JP5244500B2 - シリコン精製方法およびシリコン精製装置 - Google Patents
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Description
また、特に近年、太陽電池の生産量は増加の一途をたどっており、原料シリコンの需要も急激な伸びが見られる。このため太陽電池用シリコンの不足が顕在化している。
そこで切断又は研磨といったシリコンウェハの製造時に発生する廃液からシリコンを回収する方法が望まれている。しかし、廃液に含まれている砥粒の成分であるシリコンカーバイト、シリコンナイトライド、ダイヤモンドなどは化学的に不活性であるため、化学反応を利用した除去は困難である。このため、シリコンの機械加工を行った際に発生する廃液に含まれているシリコンを再利用することが困難となっている。そこで、上記の切断又は研磨といったシリコンウェハの製造時に発生する廃液からシリコンを回収する方法が提案されている。
すなわち、特許文献1においては廃スラリーから分散剤と砥粒を除去したスラッジを原料としているにも関わらず、さらに分級による分離工程にて砥粒を除去している。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、シリコンの機械加工を行った際に発生する廃液から従来よりも簡便な手法にて不純物の除去が可能となるシリコン精製方法、および本精製方法に好ましく使用できるシリコン精製装置を提供するものである。
さらに本発明は、本発明のシリコン精製方法により回収された、従来よりも結晶性の良い再生砥粒を提供するものである。
つまり、前記粉末に砥粒が含まれる場合、前記溶湯に砥粒が含まれる。この固定砥粒または遊離砥粒から生じる砥粒は、溶湯内において固体であり、密度がシリコン融液より大きい。その結果、砥粒は、溶湯の加熱容器内の対流により、加熱容器内の内壁または底に付着した粘度の高い酸化シリコンに付着する。その結果、出湯工程により、砥粒を粘度の高い酸化シリコンと共に加熱容器に残留させたまま、加熱容器から粘度の低いシリコン融液を冷却容器に出湯することができる。
また、加熱容器に付着した酸化シリコンおよび砥粒から砥粒を回収することにより、結晶化が促進され強度が高く、約1μmやサブミクロンの粒径の再生砥粒を得ることができる。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。
前記機械加工は、シリコンの円筒研削、切断、研磨またはウェハスライスであってもよい。
前記粉末分離工程は、(1)前記廃液をフィルターまたは遠心分離機を用いて固体分を捕捉し乾燥させることにより固体部分を取得する方法、(2)前記廃液を回収し加熱または蒸留することにより固体部分を取得する方法および(3)前記廃液に対して凝集剤を用いて固体部分を取得する方法のうち少なくとも1つを含む工程である固体部分分離工程を含んでもよい。
前記粉末分離工程は、前記固体部分分離工程により取得した前記固体部分を水、酸溶液、アルカリ溶液および有機溶剤のうち少なくとも1つを用いて洗浄する洗浄工程をさらに含んでもよい。
前記出湯工程において出湯されなかった部分である残留部を回収する残留部回収工程をさらに備えてもよい。
前記粉末は、前記機械加工に用いる固定砥粒または遊離砥粒から発生する砥粒を含み、かつ前記砥粒を含む前記残留部と酸溶液またはアルカリ溶液とを混合し、前記砥粒を分離する砥粒回収工程をさらに備えてもよい。
前記砥粒回収工程により得られた前記砥粒をふるい分けまたは分級する分級工程をさらに備えてもよい。
本発明は、前記砥粒回収工程または前記分級工程により得られた再生砥粒も提供する。
前記粉末は、前記機械加工に用いる固定砥粒または遊離砥粒から発生する砥粒を含んでもよい。
前記機械加工は、シリコンの円筒研削、切断、研磨またはウェハスライスであってもよい。
前記加熱容器の内壁または底に付着した酸化シリコンを含む前記残留部を物理的な方法で掻き出し、前記残留部容器に移動させる残留部回収機構をさらに備えてもよい。
前記粉末は、前記機械加工に用いる固定砥粒または遊離砥粒から発生する砥粒を含み、かつ前記砥粒を含む前記残留部と酸溶液またはアルカリ溶液とを混合し、前記砥粒を分離する洗浄機構をさらに備えてもよい。
前記洗浄機構により分離された前記砥粒をふるい分けまたは分級する分粒機構をさらに備えてもよい。
ここで示した種々の実施形態は、互いに組み合わせることができる。
また、図2は、本発明の一実施形態のシリコン精製方法に用いるシリコン精製装置の概略断面図である。
本発明の一実施形態のシリコン精製方法では、シリコンの機械加工を行った際に発生する廃液1について、まずシリコン粉4を含む粉末3又はシリコン粉4および砥粒5を含む粉末3を得る粉末分離工程を行う。粉末分離工程では、廃液1中の液体部分を除去する固体部分分離工程を行うことができ、固体部分分離工程により固体部分2を得ることができる。なお、固体部分2は粉末3と同一である場合がある。また、粉末分離工程では、固体部分2の金属成分などを除去する洗浄工程を行うことができ、洗浄工程によりシリコン粉4を含む粉末3又はシリコン粉4および砥粒5を含む粉末3を得ることもできる。その後、粉末3について、シリコン精製装置24を用いて収納工程、溶融工程および出湯工程を行うことにより高純度シリコン6を得ることができる。また、残留部回収工程、砥粒回収工程、分級工程を行うことにより、再生砥粒8を得ることもできる。
