120℃での低温硬化を可能とするブロックイソシアネートを配合し、素材及び上塗りとの密着性を並立するために、酸無水物変性塩素化ポリオレフィン水性樹脂、ポリウレタンディスパージョン及びブロックイソシアネートからなる水性プライマーを提案している。
他方、特許文献2では、プラスチック素材及び上塗りの密着性から酸無水物変性塩素化ポリオレフィンに、ポリウレタンディスパージョン、水性エポキシ樹脂を配合し、低温化のために有機強塩基を用いた水性プライマーが提案されている。
ただ、従来では、上記リコートにおいて、一般的に用いられているトップクリヤーは、2液タイプのアクリルポリオール/ポリイソシアネートが多く、上記特許文献1及び2で提案の水性プライマーではリコート密着性が成立せず、溶剤型プライマーを用いていわゆる補修のためのリコート塗装系を行っていた。即ち、素材−水性プライマー−水性ベース塗料−2液アクリル・ポリイソシアネート硬化トップクリヤー−溶剤型プライマー−上記水性ベースコート塗料−上記トップクリヤーリコートを行っていたが、最近、環境の観点や、なるべく塗料種を少なくするニーズが発生し、リコートプライマーを、1層目のプライマーでリコート可能となるような水性プライマーの要請が強くでてきた。
特開2004‐307684号公報 特開2004−002801号公報
本発明は、自動車用プラスチック外装部品、例えば、プラスチックバンパー等を塗装する際に、水性プライマー塗料を塗布し、ウエット・オン・ウエット方式でベース塗料及びクリヤー塗料を塗布し、3層を同時に焼き付け硬化させる3Wet塗装系(3コート1ベーク(3C1B)法)において、同一塗装系でのリコートが可能となるような水性プライマー配合をみつけ、且つその時にでてくる不貝合を対策したリコート可能な水性プライマーを開発することである。特に、水性プライマー−水性ベース塗料−2液アクリル・ポリイソシアネート硬化トップクリヤーの同一塗装系でのリコートが可能となるような水性プライマーを開発することを目的とする。
本発明者らは、特定の組成のリコート用水性プライマーを用いることによって上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。特に、酸無水物水性塩素化ポリオレフィンを中心とした配合設計の中で、特定範囲の100%モジュラスを有するポリウレタンディスパージョンを用いることによりクリヤー塗膜上での密着可能なプライマーを見出した。特に、スルホン基をもったポリウレタンディスパージョンが大きな効果を発揮することを発見した。
水性プライマーの課題を克服し、その時に出てきた高シェア領域、即ち塗装時の水性プライマーのピンホール(泡かみワキ)の背反現象については、この高シェア領域における粘度を低下させればよいことを発見し、アルカリ増粘剤でなく、ウレタン系会合型増粘剤及び少量の疎水性高沸点溶剤を用いることで解決できることを見出した。他方、ウレタン会合型増粘剤を用いると、自動車部品のエッジ部や穴あき周辺の溜まり部、即ち、膜厚が厚くなる部分において、表面にクラックが発生するが、特定分子量範囲の会合型増粘剤を用いることで解決できることを見出した。
即ち、第1に、本発明は、被塗装部材の上に、水性プライマー塗料を塗装する工程(第1コート)と、水性プライマーがウエット状態の部材に水性ベース塗料を塗装する工程(第2コート)工程と、ベース塗装されたウエット状態の部材にクリヤー塗料を塗装する工程(第3コート)と、塗装された3層(第1〜3コート層)を一度に焼き付け硬化させる工程(ベーク)からなる塗膜形成の後、該3層上に更に塗装(リコート)する塗膜形成方法に用いるリコート用水性プライマーの発明であり、リコート用水性プライマーは、(A)塩素化ポリオレフィンエマルジョン、(B)ポリウレタンディスパージョン、(C)エポキシ基含有アクリルエマルジョン、(D)硬化剤、(E)顔料分散樹脂、(F)増粘剤、及び(G)少量の疎水性高沸点溶剤を含み、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の合計固形分100部中で、(A)=20〜35部、(B)=15〜35部、(C)=20〜35部、(D)=5〜15部、(E)=5〜35部である。
本発明に用いる(B)スルホン酸基含有ポリウレタンディスパージョンとしては、20℃での100%モジュラスが0.3〜10(N/mm)未満であることが好ましい。
本発明のリコート用水性プライマーは、全塗料固形分中での(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の合計固形分は40〜70質量%であることが好ましい。
本発明に用いる(D)硬化剤は、メラミン樹脂及び/又はブロックイソシアネートであることが好ましい。
本発明に用いる(F)増粘剤は、ウレタン会合型増粘剤であり、且つ重量平均分子量が5000〜10000であることが好ましい。
本発明に用いる疎水性高沸点溶剤としては、2−エチルヘキサノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、及びエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルから選択される1種以上が好ましく例示され、これらは全塗料中1〜10質量%配合されることが好ましい。
本発明において、被塗装部材が、プラスチック部材であることが好ましい。
第2に、本発明は、被塗装部材の上に、水性プライマーを塗装(第1コート)し、水性プライマーがウエット状態の部材に水性ベース塗料を塗装(第2コート)し、ベース塗装されたウエット状態の部材にクリヤー塗料を塗装(第3コート)し、塗装された3層(第1〜3コート層)を一度に焼き付け硬化(ベーク)させて塗膜形成した後に、該3層上に更に、水性プライマーを塗装(第1リコート)し、中塗りされたウエット状態の部材に水性ベース塗料を塗装(第2リコート)し、ベース塗装されたウエット状態の部材にクリヤー塗料を塗装(第3リコート)し、塗装された3層(第1〜3リコート層)を一度に焼き付け硬化(ベーク)させて塗膜形成塗装(リコート)する塗膜形成方法の発明であって、用いるリコート用水性プライマーが、(A)塩素化ポリオレフィンエマルジョン、(B)ポリウレタンディスパージョン、(C)エポキシ基含有アクリルエマルジョン、(D)硬化剤、(E)顔料分散樹脂、(F)増粘剤、及び(G)少量の疎水性高沸点溶剤を含み、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の合計固形分100部中で、(A)=20〜35部、(B)=15〜35部、(C)=20〜35部、(D)=5〜15部、(E)=5〜35部である。
本発明の塗膜形成方法では、用いる第3コート用クリヤー塗料が、2液硬化型アクリル・ポリイソシアネート塗料である場合が好ましい。
本発明の塗膜形成方法では、第1コート用水性プライマー塗料とリコート用水性プライマー塗料が同一であることが好ましい。
本発明の塗膜形成方法では、被塗装部材が、プラスチック部材であることを特徴にしている。
本発明の特定の組成のリコート用水性プライマーを用いることによって、クリヤー塗膜上での密着性が向上し、且つ水性プライマーのピンホール(泡かみワキ)及びエッジ部や穴あき周辺の溜まり厚膜部の表層クラックの発生を抑制することが可能となった。
本発明の水性プライマーに用いる(A)酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルジョンについて説明する。酸無水物変性塩素化ポリオレフィンは、塩素化ポリオレフィン樹脂と酸無水物とから合成された誘導体であればよく、特に制限されるものではない。酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
なお、本発明において酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルジョン樹脂とは、エマルジョンの状態となっている酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルジョン樹脂自体を意味するものであり、他のエマルジョン樹脂を含まないものとする。
前記酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルジョン樹脂を得る際に用いる塩素化ポリオレフィン樹脂の塩素含有率は、酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂中の10〜30質量%であり、より好ましくは15〜22質量%となるような量がよい。酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂中の塩素含有率が10質量%未満であると、酸無水物変性塩素化ポリプロピレン樹脂をエマルジョン化するにあたり、乳化しにくくなり、一方、30質量%を超えると、ポリオレフィン素材への密着性、特にポリプロピレン素材への密着性が不十分となる恐れがある。
