以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るカラー画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。カラー画像形成装置1は例えば、カラーコピー、カラープリンタ及びカラーファクシミリ機能を有するデジタル複合機に適用することができる。カラー画像形成装置1はタンデム方式であり、装置本体100と装置本体100の上に配置された画像読取部200を備える。
画像読取部200はCCD(Charge Coupled Device)等によって画像(文字、図、写真等)を読み取り、画像データとして出力する。画像読取部200はカラー画像を読み取る機能を有する。これによりカラーコピー及びカラーファクシミリの送信が可能となる。
装置本体100は用紙貯留部110、画像形成部130及び定着部160を備える。
用紙貯留部110は装置本体100の最下部に配置されており、用紙Pの束を貯留することができる用紙トレイ111を備えている。用紙トレイ111は装置本体100に差し込んで装着される。用紙Pを補給するときは装置本体100から用紙トレイ111を引き出す。用紙トレイ111に貯留された用紙Pの束において、最上位の用紙Pがピックアップローラ113の駆動により、用紙搬送路115へ向けて繰り出される。用紙Pは用紙搬送路115を通って、画像形成部130へ搬送される。
画像形成部130は搬送されてきた用紙Pにトナー画像を形成する。画像形成部130はトナー画像を転写ベルト131に転写する順番に従って配置された、マゼンタ用ユニット133M、シアン用ユニット133C、イエロー用ユニット133Y、ブラック用ユニット133Kを備える。これらのユニットは同様の構成を有しており、マゼンタ用ユニット133Mを例にして説明する。
マゼンタ用ユニット133Mは感光ドラム135及び露光装置137を備える。感光ドラム135の周りには帯電器139、現像装置141及びクリーナ143が配置されている。帯電器139は感光ドラム135の周面を一様に帯電させる。露光装置137は画像データ(画像読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)の中でマゼンタのデータに対応する光を生成し、一様に帯電された感光ドラム135の周面に照射する。これにより、感光ドラム135の周面にはマゼンタのパターンの静電潜像が形成される。この状態で感光ドラム135の周面に現像装置141からマゼンタトナーを供給することにより、周面にはマゼンタのパターンのトナー画像が形成される。
転写ベルト131は感光ドラム135と1次転写ローラ145により挟まれた状態で時計周りに動くことができる。マゼンタのパターンのトナー画像は感光ドラム135から転写ベルト131に転写される。感光ドラム135の周面に残っているマゼンタトナーはクリーナ143によって除去される。以上がマゼンタ用ユニット133Mの説明である。
マゼンタ用ユニット133M、シアン用ユニット133C、イエロー用ユニット133Y、ブラック用ユニット133Kの上方には、対応する色のトナーを収容したコンテナ、すなわち、マゼンタトナー用コンテナ147M、シアントナー用コンテナ147C、イエロートナー用コンテナ147Y、ブラックトナー用コンテナ147Kが配置されている。各色の現像装置141には対応するコンテナからトナーが補給される。
上述したように転写ベルト131にはマゼンタのパターンのトナー画像が転写され、このトナー画像に重ねてシアンのパターンのトナー画像が転写され、同様に、イエローのパターンのトナー画像、ブラックのパターンのトナー画像が重ねて転写される。これにより転写ベルト131にカラーのトナー画像が形成される。このように各色のパターンのトナー画像を転写ベルト131に重畳して転写することにより、転写ベルト131にカラーのトナー画像が形成される。カラーのトナー画像は2次転写ローラ149によって、先ほど説明した用紙貯留部110から搬送されてきた用紙Pに転写される。
