JP5250078B2 - ボトル缶用アルミニウム合金板 - Google Patents

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Description

本発明は、各種の飲料缶として使用されるボトル缶用素材としてのボトル缶用アルミニウム合金板に関する。
従来、ボトル缶としては、図1に示すように、胴体部2と底部6とが連続して構成されている2ピースボトル缶1がある。この2ピースボトル缶1は、その胴体部2の所定部分にネック部3が形成され、このネック部3のエンド部には口部4が形成されている。さらに、この2ピースボトル缶1は、口部4の近傍の外周にキャップ取り付け用のネジ部5と、天面部8にカール部7とが形成されている。
そして、特許文献1には、このような2ピースボトル缶に使用されるアルミニウム合金板として、Fe、Si、Mn、Mgの各含有量を調整したJISH4000に規定される3004合金、または3104合金などが用いられ、これを、鋳造処理、均質化熱処理、熱間圧延処理、冷間圧延処理、必要に応じて焼鈍処理を行った後に、冷間圧延を行うことによって、所定のアルミニウム合金板を製造することが提案されている。
特開2002−256366号公報(段落番号0013、0030、図1)
しかしながら、ボトル缶の内容物によっては、キャップ巻締め後の漏れ防止のために、キャッピング時の打栓荷重を従来よりも高くすることが要求されている。こうした内容物への適用拡大を図ろうとしたときには、ネック部、胴体部にかかる軸方向荷重に対する座屈強度を、従来の1500N以上から1960N以上に増大する必要がある。そして、高い打栓荷重に耐えうるボトル缶を製造するには、より強度の高い材料が求められるが、従来のアルミニウム合金板においては、高強度化するほど、ネック成形時のシワ、カール成形時におけるカール割れが発生するという問題があり、製缶自体が困難で実用化に至らなかった。また、高強度化のために、アルミニウム合金板の板厚を厚くすることも考えられるが、ボトル缶においては、1缶あたりのメタル使用量を減らすべく薄肉、軽量化の要望が高い。
そこで、本発明はこのような問題を解決すべく創案されたもので、その課題は、現行の板厚/重量をアップさせることなく、ボトル缶を製造する際の成形性が優れると共に、製造されたボトル缶が十分な缶体強度(座屈強度)を有するボトル缶用アルミニウム合金板を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明に係るボトル缶用アルミニウム合金板は、Cuを0.10〜0.40質量%、Mgを1.38〜2.00質量%、Mnを0.50〜1.00質量%、Feを0.40〜0.80質量%、Siを0.10〜0.40質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成され、前記Mn、MgおよびFeの含有量が、5.450<{5.66×Mn(質量%)+0.667×Mg(質量%)+2.17×Fe(質量%)}<7.550の関係を満足するアルミニウム合金板であって、前記アルミニウム合金板の伸びが5.0〜8.0%、かつ、結晶粒の平均アスペクト比が3.0以上であり、前記アルミニウム合金板の210℃で10分の熱処理を施した後の0.2%耐力が270N/mmを超え290N/mm以下であり、前記アルミニウム合金板から外径66mmのブランクを打ち抜き、前記ブランクに対してカッピングを施してカップ径40mmの絞りカップを作製した際に、前記絞りカップのカップ高さから算出した耳率が−2〜+3.5%であることを特徴とする。
このような構成によれば、Cu、Mg、Mn、Fe、Siの各含有量を所定範囲に規制することによって、熱処理後の0.2%耐力が適切な範囲となり、缶体強度が向上すると共に、ネック成形性、カール成形性が向上する。また、缶成形の際の耳率が適切な範囲となり、缶寸法が安定する。Mn、MgおよびFeの含有量が所定の関係を満足することによって、アルミニウム合金板に所定のサイズおよび個数密度の金属間化合物が形成され、ネック成形性、カール成形性が向上する。また、合金板の伸びを所定範囲に規制することによって、ネック成形性、カール成形性が向上する。さらに、合金板の結晶粒の平均アスペクト比を所定範囲に規制することによって、結晶粒が圧延方向に伸長した組織となり、合金板をDI成形した際の耳率が適切な範囲となる。
