JP5246048B2 - 繊維ボードの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は繊維ボードの製造方法に関する。更に詳しくは、植物性繊維を多量に含有する繊維ボードの製造方法に関する。
近年、ケナフ等の、短期間で成長し、且つ二酸化炭素吸収量が多い植物資源が、二酸化炭素排出量削減及び二酸化炭素の固定化等の観点から注目されている。また、この植物資源を熱可塑性樹脂と複合化した材料を用いてなる複合材としての利用が期待されており、このような植物資源を用いてなる繊維ボードの製造方法が知られている(下記特許文献1)。
特開2006−95918号公報
植物性繊維を用いた繊維ボードは、植物性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを混合して得られる繊維マットを、ダブルベルト方式の熱板により加熱及び加圧して製造される。また、繊維ボードの機械的特性を向上させる目的で前記熱可塑性樹脂繊維には、酸変性熱可塑性樹脂が配合される場合があり、この酸変性熱可塑性樹脂が配合された場合には、前記加熱加圧時に、圧縮された繊維マットが金属製のコンベアに貼り付いてしまうことがある。この場合、無理に剥がすと繊維ボードの表面が傷ついたり、繊維ボード自体が剥離するように欠損したりして意匠性が低下するという問題がある。更に、これによって生産効率の低下及びコスト的な負荷を生じることとなる。このようなコンベアへの貼付きを防止するため、従来、加熱加圧時に、繊維マットをテトラフルオロエチレン等の優れた離型性を有する離型シートに挟持する方法が知られている。
しかし、離型シートは消耗品であるため、交換時にはラインを停止する必要があるという不便を生じることや、離型シート自体が高価であるというコスト的な問題がある。
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、酸変性熱可塑性樹脂を含有する場合であっても、加熱加圧時に繊維マットがコンベアに貼り付いてしまうことを簡便に防止できる繊維ボードの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
(1)植物性繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する繊維ボードの製造方法であって、
植物性繊維と酸変性熱可塑性樹脂を含んだ熱可塑性樹脂繊維とを混合して繊維マットを形成する繊維マット形成工程と、
前記繊維マットを一対のコンベア間で加熱加圧して繊維ボードを得る加熱加圧工程と、を備え、
前記加熱加圧工程は、前記繊維マットと前記コンベアとの間に平均繊維長が0.5〜4mmの植物性短繊維を介在させて行うことを特徴とする繊維ボードの製造方法。
(2)前記繊維マットは、前記植物性繊維と前記熱可塑性樹脂繊維との合計を100質量%とした場合に、該植物性繊維が30〜95質量%である上記(1)に記載の繊維ボードの製造方法。
(3)前記植物性短繊維は、前記繊維マット100質量部に対して3〜10質量部を介在させる上記(1)又は(2)に記載の繊維ボードの製造方法。
(4)前記熱可塑性樹脂繊維は、前記酸変性熱可塑性樹脂と酸変性されていない熱可塑性樹脂とを含有し、その合計を100質量%とした場合に、該酸変性熱可塑性樹脂は0.5〜15質量%である上記(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載の繊維ボードの製造方法。
(5)前記繊維マット形成工程における前記植物性繊維、及び前記加熱加圧工程における前記植物性短繊維、は共にケナフ繊維である上記(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載の繊維ボードの製造方法。
本発明の繊維ボードの製造方法によれば、酸変性熱可塑性樹脂を含有する場合であっても、加熱加圧時に繊維マットがコンベアに貼り付いてしまうことを簡便に防止できる。これにより、優れた意匠性を有する繊維ボードを効率よく低コストで製造できる。
植物性繊維と熱可塑性樹脂繊維との合計を100質量%とした場合に、植物性繊維が30〜95質量%である場合は、多量の植物性繊維を活用しつつ、優れた意匠性を有する繊維ボードを効率よく低コストで製造できる。
植物性短繊維を繊維マット100質量部に対して3〜10質量部を介在させる場合は、加熱加圧時に繊維マットがコンベアに貼り付いてしまうことをより確実に防止できる。
熱可塑性樹脂繊維が酸変性熱可塑性樹脂と酸変性されていない熱可塑性樹脂とを含有し、その合計を100質量%とした場合に、酸変性熱可塑性樹脂が0.5〜15質量%である場合は、本発明の方法を用いることによる優れた離型性を特に効果的に得ることができる。
繊維マット形成工程における植物性繊維、及び加熱加圧工程における植物性短繊維、が共にケナフ繊維である場合は、ケナフが短期間で成長する一年草であり、且つ優れた二酸化炭素吸収性等を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献することができる。
本発明の工程に従って繊維ボードを製造する繊維ボード製造装置の一例を示す模式図である。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の繊維ボードの製造方法は、植物性繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する繊維ボードの製造方法であって、繊維マット形成工程と、加熱加圧工程と、を備え、加熱加圧工程は、繊維マットとコンベアとの間に平均繊維長が0.5〜4mmの植物性短繊維を介在させて行うことを特徴とする。
〈繊維マット形成工程〉
前記「繊維マット形成工程」は、植物性繊維と酸変性熱可塑性樹脂を含んだ熱可塑性樹脂繊維とを混合して繊維マットを形成する工程である。
