画像形成装置において行った印刷環境情報の修正(加工)内容を再利用することを前提とした場合、プリンタドライバにおいて変更設定した印刷環境情報を保存しておく従来技術は、保存する対象が異なるので、利便性の向上に貢献するものは何ら存在しない。
また、画像形成装置において過去に入力設定した印刷環境情報の修正(加工)内容をユーザ毎に分けて保存する従来技術は、その印刷環境情報の修正(加工)内容を過去に入力設定したユーザが再利用できるだけに止まるものであって、同一ユーザ限定という枠組みを超えた汎用性がない。
一方、画像形成装置において印刷環境情報の修正(加工)内容を入力設定する必要に迫られる原因はユーザ毎に異なる場合もあるが、それだけに限られるわけではなく、むしろ、それ以外のファクタが原因で、画像形成装置において印刷環境情報の修正(加工)内容を入力設定する必要に迫られることも、無視できないほど多数に及ぶ。
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、外部から入力された印刷ジョブ中の印刷環境情報を画像形成装置側において加工して記録紙への印刷を行った場合に、その加工内容を以後の印刷ジョブの実行の際にも効率的に再利用することができる画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載した本発明の画像形成装置は、外部から入力された印刷ジョブ中の印刷環境情報に対する加工を受け付けた場合に、該受け付けた加工を前記印刷環境情報に施した後の前記印刷ジョブに応じた画像を記録紙に印刷する画像形成装置において、
前記受け付けた加工の内容を示す加工情報を、前記受け付けた加工の対象となる前記印刷環境情報を有する前記印刷ジョブ中の該印刷ジョブを識別するための識別情報に関連付けて記憶手段に記憶させる書き込み手段と、
前記印刷ジョブの前記識別情報により前記記憶手段を検索し、該識別情報が前記記憶手段に前記加工情報と関連付けられて記憶されている場合に、該加工情報を前記記憶手段から読み出させる読み出し手段と、
外部から前記印刷ジョブが入力された際に前記記憶手段を前記読み出し手段に検索させ、前記入力された印刷ジョブの前記識別情報に関連付けて前記記憶手段に記憶された前記加工情報を前記読み出し手段が前記記憶手段から読み出させた場合に、該読み出させた加工情報が示す内容の加工を前記印刷環境情報に施した後の前記入力された印刷ジョブに応じた画像を記録紙に印刷させる印刷制御手段と、
を備えることを特徴とする。
上記した請求項1に記載した本発明の画像形成装置において、「印刷ジョブ」は、印刷する原稿(写真や図形、文字等)の画像データと共に、「印刷環境情報」を含んでいる。この「印刷環境情報」は、「印刷ジョブ」中の画像データによる原稿を画像形成装置において印刷する際の印刷環境を、「印刷ジョブ」の出力元(例えば、画像形成装置に接続されたクライアント端末)から指定するための情報である。
また、「印刷ジョブ」は、上述した原稿の画像データや「印刷環境情報」の他に、「識別情報」を含んでいる。この「識別情報」は、個々の「印刷ジョブ」を識別(特定)するためのものである。「識別情報」としては、例えば、画像形成装置に入力される「印刷ジョブ」の出力元であるクライアント端末のコンピュータに登録されているコンピュータのユーザ名、クライアント端末のコンピュータに登録されているコンピュータの名前であるPC名、この「印刷ジョブ」のジョブ名(例えば、「印刷ジョブ」中の画像データのファイル名に中間データの識別子を付けたもの)、あるいは、印刷対象の原稿の画像データを生成したアプリケーションプログラムを示すアプリ名、等が挙げられる。
さらに、上記した請求項1に記載した本発明の画像形成装置においては、「識別情報」と共に「印刷ジョブ」に含まれる「印刷環境情報」に対する加工が受け付けられる場合がある。この加工とは、画像形成装置の外部から入力された時点における「印刷環境情報」の内容を、それとは異なる内容に加工することを意味する。受け付けられた加工の内容は、「加工情報」によって示される。この「加工情報」は、狭義では、純粋に変更された内容のみを示すものであり、広義では、変更後の「印刷環境情報」の内容を示すものである。請求項1に記載した本発明の画像形成装置における「加工情報」は、狭義、広義どちらの概念のものであってもよい。
そして、上記した請求項1に記載した本発明の画像形成装置においては、入力された「印刷ジョブ」の「印刷環境情報」に対する加工が受け付けられた場合、受け付けられた加工の内容を示す「加工情報」は、「印刷ジョブ」の識別情報と関連付けて記憶手段に必ず記憶させるようにしてもよく、そうではなく必要に応じて記憶させるようにしてもよい。例えば、繰り返して発生した同じ内容の「印刷ジョブ」の「印刷環境情報」に、それぞれ同じ内容の加工が受け付けられた場合を考える。この場合、各「印刷ジョブ」の「印刷環境情報」に関する「加工情報」を識別情報と関連付けてその都度記憶手段に記憶させると、内容が全く同じ識別情報及び「加工情報」の組み合わせを、記憶手段に複数組記憶させることになる。そのようにすることは、記憶手段の記憶容量をむやみに消耗しないようにする上で、避けることが望ましい場合がある。そこで、「印刷環境情報」に対する加工を受け付けた「印刷ジョブ」が入力されても、その内容次第で、入力された「印刷ジョブ」の識別情報と関連付けて「印刷環境情報」に関する「加工情報」を記憶手段に記憶させないようにしてもよい。
ところで、外部から入力された「印刷ジョブ」が、「印刷環境情報」に加工を加えずに実行された場合、その「印刷ジョブ」の「印刷環境情報」に対する「加工情報」は存在しない。「加工情報」が存在しないことから、その「印刷ジョブ」の識別情報が「加工情報」と関連付けて記憶手段に記憶されることもない。したがって、請求項1に記載した本発明の画像形成装置において、外部から入力された「印刷ジョブ」には、「加工情報」と関連付けて識別情報が記憶手段に記憶される「印刷ジョブ」と、そうでない「印刷ジョブ」とが存在することになる。このように、画像形成装置の外部から入力される「印刷ジョブ」は、加工情報と共に記憶手段に記憶される識別情報によって特定(識別)される「印刷ジョブ」も、そうでない「印刷ジョブ」も含むので、単に「印刷ジョブ」という文言で、画像形成装置の外部から入力される「印刷ジョブ」を表現することができない。
そこで、本発明の画像形成装置においては、上述した請求項1のみならず、特許請求の範囲の全体を通して、「画像形成装置の外部から入力された印刷ジョブ」を、特に、「外部から入力された印刷ジョブ」、「外部から前記印刷ジョブが入力された際に」、又は、「前記入力された印刷ジョブ」という文言で、画像形成装置の外部から入力される「印刷ジョブ」を表現している。
そして、請求項1に記載した本発明の画像形成装置によれば、外部から入力された印刷ジョブ中の印刷環境情報に対する加工を受け付けて、その加工を印刷環境情報に施した後の印刷ジョブに応じた画像を記録紙に印刷する際に、受け付けた加工の内容を示す加工情報が、その加工を施す対象となった印刷環境情報を含む印刷ジョブ中の、その印刷ジョブを識別するための識別情報に関連付けて、書き込み手段によって記憶手段に記憶される。
また、その後に外部から印刷ジョブが入力された際には、読み出し手段が記憶手段を検索する。そして、加工情報に関連付けて記憶手段に記憶されている、過去に入力された印刷ジョブの識別情報の中に、今回入力された印刷ジョブの識別情報と同じ識別情報が存在する場合には、その識別情報と関連付けられた、過去に入力された印刷ジョブの印刷環境情報に加えた加工の内容を示す加工情報を、読み出し手段が記憶手段から読み出させる。
そして、印刷制御手段の制御によって、読み出し手段により記憶手段から読み出した加工情報によって示される内容の加工が、今回外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報に対して施され、さらに、この加工が施された後の印刷ジョブに応じた画像が記録紙に印刷される。
したがって、過去に外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報について受け付けた加工の内容が、その加工を印刷環境情報に施した過去の印刷ジョブの識別情報と一致する識別情報を有する印刷ジョブが後に入力された時に記憶手段から読み出されて、その印刷ジョブの印刷環境情報の加工に再利用されることになる。
このため、過去の印刷ジョブと識別情報の内容が共通する印刷ジョブの印刷環境情報を、過去の印刷ジョブの実行時に行ったのと同じ内容で加工する際に、改めて印刷環境情報の加工内容を画像形成装置において入力設定する必要を無くし、過去の加工内容を他のユーザを含めて効率的に再利用することができる。
また、請求項1に記載した本発明の画像形成装置は、
前記印刷環境情報に対する加工を受け付ける度に、前記受け付けた加工の対象となる前記印刷環境情報を有する前記印刷ジョブに含まれる、該印刷ジョブに関連する複数の要素をそれぞれ特定する複数の要素特定情報の中から、所望の要素の前記要素特定情報を選択指示する要素選択指示手段をさらに備えており、
