JP5231968B2 - 巻取り温度制御装置およびその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間圧延ラインの巻取り温度制御に係り、詳細には、巻取り温度を目標温度に一致させるのに加え、鋼板等の被圧延材の冷却速度を目標冷却速度に一致させる巻取り温度制御装置およびその制御方法に関する。
従来、巻取り温度制御を行う方法としては、特許文献1、2が開示されている。
例えば、特許文献1には、冷却装置の冷却水等を噴出するヘッダ開閉の優先順位を鋼種、板厚等に対応してテーブル化しておき、この情報を用いて目標巻取り温度を実現する冷却ヘッダの開閉パターンを設定する制御方法が記載されている。また、冷却ヘッダ開閉パターンをコード化し、すなわち、各冷却ヘッダ開閉パターンを対応する制御コードで表し、冷却ヘッダの開閉パターンの設定を簡易化する手法が示されている。
また巻取り温度だけでなく、鋼板の冷却温度パターンを制御する従来技術として、例えば、特許文献2には、仕上げ圧延機と巻取り機間の中間温度と、巻取り機近傍の巻取り温度をそれぞれ目標値に対して高精度に制御する手法が示されている。
特開2007−118027号公報(段落0025〜0028、0030、図4、図5等) 特開平9−216011号公報(段落0010〜0013、図1等)
ところで、冷却終了後の鋼板の冶金特性(金属結晶のフェライト粒径等)と機械特性(引っ張り強度、硬度等)は、鋼板の冷却速度(単位時間当たりの温度低下)に大きく依存することが知られている。しかし、鋼板の冷却速度を所定の目標値に制御する観点からすると従来の手法には、以下の問題がある。
特許文献1では、冷却ヘッダに対する優先順位の設定により、鋼板の冷却速度を間接的に制御できる。しかし、冷却ヘッダ優先順位と鋼板冷却速度が直接対応しないので、すなわち鋼板冷却速度と冷却ヘッダ優先順位との関連付けがなされていないため、冷却ヘッダ優先順位の設定を変更することで冷却速度を速めたり遅めにしたりする相対的な制御は行えるが、所望の冷却速度に対応してどのような冷却ヘッダ優先順位を設定すれば良いか、明らかでない。
また、冷却ヘッダ優先順位を固定的に定義しているため、鋼板速度が変わると鋼板の冷却速度が変化することに対応できず、冷却速度の絶対的な制御ができないという不都合がある。
特許文献2に記載された制御方法では、巻取り温度に加えて仕上げ圧延機と巻取り機間の鋼板の中間位置の温度を制御でき、中間温度を介して鋼板の冷却パターンを概ね制御できる。しかし、同様に、鋼板の冷却パターンが同じでも鋼板速度が変化すると鋼板の冷却速度は変化する。例えば、鋼板速度が速い場合、鋼板の冷却速度は遅くなる一方、鋼板速度が遅い場合、鋼板の冷却速度は速くなる。
熱間圧延の通板では、通常低速で圧延機から払い出した後、徐々に速度を増して最高速度に到達した後、鋼板尾端の圧延機抜け直前に、鋼板尾端の圧延機抜け時に、鋼板尾端がバタツクことを抑えるため、一気に鋼板速度を減少させる。
特許文献2に記載された鋼板の中間温度や冷却温度パターンを制御する方法では,このような鋼板の速度変化に対して、鋼板の冷却速度を一様に保てない問題がある。
本発明は上記実情に鑑み、鋼板等の被圧延材の巻取り温度を目標巻取り温度に制御し、かつ被圧延材の冷却速度を所望の値に制御可能な巻取り温度制御装置およびその制御方法の提供を目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1に関わる巻取り温度制御装置は、熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御装置であって、被圧延材が冷却されているときの冷却速度の目標値の目標冷却速度を満足するように、冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダの開放順序の優先関係を算出して出力する冷却ヘッダ優先順位算定手段と、該冷却ヘッダ優先順位算定手段が出力した各冷却ヘッダの優先順位を格納する冷却ヘッダ優先順位記憶部と被圧延材の速度に関する情報から被圧延材の位置を求めるとともに冷却ヘッダ優先順位記憶部の情報から当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、被圧延材の巻取り温度を推定し、該推定結果を用いて目標巻取り温度を実現するための冷却ヘッダの開閉の組み合わせであるヘッダパターンを算出して出力する制御指令算出手段とを含んで構成され、冷却ヘッダ優先順位算定手段は、冷却装置進入時の被圧延材の温度とダウンコイラで巻取られる前の被圧延材の目標巻取り温度とから冷却装置における被圧延材の温度降下量を算出し、該温度降下量と被圧延材の冷却速度の目標値の目標冷却速度から冷却に必要な時間を算出し、該冷却に必要な時間と被圧延材の速度に関する情報とから水冷に必要な距離を算出し、この距離から多数の冷却ヘッダを、開放する可能性がある冷却ヘッダ群と開放しない冷却ヘッダ群とに分離して特定し、該開放する可能性がある冷却ヘッダ群に対して被圧延材の冷却速度が一定に近い値となるように優先順位を付与している。
請求項3に関わる巻取り温度制御装置は、熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御装置であって、被圧延材が冷却されているときの冷却速度の目標値の目標冷却速度を満足するように、冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダの開放順序の優先関係を算出して出力する冷却ヘッダ優先順位算定手段と、該冷却ヘッダ優先順位算定手段が出力した各冷却ヘッダの優先順位を格納する冷却ヘッダ優先順位記憶部と、優先順位記憶部の情報を用いて、冷却ヘッダの開閉の組み合わせである各ヘッダパターンに対応する制御コードを生成し、被圧延材の速度に関する情報から被圧延材の位置を求めるとともに制御コードと冷却ヘッダ優先順位記憶部の情報から当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、被圧延材の巻取り温度を推定し、該推定結果を用いて目標巻取り温度を実現するための制御コードを算出して出力する制御指令算出手段と、優先順位記憶部の情報を用いて制御指令算出手段が出力した制御コードをヘッダパターンに変換して冷却装置に出力するヘッダパターン変換手段とを含んで構成され、冷却ヘッダ優先順位算定手段は、冷却装置進入時の被圧延材の温度とダウンコイラで巻取られる前の被圧延材の目標巻取り温度とから冷却装置における被圧延材の温度降下量を算出し、該温度降下量と被圧延材の冷却速度の目標値の目標冷却速度から冷却に必要な時間を算出し、該冷却に必要な時間と被圧延材の速度に関する情報とから水冷に必要な距離を算出し、この距離から多数の冷却ヘッダを、開放する可能性がある冷却ヘッダ群と開放しない冷却ヘッダ群とに分離して特定し、該開放する可能性がある冷却ヘッダ群に対して被圧延材の冷却速度が一定に近い値となるように優先順位を付与している。
請求項11に関わる巻取り温度制御方法は、熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御方法であって、冷却装置進入時の被圧延材の温度とダウンコイラで巻取られる前の被圧延材の目標巻取り温度とから冷却装置における被圧延材の温度降下量を算出し、該温度降下量と被圧延材の冷却速度の目標値から冷却に必要な時間を算出し、該冷却に必要な時間と被圧延材の速度に関する情報とから水冷に必要な距離を算出し、この距離から前記多数の前記冷却ヘッダを、開放する可能性がある冷却ヘッダ群と開放しない冷却ヘッダ群とに分離して特定し、該開放する可能性がある冷却ヘッダ群に対して前記被圧延材の冷却速度が一定に近い値となるように優先順位を付与し、冷却ヘッダ開閉の組み合わせである各ヘッダパターンに対応する制御コードを、該優先順位を用いて生成し、被圧延材の速度に関する情報から被圧延材の位置を求めるとともに制御コードと冷却ヘッダ優先順位記憶部の情報とから当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、被圧延材の巻取り温度を推定し、該推定結果を用いて目標巻取り温度を実現するための制御コードを決定して出力し、該制御コードをヘッダパターンに変換して前記冷却装置に出力している。
本発明によれば、被圧延材の巻取り温度を目標巻取り温度に制御し、かつ被圧延材の冷却速度を所望の値に制御可能な巻取り温度制御装置およびその制御方法を実現できる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態の巻取り温度制御装置100と制御対象150とを含む制御システムSの構成を示す概念図である。
<<第1実施形態>>
<制御システムSの概要>
第1実施形態の制御システムSは、圧延機152で圧延後の被圧延材の鋼板151の冷却速度およびダウンコイラ154で巻取る際の鋼板151の温度を制御し、均一な冶金特性および所望の機械特性が得られるようにするものである。
制御システムSにおける巻取り温度制御装置100は、圧延後の鋼板151の既設定の鋼板目標冷却速度を取り込み、この値と鋼板(151)速度から水冷必要距離を算出した上で、該水冷必要距離に含まれる冷却ヘッダ160(160a、160b)を優先的に開放するとともに目標冷却速度を満足するように各冷却ヘッダ160に優先順位を付与し、該情報を冷却ヘッダ優先順位記憶部115に出力する冷却ヘッダ優先順算定手段114を備えている。