以下、本実施形態について説明する。
1−1.シリコンの機械加工
シリコン単結晶又は多結晶からなる薄板(シリコンウェハ)の製造工程などシリコンの加工工程において、シリコンについて様々な機械加工が行われる。シリコンの機械加工は、特に限定されないが、たとえばシリコンの円筒研削、切断、研磨、ウェハスライス、ダイシング切断および外周切削などである。これらのシリコンの機械加工に用いられるものはそれぞれの機械加工により異なるが、たとえば、水、潤滑油、切断刃、ワイヤー、遊離砥粒および固定砥粒などのうち1つ以上が用いられる。
なお、遊離砥粒とは、粉末状の砥粒であり、一般的に水、潤滑油中に遊離した状態で使用される。また、固定砥粒とは、結合剤などで固定された砥粒である。
また、遊離砥粒および固定砥粒は、特に限定されないが、たとえば、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドまたはダイヤモンドを1つ以上含むものが用いられる。
(1)水分
(2)シリコンが削られることのより生じるシリコン粉4。このシリコン粉4は、表面に酸化膜(酸化シリコン)を有する。また、このシリコン粉4は、粒度が0.001μm〜99.9μmである。また、このシリコン粉4は、酸化膜(SiOx)の比率が高い。
(3)機械加工に使用した固定砥粒、遊離砥粒から生じる砥粒5。
(4)切断刃、ワイヤー等から生じる金属成分
(5)潤滑油のオイル成分
粉末分離工程において、シリコンの機械加工を行った際に発生する廃液1からシリコン粉4を含む粉末3又はシリコン粉4および砥粒5を含む粉末3を取得する。粉末分離工程は、固体部分分離工程を含むことができる。また、粉末分離工程は、洗浄工程を含むこともできる。
また、図3は、本発明の一実施形態のシリコンの各機械加工についての粉末分離工程のフローチャートである。
固体部分分離工程により、廃液1から固体部分2を得ることができる。なお、固体部分2は粉末3と同一の場合がある。固体部分分離工程は、(1)廃液1をフィルターまたは遠心分離機を用いて固体分を捕捉し乾燥させることにより固体部分2を取得する方法、(2)廃液1を回収し加熱または蒸留することにより固体部分2を取得する方法及び(3)廃液1に対して凝集剤を用いて固体部分2を取得する方法のうち少なくとも1つを含む工程である。
なお、この固体部分2には、オイル成分および金属成分が含まれている場合がある。また、固体部分2は、粉末3である場合もある。
固体部分分離工程は特に限定されないが、以下に、具体的なシリコンの機械加工を行った際に発生する廃液1についての固体部分分離工程の一例について説明する。
シリコンの機械加工は、たとえば円筒研削盤、バンドソー、平面研削盤、ロータリー研削盤、マルチワイヤソーなどを用いて行うことができる。潤滑材には、水またはオイルを用いることができる。これらのシリコンの機械加工により発生する廃液1について、固体部分分離工程を行うことができる。たとえば、水またはオイルを循環させる際にフィルターろ過または遠心分離で切断屑を捕集すること、切断後の水またはオイルをフィルタープレス等で絞って切断屑を回収すること、または凝集剤を用いて切断屑を回収することなどにより固体部分2を得ることができる。
また、凝集剤は、たとえばアニオン、カチオン系の高分子凝集剤が適用可能である。ただし、後工程において使用した凝集剤に対して可溶性を示す有機溶剤等を用いて凝集剤を除去することが必要となる場合がある。
シリコンの外周切削、切断加工を行った場合、金属不純物を含む場合があり、また、シリコン粉4の酸化膜の比率が高い場合がある。
シリコンの機械加工は、たとえば研磨装置、ダイシングソーなどを用いて加工を行うことができる。潤滑材には、水が用いられることが多い。これらのシリコンの機械加工により発生する廃液1について、固体部分分離工程を行うことができる。たとえば、廃液1をフィルタープレス、遠心分離機等を用いて切断屑として固体部分2を回収することができる。
シリコンの研磨で用いられる研磨パッドやダイシング切断で用いられるダイシングブレードには、固定砥粒としてダイヤモンドを分散させているものが用いられることが多い。このため、回収された固体部分2には、砥粒5としてダイヤモンドが含まれる場合が多い。また、シリコン粉4の酸化膜の比率が大きい場合がある。
シリコンの機械加工は、マルチワイヤソーを用いて加工を行うことができる。潤滑材には、水溶性または油性のオイルが用いられることが多い。具体的には、潤滑材中にシリコンカーバイト、シリコンナイトライドなどの遊離砥粒を混合してスラリーを製造し、金属ワイヤーを走行させながらシリコンに送りを与えて切断を行うことができる。
例えば、切断後のスラリーを回収し、これをフィルタープレス、遠心分離などの方法を用いて切断屑として固体部分2を回収することができる。
