JP5254277B2 - 真空成膜装置用部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スパッタリング装置やCVD装置等の真空成膜装置に用いられる真空成膜装置用部品の製造方法に関する。
半導体部品や液晶部品等においては、スパッタリング法やCVD法等の成膜方法を利用して各種の配線膜や電極を形成している。具体的には、半導体基板やガラス基板等の被成膜基板上に、スパッタリング法やCVD法等を適用してAl、Ti、Mo、W、Mo−W合金等の導電性金属やMoSi2、WSi2等の導電性金属化合物の薄膜を形成し、配線膜や電極等として利用している。
ところで、上記した配線膜等の形成に使用されるスパッタリング装置やCVD装置等の真空成膜装置では、Si基板やガラス基板上への成膜工程中に、装置内に配置されている各種部品にも成膜材料が付着、堆積することが避けられない。このような部品上に付着、堆積した成膜材料は、成膜工程中に部品から剥離することによって、ダストの発生原因となっている。このようなダストが成膜基板上の膜中に混入すると、配線形成後にショートやオープン等の配線不良を引き起こし、製品歩留りの低下を招くことになる。
このようなことから、従来の真空成膜装置においては、例えば表面が凹凸形態のCuシート等を部品表面に貼付け、付着物の密着力を向上させることにより付着した成膜材料の剥離を防止する等のダスト防止対策が採られている。特許文献1には、成膜装置の構成部品の全部または一部を成膜材料と同一材料で形成し、部品と成膜材料との熱膨張差に基く剥れを防止することが提案されている。
従来のダスト防止対策のうち、Cuシート等を貼り付ける方法は、部品の形状変化の大きな部分や複雑に変化しているような箇所には連続的に貼付けることが不可能であるため、Cuシートを切断して不連続にスポット溶接等で部品に貼り付けている。このため、Cuシートが無い部分が存在したり、また平滑な切断面が露出し、このような部分に成膜材料が付着すると容易に剥れが発生するため、ダストを十分に防止することはできない。
さらに、スパッタリング装置において、成膜材料となるターゲットの周辺部品にCuシートを適用した場合、プラズマの影響によりCuシートが同時にスパッタされて膜中に不純物として取り込まれるおそれがあることから、成膜源となるターゲットの周辺には使用することができず、従って成膜材料が付着する全ての部品にCuシートを適用することはできないという欠点がある。
一方、成膜装置構成部品の全部または一部を成膜材料と同一材料で形成する場合、部品全部を成膜材料で形成すると、部品強度等の特性低下を招いたり、また部品コストが増大する等の問題がある。また、部品表面に成膜材料の膜を形成する場合、その成膜方法によっては膜自体が剥れる等の問題がある。
特に、最近の半導体素子においては、16M、64M、256Mというような高集積度を達成するために、配線幅を0.5μm、さらには0.3μmというように、極めて狭小化することが求められている。このように狭小化された配線においては、例えば直径0.3μm程度の極微小粒子(微小パーティクル)が混入しても配線不良を引起こすことになる。また、配線幅の狭小化は当然ながら配線密度の高密度化のためであり、このような高密度配線を有する半導体素子等の製造歩留りを高めるためには、パーティクルの発生量自体も大幅に低減する必要がある。
このような極めて過酷な条件に対して、上述したような従来のダスト防止対策(パーティクル防止対策)では、上記した基本的な問題を除いたとしても十分に対応することはできず、高集積化された半導体素子等の製造歩留りは極めて低いのが現状である。
また、特許文献2には部品からのガス放出量を低減するために、部品表面にAl等の溶射膜を形成することが記載されている。このAl等の溶射膜は、パーティクルの発生防止等を目的としていないだけでなく、単なる溶射膜をパーティクルの発生防止対策として利用したとしても十分な効果は得られず、さらに単なる溶射膜は短期間で剥離しやすいという欠点を有している。