カラーのトナー画像が転写された用紙Pは定着部160に送られる。定着部160は加熱ローラ161と定着ローラ163に定着ベルト165が掛けられた構造を有する。定着ベルト165は定着ローラ163と加圧ローラ167により挟まれている。これらのローラによって、カラーのトナー画像が転写された用紙Pが挟まれる。これにより、カラーのトナー画像と用紙Pに熱と圧力が加えられて、カラーのトナー画像を用紙Pに定着させる。用紙Pは排紙トレイ169に排紙される。
図2は図1に示すカラー画像形成装置1の電気的な構成を示すブロック図である。カラー画像形成装置1は装置本体100、画像読取部200、制御部300、操作表示部400、通信部500及び光センサ11がバスによって相互に接続された構成を有する。装置本体100及び画像読取部200に関しては図1で説明しているので、説明を省略する。
制御部300はMPU(Micro Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び画像メモリ等を備える。MPUはカラー画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、カラー画像形成装置1を構成する上記ハードウェアに対して実行する。ROMはカラー画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMはソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。画像メモリは画像データ(画像読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)を一時的に記憶する。
操作表示部400にはハードキーからなる操作キーが設けられている。具体的にはスタートキー、テンキー、ストップキー、リセットキー、コピー、プリンタ、スキャナ及びファクシミリを切り換えるための機能切換キー等が設けられている。また、操作表示部400にはタッチパネルが設けられている。タッチパネルの画面には各種の操作及び動作の内容等が表示されると共にソフトキーからなる操作キーが表示される。
通信部500はファクシミリ通信部501及びネットワークI/F部503を備える。ファクシミリ通信部501は相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリ通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリ通信部501は電話回線505に接続される。
ネットワークI/F部503はLAN(Local Area Network)507に接続される。ネットワークI/F部503はLAN507に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。
光センサ11は色ずれ判定時に動作をし、転写ベルト131に転写された各色の判定用パターンのトナー画像に光を照射して反射された光を受光する。
制御部300はパターンデータ記憶部301、判定用パターン検出部303、濃度調整部305及び閾値設定部307の機能を含む。パターンデータ記憶部301は色ずれ判定用パターンのトナー画像の基になる判定用パターンのデータを予め記憶している。判定用パターン検出部303は光センサ11からの出力を基にして判定用パターンのトナー画像を検出する。閾値設定部307は転写ベルト131の光の反射率を基にして、判定用パターンのトナー画像の検出に用いられる閾値を設定する。濃度調整部305については後で説明する。
上述したようにマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色のパターンのトナー画像を転写ベルト131に重畳して転写することによって転写ベルト131にカラーのトナー画像を形成する。各色のパターンのトナー画像を重畳した際の色ずれを防止するために、各色の判定用パターンのトナー画像を利用して、色ずれが判定される。
本実施形態に係る判定用パターンのトナー画像を理解する前提として、第1〜第3比較例の判定用パターンのトナー画像について説明する。図3は転写ベルト131に転写された第1比較例の判定用パターンのトナー画像の平面図である。符号D1は転写ベルト131の動く方向を示しており、この方向は副走査方向と一致している。符号D2は転写ベルト131の幅の方向を示しており、この方向は主走査方向と一致している。