本発明のボトル缶用アルミニウム合金板によれば、現行の板厚/重量をアップさせることなく、優れた成形性を達成できると共に、製造されたボトル缶が十分な缶寸法、缶体強度(座屈強度)を有する。
2ピースボトル缶を模式的に示す斜視図である。 図1の2ピースボトル缶の製造方法を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明者らは、現行の缶壁厚もしくは現行より薄い缶壁厚からなるボトル缶であっても、従来以上のキャップ打栓荷重に耐えうるボトル缶製造に適した材料の開発を進めてきた。その結果、従来採用されてきたJIS規定の3104合金、または3004合金の成分範囲を超える合金成分と、適正な均質化熱処理条件、熱間圧延条件、冷間圧延条件を組み合わせることで、必要な缶強度、缶寸法、成形性を同時に満足させるボトル缶用アルミニウム合金板(以下、アルミニウム合金板と称す)を見出し、本発明を成すに至った。
[アルミニウム合金板]
本発明に係るアルミニウム合金板は、Cuを0.10〜0.40質量%、Mgを1.30〜2.00質量%(好ましくは1.38〜2.00質量%)、Mnを0.50〜1.00質量%、Feを0.40〜0.80質量%、Siを0.10〜0.40質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成され、前記Mn、MgおよびFeの含有量が、5.450<{5.66×Mn(質量%)+0.667×Mg(質量%)+2.17×Fe(質量%)}<7.550の関係を満足するアルミニウム合金板であって、前記アルミニウム合金板の伸びが5.0〜8.0%以下、かつ、結晶粒の平均アスペクト比が3.0以上であり、前記アルミニウム合金板の熱処理後の0.2%耐力が270N/mmを超え290N/mm以下であり、前記アルミニウム合金板の耳率が−2〜+3.5%である。
以下に、アルミニウム合金板に含まれる各成分と材料特性(伸び、結晶粒の平均アスペクト比熱処理後の0.2%耐力、耳率)とを数値限定した理由について説明する。
(Cuの含有量:0.10〜0.40質量%)
Cuは、アルミニウム合金板の材料強度に寄与する元素である。また、ボトル缶の座屈強度は、アルミニウム合金板の材料強度に依存する。そして、後記するボトル缶の製造工程において、ネック成形前の熱処理後の0.2%耐力、すなわち、DI缶に対して内面印刷・焼付処理を施す際の熱処理に相当する210℃で10分間の熱処理を、アルミニウム合金板に施した後のアルミニウム合金板の0.2%耐力が重要な指標となる。
Cuの含有量が0.10質量%未満では、充分な材料強度(熱処理後の0.2%耐力)が得られず、ボトル缶の缶強度が不足する(軸方向荷重に対するネック部、缶胴部の座屈強度が不足する)。Cuの含有量が0.40質量%を超えると、材料強度(熱処理後の0.2%耐力)が高くなり過ぎて、後記するボトル缶の製造工程において、ネック成形時のシワ発生およびカール成形時の割れ発生による不良缶の発生率が高くなり、実用に適さなくなる。
(Mgの含有量:1.30〜2.00質量%、好ましくは1.38〜2.00質量%)
Mgは、アルミニウム合金板の材料強度に寄与する元素である。Mgの含有量が1.30質量%未満では、充分な材料強度(熱処理後の0.2%耐力)が得られず、ボトル缶の缶強度が不足する。Mgの含有量が2.00質量%を超えると、加工硬化が大きくなって材料強度(熱処理後の0.2%耐力)が高くなり過ぎて、後記するボトル缶の製造工程において、ネック成形時のシワ発生およびカール成形時の割れ発生による不良缶の発生率が高くなり、実用に適さなくなる。
(Mnの含有量:0.50〜1.00質量%)