前記酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂を得る際に用いる酸無水物としては特に制限はないが、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸などが好ましく挙げられる。
酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂中の酸無水物の含有量は、1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは1.2〜5質量%であるのがよい。酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂中の酸無水物量が1質量%未満であると、酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂を乳化しにくくなるとともに、水性塗料の安定性が悪くなる恐れがあり、一方、10質量%を超えると、プライマー塗膜の親水性が大きくなりすぎ、耐水性が低下する恐れがあり、好ましくない。
前記酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は20,000〜200,000の範囲であることが好ましく、50,000〜120,000の範囲にあることがより好ましい。重量平均分子量が20,000未満であると、プライマー塗膜としての強度が低下し、素材との密着性低下やプライマー塗膜内での凝集破壊が起こりやすくなる傾向がある。一方、200,000を越えると、乳化しづらくなり、また塗料の安定性が悪くなる恐れがあるとともに、ポリオレフィン素材との濡れ性が低下し、その結果、素材との密着性が低下する傾向がある。
本発明の水性プライマーに用いる酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルジョンは、塗料中の全樹脂(ポリウレタンディスパージョン、エポキシアクリル樹脂、顔料分数樹脂、硬化剤を含む)固形分中で20〜35質量%であることが好ましい。前記酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルジョン樹脂固形分が水性プライマー塗料中の全樹脂固形分中、20質量%未満であると、ポリオレフィン素材への密着性が不良となる傾向があり、一方、35質量%を超えると、外観不良の恐れがあり、また、リコート時に下地クリヤー膜への密着不良となり好ましくない。
前記酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂をエマルジョン化する方法としては、機械的乳化法、乳化剤や塩基性物質を用いる方法、及びこれらの組み合わせなど、一般的に用いられている乳化方法を用いることが出来る。乳化剤を用いる用合、乳化剤の量については、前記酸無水物変性ポリオレフィン樹脂や塩基性物質、水の量などにより適宜設定すればよい。塩基性物質を用いる場合、前記酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂、水などの量により適宜設定すればよいが、特に、前記酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂や乳化剤の酸官能基が十分に中和される量であること、さらに、得られるエマルジョンのpHが7〜11、より好ましくは7.5〜10.5となることを考慮して設定することが好ましい。得られる酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルジョンのpHが7未満であると、エマルションの安定性が悪くなり、一方、11を越えると、遊離の塩基性物質が残存して耐水性が不良となるので好ましくない。
前記酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルジョンの粒径については特に制限はないが、0.01〜10μmであることが好ましい。0.01μm未満であると乳化剤が多量に必要となり、塗膜の耐水性が低下する恐れがあり、一方、10μmを越えると、該エマルジョンの安定性が悪くなる恐れがある。
本発明の水性プライマーに用いる(B)ポリウレタンディスパージョンについて説明する。ポリウレタンディスパージョンは、多官能イソシアネート化合物、1分子中に2個以上の水酸基を有するポリオール、及びジメチロールプロパンジオール又はジメチロールブタンジオール等の水酸基とカルボン酸基を共に有する親水化剤をジブチル錫ジラウリレート等の触媒の存在下、イソシアネート基過剰の状態で反応させて得られたウレタンプレポリマーに、アミン類等の有機塩基又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基によりカルボン酸を中和し、イオン交換水を加えて水性化した後、更に鎖伸長剤により高分子量化したウレタンディスバージョン等、または、カルボン酸を有しないウレタンプレポリマーを合成した後、カルボン酸やスルホン酸、エチレングリコール等の親水基を有したジオール又はジアミンを用いて鎖伸長し、その後で、上記塩基性物質で中和して水性化し、必要により更に鎖伸長剤を用いて高分子量化したウレタンディスパージョン等;必要によリ乳化剤も併用して得られたウレタンディスバージョン等;を挙げることができる。より好ましくはスルホン酸基を用いて水性化したウレタンディスパージョンである。
上記多官能イソシアネート化合物としては、1,6−ヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、及びこれらのアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体等の多官能イソシアネート化合物を挙げることが出来る。
また、上記ポリオールとして、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を挙げることが出来る。
上記鎖延長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、フラシジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の低分子量ジオール化合物、及びこれらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を付加重合させたポリエーテルジオール化合物;上記低分子量ジオール化合物と(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)フタール酸等ジカルボン酸及びこれらの無水物から得られる末端に水酸基等を有するポリエステルジオール;トリメチロールエタン、トリメチロルブロパン等の多価アルコール;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、キシレンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン化合物;水、アンモニア、ヒドラジン、二塩基酸ヒドラジド等を挙げることが出来る。
リコート時においては、2液硬化型アクリル樹脂/ポリイソシアネート硬化剤のクリヤー塗膜上に水性プライマーは塗装され、セッティング後、プレヒートを行い、続けて水性ベース塗料、その後プレヒートを行い、クリヤー塗料が塗装される。セッティング後、120℃で焼付け乾燥される工程が現状として存在する。この時、下地塗膜のクリヤー塗膜は、2液硬化型アクリルウレタン塗膜であり、密着性のためには、その上に塗装された水性プライマーにもウレタン結合をもった水性ウレタンディスパージョン樹脂が存在することが必要である。似た物同士(溶解性パラメータが同じことによる)故に上下間の凝集エネルギーが似通っていること、またウレタン骨格をもつことによる水素結合力が大きいことなどによって、上下間の密着性が良くなることが考えられる。一方、ウレタン樹脂固形分を水性プライマー中である量以上に増大していくと逆にこの層間密着性が若干低下することを見つけた。このことは、リコートプライマー膜中のウレタンによる凝集力が大きくなりすぎ、下地クリヤーとの界面でのウレタン同士の接触点が減少したと考えられる。我々は、リコート膜全体が最終硬化された時点においても、ある程度、水性プライマー中のウレタンディスパージョンの含有量及びその100%モジュラスの範囲を設定することにより、上記層間密着性を確保できるリコート水性プライマーを開発できた。
