以下、図1及び図2を用いて、本発明の第1の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。図2は、本発明の第1の実施形態による物理量センサにおけるアクティブ診断許可動作を示すフローチャートである。
本実施形態の物理量センサは、角速度に応じて変位を生じる可動部1を含む角速度検出回路100と、角速度検出回路100により検出した角速度情報を上位システムに伝送する伝送回路101と、上位システムからの通信コマンドを受信する受信回路102と、受信回路102が受信した通信コマンドに基づいてアクティブ診断を実施するアクティブ診断回路200とにより構成される。ここで、上位システムとは、例えば、エンジン制御やトラクションコントロールを司るECU(Electronic Control Unit)である。
角速度検出回路100の可動部1は、外部からの角速度に応じて変位を生じる。可動部1には、可動電極2aが固定されている。固定電極2bは、可動電極2aに対向して配置されている。可動電極2aと固定電極2bとにより、検出電極2が構成される。CV変換器3は、検出電極2の容量変化を電圧信号に変換する。AD変換器4は、CV変換器3から出力された電圧信号をデジタル信号に変換する。
同期検波回路5と積分器6と変調回路7とにより、自己振動サーボ制御回路が構成される。自己振動サーボ制御回路は、AD変換器4の出力のデジタル信号から可動部1の変位を検出し、この変位をゼロとする様な制御を行う。また、同期検波回路11と積分器12と変調回路13とにより、コリオリサーボ制御回路が構成される。
加算器8は、自己振動サーボ制御回路及びコリオリサーボ制御回路の出力を加算してサーボ信号を生成する。DA変換器9は、加算器8から出力されたサーボ信号をサーボ電圧に再変換する。DA変換器9から出力されたサーボ電圧は、固定電極10b及び可動電極10aから成るサーボ電極10を介して、可動部1に印加される。なお、サーボ電極10は、固定電極10bと、固定電極10bに対向して配置され、可動部1に固定された可変電極10aにより構成される。
なお、可動部1は、角速度を検出するために、検出軸(図中のY軸)に対して垂直方向(駆動軸方向:図中のX軸方向)に所定周波数及び所定振幅で駆動振動させており、角速度が可動部1に印加されるとコリオリ力により可動部1が検出軸方向に外力を受ける。そのため可動部1は、検出軸と駆動軸の2軸方向に変位可能に弾性的に支持されている。また、検出電極2及びサーボ電極10は検出軸方向に対して平行に配置されている。
自己振動サーボ制御回路の同期検波回路5は、AD変換器4から出力されたデジタル信号を可動部1の駆動振動と同じ位相Φ1の検波信号(以後、Φ1)により同期検波する。積分器6は、同期検波回路5の出力を積分する。変調回路7は、積分器6の出力を可動部1の駆動振動に対し90°遅れた位相Φ3の変調信号(Φ3)により周波数変調を行う。
また、コリオリサーボ制御回路の同期検波回路11は、AD変換器4から出力されたデジタル信号を可動部1の駆動振動に対し90°遅れた位相Φ2を持つ検波信号(Φ2)により同期検波する。積分器12は、同期検波回路11の出力を積分する。変調回路13は、積分器12の出力を可動部1の駆動振動と同じ位相Φ4の変調信号(以後、Φ4)により周波数変調を行う。
次に、アクティブ診断回路200は、第1判定回路201と、第2判定回路202と、アクティブ診断実施回路203とを備えている。第1判定回路201は、受信回路102により受信した上位システムからの通信コマンドが物理量センサの制御に関するコマンドか否かを判定する。第2判定回路202は、通信コマンドがアクティブ診断を許可又は禁止するコマンドか否かを判定する。アクティブ診断実施回路203は、第1判定回路及び第2判定回路の出力に基づいて、診断用の変位を角速度検出回路100に入力する。角速度検出回路100には、加算器204,205が備えられており、診断用変位を角速度検出回路100の積分器6,12の出力にそれぞれ加算する。
次に、本実施形態の物理量センサの動作について説明する。
角速度検出回路100において、駆動振動している可動部1に角速度か印加した際に発生するコリオリ力により可動部1が変位する。可動部1の変位に応じて、検出電極2の静電容量が変化する。自己振動サーボ制御回路及びコリオリサーボ制御回路は、この静電容量の変化を打ち消すためのサーボ電圧を生成し、サーボ電極10により可動部1に印加することで、サーボ制御を行っている。
自己振動サーボ制御回路の同期検波回路5は、AD変換器4から出力されたデジタル信号をΦ1を用いて同期検波を行い、自己振動による可動部1の変位(エラー変位)を検出する。積分器6は、エラー変位を積分演算することで、エラー変位を打ち消す自己振動サーボ量を求める。次に、変調回路7は、変調信号Φ3を用いて周波数変調を行い、可動部1に印加する自己振動サーボ信号を生成する。
コリオリサーボ制御回路の同期検波回路11は、AD変換器4から出力されたデジタル信号をΦ2を用いて同期検波を行い、コリオリ力による可動部1の変位(コリオリ変位)を検出する。積分器12は、コリオリ変位を積分演算することでコリオリ変位を打ち消すコリオリサーボ量を求める。次に、変調回路13は、変調信号Φ4を用いて周波数変調を行い、可動部1に印加するコリオリサーボ信号を生成する。
この自己振動サーボ制御及びコリオリサーボ制御を行っている状態において、コリオリサーボ量を伝送回路101に入力することで、物理量センサは角速度情報を上位システムに伝送することができる。
次に、アクティブ診断回路200の第1判定回路201と第2判定回路202は、受信回路102により受信した通信コマンドに対して、アクティブ診断を実施するか否かを判断する。第1判定回路及び第2判定回路の出力がアクティブ診断許可を示す出力である場合に、アクティブ診断実施回路203は、診断用の変位量を角速度検出回路100に出力する。次に、診断用の変位量を加算器204,205を用いて積分器6,12の出力に加算し、コリオリサーボ量と共にAD変換器9、サーボ電極10を介して可動部1に印加する。
これにより、可動部1には、コリオリ力による変位に診断用の変位を乗じた変位が発生する。この診断用の変位は、コリオリ変位の増加分として、同期検波回路11により検出される。次に、診断用の変位であるコリオリ変位の増加分をゼロにするためのサーボ制御により、診断用の変位は、コリオリサーボ量の増加分として積分器12により出力され、AD変換器9、サーボ電極10を介して可動部1にサーボ力が印加される。
伝送回路101は、診断用の変位を反映したコリオリ変位又はコリオリサーボ量を上位システムに伝送し、コリオリ変位又はコリオリサーボ量の増加分が所定の量であるか否かを上位システムが監視することで物理量センサのアクティブ診断を実現している。
次に、図2を用いて、第1判定回路201と第2判定回路202による、アクティブ診断を許可するに至るまでの処理内容について説明する。
ステップS100において、上位システムから受信回路102を介して第2判定回路202に通信コマンド(第1通信コマンド)が入力すると、ステップS105において、第2判定回路202は、予め第2判定回路202に記憶している通信コマンド群と照し合せて、第1通信コマンドが物理量センサの制御に関するコマンドか否かを判定する。
第1通信コマンドが物理量センサの制御用コマンドであった場合には、ステップS110において、第2判定回路202は、第1通信コマンドがアクティブ診断制御用のコマンドであるか否かを判定する。
次に、第1通信コマンドがアクティブ診断制御用コマンドであった場合には、ステップS115において、第2判定回路202は、第1通信コマンドがアクティブ診断を許可又は禁止するコマンドであるか否かを判定する。
次に、第1通信コマンドがアクティブ診断を許可するコマンドであった場合には、ステップS120において、第2判定回路202は、その出力をアクティブ診断許可モードにする。一方、第1通信コマンドがアクティブ診断を禁止するコマンドであった場合には、ステップS125において、第2判定回路202は、その出力をアクティブ診断禁止モードの状態に保持している。
次に、ステップS125において、上位システムから受信回路102を介して第1判定回路201に通信コマンド(第2通信コマンド)が入力すると、ステップS130において、第1判定回路201は、第2通信コマンドが物理量センサの制御に関するコマンドか否かを判定し、次に、ステップS135において、アクティブ診断制御用のコマンドであるか否かを判定する。
次に、ステップS140において、アクティブ診断実施回路203は、第2判定回路202の出力がアクティブ診断許可モードであるか否かを判定する。
第2通信コマンドがアクティブ診断制御用のコマンドであり、且つ第2判定回路202の出力がアクティブ診断許可モードであった場合に、ステップS145において、アクティブ診断実施回路203は、アクティブ診断を実施する。
ステップS110で第1通信コマンドがアクティ診断用コマンドでないと判定された場合、また、ステップS135で第2通信コマンドがアクティブ診断用コマンドでないと判定された場合は、ステップS150において、通常動作を継続する。