そして、巻取り温度制御装置100の制御指令算出手段111は、冷却ヘッダ優先順算定手段114が出力した冷却ヘッダ優先順位記憶部115の内容(情報)を参照しつつ、ダウンコイラ154で巻取る際の鋼板151の目標巻取り温度を実現する冷却ヘッダ160の開閉パターンであるヘッダパターンを鋼板151の長手方向の各部位に対して算出する。
上記セットアップ計算の結果、目標巻取り温度/目標冷却速度の何れかが満足されないときは、鋼板(151)速度を増減して再度セットアップ計算が行われる。
このように、熱間圧延後の被圧延材の鋼板151の巻取り工程において、鋼板151の長手方向において冷却速度および巻取り温度を目標値に制御できるため、均一な冶金特性(金属結晶のフェライト粒径等)および機械特性(引っ張り強度、硬度等)が得られる。
従って、鋼板151(圧延製品)の組成品質を向上させることができるとともに、平坦に近い鋼板形状を得ることができる。
以下、第1実施形態の制御システムSについて詳細に説明する。
<制御システムS>
図1に示す制御システムSは、圧延機152で圧延後の鋼板151を巻取り冷却装置153の上・下部冷却装置158、159で冷却してダウンコイラ154で巻取る制御対象150と、該制御対象150から種々の信号を受信するとともに制御信号を制御対象150に出力する巻取り温度制御装置100とを備え構成されている。
<制御対象150>
制御システムSにおける制御対象150は、熱間圧延の鋼板151の巻取り温度制御ラインであり、圧延機152のミル157で圧延された後の約900℃の温度の鋼板151を巻取り冷却装置153で600℃程度に冷却し、ダウンコイラ154で巻取る。
巻取り冷却装置153には、鋼板151の上側から水wを当てて水冷する上部冷却装置158と、鋼板151の下側から水wを当てて水冷する下部冷却装置159が備えられている。
各上・下部冷却装置158、159は、それぞれ水wを放出する冷却ヘッダ160(上冷却ヘッダ160a、下冷却ヘッダ160b)が一定本数組み合わされた水冷バンク161を複数個、備えている。本第1実施形態では、各冷却ヘッダ160の操作指令が開と閉の場合を例に説明する。
圧延機152のミル157の直後に設けられるミル出側温度計155は、圧延機152で圧延された直後の鋼板151の温度を計測する一方、ダウンコイラ154の直前に設けられる巻取り温度計156は、ダウンコイラ154で巻取る直前の鋼板151の温度を計測する。
ここで、巻取り温度制御の目的は、巻取り温度計156で計測されたダウンコイラ154直前の鋼板151の温度を目標温度(目標巻取り温度)に一致させることである。この目標温度(目標巻取り温度)は、鋼板151の長手方向の各部位で一定の値を設定しても良いし、ダウンコイラ154への鋼板151の巻付き性や巻取り性に配慮して、鋼板151の先端、後端の目標温度を高めに設定する等、部位に応じて異なった値を設定することも可能である。
例えば、鋼板151の先端は、ダウンコイラ154での鋼板151の巻き付きの芯となるのできれいに巻いてあることが必要である。そこで、鋼板151が柔らかい方が巻きが良くなるので、例えば、定常状態で600℃のところ、640℃と高目に設定し柔らかくする。同様に、鋼板151の後端は、温度が高い方が巻きがよいので、定常状態で600℃のところ、640℃と高目に設定する等々である。
<巻取り温度制御装置100>
図1に示す巻取り温度制御装置100は、圧延後の鋼板151が巻取り冷却装置153で冷却されるのに先立って各冷却ヘッダ160の開閉パターンに対応した制御コードおよび各冷却ヘッダ160の開閉の優先順位を算出して出力するセットアップ制御手段110を備えている。なお、制御コードについては、後に図9を用いて詳述する。
また、巻取り温度制御装置100は、鋼板151が巻取り冷却装置153で冷却されているときに、巻取り温度計156の検出温度等の実績をリアルタイムに取り込んで、制御コードを変更するダイナミック制御手段120と、制御コードを各冷却ヘッダ160の開閉パターンに変換するヘッダパターン変換手段130とを備えている。
なお、各冷却ヘッダ160の開閉状態を示す開閉パターンの集合を、以下、ヘッダパターンと称する。
ここで、巻取り温度制御装置100(図1参照)におけるセットアップ制御手段110、ダイナミック制御手段120、およびヘッダパターン変換手段130は、例えば、C言語等で記述され、プロセス・コンピュータに格納されており、CPU(Central Processing Unit)で実行されることにより、具現化される。
なお、セットアップ制御手段110、ダイナミック制御手段120、およびヘッダパターン変換手段130の実現方法は、これに限定されないのは勿論である。
そして、制御対象150は、このプロセス・コンピュータによって、PLC(programmable logic controller)を介して、制御されている。
<セットアップ制御手段110>
セットアップ制御手段110は、冷却ヘッダ優先順位算定手段114と、制御指令算出手段111とを備えている。
冷却ヘッダ優先順位算定手段114は、目標冷却速度テーブル112と速度パターンテーブル113との内容を取り込み、鋼板151の冷却中に冷却ヘッダ160を開する優先順位を算定する。
制御指令算出手段111は、冷却ヘッダ優先順位算定手段114が出力した冷却ヘッダ160の優先順位を格納する冷却ヘッダ優先順位記憶部115、目標巻取り温度テーブル116、目標冷却速度テーブル112、速度パターンテーブル113等から情報を取り込み、板温推定モデル117を用いた演算により前記ヘッダパターンを制御コードとして算出する。
<ダイナミック制御手段120>
ダイナミック制御手段120は、巻取り温度計156で検出した検出温度を用いて、これと目標温度(目標巻取り温度)との偏差を小さくする方向に制御コードを変更する巻取り温度偏差補正手段121と、ミル出側温度計155で検出した検出温度を用いて、これとセットアップ制御演算時に想定したミル出側温度との偏差を補償する方向に制御コードを変更するミル出側温度偏差補正手段122と、ミル157やダウンコイラ154の回転速度から鋼板151の速度を算出し、算出結果とセットアップ制御演算時に想定した鋼板(151)速度との偏差の巻き取り温度に及ぼす影響を小さくする方向に制御コードを変更する速度偏差補正手段123とを備えている。
<目標冷却速度テーブル112>
図2は、目標冷却速度テーブル112(図1参照)の構成を示す図である。
図2に示す目標冷却速度テーブル112は、各鋼種に対応する最適な冷却速度である目標冷却速度がそれぞれ格納されている。
目標冷却速度テーブル112を参照し、鋼種に従って、ステンレス材であるSUS304の場合には30℃/s(秒)、低炭素鋼であるSS400の場合には51℃/s(秒)で、巻取り冷却装置153(図1参照)を通板させることを目標に制御すれば良いことが分かる。
<速度パターンテーブル113>
図3は、速度パターンテーブル113(図1参照)の構成を示す図である。
図3は、圧延機152が複数配設されるタンデムミルの場合の速度パターンを例に示している。
速度パターンテーブル113には、鋼板151の種類(鋼種)、板厚、板幅に対して、ミル157(図1参照)から圧延後の鋼板151の先端が払い出されるときの速度(初期速度)、その後、鋼板151の先端がダウンコイラ154に巻き取られるまでの加速度(第1加速度)、その後、最大速度に達するまでの加速度(第2加速度)、最大速度、最大速度から圧延後の鋼板151の後端がミル157から払い出されるときの終期速度まで減速するときの減速度(マイナスの加速度)、および終期速度が、層別毎に蓄積されている。
図1に示す制御指令算出手段111は、該当コイル(鋼板151)の鋼種、板厚、板幅を判定して、速度パターンテーブル113から対応する速度パターンを抽出する。
例えば、鋼種がSUS304、板厚2.0〜3.0mm、板幅が1200mmのときには、初期速度650mpm(メートル/分)、第1加速度2mpm/s(秒)、第2加速度12mpm/s、最大速度(定常速度)1050mpm、減速度6mpm/s、終期速度900mpmが設定されることを示している。
<目標巻取り温度テーブル116>
図4は、目標巻取り温度テーブル116(図1参照)の構成を示す図である。
鋼板151の種類(鋼種)に対応して目標巻取り温度が層別された例を示している。
目標巻取り温度テーブル116には、鋼板151の種類(鋼種)に対応して、ダウンコイラ154で巻取る際の最適な目標温度である目標巻取り温度が格納されている。
図1に示すセットアップ制御手段110は、該当コイル(鋼板151)の鋼種を判定して,目標巻取り温度テーブル116から対応する目標巻取り温度を抽出する。
<冷却ヘッダ優先順位算定手段114の処理>
次に、冷却ヘッダ優先順位算定手段114(図1参照)が実行する処理について、図5に従って説明する。
なお、図5は、冷却ヘッダ優先順位算定手段114が実行する処理を示すフローチャートである。
本実施形態では、鋼板151が最大速度時に目標冷却速度を満足するようにヘッダパターンを決定する例を示す。
まず、図5のS51において、目標冷却速度テーブル112(図2、図1参照)から圧延する鋼板151の鋼種に基づいて目標冷却速度を取り込むとともに、速度パターンテーブル113(図3、図1参照)から圧延する鋼板151の鋼種、板厚、板幅に基づいて鋼板151の速度パターンを取り込む。
続いて、図5のS52において、圧延後の鋼板151の冷却時間tn(s(秒))を算定する。
