JP5230728B2 - 撮像用レンズユニット - Google Patents
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Description
従来技術においては、鏡枠とレンズの外径との間に空隙を設け、レンズ装着部を自動調芯構造となすことにより、レンズの拘束部分をなくし、変形をさけるとともに、芯出しを容易にするレンズ構体が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この目的とするところは、レンズの熱膨張や機械的圧力による変形を小さくするところにある。構造的には、鏡枠とレンズの外径との間に空隙を設け、レンズ装着部におけるレンズ有効径外部の環状突起部と、該レンズの有効径外部に当接する鏡枠の環状突起部、或はどちらか一方の当接面を、テーパ状斜面、或は球面としたものである。
このレンズ構体において、鏡枠内に設置されたレンズは、例えば、鏡枠に設けられたテーパ状斜面、或は球面である環状突起部の上にレンズ有効径外部に設けられた環状突起部が載置された状態にあり、芯出しが行われるまで固定された状態にはない。芯出しが行われた後に、レンズ有効径外部に設けられた環状突起部の箇所において接着剤で鏡枠に固定されることになる。
また、レンズと、レンズを収納するレンズ鏡筒とを有し、レンズをレンズ鏡筒に収納した後にレンズ鏡筒の内側壁を変形させて内側壁にレンズを固定するための固定部を形成するレンズ固定構造が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、このような形態においては、リフロー工程においてレンズ及び鏡筒が熱膨張し、それらの熱膨張係数の違いからレンズのセンターと絞り部のセンターとに狂いが生じることになる。レンズと絞り部のセンター合わせは、撮像用レンズユニットにおいて光学性能を決定する最も重要な特性の一つとなっている。したがって、この光学特性を保ちながら半田リフロー工程に供することができる、小型軽量化された撮像用レンズユニットが求められるところであった。
仮に、このレンズ構体を半田リフロー工程に適用するとすれば、レンズが鏡枠に固定されないとリフロー工程で取り扱いにくいため、芯出しが行われ、接着剤で鏡枠に固定された後にリフロー工程に供されることになる。ところが、接着剤で鏡枠に固定されると、上記と同様に半田リフロー工程後にレンズと絞り部のセンターが狂い、その後にセンター合わせをすることはできない。
また上述したレンズ固定構造を開示した特許文献2においては、レンズの固定作業負担の軽減、鏡筒の大型化の防止、コスト低減を図ることが可能なレンズ固定構造を提供するものであり、レンズユニットの耐リフロー仕様を意図する記載は認められない。すなわち、本発明のように半田リフロー仕様に耐える発明の構成からなるレンズユニットを提案するものではない。更に言えば、過酷な半田リフロー工程の条件下における、リフロー工程時のレンズと鏡筒との熱膨張係数の違いに基づくレンズの機械的ダメージ・光学物性低下を抑制するために、レンズや鏡筒を特定の樹脂材料から構成したり、レンズの直径と鏡筒の内径の関係、位置関係を最適化したりしたものではなかった。また、上記レンズ固定構造は、レンズ固定構造1個ずつについてレンズをかしめるように固定部を形成し、レンズの抜け止めをする必要があるものであり、工業的により有利にレンズ固定構造を製造できるようにし、特にリフロー工程に適するように製造するための工夫の余地があった。
これは、熱可塑性樹脂レンズではなく、熱可塑性樹脂と比較すると硬くて脆い、熱硬化樹脂レンズを、鏡筒と組み合わせたときに、半田リフロー工程でレンズが機械的、光学的ダメージを受けないための必須要件といえるものである。これによって、耐熱性の高い熱硬化樹脂レンズを用いつつ、撮像用レンズユニットにおいて重要な性能指標の一つである、レンズと絞り部のセンター合わせに関する光学的な特性を半田リフロー工程後も保つことができる。
このように、上記のように構成することによって、光学用途やオプトデバイス用途、特に携帯電話機やデジタルカメラのカメラモジュールを構成する部材として有用である、撮像用レンズユニットの小型・高性能化に大きく寄与することができることを見いだし、本発明に到達したものである。
本発明はまた、本発明の撮像用レンズユニットを製造する工程を含む撮像用レンズユニットの製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
また、荷重たわみ温度の測定において負荷する荷重がさらに高い場合においても荷重たわみ温度(1/100インチ変化したときの温度)が200℃以上であることがより好ましい。具体的には、荷重を0.45MPaとしたときの荷重たわみ温度が200℃以上であることがより好ましく、荷重を1.8MPaとしたときの荷重たわみ温度が200℃以上であることがさらに好ましく、荷重を1.82MPaとしたときの荷重たわみ温度が200℃以上であることがさらに好ましい。
また、荷重を1.8MPaとしたときの荷重たわみ温度、及び、荷重を1.82MPaとしたときの荷重たわみ温度の好ましい上限値、下限値は、上述した荷重を0.45MPaとしたときの荷重たわみ温度の好ましい上限値、下限値と同様である。
上記鏡筒を構成する熱可塑性樹脂としてより好ましくは、LCP、PEEK及びPPSからなる群から選択される少なくとも1種であり、更に好ましくは、LCPである。
上記鏡筒材料は、熱可塑性樹脂のみからなる材料も使用可能であるが、ガラス繊維等の無機繊維、金属酸化物粒子等の無機粒子等の無機質成分と、熱可塑性樹脂成分とを含む、いわゆる有機無機複合体からなる熱可塑性樹脂(このような無機有機複合体も本発明では熱可塑性樹脂という)であるものが好ましい。言い換えれば、上記熱可塑性樹脂材料が、有機無機複合体からなる熱可塑性樹脂である形態が好ましい。特に、上記熱可塑性樹脂材料が無機繊維を無機成分とする有機無機複合体からなる熱可塑性樹脂である形態が本発明の撮像用レンズユニットにおける好ましい形態である。その理由は、以下の通りである。
(1)荷重たわみ温度が高く、熱膨張係数を低くすることができる。
(2)耐熱寸法安定性、形状保持性に優れる(半田リフロー工程に対する耐性)。
(3)エポキシ系カチオン硬化樹脂よりも硬い材料が工業的に入手し易く、レンズ装填時にレンズに凹みを形成することが容易である。
上記無機質成分の含有量は、鏡筒の材料中、材料100質量%に対して、0.1〜80質量%であることが好ましい。特に好ましくは、無機繊維を無機成分とする有機無機複合体からなる熱可塑性樹脂であって、荷重たわみ温度が230℃以上のものである。
上記鏡筒材料としては、吸水率が3%以下であることが好ましい。より好ましくは、1%以下であり、特に好ましくは、0.1%以下である。吸水率が3%より高いと、湿熱変化によりレンズの曇りを引き起こすおそれがある。吸水率の測定は、23℃で24時間水中にサンプルを保持し、その重量変化で評価を行う。
鏡筒材料の25〜260℃の温度範囲における平均熱膨張係数α1は、後述するようにエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの25〜260℃の温度範囲における平均熱膨張係数α2以下であることが好ましいことから、150ppm/℃以下が好ましく、100ppm/℃以下がより好ましく、50ppm/℃以下がさらに好ましい。特に好ましくは、30ppm/℃以下である。また、好ましい下限値としては、3ppm/℃以上であることが好ましい。より好ましくは、5ppm/℃以上である。
上記PEEKとしては、スミプロイKシリーズ(住友化学工業社製)、ビクトレックスシリーズ(ビクトレックス社製)等が好適である。
上記PPSとしては、アサヒPPSシリーズ(旭硝子社製)、出光PPSシリーズ(出光社製)、(商品名:スミコンFM MK104(荷重たわみ温度:260℃以上、吸水率:0.02%)等、住友ベークライト社製)、DIC−PPSシリーズ(商品名:FZ−2140−D9(荷重たわみ温度:265℃(1.82MPa)、265℃以上(0.45MPa)、吸水率:0.02%)等)、DIC社製)、サスティールシリーズ(東ソー社製)、フォートロンシリーズ(ポリプラスチック社製)等が好適である。
芳香族ポリアミド樹脂としては、ケブラー(商品名、デュポン社製)、ナイロン6T(ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸〔Terephthalic acid〕との共縮重合体)、ナイロン6I(ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸〔Isophthalic acid〕との共縮重合体)、ナイロン9T(ノナンジアミンとテレフタル酸〔Terephthalic acid〕との共縮重合体)、ナイロンM5T(メチルペンタジアミンとテレフタル酸〔Terephthalic acid〕との共縮重合体)等が挙げられる。中でも、工業的に安価に入手し易く、耐熱性においても優れる点から、ナイロン6T、ナイロン9Tが好ましい。
本明細書中で、「耐半田リフロー性を有する」とは、250℃で3分間の加熱を行う前後で形状を保持することをいう。より好ましくは、260℃で3分間の加熱を行う前後で形状を保持することである。更に好ましくは、270℃で3分間の加熱を行う前後で形状を保持することである。耐半田リフロー性を有しない場合には、上記条件で保持した場合に、レンズの形状が変化し、光学特性が劣化することとなる。
また、「形状を保持する」とは、熱を加える前後での形状・寸法変化が、元の形状・寸法(半田リフロー工程の前の形状・寸法)の20%以下であることをいう。形状・寸法変化として好ましくは、5%以下であり、更に好ましくは、1%以下である。
(1)エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズがそれ自体、半田リフロー工程における温度で熱分解、溶融するおそれがなく、耐半田リフロー性を有し、また、常温から半田リフロー工程における温度で、熱膨張率が小さく、鏡筒の材料である熱可塑性樹脂の熱膨張率との差が小さいものとすることができる。例えば、熱可塑性樹脂を材料として用いたレンズを用いる場合、半田リフロー工程に耐えることができず、熱変形、溶融等が生じることとなるため、撮像用レンズユニットとして使用するためには、手動で実装工程を行う必要がある。
撮像用レンズユニットにおいては、僅かな寸法のずれが大きく光学特性を損なわせることになるため、僅かであってもレンズの位置がずれることを避けることができるということは、極めて大きな技術的意義を持つことになる。このように、エポキシ系カチオン硬化樹脂は、鏡筒材料の樹脂よりも通常熱膨張係数が大きいために、半田リフロー工程に供されても、位置関係のずれやレンズの落下が起き難いという効果を発揮できるものである。
すなわち、本発明においては、後述する鏡筒の25〜260℃の温度範囲における平均熱膨張係数(α1)と該エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの25〜260℃の温度範囲における平均熱膨張係数(α2)との関係が、α2≧α1である形態が好ましい。より好ましくは、α2>α1である形態である。
(3)エポキシ系カチオン硬化性樹脂は、エポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ化合物を必須とすることが好ましく、硬化反応により3次元架橋が形成される。そのため、半田リフロー工程の際、加熱・冷却により膨張、収縮しても元の形状に戻る復元性を有することになる。
(4)エポキシ系カチオン硬化樹脂は、支持部を有する鏡筒に収載する際に、常温でも、支持部による微少な変形が可能であるために、鏡筒支持部が食い込んだ構造の支持構造が可能となる。しかも、該変形は局部的に起こるため、実質のレンズ部分に光学的歪を形成しにくいという特性を発揮することになる。
一方、レンズ材料と鏡筒材料とが接着する材料の組み合わせの場合は、例えば、半田リフロー工程における加熱(膨張)時に接着が起こると、収縮時に膨張率の異なる材料との接着状態での収縮となるため、相互に機械的な内部歪を及ぼしたり、レンズの位置関係がずれるといった不具合が起こり得る。
したがって、支持されるレンズをエポキシ系カチオン硬化樹脂とすることによって、半田リフロー工程前後で、実質的に位置関係が維持されることになる。
また、エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズを必須とすることにより、可視光における各波長に対する透過率が高く(無色で高透過率)、透明のものとすることができる。更に、レンズを、支持部を有する鏡筒に収載する際に、支持部による微小な変形が可能である。ただし変形は局部的に起こり、レンズ形状への影響、機能低下は実質的にない。
更に、レンズ自体の製造におけるメリットとしては、以下が挙げられる。エポキシ系カチオン硬化性樹脂材料からエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズを製造する際の、硬化収縮率が小さく、短時間で硬化樹脂レンズが得られる。これにより、安価に精度のよいレンズを得ることができる。