例えば、あるタイミングで、受信回路102に、第1通信コマンド(アクティブ診断を許可又は禁止するコマンド)が入力し、その後のタイミングで、受信回路102に、第2通信コマンド(可動部に診断用の変位量を与えるアクティブ診断用コマンド)が入力した場合について説明する。あるタイミングで、第1の受信コマンドが入力すると、第2判定回路202は、ステップS100〜S120の処理により、その出力をアクティブ診断許可モードにして、アクティブ診断実施回路203に出力する。その後のタイミングで、第2の通信コマンドが入力すると、第1判定回路201は、ステップS130〜S135の処理により、可動部に診断用の変位量を与える出力を、アクティブ診断実施回路203に出力する。そして、ステップS140で、このときの第2判定回路202の出力がアクティブ診断許可モードであるかどうかを判定するわけであるが、このときは前述のように第1通信コマンドにより、第2判定回路202の出力がアクティブ診断許可モードとなっているので、アクティブ診断実施回路203は、第1判定回路201が出力するアクティブ診断用コマンド(可動部に診断用の変位量を与えるアクティブ診断用コマンド)に応じて、可動部に診断用の変位量を各速度検出回路100に出力することで、アクティブ診断を実施する。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、第1通信コマンド及び第2通信コマンドの内容に基づいて第1判定回路201及び第2判定回路202がアクティブ診断の許可をするため、ノイズ干渉等による通信コマンドの変化や上位システム不良による通信コマンドの誤送信の際にアクティブ診断を禁止することが可能となる。
第2に、第1通信コマンド及び第2通信コマンドの内容に基づいて第2判定回路202がアクティブ診断実施の許可を行うことにより、外部端子の数を変更すること無くアクティブ診断の動作信頼性を格段に向上させることが可能となる。
第3に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を制御することにより、アクティブ診断内容の多項目化も容易に可能となるため、回路の追加をせずに状況に応じた上位システムのアクティブ診断内容の変更を実現することが可能となる。例えば可動部1の駆動振動の制御を行う駆動制御回路と角速度検出回路等個別の回路毎に診断を行うことが可能となる。また、診断用の変位量を、通信コマンドを用いて変更することによって可動部1の感度診断を行うことが可能になり、可動部1の感度変化を用いた故障予測が可能となる。
第4に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を高信頼に制御可能となることにより、アクティブ診断制御対象が複数になった際の個別のアクティブ診断制御も容易に実現することが可能となる。
次に、図3及び図4を用いて、本発明の第2の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図3において、図1と同一符号は、同一部分を示している。図4は、本発明の第2の実施形態による物理量センサにおけるアクティブ診断許可動作を示すフローチャートである。
本実施形態の物理量センサにおいて、アクティブ診断回路200Aは、図1におけるアクティブ診断回路200の第2判定回路202の代わりに、上位システムからアクティブ診断を許可するためのHレベルとLレベルの2値を取り得る許可信号(DIAG信号)を入力する端子と、DIAG信号のレベルからアクティブ診断を実施するか否かを判定する第2判定回路206を備えている。
コマンド信号CMD及びDIAG信号は、いずれも、エンジン制御やトラクションコントロールを司るECU(Electronic Control Unit)のような上位システムから出力される。
なお、図3における角速度検出回路100、伝送回路101、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。
次に、本実施形態におけるアクティブ診断回路200Aの動作について説明する。
次に、ステップS125において、上位システムから受信回路102を介して第1判定回路201に通信コマンド(第2通信コマンド)が入力すると、ステップS130において、第1判定回路201は、第2通信コマンドが物理量センサの制御に関するコマンドか否かを判定し、次に、ステップS135において、アクティブ診断制御用のコマンドであるか否かを判定する。
次に、ステップS160において、第2判定回路202は、DIAG信号のレベルを判定する。DIAG信号がHレベルの状態であれば、ステップS120において、第2判定回路206は、その出力をアクティブ診断許可モードにする。そして、ステップS145において、アクティブ診断実施回路203はアクティブ診断を実施する。
一方、DIAG信号がLレベルであれば、ステップS165において、第2判定回路206は、その出力をアクティブ診断禁止モードにする。そして、ステップS150において、通常動作を継続する。
なお、本実施形態では、DIAG信号にレベル信号を用いた実施例を記載しているが、このDIAG信号に所定周波数のパルス信号を用いても良い。DIAG信号にパルス信号を用いた場合、第2判定回路206はパルス信号が所定の周波数を有しているか否かを判定する。DIAG信号が所定の周波数を有していた場合は、第2判定回路206の出力をアクティブ診断許可モードにする。一方、DIAG信号が所定の周波数を有していなかった場合、第2判定回路206の出力をアクティブ診断禁止モードにする。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、通信コマンドの内容及びDIAG信号の信号レベルに基づいて、第1判定回路201及び第2判定回路206がアクティブ診断実施の許可を行うことにより、ノイズ干渉等による通信コマンドの変化や上位システム不良による通信コマンドの誤送信の際にも、誤診断をすることを抑制することができる。
第2に、DIAG信号にパルス信号を用いた場合、第2判定回路206はDIAG信号の周波数に基づいてアクティブ診断許可に関する判定を行うことにより、DIAG信号経路の断線時にもアクティブ診断を禁止するため、高信頼なアクティブ診断を実現することが可能となる。
第3に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を制御することにより、アクティブ診断内容の多項目化も容易に可能となるため、回路の追加をせずに状況に応じた上位システムのアクティブ診断内容の変更を実現することが可能となる。例えば可動部1の駆動振動の制御を行う駆動制御回路と角速度検出回路等個別の回路毎に診断を行うことが可能となる。また、診断用の変位量を、通信コマンドを用いて変更することによって可動部1の感度診断を行うことが可能になり、可動部1の感度変化を用いた故障予測が可能となる。
第4に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を高信頼に制御可能となることにより、アクティブ診断制御対象が複数になった際の個別のアクティブ診断制御も容易に実現することが可能となる。
次に、図5を用いて、本発明の第3の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図5において、図1及び図3と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の物理量センサにおいて、アクティブ診断回路200Bは、図3の実施形態のアクティブ診断回路200Aにおける第2判定回路206の代わりに、物理量センサ自体の速度に応じてアクティブ診断を実施するか否かを判定する第2判定回路206bを備える。第2判定回路206bには、物理量センサ自体の速度を検出する速度センサ207aによって検出された速度信号が入力する。
なお、図5における角速度検出回路100、伝送回路101、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。
次に,本実施形態のアクティブ診断回路200Bの動作について説明する。
速度センサ207aは、物理量センサ自体の速度を検出する。第2判定回路206bは、物理量センサ自体の速度がゼロであれば、その出力をアクティブ診断許可モードにする。一方、物理量センサ自体の速度がゼロでなければ、その出力をアクティブ診断禁止モードにする。
これに伴い、上位システムから受信回路102を介して第1判定回路201に通信コマンドが入力すると、まず第1判定回路201は予め第1判定回路201に記憶している通信コマンド群と照し合せて、通信コマンドが物理量センサの制御に関するコマンドか否かを判定する。次に、アクティブ診断制御用のコマンドであるか否かを判定する。次に、通信コマンドがアクティブ診断制御用のコマンドであった場合、第2判定回路206bの出力がアクティブ診断許可モードであれば、アクティブ診断実施回路203はアクティブ診断を実施する。
なお、本実施形態において第2判定回路206bは自動車に搭載している車速センサからの車速に応じた車速パルス信号を入力しても良い。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、物理量センサに生じる速度がゼロの時にのみアクティブ診断を行うことにより、物理量センサを搭載する車両や航空機等の移動体が停止している時にのみアクティブ診断を実施するため、移動体が運動している際にアクティブ診断を実施することを禁止することが可能となる。
第2に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を制御することにより、アクティブ診断内容の多項目化も容易に可能となるため、回路の追加をせずに状況に応じた上位システムのアクティブ診断内容の変更を実現することが可能となる。例えば可動部1の駆動振動の制御を行う駆動制御回路と角速度検出回路等個別の回路毎に診断を行うことが可能となる。また、診断用の変位量を、通信コマンドを用いて変更することによって可動部1の感度診断を行うことが可能になり、可動部1の感度変化を用いた故障予測が可能となる。
第3に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を高信頼に制御可能となることにより、アクティブ診断制御対象が複数になった際の個別のアクティブ診断制御も容易に実現することが可能となる。