本発明におけるウレタンディスバージョン樹脂の100%モジュラスが0.3N/mm〜10N/mmが好ましい。100%モジュラスが10N/mmを超えるウレタンディスパージョン樹脂では、焼付け硬化によりリコートプライー膜の凝集力が大きくなりすぎ、且つ下地とのウレタン樹脂接触点が少なくなり、下地クリヤーの凝集力との違いからくる密着性低下、接触点減少による密着性低下が想定される。水性ウレタンディスパージョン樹脂の100%モジュラスが0.3N/mm未満では、プライマー塗膜の凝集力が低くなりすぎ、密着性評価において凝集破壊・剥離するおそれがあり好ましくない。又、ポリウレタンディスパージョンは、スルホン酸基を持つことが好ましい。スルホン酸基を持つことにより、下地クリヤーとの水素結合力を増すことにより、より強固なリコート可能な水性プライマーとすることができる。
水性プライマー中の(A)〜(E)の全固形分中での水性ウレタンディスパージョン樹脂の固形分含有量は15〜35質量%であることが好ましい。15質量%未満では耐水性試験後の密着試験評価で凝集破壊・剥離する恐れがあり好ましくない。一方、35質量%を越えると、下地クリヤー膜よりも凝集力が大きくなりすぎ、下地クリヤーとの間で膜層間での剥離の恐れがあるので望ましくない。
本発明で用いる(C)エポキシ基含有アクリルエマルジョンについて説明する。水性塗料においては、樹脂を水性媒体中で安定化させるために必ず親水性基を多く必要とする。例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基などである。このような親水性基を多く含有する場合は、耐水性試験において様々の問題が発生する。例えば、水を多く吸収し、白化現象、ブリスター発生、水膨潤することによる下膜や上膜との相関剥離などが起こりやすい。我々は、本発明において特に顔料分散用水性樹脂のカルボキシル基に着目して、プライマー塗膜中でいかに少なくするかを検討した結果、エポキシ基をもった樹脂を配合することにより、このカルボキシル基とエポキシ基の反応を焼付け乾燥時にさせることを見出した。また、この架橋反応により塗膜凝集力も向上した。
エポキシ樹脂としてビスフェノール型やノボラック型は屋外暴露において、白系塗膜やマイカ系塗膜の場合、太陽光の紫外線がプライマーまで達する恐れがあり、その結果、プライマー塗膜が黄変劣化を起こし、上塗り塗膜の変色に影響する懸念があり、望ましくない。アクリル樹脂中にグリシジル基を導入させたエポキシ基含有アクリル樹脂は上記のような変色を起こさないことを確認した。
上記アクリル樹脂は、グリシジル基をもったラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーを共重合させることにより得ることが出来る。例えば、グリシジルメタクリレートやグリシジルアクリレートなどと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物などの官能基含有モノマー、更には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸N−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリルとの共重合をおこなって水性エマルジョンとすることで目的に供することが出来る。
水性エマルジョン化としては、溶剤重合した後、水中に強制攪拌や乳化剤などを用いてエマルジョン化する方法や、水中で乳化剤を用いて共重合するエマルジョン重合法などで得ることが出来る。
尚、エポキシアクリルエマルジョン固形分中のグリシジル基含有モノマーの量としては30〜60質量%であることが好ましい。
乳化重合から得られるエポキシエマルジョンにおいては、乳化剤量などに注意することが必要である。塗膜中に残存して、耐水性などを低下させることもあるからである。
本発明において、エポキシアクリルエマルジョンは、(A)〜(E)までの合計固形分中20〜35質量%が好ましい。20質量%未満では、耐水性試験後の密着性評価でプライマー膜の凝集破壊・剥離をおこす恐れがある。35質量%を超えると、あまりにも架橋度が大きくなりすぎ、架橋歪みが発生し、初期密着において、下地クリヤー膜との間で層間剥離をおこす懸念があるので好ましくない。
本発明で用いる(D)硬化剤について説明する。本発明においては、耐水性試験でのリコート密着性も重要であり、そのためには架橋反応するための硬化剤が必要である。即ち、耐水試験による塗膜の劣化防止には架橋塗膜が必要であり、特にリコートでの耐水試験後の塗膜凝集破壊による密着防止に効果がある。
本発明のリコート用水性プライマーに用いる硬化剤としては特に限定されないが、水性塗料としての安定性を考慮すれば、水性用メラミン樹脂や水性用ブロックイソシアネートなどが好ましい。メラミン樹脂がコスト面などからより好ましい。メラミン樹脂としては、特に限定されないが、メトキシ型メラミンやメトキシ・ブトキシ混合型メラミンであれば良い。ブトキシ型メラミンなら乳化剤やアクリル樹脂やアルキッド樹脂などを乳化剤とするような方法で水性化して用いることができる。メトキシ型やブトキシ型メラミン樹脂は乳化剤などを用いることなく水性安定化できるのでより好ましい。例えば、日本サイテックインダストリーズ(株)のサイメルシリーズのサイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712、715、701、267、285、232、235、236、238、211、254、204、212、202、207等を挙げることができる。
以下、本発明で硬化剤として使用するブロックイソシアネート化合物について説明する。ブロックイソシアネート化合物出発成分は、ジ−又はポリ−イソシアネート化合物及びこれらの混合物である。但し、これらの成分は、ブロック化剤と反応してブロックイソシアネート化合物が得られる。
好ましいジ−又はポリ−イソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び複素環式のポリイソシアネートである。カルボジイミド基を含むポリイソシアネート、アロファネート基を含むポリイソシアネート、イソシアヌレート基を含むポリイソシアネート、ウレタン及び/又は尿素基を含むポリイソシアネート、アシル化尿素基を含むポリイソシアネート、ビューレット基を含むポリイソシアネート、ヘテロ重合反応によって生成したポリイソシアネート、エステル基を含むポリイソシアネート、好ましくはウレトジオン基を含むジイソシアネート及び尿素基を含むジイソシアネートも適当なものである。
ジ−又はポリ−イソシアネート化合物の具体例としては下記のものが挙げられる。p−キシリレンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナトメチルナフタレン、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン2,5−ジイソシアネート、1,3ジメチルベンゼン4,6−ジイソシアネート、1,4ジメチルベンゼン2,5−ジイソシアネート、1−ニトロベンゼン2,5−ジイソシアネート、1−メトキシベンゼン2,4−ジイソシアネート、1−メトキシベンゼン2,5−ジイソシアネート、1,3−ジメトキシベンゼン4,6−ジイソシアネート、アゾベンゼン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルジスルフィド4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン4,4’−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン2,4,6−トリイソシアネート、トリフェニルメタン4,4’,4”−トリイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−(1,2)−ジフェニルエタン、二量体1−メチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、二量体1−イソプロピル−2,4−フェニレンジイソシアネート、二量体2,4’ジイソシアナトジフェニルスルフィド、3,3’−ジイソシアナト−4,4’−ジメチル−N,N’−ジフェニル尿素、3,3’−ジイソシアナト−2,2’−ジメチル−N,N’−ジフェニル尿素、3,3’−ジイソシアナト−2,4’−ジメチル−N,N’−ジフェニル尿素、N,N’−ビス[4(4−イソシアナトフェニルメチル)フェニル]尿素、N,N’−ビス[4(2−イソシアナトフェニルメチル)フェニル]尿素。