前記書き込み手段は、前記印刷環境情報に対する加工を受け付ける度に、前記受け付けた加工の対象となる前記印刷環境情報を有する前記印刷ジョブ中の、前記要素選択指示手段によって選択指示された前記要素の前記要素特定情報を、前記識別情報として、関連する前記加工情報と共に前記記憶手段に記憶させ、
前記読み出し手段は、前記記憶手段に前記加工情報と関連付けられて前記識別情報として記憶された、前記要素選択指示手段によって選択指示された前記要素の前記要素特定情報の内容に、前記印刷ジョブの前記識別情報に含まれる対応する前記要素の前記要素特定情報の内容が一致した場合に、該内容が一致した前記要素の前記要素特定情報を前記識別情報として、該識別情報に関連付けて記憶された前記加工情報を前記記憶手段から読み出させる、
ことを特徴とする。
請求項1に記載した本発明の画像形成装置においては、「識別情報」が複数の「要素特定情報」を有していることになる。各「要素特定情報」は、印刷ジョブに関連する「要素」を特定するもので、ここで言う「要素」としては、例えば、上述したユーザ名、PC名、ジョブ名、及び、アプリ名等の項目がある。したがって、各「要素特定情報」は、例えば、上述したユーザ名、PC名、ジョブ名、及び、アプリ名等の具体的な内容である。
そして、請求項1に記載した本発明の画像形成装置によれば、外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報に対する加工を受け付ける度に書き込み手段が記憶手段に書き込む加工情報と関連付ける識別情報は、印刷ジョブに関連する複数の要素特定情報(例えば、ユーザ名、PC名、ジョブ名、及び、アプリ名等の具体的な内容)のうち、要素選択指示手段によってその都度選択指示された種類の要素特定情報である。
よって、1番目に外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報に対する加工を受け付けた際に、要素選択指示手段によって選択指示された要素特定情報と、2番目に外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報に対する加工を受け付けた際に、要素選択指示手段によって選択指示された要素特定情報とが、それぞれ異なる要素についてのものである場合には、1番目の印刷ジョブについて受け付けた印刷環境情報に対する加工情報と関連付けられて記憶手段に記憶される要素特定情報と、2番目の印刷ジョブについて受け付けた印刷環境情報に対する加工情報と関連付けられて記憶手段に記憶される要素特定情報とは、各印刷ジョブ毎に異なる。
したがって、外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報に対する加工を受け付けた際に書き込み手段によって記憶手段に記憶させる加工情報は、外部から以後入力される印刷ジョブのうち、特定の要素についての要素特定情報の内容が一致する印刷ジョブに限って、その印刷環境情報の加工に利用されることになる。
例えば、1番目に外部から入力された印刷ジョブの加工情報を記憶手段に記憶させる場合と2番目に外部から入力された印刷ジョブの加工情報を記憶手段に記憶させる場合とで、各印刷ジョブの識別情報としてそれぞれの加工情報に関連付けて記憶手段に記憶させる要素特定情報の要素の種類(パターン)を異ならせると、加工情報を記憶手段から読み出して印刷環境情報の加工に利用する印刷ジョブの対象が、1番目の印刷ジョブの加工情報と2番目の印刷ジョブの加工情報とでは、必ずしも一致しないことになる。
具体的に例示すると、1番目に外部から入力された印刷ジョブの加工情報に関連付けて、例えば、ジョブ名とアプリ名という2つの要素についての要素特定情報を要素選択指示手段により選択指示して、識別情報として記憶手段に記憶させたものとする。また、2番目に外部から入力された印刷ジョブの加工情報に関連付けて、例えば、ユーザ名という1つの要素についての要素特定情報だけを要素選択指示手段により選択指示して、識別情報として記憶手段に記憶させたものとする。
この場合に、3番目以降に外部から入力される印刷ジョブが、1番目の印刷ジョブの識別情報として記憶手段に記憶されている2つの要素についての要素特定情報(ジョブ名及びアプリ名の内容)と内容が一致する要素特定情報(ジョブ名及びアプリ名の内容)を、識別情報中に有する印刷ジョブであれば、それら2つの要素についての要素特定情報と関連付けて記憶手段に記憶されている加工情報によって示される内容の加工が、その印刷ジョブの印刷環境情報に反映されることになる。
また、3番目以降に外部から入力される印刷ジョブが、2番目の印刷ジョブの識別情報として記憶手段に記憶されている1つの要素についての要素特定情報(ユーザ名の内容)と内容が一致する要素特定情報(ユーザ名の内容)を、識別情報中に有する印刷ジョブであれば、その1つの要素についての要素特定情報と関連付けて記憶手段に記憶されている加工情報によって示される内容の加工が、その印刷ジョブの印刷環境情報に反映されることになる。
したがって、過去に入力されて印刷環境情報に対する加工を受け付けた印刷ジョブの加工情報と関連付けて、その印刷ジョブの識別情報として記憶手段に記憶させる要素特定情報の要素を、各印刷ジョブ毎に異ならせることで、今後入力される印刷ジョブのうち、記憶手段の加工情報と同じ内容の加工を印刷環境情報に対して施す対象の印刷ジョブを、その加工情報と関連付けて記憶手段に記憶された要素特定情報と内容が一致する要素特定情報を識別情報中に有する印刷ジョブに限定することができる。
なお、請求項1に記載した本発明の画像形成装置においては、外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報に対する加工を受け付けた際に、要素選択指示手段によって、例えば、ジョブ名とアプリ名という2つの要素のうちジョブ名の要素特定情報を選択指定し、これを加工情報に関連付けて書き込み手段により記憶手段に記憶させた後に、今度は要素選択指示手段によってアプリ名の要素特定情報を選択指定し、これを同じ加工情報に関連付けて書き込み手段により記憶手段に記憶させる場合もある。つまり、ある印刷ジョブの印刷環境情報に対する加工を受け付けた場合に、要素選択指示手段が所望の要素の要素特定情報を選択指示する機会は、必ずしも1回だけであるとは限らず、複数回である場合もある。
さらに、請求項2に記載した本発明の画像形成装置は、請求項1に記載した本発明の画像形成装置において、
前記印刷環境情報が、複数の印刷環境項目についてそれぞれ設定されており、
前記各印刷環境項目についてそれぞれ設定された前記印刷環境情報の中から、所望の項目の前記印刷環境情報を選択指示する項目選択指示手段をさらに備えており、
前記書き込み手段が、前記印刷環境情報に対する加工を受け付けた際、前記項目選択指示手段によって前記所望の項目の前記印刷環境情報が選択指示される毎に、該選択指示された前記印刷環境情報に対する加工の内容を示す前記加工情報を、前記要素選択指示手段によって選択指示された前記要素の前記要素特定情報に関連付けて前記記憶手段に記憶させる、
ことを特徴とする。
請求項2に記載した本発明の画像形成装置においては、「印刷環境情報」が、複数の「印刷環境項目」についてそれぞれ設定されていることになる。各「印刷環境項目」としては、例えば、印刷速度、印刷濃度、印刷位置、及び、分版エリア(画像形成装置が多色孔版印刷装置である場合)等が挙げられる。
そして、請求項2に記載した本発明の画像形成装置によれば、請求項1に記載した本発明の画像形成装置において、外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報に対する加工を受け付けた際、項目選択指示手段によって、複数の印刷環境項目の印刷環境情報(例えば、印刷速度、印刷濃度、印刷位置、及び、分版エリアに関する印刷環境情報)のうち所望の印刷環境項目の印刷環境情報が選択指示される毎に、選択指示された印刷環境項目の印刷環境情報に対して受け付けた加工に関する加工情報が、複数の要素特定情報(例えば、ユーザ名、PC名、ジョブ名、及び、アプリ名等の具体的な内容)のうち要素選択指示手段によって選択指示された要素の要素特定情報に関連付けて、書き込み手段によって記憶手段に書き込まれる。
このため、1つの印刷ジョブに関する印刷環境情報に対する加工が受け付けられると、項目選択指示手段により所望の印刷環境項目の印刷環境情報が選択指示される毎に、項目選択指示手段によって選択指示された印刷環境項目の印刷環境情報に対する加工情報が、要素選択指示手段によって選択指示された要素の要素特定情報と関連付けて、その都度記憶手段に記憶されることになる。