この方法で回収した固体部分2は、オイル成分、ワイヤー起因の金属粉、シリコンカーバイト、シリコンナイトライド等の砥粒5が含まれる場合が多い。また、シリコン粉4の酸化膜の比率が大きい場合がある。
また、具体的には、マルチワイヤソーを用い、潤滑材に水、水溶性または油性のオイルを用い、金属ワイヤー中にダイヤモンド等の固定砥粒を固着させたワイヤーを走行させながらシリコンに送りを与えて切断を行うこともできる。
たとえば、水またはオイルを循環させる際にフィルターろ過または遠心分離で切断屑を捕集すること、または切断後の水またはオイルをフィルタープレス等で絞って切断屑を回収することなどにより固体部分2を得ることができる。
この方法で回収した固体部分2は、ワイヤー起因の金属粉、ダイヤモンド等の砥粒5が比較的多く含まれる場合が多い。また、シリコン粉4の酸化膜の比率が大きい場合がある。また、潤滑材に水溶性または油性のオイルを用いた場合、オイル成分も含まれる。
水溶性または油性のオイルを使用した場合、オイルの再利用も考慮し、切断後のスラリーを回収し、蒸留を行い、固体を回収することにより、固体部分2を回収することも可能である。この方法により得られた固体部分2はオイル成分の含有量が比較的少ない。また、蒸留により得られた液体はオイルとして再利用することも可能である。このことにより、廃棄物量の削減が可能である。
洗浄工程において、固体部分分離工程により分離された固体部分2を水、酸溶液、アルカリ溶液および有機溶剤のうち少なくとも1つを用いて洗浄することができる。洗浄工程により、たとえば固体部分2に含まれるオイル成分および金属成分などを除去することができる。なお、シリコンの酸化膜である酸化シリコンは、酸洗浄により除去される場合があるが、放置している間に自然酸化膜のようなかたちで酸化膜が再度形成される場合がある。
洗浄工程は、特に限定されないが、以下に固体部分2からオイル成分および金属成分を除去した洗浄工程の一例について説明する。
固体部分分離工程により得られた固体部分2のうち、水溶性または油性のオイルを用いるシリコンの切断加工の廃液1から回収した固体部分2は、オイル成分が2%〜50%の高い成分で残留している場合がある。
このオイル成分を除去するために洗浄工程を行うことができる。たとえば、固体部分2をオイルの沸点以上に加熱することにより潤滑油のオイル成分を除去することができる。また、たとえば固体部分2を酸溶液または有機溶剤により洗浄することによりオイル成分を除去するができる。
固体部分2をオイルの沸点以上に加熱する方法は、特に限定されないが、たとえば、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気中でオイルの沸点以上に加熱することにより、オイル成分をたとえば1%以下とすることができる。
また、固体部分2を洗浄する酸溶液は、特に限定されないが、たとえば、塩酸、硫酸などである。また、固体成分2を洗浄する有機溶剤は、特に限定されないが、たとえば、イソプロピルアルコール、エタノール、アセトンなど、低分子であり、オイル成分に対して可溶性の有機溶剤などである。
固体部分2の回収に凝集剤を使用した場合、凝集剤に対して可溶な有機溶剤を用いて固体部分2の洗浄を行う場合がある。
固体部分分離工程により得られた固体部分2は金属成分を含んでいる場合がある。特にシリコンウェハの製造した際に発生する廃液1から得られた固体部分2は金属成分を例えば0.01wt%〜9.9wt%で含んでいる場合がある。
この金属成分を除去するために洗浄工程を行うことができる。たとえば、固体部分2を酸溶液で洗浄することにより金属成分を除去することができる。また、固体部分2から金属成分を偏析などにより除去することもできる。
固体部分2を洗浄する酸溶液は、特に限定されないが、たとえば、塩酸、硫酸、フッ酸などである。なお、固体部分2に含まれる金属成分は、単一粒として存在しているため、酸溶液による洗浄により除去が容易である。
なお、高濃度で金属成分を含有している固体部分2を高温で溶融すると合金を形成する場合がある。合金の形成後、偏析で除去することは困難である場合が多い。
固体部分分離工程および洗浄工程を経て回収、洗浄されたシリコン粉4を含む粉末3又はシリコン粉4および砥粒5を含む粉末3は、オイル成分、金属成分は少ないが、シリコン粉4の酸化膜の割合が大きい。また一般にシリコンカーバイト、シリコンナイトライド、ダイヤモンド等からなる砥粒5を含む場合が多く、そのままでは太陽電池などに使用するシリコン材料としては好ましいものではない。
粉末3が砥粒5を含む場合、砥粒5の含有量は、特に限定されないが、たとえば1〜20wt%(たとえば1、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18および20wt%の何れか2つの間の範囲)である。
また、シリコン粉4は、粒度が0.001μm〜99.9μm(たとえば0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、7、10、30、50、70、および99.9μmの何れか2つの間の範囲)であり、酸化膜(SiOx)の比率が高い。シリコン粉中の酸化シリコンの含有量は、たとえば3wt%〜30wt%(たとえば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29および30wt%の何れか2つの間の範囲)である。