次に、図6を用いて、本発明の第4の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図6は、本発明の第4の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図6において、図1及び図3と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の物理量センサにおいて、アクティブ診断回路200Cは、図3の実施形態のアクティブ診断回路200Aにおける第2判定回路206の代わりに、物理量センサ自体の加速度に応じてアクティブ診断を実施するか否かを判定する第2判定回路206cを備える。第2判定回路206cには、物理量センサに生じる加速度を検出する加速度センサ207cによって検出された加速度信号が入力する。
なお、図6における角速度検出回路100、伝送回路101、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。
次に,本実施形態のアクティブ診断回路200Cの動作について説明する。
加速度センサ207cは、物理量センサ自体の加速度を検出する。第2判定回路206cは、物理量センサ自体の加速度がゼロであれば、その出力をアクティブ診断許可モードにする。一方、物理量センサ自体の加速度がゼロでなければ、第2判定回路206cは、その出力をアクティブ診断禁止モードにする。
これに伴い、上位システムから受信回路102を介して第1判定回路201に通信コマンドが入力すると、まず第1判定回路201は予め第1判定回路201に記憶している通信コマンド群と照し合せて、通信コマンドが物理量センサの制御に関するコマンドか否かを判定する。次に、アクティブ診断制御用のコマンドであるか否かを判定する。次に、通信コマンドがアクティブ診断制御用のコマンドであった場合、第2判定回路206cの出力がアクティブ診断許可モードであれば、アクティブ診断実施回路203はアクティブ診断を実施する。
なお、本実施形態において、加速度センサ207cは、物理量センサを複数の角速度センサ及び加速度センサが構成する場合、物理量センサを構成する加速度センサを用いることとしても良い。その場合、アクティブ診断対象の加速度センサを加速度センサ207cとして用いてはならない。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、物理量センサに生じる加速度がゼロの時にのみアクティブ診断を行うことにより、物理量センサを搭載する車両や航空機等の移動体に加速度が生じていない時にのみアクティブ診断を実施するため、診断用の変位をより正確に可動部1に印加することができ、高精度なアクティブ診断を実現することが可能となる。
第2に、第3の実施形態における速度センサ207aの出力も利用することにより、速度がゼロで加速度がゼロでない場合などは、物理量センサが傾斜していることを検出することができるため、傾斜量を補正して高精度なアクティブ診断を行うことが可能となる。
第3に、物理量センサ内の加速度センサを加速度センサ207cとして用いる場合、アクティブ診断制御は上位システムと加速度センサ207cを用いて行うため、双方が正常な場合にのみアクティブ診断が実施され、高信頼なアクティブ診断を実現することが可能となる。
第4に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を制御することにより、アクティブ診断内容の多項目化も容易に可能となるため、回路の追加をせずに状況に応じた上位システムのアクティブ診断内容の変更を実現することが可能となる。例えば可動部1の駆動振動の制御を行う駆動制御回路と角速度検出回路等個別の回路毎に診断を行うことが可能となる。また、診断用の変位量を、通信コマンドを用いて変更することによって可動部1の感度診断を行うことが可能になり、可動部1の感度変化を用いた故障予測が可能となる。
第5に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を高信頼に制御可能となることにより、アクティブ診断制御対象が複数になった際の個別のアクティブ診断制御も容易に実現することが可能となる。
次に、図7を用いて、本発明の第5の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図7は、本発明の第5の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図7において、図1及び図3と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の物理量センサにおいて、アクティブ診断回路200Dは、図3の実施形態のアクティブ診断回路200Aにおける第2判定回路206の代わりに、物理量センサ自体の角速度に応じてアクティブ診断を実施するか否かを判定する第2判定回路206dを備える。第2判定回路206dには、物理量センサに生じる角速度を検出する加速度センサ207dによって検出された角速度信号が入力する。
なお、図7における角速度検出回路100、伝送回路101、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。
次に、本実施形態におけるアクティブ診断回路200Dの動作について説明する。
角速度センサ207dは、物理量センサ自体の角速度を検出し、物理量センサ自体の角速度がゼロであれば、第2判定回路206dの出力をアクティブ診断許可モードにする。一方、物理量センサ自体の加速度がゼロでなければ、第2判定回路206dの出力をアクティブ診断禁止モードにする。
これに伴い、上位システムから受信回路102を介して第1判定回路201に通信コマンドが入力すると、まず第1判定回路201は予め第1判定回路201に記憶している通信コマンド群と照し合せて、通信コマンドが物理量センサの制御に関するコマンドか否かを判定する。次に、アクティブ診断制御用のコマンドであるか否かを判定する。次に、通信コマンドがアクティブ診断制御用のコマンドであった場合、第2判定回路206dの出力がアクティブ診断許可モードであれば、アクティブ診断実施回路203はアクティブ診断を実施する。
なお、本実施形態において、角速度センサ207dは、物理量センサを複数の角速度センサ及び加速度センサが構成する場合、物理量センサを構成する角速度センサを用いることとしても良い。その場合、アクティブ診断対象の角速度センサを角速度センサ207dとして用いてはならない。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、物理量センサに生じる角速度がゼロの時にのみアクティブ診断を行うことにより、物理量センサを搭載する車両や航空機等の移動体に角速度が生じていない時にのみアクティブ診断を実施するため、診断用の変位をより正確に可動部1に印加することができ、高精度なアクティブ診断を実現することが可能となる。
第2に、物理量センサ内の角速度センサを角速度センサ207dとして用いる場合、アクティブ診断制御は上位システムと角速度センサ207dを用いて行うため、双方が正常な場合にのみアクティブ診断が実施され、高信頼なアクティブ診断を実現することが可能となる。
第3に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を制御することにより、アクティブ診断内容の多項目化も容易に可能となるため、回路の追加をせずに状況に応じた上位システムのアクティブ診断内容の変更を実現することが可能となる。例えば可動部1の駆動振動の制御を行う駆動制御回路と角速度検出回路等個別の回路毎に診断を行うことが可能となる。また、診断用の変位量を、通信コマンドを用いて変更することによって可動部1の感度診断を行うことが可能になり、可動部1の感度変化を用いた故障予測が可能となる。
第4に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を高信頼に制御可能となることにより、アクティブ診断制御対象が複数になった際の個別のアクティブ診断制御も容易に実現することが可能となる。
次に、図8を用いて、本発明の第6の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図8は、本発明の第6の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図8において、図1及び図3と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の物理量センサにおいて、アクティブ診断回路200Eは、図3の実施形態のアクティブ診断回路200Aにおける第2判定回路206の代わりに、物理量センサへの電源投入時からの経過時間に応じてアクティブ診断を実施するか否かを判定する第2判定回路206eを備える。第2判定回路206eには、時間計測器207eによって計測された物理量センサへの電源投入時からの経過時間が入力する。
なお、図8における角速度検出回路100、伝送回路101、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。
次に、本実施形態におけるアクティブ診断回路200Eの動作について説明する。
時間計測器207eは、物理量センサへ電源が投入された時からの経過時間を計測し、経過時間が所定の時間内であれば、第2判定回路206eの出力をアクティブ診断許可モードにする。一方、経過時間が所定の時間よりも長ければ、第2判定回路206eの出力をアクティブ診断禁止モードにする。