上記「植物性繊維」は、植物に由来する材料を用いてなる繊維であればよく、特に限定されない。この植物性繊維としては、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ、ヒノキ等)、各種の広葉樹及び綿花などの植物体を用いてなる繊維が挙げられる。この植物性繊維は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうちでは、ケナフ繊維が好ましい。ケナフは短期間で成長する一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するため、ケナフ繊維を用いた場合、大気中の二酸化炭素量の削減、及び森林資源の有効利用等に貢献することができる。
また、植物性繊維として用いる植物体の部位は特に限定されず、非木質部(靱皮など)、木質部、葉部、茎部及び根部等の植物体を構成するいずれの部位であってもよい。更に、特定部位のみを用いてもよく、2箇所以上の異なる部位を併用してもよい。特に前記ケナフにおいては靱皮から得られるケナフ繊維が特に好ましい。
尚、本発明におけるケナフは、木質茎を有する早育性の一年草であるケナフである。このケナフはアオイ科に分類される植物であり、学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等が含まれ、更に通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が含まれる。また、本発明に用いる植物性繊維としては前記ケナフ繊維以外にジュート繊維も好ましく用いることができる。ジュート繊維はジュート麻から得られる繊維である。このジュート麻には、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)、綱麻(ツナソ)、シマツナソ及びモロヘイヤを含む麻、並びにシナノキ科の植物などが含まれる。
植物性繊維の平均繊維長及び平均繊維径等は特に限定されないが、平均繊維長は10mm以上であることが好ましい。平均繊維長が10mm以上であれば、熱可塑性樹脂繊維との混合により繊維マットを得ることが容易であり(特に、繊維間の絡み合いが形成され易い)、得られる繊維ボードの機械的特性を向上させることができる。
この植物性繊維の平均繊維長は10〜150mm、特に20〜100mm、更に30〜80mmであることがより好ましい。この繊維長範囲であれば、繊維マットを得るための混合がより容易であると共に、得られる繊維ボードの機械的特性をより向上させることができる。尚、この平均繊維長は、JIS L1015に準拠し、直接法にて無作為に単繊維を1本づつ取り出し、伸張させずに直伸させ、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した値の平均値である。
また、植物性繊維の平均繊維径は1mm以下であることが好ましい。平均繊維径が1mm以下であれば、繊維ボードの機械的特性を向上させることができる。この平均繊維径は0.001〜0.5mm、特に0.01〜0.2mm、更に0.02〜0.1mmであることがより好ましい。尚、この平均繊維径は、繊維長を測定した植物性繊維の長さ方向の中央部における繊維径を光学顕微鏡により観察し、測定した値の平均値である。
前記「熱可塑性樹脂繊維」は、酸変性熱可塑性樹脂(以下、「酸変性樹脂」ともいう)と、酸変性されていない熱可塑性樹脂(以下、「非酸変性樹脂」ともいう)とを含有する。この熱可塑性樹脂繊維は、通常、酸変性樹脂と非酸変性樹脂とを共に溶融紡糸して得られる。
前記「酸変性熱可塑性樹脂」は、酸基が導入された熱可塑性樹脂である。この酸基の種類は特に限定されないが、通常、無水カルボン酸残基(−CO−O−OC−)及び/又はカルボン酸残基(−COOH)である。酸基はどのような化合物により導入されてもよく、酸基を導入する化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸等の酸無水物、及びマレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの化合物のうちでは、酸無水物が好ましく、無水マレイン酸及び無水イタコン酸がより好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
更に、酸変性樹脂を構成する骨格となる熱可塑性樹脂(以下、「骨格樹脂」という。)の種類は特に限定されず、種々の熱可塑性樹脂を用いることができる。この骨格樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂(メタクリレート及び/又はアクリレート等を用いてなる樹脂)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、並びにABS樹脂などが挙げられる。また、ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合樹脂、ポリエチレン等が挙げられる。ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル、及びポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステルが挙げられる。これらのなかではポリオレフィンが好ましい。
この酸変性樹脂の具体例としては、三洋化成工業株式会社製、商品名「ユーメックス」(特に「ユーメックス1001」及び「ユーメックス1010」等が好ましい。)、三井化学株式会社製、商品名「アドマー」(特に「アドマーQE800」等が好ましい。)、三菱化学株式会社製、商品名「モディック」(特に「モディック−AP P908」等が好ましい。)、並びに東洋化成工業株式会社製、商品名「トーヨータック」(特に「トーヨータックH−1100P−P」等が好ましい。)などが挙げられる。