よって、粉末分離工程を経て回収、洗浄されたシリコン粉4を含む粉末3又はシリコン粉4および砥粒5を含む粉末3は、シリコン精製装置24を用いる収納工程、溶融工程および出湯工程を経ることによって、太陽電池などに使用するシリコン材料として好ましく使用できるレベルにまで簡便に精製できる。
溶融工程および出湯工程について説明する前に、これらの工程で用いる図2に示したシリコン精製装置24について説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
本発明の一実施形態であるシリコン精製装置24は、シリコンの機械加工を行った際に発生する廃液1から分離され、かつ酸化シリコンを有するシリコン粉4を含む粉末3を溶湯21とする加熱容器10、加熱容器10を加熱する加熱手段11および溶湯21に含まれるシリコン融液を出湯する出湯手段12を有する溶融炉13と、溶湯21に含まれる粘度の低いシリコン融液を収納し冷却する冷却容器14と、加熱容器10の内壁または底に付着する粘度の高い酸化シリコンを含む残留部を収納する残留部容器15とを備え、溶融炉13、冷却容器14および残留部容器15は、減圧可能な減圧容器9の内部にある。
また、本発明の一実施形態のシリコン精製法に用いるシリコン精製装置24は、残留部回収機構20、搬送機構16、粉末収納機構19、洗浄機構および分粒機構を備えてもよい。
以下、本発明の一実施形態のシリコン精製装置24の各構成要素について説明する。
減圧容器9は、溶融炉13、冷却容器14および残留部容器15を内部に納めることができ、内部を減圧または不活性ガス雰囲気にすることができれば、特に限定されない。また、残留部回収機構20、搬送機構16、および粉末収納手段19などを備える場合は、これらを内部に納めること、または備えることができる。また、減圧容器9の内部圧力は、たとえば1〜760Torrとすることができることが望ましい。また、不活性ガスは、たとえば、アルゴン、ヘリウムまたは窒素を含むガスである。
溶融炉13は、加熱手段11、加熱容器10および出湯手段12を有する。
加熱手段11は、シリコン粉4を含む粉末3又はシリコン粉4および砥粒5を含む粉末3をシリコンが溶融した溶湯21とすることができる温度まで加熱することができれば特に限定されないが、たとえば、抵抗加熱ヒーター、誘導加熱、アーク溶融またはプラズマ溶融である。
加熱容器10は、シリコン粉4を含む粉末3又はシリコン粉4および砥粒5を含む粉末3をシリコンが溶融した溶湯21とすることができる容器であれば、特に限定されない。
加熱容器10の材質は、たとえば、カーボン、ムライト、アルミナ、マグネシアまたは水冷銅鋳型などである。また、加熱容器10は、アーク溶融、プラズマ溶融のように、局所的に大きな温度が印加されるような加熱手段11を用いる場合、水冷銅鋳型が好ましく、抵抗加熱ヒーター、誘導加熱を用いる場合、カーボン坩堝が望ましい。
また、加熱容器10は、出湯手段12を備えてもよい。
出湯手段12は、加熱容器10内の溶湯21に含まれるシリコン融液部22を出湯するための手段である。なお、シリコン融液部22とは、溶湯21に含まれるシリコン融液からなる部分である。出湯手段12は、シリコン融液部22を出湯することができれば特に限定されないが、たとえば、加熱容器10を傾けることができる傾動手段である。
また、たとえば加熱容器10に出湯手段12を設けることもできる。
図4は、本発明の一実施形態の出湯手段12を有する加熱容器10の斜視図である。
たとえば、図4(a)に示すように加熱容器10の上面に出湯手段12を設けること、または図4(b)に示すように加熱容器10の側面/下面の任意の位置に出湯手段12を設けることもできる。図4(b)の出湯手段12を設ける場合、開閉可能な構造とする必要がある。
冷却容器14は、溶湯21に含まれるシリコン融液部22を収納することができ、シリコン融液部22を冷却することができる容器であれば特に限定されないが、たとえば、シリカ坩堝や砂を焼結した坩堝など安価な使い捨てのものを用いることが望ましいが、カーボン鋳型や水冷銅鋳型などに出湯し、鋳型を再利用してもよい。
残留部容器15は、加熱容器10に粘着した粘着部23を残留部7として収納することができる容器であれば、特に限定されないが、たとえば、シリカ坩堝や砂を焼結した坩堝など安価な使い捨てのもの、カーボン鋳型や水冷銅鋳型のような冷却容器と同様のもの、ステンレスや耐熱ボードなどのような簡易的なもののいずれを用いてもよい。なお、粘着部23とは、溶湯21に含まれる酸化シリコン又は酸化シリコンおよび砥粒5が加熱容器10に粘着した部分である。
また、本実施形態のシリコン精製装置24は、残留部容器15の位置と冷却容器14の位置とを移動させることができる運搬機構16を備えてもよい。また、運搬機構16は、減圧容器9内を不活性ガス雰囲気または減圧状態を保持したまま、冷却容器14と残留部容器15を回転台やベルトコンベア等の搬送機構16を用いて搬送可能にすることで位置を交代できることが望ましく、減圧容器9外へ搬出できることがさらに望ましい。