Mnは、アルミニウム合金板の材料強度に寄与する元素である。Mnの含有量が0.50質量%未満では、充分な材料強度(熱処理後の0.2%耐力)が得られず、ボトル缶の缶強度が不足する。Mnの含有量が1.00質量%を超えると、材料強度(熱処理後の0.2%耐力)が高くなり過ぎて、後記するボトル缶の製造工程において、印刷・焼付処理後のネック部の延性が不足し、ネック成形時のシワ発生およびカール成形時の割れ発生による不良缶の発生率が高くなり、実用に適さなくなる。
(Feの含有量:0.40〜0.80質量%)
Feの含有量が0.40質量%未満では、後記するボトル缶の製造工程において、DI成形の際に0−180°耳が増大し、所定の缶寸法が得難くなる。Feの含有量が0.80質量%を超えると、Al−Mn−Fe−Si系金属間化合物のサイズおよび個数密度が増大し、後記するボトル缶の製造工程において、カール成形時の割れ発生による不良缶の発生率が高くなり、実用に適さなくなる。
(Siの含有量:0.10〜0.40質量%)
Siの含有量が0.10質量%未満では、後記するボトル缶の製造工程において、DI成形の際に45°耳が増大する。Siの含有量が0.40質量%を超えると、後記するアルミニウム合金板の製造工程において、熱間圧延時の集合組織のばらつきを招く。このようなアルミニウム合金板でボトル缶を製造すると、DI成形の際に耳率のばらつきが増大する。いずれの場合も所定の缶寸法が得難くなる。
(不可避的不純物)
本発明にあっては、不可避的不純物として、Crが0.1質量%以下、Znが0.5質量%以下、Tiが0.1質量%以下、Zrが0.1質量%以下、Bが0.1質量%以下含有されても、本発明の効果が妨げられるものではなく、このような不可避的不純物の含有は許容される。
(5.450<{5.66×Mn(質量%)+0.667×Mg(質量%)+2.17×Fe(質量%)}<7.550)
ボトル缶の製造工程において、ネック部のスジ状欠陥の発生は、Al−Mn−Fe−Si系金属間化合物のサイズおよび個数密度に影響される。そして、金属間化合物のサイズおよび個数密度は、Mn、Mg、Feの含有量に左右され、その影響度はMn、Fe、Mgの順に高くなる。Mn、Mg、Feが前記の関係を満足するときに、金属間化合物のサイズおよび個数密度が好適な範囲となり、ネック部のスジ状欠陥の発生が抑制され、カール割れも防止される。
{5.66×Mn+0.667×Mg+2.17×Fe}が5.450以下であると、金属間化合物の形成が十分でなく、後記するボトル缶の製造工程において、DI成形時の焼付きが顕著となり、胴体部のみならずネック部も、これに起因するスジ状欠陥が顕著となる。{5.66×Mn+0.667×Mg+2.17×Fe}が7.550以上であると、金属間化合物が粗大化し、DI成形時において、この粗大な金属間化合物が脱落することにより、ネック部にスジ状の欠陥が生じる。このスジ状の欠陥により、カール成形時に割れが生じる。
(伸び:5.0〜8.0%)
伸びが5.0%未満では、後記するボトル缶の製造工程において、カップ成形時のシワがネック成形後もシワとして残存し、カール成形時の割れ発生増大による不良缶の発生率が高くなり、実用に適さなくなる。伸びが8.0%を超えると、後記するボトル缶の製造工程において、ネック成形時の加工硬化が大きく、ネック部強度が過大となって、カール成形時の割れ発生増大による不良缶の発生率が高くなり、実用に適さなくなる。なお、後記するアルミニウム合金板の製造工程において、冷間圧延の際の巻き取り温度を所定範囲に制御することによって、前記範囲の伸びを得ることが可能となる。
(結晶粒の平均アスペクト比:3.0以上)
結晶粒のアスペクト比は、アルミニウム合金板の圧延方向の結晶粒径(L)と板幅方向の結晶粒径(ST)との比(L/ST)で定義され、その平均値である平均アスペクト比が3.0未満のとき、後記するボトル缶の製造工程において、DI成形の際に0−180°耳が増大し、所定の缶寸法が得難くなる。なお、後記するアルミニウム合金板の製造工程において、冷間加工率を所定範囲に制御することによって、前記範囲の平均アスペクト比を得ることが可能となる。
(熱処理後の0.2%耐力:270N/mmを超え290N/mm以下)