よって、1つの印刷ジョブに関する印刷環境情報に対する加工が受け付けられた際に、外部から今後入力される印刷ジョブの印刷環境情報に対して適用する加工の内容を示す加工情報を、これと関連付けて記憶手段に記憶される要素特定情報によって特定される適用対象の印刷ジョブとの組み合わせで、複数パターン記憶させておくことができる。
なお、請求項2に記載した本発明の画像形成装置では、例えば、ある印刷ジョブの印刷濃度についての印刷環境情報に対する加工を受け付けた場合に、印刷濃度についての印刷環境情報を項目選択指示手段によって選択指示し、この印刷濃度についての印刷環境情報を、ジョブ名の要素特定情報とアプリ名の要素特定情報とのそれぞれに関連付けて、書き込み手段により記憶手段に記憶させる場合がある。この場合には、ジョブ名の要素特定情報と関連付ける印刷環境情報として、印刷濃度の印刷環境情報を項目選択指示手段によって選択指示し、これとは別に、アプリ名の要素特定情報と関連付ける印刷環境情報として、印刷濃度の印刷環境情報を項目選択指示手段によって選択指示することになる。つまり、特定の項目の印刷環境情報を、互いに異なる要素の要素特定情報にそれぞれ関連付けて記憶手段に記憶させる場合には、各要素の要素特定情報にそれぞれ関連付けて記憶手段に記憶させる度に、特定の項目の印刷環境情報を項目選択指示手段によって選択指示することになる。
さらに、請求項3に記載した本発明の画像形成装置は、請求項1又は2に記載した本発明の画像形成装置において、
前記書き込み手段により前記加工情報を前記識別情報に関連付けて前記記憶手段に記憶させるか否かを指定する書き込み指定手段をさらに備えており、
前記書き込み手段が、前記書き込み指定手段により前記記憶手段に記憶させると指定された前記加工情報のみを、前記識別情報に関連付けて前記記憶手段に記憶させる、
ことを特徴とする。
請求項3に記載した本発明の画像形成装置によれば、請求項1又は2に記載した本発明の画像形成装置において、印刷環境情報に対する加工を受け付けた印刷ジョブについては、その加工の内容を示す加工情報を毎回必ず記憶手段に記憶させる訳ではなく、書き込み手段により記憶手段に記憶させると指定された印刷ジョブの加工情報のみを、識別情報に関連付けて記憶手段に記憶させることになる。
このため、今後外部から入力される印刷ジョブの印刷環境情報の加工に利用する必要のある加工情報のみを、選択的に記憶手段に記憶させておくことができる。
また、請求項4に記載した本発明の画像形成装置は、請求項1、2又は3に記載した本発明の画像形成装置において、
前記読み出し手段により前記記憶手段から読み出させた前記加工情報が示す内容の加工を、前記入力された印刷ジョブ中の前記印刷環境情報に施すか否かを指定する加工指定手段をさらに備えており、
前記印刷制御手段が、前記読み出し手段が前記記憶手段から読み出させた前記加工情報のうち、前記加工指定手段により前記入力された印刷ジョブ中の前記印刷環境情報に施すと指定された前記加工情報に限って、該加工情報が示す内容の加工を前記入力された印刷ジョブ中の前記印刷環境情報に施す、
ことを特徴とする。
請求項4に記載した本発明の画像形成装置によれば、請求項1、2又は3に記載した本発明の画像形成装置において、外部からの印刷ジョブの入力に伴って読み出し手段が記憶手段を検索した結果、入力された印刷ジョブの識別情報と一致する識別情報に関連付けた加工情報が記憶手段から1又は複数読み出されても、加工指定手段により指定された加工情報しか、入力された印刷ジョブの印刷環境情報の加工には利用されない。
そのため、識別情報が一致する過去の印刷ジョブの印刷環境情報に対して行われた加工の内容を示す加工情報が記憶手段から読み出し手段によって読み出されても、今回の印刷ジョブにおいて印刷環境情報の加工に利用するか否かをその都度決めて、不要な場合には過去の加工の内容を印刷環境情報の加工に利用しないようにすることができる。
請求項5に記載した本発明の画像形成装置は、請求項1、2、3又は4に記載した本発明の画像形成装置において、前記記憶手段に記憶された前記加工情報を、該加工情報と関連付けられて前記記憶手段に記憶された前記識別情報と共に、他の前記画像形成装置においてインポート可能なデータ形式で可搬型記憶媒体にエクスポートさせるエクスポート手段をさらに備えていることを特徴とする。
請求項5に記載した本発明の画像形成装置によれば、請求項1、2、3又は4に記載した本発明の画像形成装置において、外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報に対する加工を受け付ける度に、識別情報に関連付けて書き込み手段によって記憶手段に書き込まれた加工情報が、エクスポート手段によって識別情報と共に、他の画像形成装置における前記記憶手段にインポート可能なデータ形式で可搬型記憶媒体にエクスポートされることになる。
したがって、ある画像形成装置のエクスポート手段によってエクスポートされて可搬型記憶媒体に記録された、その画像形成装置の記憶手段に記憶、蓄積された加工情報とこれに関連付けられた識別情報とを、他の画像形成装置においてインポートさせてその画像形成装置の記憶手段に記憶させることができるようになる。
このため、ある画像形成装置の記憶手段に記憶、蓄積された加工情報とこれに関連付けられた識別情報とを、他の画像形成装置においても利用できるようにして、複数の画像形成装置による加工情報の共有化を図ることができる。
本発明によれば、識別情報の内容が共通する印刷ジョブの印刷環境情報を過去の印刷ジョブの実行時に行ったのと同じ内容で加工する際に、改めて印刷環境情報の加工内容を画像形成装置において入力設定する必要を無くし、過去の加工内容を他のユーザを含めて効率的に再利用できるようにすることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明による画像形成装置の一実施形態に係る孔版印刷装置の概略構成を示す説明図、図2は図1の孔版印刷装置とこの孔版印刷装置に印刷ジョブを出力するクライアント端末との電気的な概略構成を示すブロック図である。
図1に示す本実施形態の孔版印刷装置1は、中間搬送部8を用いて給紙部5の記録紙Pを排紙部6に搬送する間に、第1及び第2の2つのドラム10a,10bを有する印刷部4において、2色の孔版印刷を記録紙Pに対して行うものである。
そのために、孔版印刷装置1は、第1及び第2の2つのドラム10a,10bにおいてそれぞれ使用する孔版原紙(図示せず)を製版する製版部3と、第1ドラム10aにおいて使用した孔版原紙を使用後に回収、収容する第1排版部7aと、第2ドラム10bにおいて使用した孔版原紙を使用後に回収、収容する第2排版部7bと、搬送中の記録紙Pを第1ドラム10aや第2ドラム10bにそれぞれ圧接させるプレスローラ11a,11bとを備えている。
なお、本実施形態の孔版印刷装置1は、不図示の原稿上の画像を読み取って記録紙Pに複写する機能も有している。そのために、装置の上部には原稿読取部2が設けられている。
また、装置の上部には、原稿読取部2の他に、装置の動作や設定に関する状態を表示したり、ユーザの操作による各種設定入力を受け付けるための操作パネル部12が設けられている。この操作パネル部は、後に図面を用いて説明するように、表示内容が可変なディスプレイとその表示面を覆うユーザ操作検出用のタッチパネルとによって構成することができる。
上述した原稿読取部2、製版部3、印刷部4(第1ドラム10a、第2ドラム10b)、給紙部5,排紙部6、第1排版部7a、第2排版部7b、中間搬送部8、及び、操作パネル部12は、いずれも電気的に制御される要素を含んでいる。これらの要素の動作は、孔版印刷装置1の内部に設けられた図2の制御部9によって制御される。
次に、外部から入力される印刷ジョブ(請求項中における「外部から入力された印刷ジョブ」、又は、「前記入力された印刷ジョブ」に相当)にしたがって孔版印刷装置1が記録紙Pに画像を印刷することを前提に、制御部9の詳細な構成について、図2を参照して説明する。
制御部9は、ROM15に格納された制御プログラムに基づいて各種の処理を実行するCPU16と、CPU16のワーキングエリアとして機能するRAM17とを備えている。CPU16には、上述の原稿読取部2、製版部3、印刷部4(第1ドラム10a、第2ドラム10b)、給紙部5,排紙部6、第1排版部7a、第2排版部7b、中間搬送部8、及び、操作パネル部12の他に、外部記憶装置13(請求項中の記憶手段に相当)、外部インターフェイス部14、及び、セットされた可搬型のメモリカード40(請求項中の可搬型記憶媒体に相当)に対するデータのリードライトを行うリーダライタ18が接続されている。
外部インターフェイス部14には、LAN等のネットワーク回線20を介してクライアント端末30の外部インターフェイス部37が接続されている。クライアント端末30は、PC(パーソナルコンピュータ)等によって構成されるものであり、ROM32に格納された制御プログラムに基づいて各種の処理を実行するCPU31と、CPU31のワーキングエリアとして機能するRAM33と、キーボードやマウス等から構成される入力部34と、液晶ディスプレイ等から構成される出力部35とを備えている。