粉末収納機構19は、加熱容器10に粉末3を投入し、その粉末3を溶湯21にすることができれば、特に限定されない。粉末収納機構19は、減圧容器9内を不活性ガス雰囲気または減圧状態を保持したまま、粉末3を投入することができることが望ましい。
粉末収納機構19は、たとえば、減圧容器9が備える粉末投入口17、棒状体18、ガス吹き付け口などである。棒状体18の材料は特に限定されないが、たとえばカーボンまたはモリブデン等の高融点金属である。
残留部回収機構20は、加熱容器10に粘着した粘着部23を残留部7として残留部容器15に移動させることができる手段であれば、特に限定されないが、たとえば、ヘラ状の掻き出し棒などである。また、残留部回収機構20の材料は、加熱容器10に粘着した粘着部23を残留部容器15に移動させることができれば特に限定されないが、たとえばカーボンまたはモリブデン等の高融点金属である。
本発明の一実施形態のシリコン精製装置24は、さらに残留部7と酸溶液またはアルカリ溶液とを混合し、残留部7に含まれる砥粒5を分離する洗浄機構をさらに備えることができる(図示せず)。この洗浄機構は、「1−6」に記載の砥粒回収工程において使用することができる。なお、この洗浄機構は、残留部7が砥粒5を含まない場合、使用されない。
本発明の一実施形態のシリコン精製装置24は、さらに前記洗浄機構により分離された前記砥粒をふるい分けまたは分級する分粒機構をさらに備えることができる(図示せず)。この分粒機構は、「1−7」に記載の分級工程において使用することができる。
以下に、シリコン精製装置24を用いる粉末3から酸化シリコン又は酸化シリコンおよび砥粒5を除去し、高純度シリコン6を得る方法を説明する。
なお、この方法は、溶融工程および出湯工程からなる。また、収納工程を備えることもできる。これらの工程は、減圧容器9の内の雰囲気が減圧または不活性ガスで行われる。不活性ガスは、特に限定されないが、たとえばアルゴン、ヘリウムまたは窒素を含むガスである。また、減圧雰囲気での減圧容器9の内部圧力は、たとえば1Torr以上760Torr以下(たとえば、1、10、50、100、200、300、400、500、600、700、760Torrのいずれか二つの間の範囲)である。
この条件で行うことにより、より高純度のシリコンを得ることができる。
収納工程において、粉末分離工程を経たシリコン粉4を含む粉末3又はシリコン粉4および砥粒5を含む粉末3をシリコン精製装置24の減圧容器9内の加熱容器10に収納することができる。収納方法は特に限定されないが、溶融炉13を減圧容器9内に入れる前に収納することもできる。また、粉末収納手段19を使用して収納することもできる。
溶融工程において、加熱手段11により加熱容器10内の粉末3をシリコンの融点以上2000℃以下に加熱し、粉末3に含まれるシリコンをシリコン融液とした溶湯21とする。加熱温度は、たとえば1412℃以上2000℃以下(たとえば、1412、1450、1500、1550、1600、1800、1900および2000℃のいずれか二つの間の範囲)、望ましくは1600℃以上1800℃以下とする。
シリコン粉4には酸化膜としての酸化シリコンが多く含まれるため、粉末3をシリコンの融点である1412℃近傍に加熱しても溶湯21の形成に時間を要する場合が多い。このため、粉末3を1600℃以上の温度に加熱することが望ましい。加熱温度を上げすぎるとシリコンの蒸発が促進される場合があるため、2000℃以下、望ましくは1800℃以下とすることが好ましい。
また、溶融工程において粉末収納機構19により粉末3の追加収納を行ってもよい。また、粉末3は、溶湯21に含まれるシリコン融液に対して浮く傾向があるため、たとえば棒状体18やガス吹き付けなどで物理的に粉末3を沈めることもできる。このことにより、加熱容器10内の溶湯21を十分な量とすることができる。
溶湯21に含まれるシリコン粉4に起因するシリコンは、溶融してシリコン融液として存在する。
溶湯21は、シリコン融液が主成分である。しかし、シリコン粉4の酸化膜に起因する酸化シリコン25が存在する。また、固定砥粒または遊離砥粒に起因する砥粒5が存在する場合がある。
酸化シリコン25は、1412℃以上2000℃以下の溶湯21においてシリコン融液より高い粘度を持った状態で存在する。一般的に言われているシリコン融液の粘度は0.5mPa・sで水状であるが、酸化シリコン25の粘度は1600℃で107〜109mPa・s、1800℃で106〜108mPa・sで水飴状であり、顕著な差がある。
溶湯21全体は対流等により攪拌されるため、粘度の高い酸化シリコン25は、加熱容器10の内壁または底へ粘着する。
溶湯21の主成分はシリコン融液であり、加熱容器10の内壁および底に酸化シリコン25が粘着する。さらに溶湯21に砥粒が含まれる場合、酸化シリコン25にさらに砥粒が付着する。
なお、粉末3に含まれるシリコン粉4は、粒度が0.001μm〜99.9μm程度であり、酸化膜(SiOx)の比率が高い。このため、溶湯21に含まれる砥粒5のすべてが粘着するために必要な酸化シリコン25は十分に存在すると考えられる。