冷却時間tn(s)は、セットアップ計算時に想定したミル出側温度Tm(℃)(ミル出側温度計155(図1参照)で検出される温度)、巻き取り温度(巻取り温度計156(図1参照)で検出される温度)の目標値Tc(℃)、および冷却速度Tv(℃/s(秒))から、例えば(1)式を用いて算出する。
tn=(Tm−Tc)/Tv …… (1)
鋼種がSUS304、板厚2.5mm、板幅1200mm、ミル出側温度想定値880℃のとき、目標巻取り温度テーブル116(図4)から目標巻き取り温度が750℃であるから、(1)式より、
(冷却時間)tn=(880−750)/30=4.3sと算出される。
続いて、図5のS53において、最大速度Vmax(mpm(メートル/分))を用いて水冷必要距離Lw(m)を算出し、水冷バンク161および冷却ヘッダ160を特定する。
水冷必要距離Lwは、例えば(2)式で算出する。
Lw=(Vmax×tn)/60 …… (2)
なお、最大速度Vmaxは、分単位であるから、冷却時間tnの秒単位を分に換算している。
上記の例でLwは,(1050×4.3)/60=75.25 なので、75.25mと算出される。
従って、巻取り冷却装置153(図1参照)の入口の水冷バンク161(圧延機152に近い水冷バンク161)から75.25mまでの水冷バンク161およびこれに対応した冷却ヘッダ160が、特定された水冷バンク161および冷却ヘッダ160となる。
最後に、図5のS54において、後記する図6、図7に示す手法で冷却ヘッダ160の優先順位を算定し、冷却ヘッダ優先順位記憶部115(図1参照)に出力する。
<冷却ヘッダ優先順位算定手段114による冷却ヘッダ160への優先順位付与処理>
次に、冷却ヘッダ優先順位算定手段114(図1参照)によって行われる冷却ヘッダ160に優先順位を付与する処理(図5のS54)について、図6、図7を用いて説明する。
なお、図6は、冷却ヘッダ160に優先順位を付与する処理(図7参照)の説明図であり、図7は、冷却ヘッダ160(1〜n)(図6参照)に優先順位を付与する処理のフローチャートである。
冷却ヘッダ優先順位の算定方法の考え方を、図6を用いて説明する。
図6に示すように、水冷必要距離Lwの間で鋼板151を目標冷却速度まで冷却するため、水冷必要距離Lwに含まれるn個の冷却ヘッダ160群が開となる可能性を有している。
ここで、便宜上、水冷バンク161を無視し、冷却ヘッダ160そのものにミル157の出側から順に1〜nの番号を付与する。そして、これらの中の必要数の冷却ヘッダ160に対して、鋼板151の品質が等価となるように、できるだけ等間隔に開となるように優先順位を付与することとする。
以下、図6に示す冷却ヘッダ160(1〜n)に優先順位を付与する処理について、図7に従って説明する。
まず、図7のS71において、冷却ヘッダ1に優先順位1を付与し、また冷却ヘッダnに優先順位2を付与し、さらに冷却ヘッダ(1/2)×nに優先順位3を付与する。なお、この処理は、m=1の処理である。
そして、このm=1の処理後、mに2を設定する。すなわち、m=2とする。
続いて、図7のS72において、2を分母にして優先順位列を生成する。
m=2なので分母は4であり、既に優先順位が付与されている1、(2/4)×n、(4/4)×nを除いた(1/4)×n、(3/4)×nに対して、優先順位の4、5を付与する。
続いて、図7のS73において、優先順位列生成処理の終了を判定する。
すなわち、2がnより大きくないとき、すべての冷却ヘッダについて優先順位の付与が完了していないので、n<2か否か判定する。
がnより大きくない場合(図7のS73でYes)、図7のS74に移行し、mに1を加算し、図7のS72、S73の処理を繰り返す。
この結果、次の(3)式の二項分布に従った優先順位列が得られる。
(1,n,(1/2)n,(1/4)n,(3/4)n,(1/8)n,(7/8)n,(3/8)n,(5/8)n,・・・) …… (3)
続いて、図7のS73で2がnより大きい場合(図7のS73でNo)、優先順位列生成処理を終了し、図7のS75に移行する。
図7のS75において、優先順位列の各値を少数点で切り上げ、切り下げ等して整数化し、この整数化した結果、重複した値を除く処理を行う。
図6に示す冷却ヘッダn以降のダウンコイラ154までの水冷必要距離Lwに含まれない冷却ヘッダ160についても同様の処理を施し、(n+1)以降の優先順位を、できるだけ等間隔に開となるように付与する。
本実施形態では、冷却ヘッダnの出側で目標巻き取り温度となるときの冷却速度を目標冷却速度に対応付けたが、図6に示すように、その後、ダウンコイラ154までの空冷区間で鋼板151の温度が降下するので、巻取り温度の目標値を満足させる制御指令の下では、冷却ヘッダnの出側では目標巻き取り温度よりやや高い鋼板温度となる。
従って、冷却速度は厳密には目標値(目標冷却速度)よりやや遅い値になるが、本実施形態ではセットアップ計算を簡単化するため、冷却ヘッダn(図6参照)の出側で目標巻き取り温度となるときの冷却速度を目標冷却速度として扱うことにする。
或いは、冷却ヘッダ優先順位算定手段114(図1参照)の処理に上記空冷部分の温度降下を補正する処理を追加し、冷却速度を高精度化することも可能である。
また、本実施形態では、図6に示すように、水冷必要距離Lwを圧延機152に近い冷却ヘッダ(160)群で定義したが、ダウンコイラ154に近い冷却ヘッダ(160)群を対象としても良い。同様に、圧延機152またはダウンコイラ154から一定数の冷却ヘッダを除外した後、水冷必要距離Lwを定義することも可能である。
さらに、このような水冷必要距離Lwに含まれる冷却ヘッダ(160)群の定義の仕方を、SUS304やSS400などの鋼種等で層別(クラスタリング)して切り替えることも可能である。
<冷却ヘッダ優先順位記憶部115>
以下では、冷却ヘッダ160の総数が100の場合を例に説明する。
図8は、冷却ヘッダ優先順位算定手段114(図1参照)が出力する情報が格納される冷却ヘッダ優先順位記憶部115の構成を示す図である。
図8は100個の冷却ヘッダ160の開放順位に、1〜100の優先順位を、前記図6、図7の方法で付与したものであり、優先的に開放する冷却ヘッダ160の順序が格納されている。
冷却ヘッダ160には、改めてミル157(図1参照)に近い順に番号が付けられており、例えば(1、1)は、ミル157(図1参照)に一番近い第1水冷バンク161の第1冷却ヘッダ160を表している。図の例では、(1、1)から(1、3)、(1、5)、(1、7)、(2、1)、・・・・・、(12、6)、(12、8)の順で、優先的に開放することを示している。
<制御コード>
本実施形態(本発明)では、ヘッダパターンは、対応する制御コードで表現する。
図9に、セットアップ制御手段110が出力する制御コードと、ヘッダ(開閉)パターンの対応を示す。なお、図9は、冷却ヘッダ開閉パターンと、これに対応する制御コードの対応テーブルの構成図である。
図9において、制御コード0が全開、100が全閉である。
以下、優先順位1の冷却ヘッダ160のみが開しているヘッダパターンを99、優先順位1と2の二つの冷却ヘッダが開しているヘッダパターンを98のように制御コード化している。
セットアップ制御手段110(図1参照)は、このような冷却ヘッダ開閉パターンに対応した制御コードを、ヘッダパターン変換手段130(図1参照)に出力する。
すなわち、全ての冷却ヘッダ160が開した状態の制御コードを0、全ての冷却ヘッダ160が閉した状態の制御コードを100とする。
そして、冷却ヘッダ優先順位記憶部115の内容に対応づけて、(1、1)のみ開の状態を制御コード99、(1、1)および(1、3)が開の状態を制御コード98、(1、1)(1、3)、および(1、5)が開の状態を制御コード97とし、この要領で、以下、全冷却ヘッダ160が開している状態の制御コードである0まで、冷却ヘッダ160の開放パターンに制御コードを付与する。
<制御指令算出手段111の処理>
次に、制御指令算出手段111(図1参照)の処理について、図10に従って説明する。
図10は、制御指令算出手段111が実行する処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
図10のS101において、速度パターンテーブル113(図3参照)から取り込んだ冷却鋼板に対応した層別の値をもとに、鋼板151のミル157払い出し時における第1加速開始位置SL1s、第2加速開始位置SL2s、定常速度開始位置SLcs、定常速度から終期速度に移行するための減速開始位置SLdsを下記のように算出し、鋼板151のミル157(図1参照)での払い出し開始からダウンコイラ154での巻取り完了までの速度パターンを計算する。
ここで、第1加速開始位置SL1s、第2加速開始位置SL2s、定常速度開始位置SLcs、減速開始位置SLds、減速完了位置SLdeは、以下に示す(4)式〜(8)式でそれぞれ算出できる。
(第1加速開始位置)SL1s=Lsc …… (4)
ただし、 Lsc:定数
Lscは、次のような条件を勘案して適宜定められる。
例えば、初期の通板速度が速いとつっかかり等で鋼板151の先端がミル157に正常に噛み込まれず、噛み込み不良が発生するかもしれず、初期の通板速度が遅いと生産性が上がらない、或いは、鋼板151が厚板の場合は初期の通板速度が速くないので早めに加速してもよい、鋼板151が薄板の場合は初期の通板速度が速いので遅めに加速してもよい等々である。
(第2加速開始位置)SL2s=Lmd …… (5)
ただし、Lmd:ミル157からダウンコイラ154までの距離
(V1a)=Lmd×2×Acc1+Vmax×Vmax