CPU31には、上述した外部インターフェイス部37の他に、外部記憶装置36が接続されている。外部記憶装置36には、画像データを生成するためのアプリケーションプログラムの格納領域や、孔版印刷装置1のプリンタドライバプログラムの格納領域、アプリケーションプログラムを用いて生成された画像データのデータベース領域、及び、プリンタドライバプログラムにおける印刷環境情報の、標準的な内容やユーザによってカスタマイズされた内容等のデータベース領域が確保されている。
CPU31は、入力部34から入力される起動要求にしたがって外部記憶装置36のアプリケーションプログラムを起動させ、また、入力部34からのパラメータ入力等により指示された内容の画像データ(文字や記号等のキャラクタのみによる画像データを含む)を、起動されたアプリケーションプログラム上において生成する。生成された画像データは出力部35において表示出力され、また、入力部34から保存要求が入力された場合には、外部記憶装置36の画像データのデータベース領域に記憶される。
外部記憶装置36のデータベース領域に記憶された画像データは、アプリケーションプログラムの起動中に入力部34からの読み出し要求が入力された場合に、外部記憶装置36から読み出される。読み出された画像データは、出力部35に表示出力することができ、また、アプリケーションプログラム上において加工して新たな画像データに生成し直すこともできる。
また、CPU31は、アプリケーションプログラム上において生成した画像データによる画像の印刷要求が入力部34から入力された場合に、外部記憶装置36のプリンタドライバプログラムを起動させる。また、CPU31は、起動されたプリンタドライバプログラムにおいて、画像の印刷に必要な印刷環境情報として、外部記憶装置36の印刷環境情報のデータベース領域に格納されている、標準的な内容の印刷環境情報やユーザによってカスタマイズされた印刷環境情報の内容を読み出させる。
そして、CPU31は、アプリケーションプログラムの起動中に入力部34から印刷指令が入力された場合に、印刷対象の画像の画像データを印刷環境情報と共に、孔版印刷装置1に対応する中間データに変換した印刷ジョブを、外部インターフェイス部37からネットワーク回線20を介して制御部9の外部インターフェイス部14に出力する。
なお、印刷ジョブには、印刷ジョブを識別(特定)するための識別情報が含まれる。この識別情報は、印刷ジョブに関連する複数の要素についてその内容をそれぞれ特定する複数の要素特定情報を含んでいる。ここで、要素とは、例えば、クライアント端末30において登録されて外部記憶装置36に記憶されているユーザ名、外部記憶装置36に予め記憶、登録されているクライアント端末30の名前であるPC名、この印刷ジョブのジョブ名(例えば、印刷ジョブ中の画像データのファイル名に中間データの識別子を付けたもの)、及び、印刷対象の画像の画像データを生成したアプリケーションプログラムを示すアプリ名を含んでいる。そして、要素特定情報とは、ユーザ、PC、ジョブ、及び、アプリケーションプログラムの各要素の内容を特定する情報である。
また、印刷ジョブの印刷環境情報は、複数の印刷環境項目について設定される。印刷環境項目には、例えば、印刷速度、印刷濃度、印刷位置、及び、分版エリアが含まれる。このうち、印刷速度は、孔版印刷装置1においてこの印刷ジョブによる画像データの画像を印刷する速度を示すものである。印刷環境情報に相当する印刷速度の値は、要求される画像の印刷品質が高ければ高いほど、低い値に設定される。また、印刷環境項目の一つである印刷濃度は画像の印刷時の濃淡、同じく印刷環境項目の一つである印刷位置は、記録紙Pのサイズや向き、余白設定等に応じて定まる画像の標準印刷位置に対する、実際の画像の印刷位置である。印刷環境情報に相当する印刷位置の値は、記録紙Pの天地左右方向のずれ量によって規定される。
さらに、印刷環境項目の一つである分版エリアについて詳説する。印刷ジョブを実行して画像を2色印刷する図1の孔版印刷装置1は、印刷部4の第1及び第2の2つの回転ドラム10a,10bが各色の印刷を分担して行う(分版)。このとき、画像中のどの領域を第1及び第2の各回転ドラム10a,10bでそれぞれ印刷するかは、第1及び第2の各回転ドラム10a,10bにそれぞれ割り当てられた印刷色に応じて、印刷する画像を色分解することによって決定される。
そこで、印刷環境情報中の分版エリアに関する印刷環境情報は、第1及び第2の各回転ドラム10a,10bにそれぞれ割り当てる印刷色と、それに応じて決定された第1及び第2の各回転ドラム10a,10bによる画像の印刷領域との設定内容を、その内容としている。
なお、上述した色分解は、図2のクライアント端末30においてCPU31が実行するプリンタドライバプログラム上において自動的に行われる。この色分解の結果は、プリンタドライバプログラムの起動中に出力部35に表示されるプリンタドライバ画面(図示せず)のマニュアル分版メニューを選択することで、出力部35にポップアップ表示される、図3のマニュアル分版設定画面35aにおいて確認、変更することができる。
次に、上述した印刷ジョブが図2の外部インターフェイス13を介してCPU16に入力される孔版印刷装置1の制御部9は、図1の操作パネル部12に、図4の基本メニュー画面12Aを表示している。この基本メニュー画面12Aは、設定内容に応じた複数のタブを有しており、デフォルトで表示されるのは図4の「基本」のタブ画面である。基本メニュー画面12Aにおける入力によって、クライアント端末30から受け取った印刷ジョブ中の印刷環境情報に対する加工を要求することができる。
例えば、印刷環境情報中の分版エリアについての加工を要求する場合には、基本メニュー画面12Aの「基本」のタブ画面にある「デジタイザ」のボタン12Bをタッチ操作することで、CPU16によって、図5のデジタイザ画面12aを操作パネル部12に表示させることができる。このデジタイザ画面12aには、クライアント端末30において決定されて印刷ジョブの印刷環境情報中の分版エリアに関する印刷環境情報として現在設定されている内容で、第1及び第2の各回転ドラム10a,10bによる2色の印刷を分担して行った場合に、記録紙P上に印刷されるであろう印刷予想画像Iの内容が、表示される。
図5のデジタイザ画面12aに表示された印刷予想画像Iは、元々、「あ」が赤色、「い」が黒色、「う」が青色、「え」が薄紫色、「お」が茶色である画像である。ここで、入力された印刷ジョブの印刷環境情報中の分版エリアに関する印刷環境情報として、例えば、第1回転ドラム10aの印刷色が黒色、第2回転ドラム10bの印刷色が赤色、という内容がそれぞれ設定されているものとする。すると、分版結果は、第1回転ドラム10aによって「い」、「う」、「え」を印刷し、第2ドラム10bで「あ」、「お」を印刷するという割り当てになる。
これに対して、ユーザの希望は、「え」の部分がより鮮明となるような、第1回転ドラム10aによって「い」、「う」を印刷し、第2ドラム10bで「あ」、「え」、「お」を印刷するという割り当てであるとすると、「え」の割り当てを第1回転ドラム10aから第2回転ドラム10bに修正する必要が生じる。
そこで、図5のデジタイザ画面12aのツールメニュー12a´中にあるポインタ12bによって、ユーザが印刷予想画像I上の「え」の部分を範囲指定して、印刷予想画像I上の「え」の部分を加工対象に指定すると、CPU16は、デジタイザ画面12aに表示するツールメニュー12a´の内容を、図5に示す範囲指定用のメニューから図6に示す加工内容入力用のメニューに切り替える。
そして、CPU16がメニューを切り替えたツールメニュー12a´中にある色指定ボタン12b´をユーザがタッチ操作すると、CPU16は、図7の色指定画面12cを操作パネル部12に表示する。この色指定画面12cには、第1回転ドラム10aに設定された印刷色の黒色と、第2回転ドラム10bに設定された印刷色の赤色とが、ボタン12d,12eの形式で表示される。
そして、黒色(ブラック)と表示された第1回転ドラム10aのボタン12dが、色指定画面12c上でユーザによりタッチ操作され、さらに、確認ボタン12kがタッチ操作されると、CPU16は、図5のデジタイザ画面12aのポインタ12bによって範囲指定された印刷予想画像I上の「え」の部分を、第1回転ドラム10aにおいて黒色で印刷する設定に、印刷環境情報中の分版エリアに関する印刷環境情報の内容を変更(加工)する。
また、図7の色指定画面12cの赤色(レッド)と表示された第2回転ドラム10bのボタン12eが、色指定画面12c上でユーザによりタッチ操作され、さらに、確認ボタン12kがタッチ操作されると、CPU16は、図5のデジタイザ画面12aのポインタ12bによって範囲指定された印刷予想画像I上の「え」の部分を、第2回転ドラム10bにおいて赤色で印刷する設定に、印刷環境情報中の分版エリアに関する印刷環境情報の内容を変更(加工)する。