また、エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズは、ガラス等から構成される無機レンズと比較して、強度が高いものとすることができる。更に、エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズは、原料であるエポキシ系カチオン硬化性樹脂材料が液状であるために、ガラス等から構成される無機レンズでは困難であるような複雑で精密な形状に制御されたレンズを再現性よく、短時間、かつ低い加工コストで製造することができる。例えば、ガラス等から構成される無機レンズの加工温度は、低いものでも450℃以上であり、成型加工温度が高く、ゆっくりと冷却する必要があるために、生産性が低い。また、成型加工温度が高いために金型が疲労し易いために使用回数が限られ、金型は高価であるために、レンズ生産コストが高くなる。エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの物性、構成材料等については後に詳述する。
(1)支持されるレンズがガラスの場合
ガラスは硬いために、鏡筒の内壁に支持部が予め形成されたものを用いても、支持部が食い込む形態で支持固定することは困難である。更に、ガラスは熱膨張係数が鏡筒材料よりも小さいために、半田リフロー工程に供した際のガラスと鏡筒材料の膨張率の違いに基づき、リフロー温度で支持部がガラスに接触しない状態ができ得る。その結果、ガラスの位置がずれてしまうおそれがある。すなわち、僅かな寸法変化により、支持部とレンズに隙間ができるおそれがある。
(2)支持されるレンズが熱可塑性樹脂の場合
ガラス転移温度(Tg)が同等の熱可塑性樹脂を用いた場合、半田リフロー工程に供した場合に、熱変形によって元の形状、大きさに復元し難い。また、現行レンズ樹脂として提案されている熱可塑性樹脂材料では、半田リフロー温度で、溶融し変形するために、半田リフロー用のレンズ材料としては適用し難い。
上記のように、レンズ群を構成する複数個のレンズは、少なくとも一つがエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズであればよいが、上記レンズ群を構成するレンズは、全てがエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズであることが好ましい。全てのレンズをエポキシカチオン硬化樹脂レンズとすることにより、他の材料により構成されたレンズを用いる場合よりも、低コスト化を図り、かつ優れた耐熱性、優れた強度を有するレンズユニットとすることができる。また、半田リフロー工程においてレンズ材質が異なったり、結晶性の材料と非晶質材料とが混在すると、加熱、冷却過程における、熱膨張・収縮挙動や弾性挙動が大きく異なるためにレンズ間に力が生じ、レンズの内部に応力が発生し歪を生じるため、光学特性が微妙に変化したり、レンズの位置関係がずれるといった問題が起きやすい。全てのレンズをエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズとすることにより、上記のような問題を回避できる点でも好ましい。
さらに、レンズ群が複数のエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズからなる場合は、撮像用レンズユニットを構成するすべてのエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズと鏡筒との間に下記式(1)を満たすようにクリアランスが設けられることが好ましく、さらに、エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズ以外のレンズを含む場合には、全てのレンズと鏡筒との間に下記式(1)を満たすようにクリアランスが設けられることが好ましい。
なお、エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズ以外のレンズと鏡筒とのクリアランスの設定においては、下記式(1)において、L、α2の代わりに、該レンズの直径、平均熱膨張係数を用いればよい。
{L×(T−25)×α2−B×(T−25)×α1}×(1/2)≦X (1)
B:該エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの設置箇所における鏡筒の内径(25℃)
L:該エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの直径(25℃)
α1:鏡筒の25〜260℃の温度範囲における平均熱膨張係数
α2:該エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの25〜260℃の温度範囲における平均熱膨張係数
T:撮像用レンズユニットが供される半田リフロー工程における最も高い温度(℃)
X:クリアランス
ここで、半田リフロー工程は通常、半田材料の融点以上の温度で行われることから、半田リフロー工程は通常、250℃以上であり、好ましくは260℃前後で行われる。したがって、クリアランスXを設計するにあたり、前記式(1)におけるT(最高温度)としては、通常、260(℃)を採用することが好ましい。これにより、本発明の撮像用レンズユニットを半田リフロー工程に特に好適なものとして設計することができ、工業的により有利なものとすることができる。
レンズ直径、及び、後述する半径は、支持部等の接触のない部分における、実質のレンズ直径、及び、半径を意味する。楕円等の円に類似した形状の場合は、レンズの外周と鏡筒との距離が最も短い距離となる、レンズ外周上の点と中心点を結んだ距離をレンズの半径として採用する。
鏡筒(バレル)内径とは、支持部等の突起物の高さを含まない領域を内径とする。楕円等の円に類似した形状の場合は、上記レンズの半径に対応する部分の内径、言い換えれば、上記レンズの半径として採用した距離を結ぶ2点である、レンズ外周上の点と中心点とを通る直線上にある鏡筒内径を直径として採用する。
実際の撮像用レンズユニットにおいて、光学的にレンズとしての作用を発揮する部分(像を形成する為の部分)のみを対象とする直径ではなく、鏡筒内に配置してなる、該部分を含む硬化成型物の直径である。
上記式(1)においては、成型体の形状によって、線膨張率(熱膨張率)を複数持つ素材の場合には、クリアランスの存在する付近の線膨張率を使用する。但し、不明瞭な場合については、各材料について、線膨張率が方向によって複数個存在する(異方性等を有する)場合には、レンズは大きい値で、鏡筒は小さい値で計算する。
上記撮像用レンズユニットが上記式(1)を満たす構成であることによって、半田リフロー工程においてエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズが膨張したとしても、鏡筒とエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズとの間で圧力がかかることなく、該レンズが変形することなどを防止することができる。
上記式(1)は、半田リフロー工程時(熱膨張時)に鏡筒(バレル)とレンズとの間にクリアランスが確保されることを表す下記式;
B+B×α1×(T−25)−{L+L×α2×(T−25)}≧0
X=1/2(B−L)
から導き出されるものである(図2)。図2a)に、25℃時のバレル及びレンズを示す。また図2のb)において、B×α1×(T−25)は、鏡筒が25℃の時から半田リフロー工程時に熱膨張した分の長さを表し、L×α2×(T−25)は、レンズが25℃の時から半田リフロー工程時に熱膨張した長さを表す。破線で表された二つの円は、外側の円と内側の円がそれぞれ半田リフロー工程時に熱膨張したバレルと熱膨張したレンズを表し、熱膨張したバレルと熱膨張したレンズとの間にクリアランスが確保されるものとしたのが上記式である。半田リフロー工程に供した後は、通常は半田リフロー工程前の構成(バレルとレンズの位置関係)に実質的に復元することになる。
上記クリアランスXの好ましい範囲として、撮像用レンズユニットの小型化の観点からは、1mm以下である。より好ましくは、0.5mm以下であり、更に好ましくは、0.2mm以下であり、特に好ましくは、0.1mm以下である。
また、クリアランスXの好ましい範囲としては、下記式;
{L×(T−25)×α2−B×(T−25)×α1}×(1/2)=X0
としたときに、上記式(1)を満たすXの最小値がX0であるが、Xの好ましい下限値としては、X0に対して1.01倍以上であり、更に好ましくは1.1倍以上であり、更に好ましくは1.5倍以上である。上記下限値は、レンズ支持部によって支持されたエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズと鏡筒との間におけるクリアランスの大きさについての好ましい範囲であるが、レンズ群が複数のレンズからなる場合は、すべてのレンズについて上記下限値を満たすようにクリアランスが設けられることが好ましい。X/X0が1.01未満では、リフロー処理時にレンズと鏡筒が接触してレンズの位置関係が損なわれ解像度の低下が起こるおそれがある。つまり、X/X0が、1.01以上の理由としては、リフロー温度のふれによる膨張度合いによっては、リフロー処理時のレンズと鏡筒の接触の発生するおそれがあることが挙げられる。また、本発明の撮像用レンズユニットは、その製造において、レンズ、鏡筒の高精度な成形加工技術が要求されるが、X/X0が1.01未満では、極僅かな製造時のバラツキによって、レンズユニットの製造歩留まりが低下するおそれがあることが挙げられる。
上記b/aは、0.7〜0.8であることが好ましい。より好ましくは、実質的に0.8であることである。
なお、突起の角度は、図4a)、b)に示されるように、半田リフロー工程時におけるレンズへの食い込みの面積を小さくしてその負担を軽減する点からは、ある程度狭角であることが好ましい。
以上のような理由から、レンズ支持部によって支持されたエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズ(支持レンズ)と鏡筒との間におけるクリアランスの大きさを、上記X/X0の好ましい上限値とすることが好ましい。
一方、レンズ支持部によって支持されたエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズ以外のレンズ(非支持レンズ)に関しては、上記の上限値を必ずしも満足する必要はないが、後述するように鏡筒内径を一定とする方が安価に製造しやすいこと、該レンズを収載する場合の収載し易さ、該レンズの位置調整の行い易さなどから、好ましくは、非支持レンズの直径は支持レンズの直径より僅かに小さいものとすることが好ましく、上記上限値を上限値とすることが好ましい。
また、本発明の撮像用レンズユニットが、複数のレンズから構成される場合、鏡筒内径を各レンズを収載する位置によって異なるものとするよりも内径を一定とする方が鏡筒を安価に製造する点で有利であることから、通常は、鏡筒内径を一定とし、各レンズと鏡筒内径との間のクリアランスが上記式(1)を満足するように、また上述の好ましい範囲となるよう、各レンズの平均熱膨張係数の大きさに応じて、各レンズの直径を決めることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂材料により形成される鏡筒及びエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの平均熱膨張係数は、α1/α2の値が0.01〜1を満たすことが好ましい。0.01より小さい場合には、レンズ支持部とレンズとの接触部分においてレンズと鏡筒との間に生じた圧力がレンズの内部にまで影響を及ぼす虞があり、1より大きい場合には、鏡筒と上記エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズとの間で圧力が生じず、本発明の効果が充分に発揮されないおそれがある。α1/α2のさらに好ましい上限は、0.5以下である。下限は、0.05以上である。複数のエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズがレンズ群の中に含まれる場合には、エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの平均熱膨張係数と、鏡筒の平均熱膨張係数との差異が最も大きいエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの平均熱膨張係数をα2としたときに上記式を満足することが好ましい。
レンズユニットを構成する各レンズにおける、熱膨張係数の差異としてより好ましくは、30ppm/℃以下であり、更に好ましくは、20ppm/℃以下であり、特に好ましくは、10ppm/℃以下である。
また、上記レンズユニットにおいて、レンズが2枚構成である場合、エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの平均熱膨張係数は、特に、100ppm/℃以下であることが好ましい。レンズが3枚構成である場合、高解像度が必要とされるため、エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの平均熱膨張係数は、より小さいことが好ましい。具体的には、95ppm/℃以下であることが好ましい。エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの平均熱膨張係数は、鏡筒材料の平均熱膨張係数以上であることが好ましい理由から、10ppm/℃以上が好ましく、より好ましくは30ppm/℃以上、さらに好ましくは50ppm/℃以上である。また、上記式(1)中のα2(該エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの25〜260℃の温度範囲における平均熱膨張係数)の好ましい範囲としても、上述したものと同様の範囲が挙げられる。