酸変性樹脂に導入される酸基の量は特に限定されないが、酸価を指標とした場合、酸価5以上(通常、80以下)であればよく、酸価15以上であることが好ましい。即ち、比較的酸価が高い酸変性樹脂であることが好ましい。このような酸変性樹脂であれば、酸変性樹脂の含有量を抑えながら、植物性繊維同士を十分に結着させることができる。更に、好適な繊度の熱可塑性樹脂繊維が作製し易い。この酸価は15〜70であることが好ましく、特に20〜60、更に23〜30であることがより好ましい。尚、この酸価はJIS K0070により測定することができる。
更に、この酸変性樹脂の分子量も特に限定されないが、重量平均分子量が10000〜200000、特に10000〜100000であることが好ましい。即ち、比較的分子量の小さい酸変性樹脂であることが好ましい。このような酸変性樹脂を用いることにより、酸変性樹脂の使用量を抑えながら、植物性繊維同士を十分に結着させることができる。また、好適な繊度の熱可塑性樹脂繊維が作製し易い。この重量平均分子量の下限値は15000、特に25000、更に35000であることが特に好ましく、重量平均分子量の上限値は200000、特に150000、更に100000であることが特に好ましい。また、この酸変性樹脂の重量平均分子量は35000〜60000であることが更に好ましい。尚、重量平均分子量はGPC法(標準ポリスチレン換算)により測定される。
更に、酸変性樹脂の溶融粘度も特に限定されないが、160℃において4000〜30000mPa・sであることが好ましい。このような酸変性樹脂を用いることにより、酸変性樹脂の含有量を抑えながら、植物性繊維同士を十分に結着させることができる。また、好適な繊度の熱可塑性樹脂繊維を作製し易い。この溶融粘度は4000〜25000mPa・s、特に5000〜20000mPa・s、更に10000〜20000mPa・sであることがより好ましい。尚、溶融粘度は160℃においてB型粘度計(JIS K7117に基づき4号ローターを使用)により測定される。
上記の好ましい酸価、重量平均分子量及び溶融粘度を併せて有する酸変性樹脂としては、前記の三洋化成工業株式会社製、商品名「ユーメックス」が挙げられ、特に「ユーメックス1001」及び/又は商品名「ユーメックス1010」がより好ましい。
前記非酸変性樹脂(熱可塑性樹脂繊維を構成する樹脂のうちの酸変性されていない熱可塑性樹脂)の種類は特に限定されず、種々の熱可塑性樹脂を用いることができる。この非酸変性熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂(メタクリレート及び/又はアクリレート等を用いてなる樹脂)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、並びにABS樹脂などが挙げられる。また、ポリオレフィンとしては、アイソタクチックプロピレン単独重合体(以下、「PP単独重合体」という。)、エチレン−プロピレンブロック共重合樹脂(以下、「EPブロック共重合樹脂」という。)、ポリエチレン等が挙げられる。ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル、及びポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステルが挙げられる。この非酸変性樹脂は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記酸変性樹脂と非酸変性樹脂とは同種の樹脂であってもよく、異なる樹脂であってもよいが、同種であることが好ましく、いずれもポリオレフィンであることがより好ましい。ポリオレフィンは取扱いが容易であり、且つ優れた柔軟性及び賦形性等を有し、繊維ボードの生産性を向上させることができる。このポリオレフィンとしては、PP単独重合体、EPブロック共重合樹脂、ポリエチレン等が好ましい(酸変性樹脂においては骨格樹脂)。更に、酸変性樹脂及び非酸変性樹脂が、いずれもPP単独重合体及び/又はEPブロック共重合樹脂、又は、それを骨格樹脂とすることがより好ましく、酸変性樹脂が無水マレイン酸を用いて変性されたPP単独重合体及び/又はEPブロック共重合樹脂であり、且つ非酸変性樹脂がPP単独重合体及び/又はEPブロック共重合樹脂であることが特に好ましい。
前記熱可塑性樹脂繊維に含まれる酸変性樹脂及び非酸変性樹脂の量比は特に限定されないが、酸変性樹脂と非酸変性樹脂との合計を100質量%とした場合に、酸変性樹脂は0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、2〜7質量%であることが特に好ましい。
また、酸変性樹脂は、後述する第2の熱可塑性樹脂繊維の使用の有無に関わらず、植物性繊維と熱可塑性樹脂繊維との合計を100質量%とした場合に、1〜10質量部であることが好ましく、1〜8質量部、特に1〜5質量部、更に1〜3質量部であることがより好ましい。酸変性樹脂の割合が1〜10質量部、特に1〜5質量部であれば、植物性繊維の繊維間が十分に結着され、優れた機械的特性を有する繊維ボードとすることができる。
更に、熱可塑性樹脂繊維の繊度等は特に限定されないが、繊度は1〜100dtexであることが好ましい。この範囲の繊度であれば、植物性繊維との混合が容易であり、各々の繊維をより均一に分散させることができる。この繊度は1〜50dtex、特に1〜20dtex、更に3〜10dtexであることがより好ましい。尚、繊度3〜10dtexの熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径は、酸変性樹脂として無水マレイン酸変性PP単独重合体及び/又は無水マレイン酸変性EPブロック共重合樹脂を使用し、非酸変性樹脂としてPP単独重合体及び/又はEPブロック共重合樹脂を使用した場合、3.8〜37.5μm程度となる。この繊度は長さ10000mの繊維の質量(単位;g)により表される。また、平均繊維径の測定方法は植物性繊維の場合と同様である。