210℃で10分の熱処理を施した後のアルミニウム合金板の0.2%耐力は、ボトル缶の缶強度(座屈強度)に影響を与える。熱処理後の0.2%耐力が270N/mm以下では、缶強度(座屈強度)が不足する。熱処理後の0.2%耐力が290N/mmを超えると、ネック成形時のシワ発生およびカール成形時の割れ発生により不良缶の発生率が高くなり、実用に適さなくなる。したがって、本発明では、210℃で10分間の熱処理を施した後の、アルミニウム合金板の0.2%耐力は270N/mm2を超え290N/mm以下とすることが必要である。なお、アルミニウム合金に含まれるCu、Mn、Mgの含有量を所定範囲に制御することによって、前記範囲の0.2%耐力(熱処理後)を得ることが可能となる。
(耳率:−2〜+3.5%)
耳率の大小は、ボトル缶の缶寸法精度(口部寸法精度)とよく対応し、所定の缶寸法を得るには、耳率が−2〜+3.5%の範囲にあることが求められる。耳率が前記範囲内であるものは缶寸法精度が良好で、耳率が前記範囲外であるものは缶寸法精度が不良となる。なお、アルミニウム合金に含まれるFe、Siの含有量、後記するアルミニウム合金板の製造の際の均質化熱処理温度、熱間圧延時の巻き取り温度、冷間圧延時の冷間加工率を制御することによって、前記範囲の耳率を得ることが可能となる。
前記アルミニウム合金板の製造方法は、以下の第1工程ないし第4工程を含むものである。第1工程は、Cuを0.10〜0.40質量%、Mgを1.30〜2.00質量%(好ましくは1.38〜2.00質量%)、Mnを0.50〜1.00質量%、Feを0.40〜0.80質量%、Siを0.10〜0.40質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成され、前記Mn、MgおよびFeの含有量が、5.450<{5.66×Mn(質量%)+0.667×Mg(質量%)+2.17×Fe(質量%)}<7.550の関係を満足するアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を製造する。第2工程は、前記鋳塊を均質化熱処理する。そして、前記均質化熱処理を570〜620℃の温度条件で行う。第3工程は、前記第2工程で均質化熱処理された鋳塊を熱間圧延して圧延板を製造する。そして、前記熱間圧延を巻き取り温度300℃以上で行う。第4工程は、前記圧延板を冷間圧延してアルミニウム合金板を製造する。そして、前記冷間圧延を冷間加工率82〜90%、巻き取り温度130〜180℃で行う。
以下に、前記製造方法において規定した各条件について説明する。なお、アルミニウム合金の成分の数値限定理由については、前記したボトル缶用アルミニウム合金板と同一であるので省略する。
(均質化熱処理の温度条件:570〜620℃)
均質化熱処理温度が570℃未満では、次工程の熱間圧延時の集合組織のばらつきを招き、後記するボトル缶の製造工程において、DI成形の際の耳率のばらつきが増大し、所定の缶寸法が得難くなる。また、未再結晶組織の残存により、ネック成形時のシワ発生、更にはカール割れ発生を招く。均質化熱処理温度が620℃を超えると、鋳塊表面がバーニングを起こし、合金板の製造そのものができなくなる。
(熱間圧延の巻き取り温度:300℃以上)
熱間圧延の巻き取り温度が300℃未満では、次工程の熱間圧延時の集合組織のばらつきを招き、後記するボトル缶の製造工程において、DI成形の際の耳率のばらつきが増大し、所定の缶寸法が得難くなる。また、未再結晶組織の残存により、ネック成形時のシワ発生、更にはカール割れ発生を招く。
(冷間圧延の冷間加工率:82〜90%)
冷間加工率が82%未満では、後記するボトル缶の製造工程において、0−180°耳が増大し、所定の缶寸法が得難くなる。冷間加工率が90%を超えると、45°耳が増大し、やはり所定の缶寸法を得難くなる。なお、冷間加工率を前記範囲に制御することによって、アルミニウム合金板の結晶粒の平均アスペクト比を所定範囲にすることが可能となる。
(冷間圧延の巻き取り温度:130〜180℃)