このように、加熱容器10内において粉末3から溶湯21を形成し、溶湯21を対流させることにより、加熱容器10に粘着した酸化シリコン25又は加熱容器10に粘着した酸化シリコン25および酸化シリコン25に粘着した砥粒5からなる粘着部23と、シリコンが溶融したシリコン融液部22とに分離することができる。
出湯工程において、加熱容器10内のシリコン融液部22を冷却容器14に出湯する。出湯方法は、シリコン融液部22が出湯されれば、特に限定されないが、出湯手段12を用いることもできる。たとえば、出湯手段12である傾動手段を用い加熱容器10を傾けることにより加熱容器10内のシリコン融液部22を冷却容器14に出湯することができる。
図6は、傾動手段を用い加熱容器10を傾けシリコン融液部22を冷却容器14に出湯した場合の本発明の一実施形態のシリコン精製装置24の概略断面図である。
また、図4(a)に示すように、加熱容器10の上面に出湯手段12を設けることにより、加熱容器10内のシリコン融液部22を出湯することもできる。また、図4(b)に示すように、加熱容器10の側面/下面の任意の位置に出湯手段12を設けることにより、加熱容器10内のシリコン融液部22を出湯することもできる。図4(b)の出湯手段12を設ける場合、開閉可能な構造とする必要がある。
すなわち、冷却容器14に出湯されたシリコン融液部22は、加熱容器10で形成した溶湯21から不純物である酸化シリコン25又は酸化シリコン25と砥粒5からなる粘着部23が除去された精製された高純度のシリコンである。このシリコン融液部22を冷却容器14で冷却することにより高純度シリコン6の塊を得ることができる。この高純度シリコン6は、太陽電池の製造に使用するシリコン材料として使用できるため、太陽電池用シリコン不足の解消を図ることができ、また、廃棄物量を削減することができる。
また、この冷却容器14を搬送機構16により減圧容器9外に移動することもできる。
以上の収納工程、溶融工程および出湯工程を繰り返すことにより、粉末3から連続して精製された高純度シリコン6を得ることができる。なお、この工程を繰り返すには、出湯工程後に加熱容器10から粘着部23を残留部容器15に回収することが必要である。
出湯工程において出湯されなかった部分である残留部を回収する残留部回収工程をさらに行うこともできる。
図7は、傾動手段を用い加熱容器10を傾け加熱容器10に粘着した粘着部23を残留部7として残留部容器15に移動した場合の本発明の一実施形態のシリコン精製装置24の概略断面図である。
たとえば、残留部回収機構20を用いて、加熱容器10に粘着した粘着部23および出湯できなかったシリコン融液を物理的な方法で掻き出し残留部7として残留部容器15に移動することができる。なお、残留部7は、粘着部23およびシリコン融液の一部を含む。
また、この残留部7を収納した残留部容器15を搬送機構16により減圧容器9外に移動することもできる。
なお、残留部7は、酸化シリコン25及びシリコン、又は酸化シリコン25、砥粒5及びシリコンを含む。残留部7が砥粒5を含む場合、粉末3と比較すると、砥粒5の割合が多い。
なお、残留部回収工程を行うことにより、加熱容器10内は、空または空に近い状態とすることができる。このため、上記残留部回収工程、収納工程、溶融工程および出湯工程は、加熱容器10の寿命(長期使用による消耗などによる)範囲において繰り返し行うことができる。
残留部7に砥粒5が含まれる場合、砥粒回収工程において、残留部7を酸溶液またはアルカリ溶液で残留部7に含まれるシリコンおよび酸化シリコン25を溶解し、砥粒5を分離することができる。たとえば、残留部7に含まれる酸化シリコン25およびシリコンをフッ酸、硝酸などの酸溶液、または、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ溶液で溶解、除去し、砥粒5を回収することができる。たとえば、残留部7および酸などを、残留部7:フッ酸(46%):硝酸(70%):水=5:20:10:70の割合で混合することができる。これを攪拌しながら1時間保持することができる。その後、遠心分離機により、砥粒5を回収することができる。この回収された砥粒5は、シリコンの機械加工などにおいて再生砥粒8として再利用することができる。このため、コスト削減を図ることができ、さらに廃棄物量の削減が可能である。
砥粒回収工程により得られた砥粒5をふるい分けまたは分級する分級工程をさらに備えることができる。砥粒回収工程により回収された砥粒5は、様々な粒径のものを含んでいる。たとえば、切断加工の際に用いられたものであれば、その際の粒径と同じものも含まれ、切断加工の際に砕かれたより小さい粒径のものも含まれる。これをふるい、あるいは分級すれば、所望の粒径の再生砥粒8を得ることができる。その粒径に適したシリコンの機械加工について、この再生砥粒8を再利用することができる。