この繊維マット形成工程において、植物性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを混合する方法は特に限定されず、種々の方法により混合することができるが、通常、乾式法又は湿式法により混合することができ、これらのうちでは乾式法が好ましい。本発明の製造方法では、吸湿性を有する植物性繊維を用いるため、抄紙法等の湿式法により混合した場合、高度な乾燥工程を必要とすることになるため、より簡易に混合することができる乾式法が好ましい。この乾式法としては、エアーレイ方式及びカード方式等が挙げられるが、より簡易な装置で効率よく混合することができるエアーレイ方式が好ましい。このエアーレイ方式では、それぞれの繊維を気流によって浮遊させ、その後、コンベアベルト上等に堆積させて、植物性繊維と熱可塑性樹脂繊維とが分散されて堆積されてなる繊維マットを作製することができる。
前記エアーレイ方式を用いる場合、繊維マットの形態は特に限定されず、混合繊維が1層のみ堆積されてなる繊維マットを前記繊維マットとして用いてもよく、混合繊維が2層以上堆積されてなる繊維マット(積層繊維マット)を前記繊維マットとして用いてもよい。堆積層数によって繊維マットの厚さを調整でき、得られる繊維ボードの目付量を調整できる。更に、繊維マットは、各々堆積層同士がよりよく交絡されて一体化されるように交絡加工が施されてもよい。交絡加工の方法は特に限定されず、ニードルパンチ法、ステッチボンド法及びウォーターパンチ法等が挙げられる。これらの方法は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、この繊維マットは、前記植物性繊維及び前記熱可塑性樹脂繊維の2種の繊維のみからなってもよいが、これら2種以外の繊維を含んでもよい。これらの2種以外の繊維としては、非酸変性樹脂のみからなる第2の熱可塑性樹脂繊維が挙げられる。この第2の熱可塑性樹脂繊維は、前記熱可塑性樹脂繊維(酸変性樹脂を含有する熱可塑性樹脂繊維、以下、「第1の熱可塑性樹脂繊維」ともいう)に含むことができる非酸変性樹脂をそのまま適用できるが、なかでも、第1の熱可塑性樹脂繊維を構成する非酸変性樹脂よりも融点が低い非酸変性樹脂からなる繊維であることが好ましい。第2の熱可塑性樹脂繊維を構成する非酸変性樹脂の融点は、第1の熱可塑性樹脂繊維を構成する非酸変性樹脂の融点よりも低ければよく、その温度差は特に限定されないが、10〜50℃、特に15〜45℃、更に20〜40℃であることが好ましい。
第2の熱可塑性樹脂繊維を構成する非酸変性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂(メタクリレート及び/又はアクリレート等を用いてなる樹脂)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、並びにABS樹脂などを用いることができる。特に比較的融点が低い各種のランダム共重合樹脂を用いることが好ましく、特にエチレン−プロピレンランダム共重合樹脂(以下、「EPランダム共重合樹脂」という。)が好ましい。更に、このEPランダム共重合樹脂の融点は120〜140℃であることが好ましい。尚、この範囲の融点を有していれば、例えば、高密度ポリエチレン等を用いることもできる。
これらのなかでも、第2の熱可塑性樹脂繊維を用いる場合には、第1の熱可塑性樹脂繊維を構成する酸変性樹脂として酸変性ポリプロピレンを、第1の熱可塑性樹脂繊維を構成する非酸変性樹脂としてEPブロック共重合樹脂を、第2の熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂としてEPランダム共重合樹脂を、各々組み合わせて用いることが好ましい。更に、前記酸変性樹脂としての酸変性ポリプロピレンの骨格樹脂はEPブロック共重合樹脂であることがより好ましい。このような組み合わせであれば、優れた機械的特性を有する繊維ボードを製造できる。
第2の熱可塑性樹脂繊維を用いる場合、この第2の熱可塑性樹脂繊維の形態は特に限定されないが、その繊度は1〜100dtexであることが好ましい。この範囲の繊度であれば、植物性繊維及び第1の熱可塑性樹脂繊維との混合が容易であり、各々の繊維をより均一に分散させることができる。この繊度は1〜50dtex、特に1〜20dtex、更に3〜10dtexであることがより好ましい。尚、繊度3〜10dtexの第2の熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径は、EPランダム共重合樹脂を使用した場合、3.8〜37.5μm程度となる。この繊度は長さ10000mの繊維の質量(単位;g)により表される。また、平均繊維径の測定方法は植物性繊維の場合と同様である。
上記「繊維マット」の目付量、厚さ及び目付量と厚さとで定まる密度は特に限定されないが、通常、目付量は400〜3000g/m、好ましくは600〜2000g/mである。また、厚さは5mm以上(通常、50mm以下)であることが好ましく、8〜40mm、特に10〜30mmであることがより好ましい。更に、密度は0.3g/cm以下(通常、0.05g/cm以上)である。尚、密度はJIS K7112(プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法)に準じて測定することができる。
繊維マットの形成に用いる植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維の量比は特に限定されないが、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維の合計を100質量%とした場合に、植物性繊維は30〜95質量%であることが好ましい。この範囲では、繊維ボードに優れた賦形性が付与され、且つ優れた機械的特性を有する繊維ボードとすることができる。この植物性繊維の含有量は40〜85質量%であることが好ましく、45〜75質量%であることがより好ましい。これらの範囲であれば、賦形性及び機械的特性がより向上する。