判定用パターンのトナー画像として、マゼンタの判定用パターンのトナー画像21M,23M、シアンの判定用パターンのトナー画像21C,23C、イエローの判定用パターンのトナー画像21Y,23Y、ブラックの判定用パターンのトナー画像21K,23Kがある。これらの色の判定用パターンのトナー画像を区別する必要がなければ、単に判定用パターンのトナー画像21,23と記載する。
判定用パターンのトナー画像21,23はそれぞれ長方形の形状を有し、長手方向のエッジE1,E2を有する。転写ベルト131の動く方向D1に対してエッジE1がエッジE2よりも前にある。
判定用パターンのトナー画像21は転写ベルト131の幅の方向D2に延びている。一方、判定用パターンのトナー画像23は転写ベルト131の動く方向D1に対して斜めに延びている。
エッジE1,E2は色ずれの判定に利用される。エッジE1,E2を検出して、色ずれを判定する処理ついて説明する。図4はこの処理の一例のフローチャートを示している。エッジE1,E2は図3に示す光センサ11を用いて検出される。図5は図3のI-I線に沿った断面図であり、光センサ11と転写ベルト131の位置関係を示している。光センサ11は転写ベルト131よりも上に配置されている。光センサ11は投光部13と受光部15を備える。
光センサ11の下を通過する転写ベルト131に対して、投光部13から照射された光(以下、照射光IL)を当てて反射された光(以下、反射光RL)を受光部15によって受光する(ステップS1)。照射光ILは転写ベルト131上の領域のうち、判定用パターンのトナー画像21,23が転写される領域に当てられる。転写ベルト131上で照射光ILが当たるスポットSPの径は例えば約3mmである。図6は照射光ILのスポットSPと判定用パターンのトナー画像21,23の大きさの関係を示す平面図である。判定用パターンのトナー画像21,23の幅はスポットSPの径よりも大きくされている。これにより、十分な強度を有する反射光RLを得ている。
反射光RLは受光部15によって受光され、受光部15からは図3に示すように、反射光RLの強度に対応した波形の信号SGが出力される。信号SGが所定の閾値THとなる位置をエッジE1,E2の位置とする。閾値THは転写ベルト131の光の反射率を基にして予め設定されている。この反射率の測定には光センサ11が利用される。
エッジE1,E2が検出されない場合(ステップS3でNo)、ステップS3の処理が繰り返される。エッジE1,E2が検出された場合(ステップS3でYes)、中心点CPが演算される(ステップS5)。
エッジE1とエッジE2に対する中央の位置を中心点CPとする。すなわち、光センサ11を用いて判定用パターンのトナー画像21,23のエッジE1,E2を検出し、エッジE1,E2の位置から計算により中心点CPを求めている。
中心点CPを求めた後、色ずれが判定される(ステップS7)。中心点CPが光センサ11の下を通過する時間的間隔を測定して、これを基にして色ずれが判定される。時間的間隔が所定値を外れた場合、色ずれと判定される。判定用パターン21の他に判定用パターン23を設けたのは、各色の方向D2(主走査方向)のずれを判定するためである。例えば、マゼンタのパターンのトナー画像の場合、判定用パターンのトナー画像21Mの中心点CPと判定用パターンのトナー画像23Mの中心点CPの時間的間隔を測定して、方向D2(主走査方向)のずれが判定される。
ところで、トナー画像にはエッジ効果と称される原因により、高濃度領域が生じることがある。これについて図7を用いて説明する。図7は第1比較例の判定用パターンのトナー画像21と第2比較例の判定用パターンのトナー画像25を示す図である。第1比較例はエッジ効果が原因となる高濃度領域が発生していない理想のトナー画像である。これに対して、第2比較例はエッジ効果が原因となる高濃度領域27が発生しているトナー画像である。判定用パターンのトナー画像21に対する信号SGを符号SG(21)で示し、判定用パターンのトナー画像25に対する信号SGを符号SG(25)で示している。照射光ILのスポットSPは判定用パターンのトナー画像21,25とスポットSPの大きさを比較するために記載している。