さらに、上記のような問題は成膜装置構成部品に限らず、例えばスパッタリング法等の成膜源であるターゲット、あるいはこのターゲットを冷却保持するためのバッキングプレートにおいても上記成膜装置構成部品と同様の問題が発生している。
特開昭63−238263号公報 特開昭61−87861号公報
本発明の目的は、成膜工程中に付着する成膜材料の剥離を安定かつ有効に防止することを可能にした真空成膜装置用部品の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、真空成膜装置の構成部品からの付着物の剥離による微小パーティクルの発生を極力抑制するために種々検討した結果、付着物の内部応力を吸収して応力を低減することが付着物の剥離抑制に効果を示し、また溶射法で形成した被膜が良好な応力低減効果を有することを見出した。
しかし、溶射は通常大気中で行われるため、溶射膜中にはガス、水分等が含まれ、さらに溶射膜の表面には酸化膜等が生成している。このような溶射膜を有する部品等を真空成膜装置内に組込んで使用すると、部品からガス成分が放出されて真空度が上らないだけでなく、ガス成分の放出や表面酸化膜等に起因して付着物の剥離が起こり、新たにパーティクルの発生を誘発することになる。また、腐食性雰囲気中で部品を使用した場合、溶射膜自体が腐食してパーティクルの発生を引き起こす。このような点を改善するためには、溶射法により被膜を形成した後に、還元雰囲気中で加熱処理して脱ガスを実施することが効果的であることを見出した。
本発明の真空成膜装置用部品の製造方法は、真空成膜装置の構成部品本体の表面に、前記構成部品本体との熱膨張率の差が10×10-6/K以下であり、かつ表面粗さが平均粗さで5〜50μmの範囲であると共に、厚さが50〜500μmの範囲であるAl溶射膜を大気中でのアーク溶射法により形成する工程と、前記Al溶射膜を真空中で加熱して脱ガス処理する工程とを具備し、前記脱ガス処理後の前記Al溶射膜を真空中で常温から773Kまで1時間で加熱した後、1時間保持して放出される総ガス量を加熱後の真空度の低下から測定した値で表されるガス残存量がTorr・cc/g以下であるAl溶射膜を得ることを特徴としている。
本発明の真空成膜装置用部品の製造方法によれば、成膜工程中に付着する成膜材料の剥離を安定かつ有効に防止することが可能な真空成膜装置の構成部品を提供することができる。従って、そのような真空成膜装置用部品を用いることによって、パーティクルの発生量を大幅に低減でき、配線膜等の不良発生原因となる膜中へのパーティクルの混入が抑制することが可能となる。また、真空成膜装置のクリーニング回数を減らすことができるため、ランニングコストの削減が可能となる。
本発明の実施形態による真空成膜装置用部品の構成を示す断面図である。 真空成膜装置用部品の加熱下におけるガス放出量を脱ガス処理していない溶射部品および部品素材と比較して示す図である。 本発明の真空成膜装置を適用したスパッタリング装置の実施形態の構成を示す断面図である。 参考例1によるスパッタリング装置を使用した際のパーティクル数の変化を脱ガス処理を施していない溶射部品を用いたスパッタリング装置と比較して示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の真空成膜装置用部品の実施形態の要部構成を示す断面図である。同図に示す真空成膜装置用部品1は、部品本体(基材)2の表面にAl溶射膜からなる溶射膜3が設けられている。部品本体2の構成材料は特に限定されるものではないが、例えば装置部品の構成材料として一般的なステンレス材等を用いることができる。また、部品本体2の溶射膜形成面2aは、アンカー効果が得られるように、予めブラスト処理等であらしておくことが好ましい。
上記した溶射膜3は、アーク溶射法を適用して形成することができ、部品本体2の構成材料や形状、あるいは溶射材料(被膜材料)等に応じて適宜選択して使用する。溶射膜3は部品本体2に対する密着力に優れるものであるが、成膜工程中の温度上昇に基く部品本体2と溶射膜3との界面からの剥離等を防止する上で、部品本体2との熱膨張率の差が10×10-6/K以下の金属材料で溶射膜3を形成することが好ましい。