なお、平均熱膨張係数は、熱膨張係数測定装置を用いて大気圧(1気圧)で測定することができる。具体的には、熱膨張係数測定装置(TMA4000SA、Bruker Axs社製)を用いて、昇温速度5℃/分、測定温度範囲25〜300℃、荷重1.0g、試験片の大きさを10mm(縦)×10mm(横)×3mm(厚み)として測定することが好ましい。平均熱膨張係数は、25〜260℃における平均の熱膨張係数であり、25℃における10mm×10mm×3mm(厚み)の成型体の厚みを基準として算出する。鏡筒材料に用いる熱可塑性樹脂の平均熱膨張係数も同様に測定することができる。
それによって、レンズ支持部が、レンズに接触している部分においてレンズ原形よりも内側に入り込んだ状態となり、これにより本発明の効果をより顕著に発揮することができる。
レンズ中心点から最外郭までの距離(レンズ半径)よりも、レンズ中心点からレンズ支持部の頂点までの距離(レンズ中心点から支持部までの距離)が短いことが好ましく、これらの差が、0.05mm未満であることが好ましく、0.02mm未満であることが好ましい。また、該差は0.001mm以上であることが好ましく、0.01mm以上であることがより好ましい。
また、上述したレンズ支持部の突起の高さ(c)が、クリアランス(X)に対して、下限としては1.001倍以上であることが好ましく、1.01倍以上であることがより好ましい。上限としては、3倍未満が好ましく、2倍未満がより好ましく、1.5倍未満が更に好ましい。
食い込みの痕跡、すなわち、レンズ支持部によって支持されるレンズにおけるレンズ支持部との接触部の凹みを図6(d)、(e)、図7に示す。なお、鏡筒材料が上述したような液晶ポリマー(LCP)であり、レンズ材料がエポキシ系カチオン硬化性樹脂であれば、通常どのようなものでもリフロー時にこのような痕跡が残ることになる。
上記図6(d)、(e)、図7は、リフロー工程後の食い込みの痕跡を示すものであるが、リフロー工程前であっても、光の当て方や見る角度を調整することにより食い込みの痕跡を確認することが可能である。すなわち、レンズの直径、バレルの内径、支持部の突起の高さから計算上の食い込みがあり、この計算上の食い込みは、通常、数μmから10μm程度であり、大きくても20μmを超えないものである。
また本発明の撮像用レンズユニットは、レンズ支持部によって支持されるレンズにおける、レンズ支持部との接触部に凹みを有することが好ましい。
上記食い込むようにして支持する形態やレンズ支持部との接触部に凹みを有する形態とすることにより、レンズをより強い固定力で支持することができ、加熱リフロー工程の前後で支持部とレンズとの位置関係のずれを起きにくくし、本発明の撮像用レンズユニットの光学特性をより優れたものとできる。このような形態となるように、本発明の撮像用レンズユニットにおけるレンズ材料や鏡筒材料を選択したり、その位置や大きさを調整したりすることが好ましい。
上記食い込む形態や凹みの存在の確認は、以下のようにして行う。
レンズを鏡筒から離脱したときに、レンズが支持されていた部分、すなわち鏡筒内側に設けられたレンズ支持部がレンズに接触していた部分に、目視観察又は顕微鏡(光学顕微鏡、FE−SEM等の電子顕微鏡)により、レンズの原形とは異なった食い込む部分や凹み部分が確認できるものをいう。上記食い込む部分(凹み部分)の形態の一例を、図6(d)、(e)、図7に示す。
なお、図6に示す撮像用レンズユニットにおいて支持部が6箇所になっているのは、レンズ以外の部材のバレルへの固着を適正化するためであり、支持機能の向上等とは殆ど関連性がない。支持部としては、後述するように、生産性等の観点から4箇所が最良となる。
上記支持部が食い込むように、支持部の大きさを適宜設けることができる。
上記レンズ(樹脂レンズ)に支持部が食い込む形態は、レンズが収載された後から支持部を形成する場合には見られない形態である。当該後から支持部を形成する場合は、レンズのセンター位置を精度よく維持しながら固定することが困難となるおそれがある。またレンズに支持部が食い込まないため、固定が不充分となるおそれがある。特に半田リフロー工程に供した後に、僅かな寸法変化により、鏡筒とレンズとの熱膨張率の違いによって支持部とレンズに隙間のできるおそれがある。これにより、レンズの位置関係がずれ、レンズユニットの特性が損なわれる可能性がある。
なお、本明細書中で、「クリアランスが設けられる割合」とは、鏡筒の内周の長さに対して、レンズ支持部が設けられていない長さの割合をいう。
上記の場合、全てのレンズ又は一部のレンズは、レンズ同士がレンズの一部に形成されたテーパー部によってはめ合わされる形態も好ましく採用し得る。以下にレンズを支持する好ましい形態について例示する。
レンズが2枚構成である場合の好ましい形態:P2がレンズ支持体により支持される形態。レンズが3枚構成である場合の好ましい形態:P2又はP3のいずれか1つがレンズ支持体により支持される形態。
レンズが4枚構成である場合の好ましい形態:P2〜P4のいずれか1つがレンズ支持体により支持される形態。
各レンズの光軸に垂直な方向における相対的な長さ(直径)は、特に限定されないが、通常、P1を最も小さくすることが好ましい。P2〜Pnについては特に限定されないが、これらは同じであるか、光出射側に配置されるレンズの長さを大きく設計することが好ましい。これは、鏡筒にレンズを収容する際にレンズ、鏡筒に設けられたレンズ支持部などに対して、接触による機械的ダメージを与えないためである。
中空円形状遮光板は、中央に穴が形成された遮光板であり、例えば、ドーナツ状の形状の遮光板ということができる。これにより、エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズ等が熱膨張する際に、変形を抑制できることから好ましい。また、中空円形状遮光板は、厚みが0.5mm以下のものであることが好ましい。0.5mmを超える場合には、レンズ等が熱膨張するとレンズと遮光板が接触し、歪を生じるおそれがある。中空円形状遮光板の厚みとして、より好ましくは、0.4mm以下であり、更に好ましくは、0.3mm以下であり、特に好ましくは0.2mm以下である。上述のことから、上記撮像用レンズユニットは、レンズ群を構成する複数のレンズの少なくとも2個の間に厚み0.5mm以下の中空円形状遮光板が配置された構造を有することが好ましい。中空円形状遮光板としては、金属製からなるものが好ましく、SUS304などのSUS製がより好ましい。中空円形状遮光板の25〜260℃における、遮光板の平均熱膨張係数としては、1〜100ppm/℃であることが好ましい。より好ましくは10〜80ppm/℃である。これによれば、レンズが熱膨張する際により変形を抑制できる。
上記光選択透過フィルターを備えることによって、所望の波長の光を透過させることができるため、カメラモジュール等に当該撮像用レンズユニットを用いる場合に特に好適な形態となる。
撮像用レンズユニットが光選択透過フィルターを備える場合、上記光選択透過フィルターは、耐半田リフロー性を有するものであることが好ましい。これにより、光選択透過フィルターを備えた状態で、半田リフロー工程に供したとしても、熱変形、溶解等により光選択透過フィルターの特性が劣化することがない。このように、撮像用レンズユニットが光選択透過フィルターを備え、該光選択透過フィルターが耐リフロー性を有するものである形態も本発明の好ましい形態の一つである。レンズ及び光選択透過フィルターの両方が、充分な耐熱性を有することにより、自動実装化が可能となり、実装コストが充分に低減され、カメラモジュール等の光学用途に好適に用いることができる。
カメラモジュールにおいては、上記光選択透過フィルターは、カメラモジュールにおけるCMOSセンサー側に配置される形態が好ましい。すなわち、光の進行方向に沿って、1枚又は2枚以上のレンズ、光選択透過フィルター、CMOSセンサーの順に配置される形態も好適である。
上記レンズユニットにおいては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、上記以外の構成を備えていてもよい。
31≦νd≦62 (2)
すなわち、上記レンズ群を構成する複数個のレンズの少なくとも一つが上記式(2)のアッベ数を満たすことが好ましい。アッベ数が31未満である場合には、色収差が大きくなり、レンズを透過した光に色滲みが生じるおそれがある。アッベ数が62を超えると、色収差が小さくなるが、カチオン硬化樹脂にエポキシ樹脂にアッベ数を高くする添加剤(シリカ等)を多量に導入する必要があり、硬化を阻害するおそれがある。アッベ数の好適な範囲として、より好ましくは、33〜60である。また、上記レンズ群は、硬化速度の速いエポキシ樹脂の化学構造の点からも、アッベ数νdが上記式(2)を満足するレンズを必須とすることがより好ましい。
また、上記レンズ群は、アッベ数が上記式(2)を満足するレンズ材料により構成されていることが好ましい。ここで、レンズ材料は、レンズを構成する材料を意味するものである。レンズ材料が複数種の材料を含む場合には、複数種の材料の少なくとも一つが上記(2)を満足するものであることが好ましい。より好ましくは、レンズ材料全体として上記式(2)を満足するものであることであり、更に好ましくは、レンズ材料を構成する複数種の材料の全てが上記式(2)を満足するものであることである。
50≦νd≦62 (3)
上記式(3)を満足するものであることによって、それぞれのレンズが高いアッベ数を有するものとなるため、色収差の小さいレンズユニットとすることができ、色滲みをより抑制することができる。
また、上記レンズ群が2個のレンズからなり、各レンズを構成するレンズ材料が上記式(3)を満たすことが好ましい。これによって、レンズ群を構成する2個のレンズが高いアッベ数を有するものとなるため、色滲みを抑制したレンズユニットとすることができる。
レンズ材料が複数種の材料を含む場合には、複数種の材料の少なくとも一つが上記(3)を満足するものであることが好ましい。より好ましくは、レンズ材料全体として上記式(3)を満足するものであることであり、更に好ましくは、レンズ材料を構成する複数種の材料の全てが上記式(3)を満足するものであることである。
また、上記レンズ群は、正レンズと負レンズとからなり、正レンズに使用するレンズ材料のアッベ数をνd+、負レンズに使用するレンズ材料のアッベ数をνd−、としたとき、正レンズが下記式(3)′を満足し、負レンズが下記式(4)を満足することが好ましい。
50≦νd+≦62 (3)′
31≦νd−≦40 (4)
上記式を満たす正レンズ及び負レンズを用いることによっても、色収差を低減することができ、色滲みの少ないレンズユニットとすることができる。
なお、正レンズとは、正の屈折力を持ったレンズのことであり、負レンズとは、負の屈折力を持ったレンズのことである。正レンズとしては、像を写す領域の両面が凸面である両凸面レンズが好ましく用いられる。負レンズとしては、像を写す領域の両面が凹面である両凹面レンズや、片面が凹面であり、片面が凸面であるレンズが好ましく用いられる。
なお、上記屈折率の値は、D542法に準じて測定したd線(589nm)で測定したものである。
上記エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズは、エポキシ系カチオン硬化性樹脂材料としてのエポキシ系カチオン硬化性樹脂成分とカチオン硬化触媒とを必須として含むカチオン硬化性樹脂組成物をカチオン硬化させることによって形成したものである。レンズを形成するためのエポキシ系カチオン硬化性樹脂成分の含有量としては、60〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは、80〜99.9質量%であり、更に好ましくは、90〜99質量%である。
エポキシ系カチオン硬化性樹脂成分としては、エポキシ基を少なくとも一つ有するカチオン硬化性樹脂であれば特に限定されないが、エポキシ基を2個以上有する、多官能エポキシ化合物を必須とすることが好ましい。上記樹脂組成物を構成するエポキシ系カチオン硬化性樹脂成分としては、カチオン硬化性であればよく、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂であることが好適である。上記エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズを形成するための樹脂組成物としては、硬化速度を向上させる観点等からは、多官能エポキシ化合物を硬化触媒(光潜在性硬化触媒、熱潜在性硬化触媒等)を用いてカチオン硬化するものが好ましい。カチオン硬化触媒については、後述する。