(定常速度開始位置)SLcs
={Lmd+(Vmax−V1a)/Acc2×(Vmax+V1a)/2} …… (6)
ただし、V1a:第1加速終了速度
Acc1:第1加速度
Acc2:第2加速度
Vmax:最大速度
(減速開始位置)SLds
={Striplen−(Vmax−Vf)/Dcc×(Vmax+Vf)/2−dccmargin} ……(7)
ただし、Striplen:鋼板長さ
Vf:終期速度
Dcc:減速度、
dccmargin:鋼板151がミル157(図1参照)の尻抜けのどれくらい前で減
速を完了するかのマージン
(減速完了位置)SLde={Striplen−dccmargin} …… (8)
算出した速度パターンに従って、図10のS102以降で、目標巻取り温度を実現するヘッダパターンを、板温推定モデル117を用いた演算で算出する。
本実施形態では鋼板151を長手方向に区分したセクションを定義し、各セクションについて下記の線形逆補間法に従って、ヘッダパターンを算出する例を示す。
図10のS102において、鋼板151の各セクションについて、解の制御コードを挟むような二つの制御コードnL、nHを定義する。
ここでは、100の冷却ヘッダ(160)数に対しての全開と全閉の間に解が存在することから、nL=0、nH=100とする。ここで、制御コードの増加に伴って、開している冷却ヘッダ(160)数が単純に減少するので、n1<n2のとき、これらのヘッダパターンに対応した目標温度Tc1、Tc2について、Tc1<Tc2が成立する。
続いて、図10のS103において、nLとnHの平均をn0とする。
そして、図10のS104において、各セクションに付与されている制御コードについて、これと対応した中間または巻取り温度を、板温推定モデル117を用いた演算でセクション毎に推定する。すなわち、セクション毎に付与されている制御コードを用いてセクションの中間/巻取り温度を推定する。
制御コードはセクション毎にふられており、中間/巻取り温度に与える速度の影響も異なるので、この演算はセクション毎に行われる。
なお、図10のS104の板温推定モデル117を用いた巻取り温度推定演算は、図11を用いて後記する。
図10のS105において、各セクション毎に目標温度Ttargetに対する推定温度Tc0の符号を判定し、Tc0>Ttarget の場合は、nLとn0の間に解があるので、n0を新たにnHとおく。
逆に、Tc0<Ttarget の場合は、n0とnHの間に解があるので、n0を新たにnLとおく。
図10のS106において、アルゴリズムの終了条件を満足したか否か判定する。
なお、アルゴリズムの終了は、「図10のS103〜S105の一定回数以上の繰り返しを完了」、または「推定温度Tcと目標温度Ttargetの偏差が一定値以下」、または「n0がnH、nLの何れかと一致」の何れかの成立を条件に判定する。
図10のS106の終了条件を満足していない場合(図10のS106でNo)、図10のS103〜S105の実行を繰り返す。一方、図10のS106の終了条件を満足する場合、終了する。
なお、制御コードの付与の方法としては、本実施形態とは逆に、全ての冷却ヘッダ160が閉した状態の制御コードを0、全ての冷却ヘッダ160が開した状態の制御コードを100とし、これに対応して付与することもできる。
以上のように、制御コードを導入したことで、簡単な演算で制御指令値を算出できる。
<巻取り温度推定演算(図10のS104)>
次に、図10のS104の板温推定モデル117を用いた巻取り温度推定演算について説明する。
図11に図10のS104に対応する巻取り温度推定演算の詳細な処理を示す。なお、図11は、板温推定モデル117を用いた巻取り温度推定演算の詳細処理のフローチャートである。
鋼板151の温度推定演算方法として、ミル157での払い出し開始から鋼板(151)尾端が巻取温度計156(図1参照)を通過するまでの間の鋼板151を長手方向に分割し、一定刻みΔで時刻を進めて鋼板151の冷却挙動を差分計算する例を説明する。
図11のS111において、計算時刻を更新し、さらに図10のS101で生成した速度パターンから、該当時刻の板速Vtを計算する。
続いて、図11のS112において、算出した板速Vtを用いて、現時刻におけるミル157(図1参照)での払い出し長さLnを計算する。
なお、払い出し長さLnとは、圧延を終えてミル157から払い出された鋼板151の長さで、下記の(9)式で計算できる。ただしLn-1は,前計算時刻(Δ時間前)の払い出し長さである。
Ln=Ln-1+Δ・Vt …… (9)
図11のS113において、演算が完了したか否かを判定する。
ここで、ミル157(図1参照)払い出し長さLnが、鋼板151の全長にミル157から巻取温度計156の距離を加えた値より大きくなった時、鋼板(151)1本に対応した巻取温度予測計算が全て終了しているので、演算完了となる。
演算が完了していない場合(図11のS113でNo)には、図11のS114において、鋼板151の温度トラッキングを行う。
すなわち、前時刻の鋼板151の位置に対して、Δだけ時間が経過した後に鋼板151がどれだけ進むかがLnとLn−1の関係から分かるので、鋼板151の温度分布を対応した距離だけ移動する処理を行う。
図11のS115において、Δの間にミル157(図1参照)から排出された鋼板151にミル(157)出側温度を設定する。
図11のS116において、各冷却ヘッダ160のそれぞれについて、対応するセクションを特定し、セクションに付与された制御コードの値と冷却ヘッダ優先順位記憶部115(図1参照)から取り込んだ冷却ヘッダ優先順位から、当該冷却ヘッダ160の開閉を決定する。そして、この情報から、鋼板151の各部位の境界条件が水冷か空冷かを判定する。なお、各冷却ヘッダ160の水wが当っている鋼板151の部位が水冷であり、各冷却ヘッダ160の水wが当っていない鋼板151の部位が空冷である。
すなわち、各冷却ヘッダ160に対応する鋼板(151)セクションは、基本的には各冷却ヘッダ160の直下または直上に位置する鋼板部位であるが、実際には巻取り温度制御装置100(図1参照)が各冷却ヘッダ160に開閉指令を送ってから、鋼板(151)表面の状態が変わるまでに2秒程度の遅れ時間が存在する。
このため、実際にはこの遅れ時間を見込んで対応する鋼板(151)セクションを決定する。
鋼板151の各セクションの境界条件が水冷の場合は、図11のS117において、例えば(10)式に従って熱伝達係数hwを計算する。
hw=9.72*1050.355*{(2.5-1.15*logTw)*D/(pl*pc)}0.646/(Tsu-Tw) …… (10)
ただし、ω:水量密度
Tw:水温
D:冷却ヘッダ160のノズル直径
pl:ライン方向(図1の制御対象150の左右方向)の冷却ヘッダ160のノズルピッチ
pc:ラインと直交方向の冷却ヘッダ160のノズルピッチ
Tsu:鋼板151の表面温度
(10)式は、いわゆるラミナー冷却の場合の熱伝達係数である。
水冷方法としては、この他にスプレー冷却等、種々あり、いくつかの熱伝達係数の計算式が知られている。また、冷却方式が同じでも、数式としては最新の実験的知見を反映する等で異なったものになる場合もある。
一方、空冷の場合は、図11のS118において、例えば(11)式に従って、ふく射で奪われる熱量から熱伝達係数hrを計算する。
hr=σ・ε[{(273+Tsu)/100}4−{(273+Ta)/100}4]/(Tsu-Ta) …… (11)
ただし、σ:ステファン−ボルツマン定数(=4.88)
ε:放射率
Ta:空気温度(℃)
Tsu:鋼板151の表面温度
(10)式と(11)式に代表される熱伝達係数式を、鋼板151の表と裏について冷却状態に従って計算し、鋼板(151)表面での熱移動量をそれぞれ定量化する。
そして、図11のS119において、鋼板151の各部位の温度を、Δ経過する前の温度をもとに,Δ間の熱量の移動を加減算することで計算し、ミル157と巻取温度計156の間の鋼板151の温度分布を算出する。
この結果、巻取温度計156の取り付け位置の鋼板151の温度が得られるとともに,巻取温度計156の取り付け位置より上流の鋼板151の温度は、次回以降の計算に用いられる。
鋼板151の厚み方向の熱移動を無視する場合であれば、鋼板151の長手方向の各部位について、(12)式で計算できる。
Tn=Tn-1−(ht+hb)*Δ/(ρ*C*B) …… (12)
ただし、Tn:現在の板温
Tn-1:Δ前の板温
ht:鋼板表面の熱伝達係数
hb:鋼板裏面の熱伝達係数
ρ:鋼板の密度
C:鋼板の比熱
B:鋼板の厚み
なお、鋼板151の幅が狭いと狭い部分が冷却ヘッダ160で冷却される一方、鋼板151の幅が広いと広い部分が冷却ヘッダ160で冷却されるので、鋼板151の幅方向で無次元化して考えている。
また、鋼板151の厚み方向の熱伝導を考慮する必要がある場合には、良く知られる熱方程式を解くことで計算できる。熱方程式は、(13)式で表され、これを鋼板151を厚み方向に分割して計算機で差分計算する方法は、種々の文献で公開されている。
∂T/∂t={λ/(ρ*C)}(∂2T/∂x2) …… (13)
ただし、λ:熱伝導率
T:材料温度
t:時間
x:厚み方向座標
そして、図11のS1110において、ミル157(図1参照)から巻取温度計156までのライン内の鋼板(151)長手方向で必要な計算が完了したか否か判定する。
ライン内の鋼板(151)長手方向で必要な計算が完了していない場合(図11のS1110でNo)、図11のS116〜S119を繰り返す。