尚、前記熱可塑性樹脂繊維として、前記第1の熱可塑性樹脂繊維(酸変性樹脂及び非酸変性樹脂を含有)及び第2の熱可塑性樹脂繊維(酸変性樹脂を含まず、非酸変性樹脂を含む)の両方の繊維を用いる場合についても上記と同様である。更に、本発明における植物性繊維の質量は、平衡水分率10%における測定値であるものとする。
また、熱可塑性樹脂繊維の平均繊維長は特に限定されないが、10mm以上であることが好ましい。平均繊維長が10mm以上であれば、植物性繊維との混合が容易であり(特に、繊維間の絡み合いが形成され易い)、繊維ボードの機械的特性を向上させ易い。この平均繊維長は10〜150mm、特に20〜100mm、更に30〜70mmであることがより好ましい。この繊維長範囲であれば、混合がより容易であり、繊維ボードの機械的特性をより向上させることができる。更に、熱可塑性樹脂繊維は植物性繊維よりも平均繊維長が短いことが好ましい。
また、熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径は1mm以下であることが好ましい。1mm以下であれば、繊維ボードの機械的特性を向上させることができる。この平均繊維径は0.001〜0.5mm、特に0.01〜0.2mm、更に0.02〜0.1mmであることがより好ましい。
尚、平均繊維長及び平均繊維径の測定方法は植物性繊維の場合と同様である。
〈植物性短繊維介在工程〉
前記加熱加圧工程は、繊維マットと一対のコンベアとの間に平均繊維長が1〜3mmの植物性短繊維を介在させて、繊維マットを一対のコンベア間で加熱加圧して繊維ボードを得る工程である。この加熱加圧工程に際に、植物性短繊維が介在されているために、繊維マットがコンベアに張り付くことが防止される。この植物性短繊維は、繊維マットが形成された後であって、加熱加圧されるまでの間に介在させる必要がある。即ち、植物性短繊維を配置する工程(以下、単に「植物性短繊維配置工程」ともいう)は、繊維マット形成工程と加熱加圧工程との間に備えられる。
植物性短繊維配置工程は、加熱加圧工程において、繊維マットとコンベアとの間に植物性繊維が介在されるように、植物性短繊維を配置する工程である。この植物性短繊維は、どのような方法により、どこに配置してもよい。
植物性短繊維を配置する方法としては、散布装置(例えば、篩装置やエアブロー装置など)で散布する方法や、人手で散布する方法などが挙げられる。これらの方法は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
より具体的には、例えば、(1)予め植物性短繊維が所望量配置された搬送手段(ベルトコンベアのベルト表面)上に、繊維マットを載置し、次いで、上方から繊維マットに植物性短繊維を散布する(振り掛ける)方法が挙げられる。この方法によれば、簡便に植物性短繊維を繊維マットの表裏に配置できる。更には、図1に例示される繊維ボード製造装置1(詳細については後述)において、予め植物性短繊維が散布して配置された搬送手段42の樹脂ベルト422上に、繊維マットを堆積させて形成し、次いで、搬送手段42によって図1左側へ向かって繊維マットを搬送して、植物性短繊維散布手段20の直下まで繊維マットを移動させ、その後、植物性短繊維散布手段20から繊維マットの表面に植物性短繊維の所望量を散布することにより、繊維マットの表裏に植物性短繊維を配置することができる。そして、搬送手段42によって、その状態のまま加熱加圧手段30内へ搬送することで、加熱加圧手段30では、繊維マットとコンベアとの間に植物性短繊維を介在させて加熱加圧を行うことができる。
前記「植物性短繊維」は、植物に由来する材料を用いてなる繊維であり、その平均繊維長が1〜3mmの繊維である。この植物性短繊維(以下、「短繊維」ともいう)は、通常、前記繊維マットを形成するための植物性繊維(以下、「長繊維」ともいう)に比べてその平均繊維長が短いものである。この短繊維としては、前記長繊維と同じ植物体を利用でき、1種のみ用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、短繊維として、これらのうちでケナフ繊維が好ましいことも前記長繊維と同様である。更に、短繊維として用いる植物体の部位も、前記長繊維と同様に特に限定されず、同様な部位が例示される。特にケナフの靱皮から得られるケナフ繊維が好ましいことについても同様である。
短繊維の平均繊維長は0.5〜4mmであればよい。この範囲では、極端に短い植物性繊維が繊維マット内に入り込んでしまうことが効果的に抑制されると共に、繊維マットとコンベアとの間に短繊維を均一に分布させることができ、張り付き防止効果が十分に得られるからである。この短繊維の平均繊維長は0.5〜3.5mmであることが好ましく、0.5〜3.0mmが更に好ましく、0.5〜2.5mmがより更に好ましく、0.5〜2.0mmが特に好ましく、0.5〜1.5mmがより特に好ましい。これらの好ましい範囲では、各々繊維マット内により入り込み難い形態が得られると共に、短繊維の均一分布性にもより優れることとなり、より優れた張り付き防止効果が得られる。尚、この平均繊維長は、JIS L1015に準拠し、直接法にて無作為に単繊維を1本づつ取り出し、伸張させずに直伸させ、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した値の平均値である。
また、短繊維の平均繊維径も特に限定されないが、1mm以下であることが好ましい。平均繊維径が1mm以下であれば、より優れた分散性が得られるからである。この平均繊維径は0.001〜0.5mm、特に0.01〜0.2mm、更に0.02〜0.1mmであることがより好ましい。尚、この平均繊維径は、繊維長を測定した植物性繊維の長さ方向の中央部における繊維径を光学顕微鏡により観察し、測定した値の平均値である。