ブロックイソシアネート化合物を得るために使用されるブロック化剤としてはオキシム化合物(アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシムなど)、ラクタム類(ε−カプロラクタムなど)、活性メチレン化合物(マロン酸ジエチル、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルなど)、フェノール類(フェノール、m−クレゾールなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、n−ブタノールなど)、水酸基含有エーテル(メチルセルソルブ、ブチルセルソルブなど)、水酸基含有エステル(乳酸メチル、乳酸アミルなど)、メルカプタン類(ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタンなど)、酸アミド類(アセトアニリド、アクリルアマイド、ダイマー酸アミドなど)、イミダゾール類(イミダゾール、2−エチルイミダゾールなど)、酸イミド類(コハク酸イミド、フタル酸イミドなど)、アミン類(ジシクロヘキシルアミンなど)及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。
硬化剤は、上記(A)〜(E)固形分合計中で5〜15質量%の範囲で用いることが好ましい。5質量%未満では、塗膜の架橋度が低くなり、耐水性試験後の密着性評価でプライマー膜の凝集破壊・剥離して密着不良となる恐れがある。15質量%を超えると、プライマー塗膜が高架橋度とメラミンの骨格からくる硬さなどから内部歪みが大きくなり、下地クリヤーとの間で膜層間密着不良となる恐れがあり、好ましくない。
本発明で用いる(E)顔料分散樹脂について説明する。本発明のリコート用水性プライマーにおいては、顔料を含むことが好ましい。そのためには、顔料ペーストが必要であり、顔料分散樹脂を用いることが好ましい。塗膜形成成分としての上記酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルジョンやウレタンディスパージョン樹脂での顔料分散では、塗料安定性が不十分であり好ましくない。
顔料分散用樹脂としては、各種顔料に吸着して凝集や沈降を抑えることが必要である。上記顔料分散樹脂としては、上記顔料分散機能を備え、塗膜形成成分としてリコート性や作業性及び塗料安定性などへの悪影響がなげれば特に制限するものではない。例えば、アクリル樹脂やアルキッド樹脂が好ましく挙げられる。また、水溶性であることが好ましく、エマルジョンやディスバージョンのように水中で粒子状態の樹脂は好ましくない。水溶性アクリル樹脂としては、酸価で40〜80が好ましい。酸価が40未満であると、顔料への吸着が不足し、塗料安定性が不良となる恐れがある。逆に酸価が80を超えると、塗膜での親水性が大きくなり、耐水性が低下する恐れがあるので好ましくない。重量平均分子量としては、15,000〜50,000(GPCでポリスチレン換算)が好ましい。15,000未満では、顔料への吸着性が若干低下し、顔料凝集などの恐れがあり、50,000を超えると、水溶性樹脂としての粘度が非常に高くなり、水溶化時やプライマー製造時のハンドリングが難しくなるので好ましくない。
顔料分散樹脂は(A)+(B)+(C)+(D)+(E)合計固形分中では5〜16質量%が好ましい。5%未満であると顔料をうまく分散できず、また顔料の安定性も低下する恐れがあり好ましくない。逆に、15質量%を超えると、耐水性試験後の密着性で凝集・破壊をおこす恐れがあり好ましくない。
また、顔料としては、特に制限されず、通常の着色顔料やメタリック顔料、体質顔料が挙げられる。着色顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、塩基性硫酸鉛、鉛酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、紺青、群青、コバルトブルー、銅フタロシアニンブルー、インダンスロンブルー、黄鉛、合成黄色酸化鉄、透明べんがら(黄)、ビスマスバナデート、チタンイエロー、亜鉛黄(ジンクエロー)、クロム酸ストロンチウム、シアナミド鉛、モノアゾイエロー、ジスアゾ、イソインドリノンイエロー、金属錯塩アゾイエロー、キノフタロンイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、べんがら、透明べんがら(赤)、鉛丹、モノアゾレッド、無置換キナクリドンレッド、アゾレーキ(Mn塩)、キナクリドンマゼンタ、アンザンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、ペリレンレッド、ジケトピロロピロールクロムバーミリオン、塩基性クロム酸鉛、酸化クロム、塩素化フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリーン、ピラゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレンジ、ジオキサジンバイオレット、ペリレンバイオレットなどが挙げられる。また、メタリック顔料としては、例えば、アルミニウム粉、フレーク状酸化アルミウム、パールマイカ、フレーク状マイカなどが挙げられる。これら顔料は、単独使用または2種以上併用することができる。
顔料の配合割合は、通常、樹脂成分100重量部に対して、120重量部以下、好ましくは、20〜100重量部である。
本発明で用いられる(F)増粘剤について説明する。ラテックスや水性塗料等の種々の用途で水溶性の増粘剤が使われている。例を挙げれば各種ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の合成高分子、カゼイン、アルギン酸、メチルセルロースやカルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびその疎水性に置換された誘導体等のセルロースエーテル類、アラビアガム、トラガントガムやグアーガム等の天然多糖類等がある。近年になって会合型増粘剤(Associative Thickener )と総称される一群の化合物が開発された。構造的にはポリエチレングリコールの両端に疎水基として高級アルキル基が付いている非イオン性の分子である。この会合型増粘剤の特徴として、分子量が数千〜10万程度の低分子量化合物にも関わらず増粘剤としての効果が大きいことが挙げられる。また機能的には剪断力の増加に対する溶液粘度の低下が挙げられる。この性質は化合物の水溶液自体にも、またラテックスや水性塗料等の組成物とした場合にも存在し、会合型増粘剤の大きな特長となっている。
本発明に用いる会合型増粘剤を合成する方法については、公知のウレタン化反応を用いて合成することができる。例えば、炭素数が12〜23のアルキル鎖がついたポリエーテルモノオールとジイソシアネートとを2〜10時間反応して合成することができる。また、ポリエーテルジオールとジイソシアネートとを反応させたのち、上記アルキル鎖をもったアルコールと反応させて合成することもできる。具体的な反応として、ポリエーテルモノオール、ポリエーテルジオールとジイソシアネートを一括仕込みによる合成法でよい。或いは、ポリエーテルジオールとジイソシアネートを反応させた後、ポリエーテルモノオールと反応させる方法でもよい。
反応温度は、60〜100℃くらいが望ましい。また、必要に応じて、ウレタン化反応に使用される触媒としては、例えば、アミン化合物、金属含有化合物としてジブチルチンジラウレート、ナフテン酸コバルト、オクチル酸錫などが挙げられる。さらに、会合型増粘剤合成において、必要に応じて溶剤を使用することもできる。ただ、副反応がおこらないようにすることが必要であり、トルエン、キシレンなどの芳香族溶剤、脂肪族系溶剤としてn‐ヘキサン、脂環式系としてシクロヘキサン、エステル系溶剤として酢酸エチル、酢酸ブチル、ケトン系としてメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を用いることができる。
上記会合型増粘剤の分子量設計については、アルキル鎖を含むポリエーテルモノオールの分子量や、ジイソシネートの分子量、さらにはこれらの当量配合などにより調整することができる。
本発明に用いることの出来る会合増粘剤の重量分子量は5000〜10000であり、塗装部材エッジ部位の塗料溜まり部における塗膜の表層微小クラックを起こさずに且つ増粘機能を十分に発揮することができる。重量平均分子量が10000を超えると、上記のように塗装部材のエッジ部位での塗膜の表層微小クラックが発生し、上塗り外観への悪影響となり望ましくない。
塗装された塗装部材エッジ部には、塗料が溜まりやすく、塗膜として一般面よりも厚くなりやすい。塗膜が乾燥時点において、水の蒸発とともに、増粘剤が表層に濃度濃くなり、ウレタン骨格をもつ凝集力の強い増粘剤が且つ高分子量であり、表層でのクラック発生と考えられる。
一方、重量平均分子量が5000未満では、上記クラック発生はおこらないが、水性塗料の増粘効果が小であり、所望の増粘度のためにはかなりの量を配合する必要があり、逆に耐水性などの塗膜性能を低下させる恐れがあり、望ましくない。