一方、ライン内の鋼板(151)長手方向で必要な計算が完了した場合(図11のS1110でYes)、図11のS111〜S1110を、図11のS113で演算の終了を判定されるまで繰り返す。
なお、上述の板温推定モデル117を用いた巻取り温度推定演算は、一例を示したものであり、新しい知見等により適宜変更を加えることも可能であり、これに限定されないのは勿論である。
<制御指令算出手段111の処理例>
図12(a)、(b)は、鋼板151(図1参照)の各部位に付与されている制御コードが、図10に示す制御指令算出手段111の最適化処理により変化するときの一例を示した図である。
図12(a)に示すように、処理1回目では、各部位で同一の初期値(nL=0,nH=100)に対する処理なので、鋼板151の全域で50が付与される。
図12(b)に示す処理2回目では、制御コード50に対して鋼板151の各部位の巻取り温度Tc0の予測結果が、Ttargetより大きいか小さいかで、付与される制御コードが異なる。
本実施形態では、鋼板(151)速度が低速である鋼板151の先端、後端に近い部分は、冷却ヘッダ160を閉する方向の制御コードに更新され、鋼板(151)速度が高速である鋼板151の中央部は、冷却ヘッダ160を開する方向の制御コードに更新される例を示している。
具体的には、図12(b)に示す処理2回目のように、鋼板151の先端部、後端部は、1回目の処理の図10のS105において、nL=50,nH=100に更新された結果,制御コードはその平均である75に更新されている。
一方、中央部は1回目の処理の図10のS105でnL=0、nH=50に更新された結果、制御コードは25に更新されている。
このようにして、図10のS103〜S106を繰り返すことで、制御コードが順次更新される。
図13に、セットアップ制御手段110(図1参照)が最終的に出力する制御コードの例を示す。なお、図13は、鋼板部位と制御コードの対応テーブルを示す構成図である。
図13に示す例では、鋼板151は、先端からの距離に対応して1m単位でメッシュに分けられており、メッシュに対応して、制御コードが割り振られる。
図1に示すように、冷却装置は鋼板151の表と裏に対応して上部冷却装置158と下部冷却装置159とがあるので、制御コードとしては、上冷却ヘッダ160aと下冷却ヘッダ160bに対応して、別個に出力する。
図13においては、鋼板151の長手方向について、先端から1mの上冷却ヘッダ160aの制御コードは95、下冷却ヘッダ160bの制御コードも95、500mから501mの間では、上冷却ヘッダ160aの制御コードは14、下冷却ヘッダ160bの制御コードも14であることを示している。
なお、図13では、鋼板151の同一部位に対応した上冷却ヘッダ160aと下冷却ヘッダ160bの制御コードを同一としたが、異なった制御コードを設定することも可能である。
図1に示すセットアップ制御手段110が出力した制御コードは、ダイナミック制御手段120により、実際に鋼板151を、上・下部冷却装置158、159で冷却中にリアルタイムで補正される。
ダイナミック制御手段120は、巻取り温度計156からの検出温度を用いて、これと目標温度との偏差を補正する巻取り温度偏差補正手段121と、ミル出側温度計155からの検出温度を用いて、これとセットアップ制御演算時に想定したミル出側温度との偏差を補正するミル出側温度偏差補正手段122と、ミル157やダウンコイラ154の回転速度から鋼板151の速度を算出した結果とセットアップ制御演算時に想定した鋼板速度との偏差を補正する速度偏差補正手段123とを備えている。これらの補正量の総和ΔTcに、影響係数(∂n/∂Tc)を乗算して制御コードの変化量Δn(=(∂n/∂Tc)・ΔTc)に換算し、ダイナミック制御手段120の補正量として出力する。
補正量の計算は、比例積分(PI)制御等の適用等により実現できる。
図1に示すように、ダイナミック制御手段120から出力される補正量Δnに従って、セットアップ制御手段110が出力した制御コードが修正される。
<ヘッダパターン変換手段130>
次に、ヘッダパターン変換手段130(図1参照)について説明する。
図14は、ヘッダパターン変換手段130が実行するアルゴリズムを示しており、ヘッダパターン変換手段130による制御コードから各冷却ヘッダ160の開閉を決定する処理のフローチャートである。
図14のS141において、冷却ヘッダ(160)直下を通過している鋼板151の先端からの距離Lhを算出する。通常、巻取り温度制御装置100(図1参照)は、種々の目的で使用するためこのような距離情報を、短い周期で計算し、巻取り温度制御装置100の記憶部(図示せず)に記憶している。
図14のS142において、距離Lhが0より小さいか否か判定する。
距離Lhが0より小さい場合(図14のS142でYes)には、鋼板151が該当冷却ヘッダ160まで到達していないので、処理を抜けてS145に移行する。
一方、Lhが0以上の場合には、鋼板151が該当冷却ヘッダ160まで到達しているので、図14のS143において、距離Lhに対応した制御コードを抽出する。すなわち、距離Lhと図13の鋼板(151)部位を照合し、距離Lhに対応する部位の上冷却ヘッダ160aと下冷却ヘッダ160bとを特定し、この上冷却ヘッダ160aの制御コードと下冷却ヘッダ160bの制御コードを抽出する。
図14のS144において、制御コードから冷却ヘッダ(160)開閉パターンを抽出する。すなわち、セットアップ制御手段110から受け取った冷却ヘッダ160の優先順位に関する情報と、図9に示す制御コードとヘッダパターンの対応とを用いて、優先順位がいくつの冷却ヘッダ160までを開するか決定する。
すなわち、冷却ヘッダ優先順位記憶部115に格納されている情報を用いて、具体的に開放する冷却ヘッダ160を特定し、最終的に該当冷却ヘッダ160の開閉の順番を決定する。
図14のS145において、全ての冷却ヘッダ160についての演算が終了したか否かを判定する。
終了していない場合(図14のS145でNo)には、図14のS141に移行し、終了するまで、図14のS141〜S145の処理を繰り返す。
なお、本実施例では冷却ヘッダ160の数が上下とも100の場合を例に説明したが冷却ヘッダ数としては設備に応じて、種々の数が適宜選択可能である。
<<第2実施形態>>
第1実施形態では、冷却ヘッダ160の優先順位を、鋼板151の最高速度に対応付けて決定する場合を例示した。しかしこの方法の場合、鋼板(151)速度が最高速度でないとき、実現される冷却速度が鋼板(151)速度に応じて目標値より速くなる現象が起こる。
第2実施形態は、速度パターンに従って実現される種々の鋼板(151)速度に対して、精度良く目標冷却速度を実現する目的で、冷却ヘッダ160の優先順位を鋼板151の速度で切り替える場合である。
図15は、第2実施形態の冷却ヘッダ優先順位算定手段114が実行する処理のフローチャートである。
図15のS151において、目標冷却速度テーブル112と速度パターンテーブル113とからそれぞれ、目標冷却速度と鋼板151の速度パターンを取り込む。
続いて、図15のS152において、前記の(1)式に従って冷却時間tnを算定する。SUS304、板厚2.5mm、板幅1200mm、ミル出側温度想定値880℃のとき、目標巻取り温度テーブル116(図4)から目標巻き取り温度が750℃であるから、冷却時間tnは、(880−750)/30=4.3 なので、4.3s(秒)となる。
続いて、図15のS153において、図3に示す速度パターンテーブル113参照して、初期速度Vstartを用いて水冷必要距離Lwsを算出し、水冷を行う水冷バンク161および冷却ヘッダ160を特定する。
水冷必要距離Lwsは、例えば(14)式で算出する。
Lws=(Vstart×tn)/60 …… (14)
上記の例で水冷必要距離Lwsは、(650×4.3)/60=46.58 なので,46.58mとなる。
従って、巻き取り冷却装置153(図1参照)の入口の水冷バンク161(圧延機152に一番近い水冷バンク161)から46.58mまでの水冷バンク161およびこれに対応した冷却ヘッダ160が特定された水冷バンク161および冷却ヘッダ160となる。
図15のS154において、初期速度Vstartに対応した冷却ヘッダ優先順位を、前記の図6、図7に示す処理にしたがって第1実施形態と同様に算定する。
図15のS155において、最大速度Vmaxを用いて水冷必要距離Lwmを算出し、水冷を行う水冷バンク161および冷却ヘッダ160を特定する。水冷必要距離Lwmは、例えば(15)式で算出する。
Lwm=(Vmax×tn)/60 …… (15)
Lwmは、第1実施形態と同様に、図3に示す速度パターンテーブル113参照して、1050×4.3)/60=75.25 なので、75.25mとなる。
従って、巻き取り冷却装置153の入口の水冷バンク161(圧延機152に近い水冷バンク161)から75.25mまでの水冷バンク161およびこれに対応した冷却ヘッダ160が特定された水冷バンク161および冷却ヘッダ160となる。
図15のS156において、前記の図6、図7に示す処理に従った同様の手順で、最大速度Vmaxに対応した冷却ヘッダ優先順位を算定する。
図15のS157において、終期速度Vendを用いて水冷必要距離Lweを算出し,水冷を行う水冷バンク161および冷却ヘッダを特定する。水冷必要距離Lweは、例えば(16)式で算出する。
Lwe=(Vend×tn)/60 …… (16)