更に、用いる植物性短繊維の量は特に限定されないが、繊維マット全体を100質量部とした場合に、植物性短繊維は、通常、0.5〜30質量部とすることが好ましい。この範囲ではより確実に張り付きを防止できる。更に、この量は1〜9質量部が好ましく、2〜8質量部がより好ましく、3〜7質量部が更に好ましい。
更に、植物性短繊維の分布密度は特に限定されないが、繊維マット全体を100質量部とした場合の分布密度において、6〜360質量部/mとすることが好ましく、12〜108質量部/mとすることが好ましく、36〜84質量部/mとすることが好ましい。
〈加熱加圧工程〉
前記「加熱加圧工程」は、繊維マットと一対のコンベアとの間に平均繊維長が1〜3mmの植物性短繊維を介在させて、繊維マットを一対のコンベア間で加熱加圧して繊維ボードを得る工程である。この加熱加圧によって、繊維マットに含まれた熱可塑性樹脂繊維が溶融され、溶融された熱可塑性樹脂繊維によって植物性繊維同士が結着される。更に、繊維マットとコンベアとの間に植物性短繊維が介在されているために、繊維マットがコンベアに張り付くことが防止される。
この加熱加圧工程における加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維を溶融できる温度であればよく、特に限定されないが、通常、150〜280℃である。
特に、酸変性樹脂の骨格樹脂及び非酸変性樹脂のいずれにもポリプロピレンを用いた場合には、170〜250℃が好ましく、180〜240℃がより好ましく、190〜230℃が更に好ましい。 尚、この温度は繊維マット内の温度を接触式温度センサーによって測定して得られる値である。
また、加熱加圧工程における加圧圧力は特に限定されないが、0.5〜8MPaが好ましく、、0.7〜5MPaがより好ましく、1〜4MPaが更に好ましい。この加圧による圧縮によって、圧縮しない場合に比べて植物性繊維同士をより強固に結着できる。
尚、この圧力は加圧機に内蔵された圧力センサーによって得られる値である。
この加熱加圧工程においては、加熱と加圧とは同時に行ってもよく、加熱の後工程として加圧を行ってもよい。更に、加熱及び加圧は連続して行うことができる。
尚、本発明における加熱加圧工程はコンベアを用いて繊維ボードを製造するための工程であるが、本発明には含まれないものの、繊維マットを加熱加圧工程において直接的に賦形することもできる。即ち、金型を用いて圧縮することにより、繊維ボードではなく、その他の各種の形状(製品形状)に成形することもできる。
更に、本発明の方法により製造される繊維ボードに含有される植物性繊維及び熱可塑性樹脂の割合は、繊維マットに含まれる植物性繊維及び熱可塑性樹脂に加えて、前記植物性短繊維として用いた植物性繊維が加算された割合となる。
また、繊維ボードは繊維マットが加熱加圧されたものであればよく、その性状については特に限定はされないが、前記繊維マットが、例えば、目付量400〜3000g/m(好ましくは600〜2000g/m)、厚さ5mm以上(通常、50mm以下、好ましくは8〜40mm、更に好ましくは10〜30mm)、密度0.3g/cm以下(通常、0.05g/cm以上)、であることが好ましいのに対して、繊維ボードは、目付量380〜2880g/m(好ましくは580〜1920g/m)、厚さ5mm未満(通常、1mm以上、好ましくは1.5〜4mm、更に好ましくは2〜3mm)、密度0.3g/cmを越える(通常、1.0g/cm以下)、であることが好ましい。
本発明の方法では、前記各工程以外にも他の工程を備えることができる。他の工程としては、加熱加圧されて得られた繊維ボードを所望の大きさに裁断する裁断工程などが挙げられる。これらの工程は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、本発明の方法で得られた繊維ボードは、必要に応じて、更に賦形工程(本成形工程)を経てより複雑な形状を有する成形品とすることもできる。
〈繊維ボード製造装置〉
図1は、本発明の工程に従って繊維ボードを製造する繊維ボード製造装置1の一例を示す模式図である。この繊維ボード製造装置1は、繊維マット形成手段10と、植物性短繊維散布手段20と、加熱加圧手段30と、を有する。この装置1では、前記繊維マット形成工程、前記植物性短繊維配置工程、及び前記加熱加圧工程を行うことができる。
〈繊維マット形成手段〉
前記繊維マット形成手段10では、回転する回転体11と、この回転体11の表面に供給された原料繊維(植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維)に圧縮空気を吹き付けて飛散させるエアブロー装置13と、を備えると共に、本発明の工程のうちの繊維マット形成工程を行うことができる。
繊維マット形成手段10では、原料繊維(植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維)は回転体11の背部(図1左側)に供給される。回転体11の表面にはガーネットワイヤ(図示せず)と呼ばれる表面に無数の突起が形成されたワイヤが巻きつけられており、回転体11の背部から上部に至る範囲には、大小二つのローラ(ウォッカとストリッパ)からなるローラ対12が複数配置されている。繊維マット形成手段10に原料繊維が供給されると、原料繊維は、ガーネットワイヤによって回転体11の表面に付着して、回転体11の回動によって搬送されてローラ対12に巻き込まれてほぐされながら回転体11の表面を搬送される。そして、原料繊維は、回転体11の正面側(図1右側)上方に配設されたエアブロー装置13から吹き付けられた圧縮空気によって吹き飛ばされて、堆積されて位置において繊維マットが形成される。