さらに、図7の色指定画面12c上でボタン12d,12eのどちらかがユーザによりタッチ操作され、さらに、確認ボタン12kがタッチ操作されると、CPU16は、印刷環境情報中の分版エリアに関する印刷環境情報の内容に対する、印刷予想画像I上の「え」の部分についてユーザが指定した変更(加工)内容を確定させる。そして、CPU16は、操作パネル部12の表示を、図7の色指定画面12cから図8の分版結果問い合わせ画面12c´に切り替える。ここで、分版結果を表示しない「いいえ」のボタン12e´がユーザによりタッチ操作された場合は、CPU16は、操作パネル部12の表示を図8の分版結果問い合わせ画面12c´から図6のデジタイザ画面12aに切り替える。
一方、分版結果を表示する「はい」のボタン12d´がユーザによりタッチ操作された場合は、CPU16は、図9(a)に示すように、ユーザによりタッチ操作されたボタン12d,12eに応じた内容に印刷環境情報中の分版エリアに関する印刷環境情報の内容を変更した後の、記録紙P上に印刷されるであろう印刷予想画像Iのうち、第1回転ドラム10aにおいて黒色で印刷されるであろう部分の印刷予想部分画像Iaを示す分版結果画面12fを、操作パネル部12に表示する。
また、分版結果画面12fのメニューボタン中の第2回転ドラムボタン12iがユーザによりタッチ操作されると、CPU16は、操作パネル部12の表示を、図9(b)に示すように、ユーザによりタッチ操作されたボタン12d,12eに応じた内容に印刷環境情報中の分版エリアに関する印刷環境情報の内容を変更した後の、記録紙P上に印刷されるであろう印刷予想画像Iのうち、第2回転ドラム10bにおいて赤色で印刷されるであろう部分の印刷予想部分画像Ibを示す分版結果画面12gに切り替える。分版結果画面12gのメニューボタン中の第1回転ドラムボタン12hがユーザによりタッチ操作されると、CPU16は、操作パネル部12の表示を図9(a)の分版結果画面12fに切り替える。
そして、図9(a)や図9(b)の分版結果画面12f,12gにおいて、黒色と赤色で記録紙P上にそれぞれ印刷されるであろう印刷予想部分画像Ia,Ibの内容を確認して、問題がないと判断したユーザにより、分版結果画面12f,12gのメニューボタン中の「OK」ボタン12jがタッチ操作されると、CPU16は、操作パネル部12の表示を、図6のデジタイザ画面12aに切り替える。
以上のようにして操作パネル部12の操作により入力された分版エリアの情報内容に対するユーザの加工要求は、図6のデジタイザ画面12aにおける「OK」ボタン12b″のタッチ操作によって確定される。ユーザによって「OK」ボタン12b″がタッチ操作されると、CPU16は、デジタイザ画面12aに表示するツールメニュー12a´の内容を、図6の加工内容入力用のメニューから図5の範囲指定用のメニューに切り替える。そして、ユーザによって編集終了ボタン12a″がタッチ操作されると、CPU16は、操作パネル部12の表示を上述した図4の基本メニュー画面12Aに切り替える。
そして、基本メニュー画面12A上で印刷開始を指示する入力がユーザによって行われると、CPU16は、現在の各印刷環境項目に関する印刷環境情報の設定内容にしたがった記録紙Pに対する画像の印刷を、孔版印刷装置1において実行させる。
また、CPU16は、孔版印刷装置1における記録紙Pに対する画像の印刷の実行後に、図10に示す印刷ジョブ終了確認画面12lを操作パネル部12に表示する。この印刷ジョブ終了確認画面12lには、実行した印刷の印刷環境情報中の、加工(内容変更)した印刷環境項目に関する印刷環境情報の内容を、ユーザ設定情報として保存するか否かを問い合わせるメッセージと、「保存する」ボタン12m及び「保存しない」ボタン12nとを含んでいる。
印刷ジョブ終了確認画面12l上で「保存しない」ボタン12nがユーザによってタッチ操作されると、CPU16は、操作パネル部12の表示を上述した図4の基本メニュー画面12Aに切り替える。さらに、印刷ジョブ終了確認画面12l上で「保存する」ボタン12mがユーザによってタッチ操作されると、CPU16は、操作パネル部12の表示を、図11に示すユーザ設定情報保存内容設定画面12oに切り替える。
このユーザ設定情報保存内容設定画面12oには、印刷ジョブ中の識別情報として入力されたユーザ名、PC名、ジョブ名、及び、アプリ名の各項目とそれらの内容である要素特定情報や、今回の印刷に適用された最終的な印刷速度、印刷濃度、印刷位置、及び、分版エリアの各印刷環境項目とそれらの内容である印刷環境情報が、チェックボックス付きでそれぞれ表示される。また、ユーザ設定情報保存内容設定画面12oには、CPU16が自動的に付与するユーザ設定情報名12pが表示される。
そこで、ユーザが、ユーザ設定情報保存内容設定画面12o上で、識別情報の各要素のうち所望の要素のチェックボックスと、印刷環境情報の各項目のうち印刷環境情報を加工(内容変更)した所望の項目のチェックボックスと、を適宜選択してチェック操作すると、図12に示すように、CPU16は、チェック操作されたチェックボックスにチェックマークをそれぞれ表示させる。これと共に、無効表示状態としていた「保存する」ボタン12qを有効表示状態とする。
そして、ユーザが有効表示状態の「保存する」ボタン12qをタッチ操作すると、CPU16は、チェックマークがチェックボックスに表示された要素の要素特定情報(識別情報)と、チェックマークがチェックボックスに表示された印刷環境項目の印刷環境情報とを関連付けて、ユーザ設定情報名12pと共に、外部記憶装置13に記憶させ、操作パネル部12の表示を、図13に示すように、チェックボックスにチェックマークが全く表示されていないデフォルト状態のユーザ設定情報保存内容設定画面12oに切り替える。このとき、CPU16は、ユーザ設定情報名12pを新たに自動付与し、ユーザ設定情報保存内容設定画面12oに表示させる。また、CPU16は、「保存する」ボタン12qを無効表示状態とする。
なお、ユーザが有効表示状態の「保存する」ボタン12qをタッチ操作する前に、操作パネル部12に同時に表示される入力キー(図示せず)のタッチ操作によって、ユーザの好みの名前を入力することで、ユーザ設定情報保存内容設定画面12oに表示されるユーザ設定情報名12p(「保存する」ボタン12qのタッチ操作により外部記憶装置13に記憶されるユーザ設定情報名12p)を、図12に示すように、CPU16が自動的に付与する内容から変更することができる。
そして、ユーザが改めて、ユーザ設定情報保存内容設定画面12o上で、識別情報の各要素のうち所望の要素のチェックボックスと、印刷環境情報の各項目のうち印刷環境情報を加工(内容変更)した所望の項目のチェックボックスと、を別のパターンで適宜選択してチェック操作すると、図14に示すように、CPU16は、チェック操作されたチェックボックスにチェックマークをそれぞれ表示させる。これと共に、無効表示状態としていた「保存する」ボタン12qを有効表示状態とする。
したがって、ユーザが有効表示状態の「保存する」ボタン12qをタッチ操作することで、チェックマークがチェックボックスに表示された要素の要素特定情報(識別情報)と、チェックマークがチェックボックスに表示された印刷環境項目の印刷環境情報とを関連付けて、ユーザ設定情報名12pと共に、CPU16によって外部記憶装置13に新たに記憶させることができる。
必要な内容のユーザ設定情報を保存させ終わった時点でユーザがユーザ設定情報保存内容設定画面12o上の「終了」ボタン12rボタンをタッチ操作すると、CPU16は、操作パネル部12の表示を上述した図4の基本メニュー画面12Aに切り替える。
以上のようなユーザの操作パネル部12上における一連のタッチ操作等によって、ユーザ設定情報保存内容設定画面12o上でチェックマークがチェックボックスに表示された印刷環境項目の印刷環境情報を、ユーザ設定情報保存内容設定画面12o上でチェックマークがチェックボックスに表示された要素の要素特定情報(識別情報)と関連付けて、ユーザ設定情報名12pと共に、ユーザ設定情報として外部記憶装置13に記憶させることができる。
また、外部記憶装置13にユーザ設定情報として記憶させた印刷環境項目の印刷環境情報は、その印刷環境情報と関連付けて外部記憶装置13に記憶された要素の要素特定情報(識別情報)と内容が一致する要素特定情報(識別情報)を有する印刷ジョブが、以後に制御部9に入力された際に、CPU16によって外部記憶装置13から読み出させて、その印刷ジョブを実行する際に適用することができる。
例えば、外部記憶装置13に記憶された要素の要素特定情報(識別情報)と内容が一致する要素特定情報(識別情報)を有する印刷ジョブを、ユーザがクライアント端末30から孔版印刷装置1に出力したものとする。すると、制御部9のCPU16は、図17のユーザ設定情報復元確認画面12sを操作パネル部12に表示させる。
このユーザ設定情報復元確認画面12sには、外部記憶装置13に記憶されたユーザ設定情報中の要素特定情報(識別情報)と内容が全項目一致する、制御部9に入力された印刷ジョブ中の要素特定情報(識別情報)の要素と、これと関連付けて外部記憶装置13に記憶された印刷環境項目の印刷環境情報とが表示される。