冷間圧延の巻き取り温度が130℃未満では、アルミニウム合金板に十分な延性が得られず、後記するボトル缶の製造工程において、カップ成形時のシワがネック成形後もシワとして残存し、カール成形時の割れ発生増大による不良缶の発生率が高くなり、実用に適さなくなる。巻き取り温度が180℃を超えると、後記するボトル缶の製造工程において、ネック成形時の加工硬化が大きく、ネック部の強度が過大となって、カール成形時の割れ発生増大による不良缶の発生率が高くなり、実用に適さなくなる。なお、巻き取り温度を前記範囲に制御することによって、アルミニウム合金板の伸びを所定範囲にすることが可能となる。
ここで、第1工程の鋳造は、DC鋳造処理(Direct−chill Casting:直接チル鋳造処理)が好ましく、また、第3工程の熱間圧延と第4工程の冷間圧延との間に、必要に応じて焼鈍を施す荒焼鈍工程を加えてもよい。さらに、第4工程の冷間圧延は、複数回の冷間圧延を行い、冷間圧延の間に必要に応じて焼鈍を施す中間焼鈍工程を加えてもよい。したがって、前記冷間加工率は、トータルの冷間加工率を意味する。
以上説明した本発明に係るアルミニウム合金板は、図1に示すような胴体部2と底部6とが一体に形成された2ピースボトル缶1や、図示しないが、胴体部と底部とが各々異なる部材で形成された3ピースボトル缶に好適に使用される素材である。
[ボトル缶の製造方法(製造工程)]
本発明に係るアルミニウム合金板を、図1に示すような2ピースボトル缶1に適用する場合には、図2に示すように、本発明に係るアルミニウム合金板からなるアルミニウム合金板Aに対してカッピングとDI成形とを施して、胴体部2と底部6とを備えるDI缶を製造する。次に、DI缶(胴体部2)の胴体部端部2aをトリミングにより整え、図示しない洗浄、印刷・焼付け(210℃で10分間の熱処理)を施した後に、DI缶(胴体部2)にダイネック加工等によりネッキングを施してネック部3を形成し、その開口部を口部4とする。その後、この口部4の近傍の外周にネジ成形を施してスクリューキャップ取り付け用のネジ部5を形成し、天面部8にカール成形を施してカール部7を形成することで、2ピースボトル缶1を製造することができる。
また、アルミニウム合金板Aは、製造される2ピースボトル缶1の内表面からのアルミニウム等の溶出を防止するために、本発明に係るボトル缶用アルミニウム合金板の表面にPET等の樹脂フィルムをラミネートしたものを使用してもよい。
以下、本発明に係る実施例について具体的に説明する。
なお、本発明の必要条件を満足するものを実施例1〜6とし、本発明の必要条件を満たさないものを比較例1〜18とした。
まず、表1に示すような化学成分を備えたアルミニウム合金を溶解・鋳造し、この鋳塊に、表1に示す均質化熱処理温度で4時間の均質化熱処理を施した。続いて、熱間粗圧延、熱間仕上げ圧延を順次行って熱間圧延板を作製した後、表1に示すような巻き取り温度で巻き取って、ホットコイルとした。そして、このホットコイルに表1に示す冷間加工率で冷間圧延を施し、表1に示す巻き取り温度で巻き取り、板厚0.360mmのアルミニウム合金板(実施例1〜6、比較例1〜18)を製造した。なお、板厚0.360mmは、従来の板厚が0.400mmであるので、薄肉化された板厚といえる。
そして、前記の実施例1〜6、比較例1〜18のアルミニウム合金板について、結晶粒の平均アスペクト比、伸び、熱処理後の0.2%耐力を以下の測定方法により求めた。その結果を表1に示す。なお、表1中の下線は本発明の必要条件を満たしていないことを示す。
(平均アスペクト比)
前記のアルミニウム合金板の表面において、結晶粒の圧延方向の結晶粒径(L)と板幅方向の結晶粒径(ST)を求め、アスペクト比=(L/ST)を計算した。測定場所を変えて同様の測定を繰り返し行い(5箇所)、その平均値を平均アスペクト比とした。
(伸び、熱処理後の0.2%耐力)
前記のアルミニウム合金板からJIS5号試験片を圧延方向に採取し、この試験片を用いてJISZ2241に準拠して引張試験を行い、伸びを測定した。また、210℃で10分の熱処理(ベーキング処理)を施したアルミニウム合金板からJIS5号試験片を採取し、この試験片を用いて同様にして引張試験を行い、熱処理後の0.2%耐力を測定した。