本発明の塗装方法は、自動車部品塗装ラインの従来の塗装装置及び塗装条件を何ら変更無くそのまま使用が可能である。また、その後の焼付けも従来と同じ条件で可能である。つまり、本発明で用いられる水性プライマー塗料組成物は、通常の塗装装置にて所定の膜厚(5〜18μm)に塗布され、その後、ベース塗布、クリヤー塗布、焼付け(120〜130℃、20〜60分)を通ることにより加熱され、黄変、垂れ、亀裂、フクレ、縮みなどの外観品質を損ねることの無い優れた硬化塗膜を得ることができる。
本発明のリコート用プライマーには、必要に応じて、光干渉性顔料、体質顔料、分散剤、沈降防止剤、有機溶剤、反応促進剤(例えば有機スズ化合物など)、消泡剤、増粘剤、防錆剤、紫外線吸収剤、表面調整剤など、公知の添加剤を適宜配合することもできる。
本発明のリコート用プライマーは、上記の各成分を水とともに公知の方法によって配合して、樹脂成分を水溶化または水分散化することにより、例えば、その固形分濃度が20〜60重量%、好ましくは、35〜60重量%となるように調製される。
本発明のリコート用プライマーの塗装膜厚は、焼付け後の膜厚として、例えば、5〜18μm、好ましくは、5〜15μmである。
本発明で用いられる水性ベース塗料は、特に制限されず、本発明のリコート用プライマーと同様の成分からなり、水溶性または水分散性の樹脂成分、硬化剤および顔料を含有するベース水性塗料が用いられる。例えば、カルボキシル基や水酸基などを有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂成分と、ブロックポリイソシアネート、メラミン樹脂、尿素樹脂などの架橋剤と、顔料と、その他の添加剤とを、水に溶解または分散させることにより、調製することができる。
なお、顔料として、例えば、アルミニウム粉、フレーク状酸化アルミウム、パールマイカ、フレーク状マイカなどのメタリック顔料を用いれば、メタリック調またはパール調の塗膜を形成することができる。また、ベース水性塗料における顔料の配合量は、ベース塗装により形成される塗膜が透明性を有し、その塗膜を介して中塗り層の色彩を目視で認識できる程度の配合量とされる。
また、水性ベース塗料は、その固形分濃度が、例えば、20〜50重量%、好ましくは、25〜45重量%となるように調製される。
水性ベース塗料の塗装方法は、特に制限されないが、例えば、エアスプレー法、エアレススプレー法、静電塗装法などが用いられる。より具体的には、例えば、ベル塗装法が用いられ、その塗装条件は、例えば、ベル回転速度25000〜35000min−1、シェービングエア圧力1.0〜2.0kg/cm、ガン距離20〜30cm、吐出量150〜350mLである。
水性ベース塗料の塗装膜厚は、焼付け後の膜厚として、例えば、10〜100μm、好ましくは、10〜25μmである。
水性ベース塗料は、光揮材、例えば光輝性顔料を含むものであってもよい。光輝性顔料としては、例えば、アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、グラファイト顔料、干渉マイカ顔料、着色マイカ顔料、金属チタンフレーク顔料、ステンレスフレーク顔料、金属めっきガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、ホログラム顔料などが挙げられる。
更に、本発明の塗装方法で、各塗膜をプレヒートする場合は、塗膜内で架橋が生じさせるために、60℃から100℃で1分から5分間、熱風乾燥を行うことが好ましい。
クリヤー塗装に用いられるクリヤー塗料は、2液硬化型塗料であれば特に制限されない。例えば、アクリルポリオール樹脂やポリエステルポリオール樹脂などの樹脂成分と、ポリイソシアネート化合物からなる硬化剤、その他の添加剤、有機溶剤から調製することができる。これらの中でも、アクリルポリオール樹脂とポリイソシアネート化合物を硬化剤とすることで耐候性の点から好ましく用いられる。
また、クリヤー塗料には、必要に応じて、透明性を阻害しない範囲において、ベースカラー顔料やメタリック顔料を含有させることができ、さらに体質顔料、紫外線吸収剤などを適宜含有させることができる。
また、クリヤー塗料は、その固形分濃度が、例えば、30〜70重量%、好ましくは、40〜60重量%となるように調製される。
また、クリヤー塗料の塗装方法は、特に制限されないが、例えば、エアスプレー法、エアレススプレー法、静電塗装法などが用いられる。好ましくは、ベル塗装法が用いられる。
[実施例及び比較例]
以下、各成分の製造例を示す。
(酸無水物変性塩素化エマルジョン合成例)
攪拌羽根、温度計、温度制御サーミスター装置、滴下装置及び冷却管を備えた反応装置に、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂(「スーパークロン892LS」;日本製紙(株)製:塩素含有率22%、重量平均分子量7万〜8万)を288部、界面活性剤(「エマルゲン920」花王(株)製)62部、芳香族炭化水素溶剤「ソルベッソ100」エクソン社製)74部、酢酸カービトール32部を仕込み、110℃まで昇温し、この温度で1時間加熱し樹脂などを溶解させた後、100℃以下に冷却した。次いでジメチルエタノールアミン6部を溶解させたイオン交換水710部を攪拌しながら1時間で滴下し、転相乳化した。その後、室温まで冷却し、400メッシュの金網でろ過して、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィンエマルジョンを得た。このエマルジョンの不揮発分は30質量%であった。
(合成例1:スルホン酸基含有ポリウレタンディスパージョンの合成例)
攪拌羽根、温度計、温度制御、滴下装置、サンプル採取口及び冷却管付き還流装置、窒素導入管を備えた耐圧反応容器に窒素ガスを通じながらアジピン酸1100部と3メチル−1,5−ペンタンジオール900部と、テトラブチルチタネート0.5部とを仕込み、容器内液の反応温度を170℃に設定し、脱水によるエステル反応を行い、酸価が0.3mgKOH/g以下になるまで継続した。ついで、180℃、5kPa以下の減圧条件下で2時間反応を行い、水酸基価112mgKOH/g,酸価0.2mgKOH/gのポリエステルを得た。ついで、上記反応容器と同じ装置のついた別の反応容器に、このポリエステルポリオール500部、5−スルホソジゥムイソフタール酸ジメチル134部及びテトラブチルチタネート2部を仕込み、上記と同じようにして、窒素ガスを通じながら、反応温度を180℃に設定してエステル化反応を行い、最終的に分子量2117、水酸基価53mgKOH/g,酸価が0.3mgKOH/gのスルホン酸基含有ポリエステルを得た。
(合成例2;100%モジュラスの低いスルホン酸基含有ウレタンディスパージョンの合成例)
上記スルホン酸基含有ポリエステル(合成例1)を280部、ポリブチレンアジペート200部、1,4−ブタンジオール35部、ヘキサメチレンジイソシアネート118部及びメチルエチルケトン400部とを、攪拌羽根、温度計、温度制御、滴下装置、サンプル採取口及び冷却管付き反応容器に窒素ガスを通じながら仕込み、攪拌しながら液温を75℃に保持してウレタン化反応を行い、NCO含有率が1%であるウレタンプレポリマーを得た。続いて、上記反応容器中温度を40℃に下げて、十分攪拌しながらイオン交換水955部を均一に滴下して転相乳化を行った。次いで、内部温度を室温に下げて、アジピン酸ヒドラジド13部とイオン交換水110部とを混合したアジピン酸ヒドラジド水溶液を添加してアミン伸長を行った。ついで、若干の減圧状態で60℃に液温をあげて脱溶剤を行い、終了した時点で、ポリウレタンディスパージョンの固形分が35%になるようにイオン交換水を追加してスルホン酸基含有ポリウレタンディスパージョン(B1)を得た。酸価は11mgKOH/gであった。これの乾燥膜厚100μmの100%モジュラスは2であった。
(合成例3;100%モジュラスの大きいスルホン酸基含有ウレタンディスパージョンの合成例)
(合成例2)で行ったと同じ反応工程で、ヘキサメチレンジイソシアネートのみをイソホロンジイソシアネート156部に代えた以外は、全く同じ配合・工程でウレタンディスパージョン(B2)を得た。この場合も最終時点でイオン交換水追加により、固形分を35%に調整し、酸価は11mgKOH/gであった。これの乾燥膜厚100μmの100%モジュラスは16であった。
(エポキシ基含有アクリル樹脂の製造)
攪拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入管及び冷却管を備えた反応容器に、イオン交換水37部を仕込み、80℃まで昇温した。昇温から反応完了まで全て内部液攪拌しながら各作業を行った。一方、乳化機(T.K.ロボミックスRM型;プライミクス(株)製)にイオン交換水21部、界面活性剤Newcol 710を1部、Newcol 740を1部(いずれも界面活性剤、日本乳化剤(株)製)を仕込み、攪拌しながら均一溶解を行った。