溶射膜3上に付着する成膜材料(付着物)の熱膨張差による剥離を防止する上で、溶射膜3の形成材料は成膜材料との熱膨張率の差も10×10-6/K以下であることが好ましい。成膜材料との関係のみを考えた場合には、溶射膜3は成膜材料と同一材料、また成膜する膜が合金膜や化合物膜等の場合には、成膜材料(成膜源)を構成する少なくとも1種の金属材料で形成することが望ましい。このような条件を満足させることによって、溶射膜3上に付着した成膜材料の熱膨張差に基づく剥離を防止することができる。
このような溶射膜3は、成膜工程中に付着、堆積した成膜材料(付着物)の剥離防止膜として機能する。ここで、真空成膜装置用部品1の表面には、成膜工程中に成膜材料が付着して堆積するが、部品表面がある程度の凹凸状態であるならば、この付着物の厚さが20〜60μm程度までは剥離を生じない。しかし、これ以上になると付着物は容易に剥離する傾向が認められる。これは付着物に内部応力が作用し、厚さが増加するに伴って内部応力が大きくなり、この内部応力の増加に基づいて付着物の剥離が発生する。従って、付着物の剥離を防止するためには、付着物の内部応力を吸収して応力を低減する必要がある。上記した溶射膜3は、気孔を多数含む内部構造等により付着物の内部応力を吸収する作用を有し、良好な付着物の応力低減効果を発揮するものである。
ただし、単に溶射形成した膜はガス、水分等を含み、さらに膜表面には酸化膜等が生成している。これらはパーティクルの発生原因、膜寿命の低下要因、真空度の低下要因等となるため、溶射で被膜を形成した後に、還元雰囲気中で加熱処理して脱ガス処理を施し、大気中溶射で被膜中に混入したガスや水分等を除去する。
すなわち、上述した溶射膜3は溶射形成後に脱ガス処理を施すことにより、ガス残存量が10Torr・cc/g以下とされている。溶射膜3中のガス残存量が10Torr・cc/gを超えると、ガス成分の放出や溶射膜の腐食等に起因して付着物の剥離が起ったり、さらには溶射膜3自体の剥離等が生じる。言い換えると、ガス残存量が10Torr・cc/g以下の溶射膜3によれば、ガス成分の放出や腐食等が防止でき、その上で上述した応力低減効果が十分に発揮されるため、付着物の剥離を安定かつ有効に防止することができる。溶射膜3のガス残存量はより良好な効果を得る上で5Torr・cc/g以下とすることが望ましい。
図2はステンレス材(SUS 304)の表面にW溶射膜を大気中溶射で形成した後、水素中、1223K×1hの条件で脱ガス処理を行った溶射脱ガス部品の加熱処理に伴うガス放出量を、脱ガス処理を行っていない溶射部品と共に測定した結果である。ガス放出試験は特定の真空中で常温から773Kまで1時間で加熱後、1時間保持する間の放出されるガス量を加熱および保持時の真空度の低下から測定した値を確認することにより実施した。
図2から明らかなように、脱ガス処理を行った溶射脱ガス部品はガス放出量が大幅に低減していることが分かる。なお、ここで言うガス残存量とは、特定の真空中で常温から773Kまで1時間で加熱後、1時間保持して放出される総ガス量を加熱後の真空度の低下から測定した値を指すものとする。溶射膜3のガス残存量は減圧溶射等を適用することによって、脱ガス処理を行うことなく低減することも可能であるが、加熱処理による脱ガス処理は表面酸化被膜の除去効果等をも有するため、溶射形成後に実施するものとする。
溶射膜3は、その形成過程に基づいて複雑な表面形態を有することから、付着物に対して良好な密着性を示す。特に、溶射膜3の表面粗さが平均粗さRaで5〜50μmの範囲である場合に優れた付着物の剥離防止効果が得られる。すなわち、溶射膜3の表面平均粗さRaが5μm未満であると、付着物が容易に剥離するおそれが大きく、一方50μmを超えると溶射膜3表面の凹凸が大きくなり過ぎて、付着物が溶射膜3全体に付着せずに空孔が残るため、そこを起点として付着物の剥離が起るおそれがある。溶射膜3の表面粗さは平均粗さで10〜15μmの範囲とすることがさらに好ましい。