Figure 0005250078
次に、前記のアルミニウム合金板から製造されるボトル缶の缶寸法精度の指標として耳率を採用し、この耳率を以下の方法で算出した。
(耳率、缶寸法精度)
前記のアルミニウム合金板から外径66mmのブランクを打ち抜き、このブランクに対してカッピングを施してカップ径40mmの絞りカップを作製した。この絞りカップのカップ高さを測定し、下式(1)に基づき耳率を測定した。下式(1)において、hXは絞りカップの高さを表す。そして、hの添数字Xはカップ高さの測定位置を示し、アルミニウム合金板の圧延方向に対してX°の角度をなす位置を意味する。そして、耳率の大小は、ボトル缶の缶寸法精度(口部寸法精度)とよく対応し、所定の缶寸法を得るには、耳率が−2〜+3.5%の範囲にあることが求められる。耳率が前記範囲内であるものを缶寸法精度が良好「○」とし、耳率が前記範囲外であるものを缶寸法精度が不良「×」とした。その結果を表2に示す。
耳率(%)=[{(h45+h135+h225+h315)−(h0+h90+h180+h270)}/{1/2(h45+h135+h225+h315+h0+h90+h180+h270)}]×100・・・(1)
また、前記のアルミニウム合金板を使用して、図2に示すように、以下の手順で2ピースボトル缶1を製造した。まず、アルミニウム合金板Aから外径160mmのブランクを打ち抜き、このブランクに対してカッピングを施して、カップ径94mmの絞りカップを得た。この絞りカップに対してDI成形を施して、胴体部2の内径が66mmのDI缶を得た。このDI缶の胴体部端部2aをトリミングし、210℃で10分のベーキング処理(熱処理)を行った後、さらに口部4の内径が40mmになるまでダイネック方式でネッキングを施して、ネッキング品を得た。このネッキング品のネック部3にネジ・カール成形によりネジ部5、カール部7を形成して2ピースボトル缶1とした。
前記のネッキング品、2ピースボトル缶を使用して、ネック成形性、カール成形性、および座屈強度の評価を以下の方法で行った。その結果を表2に示す。
(ネック成形性)
前記のネッキング品(サンプル数=20)において、シワまたはスジ状の欠陥の発生状況を確認することによって、ネック成形性を評価した。シワまたはスジ状の欠陥が見られなかったものを良好「○」、シワまたはスジ状の欠陥が見られたものを不良「×」とした。
(カール成形性)
前記の2ピースボトル缶(サンプル数=20)において、カール部の割れの有無を確認することによって、カール成形性を評価した。割れの発生が見られなかったものを良好「○」、1缶でも割れの発生が見られたものを不良「×」とした。
(座屈強度)
前記の2ピースボトル缶(サンプル数=10)に軸方向の圧縮荷重を負荷し、ネック部または胴体部が座屈したときの荷重を測定して、その平均値を座屈強度とした。この座屈強度は、1960N以上であるものを良好「○」、1960N未満であるものを不良「×」とした。
Figure 0005250078
表1、2に示すように、本発明の必要条件を満たす実施例1〜6においては、板厚が薄肉化されても、ボトル缶の缶寸法精度、ネック成形性、カール成形性および座屈強度のいずれの評価項目も良好なものであった。
しかし、本発明の必要条件を満たさない比較例1〜18においては、板厚が薄肉化されると、缶寸法精度、ネック成形性、カール成形性および座屈強度のうち少なくとも1項目以上が実施例と比較して劣る結果となった。
すなわち、比較例1は、Cuが本発明の下限値未満であるため、熱処理後の0.2%耐力が270N/mm2未満となり、座屈強度が劣るものであった。比較例2は、Cuが本発明の上限値を超えるため、熱処理後の0.2%耐力が290N/mm2を超え、ネック成形性、カール成形性が劣るものであった。
比較例3は、Mgが本発明の下限値未満であるため、熱処理後の0.2%耐力が270N/mm2未満となり、座屈強度が劣るものであった。比較例4は、Mgが本発明の上限値を超えるため、熱処理後の0.2%耐力が290N/mm2を超え、かつ、{5.66×Mn(質量%)+0.667×Mg(質量%)+2.17×Fe(質量%)}も本発明の上限値を超えるため、ネック成形性、カール成形性が劣るものであった。