転写ベルト131の動く方向D1において、判定用パターンのトナー画像25の前端領域にはエッジ効果が原因となる高濃度領域27が生じている。転写ベルト131の動く方向D1は副走査方向である。エッジ効果は図1の現像装置141内のローラ(マグネットローラ等)と感光ドラム135の回転速度差によって起きる。エッジ効果により、副走査方向での前端領域及び/又は後端領域に高濃度領域27が発生する。
エッジE1,E2を検出する精度を上げるために、判定用パターンのトナー画像は同じ色で塗りつぶされている。このためエッジ効果が原因となる高濃度領域27が発生しやすい。上記回転速度差はカラー画像形成装置1の印刷システムと関連しているので、回転速度差をなくすのは困難である。よって、エッジ効果が原因となる高濃度領域27は不可避的に発生する。
信号SG(21)の波形は中心点CPに対して左右対称である。これに対して、信号SG(25)の波形は左右非対称となり、中心点CPよりエッジE1側では信号SG(25)が強くなっている。これは高濃度領域27が他の領域に比べて反射光RLの強度が高くなるからである。信号SG(25)が中心点CPよりエッジE1側で強くなることにより、エッジE1が本来の位置とずれて検出される。これにより、判定用パターンのトナー画像25の中心点CPが本来の値からずれた値となる。
エッジ効果による高濃度領域27の幅は0.5〜1.0mm程度である。したがって、判定用パターンのトナー画像の幅を0.5〜1.0mmにすれば、判定用パターンのトナー画像は高濃度領域27のみで構成されるので、判定用パターンのトナー画像に高濃度領域27とその他の領域が発生することはない。0.5〜1.0mmの幅を有する判定用パターンのトナー画像を第3比較例として図8を用いて説明する。
図8は第1比較例の判定用パターンのトナー画像21と第3比較例の判定用パターンのトナー画像29を示す図である。判定用パターンのトナー画像29に対する信号SGを符号SG(29)で示している。判定用パターンのトナー画像29は高濃度領域27だけで構成されるので、信号SG(29)は左右対称となる。判定用パターンのトナー画像29は濃度が均一なので、エッジE1,E2を正しく検出することが可能に思われる。
しかし、判定用パターンのトナー画像29の幅は照射光ILのスポットSPの径よりも小さいので、十分な強度の反射光RLを得ることができない。このため、信号SG(29)のレベルが低下するので、信号SG(29)が閾値THを超えないことが起きる。また信号SG(29)が閾値THを超えても波形の傾きが小さいので、信号SG(29)が閾値THを超えた判定に誤差が生じる。したがって、エッジE1,E2を検出する精度が低下する。
スポットSPの径を判定用パターンのトナー画像29の幅よりも小さくすれば、判定用パターンのトナー画像29であっても十分な強度の反射光RLを得ることができるので、エッジE1,E2を正確に検出することができる。しかし、スポットSPの径を小さく制御できるセンサは高価なので、カラー画像形成装置1のコストが上昇する。
本実施形態に係る判定用パターンのトナー画像は転写ベルト131の動く方向D1(副走査方向)に不連続なパターンを有するトナー画像であり、第3比較例の判定用パターンのトナー画像29を方向D1に沿って一定の間隔で並べた構成を有する。図9は第1比較例の判定用パターンのトナー画像21と本実施形態に係る判定用パターンのトナー画像31を示す図である。判定用パターンのトナー画像31に対する信号SGを符号SG(31)で示している。
判定用パターンのトナー画像31はこのトナー画像と同じ方向に延びる複数の細幅パターンのトナー画像35により構成される。細幅パターンのトナー画像35の幅は判定用パターンのトナー画像31の幅と比べて小さい。細幅パターンのトナー画像35の幅、言い換えれば転写ベルト131の動く方向D1(副走査方向)の寸法は、照射光ILのスポットSPの径よりも小さい。複数の細幅パターンのトナー画像35はスポットSPの径よりも小さい間隔で方向D1に沿って周期的に並べられている。
細幅パターンのトナー画像35は同じ色で塗りつぶされている。細幅パターンのトナー画像35の幅の寸法は0.5〜1.0mmである。これにより、エッジ効果が原因となる高濃度領域27が生じても、細幅パターンのトナー画像35は高濃度領域27のみにより構成される。したがって、細幅パターンのトナー画像35に高濃度領域27とその他の領域が形成されることを防止できる。