通常、図1に例示されるように、繊維マット形成手段10には、その上流側に搬送手段41、下流側に搬送手段42、が接続される。搬送手段41は、小径ローラ411及び弾力性を有する樹脂製のベルト412を備えると共に、ベルト412は小径ローラ411に緊張状態で掛けられ、小径ローラ411の回転に伴って図中矢印の方向へ周回駆動される。同様に、搬送手段42は、小径ローラ421及び弾力性を有する樹脂製のベルト422を備えると共に、ベルト422は小径ローラ421に緊張状態で掛けられ、小径ローラ421の回転に伴って図中矢印の方向へ周回駆動される。
そして、図1左方から原料繊維が搬送手段41によって、繊維マット形成手段10に対して供給された後、上記繊維マット形成手段10において繊維マット形成工程が行われ、エアブロー装置13によって吹き飛ばされた原料繊維は繊維マットとして、搬送手段42のベルト422上に堆積されると共に、搬送手段42によって、水分散体塗布手段20へと搬送される。
尚、繊維マット形成手段10は、繊維ボード製造装置1に複数搭載することもできる。繊維マット形成手段10を複数搭載した場合には、各繊維マット形成手段10から各々の繊維マットが形成されるが、これらを積層して交絡することで1層の繊維マットとして形成することができる。
〈植物性短繊維散布手段〉
植物性短繊維散布手段20は、植物性短繊維配置工程を行うことができる。この植物性短繊維散布手段20は、この手段20に供給された植物性短繊維散布を散布するための散布部21を備え、搬送手段42等の搬送手段によって搬送されてきた繊維マットの表面に植物性短繊維を散布する。具体的には、篩装置やエアブロー装置を利用することができる。また、この際に、繊維マットの両表面へ植物性短繊維を配置する方法は特に限定されないが、前述の通り、前記搬送装置42に予め植物性短繊維のみを散布した上で、繊維マットを形成した後に、手段20により植物性短繊維を散布することで表裏両面への植物性短繊維の配置を達することができる。
〈加熱加圧手段〉
図1に例示される加熱加圧手段30は、ダブルベルト方式の加熱加圧装置であり、本発明の工程のうちの加熱加圧工程を行うことができる。
この加熱加圧手段30は、上下一定の間隔を隔てて配設された二組のドラム対311及び312と、各ドラム対に緊張状態で掛けられたステンレス製のエンドレスベルト(即ち、コンベア)321及び322を有する。エンドレスベルト321及び322は、各ドラム対311及び312の回転によって図1中矢印の方向へ上下等速で周回駆動される(即ち、ロールプレス機である)。そして、これらのエンドレスベルト321及び322の間に、繊維マットが挟み込まれ図1左方から図1右方へと搬送される。
各エンドレスベルト321及び322の裏面、即ち、繊維マットと接触しない側には、加熱加圧室331及び332、並びに、冷却加圧室341及び342、の各開口部が相対向して配置されている。また、加熱加圧室331及び332には加熱加圧用流体が循環・供給され、冷却加圧室341及び342には冷却加圧用流体が循環・供給されている。そして、外部から供給されるこれらの流体により、エンドレスベルト321及び322を介して、繊維マットを均一な面圧によって加圧するようになっている。
このような構成において、繊維マットは植物性短繊維を介してエンドレスベルト321及び322の間に挟まれ、図1右方に搬送されながらプレスされる。即ち、加熱加圧室331及び332並びに冷却加圧室341及び342内に注入された各流体は、各室内を循環しながら、各エンドレスベルトを均一な面圧で加圧し、この力によって繊維マットを均一な面圧でプレスできるようになっている。そして、繊維マットが加熱加圧室331及び332の間を通過する際には加熱され、冷却加圧室341及び342の間を通過する際には冷却されて、加熱加圧手段30から送り出されることによって繊維マットが加熱加圧されてなる繊維ボードが得られる。
尚、前記加熱加圧手段30では、冷却加圧室341及び342の有無は限定されず、これらは配設されなくてもよい。この場合は、自然冷却によって冷却することもできる。更に、加熱加圧室331及び332に換えて伝熱式の加圧ローラを用いることができる。同様に、冷却加圧室341及び342に換えて伝熱式の加圧ローラを用いることができる。
更に、図1に例示されるように、加熱加圧手段30の下流側には搬送手段43を接続することができる。搬送手段43は、小径ローラ431及び弾力性を有する樹脂製のベルト432を備えると共に、ベルト432は小径ローラ431に緊張状態で掛けられ、小径ローラ431の回転に伴って図中矢印の方向へ周回駆動される。これによって加熱加圧手段30から送り出された繊維ボードを必要に応じて更に搬送することできる。
本発明の方法により製造される繊維ボードの寸法及び厚さ等は特に限定されない。また、その用途も特に限定されないが、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等として用いることができる。これらのうち、自動車用としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等として用いることができる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クォーターパネル、アームレストの芯材、ドアトリム、シート用構造材、コンソールボックス、ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、本発明の方法により製造される繊維ボードは、例えば、建築物、家具等の内装材、外装材及び構造材等として用いることができる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、並びに机、椅子、棚、箪笥等の各種家具の表装材、構造材等として用いることができる。その他、包装材、トレイ等の収容材、緩衝材等の保護用部材及びパーティション部材等として用いることもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]繊維ボードの製造
実施例1
(1)繊維マット形成工程