上記樹脂組成物の形態としては、例えば、(1)液状又は固形の硬化性の樹脂成分からなる形態、(2)液状又は固形の硬化性の樹脂成分と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物又は溶剤(非硬化性)等を含有する形態、及び、(3)液状又は固形の非硬化性の樹脂成分と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物とを含有する形態等が挙げられる。上記(3)液状又は固形の非硬化性の樹脂成分と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物を含有する形態としては、例えば、PMMA等のアクリル樹脂のオリゴマー成分と(メタ)アクリレートモノマー等を含有する形態を挙げることができる。なお、本明細書中で「エポキシ基」とは、3員環のエーテルであるオキシラン環を含む基を意味するものである。具体的には、エポキシ基、エポキシ基の構造を含むグリシジル基が好ましい。エポキシ基としては、エポキシシクロヘキシル基等のエポキシ基、グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基等のグリシジル基等を好適に用いることができる。
上記脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等のエポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素基を介してエポキシ基が付加したエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド等があるが、エポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素基を介してエポキシ基が付加したエポキシ樹脂がより好適である。
水添エポキシ化合物としてより好ましくは、芳香族エポキシ化合物の完全又は部分水添物等がより好ましい。なお、上記水添エポキシ化合物とは、エポキシ化合物の水添物のことであり、好ましい化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂のような芳香族多官能グリシジルエーテル化合物の水添物(これらの水添物は、それぞれ、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールS型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物という。)が挙げられる。
上記樹脂組成物に含まれる化合物の分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、商品名「HLC−8220GPC」を用い、下記の条件で測定することができる。
(分子量の測定条件)
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0*150」×4本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
樹脂成分に占める水添エポキシ化合物及び/又は脂環式エポキシ化合物の総量が、全樹脂成分に対して、90質量%以上であることが好適である。上記高アッベ数レンズは、二重結合を構成する炭化水素の割合が、20質量%未満であることが好適である。より好ましくは、10質量%未満である。
上記離型剤の含有量としては、樹脂組成物100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えると樹脂が硬化しにくくなる等のおそれがある。より好ましくは、0.01〜10質量%であり、更に好ましくは、0.01〜5質量%であり、特に好ましくは、0.1〜2質量%である。また、レンズに対しても同様の範囲が好ましい。
上記無機微粒子としては、金属や金属化合物等の無機化合物から構成される微粒子であればよく、特に限定されるものではないが、金属酸化物であることが好ましく、シリカであることが好ましい。
上記無機微粒子としては、金属や金属化合物等の無機化合物から構成される微粒子であればよく、特に限定されるものではない。無機微粒子における無機成分としては、金属の酸化物、水酸化物、(酸)窒化物、(酸)硫化物、炭化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、(塩基性)炭酸塩、(塩基性)酢酸塩等が例示される。これらの中でも好ましくは、金属の酸化物(金属酸化物)である。
1)カップリング剤;シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等のカップリング剤;金属アルコキシド類及びこれらの(部分)加水分解・縮合物;金属石鹸;等の有機金属化合物。
2)有機アミン、βジケトン化合物、カルボン酸等の有機化合物。
3)従来公知の高分子系分散剤の他に、(メタ)アクリル樹脂系、ポリスチレン樹脂系、ポリオレフィン系、酢酸ビニル樹脂系、アクリルシリコーン系等のビニル系モノマーの(共)重合体系ポリマー;アルキド樹脂系ポリマー;アミノ樹脂系ポリマー;エポキシ樹脂系ポリマー;ポリアミド樹脂系ポリマー;ポリイミド樹脂系ポリマー;ポリウレタン樹脂系ポリマー;ポリエステル樹脂系ポリマー;フェノール樹脂系ポリマー;オルガノポリシロキサン系ポリマー;ポリアルキレングリコール系ポリマー;フッ素樹脂系等の高分子化合物及びこれらの変性物。
4)(カチオン系、アニオン系、両性、ノニオン系等の)各種界面活性剤。
5)アルカリ金属イオン、ハロゲンイオン。
等が好適である。
上記無機微粒子(例えば、金属酸化物粒子等)の形態としては、粒子が有機溶媒に分散した形態(溶媒分散体)で、樹脂成分と混合することが好ましい。溶媒分散体における無機系微粒子の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の10〜70重量%、更に好ましくは20〜50重量%であり、溶媒分散体は、この程度の含有量において取扱いやすい。溶媒分散体における溶媒の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の90〜30重量%、更に好ましくは80〜50重量%である。溶媒分散体における無機微粒子は、前記した表面処理剤で表面処理されてなるものがレンズ中での分散性に優れるために好ましい。
Ds=6000/(ρ×S)
(但し、ρ:金属酸化物系粒子の真比重、S:B.E.T.法で測定される金属酸化物系粒子の比表面積(m2/g))、又は、結晶質の場合にはX線回折測定による結晶子径の測定により、求めることができる。
上記溶媒分散体における微粒子の分散粒径は、一次粒径又はそれに近い大きさに分布していることが好ましく、具体的には、平均粒子径が、400nm以下、更に好ましくは70nm以下、特に好ましくは30nm以下である。また分散粒子径は、動的光散乱法、遠心沈降法等により評価することができる。樹脂組成物中における一次粒径並びに分散粒径に関しても溶媒分散体の場合と同様の範囲が好ましく、前記した小角X線散乱法等で評価することができる。
カチオン硬化触媒を有することで、硬化剤を用いたものと比較して樹脂組成物の保存安定性がより優れたものとなる。更に、樹脂組成物の硬化速度を速くすることができ、生産性よくエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズを得ることができる。また、得られるエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズは、耐熱性、透明性、機械的特性に優れるものとなる。
上記カチオン硬化触媒としては、熱潜在性硬化触媒(熱酸発生剤)又は光潜在性硬化触媒(光酸発生剤)であることが好ましい。熱や光により、重合を開始させるカチオン種が発生するものであれば、特に限定されない。熱潜在性硬化触媒を用いることにより、加熱によりカチオン種を含む化合物が励起され、熱分解反応がおこり、熱硬化がすすむこととなる。また光潜在性硬化触媒を用いることにより、光によりカチオン種を含む化合物が励起され、光分解反応がおこり、光硬化がすすむこととなる。また、上記カチオン硬化触媒としては、熱潜在性硬化触媒が好適である。このように、上記樹脂組成物としては、熱潜在性硬化触媒を含むものが好ましい。
上記熱潜在性硬化触媒とは、熱潜在性硬化剤、熱潜在性カチオン発生剤とも呼ばれ、樹脂組成物において硬化温度になれば、硬化剤としての実質的な機能を発揮するものである。熱潜在性硬化触媒は後述する硬化剤と異なり、樹脂組成物に含まれていても、樹脂組成物の常温での経時的な粘度上昇やゲル化を引き起こすことなく、また、熱潜在性硬化触媒の作用として、硬化反応を充分に促進することができ、優れた効果を発揮することができ、ハンドリング性に優れた一液性樹脂組成物(一液性光学材料)を提供することができる。カチオン硬化触媒を含む樹脂組成物における有機樹脂成分は硬化速度の向上の観点からは、脂環式エポキシ化合物や水添エポキシ化合物が好ましく、触媒量を減量するという観点からは、脂環式エポキシ化合物が好ましい。
上記熱潜在性硬化触媒の触媒量(使用量)は、樹脂組成物100質量%に対し、固形分換算で(溶媒等を含まない、有効成分の量で)0.01〜10質量%が好ましい。より好ましくは、0.05〜2.0質量%であり、更に好ましくは、0.2〜1.0質量%である。触媒量を減らしすぎて0.01質量%未満とすると、硬化が遅く、10質量%を超えて増やすと硬化時やその成形体であるエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの加熱時に着色するおそれがある。例えば、エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズを得た後に該レンズを半田リフロー実装する場合には、200℃以上の耐熱性が必要であり、透明性の観点からは、触媒量は、有機樹脂成分と必要に応じてその他の成分とをあわせた樹脂組成物100質量%に対し、1質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.6質量%以下である。
(R1 dR2 eR3 fR4 gZ)+s(AXn)−s (5)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、有機基を表す。d、e、f及びgは、0又は正数であり、d、e、f及びgの合計はZの価数に等しい。カチオン(R1 dR2 eR3 fR4 gZ)+sはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。sは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。nは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
更に一般式AXn(OH)−で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3 −)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 −)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
ヨードニウム塩タイプ:UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、Photoinitiator 2074(ローヌプーラン社製)、WPIシリーズ(和光純薬社製)
スルホニウム塩タイプ:CYRACUREシリーズ(ユニオンカーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サトーマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)
等が挙げられる。
上記硬化時間(金型を用いた硬化時間)が5分を超えると、生産性が悪くなる。より好ましくは、3分以内であり、更に好ましくは、2分以内であり、最も好ましくは、1分以内である。上記硬化温度としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができるが、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。具体的には、110℃で3分以内で硬化させることが好適である。
上記硬化方法においては、金型から取り出し、形状を保てる程度の硬度であればよく、1kgf/cm2以上の力で押し出したときの形状変化の割合が10%以下の硬化強度(硬度)であることが好ましい。上記形状変化の割合として好ましくは、1%以下であり、より好ましくは、0.1%以下であり、更に好ましくは、0.01%以下である。
上記ポストキュアにおいて、硬化温度及び硬化時間としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができる。例えば、硬化温度としては、80〜260℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜220℃である。ポストキュアの硬化時間としては、硬化温度にも依存するが、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、2〜5時間である。
本発明の撮像用レンズユニットとしては、半田リフロー工程に供されてなるもの、すなわち半田リフロー工程に供した後においても本発明の構成を実質的に有するものも本発明の好ましい実施形態の1つである。