判定用パターンのトナー画像31に対する信号SG(31)は判定用パターンのトナー画像21のそれに比べて小さいが、スポットSP内に二つ以上の細幅パターンのトナー画像35が位置するので、信号SG(31)のレベルの低下を防止できる。そして、判定用パターンのトナー画像31は細幅パターンのトナー画像35と下地(転写ベルト131)のパターンが交互に並べられた構成なので、判定用パターンのトナー画像31で反射される光は平均化される。これにより信号SG(21)の波形は中心点CPに対して左右対称にすることができる。この左右対称にできること及び上述した信号SG(31)のレベルの低下を防止できることによって、エッジE1,E2を検出する精度を高くすることができる。
図10は転写ベルト131に転写された本実施形態に係る判定用パターンのトナー画像の平面図であり、図3と対応している。本実施形態に係る判定用パターンのトナー画像として、マゼンタの判定用パターンのトナー画像31M,33M、シアンの判定用パターンのトナー画像31C,33C、イエローの判定用パターンのトナー画像31Y,33Y、ブラックの判定用パターンのトナー画像31K,33Kがある。これらの色の判定用パターンのトナー画像を区別する必要がなければ、単に判定用パターンのトナー画像31,33と記載する。
判定用パターンのトナー画像31,33はそれぞれ複数の細幅パターンのトナー画像35により構成されている。複数の細幅パターンのトナー画像35は転写ベルト131の幅の方向D2に延びている。判定用パターンのトナー画像31,33はそれぞれ長方形の形状を有し、長手方向のエッジE1,E2を有する。判定用パターンのトナー画像31は転写ベルト131の幅の方向D2に延びている。一方、判定用パターンのトナー画像33は転写ベルト131の動く方向D1に対して斜めに延びている。
マゼンタの判定用パターンのトナー画像31M,33Mは図1のマゼンタ用ユニット133Mにより形成され、シアンの判定用パターンのトナー画像31C,33Cはシアン用ユニット133Cにより形成され、イエローの判定用パターンのトナー画像31Y,33Yはイエロー用ユニット133Yにより形成され、ブラックの判定用パターンのトナー画像31K,33Kはブラック用ユニット133Kにより形成される。判定用パターンのトナー画像31,33はマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの順番に転写ベルト131の動く方向D1に沿って所定の間隔を有して転写される。
判定用パターンのトナー画像31,33の形成について簡単に説明する。判定用パターンのトナー画像31,33の基になる判定用パターンのデータは、図2に示すパターンデータ記憶部301に予め記憶されている。色ずれ判定時、各色の感光ドラム135にはパターンデータ記憶部301に記憶されている判定用パターンのデータを基にした静電潜像であって、対応する色の判定用パターンの静電潜像が形成される。各色の現像装置141は対応する色の判定用パターンの静電潜像を現像してトナー画像を形成する。転写ベルト131には各色の現像装置141により現像された各色の判定用パターンのトナー画像31,33が転写される。
以上説明したように本実施形態に係る判定用パターンのトナー画像31,33は、パターンデータ記憶部301に記憶されている判定用パターンのデータを基にして形成されている。判定用パターンのトナー画像31,33は複数の細幅パターンのトナー画像35により構成されている。細幅パターンのトナー画像35は照射光ILのスポットSPの径よりも転写ベルト131の動く方向D1の寸法が小さく、かつスポットSPの径よりも小さい間隔で転写ベルト131の動く方向D1に沿って周期的に並べられている。よって、スポットSP内に二つ以上の細幅パターンのトナー画像35を位置させることができるので、スポットSPの径が大きくても光センサ11から出力される信号のレベルの低下を防止できる。
また、判定用パターンのトナー画像31,33は細幅パターンのトナー画像35と下地(転写ベルト131)のパターンが交互に並べられた構成なので、判定用パターンのトナー画像31,33で反射される光は平均化される。これにより光センサ11から出力される信号SGの波形を中心点CPに対して左右対称にすることができる。