続けて攪拌しながら、上記乳化機にn−ブチルアクリレート6部、エチルヘキシルメタクリレート8部、グリシジルメタクリレート14部からなる重合性モノマー混合溶液を徐々に滴下して、プレエマルション液を作成した。
一方、イオン交換水7部及びアンモニウムパーサルフェート(乳化重合触媒)1.1部からなる重合触媒液を作成し、上記反応容器に、上記プレエマルション液と該重合触媒液とを別々の滴下ロートから3時間をかけて滴下した。反応容器内部温度は80℃に維持し攪拌しながらエマルション重合を行った。プレエマルション液は、乳化機で乳化状態を保持しながらそこから直接反応容器につないで滴下する手法をとった。3時間後、さらに、イオン交換水4部及びアンモニウムパーサルフェート重合触媒からなる重合触媒液だけを、内温を80℃に保持して、1時間かけて滴下した。その後、80℃で1時間熟成し、冷却をして、エポキシ基含有アクリルエマルションを得た。このものの不揮発分は30%であった。また、樹脂固形分100中のエポキシ基含有モノマーの量は50質量%である。
(水性プライマー用顔料分散樹脂の合成例)
攪拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入管及び冷却管を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルエーテル55部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ、攪拌下120℃まで昇温した。次に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12部、メタクリル酸9部、イソブチルメタクリレート35部、n−ブチルアクリレート44部からなる重合性モノマー混合物と、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサナート1部をプロピレングリコール8部に溶解した溶液とを、内部攪拌にてそれぞれ3時間をかけて滴下した。
次いで、滴下終了後、1時間120℃の状態で熟成反応を行った後、さらにt−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサナート0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテル4部に溶解した溶液を、1時間かけて反応容器に滴下した。いずれの場合も内部攪拌状態と120℃液温を維持していた。この後、攪拌しながら120℃で2時間熟成し、次いで内部液温を70℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール9.5部を滴下して30分攪拌した。さらに内部液温を70℃に保持し、攪拌しながら、イオン交換水167部をゆっくりと滴下し、冷却して水溶性アクリル樹脂溶液を得た。イオン交換水を用いて、不揮発分を30%に調整した。
得られた水溶性アクリル樹脂溶液のpHは8.2で、アクリル樹脂の重量平均分子量は42000であった(GPCでポリスチレン換算)。
[顔料分散ペーストの製造例]
攪拌機のついたステンレス製の円筒攪拌槽に、上記製造例での水性プライマー用顔料分散樹脂33.3部を仕込み、攪拌しながらイオン交換水21部を添加した。次いで、顔料分散割SURFYNOL GA(不揮発分=78%;エアープロダクツ社製)2.0部を攪拌しながら添加した。十分攪拌しながら、消泡割ノプコ8034−L(不揮発分100%;サンノプコ社製)0.4部を添加した。攪拌を続けながら、次いでつや消し剤シリカのニップシールSS−50B(東ソー・シリカ社製)11.3部、導電性カーボンのカーボンECP600JD(ライオン(株)社製)9.0部、チタンR−960(Du Pont社製)48.2部を順序よく仕込み、さらに最後にイオン交換水3.9部、次いでサイメル701(サイテックインダストリーズ(株)社製;不揮発分=82%)を12.2部添加し、十分攪拌しながら、全体が均一になるまで15分間攪拌して、顔料ミルベースを作成した。このミルベースをサンドグラインダーミルにより顔料分散を行い、水性プライマー用顔料分散ペーストを作成した。このものの不揮発分は、64%であり、顔料濃度(PWC)は、75.8%であった。
顔料分散ペーストの配合比は下記表1の通りである。
Figure 0005261089
(会合型増粘剤製造例)
(合成例1)
減圧可能反応容器に、セチルアルコールとエチレンオキサイド70モルのとの付加物(数平均分子量3320)6645質量部を、減圧下100℃で3時間脱水し、上記付加物の水分量を0.005%以下にした。
ついで大気圧下にして70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート168部及びジブチルチンジラウレート0.7質量部を加え、窒素雰囲気下で80℃に昇温し、この温度で5時間反応させた。得られたウレタン化合物は、粘ちょう液状で、ポリスチレン換算でのGPC測定における重量平均分子量は、8000であった。
このウレタン化合物15質量%、プロピルプロピレングリコール24質量%、イオン交換水61質量%混合物をディスパー攪拌し、会合型増粘剤を製造した。
(合成例2)
会合型増粘剤製造例(合成例1)と同じ手法・条件で、セチルアルコールとエチレンオキサイド100モルとの付加物(数平均分子量4640)9285質量部を減圧下で脱水し、水分量を0.005%以下とし、ついで大気圧下に70℃に冷却して、ヘキサメチレンジイソシアネート168質量部及びジブチルチンジラウレート0.9質量部を加え、窒素雰囲気下80℃に昇温して5時間反応させた。得られたウレタン化合物は粘ちょう液状で、ポリスチレン換算での重量平均分子量は、12000であった。
このウレタン化合物15質量%、プロピルプロピレングリコール24質量%、イオン交換水61質量%混合物をディスパー攪拌し、会合型増粘剤を製造した。
(合成例3)
会合型増粘剤製造例(合成例1)と同じ手法・条件で、セチルアルコールとエチレンオキサイド30モルとの付加物(数平均分子量1560)3125質量部を減圧下で脱水し、水分量を0.005%以下とし、ついで大気圧下に70℃に冷却して、ヘキサメチレンジイソシアネート168質量部及びジブチルチンジラウレート0.3質量部を加え、窒素雰囲気下80℃に昇温して5時間反応させた。
得られたウレタン化合物は粘ちょう液状で、ポリスチレン換算での重量平均分子量は、4000であった。
このウレタン化合物15質量%、プロピルプロピレングリコール24質量%、イオン交換水61質量%混合物をディスパー攪拌し、会合型増粘剤を製造した。
[実施例1]
攪拌装置のついたステンレス製容器に上記エポキシ基含有アクリル樹脂を100部を仕込み、攪拌しながら以下のものを順に仕込み、水性プライマーを作製した。
酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルション樹脂(A) 100部
ウレタンディスパージョン製造例(合成例1、100%モジュラス2) 57部
サイメル701 12.2部
顔料分散ペースト製造例 10部
ウレタン会合型増粘剤(合成例1、Mw=8000) 0.14部
2エチルヘキサノール 6 部
表面調整剤サーフィノール440(エアープロダクツ社製) 3.5部
イオン交換水 136.54部
この塗料の不揮発分は、32質量%であった。
[実施例2〜5]
同様の手順で、表2に記載の配合で、実施例1〜5のプライマーを作製した。
[比較例1〜5]
同様の手順で、表3に記載の配合で、比較例1〜5のプライマーを作製した。
[比較例6〜9]
同様の手順で、表3に記載の配合で、比較例6〜9のプライマーを作製した。但し、比較例6ではアルカリ膨潤型増粘剤(プライマルASE−60)を用い、比較例7ではウレタンディスパージョン(合成例2:100%モジュラス16)を用い、比較例8ではウレタン会合型増粘剤(合成例2:Mw=12000)を用い、比較例9ではウレタン会合型増粘剤(合成例3:Mw=4000)を用いた。
[性能評価]
リコート塗膜作成方法によりそれぞれのテストピースを作成し、初期密着(リコート1次密着)及び耐水2次密着、ワキ性、クラック性評価を行い、表2、3及び4に結果を示した。
(リコート塗膜作成方法)
塗料を、イソプロピルアルコールにてワイピングしたポリプロピレン素材(70mm×150mm×3mm)に25℃/70%RHの環境下においてワイダー71(アネスト岩田製)でスプレー塗装(乾燥膜厚8μm)し、80℃で3分間プレヒートした。
次いで、水性ベース塗料(AR‐2000、日本ぺイント社製、アクリルメラミン系)をワイダー71(アネスト岩田製)でスプレー塗装(乾燥膜厚15μm)し、80℃で5分間プレヒートした。