比較例5は、Mnが本発明の下限値未満であるため、熱処理後の0.2%耐力が270N/mm2未満となり、かつ、{5.66×Mn(質量%)+0.667×Mg(質量%)+2.17×Fe(質量%)}も本発明の下限値未満であるため、ネック成形性、カール成形性および座屈強度が劣るものであった。比較例6は、Mn、{5.66×Mn(質量%)+0.667×Mg(質量%)+2.17×Fe(質量%)}が本発明の上限値を超えるため、ネック成形性、カール成形性が劣るものであった。
比較例7は、Feが本発明の下限値未満であるため、耳率が範囲外となり、缶寸法精度が劣るものであった。比較例8は、Fe、{5.66×Mn(質量%)+0.667×Mg(質量%)+2.17×Fe(質量%)}が本発明の上限値を超えるため、ネック成形性、カール成形性が劣るものであった。
比較例9は、Siが本発明の下限値未満であるため、耳率が範囲外となり、缶寸法精度が劣るものであった。比較例10は、Siが本発明の上限値を超えるため、耳率が範囲外となり、缶寸法精度が劣るものであった。
比較例11は、{5.66×Mn(質量%)+0.667×Mg(質量%)+2.17×Fe(質量%)}が本発明の下限値未満であるため、ネック成形性、カール成形性が劣るものであった。比較例12は、{5.66×Mn(質量%)+0.667×Mg(質量%)+2.17×Fe(質量%)}が本発明の上限値を超えるため、ネック成形性、カール成形性が劣るものであった。
比較例13〜比較例18は、化学成分については本発明で規制した範囲を満足する。
しかしながら、比較例13は、冷間圧延時の巻き取り温度が本発明の下限値未満であるため、伸びが本発明の下限値未満となり、ネック成形性およびカール成形性が劣るものであった。比較例14は、冷間圧延時の巻き取り温度が本発明の上限値を超えるため、伸びが本発明の上限値を超え、カール成形性が劣るものであった。
比較例15は、冷間圧延時の冷間加工率が本発明の下限値未満であるため、結晶粒の平均アスペクト比が本発明の下限値未満となり、耳率が範囲外となり、缶寸法精度が劣るものであった。比較例16は、冷間圧延時の冷間加工率が本発明の上限値を超えるため、耳率が範囲外となり、缶寸法精度が劣るものであった。
比較例17は、均質化熱処理温度が本発明の下限値未満であるため、耳率が範囲外となり、缶寸法精度、ネック成形性およびカール成形性が劣るものであった。比較例18は、熱間圧延時の巻き取り温度が本発明の下限値未満であるため、耳率が範囲外となり、缶寸法精度、ネック成形性およびカール成形性が劣るものであった。
1 2ピースボトル缶
2 胴体部
3 ネック部
4 口部
5 ネジ部
6 底部
7 カール部
8 天面部

Claims (1)

  1. Cuを0.10〜0.40質量%、Mgを1.38〜2.00質量%、Mnを0.50〜1.00質量%、Feを0.40〜0.80質量%、Siを0.10〜0.40質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成され、前記Mn、MgおよびFeの含有量が、5.450<{5.66×Mn(質量%)+0.667×Mg(質量%)+2.17×Fe(質量%)}<7.550の関係を満足するアルミニウム合金板であって、
    前記アルミニウム合金板の伸びが5.0〜8.0%、かつ、結晶粒の平均アスペクト比が3.0以上であり、
    前記アルミニウム合金板の210℃で10分の熱処理を施した後の0.2%耐力が270N/mmを超え290N/mm以下であり、
    前記アルミニウム合金板から外径66mmのブランクを打ち抜き、前記ブランクに対してカッピングを施してカップ径40mmの絞りカップを作製した際に、前記絞りカップのカップ高さから算出した耳率が−2〜+3.5%であることを特徴とするボトル缶用アルミニウム合金板。
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