これに伴い、上位システムから受信回路102を介して第1判定回路201に通信コマンドが入力すると、まず第1判定回路201は予め第1判定回路201に記憶している通信コマンド群と照し合せて、通信コマンドが物理量センサの制御に関するコマンドか否かを判定する。次に、アクティブ診断制御用のコマンドであるか否かを判定する。次に、通信コマンドがアクティブ診断制御用のコマンドであった場合、第2判定回路206eの出力がアクティブ診断許可モードであれば、アクティブ診断実施回路203はアクティブ診断を実施する。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、車載用物理量センサの場合、電源投入スイッチと車両のエンジン点火スイッチは通常兼用されているため、所定の経過時間の制限をエンジン点火時から走行開始までの経過時間に対して十分短く且つアクティブ診断を実施するのに十分長い時間に設定することにより、走行中の誤診断を防止することが可能となり、より高信頼なアクティブ診断を実現することが可能となる。
第2に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を制御することにより、アクティブ診断内容の多項目化も容易に可能となるため、回路の追加をせずに状況に応じた上位システムのアクティブ診断内容の変更を実現することが可能となる。例えば可動部1の駆動振動の制御を行う駆動制御回路と角速度検出回路等個別の回路毎に診断を行うことが可能となる。また、診断用の変位量を、通信コマンドを用いて変更することによって可動部1の感度診断を行うことが可能になり、可動部1の感度変化を用いた故障予測が可能となる。
第3に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を高信頼に制御可能となることにより、アクティブ診断制御対象が複数になった際の個別のアクティブ診断制御も容易に実現することが可能となる。
次に、図9を用いて、本発明の第7の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図9は、本発明の第7の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図9において、図1及び図3と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の物理量センサにおいて、アクティブ診断回路200Fは、図3記載した第2の実施例におけるアクティブ診断回路200Aに対して、アクティブ診断実施回路203Fが、第2判定回路202の出力に応じて診断用変位量を角速度検出回路100に入力するか否かを切り替えるスイッチング手段211と、診断用変位量を一時的に記憶しておく記憶手段212とを備える点が異なる。
なお、図9における角速度検出回路100、伝送回路101、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。また、第1判定回路201、第2判定回路202の動作については、図3に示したものと同一の動作を行うものである。
次に、本実施形態におけるアクティブ診断回路200Fの動作について説明する。
アクティブ診断回路200Fにおいて、上位システムから受信回路102を介して第1判定回路201に通信コマンドが入力すると、通信コマンドの内容とDIAG信号に基づいて第1判定回路201及び第2判定回路202がアクティブ診断を実施するか否かを判断し、判断結果がアクティブ診断を許可する結果であれば、通信コマンドをアクティブ診断実施回路203Fに入力する。
次に、アクティブ診断実施回路203Fに通信コマンドが入力した場合、スイッチング手段211は診断用の変位量を可動部1に印加するため、スイッチを切り替えて記憶手段212に記憶している診断用の変位量を後段の角速度検出回路100に入力する。また、アクティブ診断実施回路203に通信コマンドが入力していない状態においては、スイッチング手段211はゼロを角速度検出回路100に入力する。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、記憶手段212に一時的に記憶している診断用の変位量を通信コマンド等を用いて変更することにより、アクティブ診断中の可動部1の変位量を変更することが可能となる。そのため、可動部1の感度変化を検知することが可能となり、より高性能なアクティブ診断を実現することが可能となる。
第2に、スイッチング手段211を設けてアクティブ診断を許可した場合にのみ記憶手段212にスイッチを切り替えることにより、通信コマンド等により記憶手段212に記憶している診断用の変位量を誤って変更しても、スイッチはゼロを角速度検出回路100に入力することになる。そのため、コリオリ変位及びコリオリサーボ量に影響はなく、より高信頼なアクティブ診断を実現することが可能となる。
第3に、通信コマンドの内容及びDIAG信号の信号レベルに基づいて、第1判定回路201及び第2判定回路206がアクティブ診断実施の許可を行うことにより、ノイズ干渉等による通信コマンドの変化や上位システム不良による通信コマンドの誤送信の際にも、誤診断をすることを抑制することができる。
第4に、DIAG信号にパルス信号を用いた場合、第2判定回路206はDIAG信号の周波数に基づいてアクティブ診断許可に関する判定を行うことにより、DIAG信号経路の断線時にもアクティブ診断を禁止するため、高信頼なアクティブ診断を実現することが可能となる。
第5に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を制御することにより、アクティブ診断内容の多項目化も容易に可能となるため、回路の追加をせずに状況に応じた上位システムのアクティブ診断内容の変更を実現することが可能となる。例えば可動部1の駆動振動の制御を行う駆動制御回路と角速度検出回路等個別の回路毎に診断を行うことが可能となる。また、診断用の変位量を、通信コマンドを用いて変更することによって可動部1の感度診断を行うことが可能になり、可動部1の感度変化を用いた故障予測が可能となる。
第6に、通信コマンドの内容に基づいてアクティブ診断を高信頼に制御可能となることにより、アクティブ診断制御対象が複数になった際の個別のアクティブ診断制御も容易に実現することが可能となる。
次に、図10及び図11を用いて、本発明の第8の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図10は、本発明の第8の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図10において、図1,図3及び図9と同一符号は、同一部分を示している。図11は、本発明の第8の実施形態による物理量センサにおける伝送回路の通信フレームの構成図である。
本実施形態の物理量センサの基本的な構成は、図9に示したものと同様である。
さらに、本実施形態の物理量センサでは、伝送回路101Aは、監視情報追加回路301を備えている。監視情報追加回路301は、角速度検出回路100が検出する角速度情報及び監視回路300が出力する監視結果を伝送内容に加える。監視回路300は、可動部1の所定の変位周波数及び変位量を監視するものである。
なお、図10における角速度検出回路100、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。また、アクティブ診断回路200Fの動作については、図9に示したものと同一の動作を行うものである。
次に、本実施形態における伝送回路101Aの動作について説明する。
監視回路300は、駆動振幅等の可動部1の制御量及び可動部1の変位を監視し、監視結果を伝送回路101Aに設けられた監視情報追加回路301に入力する。また、角速度検出回路100がサーボ制御を行っている状態において、コリオリサーボ量を監視情報追加回路301に入力する。
次に、監視情報追加回路301は、コリオリサーボ量(物理量情報)及び入力した監視結果(監視情報)を、図11に示すような所定のフレームに格納し、上位システムに伝送する。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、角速度検出回路100により検出した角速度情報と、可動部1及び角速度検出回路100の監視結果を所定のフレームに格納して上位システムに伝送することにより、上位システムは物理量センサの故障をリアルタイムに検出することが可能となり、物理量センサによる高信頼な角速度検出を実現することが可能となる。
第2に、角速度検出回路100により検出した角速度情報と、可動部1及び角速度検出回路100の監視結果を所定のフレームに格納して上位システムに伝送することにより、物理量センサの外部端子の数を変更すること無く、物理量センサの監視情報を上位システムに伝送することが可能となり、物理量センサによる高信頼な角速度検出を最小限のコストで実現することが可能となる。
第3に、角速度検出回路100により検出した角速度情報と、可動部1及び角速度検出回路100の監視結果を所定のフレームに格納して上位システムに伝送することにより、物理量センサに故障が生じる前後での角速度情報を上位システムが判別可能となり、高精度な角速度検出を実現することが可能となる。
さらに、本実施形態においても、図8に示した第7の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図12及び図13を用いて、本発明の第9の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図12は、本発明の第9の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図12において、図1,図3及び図9と同一符号は、同一部分を示している。図13は、本発明の第9の実施形態による物理量センサにおける伝送回路の通信フレームの構成図である。