同様にして、水冷必要距離Lweは、図3に示す速度パターンテーブル113参照して、(900×4.3)/60=64.5 なので、64.5mとなる。
従って、巻き取り冷却装置153の入口の水冷バンク161(圧延機152に近い水冷バンク161)から64.5mまでの水冷バンク161およびこれに対応した冷却ヘッダ160が特定された水冷バンク161および冷却ヘッダ160となる。
図15のS158において、図6、図7に示す処理に従った同様の手順で,終期速度に対応した冷却ヘッダ優先順位を算定する。
図15のS159において、初期速度Vstart、最高速度Vmax、終期速度Vendに対応した計算結果を、冷却ヘッダ優先順位記憶部115(図1参照)に出力する。
冷却ヘッダ優先順位記憶部115の内容は、図1に示すセットアップ制御手段110からヘッダパターン変換手段130に制御コードのセットアップ結果とともに送られる。
図16は、第2実施形態の冷却ヘッダ優先順位算定手段114により出力された冷却ヘッダ優先順位記憶部115の構成を示す図である。
本第2実施形態においては、鋼板(151)速度に応じて水冷必要距離Lws、Lwm、Lweが47.58m〜76.25mの範囲で異なるので、これを実現するための冷却ヘッダ優先順位も異なり、図16に示すように、初期速度Vstart、最大速度Vmax、終期速度Vendに対応した優先順位が各冷却ヘッダ160に付与される。
<第2実施形態の制御指令算出手段111の巻取り温度予測計算>
図17は、第2実施形態の制御指令算出手段111の巻取り温度予測計算の処理の詳細を示すフローチャートである。
処理の流れは、図11と同じであるが、S176が付加されており、図17のS176の処理で、現在の鋼板(151)速度から、図16に示す冷却ヘッダ優先順位記憶部115に登録されている3種類の優先順位のどれを抽出するか選択し、抽出する。
図17のS177においては、各冷却ヘッダ160のそれぞれについて、鋼板151の対応するセクションを特定し、セクションに付与された制御コードの値と抽出された冷却ヘッダ優先順位から、当該冷却ヘッダ160の開閉を決定する。
<第2実施形態のヘッダパターン変換手段130の処理>
図18は、第2実施形態のヘッダパターン変換手段130(図1参照)が実行する制御コードから各ヘッダの開閉を決定する処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
ヘッダパターン変換手段130の処理の流れは、前記の図14と概ね同じであるが、S184が付加されており、図18のS184の処理で、現在の鋼板(151)速度からセットアップ制御手段110(図1参照)から受け取った3種類の冷却ヘッダ優先順位のどれを使用するか選択し、決定する。
図18のS185においては、制御コードと選択した冷却ヘッダ優先順位を用いて、冷却ヘッダ開閉パターンを抽出する。
すなわち、選択した冷却ヘッダ160の優先順位に関する情報と、図9で示した制御コードと冷却ヘッダ開閉パターンの対応を用いて、優先順位がいくつの冷却ヘッダ160までを開するか決定する。
上記第2実施形態によれば、鋼板151の速度に応じて、冷却ヘッダ160の優先順位を切り替えるので、鋼板151の速度が変わった場合においても、目標冷却速度を精度良く実現できる。
<<第3実施形態>>
第3実施形態は、図1に示す制御指令算出手段111が実行するアルゴリズムに、巻取り冷却装置153の冷却能力上、目標冷却速度を満足できなかったり、目標冷却速度を満足する水冷必要距離を確保してセットアップ計算をすると、巻取り温度が目標温度を達成できないときの処理を追加した場合である。
図19は、このような処理を付加した第3実施形態の制御指令算出手段111の処理を示すフローチャートである。
図19のS191〜196は、第1実施形態の図10で示した制御指令算出手段111の処理と同じであるが、これに加えセットアップ計算終了後、図19のS197において、目標巻取り温度と目標冷却速度が達成されたか否かを判定する。
どちらも達成されている場合(図19のS197でYes)、処理を終了する一方、達成されていない場合(図19のS197でNo)は、図19のS198において、鋼板151の最大速度を変更する。
巻取り温度が目標巻取り温度より低いときは、鋼板151が冷却される時間を短縮するため、鋼板151の最大速度を設備制約が許容する範囲で大きくする。逆に、巻取り温度が目標巻取り温度より高いときは、鋼板151が冷却される時間を長くするため、鋼板151の最大速度を小さくし、巻取り温度を低下させる処理を行う。
また、目標冷却速度が達成できないときは、同様に鋼板151の最大速度を小さくして冷却される時間を長くして、冷却速度を増加させる処理を行う。
それぞれの場合の最大速度の変更量は、予めテーブル等で定義しておいても良いし、目標巻取り温度や目標冷却速度が満足できない度合いに従った値を、その都度算出してもよい。
算出する場合、例えば目標巻取り温度が達成できない場合に下記の(17)式に従って速度変更量ΔVmaxを算出し、鋼板151の最大速度を変更すれば良い。
ΔVmax=(∂V/∂Tc)・δTc …… (17)
ただし、δTc:目標巻取り温度未達成量
(∂V/∂Tc):速度変化の巻取り温度に及ぼす影響に対応した定数(影響係数)
以下、変更された鋼板151の最大速度の下で、図19のS191〜S198の処理を繰り返す。
上記第3実施形態によれば、冷却能力の制約で目標巻取り温度と目標冷却速度の二つの制御目標をともに満足できなかったときに、鋼板151の速度を増減することにより設備的に可能な範囲で、制御目標を両立できる。
<<まとめ>>
本発明は、鋼板151の目標冷却速度と鋼板151の速度パターンから、鋼板(151)速度に対応する冷却ヘッダ(160)開閉の優先順位を算出する冷却ヘッダ優先順位算定手段114と、算出された冷却ヘッダ優先順位を蓄積する冷却ヘッダ優先順位記憶部115と、目標巻取り温度、速度パターン、および冷却ヘッダ優先順位を入力情報とし、板温推定モデル117を用いて所望の巻取り温度を実現する冷却装置の指令値を制御コードの形で算出する制御指令算出手段111と、鋼板速度に対応した冷却ヘッダ優先順位を用いて制御コードを巻取り冷却装置153の冷却ヘッダ開閉パターンに変換するヘッダパターン変換手段130とを含んで構成される巻取り温度制御装置100を提供する。
冷却ヘッダ優先順算定手段114は、目標冷却速度を取り込み,この値と鋼板(151)速度から水冷必要距離を算出した上で、ここに含まれる冷却ヘッダ160を優先的に開放するとともに目標冷却速度を満足するように各冷却ヘッダ160に優先順位を付与する。
制御指令算出手段111は、冷却ヘッダ優先順算定手段114が出力した冷却ヘッダ優先順位記憶部115の内容を参照しつつ、目標巻取り温度を実現するヘッダパターンを鋼板151の長手方向の各部位に対して算出する。
上記セットアップ計算の結果、目標巻取り温度/目標冷却速度の何れかが満足されないときは、鋼板(151)速度を増減して再度セットアップ計算を行う。
<<作用効果>>
上記構成によれば、熱間圧延後における鋼板151の巻取り制御において、鋼板151の長手方向のどの部位においても、均一な冷却速度および巻取り温度が得られる。
なお、前記実施形態においては、被圧延材として鋼板を例示して説明したが、鋼板以外の被圧延材に対しても、本発明を適用できることは勿論である。
熱間圧延ラインの冷却制御に、広く適用することができる。
本発明に係る第1実施形態の巻取り温度制御装置と制御対象とを含む制御システムの構成を示す概念図である。 第1実施形態の目標冷却速度テーブルの構成を示す図である。 第1実施形態の速度パターンテーブルの構成を示す図である。 第1実施形態の目標巻取り温度テーブルの構成を示す図である。 第1実施形態の冷却ヘッダ優先順位算定手段が実行する処理を示すフローチャートである。 第1実施形態の冷却ヘッダに優先順位を付与する処理の説明図である。 第1実施形態の冷却ヘッダに優先順位を付与する処理のフローチャートである。 第1実施形態の冷却ヘッダ優先順位記憶部の構成を示す図である。 第1実施形態の冷却ヘッダ開閉パターンと、これに対応する制御コードの対応テーブルの構成図である。 第1実施形態の制御指令算出手段が実行する処理を示すフローチャートである。 第1実施形態の巻取り温度推定演算の詳細処理のフローチャートである。 (a)および(b)は、第1実施形態の鋼板の各部位に付与されている制御コードが、制御指令算出手段の最適化処理により変化するときの一例を示した図である。 第1実施形態の鋼板部位と制御コードの対応テーブルを示す構成図である。 第1実施形態のヘッダパターン変換手段による制御コードから各ヘッダの開閉を決定する処理のフローチャートである。 第2実施形態の冷却ヘッダ優先順位算定手段が実行する処理のフローチャートである。 第2実施形態の冷却ヘッダ優先順位算定手段により出力された冷却ヘッダ優先順位記憶部の構成を示す図である。 第2実施形態の制御指令算出手段の巻取り温度予測計算の処理の詳細を示すフローチャートである。 第2実施形態のヘッダパターン変換手段が実行する制御コードから各ヘッダの開閉を決定する処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。 第3実施形態の制御指令算出手段の処理を示すフローチャートである。
符号の説明
100 巻取り温度制御装置
111 制御指令算出手段
114 冷却ヘッダ優先順位算定手段
115 冷却ヘッダ優先順位記憶部
117 板温推定モデル
130 ヘッダパターン変換手段
151 鋼板(被圧延材)