また、溶射膜3による付着物の剥離防止効果を得る上で、上述した表面粗さと共に溶射膜3の膜厚を適度に調整することが重要であり、このような点から溶射膜3の膜厚は50〜500μmの範囲とすることが好ましい。すなわち、溶射膜3は前述したように付着物の内部応力を低減する効果を有しているが、この応力低減効果は厚さによりその程度が異なり、溶射膜3の厚さが50μm未満であると上記応力低減効果が低下して付着物が剥れ易くなる。一方、500μmを超えると溶射膜3自体に大きな内部応力が発生し、これに付着物の内部応力が加わって剥離が発生し易くなる。溶射膜3の膜厚は、上記した効果がより良好に得られる100〜300μmの範囲とすることがさらに好ましい。
溶射膜3は単一材料による被膜に限らず、例えば異なる材料からなる2層以上の被膜で溶射膜3を構成してもよい。2層以上の溶射膜3の具体的な構成としては、例えば部品形状が大きく変化する屈曲部や湾曲部等の溶射膜3が剥れやすい部位に、予め部品本体2に対して密着性の高い第1の溶射膜を形成し、その上に付着物に対する密着性の高い第2の溶射膜を形成するような構成、あるいは表面側に耐食性に優れた溶射膜を形成する構成等が挙げられる。さらに、部品本体2と成膜材料との熱膨張差が極端に異なる場合、これらの熱膨張差を緩和するように、熱膨張率が異なる2層以上の溶射膜を順に形成してもよい。2層以上の溶射膜3を適用する場合、それらの間の熱膨張差は溶射膜3と部品本体2や成膜材料との熱膨張差と同様に10×10-6/K以下とすることが好ましい。
上述したような本発明の真空成膜装置用部品は、スパッタリング装置やCVD装置等の真空成膜装置の構成部品として用いられるものであり、成膜工程中に成膜材料が付着する部品であれば、種々の部品に対して適用可能である。具体的な構成については、以下の真空成膜装置の実施形態で説明する。
また、上記の実施形態の説明においては、真空成膜装置用部品について説明したが、上記内容はターゲット本体とこのターゲット本体の非エロージョン領域に形成されたガス残存量が10Torr・cc/g以下である溶射膜とを具備するターゲット、あるいはターゲットを保持するためのバッキングプレート本体とこのバッキングプレート本体の表面に形成されたガス残存量が10Torr・cc/g以下である溶射膜とを具備するバッキングプレートにおいても同様に適用できる。
すなわち、上記した真空成膜装置用部品で説明した溶射膜のガス残存量、熱膨張率、脱ガス処理の条件、表面粗さ、膜厚および2層以上の構成は、ターゲット本体の非エロージョン領域に形成される、あるいはターゲットを冷却保持するためのバッキングプレート本体の表面に形成される、ガス残存量が10Torr・cc/g以下である溶射膜においても同様に適用可能である。
次に、本発明の真空成膜装置の実施形態について説明する。図3は本発明の真空成膜装置をスパッタリング装置に適用した一実施形態の要部構成を示す図であり、11はバッキングプレート12に固定されたターゲットであり、この成膜源であるターゲット11は、成膜源保持部として機能するリング状のターゲット外周押え13およびセンタキャップ14により保持されている。また、ターゲット11の外周部下方には、アースシールド15が設けられており、その下方外周部側には上部防着板16が配置されている。
被成膜試料である基板17はターゲット11と対向配置するように、被成膜試料保持部であるプラテンリング18および基板ホルダ19によって保持されている。基板ホルダ19の外周部側には下部防着板20が配置されている。これらは図示を省略した真空容器内に配置されており、真空容器にはスパッタガスを導入するためのガス供給系(図示せず)と真空容器内を所定の真空状態まで排気する排気系(図示せず)とが接続されている。なお、図中21は磁場コイルである。