次いで、クリヤー塗料(R‐2500‐1、クリヤー主剤(日本ビー・ケミカル社製、アクリル系)/H‐2500−1硬化剤日本ビー・ケミカル社製、ポリイソシアネート)をワイダー71(アネスト岩田製)でスプレー塗装(乾燥膜厚30μm)し、25℃/70%RHで10分間セッティングした後、120℃で35分間乾燥して、テストピースを得た。
得られたテストピースについて、30℃/70%RHの環境下において3日間静置した後、上記プライマー、水性ベース、クリヤー塗料を同一塗装条件にてリコート塗装し、リコート評価塗板を作成した。
得られたテストピースについて、20℃で70%RH下にて72時間後に以下の方法により、碁盤目剥離試験を実施した。
(リコート初期値の碁盤目剥離試験)
JIS K5600−5‐6に準拠して、碁盤目による剥離試験を行った。2mm角の100個の碁盤目を用意し、粘着テープにより剥離試験を行い、1個でも剥がれたテストピースは密着性×と評価した。
(リコート側の耐水2次密着評価方法)
上記方法にて作成されたテストピースについて40℃の耐水槽にて240H浸漬させる。浸漬終了後引き上げた後、1時間以内にJIS K5600−5‐6に準拠して、碁盤目セロテープ(登録商標)剥離試験を行った。2mm角の100個の碁盤目を用意し、セロハンテープ剥離試験を行い、剥がれなかった碁盤目数を数えた。
評価的串は以下の通りである。0/100(剥離なし)を○とし、1/100〜100/100(剥離あり)を×とした。
(ワキ評価)
実施例1〜5および比較例1〜9で作成した水性プライマー塗料を、IPAワイプしたポリプロピレン素材(70mm×150mm×3mm)に25℃/70%RHの環境下において、乾燥膜厚10μmに塗装し、15秒セッティングした後、乾燥炉にて80℃で3分間プレヒートを実施した。
プレヒート後、乾燥炉より取り出し、25℃/70%RHの環境下において10分放置させた後、次いで、クリヤー塗料をスプレー塗装(乾燥膜厚20μm)し、25℃/70%RHの環境下において10分間セッティングした後、120℃で35分間乾燥して、テストピースを行った。
得られた塗板について評価し、目視にてワキ評価を行った。評価基準は、以下の通りである。ワキなしを○とし、ワキが1個以上あったものを×とした。
(クラック評価)
中心部を50mmφの円に切り取ったポリプロピレン素材(70mm×75mm×3mm)をイソプロピルアルコールにてワイピング脱脂を行った後、25℃で70%RH(相対湿度)の環境下において、水性プライマー塗料を、ワイダー71(アネスト岩田社製)で塗装(乾燥膜厚15μm)し、30秒間、上記環境下にて放置後、炉内温度60℃で炉内風速が4m/秒の乾燥炉に入れ、3分間乾燥した。冷却後、塗板の円周辺部の溜まり部のクラック評価を目視で行った。クラックが1箇所でもあれば×とし、全くクラックがないのを○とした。
Figure 0005261089
Figure 0005261089
Figure 0005261089
表2、3及び4の結果より、本発明のリコート用プライマーは、3Wet塗装系との組合せにおいて諸性能を満足することが分かる。
本発明により、3Wet塗装系(3コート1ベーク(3C1B)法)において、同一塗装系でのリコートが可能となった。特に、水性プライマー−水性ベース塗料−2液アクリル・ポリイソシアネート硬化トップクリヤーの同一塗装系でのリコートが可能となった。本発明の塗装方法は、特に自動車部品を構成する部材に対して好ましく適用される。

Claims (10)

  1. 被塗装部材の上に、水性プライマー塗料を塗装する工程(第1コート)と、水性プライマーがウエット状態の部材に水性ベース塗料を塗装する工程(第2コート)工程と、ベース塗装されたウエット状態の部材にクリヤー塗料を塗装する工程(第3コート)と、塗装された3層(第1〜3コート層)を一度に焼き付け硬化させる工程(ベーク)からなる塗膜形成の後、該3層上に更に塗装(リコート)する塗膜形成方法に用いるリコート用水性プライマーであって、(A)酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルジョン、(B)スルホン酸基含有ポリウレタンディスパージョン、(C)エポキシ基含有アクリルエマルジョン、(D)硬化剤、(E)顔料分散樹脂、(F)増粘剤、及び(G)2−エチルヘキサノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、及びエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルから選択される1種以上であり、全塗料中1〜10質量%配合される疎水性高沸点溶剤を含み、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の合計固形分100部中で、(A)=20〜35部、(B)=15〜35部、(C)=20〜35部、(D)=5〜15部、(E)=5〜35部であることを特徴とするリコート用水性プライマー。
  2. 前記(B)スルホン酸基含有ポリウレタンディスパージョンは、20℃での100%モジュラスが0.3〜10(N/mm)未満であることを特徴とする請求項1に記載のリコート用水性プライマー。
  3. 全塗料中での(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の合計固形分は40〜70質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリコート用水性プライマー。
  4. 前記(D)硬化剤は、メラミン樹脂及び/又はブロックイソシアネートであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のリコート用水性プライマー。
  5. 前記(F)増粘剤は、ウレタン会合型増粘剤であり、重量平均分子量が5000〜10000であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のリコート用水性プライマー。
  6. 被塗装部材が、プラスチック部材であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のリコート用水性プライマー。
  7. 被塗装部材の上に、水性プライマーを塗装(第1コート)し、水性プライマーがウエット状態の部材に水性ベース塗料を塗装(第2コート)し、ベース塗装されたウエット状態の部材にクリヤー塗料を塗装(第3コート)し、塗装された3層(第1〜3コート層)を一度に焼き付け硬化(ベーク)させて塗膜形成した後に、該3層上に更に、水性プライマーを塗装(第1リコート)し、中塗りされたウエット状態の部材に水性ベース塗料を塗装(第2リコート)し、ベース塗装されたウエット状態の部材にクリヤー塗料を塗装(第3リコート)し、塗装された3層(第1〜3リコート層)を一度に焼き付け硬化(ベーク)させて塗膜形成塗装(リコート)する塗膜形成方法であって、(A)酸無水物変性塩素化ポリオレフィンエマルジョン、(B)スルホン酸基含有ポリウレタンディスパージョン、(C)エポキシ基含有アクリルエマルジョン、(D)硬化剤、(E)顔料分散樹脂、(F)増粘剤、及び(G)2−エチルヘキサノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、及びエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルから選択される1種以上であり、全塗料中1〜10質量%配合される疎水性高沸点溶剤を含み、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の合計固形分100部中で、(A)=20〜35部、(B)=15〜35部、(C)=20〜35部、(D)=5〜15部、(E)=5〜35部であるリコート用水性プライマーを用いることを特徴とする塗膜形成方法。
  8. 前記第3コート用クリヤー塗料が、2液硬化型アクリル・ポリイソシアネート塗料であることを特徴とする請求項に記載の塗膜形成方法。
  9. 前記第1コート用水性プライマー塗料とリコート用水性プライマー塗料が同一であることを特徴とする請求項又はに記載の塗膜形成方法。
  10. 被塗装部材が、プラスチック部材であることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の塗膜形成方法。
JP2008233406A 2007-12-27 2008-09-11 リコート用水性プライマー及び塗膜形成方法 Active JP5261089B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008233406A JP5261089B2 (ja) 2007-12-27 2008-09-11 リコート用水性プライマー及び塗膜形成方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007337509 2007-12-27