本実施形態の物理量センサの基本的な構成は、図9に示したものと同様である。
さらに、本実施形態の物理量センサでは、伝送回路101Bは、監視情報追加回路301と、処理回路302による信号処理結果と角速度検出回路100が検出した角速度とを伝送内容に加える処理結果追加回路303とを備えている。
監視情報追加回路301は、角速度検出回路100が検出する角速度情報及び監視回路300が出力する監視結果を伝送内容に加える。監視回路300は、可動部1の所定の変位周波数及び変位量を監視するものである。
処理回路302は、受信回路102によって受信した通信コマンドに応じた信号処理を行う。例えば、角速度検出回路100の内部のRAMの所定のアドレスには、角速度の最終値や、最終値の一つ前の角速度値が記憶されている。そこで、処理回路302が受信した通信コマンドが、最終値の一つ前の角速度値を読み出す通信コマンドであった場合には、RAMの所定のアドレスから最終値の一つ前の角速度値を読み出して、信号処理結果として、処理結果追加回路303に出力する。処理結果追加回路303は、処理回路302による信号処理結果と角速度検出回路100が検出した角速度とを伝送内容に加える。
なお、図12における角速度検出回路100、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。また、アクティブ診断回路200Fの動作については、図9に示したものと同一の動作を行うものである。
次に、本実施形態における伝送回路101Bの動作について説明する。
処理回路302は、受信回路102によって受信した通信コマンドに応じた信号処理がにより行わう。処理回路302の出力及び角速度検出回路100が検出した角速度情報は、処理結果追加回路303に入力する。処理結果追加回路303は、コリオリサーボ量(物理量情報)と、入力した監視結果(監視情報)と、処理回路302による信号処理結果を、図13に示すような所定のフレームに格納し、上位システムに伝送する。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、角速度検出回路100により検出した角速度情報と、コマンドに応じた信号処理結果を所定のフレームに格納して上位システムに伝送することにより、物理量センサの外部端子の数を変更すること無く、コマンドに応じた信号処理結果を上位システムに伝送することが可能となる。
さらに、本実施形態においても、図8に示した第7の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図14及び図15を用いて、本発明の第10の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図14は、本発明の第10の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図14において、図1,図3及び図9と同一符号は、同一部分を示している。図15は、本発明の第10の実施形態による物理量センサにおける伝送回路の通信フレームの構成図である。
本実施形態の物理量センサの基本的な構成は、図9に示したものと同様である。
さらに、本実施形態の物理量センサでは、伝送回路101Cは、図11に示した伝送回路101Bの構成に加えて、伝送内容に対する誤り検出信号を生成する誤り検出信号生成回路304と、誤り検出信号を伝送内容に加える誤り検出情報追加回路305とを備えている。
なお、図14における角速度検出回路100、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。また、アクティブ診断回路200Fの動作については、図9に示したものと同一の動作を行うものである。
次に、本実施形態における伝送回路101Cの動作について説明する。
伝送回路101Cにおいて、誤り検出情報生成回路304は、伝送内容に対し誤り検出情報を生成し、誤り検出情報追加回路305に入力する。次に、誤り検出情報追加回路305は、コリオリサーボ量(物理量情報)と、入力した監視結果(監視情報)と、処理回路302による信号処理結果とともに、誤り検出情報を、図15に示すような所定のフレームに格納し、上位システムに伝送する。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、伝送内容に対して誤り検出情報を生成することにより、上位システムに伝送する角速度情報がノイズ等の影響を受けて変化した際に、上位システムが角速度情報の不正を検出することが可能となり、高精度な角速度検出を実現することが可能となる。
なお、伝送内容に常時診断結果やコマンドに応じた信号処理結果が含まれている場合も、各々の伝送内容に対して誤り検出情報を生成することにより、上位システムに伝送する情報がノイズ等の影響を受けて変化した際に、上位システムが伝送内容の不正を検出することが可能となり、高信頼な情報の伝達を実現することが可能となる。
さらに、本実施形態においても、図8に示した第7の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図16及び図17を用いて、本発明の第11の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図16は、本発明の第11の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図16において、図1,図3及び図9と同一符号は、同一部分を示している。図17は、本発明の第11の実施形態による物理量センサにおける伝送回路の通信フレームの構成図である。
本実施形態の物理量センサの基本的な構成は、図9に示したものと同様である。
さらに、本実施形態の物理量センサでは、伝送回路101Dは、図14に示した伝送回路101Cの構成において、処理結果追加回路303の代わりに、処理回路302によって出力した信号処理結果を所定のコマンド受信回数分遅延させて伝送内容に追加する処理結果遅延追加回路303Dを備えている。
なお、図16における角速度検出回路100、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。また、アクティブ診断回路200Fの動作については、図9に示したものと同一の動作を行うものである。
次に、本実施形態における伝送回路101Dの動作について説明する。
処理回路302は、受信回路102により受信したコマンドに応じた信号処理を行う。処理結果追加回路306には、処理回路302の出力及び角速度検出回路100が検出した角速度情報が入力する。処理結果追加回路306は、入力した角速度情報と、所定のコマンド受信回数分前に受信したコマンドに応じた信号処理結果を、図17のDOUTに示すような所定のフレームに格納し上位システムに伝送する。その結果、通信コマンドに対する信号処理結果は、図17に示すように、所定のコマンド受信回数分だけ遅延して上位システムに伝送される。
なお、上述のような遅延処理を行わない場合は、図17のDOUT’に示すような通信フレームとなる。処理回路302が実行する処理内容によっては、処理結果がでるまで所定の時間がかかる場合がある。すなわち、処理コマンドに応じて処理を開始してから、実際に処理結果が得られるまで、所定の時間遅れがある。そのため、図17のDOUT’に示すように、処理コマンドCMD1に対応して、その信号処理結果を出力しようとすると、図示するような待機時間が必要となる。
それに対して、以上説明した本実施形態によれば、第1に、通信コマンドに応じた信号処理結果を所定のコマンド受信回数分遅らせて上位システムに伝送することにより、コマンド受信時から信号処理結果を上位システムに伝送するまでの待機時間を短縮することが可能となり、高速な伝送を行うことが可能となる。
さらに、本実施形態においても、図10に示した第9の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図18及び図19を用いて、本発明の第12の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図18は、本発明の第12の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図18において、図1,図3及び図9と同一符号は、同一部分を示している。図19は、本発明の第12の実施形態による物理量センサにおける伝送回路の通信フレームの構成図である。
本実施形態の物理量センサの基本的な構成は、図9に示したものと同様である。
さらに、本実施形態の物理量センサでは、伝送回路101Eは、図9に示した伝送回路101において、アクティブ診断の完了を表す情報を伝送内容に追加する診断状況追加回路307を備えている。
なお、図18における角速度検出回路100、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。また、アクティブ診断回路200Fの動作については、図9に示したものと同一の動作を行うものである。
次に、本実施形態における伝送回路101Eの動作について説明する。
診断状況追加回路307には、第2判定回路206の出力を入力する。診断状況追加回路307は、第2判定回路206の出力がアクティブ診断許可モードからアクティブ診断禁止モードに切り替わった際に、アクティブ診断が完了したことを表す情報を伝送内容に追加する。