153 巻取冷却装置(冷却装置)
154 ダウンコイラ
158 上部冷却装置(冷却装置)
159 下部冷却装置(冷却装置)
160 冷却ヘッダ
160a 上冷却ヘッダ(冷却ヘッダ)
160b 下冷却ヘッダ(冷却ヘッダ)




















Claims (12)

  1. 熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御装置であって、
    前記被圧延材が冷却されているときの冷却速度の目標値の目標冷却速度を満足するように、前記冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダの開放順序の優先関係を算出して出力する冷却ヘッダ優先順位算定手段と、
    該冷却ヘッダ優先順位算定手段が出力した前記各冷却ヘッダの優先順位を格納する冷却ヘッダ優先順位記憶部と、
    記被圧延材の速度に関する情報から前記被圧延材の位置を求めるとともに前記冷却ヘッダ優先順位記憶部の情報から当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、前記被圧延材の巻取り温度を推定し、該推定結果を用いて前記目標巻取り温度を実現するための前記冷却ヘッダの開閉の組み合わせであるヘッダパターンを算出して出力する制御指令算出手段とを含んで構成され
    前記冷却ヘッダ優先順位算定手段は、
    前記冷却装置進入時の前記被圧延材の温度と前記ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の目標巻取り温度とから前記冷却装置における前記被圧延材の温度降下量を算出し、該温度降下量と前記被圧延材の冷却速度の目標値の目標冷却速度から冷却に必要な時間を算出し、該冷却に必要な時間と前記被圧延材の速度に関する情報とから水冷に必要な距離を算出し、この距離から多数の前記冷却ヘッダを、開放する可能性がある冷却ヘッダ群と開放しない冷却ヘッダ群とに分離して特定し、該開放する可能性がある冷却ヘッダ群に対して前記被圧延材の冷却速度が一定に近い値となるように優先順位を付与する
    ことを特徴とする巻取り温度制御装置。
  2. 熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御装置であって、
    前記被圧延材が冷却されているときの冷却速度の目標値の目標冷却速度を満足するように、前記冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダの開放順序の優先関係を算出して出力する冷却ヘッダ優先順位算定手段と、
    該冷却ヘッダ優先順位算定手段が出力した前記各冷却ヘッダの優先順位を格納する冷却ヘッダ優先順位記憶部と、
    前記被圧延材の速度に関する情報から前記被圧延材の位置を求めるとともに前記冷却ヘッダ優先順位記憶部の情報から当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、前記被圧延材の巻取り温度を推定し、該推定結果を用いて前記目標巻取り温度を実現するための前記冷却ヘッダの開閉の組み合わせであるヘッダパターンを算出して出力する制御指令算出手段とを含んで構成され、
    前記被圧延材の圧延される速度または前記ダウンコイラに巻き取られる速度が変化するとき、
    前記冷却ヘッダ優先順位算定手段は、前記冷却ヘッダに優先順位を付与する演算を前記被圧延材の速度に対応して行い、前記被圧延材の速度に対応付けた前記冷却ヘッダの優先順位を前記冷却ヘッダ優先順位記憶部に出力する
    ことを特徴とする巻取り温度制御装置。
  3. 熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御装置であって、
    前記被圧延材が冷却されているときの冷却速度の目標値の目標冷却速度を満足するように、前記冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダの開放順序の優先関係を算出して出力する冷却ヘッダ優先順位算定手段と、
    該冷却ヘッダ優先順位算定手段が出力した前記各冷却ヘッダの優先順位を格納する冷却ヘッダ優先順位記憶部と、
    前記優先順位記憶部の情報を用いて、前記冷却ヘッダの開閉の組み合わせである各ヘッダパターンに対応する制御コードを生成し、前記被圧延材の速度に関する情報から前記被圧延材の位置を求めるとともに前記制御コードと前記冷却ヘッダ優先順位記憶部の情報とから当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、前記被圧延材の巻取り温度を推定し、該推定結果を用いて前記目標巻取り温度を実現するための前記制御コードを算出して出力する制御指令算出手段と、
    前記優先順位記憶部の情報を用いて前記制御指令算出手段が出力した前記制御コードをヘッダパターンに変換して前記冷却装置に出力するヘッダパターン変換手段とを
    含んで構成され、
    前記冷却ヘッダ優先順位算定手段は、
    前記冷却装置進入時の前記被圧延材の温度と前記ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の目標巻取り温度とから前記冷却装置における前記被圧延材の温度降下量を算出し、該温度降下量と前記被圧延材の冷却速度の目標値の目標冷却速度から冷却に必要な時間を算出し、該冷却に必要な時間と前記被圧延材の速度に関する情報とから水冷に必要な距離を算出し、この距離から多数の前記冷却ヘッダを、開放する可能性がある冷却ヘッダ群と開放しない冷却ヘッダ群とに分離して特定し、該開放する可能性がある冷却ヘッダ群に対して前記被圧延材の冷却速度が一定に近い値となるように優先順位を付与する
    ことを特徴とする巻取り温度制御装置。
  4. 熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御装置であって、
    前記被圧延材が冷却されているときの冷却速度の目標値の目標冷却速度を満足するように、前記冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダの開放順序の優先関係を算出して出力する冷却ヘッダ優先順位算定手段と、
    該冷却ヘッダ優先順位算定手段が出力した前記各冷却ヘッダの優先順位を格納する冷却ヘッダ優先順位記憶部と、
    前記優先順位記憶部の情報を用いて、前記冷却ヘッダの開閉の組み合わせである各ヘッダパターンに対応する制御コードを生成し、前記被圧延材の速度に関する情報から前記被圧延材の位置を求めるとともに前記制御コードと前記冷却ヘッダ優先順位記憶部の情報とから当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、前記被圧延材の巻取り温度を推定し、該推定結果を用いて前記目標巻取り温度を実現するための前記制御コードを算出して出力する制御指令算出手段と、
    前記優先順位記憶部の情報を用いて前記制御指令算出手段が出力した前記制御コードをヘッダパターンに変換して前記冷却装置に出力するヘッダパターン変換手段とを
    含んで構成され、
    前記被圧延材の圧延される速度または前記ダウンコイラに巻き取られる速度が変化するとき、
    前記冷却ヘッダ優先順位算定手段は、前記冷却ヘッダに優先順位を付与する演算を前記被圧延材の速度に対応して行い、前記被圧延材の速度に対応付けた前記冷却ヘッダの優先順位を前記冷却ヘッダ優先順位記憶部に出力する
    ことを特徴とする巻取り温度制御装置。
  5. 前記制御コードは、全ての前記冷却ヘッダが開した状態を最大値とする一方、全ての前記冷却ヘッダが閉した状態を最小値とし、前記制御コードの大きさが増加するに伴い、前記巻取り温度の推定値が単調に減少するように対応付けられている
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の巻取り温度制御装置。
  6. 前記制御コードは、全ての前記冷却ヘッダが開した状態を最小値とする一方、全ての前記冷却ヘッダが閉した状態を最大値とし、前記制御コードの大きさが増加するに伴い、前記巻取り温度の推定値が単調に増加するように対応付けられている
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の巻取り温度制御装置。
  7. 熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御装置であって、
    前記被圧延材が冷却されているときの冷却速度の目標値の目標冷却速度を満足するように、前記冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダの開放順序の優先関係を算出して出力する冷却ヘッダ優先順位算定手段と、
    該冷却ヘッダ優先順位算定手段が出力した前記各冷却ヘッダの優先順位を格納する冷却ヘッダ優先順位記憶部と、
    前記優先順位記憶部の情報を用いて、前記冷却ヘッダの開閉の組み合わせである各ヘッダパターンに対応する制御コードを生成し、前記被圧延材の速度に関する情報から前記被圧延材の位置を求めるとともに前記制御コードと前記冷却ヘッダ優先順位記憶部の情報とから当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、前記被圧延材の巻取り温度を推定し、該推定結果を用いて前記目標巻取り温度を実現するための前記制御コードを算出して出力する制御指令算出手段と、