この実施形態のスパッタリング装置においては、ターゲット外周押え13、アースシールド15、プラテンリング18および基板ホルダ19を、上述した本発明の真空成膜装置用部品、すなわち表面にガス残存量が10Torr・cc/g以下の溶射膜3が設けられた真空成膜装置用部品1で構成している。真空成膜装置用部品1の具体的な構成は前述した通りである。また、この実施形態においては、ターゲット11およびバッキングプレート12を、ターゲット11の非エロージョン領域およびバッキングプレート12の表面に、ガス残存量が10Torr・cc/g以下の溶射膜3を設けたもので構成している。ターゲット11およびバッキングプレート12の構成は前述した通りである。なお、溶射膜3はターゲット11からスパッタされた粒子が付着する面に形成されている。
このようなスパッタリング装置においては、成膜工程中にターゲット外周押え13、アースシールド15、プラテンリング18、基板ホルダ19、ターゲット11およびバッキングプレート12等の表面にスパッタされた成膜材料(ターゲット11)が付着するが、この付着物の剥離は部品表面の溶射膜3により安定かつ有効に防止される。また、溶射膜3自体も安定で長寿命である。これらによって、ダストおよびパーティクルの発生量、さらには基板17に形成される膜中への混入量を大幅に抑制することができる。従って、16M、64M、256Mというような高集積度の半導体素子の配線膜、すなわち配線幅が0.5μm以下というように狭小で、かつ高密度の配線網を形成する配線膜であっても、微小パーティクル(例えば直径0.2μm以上)の混入を大幅に抑制できることから、配線不良を大幅に低減することが可能となる。
なお、上記実施形態においては、ターゲット外周押え13、アースシールド15、プラテンリング18、基板ホルダ19、ターゲット11およびバッキングプレート12を本発明で構成した例について説明したが、これら以外にセンタキャップ14、上部防着板16、下部防着板20等を本発明の真空成膜装置用部品で構成することも有効である。さらに、これら以外の部品についても、成膜工程中に成膜材料の付着が避けられない部品であれば、本発明の真空成膜装置用部品は有効に機能する。
このように、本発明の真空成膜装置は被成膜試料保持部、成膜源保持部、防着部品等から選ばれる少なくとも1つを、本発明の真空成膜装置用部品で構成することによって、さらにはターゲットやバッキングプレートに本発明を適用することによって、上述したような優れた効果を得ることができる。
本発明の真空成膜装置用部品における溶射膜は、上述したように装置構成部品以外、具体的にはターゲットに対しても有効に機能する。すなわち、ターゲットの外周部分は実質的にはスパッタされず、このような非エロージョン領域にもスパッタされた粒子が付着する。このようなターゲット外周部の付着物が剥離しても、他の部品からの付着物の剥離と同様に配線膜等の不良原因となる。従って、実質的にスパッタされないターゲットの非エロージョン領域に、本発明による溶射膜を予め形成しておくことによって、付着物の剥離に伴う配線不良等が防止できる。
また、上記実施形態では本発明の真空成膜装置をスパッタリング装置に適用した例について説明したが、これ以外に真空蒸着装置(イオンプレーティングやレーザーアブレーション等を含む)、CVD装置等の真空成膜装置にも適用可能であり、上述したスパッタリング装置と同様な効果を得ることができる。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
参考例1
図3に示したスパッタリング装置のターゲット外周押え13、アースシールド15、プラテンリング18、基板ホルダ19、上部防着板16および下部防着板20として、SUS 304製基材の表面にプラズマ溶射法で厚さ200μmのTi溶射膜3を形成した後、真空中にて576K×1hの加熱処理を行って脱ガス処理した部品を使用し、マグネトロンスパッタリング装置を構成した。脱ガス処理後のTi溶射膜中のガス残存量は0.9Torr・cc/gであり、またTi溶射膜の表面粗さは平均粗さRaで12μmであった。