なお、アクティブ診断が完了したことを表す情報は、物理量情報と同じタイミングで上位システムに伝送されるのであれば、伝送内容のどこに追加しても良い。具体的には通信物理量情報の下位ビットに付加しても良いし、図10の実施形態における監視結果に付加しても良い。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、アクティブ診断が完了した際に、伝送内容にアクティブ診断完了を表す信号を追加することにより、上位システムに伝送した角速度情報がアクティブ診断中のものであるか否かを判別可能にするので、より高精度なアクティブ診断を実現することを可能とする。
さらに、本実施形態においても、図8に示した第7の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図20を用いて、本発明の第13の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図20は、本発明の第13の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図20において、図1,図3及び図10と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の物理量センサは、駆動制御回路103と、伝送回路101Aと、受信回路102と、アクティブ診断回路200Fと、監視回路300Aとを備えている。駆動制御回路103は、角速度を検出するための駆動振動を行う可動部1を含んでいる。駆動制御回路103は、角速度を検出するために、可動部1を、検出軸(図中のY軸)に対して垂直方向(駆動軸方向:図中のX軸方向)に所定周波数及び所定振幅で駆動振動させる。
伝送回路101Aは、物理量センサによって検出した角速度情報を上位システムに伝送する。受信回路102は、ECU等の上位システムからの通信コマンドを受信する。アクティブ診断回路200は、受信回路102が受信した通信コマンドに基づいてアクティブ診断を実施する。監視回路300Aは、物理量センサの状態を監視する。
駆動制御回路103の可動部1は、外部からの角速度に応じて変位を生じる。可動部1には、可動部1の駆動軸方向に対し平行に固定された可動電極と、この可動電極に対向して配置された固定電極とから構成される駆動モニタ電極14が備えられている。また、可動部1には、可動部1の駆動軸方向に対し平行に固定された可動電極と、この可動電極に対向して配置され、駆動電圧が印加される固定電極とから構成される駆動電極22が備えられている。
CV変換器14は、駆動モニタ電極14の容量変化を電圧信号に変換する。AD変換器15は、CV変換器14から出力された電圧信号をデジタル信号に変換する。
同期検波回路17と積分器18と発振器(OSC)19とにより、周波数制御回路(AFC)が構成される。周波数制御回路(AFC)は、デジタル信号から可動部1の変位を検出しこの変位周波数を所定の周波数に維持する様な制御を行う。また、同期検波回路23と積分器2419とにより、振幅制御回路(AGC)が構成される。振幅制御回路(AGC)は、変位振幅を所定の振幅に維持するように制御する。
変調器20は、周波数制御回路(AFC)及び振幅制御回路(AGC)の出力に基づいて駆動信号を生成する。DA変換器21は、変調器20から出力された駆動信号を駆動電圧に再変換し、駆動電極22に印加する。
ここで、周波数制御回路(AFC)の同期検波回路17は、AD変換器16から出力されたデジタル信号を可動部1の駆動振動と同じ位相Φ5の検波信号(Φ5)により同期検波する。積分器18は、同期検波回路17の出力を積分する。発振器(OSC)19は、積分器18の出力に応じた周波数を生成する。
また、振幅制御回路(AGC)の同期検波回路23は、AD変換器16から出力されたデジタル信号を可動部1の駆動振動に対し90°遅れた位相Φ6を持つ検波信号(Φ6)により同期検波する。積分器24は、同期検波回路23の出力を積分する。
次に、アクティブ診断回路200Fは、図9と同様に、第1判定回路201と、第2判定回路202と、アクティブ診断実施回路203とから構成される。アクティブ診断実施回路203の出力である診断用の変位は、加算器213,214により、積分器18,24の出力に加算される。
監視回路300Aは、周波数監視手段308と、指示量監視手段309と、変位監視手段310とを備えている。周波数監視手段308は、可動部1の駆動周波数を監視し、駆動周波数が所定の範囲を逸脱した際に駆動周波数の異常状態を表す信号を出力する。指示量監視手段309は、可動部1の駆動振幅指示量を監視し、駆動振幅指示量が所定の範囲を逸脱した際に駆動振幅指示量の異常状態を表す信号を出力する。変位監視手段310は、可動部1の駆動変位を監視し、駆動変位が所定の範囲を逸脱した際に駆動変位の異常状態を表す信号を出力する。
次に、本実施形態における物理量センサの動作について説明する。
角速度検出回路103は、可動部1に角速度を検出するための駆動振動を発生する駆動力により可動部1が変位すると、可動部1の駆動変位に応じて駆動モニタ電極14の静電容量が変化し、この駆動周波数及び駆動振幅を所定の範囲に維持するための駆動電圧を生成する。そして、この駆動電圧が、駆動電極22により可動部1に印加することでサーボ制御を行っている。
周波数制御回路(AFC)では、AD変換器16から出力されたデジタル信号を検波信号Φ5を用いて同期検波回路17により同期検波を行い駆動振動による可動部1の駆動周波数を検出する。積分器18は、この駆動周波数を積分演算することで、駆動周波数の変動を打ち消す駆動周波数調整量を求める。OSC19は、積分器18の出力に応じた周波数信号を出力し、駆動周波数と同じ周波数を有するパルス信号を生成する。
振幅制御回路(AGC)では、AD変換器16から出力されたデジタル信号をΦ6を用いて同期検波回路23により同期検波を行い駆動振動による可動部1の駆動変位を検出する。積分器24は、この駆動変位を積分演算することで駆動振幅の変動を打ち消す駆動振幅調整量を求める。
なお、変調器20は、周波数制御回路(AFC)及び振幅制御回路(AGC)により生成されたパルス信号と駆動振幅調整量を変調することにより、駆動信号を生成している。
次に、アクティブ診断回路200Fにおいて、第1判定回路201と第2判定回路202は、受信回路102により受信した通信コマンドを用いてアクティブ診断を実施するか否かを判断する。第1判定回路及び第2判定回路の出力がアクティブ診断許可を示す出力である場合には、アクティブ診断実施回路203が、診断用の変位量を駆動制御回路103に出力する。
なお、駆動制御回路103に入力された診断用の変位量は、加算器215を用いて積分器18の出力に加算し、OSC19を用いてパルス信号に変換して可動部1に印加する。この診断用の変位は、駆動周波数の変化分として同期検波回路17により検出する。また、診断用の変位は、診断用の変位をゼロにするための駆動周波数調整量の変化分として積分器18により出力する。
なお、診断用の変位量が加算器216を用いて積分器24の出力に加算された場合は、駆動変位の変化分として同期検波回路23により検出する。また、診断用の変位は診断用の変位をゼロにするための駆動振幅調整量の変化分として積分器24により出力する。
次に、監視手段300Aにおいて、周波数監視回路308は、積分器18の出力が所定の範囲内にあるか否かを監視し、積分器18の出力が所定の範囲内にない場合に駆動周波数の異常を表す信号を伝送回路101に出力する。また、指示量監視回路309は、積分器24の出力が所定の範囲内にあるか否かを監視し、積分器24の出力が所定の範囲内にない場合に駆動振幅指示量の異常を表す信号を伝送回路101に出力する。また、変位監視回路310は、同期検波回路23の出力が所定の範囲内にあるか否かを監視し、同期検波回路23の出力が所定の範囲内にない場合に駆動変位の異常を表す信号を伝送回路101に出力する。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、周波数監視回路308を用いて駆動周波数を監視することにより、可動部1の駆動周波数制御の異常をリアルタイムに検出することが可能となる。
第2に、指示量監視回路309を用いて駆動振幅指示量を監視することにより、可動部1の駆動振幅制御の異常をリアルタイムに検出することが可能となる。
第3に、変位監視回路310を用いて駆動変位を監視することにより、可動部1の駆動振動の異常をリアルタイムに検出することが可能となる。
第4に、アクティブ診断実施回路203を用いて診断用の変位量を積分器24の出力に加算することにより、可動部1の駆動振幅指示量に対する可動部1の感度変化を検出することが可能となり、より高性能なアクティブ診断を実現することが可能となる。
次に、図21を用いて、本発明の第14の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図21は、本発明の第14の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図21において、図1,図3及び図10と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の物理量センサの基本的な構成は、図10に示したものと同様である。
さらに、本実施形態の物理量センサでは、監視回路300Bは、図10に示した監視回路300に対し、自己振動サーボ量を監視し、自己振動サーボ量が所定の範囲を逸脱した際に自己振動の異常状態を表す信号を出力する自己振動監視回路311を追加して備えている。
なお、図21における角速度検出回路100、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。また、アクティブ診断回路200Fの動作については、図9に示したものと同一の動作を行うものである。伝送回路101Fは、図10に示したものと同一の動作を行うものである。
次に、本実施形態における物理量センサの動作について説明する。