砥粒回収工程、分級工程で得られる再生砥粒8は、たとえば、シリコンカーバイト、シリコンナイトライド、ダイヤモンドなどからなる。また、再生砥粒8は、シリコンの機械加工の際に砕かれた固定砥粒または遊離砥粒から生じる。このため、この再生砥粒8には、およそ1μmの粒径の再生砥粒8やサブミクロンの粒径(#10000以上)の再生砥粒8が多く含まれる。このような粒径の小さい砥粒は、通常の生産では粉砕加工などに非常に手間を要する。従って、再生砥粒8は、粒径の小さい砥粒が得られるため、経済的な利点も有する。
また、溶融工程において、砥粒5は、1412℃以上に加熱され結晶化が促進される。このため、再生砥粒8は、結晶化が促進された非常に大きい強度を有する。
次に本発明の効果実証実験について説明する。ここでは、シリコンの切断加工を行った際に発生する廃液1に含まれるシリコンを精製する実験およびこの廃液1に含まれる砥粒5から再生砥粒25を得る実験を行った。
マルチワイヤソーを用いてシリコンの切断加工を行った。潤滑材には水溶性オイル(大智化学製、ルナクーラント)を用い、遊離砥粒はシナノ製のシリコンカーバイトGC#1000(平均粒径約11μm)を用いた。この切断加工により発生した廃液1は、砥粒およびオイル成分が多いため、遠心分離機で砥粒、鉄分を主とする高密度の固体分と、シリコン粉、オイルを主とする低密度成分に分離した。その後、更に固体分を200℃、76Torrで真空蒸留した。得られた固体部分2の組成を調べた結果を表2に示す。なお、固体部分2が含有する鉄粉の量の分析は、ICP発光分析により行った。また、固体部分2が含有する砥粒の量の分析は、固体部分2をフッ酸と硝酸の混合液および苛性ソーダを用いて溶解し、残留物の重量を測定することにより行った。固体部分2が含有するオイルの量の分析は、固形物熱重量測定器を用いて、室温から500℃まで加熱した後の重量変化を測定することにより行った。
固体部分2には、シリコンが削られた結果生じるシリコン粉4、マルチワイヤソーから発生する鉄粉、遊離砥粒から生じる砥粒5および潤滑材であるオイルが含まれ、不純物である鉄粉およびオイル成分が多く含まれることがわかった。
固体部分2から、鉄粉とオイル成分を除去するために、塩酸で洗浄を行った。
まず、固体部分2などを、固体部分2:塩酸(35%):水=1:2:2の割合で混合した。その後、混合したものを攪拌しながら1時間保持した。その後、フィルタープレスを用いて固形分を回収し、リンス水を流して酸を除去した。その後、回収された固形分を振動乾燥機を用いて乾燥を行い、シリコン粉4および砥粒5を含む粉末3が得られた。
乾燥後の粉末3の組成を調べた結果を表3に示す。なお、測定方法は、表2の場合と同様である。また、シリコン粉の酸化分は、EDAX製の蛍光X線を用いて分析を行った。
粉末3は、シリコン粉4を主成分とし、砥粒5を含んでいた。鉄分およびオイルは洗浄工程によりほとんど除去されたことがわかった。
シリコン精製装置24により粉末3から酸化シリコン25および砥粒5の除去を行い、シリコンの精製を行った。溶融炉13は、加熱手段11として誘導加熱することができるものを用い、加熱容器10としてカーボン坩堝を用いた。また、減圧容器9の内部は、アルゴンガス雰囲気で、内部圧力を760Torrとした。
洗浄工程で得られた粉末3を減圧容器9内部の加熱容器10内に収納した。具体的には、粉末投入口17から粉末3を加熱容器10内に投入した。
加熱容器10と粉末3を誘導加熱により加熱した。粉末3を1700℃まで加熱することにより粉末3に含まれるシリコンが溶融し、粉末3は、溶湯21となった。その後、粉末3を加熱容器10内が溶湯21で満タンになるまで粉末投入口17から随時投入を行った。粉末3は、溶湯21に対して浮く傾向があるため、カーボン製の棒状体18を用いて物理的に粉末3を沈めた。
溶融工程後の加熱容器10を出湯手段12である傾動手段を用いて傾動することにより、加熱容器10内のシリコン融液部22をカーボン鋳型の冷却容器14に出湯した。この冷却容器14内のシリコン融液部22を冷却することにより高純度シリコン6を得ることができた。
上記の出湯工程により得られた冷却容器14内の高純度シリコン6の砥粒5成分および酸化シリコン25成分の測定を行った。
表4に、高純度シリコン6中の砥粒5成分であるシリコンカーバイト濃度を測定した結果を示す。測定は高純度シリコン6を前洗浄し、表面の有機物(シリコンカーバイト以外のカーボン不純物)を除去した後、堀場製作所製の固体中炭素分析装置EMIAで行った。その後、測定されたC濃度を分子量からSiC換算して求めた。この結果より、粉末3では5%であったシリコンカーバイトの濃度が収納工程、溶融工程および出湯工程を経ることにより300ppmまで減少していることがわかった。
出湯工程において出湯されなかった部分である残留部を回収する残留部回収工程を行った。
まず、加熱容器10内に残留した酸化シリコン25および砥粒5からなる粘着部23を残留部回収機構20であるカーボン製のヘラを用いて物理的に掻き出し、カーボン製の残留部容器15に残留部7として回収した。
残留部容器15内に回収された残留部7を坩堝から取り出し、砥粒5を回収し再生砥粒8を得た。
まず、残留部7および水酸化ナトリウムなどを残留部7:水酸化ナトリウム:水=5:20:80の割合で混合した。これを攪拌しながら50℃程度の温度に1時間保持した。その後、遠心分離機により、砥粒5を回収し再生砥粒8を得た。