このマグネトロンスパッタリング装置に高純度Tiターゲットをセットし、マグネトロンスパッタリングを行って、6インチウェーハ上にTiとN2ガスの導入によりTiN薄膜を形成した。このようにして得たTiN薄膜上の直径0.3μm以上のパーティクル(ダスト)数を測定した。このような操作を連続して行い、パーティクル数の変化を調査した。その結果を図4に示す。
また、上記参考例と同様な各部品を、SUS 304製基材の表面にプラズマ溶射法で厚さ200μmのTi溶射膜を形成し、これを脱ガス処理せずに比較例1の部品として用いて、マグネトロンスパッタリング装置を構成した。このマグネトロンスパッタリング装置を真空排気したところ、部品からの放出ガス量が多くスパッタリングが実施できない状態となり、チャンバを長時間ベーキングしてはじめてスパッタリングが行える真空度まで到達した。次に、上記参考例1と同様にしてTiN薄膜上のパーティクル数の変化を調べた。その結果を図4に併せて示す。
図4から明らかなように、参考例1によるマグネトロンスパッタリング装置はパーティクル発生量が2000チャージまで安定して少ないのに対して、比較例1によるマグネトロンスパッタリング装置では当初からパーティクル発生量が多く、さらには800チャージ程度でTi溶射膜の剥れに起因したパーティクルの増加が認められた。これらから、実施例の処理によりパーティクルの発生を有効かつ安定して防止できることが確認された。
参考例2
図3に示したスパッタリング装置のターゲット外周押え13、アースシールド15、プラテンリング18、基板ホルダ19、上部防着板16および下部防着板20として、SUS 304製基材の表面に、まずプラズマ溶射法で厚さ50μmのNi−Ti合金溶射膜を形成し、続いて厚さ150μmのTi溶射膜を形成した後、真空中にて573K×1hの加熱処理を行った脱ガス処理した部品を用いて、マグネトロンスパッタリング装置を構成した。脱ガス処理後の溶射膜中のガス残存量は1Torr・cc/gであり、また最表面のTi溶射膜の表面粗さは平均粗さで15μmであった。
このマグネトロンスパッタリング装置に高純度Tiターゲットをセットし、マグネトロンスパッタリングを行って、参考例1と同様にしてパーティクル(ダスト)数の変化を調べた。その結果、参考例1と同様に、パーティクル発生量は2000チャージ程度まで安定して少なかった。また、この参考例2の処理の場合、屈曲部等に対する溶射膜の安定性も高く、そのような部分での剥れも発生せず、極めて良好な結果が得られた。
参考例3
図3に示したスパッタリング装置のターゲット外周押え13、アースシールド15、プラテンリング18、基板ホルダ19、上部防着板16および下部防着板20として、SUS 304製基材の表面にプラズマ溶射法で厚さ200μmのW溶射膜を形成した後、水素中にて1273K×1hの加熱処理を行って脱ガス処理した部品を用い、マグネトロンスパッタリング装置を構成した。脱ガス処理後のW溶射膜中のガス残存量は2.6Torr・cc/gであり、またW溶射膜の表面には酸化被膜が存在せず、その表面粗さは平均粗さで8μmであった。
このマグネトロンスパッタリング装置にMo−Wターゲットをセットし、マグネトロンスパッタリングを行って、参考例1と同様にしてパーティクル(ダスト)数の変化を調べた。その結果、パーティクル発生量は1500チャージ程度まで安定して少なかった。また、その発生量自体も脱ガス処理していないW溶射部品(比較例2)を用いた場合に比べて1/3程度であった。
実施例1
図3に示したスパッタリング装置のターゲット外周押え13、アースシールド15、プラテンリング18、基板ホルダ19、上部防着板16および下部防着板20として、SUS 304製基材の表面にアーク溶射法で厚さ250μmのAl溶射膜を形成した後、真空中にて623K×1hの加熱処理を行って脱ガス処理した部品を用いて、マグネトロンスパッタリング装置を構成した。脱ガス処理後のAl溶射膜中のガス残存量は3.2Torr・cc/gであり、またAl溶射膜の表面粗さは平均粗さで25μmであった。