本発明の製造方法における好ましい形態としては、半田リフロー工程に供する撮像用レンズユニットを得るための製造方法であって、上記製造方法は、1個又は複数個のレンズによって構成されるレンズ群、及び、これを支持する鏡筒を備え、エポキシ系カチオン硬化性樹脂材料により形成されるエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズを必須とし、該鏡筒は、荷重たわみ温度が200℃以上である熱可塑性樹脂材料により形成されることによって構成され、該エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの少なくとも1個は、該レンズと鏡筒との間にクリアランスが設けられるとともに、鏡筒内側の3箇所以上に設けられるレンズ支持部によって該レンズが支持される構造を有する撮像用レンズユニットを得ることを特徴とする撮像用レンズユニットの製造方法でもある。
また上記製造方法においては、本発明の撮像用レンズユニットをカメラモジュールに搭載した状態で、リフロー処理する工程を含む、カメラモジュール用撮像用レンズユニットの製造方法であることが特に好ましい形態である。
本発明の撮像用レンズユニットをこのように使用することによって、小型軽量・高性能化された撮像用レンズユニットを光学的な特性を損なうことなく得ることが可能となる。
上述したように半田リフロー工程による場合、リフロー炉は熱風や遠赤外線等によって加熱されることから、そのような工程に供される部材には、リフロー温度に対応できる耐熱性が要求されることになるが、本発明の撮像用レンズユニットの使用方法においては、撮像用レンズユニットが上述した構成よりなることから、半田リフロー工程を行うことによる効果を充分に発揮することができる。
更に、本発明の撮像用レンズユニットを搭載した状態で、リフロー処理する工程を含むカメラモジュールの製造方法もまた本発明の好ましい形態である。
すなわち、本発明の撮像用レンズユニットの好ましい形態は、上記撮像用レンズユニットが、カメラモジュールに搭載した状態で半田リフロー工程に供されてなり、カメラモジュール用途に用いられることである。
そして、本発明の好ましい形態としては、本発明のカメラモジュールを有する携帯電話をあげることができる。また、本発明のカメラモジュールを有するデジタルカメラも挙げることができる。
カメラモジュール用途及びそれを用いた光学部材を備えた製品用途に本発明の撮像用レンズユニットを適用することは、本発明の好適な形態であり、これによって、カメラモジュール用途等に要求される小型軽量・高性能化を実現することができ、半田リフロー工程によって生産することの利点を生かしつつ、光学的な特性を損なわずに生産性よく製造することができることとなる。これによって、優れた光学的特性を発揮しつつ、生産性面にも優れた廉価な光学製品を供給することが可能となる。
なお、実施形態1〜4、6〜9、参考例1、比較例1〜3、5〜7は、それぞれ10サンプルを試作し評価した。比較例4は、後述するようにレンズが溶けて変形したため、リフロー後の解像度等を測定することができなかった。
図8(a)及び(b)は、実施形態1に係る撮像用レンズユニットの断面模式図であり、(a)は、支持部位置での断面図、(b)はそれに45°異なる角度における断面図である。図9は、図8(a)中の線分A−Bで切断したときの平面模式図である。図9で示されるように、実施形態1に係る撮像用レンズユニットは、レンズ支持部15が第二レンズ14に接触しており、レンズを支持する形態となっている。
実施形態1に係る撮像用レンズユニット100は、図8(a)及び(b)の断面模式図で示すように、バレル(鏡筒)11の内部に第一レンズ13及び第二レンズ14が重ねて配置されている。バレル11は、上下(ここでは、図8における上側を上とし、図8における下側を下とする。)を開口した四角柱状に形成されており、該四角柱の内部に円筒状の中空が設けられている。図9で示すように、バレル11の四角柱を平面視したときの一辺の長さr3は、4.5mmであり、バレル11の内径r2は、2.3mmである。
また、バレル11の内壁には、レンズ支持部15が設けられており、レンズ支持部15により第二レンズ14が支持されている。レンズ支持部15のバレル11の内壁からの高さは、0.06(0.05+0.01)mmである。また、第一レンズ13と第二レンズ14とは、テーパー部10によってはめ合わせられており、第一レンズ13はレンズ支持部により支えられることなく固定されている。ここで、テーパー部10の水平面に対する角度は、45°である。
上記第二レンズ14を構成する材料や、該レンズを構成する材料の含有率等については、上記第一レンズ13と同様であり、また、線膨張係数等についても同様である。
このとき、式(1)においてバレル内径(B)を2.3mmとしたときに、レンズ直径(L)を変数とした場合の、第一レンズ、第二レンズ(いずれも平均熱膨張係数115ppm/℃)に対する、最小のクリアランスX0となるレンズ直径は、2.245mmであり、X0=0.0275mmである。
これに対し、バレル11の内壁と、レンズ支持部により支持された第二レンズ14の外周部分との間隙であるクリアランスXは0.05mmであり、X0に対してX=1.82*X0となる。
また、バレル11の内壁と第一レンズ13の外周部分との間隙であるクリアランスXは0.1mmであり、X0に対してX=3.64X0となる。
なお、上記X0等の算定においては、バレル11の平均熱膨張係数としては、流水方向(MD方向)の値10ppmを採用した。
まず、バレル11の製造方法について説明する。
熱可塑性樹脂としてLCPであるオクタ LD−235(商品名、DIC社製)を用いて350℃で加熱して液化させる。液化させた熱可塑性樹脂を140℃に加熱した金型に流し込み、金型から取り出して室温まで冷却する(射出成形)。
ガスインレット、冷却管、攪拌棒つきの四つ口フラスコ3Lフラスコに液状水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(商品名「エピコートYX8000」、ジャパンエポキシレジン社製)168gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−ST、粒子径10〜15nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、80℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量249.7g、粘度は40Pa・sであった。上記樹脂組成物を34.7g、固体状水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(商品名「エピコートYL7170(YX8040)」、ジャパンエポキシレジン社製)を25g、YX8000を41.6gそれぞれ秤量し、80℃で均一になるように混合した。収量101・3g、粘度130Pa・sであった。
その後、上記樹脂組成物に対して、離型剤としてステアリン酸を全重量に対して0.5wt%となるように、80℃で均一になるように混合した。樹脂組成物に対しては、50℃に冷却後、カチオン硬化触媒(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L)を全重に対して1wt%となるように添加し均一になるように混合することによりエポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を調整した。エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物のエポキシ当量は、480(g/eq)であった。
上記エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物に対して必要に応じて減圧による脱泡を行い、レンズの形状にあわせた金型に該エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を塗出して、130℃の温度で3分間の加熱を行い硬化させた。その後、レンズを金型から取り出し、窒素雰囲気下で180℃1時間のポストキュア(ベーク)を行うことでレンズを完成させた。
上記レンズの場合と同様のエポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を用いて、成型用金型が異なること以外は同様の条件で硬化させて、各種評価用の試料用成型体を作製した。250μmのフィルム状成型体において波長が486nmの屈折率が1.5164、波長が589nmの屈折率が1.5101、波長が656nmの屈折率が1.5077であった。また、アッベ数は58.6であり、波長が500nmの場合の透過率が90.2%であった。10mm×10mm×3mm(厚み)の成型体で測定した、25〜260℃における平均熱膨張係数は115ppmであった。
<粘度>
上記樹脂組成物における40℃、回転速度D=1/s時の粘度をR/Sレオメーター(米国ブルックフィールド社製)にて評価した。粘度20Pa・s以上ではRC25−1の測定治具を使用し、20Pa・s未満ではRC50−1の治具を使用した。D=1/s時点の粘度が測定できないものについては、D=5〜100/sの値を外挿して、樹脂組成物の粘度として評価した。
<エポキシ当量>
エポキシ当量については、樹脂組成物のカチオン硬化触媒を入れた後の樹脂組成物(硬化直前の樹脂組成物)のエポキシ当量をJIS K7236に準拠した方法で測定した。
<透過率>
透過率:分光光度計 UV−3100(島津製作所製)を用いて上記方法で製造した成型体(厚み250μmのフィルム)の波長500nmにおける透過率を20℃にて評価した。
<屈折率、アッベ数の評価>
屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて20℃にて評価した。成型体は透過率を評価したものと同様である。
<平均熱膨張係数の評価方法>
測定用試料:10mm×10mm×3mm(厚み)の成型体
熱膨張係数測定装置(TMA4000SA、Bruker Axs社製)を用いて、下記条件下で測定し、得られた結果より、厚み方向の25℃に対する260℃の平均熱膨張係数を算出した。
昇温速度5℃/分
測定温度範囲25〜300℃
荷重:1.0g
バレル11の上側開口部に絞り12を取り付け、その後、バレル11の下側開口部から第一レンズ13、中空円形状遮光板16、第二レンズ14をこの順番で挿入する。また、赤外線カットフィルター18が備えられた封止板(ガラス)17を配置する。第二レンズを挿入した際は、鏡筒内壁に設けられたレンズ支持部に押し込むようにして第二レンズを固定した。以上のようにして、上述の実施形態1に係る撮像用レンズユニットを製造した。
<耐熱性試験(リフロー工程ともいう)>
上述のようにして製造してなる実施形態1に係る撮像用レンズユニットについて耐熱性試験を以下のようにして実施した。すなわち、半田リフロー炉(静止型リフロー装置 RDT−250C、マルコム社製)において、図10に示す半田リフロー工程の温度シーケンスを通すことで、実施形態1に係るレンズユニットの耐熱性試験を実施した。図10において、縦軸が温度を示しており、横軸が時間を示している。T1は、217℃である。T2は230℃であり、T3は250℃であり、T4は、半田リフロー工程の最高温度であり、260℃である。t1は、T1以上の温度になる時間であり、60秒である。t2は、T2以上の温度になる時間であり、50秒である。t3は、T3以上の温度になる時間であり、10秒である。
また、クリアランスを設けても、レンズ支持部によってレンズが支持されているため、レンズの配置にずれが生じることはなかった。これにより、撮像用レンズユニットが耐半田リフロー性を有することがわかる。半田リフロー工程前のPV値は、0.2μmであり、半田リフロー工程後のPV値は0.23μmのため、半田リフロー工程によりレンズユニットへのダメージがないことが確認された。
解像度の評価については、MTF測定装置(オプトデバイス社製、FOA201)を用いて、平面視したときの撮像用レンズユニットのカット解像度が、像高0〜100%の間のどの部分においてもリフロー前後での変化が10%以下を良好(○)とし、10%を超える場合を不良(×)とした。測定条件は、ナイキスト周波数の1/4とした。実施形態1において、半田リフロー前後においてレンズの中心と、像高80%の位置解像度の変化を測定した例を図12(a)及び12(b)に示す。像高0%は、MTF測定装置付属のセンサーの対角の中心であり、像高100%はMTF測定装置付属のセンサーの対角の端である。図12(a)及び12(b)において、縦軸は、MTF(Modulation Transfer Function)の値であり、横軸は、レンズの中心(センター)の焦点距離を0mmとしたときの縦方向の距離を示している。図12中の「Right」、「Upper」、「Left」、「Lower」は、レンズを平面視し、センターを中心としたときに90°異なる4つの方向の像高80%の位置で測定したことを示している。また、「S」は、サジタル方向の光で測定したときのものであり、「M」は、メリジオナル方向の光で測定したときのものである。このように、図12(a)及び(b)を比較した場合、メリジオナル方向で測定したときのMTFは50%程度となっており、また、半田リフロー工程後において測定したMTFについても大きな変化はなく、半田リフロー工程によりレンズユニットの光学特性の劣化は確認されなかった。