また、要素特定情報(識別情報)の各要素と印刷環境情報の各印刷環境項目は、チェックマーク付きのチェックボックスと共に表示される。即ち、デフォルトでは、外部記憶装置13から読み出された要素特定情報(識別情報)の各要素と印刷環境情報の全印刷環境項目が選択された状態にある。これらのうち印刷環境情報の各印刷環境項目は、ユーザ設定情報復元確認画面12s上でユーザがチェックボックスをチェック操作してチェックマークを外すことで、項目毎に選択解除することができる。
CPU16は、印刷環境情報が最低1つの印刷環境項目だけでも選択されていれば、ユーザ設定情報復元確認画面12sに表示されている「復元する」ボタン12tを有効表示状態とし、そうでなければ「復元する」ボタン12tを無効表示状態とする。
そして、ユーザ設定情報復元確認画面12s上で「復元しない」ボタン12t´がユーザによってタッチ操作されると、CPU16は、操作パネル部12の表示を基本メニュー画面における図15の「機能一覧」のタブ画面に切り替える。
一方、ユーザ設定情報復元確認画面12s上で有効表示状態の「復元する」ボタン12tがユーザによってタッチ操作されると、CPU16は、チェックボックスにチェックマークが表示された印刷環境項目に関する印刷環境情報を、制御部9に入力された印刷ジョブの対応する印刷環境項目に関する印刷環境情報の内容に上書きして、操作パネル部12の表示を基本メニュー画面における図15の「機能一覧」のタブ画面に切り替える。
さらに、図4の基本メニュー画面12A上で印刷開始を指示する入力がユーザによって行われると、CPU16は、現在の各印刷環境項目に関する印刷環境情報の設定内容にしたがった記録紙Pに対する画像の印刷を、孔版印刷装置1において実行させる。
上述したように、本実施形態の孔版印刷装置1においては、ある印刷ジョブの実行の際にユーザが操作パネル部12上で入力した印刷環境項目についての加工後の印刷環境情報の内容を、ユーザが選択した要素の要素特定情報(識別情報)と関連付けて、ユーザ設定情報として外部記憶装置13に記憶させ、このユーザ設定情報中の要素特定情報(識別情報)と内容が一致する要素特定情報(識別情報)を有する印刷ジョブが以後に入力された際に、外部記憶装置13からユーザ設定情報を読み出させて、読み出させたユーザ設定情報によって設定された印刷環境項目についての加工後の印の印刷環境情報を、入力された印刷ジョブの実行時に、同じ印刷環境項目の印刷環境情報として適用させることができる。
また、要素特定情報(識別情報)と関連付けてユーザ設定情報として外部記憶装置13に記憶させた印刷環境項目についての加工後の印刷環境情報の内容は、メモリカード40(図2参照)にエクスポートさせ、さらに、他の孔版印刷装置1において外部記憶装置13にインポートさせることで、その孔版印刷装置1に入力される印刷ジョブの実行時に、同じ印刷環境項目の印刷環境情報として適用させることもできる。
この場合には、ユーザは、孔版印刷装置1の操作パネル部12において、基本メニュー画面12A中の「機能一覧」のタブをタッチ操作する。これにより、制御部9のCPU16は、操作パネル部12の表示を、図4の「基本」のタブ画面から図15の「機能一覧」のタブ画面に切り替えさせる。
さらに、ユーザは、「機能一覧」のタブ画面上にある印刷環境情報のボタン12Cをタッチ操作する。これにより、制御部9のCPU16は、図16の印刷環境情報画面12Dを操作パネル部12に表示させる。そして、ユーザが、印刷環境情報画面12D上にあるデータエクスポートのボタン12Fをタッチ操作した上で、画面右上の確認ボタン12Iをタッチ操作する。これにより、制御部9のCPU16は、図18のユーザ設定情報書き出し内容確認画面12uを操作パネル部12に表示させる。
このユーザ設定情報書き出し内容確認画面12uには、外部記憶装置13に記憶されているユーザ設定情報名12pが、チェックボックス付きで一覧表示される。
そこで、ユーザが、ユーザ設定情報書き出し内容確認画面12u上で、エクスポートするユーザ設定情報名12pのチェックボックスを適宜選択してチェック操作すると、CPU16は、チェック操作されたチェックボックスにチェックマークをそれぞれ表示させる。これと共に、無効表示状態としていた「選択した項目を書き出す」ボタン12vを有効表示状態とする。
そして、ユーザが有効表示状態の「選択した項目を書き出す」ボタン12vをタッチ操作すると、CPU16は、チェックマークがチェックボックスに表示されたユーザ設定情報名12pのユーザ設定情報を、リーダライタ18(図2参照)にセットされたメモリカード40に対して外部記憶装置13から転写、記憶(エクスポート)させる。
必要な内容のユーザ設定情報をメモリカード40に転写、記憶(エクスポート)させ終わった時点でユーザがユーザ設定情報書き出し内容確認画面12u上の「終了」ボタン12wボタンをタッチ操作すると、CPU16は、操作パネル部12の表示を図16の印刷環境情報画面12Dに戻す。さらに、印刷環境情報画面12Dの取消ボタン12Hをユーザがタッチ操作することで、CPU16は、操作パネル部12の表示を基本メニュー画面における図15の「機能一覧」のタブ画面に切り替える。
さらに、本実施形態の孔版印刷装置1では、他の孔版印刷装置1において可搬型のメモリカード40にエクスポートされた、識別情報(要素特定情報)とこれに関連付けられた印刷環境情報の加工後の内容を、外部記憶装置13にインポートして、以後入力される印刷ジョブの実行時に適用させることもできる。
この場合には、ユーザは、孔版印刷装置1の操作パネル部12において、基本メニュー画面12A中の「機能一覧」のタブをタッチ操作する。これにより、制御部9のCPU16は、操作パネル部12の表示を、図4の「基本」のタブ画面から図15の「機能一覧」のタブ画面に切り替えさせる。
さらに、ユーザは、「機能一覧」のタブ画面上にある印刷環境情報のボタン12Cをタッチ操作する。これにより、制御部9のCPU16は、図16の印刷環境情報画面12Dを操作パネル部12に表示させる。そして、ユーザが、印刷環境情報画面12D上にあるデータインポートのボタン12Eをタッチ操作した上で、画面右上の確認ボタン12Iをタッチ操作する。これにより、制御部9のCPU16は、図19のユーザ設定情報読み込み内容確認画面12xを操作パネル部12に表示させる。
このユーザ設定情報読み込み内容確認画面12xには、リーダライタ18にセットされたメモリカード40に記憶されている、識別情報(要素特定情報)と関連付けて外部記憶装置13に記憶されている印刷環境情報のユーザ設定情報名12pが、チェックボックス付きで一覧表示される。
そこで、ユーザが、ユーザ設定情報読み込み内容確認画面12x上で、インポートする識別情報と印刷環境情報のユーザ設定情報名12pのチェックボックスを適宜選択してチェック操作すると、CPU16は、チェック操作されたチェックボックスにチェックマークをそれぞれ表示させる。これと共に、無効表示状態としていた「選択した項目を読み込む」ボタン12yを有効表示状態とする。
そして、ユーザが有効表示状態の「選択した項目を読み込む」ボタン12yをタッチ操作すると、CPU16は、チェックマークがチェックボックスに表示されたユーザ設定情報名12pの要素特定情報(識別情報)とこれに関連付けられた印刷環境情報とを、リーダライタ18にセットされたメモリカード40から、ユーザ設定情報名12pと共に、外部記憶装置13に転写、記憶(インポート)させる。
必要な内容のユーザ設定情報をメモリカード40から外部記憶装置13に転写、記憶(インポート)させ終わった時点でユーザがユーザ設定情報読み込み内容確認画面12x上の「終了」ボタン12zボタンをタッチ操作すると、CPU16は、操作パネル部12の表示を図16の印刷環境情報画面12Dに戻す。さらに、印刷環境情報画面12Dの取消ボタン12Hをユーザがタッチ操作することで、CPU16は、操作パネル部12の表示を基本メニュー画面における図15の「機能一覧」のタブ画面に切り替える。
本実施形態の孔版印刷装置1における以上のような動作は、制御部9のCPU16がROM15に格納された制御プログラムを実行することで実現される。この制御プログラムを実行することでCPU16が行う処理の手順を、図20乃至図26のフローチャートを参照して説明する。
まず、孔版印刷装置1の電源が投入された後、CPU16は、孔版印刷装置1の電源が切断されるまでの間、印刷ジョブ割込要求確認処理、データエクスポート割込要求確認処理、及び、データインポート割込要求確認処理を、それぞれに個別に設定された適当な周期毎に、繰り返し実行する。
このうち、印刷ジョブ割込要求確認処理では、図20に示すように、印刷ジョブが入力されたか否かを判断し(ステップS1a)、入力されていない場合は(ステップS1aでNO)、CPU16は、印刷ジョブ割込要求確認処理を終了する。一方、印刷ジョブが入力された場合は(ステップS1aでYES)、CPU16は、図23を参照して後述する印刷ジョブ実行処理を行った後(ステップS1b)、印刷ジョブ割込要求確認処理を終了する。