したがって、本実施形態によれば各色のパターンのトナー画像を転写ベルト131に重畳した際の色ずれの判定において、判定に用いられる判定用パターンのトナー画像31,33のエッジE1,E2を、高精度でかつ低コストで検出することができる。
複数の細幅パターンのトナー画像35はスポットSPの径よりも小さい間隔で並べられていればよく、周期的に並べられていなくてもよい。
複数の細幅パターンのトナー画像35の数は二つ以上であればよい。
判定用パターンのトナー画像31,33は複数の細幅パターンのトナー画像35を一定の間隔で転写ベルト131の動く方向D1に沿って並べられている。これはマゼンタ(シアン、イエロー)パターンと下地(転写ベルト131)の色のパターンを交互に方向D1に沿って並べられていると言うことができる。これに限らず、高い濃度を有する細幅パターンのトナー画像35と低い濃度を有する細幅パターンのトナー画像35を交互に方向D1に沿って並べた構成でもよい。
本実施形態では光センサ11によって各色の判定用パターンのトナー画像31,33のエッジE1,E2を検出している。光センサ11の照射光ILの光量は一定であり、かつトナー画像の光の反射率は各色で異なるので、信号SGのレベルが各色で異なる。信号SGのレベルは小さすぎても、大きすぎても、エッジE1,E2を検出する精度に悪影響を与える可能性がある。
そこで、本実施形態では判定用パターンのトナー画像31,33の濃度を調整することにより、信号SGのレベルを調整している。これを図11で説明する。図11はマゼンタ、シアン、イエローの判定用パターンのトナー画像31M,31C,31Yとそれらに対応する信号SGを示す図である。図11(A)は信号SGのレベルを調整する前の状態を示し、図11(B)は調整後の状態を示している。
判定用パターンのトナー画像31,33の濃度を高くすれば信号SGのレベルが高くなり、濃度を低くすれば信号SGのレベルが低くなる。判定用パターンのトナー画像31,33の濃度は細幅パターンのトナー画像35の数、細幅パターンのトナー画像35の間隔、細幅パターンのトナー画像35の濃度及び細幅パターンのトナー画像35の方向D1の寸法の少なくとも一つを変えることによって調整することができる。
イエローはマゼンタ及びシアンに比べて光の反射率が小さい。したがって、図11(A)に示すように、イエローの判定用パターンのトナー画像31Yに対応する信号SGのレベルは、他の二色に対応する信号SGのレベルと比べて小さくなっている。これにより、イエローの判定用パターンのトナー画像31Yにおいて、信号SGのレベルと閾値THの差が比較的小さくなっている。
そこで、図11(B)に示すように、イエローの判定用パターンのトナー画像31Yを構成する複数の細幅パターンのトナー画像35の数を増やし、かつ細幅パターンのトナー画像35が並ぶ間隔を小さくしている。これにより、判定用パターンのトナー画像31Yの濃度を高く調整して、イエローの判定用パターンのトナー画像31Yにおいて信号SGのレベルを上げる調整をしている。
一方、信号SGのレベルが大きすぎる場合は複数の細幅パターンのトナー画像35の数を減らし、かつ複数の細幅パターンのトナー画像35が並ぶ間隔を大きくする。これにより、判定用パターンのトナー画像31の濃度を低く調整して、判定用パターンのトナー画像31において信号SGのレベルを下げる調整をする。
複数の細幅パターンのトナー画像35の濃度を変えること及び転写ベルト131の動く方向D1の寸法を変えることによっても、判定用パターンのトナー画像31の濃度を調整することができる。
濃度調整をする場合、図2に示す濃度調整部305がパターンデータ記憶部301に記憶されている判定用パターンのデータを変更する。
濃度調整部305による濃度を調整する処理を説明する。図12はこの処理の一例を説明するフローチャートである。この処理は色ずれ判定の前段階で実行される。まず、濃度調整部305は各色の判定用パターンのトナー画像31,33の信号SGのレベルが、予め設定された値の範囲を外れているか判断する(ステップS11)。これらの信号SGのデータは前回の色ずれ判定した時のデータが用いられる。