10サンプルを試作し、評価したところ、10サンプルともリフロー工程後の解像度の変化、レンズの変形、バレル(鏡筒)の変形に関する評価結果はいずれも良好(○)であった。すなわち、リフロー工程後の解像度の変化、レンズの変形、バレルの変形はいずれも認められず、いずれの評価結果も良好(○)であった。
比較例1に係るレンズユニットは、バレルが耐半田リフロー性を有しない熱可塑性樹脂であるポリカーボネート(PC)であるユーピロンS3000R(商品名、熱たわみ温度(試験法ASTM D648):負荷荷重0.45MPaとしたときの荷重たわみ温度は139℃であった。負荷荷重1.8MPaとしたときの荷重たわみ温度は124℃であった。三菱エンジニアリングプラスチック社製)により形成されていること以外は、実施形態1と同様の構成である。また、半田リフロー工程の条件等については実施形態1と同様である。この場合、バレルが溶けてしまったことから半田リフロー後の解像度が劣化するものとなっていた。
図13は、比較例2に係るレンズユニットの平面模式図である。比較例2に係るレンズユニットは、実施形態1における第二レンズ14に対応する正レンズ24の直径がバレル21の内径と同様の長さの2.3mmであり、クリアランスが設けられていないこと以外は、実施形態1と同様の構成である。また、半田リフロー工程の条件等については実施形態1と同様である。実施形態1と同様に、半田リフロー工程の前後でレンズの歪について測定した結果を図14に示す。半田リフロー工程前後のレンズの変化量は2.72μmであり、半田リフロー工程を通すことによりレンズが変形していることが確認された。また、図15(a)及び(b)は、半田リフロー工程前後における、解像度を測定したグラフである。半田リフロー工程前では、図15(a)で示すように、例えば、デフォーカスが0mmの点でLowerSは58%であったが、半田リフロー工程後において測定したMTFについては、図15(b)に示すように、41%程度まで低下していることが確認され、半田リフロー工程により解像度が変化していることが確認された。
図16は、比較例3に係るレンズユニットの平面模式図であり、比較例3に係るレンズユニットは、バレル21にレンズ支持部が設けられていないこと以外は、実施形態1と同様の構成である。また、半田リフロー工程の条件等については実施形態1と同様である。この場合、半田リフロー工程後の解像度が劣化しており、充分な光学性能を得ることができなかった。解像度の評価については、実施形態1と同様に行った。
実施形態2に係るレンズユニットは、バレルの材質がPPSであるDIC−PPS FZ−2140−D9(商品名、熱たわみ温度(試験法ASTM D648):負荷荷重1.82MPaとしたときの荷重たわみ温度は265℃であった。負荷荷重0.45MPaとしたときの荷重たわみ温度は265℃以上であった。DIC社製)を主成分として構成されていること以外は、実施形態1と同様の構成である。バレルにおいて、25〜260℃の間における平均熱膨張係数は、22ppm/℃である。なお、実施形態1の場合と同様にして求めた、実施形態2に係るレンズユニットにおける第一レンズ、第二レンズにおける最小のクリアランスX0はいずれも0.0245mmであり、最小のクリアランスX0に対する、各レンズにおけるクリアランスの大きさはX0に対して、第一レンズの場合は、4.08倍であり、第二レンズの場合は、2.04倍である。
実施形態2のレンズユニットに関しても実施形態1と同様にして10サンプルを試作し、10サンプルに関して耐熱性試験を行った。その結果、リフロー工程後の解像度の変化、レンズの変形、バレルの変形に関する評価結果はいずれも良好(○)であった。
PPSをバレルの材質として用いた場合も同様に、バレルが溶けることなく、実施形態1と同様に良好な光学特性を得ることができた。解像度等の測定条件については、実施形態1と同様である。
PPSであるDIC−PPS FZ−2140−D9(商品名、DIC社製)を主成分として構成されている熱可塑性樹脂を用いて330℃で加熱して液化させる。液化させた熱可塑性樹脂を140℃に加熱した金型に流し込み、金型から取り出した後室温まで冷却する。
比較例4に係る撮像用レンズユニットは、実施形態1における第一レンズ13及び第二レンズ14がシクロオレフィンポリマー(商品名:ZEONOR 1020R、日本ゼオン社製)により形成されていること以外は、実施形態1と同様の構成である。比較例4に係るレンズユニットでは、半田リフロー工程によってレンズが溶けて変形してしまっていた。
図17(a)及び(b)は、実施形態3に係る撮像用レンズユニットの断面模式図であり、(b)は、支持部位置での断面図、(a)はそれに45°異なる角度における断面図である。である。
実施形態3に係る撮像用レンズユニット300は、図17(a)及び(b)の断面模式図で示すように、バレル(鏡筒)31の内部に第一レンズ33、第二レンズ39及び第三レンズ34が重ねて配置されている。バレル31は、上下(ここでは、図17における上側を上とし、図17における下側を下とする。)を開口した四角柱状に形成されており、該四角柱の内部に円筒状の中空が設けられている。バレル31の四角柱を平面視したときの一辺の長さは、5.79mmであり、バレル31の内径r8は、4.7mmである。
また、バレル31の内壁には、レンズ支持部35が設けられており、レンズ支持部35により第三レンズ34が支持されている。レンズ支持部35のバレル31の内壁からの高さは、0.11mm(0.1mm+0.01mm)である。また、第二レンズ39は、第三レンズ34とテーパー部30aによりはめ合わせられることで固定され、更に、第一レンズ33は、第二レンズ39とテーパー部30bではめ合わせられることで固定されている。ここで、テーパー部30aの水平面に対する角度は、45°であり、テーパー部30bの水平面に対する角度は、45°である。
上記中空円形状遮光板36は、SUS304を主成分として構成されるものであり、25〜260℃の間における平均熱膨張係数は、17ppm/℃である。なお、実施形態1の場合と同様にして求めた、実施形態3に係るレンズユニットにおける第一レンズ、第三レンズ(いずれも平均熱膨脹係数115ppm/℃)における最小のクリアランスX0はいずれも0.0565mmであり、最小のクリアランスX0に対する、各レンズにおけるクリアランスの大きさはX0に対して、第一レンズの場合は、2.65倍であり、第三レンズの場合は、1.77倍である。
同様に、第二レンズ(平均熱膨張係数88ppm/℃)における最小のクリアランスX0は0.042mmであり、最小のクリアランスX0に対する、クリアランスの大きさはX0に対して、3.57倍である。
実施形態3のレンズユニットに関しても実施形態1と同様にして10サンプルを試作し、10サンプルに関して耐熱性試験を行った。その結果、10サンプルともリフロー工程後の解像度の変化、レンズの変形、バレルの変形に関する評価結果はいずれも良好(○)であった。
また、実施形態1と同様に、レンズ支持部は鏡筒内壁に等間隔で4点設けられている。
第一レンズ33及び第三レンズ34の製造方法については、成型用金型の形状が異なること以外は、実施形態1のレンズと同様である。第二レンズ39の製造方法としては、ガスインレット、冷却管、攪拌棒つきの四つ口フラスコに脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、商品名「セロキサイド2021P」、エポキシ当量130)を25g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、商品名「EHPE−3150」、エポキシ当量177)を25g、芳香族エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル社製、商品名「オグソールEG−210」、エポキシ当量340)を50gとをそれぞれ秤量し、130℃で均一になるように混合した。更に、シリコンポリマー(信越シリコーン社製、商品名「KF−56」、重量平均分子量1750)1gを均一になるように混合し、樹脂組成物を得た。40℃での粘度は251Pa・sであった。
その後、上記樹脂組成物に対して、離型剤として2−エチルヘキサン酸を全重量に対して0.5wt%となるように、80℃で均一になるように混合した。更に、40℃に冷却後、カチオン硬化触媒(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L)を全重量に対して0.5wt%となるように添加し均一になるように混合することによりエポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を調整した。エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物のエポキシ当量は、246(g/eq)であった。
その後、上記エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物に対して必要に応じて減圧による脱泡を行い、レンズの形状にあわせた金型に該エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を塗出して、140℃の温度で3分間の加熱を行い硬化させた。その後、レンズを金型から取り出し、窒素雰囲気下で200℃1時間のポストキュア(ベーク)を行うことでレンズを完成させた。
上記レンズの場合と同様のエポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を用いて、成型用金型が異なること以外は同様の条件で硬化させて、各種評価用の試料用成型体を作製した。厚みが250μmのフィルム状成型体において波長が486nmの屈折率が1.5824、波長が589nmの屈折率が1.5701、波長が656nmの屈折率が1.5652であった。また、アッベ数は33.1であり、波長が500nmの場合の透過率が90.7%であった。10mm×10mm×3mm(厚み)の成型体で測定した、25〜260℃における平均熱膨張係数は88ppmであった。
図18は、比較例5に係るレンズユニットの平面模式図であり、図17における第三レンズに対応する位置のものである。比較例5に係るレンズユニットは、バレル31にレンズ支持部が設けられていないこと以外は、実施形態3と同様の構成である。また、半田リフロー工程の条件等については実施形態1と同様である。この場合、半田リフロー工程後の解像度が劣化しており、充分な光学性能を得ることができなかった。解像度の評価については、実施形態1と同様に行った。
比較例6に係るレンズユニットは、実施形態3における第三レンズ34に対応する正レンズの直径がバレルの内径と同様の長さの4.6mmであり、クリアランスが設けられていないこと以外は、実施形態3と同様の構成である。また、半田リフロー工程の条件等については実施形態1と同様である。この場合、クリアランスが設けられていないことによって、半田リフロー工程の前後でレンズの変化量が2μm以上であり、半田リフロー工程後の解像度が劣化しており、充分な光学性能を得ることができなかった。解像度の評価については、実施形態1と同様に行った。
実施形態4に係るレンズユニットは、バレルがPPSであるDIC−PPS FZ−2140−D9(商品名、DIC社製)で構成されていること以外は、実施形態3と同様の構成である。なお、実施形態1の場合と同様にして求めた、実施形態4に係るレンズユニットにおける第一レンズ、第三レンズにおける最小のクリアランスX0はいずれも0.05mmであり、最小のクリアランスX0に対する、各レンズにおけるクリアランスの大きさはX0に対して、第一レンズの場合は、3.0倍であり、第三レンズの場合は、2.0倍である。
同様に、第二レンズ(平均熱膨張係数88ppm/℃)における最小のクリアランスX0は0.0355mmであり、最小のクリアランスX0に対する、クリアランスの大きさはX0に対して、4.2倍である。
実施形態4のレンズユニットに関しても実施形態1と同様にして10サンプルを試作し、10サンプルに関して耐熱性試験を行った。また、半田リフロー工程の条件等については実施形態1と同様である。この場合、バレルが溶けることなく、また、レンズの歪やレンズの配置がずれることなくレンズユニットを製造することができるため、完成したレンズユニットは優れた光学特性を示すものであった。解像度の評価については、実施形態1と同様に行った。
その結果、10サンプルともリフロー工程後の解像度の変化、レンズの変形、バレルの変形に関する評価結果はいずれも良好(○)であった。
(参考例1)
参考例1に係るレンズユニットは、バレルの内径r2を2.25mmとして、支持部15の内壁からの高さを0.035mm(0.025mm+0.01mm)とする以外は、実施形態1と同様に作製した。なお、実施形態1の場合と同様にして求めた、参考例1に係るレンズユニットにおける第一レンズ、第二レンズにおける最小のクリアランスX0はいずれも0.027mmであり、最小のクリアランスX0に対する、各レンズにおけるクリアランスの大きさはX0に対して、第一レンズの場合は、2.78倍であり、第二レンズの場合は、0.93倍である。
参考例1のレンズユニットに関しても実施形態1と同様にして10サンプルを試作し、10サンプルに関して耐熱性試験を行った。その結果、7サンプルではリフロー工程後の解像度の変化、レンズの変形、バレルの変形に関する評価結果はいずれも良好(○)であった。