監視回路300Bの自己振動監視回路311は、角速度検出回路100がサーボ制御を行っている状態において、積分器6の出力が所定の範囲内にあるか否かを監視し、積分器6の出力が所定の範囲内にない場合に自己振動の異常を表す信号を伝送回路101に出力する。
以上説明した本実施形態によれば、第1に、自己振動監視回路311を用いて自己振動サーボ量を監視することにより、可動部1の自己振動サーボ制御の異常をリアルタイムに検出することが可能となる。
第2に、アクティブ診断実施回路203及び加算器204を用いて診断用の変位量を積分器6の出力に加算することにより、可動部1の感度変化を検出することが可能となり、より高性能なアクティブ診断を実現することが可能となる。
さらに、本実施形態においても、図10に示した第8の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図22〜図24を用いて、本発明の第15の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図22は、本発明の第15の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図22において、図1,図3及び図10と同一符号は、同一部分を示している。図23及び図24は、本発明の第15の実施形態による物理量センサにおける記憶装置の監視方法の処理内容を示すフローチャートである。
本実施形態の物理量センサの基本的な構成は、図10に示したものと同様である。
本実施形態の物理量センサは、物理量センサにおいて使用されているRandom Access Memory(RAM)401及びErasable Programmable Read Only Memory(EPROM)402等の記憶装置400を備えている。
さらに、本実施形態の物理量センサでは、監視回路300Cは、図10に示した監視回路300に対し、記憶装置400が所定の機能を満足できなくなった際に記憶装置400の異常状態を表す信号を出力する記憶装置監視回路312を追加して備えている。
なお、図22における角速度検出回路100、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。また、アクティブ診断回路200Fの動作については、図9に示したものと同一の動作を行うものである。伝送回路101Fは、図10に示したものと同一の動作を行うものである。
次に、本実施形態における物理量センサの動作について説明する。
記憶装置監視回路312は、RAM401及びEPROM402等の記憶装置400が所定の機能を果たせる状態にあるか否かを監視し、各々の記憶装置に動作不良が生じた際に該当する記憶装置の異常を表す信号を伝送回路101に出力する。
最初に、図23を用いて、RAMの監視方法について説明する。
図23のステップS200において、記憶装置監視回路312は、DIAG信号がHか否かを判定し、ステップS210において、RAM401に記憶されたDIAG信号が0でないか否かを判定する。DIAG信号がLの場合と、RAM401に記憶されたDIAG信号が0の場合は、ステップS270において、RAM401のDIAG信号に0を代入し、アドレスに0を代入し、合計値SUMに0を代入して処理を終了する。
DIAG信号がHで、RAM401に記憶されたDIAG信号が0でない場合は、ステップS220において、記憶装置監視回路312は、RAMの所定のアドレス(アドレス)に、RAM401に記憶されたDIAG信号の値(RAMDIAG),すなわち、1を格納する。また、TEMP領域(TEMP)に、RAMの所定のアドレスRAM(アドレス)を格納する。さらに、TEMP領域(TEMP)に、TEMP領域の値(TEMP)からRAM401に記憶されたDIAG信号の値(RAMDIAG)を引いた値を格納する。次に、TEMP領域(TEMP)に、TEMP領域の値の絶対値(abs(TEMP))を格納する。さらに、TEMP領域(TEMP)に、TEMP領域の値(TEMP)に1を加えた値を格納する。最後に、SUM領域(SUM)に、SUM領域の値(SUM)にTEMP領域(TEMP)を加えた値を格納する。
次に、ステップS230において、記憶装置監視回路312は、アドレスの値に1を加算する。
次に、ステップS240において、記憶装置監視回路312は、RAMの所定のアドレス(アドレス)に、RAM401に記憶されたDIAG信号の値(RAMDIAG)の反値,すなわち、0を格納する。また、TEMP領域(TEMP)に、RAMの所定のアドレスRAM(アドレス)を格納する。さらに、TEMP領域(TEMP)に、TEMP領域の値(TEMP)からRAM401に記憶されたDIAG信号の値(RAMDIAG)の反値を引いた値を格納する。次に、TEMP領域(TEMP)に、TEMP領域の値の絶対値(abs(TEMP))を格納する。さらに、TEMP領域(TEMP)に、TEMP領域の値(TEMP)に1を加えた値を格納する。最後に、SUM領域(SUM)に、SUM領域の値(SUM)にTEMP領域(TEMP)を加えた値を格納する。
次に、ステップS250において、記憶装置監視回路312は、アドレスの値に1を加算する。
次に、ステップS260において、記憶装置監視回路312は、アドレスの値が有効アドレス数Nより大きくなったか否かを判定し、有効アドレス数N以下の場合には、ステップS220〜ステップS250の処理を継続する。アドレスの値が有効アドレス数Nより大きくなると、処理を終了する。
このようにして、本実施形態においては、RAM401の全てのアドレスに固定値を用いた書込・読込動作を実施し、各アドレスにおけるビット固定を診断することで、RAM401を監視する。
次に、図24を用いて、EPROMの監視方法について説明する。
図24のステップS300において、記憶装置監視回路312は、アドレスが0か否かを判定する。0でない場合にはステップS350に進み、0の場合にはステップS310に進む。
アドレスが0の場合には、ステップS310において、記憶装置監視回路312は、誤り検出のためのCRCコードが0か否かを判定する。0でない場合にはステップS330に進み、0の場合にはステップS320に進む。
CRCコードが0の場合は、ステップS320において、記憶装置監視回路312は、エラーフラグをリセットし、CRCコードが0でない場合は、ステップS330において、記憶装置監視回路312は、エラーフラグをセットする。
次に、ステップS340において、記憶装置監視回路312は、誤り検出のためのCRCコードに0を格納する。
そして、ステップS350において、記憶装置監視回路312は、EPROM402の所定のアドレスのデータを読み込み、ステップS360において、CRC演算を実行する。
次に、ステップS370において、記憶装置監視回路312は、アドレスの値に1を加算する。
次に、ステップS380において、記憶装置監視回路312は、アドレスの値が有効アドレス数Nより大きくなったか否かを判定し、有効アドレス数N以下の場合には、ステップS300〜ステップS370の処理を継続する。アドレスの値が有効アドレス数Nより大きくなると、処理を終了する。
このようにして、本実施形態においては、EPROM402の所定のアドレスに予め誤り検出のためのCRCコードを記憶しておき、全てのアドレスが正常であればCRC演算結果がゼロとなり、CRC演算結果がゼロにならなかった場合に記憶装置監視回路312はEPROM402の異常を出力することで、EPROM402を監視する。
なお、EPROM402の監視に用いる誤り検出手段は、CRCの他、パリティ符号やハッシュ関数、チェックサムを用いた誤り検出手法をとっても良い。
以上説明した本実施形態の物理量センサによれば、第1に、記憶装置監視回路312を用いてRAM401を監視することにより、RAM401の異常を検出することが可能となり、高信頼な物理量検出及びアクティブ診断の実現が可能となる。
第2に、記憶装置監視回路312を用いてEPROM402を監視することにより、EPROM402の異常を検出することが可能となり、高信頼な物理量検出及びアクティブ診断の実現が可能となる。
さらに、本実施形態においても、図10に示した第8の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図25を用いて、本発明の第16の実施形態による物理量センサ及び物理量センサ制御装置の構成及び動作について説明する。
図25は、本発明の第16の実施形態による物理量センサ及び物理量センサ制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図25において、図2と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の物理量センサの基本的な構成は、図2に示したものと同様である。
本実施形態の物理量センサ制御装置は、図2に示した物理量センサに対して、物理量センサの制御を実施するための通信コマンドを第1判定回路201出力する第1制御装置104と、第1の制御装置104の故障診断を行い、診断結果に基づいて第2判定装置206にDIAG信号を出力する第2制御装置105とを追加したものである。第1制御装置104は、例えば、エンジン制御やトラクションコントロールを司るECU(Electronic Control Unit)である。第2制御装置105は、第1制御装置104の故障診断用のコントロールユニットである。
なお、図25における角速度検出回路100、伝送回路101、受信回路102の動作については、図1に示したものと同一の動作を行うものである。また、アクティブ診断回路200Fの動作については、図2に示したものと同一の動作を行うものである。
ここで、本実施形態における物理量センサ及び物理量センサ制御装置の動作について説明する。