砥粒回収工程により回収された砥粒5を分粒機構により分級し、0.2μm以下と0.3μm以上の砥粒5を分離した。その結果、粒径が0.2〜0.3μmの再生砥粒8、0.2μm以下の再生砥粒8、0.3μm以上の再生砥粒8を得た。
3−8−1.再生砥粒の結晶性
砥粒回収工程により得られた再生砥粒8の写真の撮影を行った。また、比較例として、砥粒回収工程と同じ条件を用いて粉末3をアルカリ溶液で処理し、得られた砥粒の写真の撮影を行った。
図8は、砥粒回収工程により得られた再生砥粒8の写真である。
図9は、粉末3をアルカリ溶液で洗浄し、シリコン粉4を除去した砥粒5の写真である。
これらの写真から、粉末3から得られた砥粒5は、再結晶化されていないが、砥粒回収工程により得られた再生砥粒8は、溶融工程における加熱により再結晶化が促進され、強度の高いグリーンカーボン(GC)化されていることがわかった。
砥粒回収工程により得られた再生砥粒8の粒径分布の測定を行った。
図10は、各粒子径の再生砥粒8の粒子量(%)および相対粒子量(%)を示す図である。0.2μm以上0.3μm以下の粒径の再生砥粒8が最も多いことがわかった。
Claims (15)
- シリコンの機械加工を行った際に発生する廃液から酸化シリコンを有するシリコン粉を含む粉末を分離する粉末分離工程と、
減圧または不活性ガス雰囲気下の加熱容器中において前記粉末をシリコンの融点以上2000℃以下の温度に加熱し、シリコンが溶融した溶湯とする溶融工程と、
前記溶湯に含まれる前記加熱容器の内壁または底に付着する粘度の高い酸化シリコンを前記加熱容器に残し、粘度の低いシリコン融液を冷却容器に出湯する出湯工程と、
を備えるシリコン精製方法。 - 前記粉末は、前記機械加工に用いる固定砥粒または遊離砥粒から発生する砥粒を含む請求項1に記載の方法。
- 前記固定砥粒または前記遊離砥粒は、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドまたはダイヤモンドを含む請求項2に記載の方法。
- 前記機械加工は、シリコンの円筒研削、切断、研磨またはウェハスライスである請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
- 前記粉末分離工程は、(1)前記廃液をフィルターまたは遠心分離機を用いて固体分を捕捉し乾燥させることにより固体部分を取得する方法、(2)前記廃液を回収し加熱または蒸留することにより固体部分を取得する方法および(3)前記廃液に対して凝集剤を用いて固体部分を取得する方法のうち少なくとも1つを含む工程である固体部分分離工程を含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
- 前記粉末分離工程は、前記固体部分分離工程により取得した前記固体部分を水、酸溶液、アルカリ溶液および有機溶剤のうち少なくとも1つを用いて洗浄する洗浄工程をさらに含む請求項5に記載の方法。
- 前記出湯工程において出湯されなかった部分である残留部を回収する残留部回収工程をさらに備える請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
- 前記粉末は、前記機械加工に用いる固定砥粒または遊離砥粒から発生する砥粒を含み、かつ前記砥粒を含む前記残留部と酸溶液またはアルカリ溶液とを混合し、前記砥粒を分離する砥粒回収工程をさらに備える請求項7に記載の方法。
- 前記砥粒回収工程により得られた前記砥粒をふるい分けまたは分級する分級工程をさらに備える請求項8に記載の方法。
- シリコンの機械加工を行った際に発生する廃液から分離され、かつ酸化シリコンを有するシリコン粉を含む粉末を溶湯とする加熱容器、前記加熱容器を加熱する加熱手段および前記溶湯に含まれるシリコン融液を出湯する出湯手段を有する溶融炉と、
前記溶湯に含まれる粘度の低いシリコン融液を収納し冷却する冷却容器と、
前記加熱容器の内壁または底に付着する粘度の高い酸化シリコンを含む残留部を収納する残留部容器とを備え、
前記溶融炉、前記冷却容器および前記残留部容器は、減圧可能な減圧容器の内部にあるシリコン精製装置。 - 前記粉末は、前記機械加工に用いる固定砥粒または遊離砥粒から発生する砥粒を含む請求項10に記載の装置。
- 前記機械加工は、シリコンの円筒研削、切断、研磨またはウェハスライスである請求項10または請求項11に記載の装置。
- 前記加熱容器の内壁または底に付着した酸化シリコンを含む前記残留部を物理的な方法で掻き出し、前記残留部容器に移動させる残留部回収機構をさらに備える請求項10〜12のいずれか1つに記載の装置。
- 前記粉末は、前記機械加工に用いる固定砥粒または遊離砥粒から発生する砥粒を含み、かつ前記砥粒を含む前記残留部と酸溶液またはアルカリ溶液とを混合し、前記砥粒を分離する洗浄機構をさらに備える請求項10〜13のいずれか1つに記載の装置。
- 前記洗浄機構により分離された前記砥粒をふるい分けまたは分級する分粒機構をさらに備える請求項14に記載の装置。
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