JP2007337509 2007-12-27
JP2008233406A JP5261089B2 (ja) 2007-12-27 2008-09-11 リコート用水性プライマー及び塗膜形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009173861A JP2009173861A (ja) 2009-08-06
JP5261089B2 true JP5261089B2 (ja) 2013-08-14

Family

ID=41029295

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008233406A Active JP5261089B2 (ja) 2007-12-27 2008-09-11 リコート用水性プライマー及び塗膜形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5261089B2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101407133B1 (ko) 2007-10-22 2014-06-16 현대모비스 주식회사 수용성 프라이머 조성물
JP2011208079A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Hoya Corp 二色性色素含有液および偏光素子
KR101882291B1 (ko) * 2011-03-11 2018-07-27 디아이씨 가부시끼가이샤 히트 씰제, 그것을 사용한 적층체 및 태양 전지 모듈
CA2864479C (en) * 2012-02-14 2018-05-29 W.M. Barr & Company Waterborne coating composition useful for promoting adhesion to plastic surfaces
JP6100156B2 (ja) 2013-12-19 2017-03-22 株式会社神戸製鋼所 鍛鋼品用高強度鋼及び鍛鋼品
CN105017954B (zh) * 2015-08-17 2017-10-24 宁昊昊 汽车漆底补差剂及汽车漆面修复方法
JP6654331B2 (ja) * 2016-03-08 2020-02-26 関西ペイント株式会社 複層塗膜形成方法
CN107523191B (zh) * 2017-09-19 2019-05-31 泉州信和石墨烯研究院有限公司 一种防腐耐候的水性立体仿龟纹效果漆及其制备方法与施工方法
US11441052B2 (en) * 2018-01-18 2022-09-13 Basf Coatings Gmbh Process for coating fiber composite panels at low baking temperatures
CN109096846A (zh) * 2018-09-21 2018-12-28 河北晨阳工贸集团有限公司 一种松木专用环保清底漆及其制备方法
KR102179771B1 (ko) * 2019-03-11 2020-11-18 조용백 친환경 기능성 플라스틱 제품의 제조방법
KR102406720B1 (ko) * 2019-12-17 2022-06-10 주식회사 케이씨씨 프라이머 조성물
CN112724797B (zh) * 2020-10-10 2023-03-10 南京锐迈涂料科技有限公司 用于汽车轮毂涂装的低温烘烤氨基烤漆及其制备方法
JP7493696B1 (ja) 2023-12-05 2024-05-31 日本ペイント株式会社 複層塗膜の形成方法、複層塗膜および水性プライマー塗料組成物

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3203881B2 (ja) * 1993-05-28 2001-08-27 日本油脂ビーエーエスエフコーティングス株式会社 水性塗料組成物、塗装方法および塗膜
JP4083062B2 (ja) * 2002-04-15 2008-04-30 日本ビー・ケミカル株式会社 水性プライマー塗料組成物、それを用いた塗膜形成方法および塗装物品
JP5171261B2 (ja) * 2005-12-09 2013-03-27 関西ペイント株式会社 水性プライマー塗料組成物
JP2007302709A (ja) * 2006-05-08 2007-11-22 Kansai Paint Co Ltd 水性プライマー組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009173861A (ja) 2009-08-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5261089B2 (ja) リコート用水性プライマー及び塗膜形成方法
US8247035B2 (en) Method for forming multilayer coating film
JP5198718B2 (ja) 熱硬化性水性塗料及び塗膜形成方法
WO2006028262A1 (ja) 熱硬化性水性塗料組成物
US9688877B2 (en) Process for the production of an OEM base coat/clear top coat multi-layer coating
CN101260272A (zh) 水基单组分涂料和多层涂膜形成法
JP7043621B2 (ja) 複層塗膜形成方法
WO2015087932A1 (ja) 複層塗膜形成方法
US9499718B2 (en) Process for the production of an OEM base coat/clear top coat multi-layer coating
WO2018012552A1 (ja) 塗料組成物
MXPA06003869A (es) Proceso para la produccion de revestimientos de capas multiples que comprenden una capa de pintura base de superficie de imprimador a base de agua y un revestimiento final aplicado a la misma.
JP4746500B2 (ja) プラスチック素材用複層膜形成方法およびその塗装物
JP6355532B2 (ja) 複層塗膜の形成方法
JP5015884B2 (ja) 複層塗膜形成方法
EP3904464B1 (en) Water-based coating composition and method for forming coating film
WO2020194928A1 (ja) 塗料組成物
JP7441769B2 (ja) 自動車部品用成型品上への複層塗膜の塗装方法
JP7365311B2 (ja) ベース塗料組成物および塗装物品
KR101435969B1 (ko) 자동차 보수용 논샌딩 프라이머-서페이서 도료 조성물 및 이를 사용한 자동차 보수 방법
JP5342457B2 (ja) 複層塗膜形成方法
JP7439231B1 (ja) クリヤー塗料組成物および塗装物品の製造方法
JP7402712B2 (ja) 複層塗膜の製造方法
JP7439230B1 (ja) クリヤー塗料組成物および塗装物品の製造方法
JP2009155396A (ja) クリヤー塗料組成物及び複層塗膜形成方法
JP2010069372A (ja) Abs基材の塗装方法及び塗装物品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110903

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130318

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130409

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130426

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160502

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5261089

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250