3サンプルは、リフロー工程後のレンズの変形、バレルの変形に関する評価結果はいずれも良好(○)であったが、若干、解像度の低下がみられた。リフロー試験により、支持レンズがバレルに接触したためにレンズが応力を受け、変形したため、焦点距離が変化したものと考えられる。
実施形態6に係るレンズユニットは、バレルの内径r2を2.26mmとして、支持部15の内壁からの高さを0.04mm(0.03mm+0.01mm)とする以外は、実施形態1と同様に作製した。なお、実施形態1の場合と同様にして求めた、実施形態6に係るレンズユニットにおける第一レンズ、第二レンズにおける最小のクリアランスX0はいずれも0.027mmであり、最小のクリアランスX0に対する、各レンズにおけるクリアランスの大きさはX0に対して、第一レンズの場合は、2.96倍であり、第二レンズの場合は、1.11倍である。
実施形態6のレンズユニットに関しても実施形態1と同様にして10サンプルを試作し、10サンプルに関して耐熱性試験を行った。その結果、9サンプルは、リフロー工程後の解像度の変化、レンズの変形、バレルの変形に関する評価結果はいずれも良好(○)であった。
1サンプルは、リフロー工程後のレンズの変形、バレルの変形に関する評価結果はいずれも良好(○)であったが、僅かに、解像度の低下がみられた。レンズが応力により光学的歪を受けたためと考えられる。
実施形態7に係るレンズユニットは、バレルの内径r2を2.8mmとして、支持部15の内壁からの高さを0.31mm(0.3mm+0.01mm)とする以外は、実施形態1と同様に作製した。なお、実施形態1の場合と同様にして求めた、実施形態7に係るレンズユニットにおける第一レンズ、第二レンズにおける最小のクリアランスX0はいずれも0.0335mmであり、最小のクリアランスX0に対する、各レンズにおけるクリアランスの大きさはX0に対して、第一レンズの場合は、10.45倍であり、第二レンズの場合は、8.96倍である。
10サンプルともリフロー工程後の解像度の変化、レンズの変形、バレルの変形に関する評価結果はいずれも良好(○)であった。
実施形態8に係るレンズユニットは、バレルの内径r2を2.7mmとして、支持部15の内壁からの高さを0.26mm(0.25mm+0.01mm)とし、レンズ支持部の個数を3点に変更した以外は、実施形態1と同様に作製した。なお、実施形態1の場合と同様にして求めた、実施形態8に係るレンズユニットにおける第一レンズ、第二レンズにおける最小のクリアランスX0はいずれも0.0325mmであり、最小のクリアランスX0に対する、各レンズにおけるクリアランスの大きさはX0に対して、第一レンズの場合は、9.23倍であり、第二レンズの場合は、7.69倍である。
10サンプルともリフロー工程後の解像度の変化、レンズの変形、バレルの変形に関する評価結果はいずれも良好(○)であった。
実施形態9に係るレンズユニットは、バレルの内径r2を2.45mmとして、支持部15の内壁からの高さを0.135mm(0.125mm+0.01mm)とし、レンズ支持部の個数を8点に変更した以外は、実施形態1と同様に作製した。なお、実施形態1の場合と同様にして求めた、実施形態9に係るレンズユニットにおける第一レンズ、第二レンズにおける最小のクリアランスX0はいずれも0.0295mmであり、最小のクリアランスX0に対する、各レンズにおけるクリアランスの大きさはX0に対して、第一レンズの場合は、5.93倍であり、第二レンズの場合は、4.24倍である。
10サンプルともリフロー工程後の解像度の変化、レンズの変形、バレルの変形に関する評価結果はいずれも良好(○)であった。
比較例7に係るレンズユニットは、レンズ支持部の個数を2点とする以外は、実施形態1、比較例3と同様に作製した。なお、実施形態1の場合と同様にして求めた、比較例7に係るレンズユニットにおける第一レンズ、第二レンズにおける最小のクリアランスX0はいずれも0.0275mmであり、最小のクリアランスX0に対する、各レンズにおけるクリアランスの大きさはX0に対して、第一レンズの場合は、3.64倍であり、第二レンズの場合は、1.82倍である。
10サンプルともリフロー工程後のレンズの変形、バレルの変形に関する評価結果はいずれも良好(○)であったが、半田リフロー工程後の解像度が劣化しており、充分な光学性能を得ることができなかった。
なお、実施形態1〜4、6〜9、参考例1、及び、比較例1〜3、5〜7におけるレンズユニットを評価した結果を下記表1に示す。
なお、○は良好であること、×は不良であることを意味する。
表1におけるX0、X/X0の値は、鏡筒内壁に備えられたレンズ支持部により支持されたレンズに対するクリアランス最小値X0と該レンズと鏡筒内壁との間に設けられたクリアランスXの値に基づいて算出されたX/X0の値である。
また、各実施形態において、リフロー試験後においても、バレル支持部(鏡筒支持部)により支持されたレンズが支持部により固定されていること、クリアランスの大きさが、リフロー試験前と変化ないことが確認された。
更に、X/X0を種々変えて行った結果より、(1)クリアランスを大きくしても性能上は問題ないことが確認できた。(2)一方、上述した結果より、から、X≧X0にすることが好ましいこと、更に、XがX0に対して1.1倍以上が好ましいことがいえる。
なお、X/X0の値が100を超える場合には、撮像用レンズユニットを小型化することができないこと等により、本発明の効果を充分に発揮することができないおそれがある。
また、エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズとしては、上記実施形態で用いたもの以外のエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズを用いても同様に半田リフロー工程においてダメージを受けることなく、優れたレンズユニットの特性を得ることができる。
例えば、実施形態1における第一レンズ13、第二レンズ14、実施形態3における第一レンズ33、第三レンズ34等として前記したレンズの代わりに好適に用いることができるレンズA、B及びCの製造方法について説明する。なお、下記レンズA〜Dにおける樹脂組成物の粘度、エポキシ当量、及び、成型体の透明性、屈折率、アッベ数については、実施形態1で用いたレンズと同様の方法で測定した。
ガスインレット、冷却管、攪拌棒つきの四つ口フラスコ3Lフラスコに液状水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(商品名「エピコートYX8000」、ジャパンエポキシレジン社製)403g、固体状水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(商品名「エピコートYL7170(YX8040)」、ジャパンエポキシレジン社製)268.66g、ブタノール671.66gを仕込み、80℃でよく攪拌して均一にした。その後、50℃まで降温し、フェニルトリメトキシシラン167.45g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン133.06g、テトラメトキシシラン212.24gを投入し、均一に攪拌した。その後、水を133.15g投入し、均一に攪拌した。その後、ホウ酸トリメチル13.71gを投入し、均一に攪拌し、昇温した。85〜90℃で6時間攪拌した後、減圧下で揮発成分として、メタノール、水、ブタノールを留去し、冷却後に樹脂組成物を得た。収量1020g、40℃での粘度は203Pa・sであった。
その後、上記樹脂組成物に対して、離型剤として2−エチルヘキサノールを全重量に対して1wt%となるように、80℃で均一混合し、樹脂組成物に対しては、40℃に冷却後、カチオン硬化触媒(三新化学工業社製、サンエイドSI−60L)を全重量に対して1.5wt%となるように添加し均一になるように混合することによりエポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を調整した。エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物のエポキシ当量は、461(g/eq)であった。
上記樹脂組成物に硬化剤を混合して1液とし、レンズの形状に合わせた金型に該樹脂組成物を塗出して、140℃の温度で3分間の加熱を行い硬化させた。その後、レンズを金型から取り出し、窒素雰囲気下で200℃で1時間のポストキュア(ベーク)を行うことでレンズを完成させた。
上記レンズの場合と同様のエポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を用いて、成型用金型が異なること以外は同様の条件で硬化させて、各種評価用の試料用成型体を作製した。厚みが250μmのフィルム状成型体において波長が486nmの屈折率が1.5213、波長が589nmの屈折率が1.5172、波長が656nmの屈折率が1.5116であった。また、アッベ数は53.3であり、波長が500nmの場合の透過率が90.8%であった。10mm×10mm×3mm(厚み)の成型体で測定した、25〜260℃における平均熱膨張係数は105ppmであった。
ガスインレット、冷却管、攪拌棒つきの四つ口フラスコ3Lフラスコに脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、商品名「セロキサイド−2021P」、エポキシ当量130)を50g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、商品名「EHPE−3150」、エポキシ当量177)を50g、140℃で均一になるように混合した。更に、シリコンポリマー(商品名:「KF−6004」、信越シリコーン社製、重量平均分子量77600)を0.2g、酢酸イソプロピル0.5gを均一になるように混合し、樹脂組成物を得た。40℃での粘度は10Pa・sであった。
その後、上記樹脂組成物に対して、離型剤としてステアリン酸を全重量に対して0.5wt%となるように、80℃で均一に混合した。更に、40℃に冷却後、硬化触媒(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L)を全重量に対して0.2wt%となるように添加し均一になるように混合することによりエポキシ系カチオン硬化性樹脂を調整した。エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物のエポキシ当量は、154(g/eq)であった。
上記エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物に対して必要に応じて減圧による脱泡を行い、レンズの形状に合わせた金型に該該エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を塗出して、140℃の温度で3分間の加熱を行い硬化させた。その後、レンズを金型から取り出し、窒素雰囲気下で180℃で1時間のポストキュアベークを行うことでレンズを完成させた。
上記レンズの場合と同様のエポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を用いて、成型用金型が異なること以外は同様の条件で硬化させて、各種評価用の試料用成型体を作製した。厚みが250μmのフィルム状成型体において波長が486nmの屈折率が1.5234、波長が589nmの屈折率が1.5165、波長が656nmの屈折率が1.5143であった。また、アッベ数は56.8であり、波長が500nmの場合の透過率が90.1%であった。10mm×10mm×3mm(厚み)の成型体で測定した、25〜260℃における平均熱膨張係数は90ppmであった。
ガスインレット、冷却管、攪拌棒つきの四つ口フラスコに液状水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(商品名「エピコートYX8000」、ジャパンエポキシレジン社製)20g、固体状水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(商品名「エピコートYL7170」、ジャパンエポキシレジン社製)10gを、それぞれ秤量し、140℃で均一になるように混合した。更に、130℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、商品名「セロキサイド−2021P」、エポキシ当量130)を40g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、商品名「EHPE−3150」、エポキシ当量177)を20g加えて均一になるように混合した。更に加えて、70℃でメチルシリコンオリゴマー(商品名「PMSQ−E」、小西化学工業社製、数平均分子量1800)10gを均一に混合し、樹脂組成物を得た。40℃での粘度は4Pa・sであった。その後、上記樹脂組成物に対して、離型剤としてオクタン酸を全重量に対して1wt%となるように、80℃で均一に混合した。更に、40℃に冷却後、カチオン硬化触媒(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L)を全重量に対して0.2wt%となるように添加し均一になるように混合することによりエポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を調整した。エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物のエポキシ当量は、268(g/eq)であった。