酸変性熱可塑性樹脂{酸変性ポリプロピレン、三洋化成工業社製、商品名「ユーメックス1001」(表1の「酸変性PP樹脂」)(酸価;26、重量平均分子量;40000、160℃における溶融粘度;16000mPa・s)}と、熱可塑性樹脂{EPブロック共重合樹脂、日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックSA01」(表1の「PP樹脂」)}と、を表1の配合となるようにドライブレンドして混合熱可塑性樹脂を得た。その後、この混合熱可塑性樹脂を溶融紡糸した後、裁断して、可塑性樹脂繊維(繊度;6.6dtex、平均繊維長;51mm)を作製した。その後、ケナフ繊維(平均繊維長;70mm)と、前記熱可塑性樹脂繊維と、を図1に示す繊維マット形成手段10(エアーレイ装置)2機を用いて、搬送手段42の樹脂ベルト上に2層に堆積させた後、図1に図示しないニードルパンチ装置を用いて繊維を交絡させて、目付量1200g/m、厚さ10mm(密度0.13g/cm)の繊維マットを作製した。
(2)加熱加圧工程
ケナフ繊維を粉砕機(有限会社吉工製、型式「RC250」)を用いて、平均繊維長が表1に示す長さ(1.0mm、3.0mm又は5.0mm)となるように粉砕して得られた植物性短繊維を、上記(1)で得られた繊維マットの表裏両面に、表1に示す量比となるように配置した上で、ステンレス製板(厚さ1.2mm)に挟持して、235℃の熱板プレスを用いて、加圧圧力1.37MPa(14kgf/cm)で40秒間加熱加圧を施した(加熱加圧中の繊維マット内部温度は、接触式温度センサー(株式会社キーエンス製、型式「NR−1000」による測定において200℃まで上昇した)。次いで、冷却プレス(ステンレス製板、厚さ150mm)を3.92MPa(40kgf/cm)で60秒間施して、繊維マット内部の温度を25℃まで下降させて繊維ボードを得た。
尚、得られた繊維ボードは、全て厚さが2.3mmであった。更に、目付は、実施例1が1170g/m、実施例2が1170g/m、実施例3が1200g/m、実施例4が1220g/m、実施例5が1250g/m、比較例1が1140g/m、比較例2が1200g/mであった。
[2]繊維ボード及び張り付きの評価
上記[1](2)において、行った「熱板プレス」及び「冷却プレス」の各々際の挟持物のプレス板への張り付きの有無を目視により調べた。その結果、張り付きを生じた場合には、表1の張り付きの有無の欄に「×」と示し、張り付きを生じなかった場合には、表1の張り付きの有無の欄に「○」と示した。
更に、各実施例及び比較例の操作を終えた後に、プレス板間から繊維ボードを取りだした後に、プレス板間の植物性短繊維の残存の有無を目視により調べた。その結果、植物性短繊維の残存を生じた場合には、表1の植物性短繊維の残存の有無の欄に「×」と示し、植物性短繊維の残存を全く生じなかった場合には、表1の植物性短繊維の残存の有無の欄に「○」と示した。
Figure 0005246048
表1の結果から、平均繊維長が0.5〜4mmの範囲の植物性短繊維を介在させることにより、繊維マット(又は繊維ボード)がプレス板へ張り付くことを確実に防止することができた。更に、10質量部を散布した実施例5においても効果的な張り付き防止が得られたものの、プレス板への植物性短繊維の残存が認められたことから、植物性短繊維を加熱加圧後に残存させないという観点から、その散布量は0.5〜9質量部(繊維マットを100質量部とする)の範囲であることが好ましいことが分かる。
尚、本発明においては、上記の具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
1;繊維ボード製造装置、10;繊維マット形成手段、11;回転体、12;ローラ対、13;エアブロー装置、20;植物性繊維散布手段、21;散布部、30;加熱加圧手段、311及び312;ドラム対、321及び322;エンドレスベルト、331及び332;加熱加圧室、341及び342;冷却加圧室、41、42及び43;搬送手段、411、421及び431;小径ローラ、412、422及び432;樹脂製ベルト

Claims (5)

  1. 植物性繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する繊維ボードの製造方法であって、
    植物性繊維と酸変性熱可塑性樹脂を含んだ熱可塑性樹脂繊維とを混合して繊維マットを形成する繊維マット形成工程と、
    前記繊維マットを一対のコンベア間で加熱加圧して繊維ボードを得る加熱加圧工程と、を備え、
    前記加熱加圧工程は、前記繊維マットと前記コンベアとの間に平均繊維長が0.5〜4mmの植物性短繊維を介在させて行うことを特徴とする繊維ボードの製造方法。
  2. 前記繊維マットは、前記植物性繊維と前記熱可塑性樹脂繊維との合計を100質量%とした場合に、該植物性繊維が30〜95質量%である請求項1に記載の繊維ボードの製造方法。
  3. 前記植物性短繊維は、前記繊維マット100質量部に対して3〜10質量部を介在させる請求項1又は2に記載の繊維ボードの製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂繊維は、前記酸変性熱可塑性樹脂と酸変性されていない熱可塑性樹脂とを含有し、その合計を100質量%とした場合に、該酸変性熱可塑性樹脂は0.5〜15質量%である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の繊維ボードの製造方法。
  5. 前記繊維マット形成工程における前記植物性繊維、及び前記加熱加圧工程における前記植物性短繊維、は共にケナフ繊維である請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の繊維ボードの製造方法。
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