また、データエクスポート割込要求確認処理では、図21に示すように、図16の印刷環境情報画面12D上にあるデータエクスポートのボタン12Fのタッチ操作によって、ユーザ設定情報のデータエクスポートが要求されたか否かを判断する(ステップS3a)。要求されていない場合は(ステップS3aでNO)、データエクスポート割込要求確認処理を終了する。一方、要求された場合は(ステップS3aでYES)、図25を参照して後述するデータエクスポート処理を行った後(ステップS3b)、データエクスポート割込要求確認処理を終了する。
さらに、データインポート割込要求確認処理では、図22に示すように、図16の印刷環境情報画面12D上にあるデータインポートのボタン12Eのタッチ操作によって、ユーザ設定情報のデータインポートが要求されたか否かを判断する(ステップS5a)。要求されていない場合は(ステップS5aでNO)、データインポート割込要求確認処理を終了する。一方、要求された場合は(ステップS5aでYES)、図26を参照して後述するデータインポート処理を行った後(ステップS5b)、データインポート割込要求確認処理を終了する。
そして、ステップS1bの印刷ジョブ実行処理において、CPU16は、まず、図23に示すように、外部記憶装置13に記憶されているいずれかのユーザ設定情報の印刷環境情報に関連付けた要素特定情報(識別情報)が、入力された印刷ジョブ中の要素特定情報(識別情報)と一致するか否かを判断する(ステップS12)。
外部記憶装置13のいずれのユーザ設定情報の要素特定情報(識別情報)も、入力された印刷ジョブ中の要素特定情報(識別情報)と一致しない場合は(ステップS12でNO)、CPU16は、後述するステップS15に処理を移行する。一方、外部記憶装置13のいずれかのユーザ設定情報の要素特定情報(識別情報)が、入力された印刷ジョブ中の要素特定情報(識別情報)と一致する場合は(ステップS12でYES)、操作パネル部12のユーザによる操作によって入力される、印刷ジョブの実行の際に、同じ印刷環境項目の印刷環境情報として適用する対象のユーザ設定情報の指定を受け付ける(ステップS13)。
印刷ジョブの実行の際に印刷環境情報を適用するユーザ設定情報の指定は、図17のユーザ設定情報復元確認画面12sのチェックボックスのチェック操作や「復元する」ボタン12tのタッチ操作によって、受け付けることができる。また、図17のユーザ設定情報復元確認画面12sの「復元しない」ボタン12t´のタッチ操作によって、印刷ジョブの実行の際に印刷環境情報を適用するユーザ設定情報がないことの指定を、受け付けることができる。そして、CPU16は、指定されたユーザ設定情報の印刷環境情報を外部記憶装置13から読み出して、入力された印刷ジョブ中の対応する項目の印刷環境情報に上書きする(ステップS14)。その後、CPU16は、ステップS15に処理を移行する。
ステップS15において、CPU16は、入力された印刷ジョブ中の印刷環境情報に対する加工が要求されたか否かを判断する。印刷環境情報に対する加工の要求は、その旨を要求する入力が操作パネル部12の基本メニュー画面上において行われたか否かによって判断することができる。加工が要求されていない場合は(ステップS15でNO)、CPU16は、後述するステップS19に処理を移行する。一方、印刷環境情報に対する加工が要求された場合は(ステップS15でYES)、CPU16は、操作パネル部12のユーザによる操作によって入力される、印刷環境項目とその印刷環境項目の印刷環境情報に対する加工内容を受け付ける(ステップS16)。
印刷環境項目とその印刷環境項目の印刷環境情報に対する加工内容は、例えば、図5のデジタイザ画面12aのポインタ12bの操作や、図7の色指定画面12c上における第1回転ドラム10aや第2回転ドラム10bのボタン12d,12e、あるいは、「確定」ボタン12kの操作等によって受け付けることができる。そして、CPU16は、受け付けた加工内容を、入力された印刷ジョブ中の対応する印刷環境項目の印刷環境情報に上書きする(ステップS17)。そして、CPU16は、RAM17の加工フラグエリアのフラグF(デフォルトでは「0」)を「1」に設定した後(ステップS18)、ステップS19に処理を移行する。
ステップS19では、CPU16は、印刷開始の指示が入力されたか否かを判断する。印刷開始の指示は、操作パネル部12の不図示の基本メニュー画面上において印刷開始を指示する入力がユーザによって行われたか否かによって判断することができる。印刷開始の指示が入力されていない場合は(ステップS19でNO)、CPU16は、ステップS12に処理を移行する。印刷開始の指示が入力された場合は(ステップS19でYES)、CPU16は、現在の印刷環境情報の設定内容にしたがった記録紙Pに対する画像の印刷を実行する(ステップS20)。その後、ステップS21に処理を移行する。
図24に示すように、ステップS21では、RAM17の加工フラグFが「1」であるか否かを確認する。加工フラグFが「1」でない場合は、CPU16は、印刷ジョブ実行処理を終了する。加工フラグFが「1」である場合は、CPU16は、ステップS20で実行した印刷の印刷環境情報の内容をユーザ設定情報として保存する指示が入力されたか否かを判断する(ステップS22)。
具体的には、図10の印刷ジョブ終了確認画面12lの「保存する」ボタン12mのタッチ操作を検出することによって、保存指示が入力されたものと判断することができる。また、印刷ジョブ終了確認画面12lの「保存しない」ボタン12nのタッチ操作を検出することによって、保存指示が入力されなかったものと判断することができる。
ユーザ設定情報の保存指示が入力されなかった場合は(ステップS22でNO)、CPU16は、ステップS25に処理を移行する。一方、保存指示が入力された場合は(ステップS22でYES)、ユーザ設定情報として保存する内容の指定を受け付ける(ステップS23)。ユーザ設定情報として保存する内容の指定は、図11乃至図14に示すユーザ設定情報保存内容設定画面12oの、チェックボックスのチェック操作や「保存する」ボタン12q及び「終了」ボタン12rのタッチ操作等によって受け付けることができる。そして、CPU16は、指定された内容のユーザ設定情報を外部記憶装置13に記憶させる(ステップS24)。そして、CPU16は、RAM17の加工フラグFを「0」に設定した後(ステップS25)、印刷ジョブ実行処理を終了する。
次に、ステップS3b(図21参照)のデータエクスポート処理において、CPU16は、図25に示すように、エクスポートするユーザ設定情報の指定を受け付ける(ステップS33)。
エクスポートするユーザ設定情報の指定は、図18のユーザ設定情報書き出し内容確認画面12uのチェックボックスのチェック操作や「選択した項目を書き出す」ボタン12vのタッチ操作によって、受け付けることができる。そして、CPU16は、指定されたユーザ設定情報を外部記憶装置13から読み出して、リーダライタ18にセットされたメモリカード40に転写、記憶(エクスポート)させる(ステップS35)。その後、データエクスポート処理を終了する。
続いて、ステップS5b(図22参照)のデータインポート処理において、CPU16は、図26に示すように、リーダライタ18にセットされたメモリカード40に記憶されているユーザ設定情報のうち、インポートするユーザ設定情報の指定を受け付ける(ステップS53)。
インポートするユーザ設定情報の指定は、図19のユーザ設定情報読み込み内容確認画面12xのチェックボックスのチェック操作や「選択した項目を読み込む」ボタン12yのタッチ操作によって、受け付けることができる。そして、CPU16は、指定されたユーザ設定情報を、リーダライタ18によりメモリカード40から読み出させて外部記憶装置13に書き込む(インポートする、ステップS55)。その後、CPU16は、データエクスポート処理を終了する。
以上の説明からも明らかなように、本実施形態の孔版印刷装置1においては、図24のフローチャートにおけるステップS21乃至ステップS24が、請求項中の書き込み手段に対応する処理となっている。また、本実施形態の孔版印刷装置1においては、図23のフローチャートにおけるステップS12乃至ステップS14が、請求項中の読み出し手段に対応する処理となっている。さらに、本実施形態の孔版印刷装置1においては、図23中のステップS14及びステップS20が、請求項中の印刷制御手段に対応する処理となっている。
また、本実施形態の孔版印刷装置1においては、図24中のステップS23の処理を実行するCPU16と操作パネル部12とによって、請求項中の要素選択指示手段及び項目選択指示手段がそれぞれ構成されている。さらに、本実施形態の孔版印刷装置1においては、図24中のステップS22が、請求項中の書き込み指定手段に対応する処理となっている。