    前記優先順位記憶部の情報を用いて前記制御指令算出手段が出力した前記制御コードをヘッダパターンに変換して前記冷却装置に出力するヘッダパターン変換手段とを
    含んで構成され、
    前記制御指令算出手段は、前記制御コードを前記被圧延材の長手方向の各部位に対応付けて算出して出力し、
    前記ヘッダパターン変換手段は、
    前記各冷却ヘッダの直下の前記被圧延材の長手方向の部位を認識した上で、該部位と対応した前記制御コードを抽出するとともに、前記冷却ヘッダ優先順位記憶部から現在の被圧延材速度に対応する冷却ヘッダ優先順位を抽出し、該抽出した冷却ヘッダ優先順位に従って前記制御コードをヘッダパターンに変換して前記冷却装置に出力する
    ことを特徴とする巻取り温度制御装置。
  8. 熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御装置であって、
    前記被圧延材が冷却されているときの冷却速度の目標値の目標冷却速度を満足するように、前記冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダの開放順序の優先関係を算出して出力する冷却ヘッダ優先順位算定手段と、
    該冷却ヘッダ優先順位算定手段が出力した前記各冷却ヘッダの優先順位を格納する冷却ヘッダ優先順位記憶部と、
    前記優先順位記憶部の情報を用いて、前記冷却ヘッダの開閉の組み合わせである各ヘッダパターンに対応する制御コードを生成し、前記被圧延材の速度に関する情報から前記被圧延材の位置を求めるとともに前記制御コードと前記冷却ヘッダ優先順位記憶部の情報とから当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、前記被圧延材の巻取り温度を推定し、該推定結果を用いて前記目標巻取り温度を実現するための前記制御コードを算出して出力する制御指令算出手段と、
    前記優先順位記憶部の情報を用いて前記制御指令算出手段が出力した前記制御コードをヘッダパターンに変換して前記冷却装置に出力するヘッダパターン変換手段とを
    含んで構成され
    前記制御指令算出手段は、
    制御指令を算出した後、該算出した制御指令の下で前記目標巻取り温度と前記目標冷却速度とが満足されているかどうかを判定し、何れかが満足されていない場合には前記被圧延材の速度を変更して再度制御指令の算出を行い、これを前記目標巻取り温度と前記目標冷却速度が共に満足されるまで繰り返す
    ことを特徴とする巻取り温度制御装置。
  9. 熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御装置であって、
    前記被圧延材が冷却されているときの冷却速度の目標値の目標冷却速度を満足するように、前記冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダの開放順序の優先関係を算出して出力する冷却ヘッダ優先順位算定手段と、
    該冷却ヘッダ優先順位算定手段が出力した前記各冷却ヘッダの優先順位を格納する冷却ヘッダ優先順位記憶部と、
    前記被圧延材の速度に関する情報から前記被圧延材の位置を求めるとともに前記冷却ヘッダ優先順位記憶部の情報から当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、前記被圧延材の巻取り温度を推定し、該推定結果を用いて前記目標巻取り温度を実現するための前記冷却ヘッダの開閉の組み合わせであるヘッダパターンを算出して出力する制御指令算出手段とを含んで構成され、
    前記制御指令算出手段は、
    制御指令を算出した後、該算出した制御指令の下で前記目標巻取り温度と前記目標冷却速度とが満足されているかどうかを判定し、前記巻取り温度が前記目標巻取り温度より低いときは前記被圧延材の速度を上げ、前記巻取り温度が前記目標巻取り温度より高いときは前記被圧延材の速度を下げ、冷却速度が遅いときは前記被圧延材の速度を下げる処理を行った上で、再度制御指令の算出を行い、これを前記目標巻取り温度と前記目標冷却速度が共に満足されるまで繰り返す
    ことを特徴とする巻取り温度制御装置。
  10. 熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御装置であって、
    前記被圧延材が冷却されているときの冷却速度の目標値の目標冷却速度を満足するように、前記冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダの開放順序の優先関係を算出して出力する冷却ヘッダ優先順位算定手段と、
    該冷却ヘッダ優先順位算定手段が出力した前記各冷却ヘッダの優先順位を格納する冷却ヘッダ優先順位記憶部と、
    前記優先順位記憶部の情報を用いて、前記冷却ヘッダの開閉の組み合わせである各ヘッダパターンに対応する制御コードを生成し、前記被圧延材の速度に関する情報から前記被圧延材の位置を求めるとともに前記制御コードと前記冷却ヘッダ優先順位記憶部の情報とから当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、前記被圧延材の巻取り温度を推定し、該推定結果を用いて前記目標巻取り温度を実現するための前記制御コードを算出して出力する制御指令算出手段と、
    前記優先順位記憶部の情報を用いて前記制御指令算出手段が出力した前記制御コードをヘッダパターンに変換して前記冷却装置に出力するヘッダパターン変換手段とを
    含んで構成され、
    前記制御指令算出手段は、
    制御指令を算出した後、該算出した制御指令の下で前記目標巻取り温度と前記目標冷却速度とが満足されているかどうかを判定し、前記巻取り温度が前記目標巻取り温度より低いときは前記被圧延材の速度を上げ、前記巻取り温度が前記目標巻取り温度より高いときは前記被圧延材の速度を下げ、冷却速度が遅いときは前記被圧延材の速度を下げる処理を行った上で、再度制御指令の算出を行い、これを前記目標巻取り温度と前記目標冷却速度が共に満足されるまで繰り返す
    ことを特徴とする巻取り温度制御装置。
  11. 熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御方法であって、
    前記冷却装置進入時の前記被圧延材の温度と前記ダウンコイラで巻取られる前の被圧延材の目標巻取り温度とから前記冷却装置における前記被圧延材の温度降下量を算出し、該温度降下量と前記被圧延材の冷却速度の目標値から冷却に必要な時間を算出し、該冷却に必要な時間と前記被圧延材の速度に関する情報とから水冷に必要な距離を算出し、この距離から前記多数の前記冷却ヘッダを、開放する可能性がある冷却ヘッダ群と開放しない冷却ヘッダ群とに分離して特定し、該開放する可能性がある冷却ヘッダ群に対して前記被圧延材の冷却速度が一定に近い値となるように優先順位を付与し、
    前記冷却ヘッダ開閉の組み合わせである各ヘッダパターンに対応する制御コードを、該優先順位を用いて生成し、
    記被圧延材の速度に関する情報から前記被圧延材の位置を求めるとともに前記制御コードと前記優先順位の情報とから当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、前記被圧延材の巻取り温度を推定し、
    該推定結果を用いて前記目標巻取り温度を実現するための前記制御コードを決定して出力し、
    該制御コードをヘッダパターンに変換して前記冷却装置に出力する
    ことを特徴とする巻取り温度制御方法。
  12. 熱間圧延機で圧延された被圧延材を、該熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し、ダウンコイラで巻取られる前の前記被圧延材の巻取り温度を所定の目標巻取り温度に制御する巻取り温度制御方法であって、
    前記冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダに対して、前記被圧延材の冷却速度の目標値を満足するような開放順序の優先順位を前記被圧延材の圧延される速度または前記ダウンコイラに巻き取られる速度に対応付けて付与し、
    前記冷却ヘッダ開閉の組み合わせである各ヘッダパターンに対応する制御コードを、前記被圧延材の長手方向の各部位に対応付けて生成し、
    記被圧延材の速度に関する情報から前記被圧延材の位置を求めるとともに前記制御コードと前記優先順位の情報とから当該被圧延材の位置での冷却は水冷か空冷かを求め、水冷または空冷の何れかの熱伝達率を用いて当該被圧延材の位置の温度を算出し,この演算を被圧延材がミルを払い出されてから巻取り位置に到達するまで繰り返すことで、前記被圧延材の巻取り温度を推定し、
    該推定結果を用いて前記目標巻取り温度を実現するための前記制御コードを決定して出力し、
    前記各冷却ヘッダの直下の前記被圧延材の長手方向の部位を認識した上で、該部位と対応した前記制御コードを抽出し、前記冷却ヘッダに付与された現在の被圧延材速度に対応する優先順位に従って前記制御コードをヘッダパターンに変換して前記冷却装置に出力する
    ことを特徴とする巻取り温度制御方法。
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