第1制御装置104は、物理量センサのアクティブ診断を実施するための通信コマンドを受信回路102に出力する。次に、受信回路102を介して第1判定回路201に通信コマンドが入力すると、第1判定回路201は、予め第1判定回路201に記憶している通信コマンド群と照し合せて、通信コマンドが物理量センサの制御に関するコマンドか否かを判定する。次に、アクティブ診断制御用のコマンドであるか否かを判定する。
次に、第2制御装置105は、第1制御装置104に異常が生じているか否かを判定し、第1制御装置104が正常であればHレベルのDIAG信号を第2判定回路206に出力する。一方、第1制御装置104が異常であると判定した場合にはLレベルのDIAG信号を第2判定回路に出力する。
次に、第2判定回路206は、DIAG信号のレベルを確認する。DIAG信号がHレベルの状態であれば、第2判定回路206の出力をアクティブ診断許可モードにする。一方、DIAG信号がLレベルであれば、第2判定回路206の出力をアクティブ診断禁止モードにする。次に、通信コマンドがアクティブ診断制御用のコマンドであった場合、第2判定回路206の出力がアクティブ診断許可モードであれば、アクティブ診断実施回路203はアクティブ診断を実施する。
以上説明した本実施形態の物理量センサ及び物理量センサ制御装置によれば、第1に、第2制御装置105が第1制御装置104の故障診断を行い,DIAG信号を第2判定回路206に出力しているため、第1制御装置104がアクティブ診断を実施するための通信コマンドを第1判定回路201に出力した際に、アクティブ診断の誤動作を防止することが可能となり、高信頼なアクティブ診断を実現することが可能となる。
さらに、本実施形態においても、図2に示した第2の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図26及び図27を用いて、本発明の第17の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図26は、本発明の第17の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図26において、図9と同一符号は、同一部分を示している。図27は、本発明の第17の実施形態による物理量センサにおける、加速度センサのアクティブ診断結果の説明図である。
本実施形態では、物理量センサとして、角速度検出回路100の代わりに、加速度を検出するための可動部27を含む加速度検出回路106を用いている。
加速度検出回路106は、可動部27と、検出電極28と、CV変換器29と、AD変換器30と、積分器31と、DA変換器25と、診断電極26とを備えている。
可動部27は、加速度を検出するために所定軸方向(加速度検出軸方向)に変位可能に支持されている。検出電極28は、可動部27の変位に応じた容量変化をする。検出電極28は、可動部27の加速度検出軸方向に固定された可変電極28a及び、可変電極28aに対向して配置された固定電極28bによって構成される。CV変換器29は、検出電極28の容量変化を電圧信号に変換する。AD変換器30は、CV変換器29から出力された電圧信号をデジタル信号に変換する。積分器31は、デジタル信号を積分する。補正演算器32は、積分器31が出力した可動部27の変位に応じた信号に対して補正演算を行う。DA変換器25は、アクティブ診断回路200Fから入力された診断用変位量を電圧信号に変換する。診断電極26は、DA変換器25により生成された電圧信号を可動部27に印加する。診断電極26は、可動部27の加速度検出軸方向に固定された可変電極26a及び、可変電極26aに対向して配置された固定電極26bによって構成される。
なお、図26における伝送回路101、受信回路102、アクティブ診断回路200Fの動作については、図9に示したものと同一の動作を行うものである。
次に、本実施形態における物理量センサの動作について説明する。
アクティブ診断回路200により診断用変位量が加速度検出回路106に入力すると、入力した診断用変位量はDA変換器25及び診断電極26により可動部27に印加され、診断用変位量に応じて可動部27が変位する。検出電極28は、可動部27の変位を電圧信号に変換し、CV変換器29及びAD変換器30及び積分器31を介して、補正演算器32に入力する。補正演算器32は、所定の補正演算を行い、加速度情報として伝送回路101に出力する。
次に、図27を用いて、本実施形態による物理量センサにおける、加速度センサのアクティブ診断結果について説明する。
図27は、通信コマンドにより記憶手段212に記憶されている診断用の変位量を変更してアクティブ診断を実施することにより、診断用の変位に応じた積分器31の出力(縦軸)をグラフにして表したものである。なお、グラフの横軸は、診断用の変位量を加速度に換算した値である。
図22に示すアクティブ診断結果から、加速度センサのオフセット,加速度に対する感度、及び加速度センサの直線性を取得することができる。加速度センサのオフセットは、図示するように、加速度が0Gの場合の、積分器31の出力として得られる。加速度に対する感度は、図示の直線の傾きとして得られる。加速度センサの直線性は、例えば、図示するように、加速度−1.0G,−0.5G,+0.5G,+1.0Gの4点の加速度に対する積分器31の出力に対して、例えば、最小自乗法により直線近似するとともに、この近似された直線からのずれ量として得られる。
従って、アクティブ診断を実施することにより、オフセット補正値及び感度補正値及び直線性補正値を取得することが可能となる。この補正値を補正演算時に用いることにより、本実施形態における加速度センサの加速度検出精度を向上させることが可能となる。
以上説明した本実施形態の物理量センサによれば、第1に、通信コマンドを用いて診断用の変位量を変更してアクティブ診断を実施することにより、物理量センサのオフセット及び検出感度及び物理量検出時の直線性を求めることが可能となり、高精度な物理量検出を実現することが可能となる。
第2に、通信コマンドを用いて診断用の変位量を変更してアクティブ診断を実施することにより、経時変化等による物理量センサのオフセット変化及び検出感度変化及び物理量検出時の直線性の変化を求めることが可能となり、補正演算器32で補正演算時に用いる補正値を変更することにより、高精度な物理量検出を継続的に実現することが可能となる。
さらに、本実施形態においても、図9に示した第7の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、図28を用いて、本発明の第18の実施形態による物理量センサの構成及び動作について説明する。
図28は、本発明の第18の実施形態による物理量センサの構成を示すブロック図である。なお、図28において、図1,図9,図20,図26と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の物理量センサは、角速度検出回路100と、駆動制御回路103と、加速度検出回路106と、伝送回路101と、受信回路102と、アクティブ診断回路200と、診断対象選択回路213及び観測信号選択回路216により構成される処理回路302とを備えている。
なお、角速度検出回路100、伝送回路101、受信回路102、アクティブ診断回路200の動作については、図9に示したものと同一の動作を行うものである。駆動制御回路103の動作については、図20に示したものと同一の動作を行うものである。加速度検出回路106の動作については、図26に示したものと同一の動作を行うものである。
ここで、診断対象選択回路213は、アクティブ診断回路200が出力した診断用の変位量を伝達する回路を切替えるスイッチング手段214と、記憶された情報に基づいてスイッチング手段214の接続先を指定する記憶手段215とを備えている。
また、観測信号選択回路216は、伝送回路101にを伝達する回路を切替えるスイッチング手段214と、記憶された情報に基づいてスイッチング手段214の接続先を指定する記憶手段215とを備えている。
次に、本実施形態における物理量センサの動作について説明する。
診断対象選択回路213は、通信コマンドにより記憶手段215に所定の情報を記憶させ、スイッチング手段214は記憶手段215に記憶されている情報に基づいて接続先回路を選択する。次に、アクティブ診断回路200により出力された診断用の変位量は、スイッチング手段214により接続されている回路に入力される。
観測信号選択回路216は、通信コマンドにより記憶手段218に所定の情報を記憶させ、スイッチング手段217は記憶手段218に記憶されている情報に基づいて観測信号を選択する。次に、スイッチング手段217により接続されている観測信号は、スイッチング手段217を介して伝送回路101に入力される。
以上の本実施形態における物理量センサによれば、第1に、診断対象選択回路213を用いることにより、通信コマンドを用いて診断対象を個別に選択することが可能となり、複数のセンサで構成されるマルチセンサ等に対してアクティブ診断の個別制御が可能となる。
第2に、診断対象選択回路213を用いることにより、通信コマンドを用いて診断対象を個別に選択することが可能となり、個別の機能ブロック毎にアクティブ診断が可能となるため、故障の部位が特定可能な高性能なアクティブ診断を実現することが可能となる。
第3に、観測信号選択回路216を用いることにより、通信コマンドを用いて観測信号を選択することが可能となるため、物理量センサを構成する各々の機能ブロック毎の診断が可能となり、高性能なアクティブ診断を実現することが可能となる。
さらに、本実施形態においても、図16に示した第11の実施形態,図20に示した第13の実施形態,図26に示した第17の実施形態と同様の効果が得られる。