このマグネトロンスパッタリング装置に高純度タングステンシリサイド(WSi2.8)ターゲットをセットし、マグネトロンスパッタリングを行って、参考例1と同様にしてパーティクル(ダスト)数の変化を調べた。その結果、参考例1と同様に、パーティクル発生量は2000チャージ程度まで安定して少なかった。また、その発生量自体も脱ガス処理していないAl溶射部品(比較例3)を用いた場合に比べて1/2程度であった。
比較例4
図3に示したスパッタリング装置のターゲット外周押え13、アースシールド15、プラテンリング18、基板ホルダ19、上部防着板16および下部防着板20として、SUS 304製基材の表面に、CVD法で厚さ20μmのW膜(比較例4)を形成した後、真空中にて773K×1hrの加熱処理を行って脱ガス処理した部品を用い、マグネトロンスパッタリング装置を構成した。W膜の表面粗さは平均粗さで0.5μmであった。
このマグネトロンスパッタリング装置に高純度タングステンシリサイド(WSi2.8)ターゲットをセットし、マグネトロンスパッタリングを行って、参考例1と同様にしてパーティクル(ダスト)数の変化を調べたところ、35チャージ程度で部品表面のタングステンシリサイド膜の剥離が生じ、パーティクル(ダスト)数が大幅に増加した。
参考例4
図3に示したスパッタリング装置のターゲット外周押え13、アースシールド15、プラテンリング18、基板ホルダ19、上部防着板16および下部防着板20として、SUS 304製基材の表面にプラズマ溶射法で厚さ250μmのTi溶射膜を形成した。また、ターゲット11として高純度Tiを使用し、またバッキングプレート12にCuを使用し、この高純度Tiターゲット11の外周部の非エロージョン領域およびCuバッキングプレート12の表面にも、同様にプラズマ溶射法で厚さ250μmのTi溶射膜を形成した。
これらTi溶射膜を形成した各部品、ターゲットおよびバッキングプレートを真空中で575K×1hの加熱処理を行って脱ガス処理し、これら脱ガス処理したものを用いて、マグネトロンスパッタリング装置、ターゲットおよびバッキングプレートを構成した。脱ガス処理後のTi溶射膜中のガス残存量は1.2Torr・cc/gであり、またTi溶射膜の表面粗さは平均粗さで17μmであった。
上記したマグネトロンスパッタリング装置に、上記Cuバッキングプレート12に保持された高純度Tiターゲット11をセットした後、マグネトロンスパッタリングを行って、参考例1と同様にしてパーティクル(ダスト)数の変化を調べた。その結果、ターゲットおよびバッキングプレートに溶射しない場合と比較して、突発的に発生するパーティクルがなくなり、全体のパーティクル数は半減し、パーティクル発生を有効かつ安定して防止できることが確認できた。
1…真空成膜装置用部品、2…部品本体(基材)、3…溶射膜、11…ターゲット、12…バッキングプレート、13…ターゲット外周押え、14…センタキャップ、15…アースシールド、16、20…防着板、17…被成膜基板、18…プラテンリング、19…基板ホルダ。

Claims (2)

  1. 真空成膜装置の構成部品本体の表面に、前記構成部品本体との熱膨張率の差が10×10-6/K以下であり、かつ表面粗さが平均粗さで5〜50μmの範囲であると共に、厚さが50〜500μmの範囲であるAl溶射膜を大気中でのアーク溶射法により形成する工程と、
    前記Al溶射膜を真空中で加熱して脱ガス処理する工程とを具備し、
    前記脱ガス処理後の前記Al溶射膜を真空中で常温から773Kまで1時間で加熱した後、1時間保持して放出される総ガス量を加熱後の真空度の低下から測定した値で表されるガス残存量がTorr・cc/g以下であるAl溶射膜を得ることを特徴とする真空成膜装置用部品の製造方法。
  2. 請求項1記載の真空成膜装置用部品の製造方法において、
    さらに、前記Al溶射膜を形成する前に、前記構成部品本体の前記表面をブラスト処理する工程を具備することを特徴とする真空成膜装置用部品の製造方法。
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