また、図23中のステップS13が、請求項中の加工指定手段に対応する処理となっている。さらに、本実施形態の孔版印刷装置1においては、図21のステップS3bにおいてデータエクスポート処理として実行される図25中のステップS33及びステップS35が、請求項中のエクスポート手段に対応する処理となっている。
上述した手順による処理をCPU16が実行する本実施形態の孔版印刷装置1によれば、外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報について受け付けた加工の内容(印刷環境情報)が、識別情報に関連付けて、印刷の終了後にユーザ設定情報として外部記憶装置13に記憶される。
そして、外部記憶装置13に記憶されたユーザ設定情報の識別情報(ユーザの指定した項目の要素特定情報)と内容が一致する識別情報の印刷ジョブが後に入力されたとき(請求項中の「外部から前記印刷ジョブが入力された際に」に相当)に、対応付けて記憶された印刷環境情報が外部記憶装置13から読み出されて、その印刷ジョブの印刷環境情報の加工に再利用されることになる。
このため、過去の印刷ジョブと識別情報の内容が共通する印刷ジョブの印刷環境情報を、過去の印刷ジョブの実行時に行ったのと同じ内容で加工する際に、改めて印刷環境情報の加工内容を操作パネル部12の操作等によって入力設定する必要を無くし、過去の加工内容を効率的に再利用することができる。
しかも、本実施形態の孔版印刷装置1によれば、印刷の終了後に外部記憶装置13に記憶させる印刷環境情報の加工内容(印刷環境情報)と関連付ける識別情報を、印刷ジョブ中の識別情報のうち、ユーザの指定した項目の要素特定情報に限定するので、識別情報として選択する要素特定情報の種類(パターン)を異ならせることによって、過去の印刷ジョブの印刷環境情報に対して行ったのと同じ加工を印刷環境情報に施す印刷ジョブの対象を、例えば、その加工の内容(性質)に応じて適切に限定することができる。
なお、外部記憶装置13のユーザ設定情報をメモリカード40にエクスポートするための構成や、メモリカード40のユーザ設定情報を外部記憶装置13にインポートするための構成は、省略してもよい。しかし、これらの構成を設ければ、ある孔版印刷装置1の外部記憶装置13に記憶、蓄積されたユーザ設定情報を他の孔版印刷装置1の外部記憶装置13に複写して利用できるようにし、複数の孔版印刷装置1によってユーザ設定情報の共有化を図ることができるので、有利である。
ちなみに、本実施形態では、図20の印刷ジョブ割込要求確認処理と、図21のデータエクスポート割込要求確認処理と、図22のデータインポート割込要求確認処理とを、それぞれに個別の周期で独立してCPU16が実行する場合を例に取って説明した。しかし、これらの割込要求確認処理を同じ周期毎に連続して実行するようにしてもよい。
この場合、印刷ジョブ割込要求確認処理において印刷ジョブの入力が確認された場合は、それに続いて、図23の印刷ジョブ実行処理を行った後、データエクスポート割込要求確認処理を行うことになる。また、データエクスポート割込要求確認処理においてユーザ設定情報のデータエクスポートが要求された場合は、それに続いて、図25のデータエクスポート処理を行った後、データインポート割込要求確認処理をを行うことになる。さらに、データインポート割込要求確認処理においてユーザ設定情報のデータインポートが要求された場合は、それに続いて、図26のデータインポート処理を行うことになる。
また、本実施形態では、ある印刷ジョブにおいて、(一部又は全部の印刷環境項目に関する)印刷環境情報に対する加工(図10に示すジョブナンバー17の印刷ジョブの場合は、印刷濃度と印刷位置に対する加工)を受け付けた場合に、その印刷ジョブによる印刷の終了後に、図11及び図12や、図13及び図14をそれぞれ参照して説明したような、ユーザ設定情報の保存操作を繰り返すことで、印刷環境情報の加工情報と印刷ジョブの要素特定情報(識別情報)とを関連付けたユーザ設定情報を、外部記憶装置13に複数パターン記憶させることができる。
したがって、ジョブNo.17の印刷ジョブを実行した際に2つのユーザ設定情報(印刷環境情報No.10,11)を記憶させ、次の、ジョブNo.18の印刷ジョブを実行した際に3つのユーザ設定情報(印刷環境情報No.12〜14)を記憶させた場合には、それら5つのユーザ設定情報(印刷環境情報No.10〜15)が外部記憶装置13に同時に記憶されていることになる。
例えば、図27に示すように、「印刷環境情報No.10」のユーザ設定情報と、「印刷環境情報NO.12」のユーザ設定情報とは、記憶している「要素特定情報」の対象が共に「ジョブ名」と「アプリ名」の内容である点で、共通している。そこで、「ジョブ名」の内容及び「アプリ名」の内容が、「印刷環境情報NO.10」と「印刷環境情報NO.12」とで全く同じである場合を仮定する。
ここで、今後、「印刷環境情報NO.10」や「印刷環境情報NO.12」と同じ内容の「ジョブ名」及び「アプリ名」を「要素特定情報」(識別情報)として有する印刷ジョブが、クライアント端末30から孔版印刷装置1の制御部9に入力されると、その印刷ジョブの「印刷環境情報」の加工には、外部記憶装置13にユーザ設定情報として記憶されている、「印刷環境情報No.10」の「加工情報」(「印刷濃度」及び「印刷位置」)と、「印刷環境情報NO.12」の「加工情報」(「印刷速度」、「印刷濃度」、及び、「印刷位置」)とが、適していることになる。
同様に、「要素特定情報」が共に「ユーザ名」である「印刷環境情報No.11」と「印刷環境情報No.13」とが、全く同じ内容の「ユーザ名」であると仮定すると、それと同じ内容の「ユーザ名」を「要素特定情報」(識別情報)として有する印刷ジョブが入力されると、その印刷ジョブの「印刷環境情報」の加工には、外部記憶装置13の「印刷環境情報No.11」の「加工情報」(「印刷濃度」)と、「印刷環境情報NO.12」の「加工情報」(「印刷速度」、「印刷濃度」、及び、「印刷位置」)とが、適していることになる。
このように、入力された印刷ジョブの「印刷環境情報」の加工に適したユーザ設定情報が2つ以上外部記憶装置13に記憶されている場合は、どのユーザ設定情報の「加工情報」を適用するかを、例えば、ユーザが操作パネル部12の表示画面上でタッチ操作により選択できるようにすることが望ましい。
さらに、その選択結果をある程度記憶、蓄積し、以後は、過去の使用頻度を元にした適用の優先順位を決定して、優先順位が一番高いユーザ設定情報の「加工情報」を入力された印刷ジョブの「印刷環境情報」の加工に適用するようにすることもできる。
また、本実施形態では、外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報に対する加工の要求を受け付けた場合に、その加工内容のうち、印刷の実行後に図10の印刷ジョブ終了確認画面12lの「保存する」ボタン12mのタッチ操作によって選択された加工内容のみを、ユーザ設定情報として外部記憶装置13に記憶させる構成とした。しかし、外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報に対する加工の要求を受け付けた場合に、その加工内容を全て、ユーザ設定情報として外部記憶装置13に記憶させる構成としてもよい。
さらに、本実施形態では、外部記憶装置13に記憶されたユーザ設定情報の識別情報(ユーザの指定した項目の要素特定情報)と内容が一致する識別情報の印刷ジョブが後に入力されたときに、対応付けて外部記憶装置13に記憶された印刷環境情報のうち、図17のユーザ設定情報復元確認画面12s上で選択された項目の印刷環境情報のみを、入力された印刷ジョブの実行の際に適用する構成とした。しかし、外部記憶装置13に記憶された全ての項目の印刷環境情報を、入力された印刷ジョブの実行の際に適用する構成としてもよい。
また、本実施形態では、外部から入力された印刷ジョブの印刷環境情報に対する加工の内容が、図5のデジタイザ画面12aや図7の色指定画面12cの操作によって入力される分版エリアの変更である場合について説明した。しかし、本発明における印刷環境情報に対する加工とは、分版エリアの変更だけに限らず、印刷ジョブの印刷環境情報に含まれる印刷速度、印刷濃度、あるいは、印刷位置に対する加工であってもよい。さらに、印刷環境情報の内容は、本実施形態で説明した項目に限定されない。同様に、印刷ジョブの識別情報(要素特定情報)の内容も、本実施形態で説明した項目に限定されない。
さらに、本実施形態では、第1及び第2の2つの回転ドラム10a,10bにより2色分版を行う孔版印刷装置1を例にとって説明した。しかし、本発明は、外部から入力された印刷ジョブの実行により画像を記録紙Pに印刷する際に印刷ジョブ中の印刷環境情報を加工することができるものであれば、ドラム交換式を含む他の方式の孔版印刷装置や、電子写真方式、インクジェット方式等、孔版印刷以外の方式によって印刷する画像形成装置についても適用可能である。