上記エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物に対して必要に応じて減圧による脱泡を行い、レンズの形状に合わせた金型に該エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を塗出して、140℃の温度で3分間の加熱を行い硬化させた。その後、レンズを金型から取り出し、窒素雰囲気下で220℃で1時間のポストキュアベークを行うことでレンズを完成させた。
上記レンズの場合と同様のエポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を用いて、成型用金型が異なること以外は同様の条件で硬化させて、各種評価用の試料用成型体を作製した。厚みが250μmのフィルム状成型体において波長が486nmの屈折率が1.5158、波長が589nmの屈折率が1.5092、波長が656nmの屈折率が1.5065であった。また、アッベ数は54.8であり、波長が500nmの場合の透過率が91.1%であった。10mm×10mm×3mm(厚み)の成型体で測定した、25〜260℃における平均熱膨張係数は95ppmであった。
(レンズDの製造方法)
ガスインレット、冷却管、攪拌棒つきの四つ口フラスコ3Lフラスコに液状ビスフェノールAエポキシ樹脂(商品名「828EL」、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量188)60gと、固体状ビスフェノールAエポキシ樹脂(商品名「JER1007」、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量1998)20gとをそれぞれ秤量し、150℃で均一になるように混合した。更に、90℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、商品名「セロキサイド2021P」、エポキシ当量130)を10g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、商品名「PPSQ−E」、数平均分子量850)10gを均一になるように混合し樹脂組成物を得た。40℃での粘度は77Pa・sであった。
その後、上記樹脂組成物に対して、離型剤としてステアリン酸を全重量に対して0.5wt%となるように、80℃で均一になるように混合した。更に、40℃に冷却後、カチオン硬化触媒(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L)を全重量に対して1wt%となるように添加し均一になるように混合することによりエポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を調整した。エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物のエポキシ当量は、524(g/eq)であった。
上記エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物に対して必要に応じて減圧による脱泡を行い、レンズの形状にあわせた金型に該エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を塗出して、150℃の温度で3分間の加熱を行い硬化させた。その後、レンズを金型から取り出し、窒素雰囲気下で200℃1時間のポストキュア(ベーク)を行うことでレンズを完成させた。
上記レンズの場合と同様のエポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物を用いて、成型用金型が異なること以外は同様の条件で硬化させて、各種評価用の試料用成型体を作製した。厚みが250μmのフィルム状成型体において波長が486nmの屈折率が1.5943、波長が589nmの屈折率が1.5816、波長が656nmの屈折率が1.5766であった。また、アッベ数は32.9であり、波長が500nmの場合の透過率が90.9%であった。10mm×10mm×3mm(厚み)の成型体で測定した、25〜260℃における平均熱膨張係数は92ppmであった。
またレンズユニットの構成が異なる実施形態3と比較例5、6においても、上述したのと同様のことがいえる。なお、実施形態4は、バレルがPPSで構成される点で実施形態3と異なるが、実施形態3と同様に本発明の効果を発揮することができる。
実施形態6〜9、参考例1は、X/X0を種々変えたものであり、X/X0の値を大きくしても、本発明の撮像用レンズユニットが優れた性能を有し、本発明の効果を発揮できることを示すものである。実施形態8、9ではさらにレンズ支持部の個数を4個から3個、8個と変えても、同様の効果が得られることが示されている。
したがって、上述した実施形態及び比較例においては、過酷な半田リフロー工程の条件下における、リフロー工程時のレンズと鏡筒との熱膨張係数の違いに基づくレンズの機械的ダメージ・光学物性低下を抑制するために、レンズや鏡筒を特定の樹脂材料から構成したり、レンズの直径と鏡筒の位置関係を最適化したりという本発明における発明特定事項と効果との関連性が裏付けられている。上記課題を解決するための手段等に記載した本発明の効果を発揮する作用機構と上記実施形態及び比較例の結果とを考え合わせれば、本発明の必須の発明特定事項を備えるかぎりそのような作用を発揮することになる。したがって、本発明の撮像用レンズユニット、その製造方法や、本発明の好ましい形態における撮像用レンズユニットの使用方法及びその用途(カメラモジュール、携帯電話、デジタルカメラ)においては、本発明の有利な効果を奏することになるといえる。
12、32:絞り部
4、4a、4b:レンズ
5a、5b、15、35:レンズ支持部
6:ヒケ
10、30a、30b:テーパー部
13、33:第一レンズ
14、24、39:第二レンズ
16、36、36a、36b:中空円形状遮光板
17、37:封止板(ガラス)
18、38:赤外線カットフィルター
34:第三レンズ
100、300:撮像用レンズユニット
X:クリアランス
Claims (15)
- 1個又は複数個のレンズによって構成されるレンズ群、及び、これを支持する鏡筒を備え、半田リフロー工程に供される撮像用レンズユニットであって、
該撮像用レンズユニットは、エポキシ系カチオン硬化性樹脂材料により形成されるエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズを必須とし、
該鏡筒は、荷重たわみ温度が200℃以上である熱可塑性樹脂材料により形成されることによって構成され、
該エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの少なくとも1個は、該レンズと鏡筒との間にクリアランスが設けられるとともに、鏡筒内側の3箇所以上に設けられるレンズ支持部によって該レンズが支持される構造を有し、
該撮像用レンズユニットは、レンズ支持部によって支持されるエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズと鏡筒との間に下記式(1)を満たすようにクリアランスが設けられることを特徴とする撮像用レンズユニット。
{L×(T−25)×α2−B×(T−25)×α1}×(1/2)×1.1≦X (1)
B:該エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの設置箇所における鏡筒の内径(25℃)
L:該エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの直径(25℃)
α1:鏡筒の25〜260℃の温度範囲における平均熱膨張係数
α2:該エポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの25〜260℃の温度範囲における平均熱膨張係数
T:撮像用レンズユニットが供される半田リフロー工程における最も高い温度(℃)
X:クリアランス - 前記熱可塑性樹脂材料により形成される鏡筒及びエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの平均熱膨張係数は、α1/α2の値が0.01〜1を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像用レンズユニット。
- 前記Xは、下記式;
{L×(T−25)×α2−B×(T−25)×α1}×(1/2)=X0
としたときに、X0に対して100倍以下である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像用レンズユニット。 - 前記レンズが支持される構造は、レンズ支持部が設けられた鏡筒に、レンズを収載することにより得られる構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の撮像用レンズユニット。
- 前記撮像用レンズユニットは、レンズ群が複数のエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズによって構成され、それらの平均熱膨張係数の差異が50ppm/℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の撮像用レンズユニット。
- 前記熱可塑性樹脂材料は、無機繊維を無機成分とする有機無機複合体からなる熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の撮像用レンズユニット。
- 前記1個又は複数個のレンズによって構成されるレンズ群は、アッベ数νdが下記式(2)を満足するレンズを必須とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の撮像用レンズユニット。
31≦νd≦62 (2) - 前記撮像用レンズユニットは、レンズ群を構成する複数のレンズの少なくとも2個の間に厚み0.5mm以下の中空円形状遮光板が配置された構造を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の撮像用レンズユニット。
- 前記レンズが支持される構造は、更にレンズ支持部が、支持されるレンズに食い込むようにして支持する形態を有する構造であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の撮像用レンズユニット。
- 前記撮像用レンズユニットは、レンズ支持部によって支持されるレンズにおける、レンズ支持部との接触部に凹みを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の撮像用レンズユニット。
- 前記撮像用レンズユニットは、レンズ群が複数のエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズによって構成され、
該複数のエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズの少なくとも1個が前記レンズ支持部によって支持される構造を有するとともに、
残りのエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズは、前記レンズ支持部によって支持される構造を有するレンズ及び/又は鏡筒とはめ合わされることによって支持される構造を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の撮像用レンズユニット。 - 前記撮像用レンズユニットは、前記レンズ支持部によって支持される1個又は複数のエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズ以外のエポキシ系カチオン硬化樹脂レンズにテーパー部が設けられ、前記レンズ支持部によって支持される構造を有するレンズ及び/又は鏡筒に設けられたテーパー部とはめ合わされることによって支持される構造を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の撮像用レンズユニット。
- 前記撮像用レンズユニットは、半田リフロー工程に供されてなるものであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の撮像用レンズユニット。
- 前記撮像用レンズユニットは、カメラモジュールに搭載した状態で半田リフロー工程に供されてなり、カメラモジュール用途に用いられることを特徴とする請求項13に記載の撮像用レンズユニット。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の撮像用レンズユニットを製造する工程を含むことを特徴とする撮像用レンズユニットの製造方法。
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