信号SGのレベルが設定された値の範囲を外れている場合(ステップS11でYes)、濃度調整部305は信号SGのレベルが設定された値の範囲を外れている判定用パターンのトナー画像31,33の濃度を調整するために、パターンデータ記憶部301に記憶されている判定用パターンのデータを変更する(ステップS13)。
データ変更後又は信号SGのレベルが設定された値の範囲を外れていない場合(ステップS11でNo)、濃度を調整する処理が終了する。
以上説明したように本実施形態によれば、パターンデータ記憶部301に記憶されている判定用パターンのデータを変更することにより、細幅パターンのトナー画像35において、数、間隔、濃度及び転写ベルト131の動く方向D1の寸法の少なくとも一つを変えて、判定用パターンのトナー画像31,33の濃度を調整している。したがって、判定用パターンのトナー画像31,33のエッジE1,E2の検出に適するように、判定用パターンのトナー画像31,33の濃度を調整することができる。
ところで、転写ベルト131が使用されるにしたがって、その表面がトナーで傷つけられる等の理由により、転写ベルト131の光の反射率は経時的に変化する。これにより、エッジE1,H2を検出する閾値THが変化することがある。上述したように、図2に示す閾値設定部307は光センサ11から出力を基にして閾値THを予め設定する。転写ベルト131の光の反射率が高くなることにより閾値THが大きくなれば、信号SGのレベルと閾値THの差が小さくなるので、エッジE1,E2を検出する精度が低下する。
そこで、本実施形態では転写ベルト131の光の反射率が経時的に変化することにより、閾値THが大きくなった場合、信号SGのレベルを上げる調整をする。これについて図13を用いて説明する。図13はシアンの判定用パターンのトナー画像31Cとそれに対応する信号SGを示す図である。図13(A)は閾値THが大きくなる前の状態を示し、図13(B)は閾値THが大きくなった後の状態を示し、図13(C)は信号SGのレベルを上げる調整をした後の状態を示している。
図13ではシアンを例に説明したが、マゼンタ及びイエローについても同じことが言える。信号SGのレベルを上げる調整は図11で説明した場合と同じである。細幅パターンのトナー画像35において、数、間隔、濃度及び転写ベルト131の動く方向D1の寸法の少なくとも一つを変えることにより、判定用パターンのトナー画像31の濃度を調整する。これによって信号SGのレベルを調整する。
閾値THの変化に基づいて濃度を調整する処理を説明する。図14はこの処理の一例を説明するフローチャートである。この処理は色ずれ判定の前段階で実行される。まず、光センサ11を用いて転写ベルト131の光の反射率を測定する(ステップS21)。閾値設定部307は測定された反射率を基にして閾値THを設定する。濃度調整部305は閾値THが予め設定された値の範囲を外れているかを各色の判定用パターンのトナー画像31,33について判断する(ステップS23)。
閾値THが設定された値の範囲を外れている場合(ステップS23でYes)、濃度調整部305は閾値THが設定された値の範囲を外れている判定用パターンのトナー画像31,33について濃度を調整するために、パターンデータ記憶部301に記憶されている判定用パターンのデータを変更する(ステップS25)。
データ変更後又は閾値THが設定された値の範囲を外れていない場合(ステップS23でNo)、濃度を調整する処理が終了する。
以上説明したように本実施形態において、濃度調整部305は閾値設定部307で設定された閾値THを基にして、判定用パターンのトナー画像31,33の濃度を調整する。したがって、転写ベルト131の光の反射率が経時的に変化しても、判定用パターンのトナー画像31,33の検出に適するように、判定用パターンのトナー画像31,33の濃度を調整することができる。
次に、本実施形態に係る判定用パターンのトナー画像の変形例を説明する。図15は転写ベルト131に転写された本実施形態に係る判定用パターンのトナー画像31,33の変形例の平面図であり、図10と対応している。図15に示す判定用パターンのトナー画像31の構成は図10に示す判定用パターンのトナー画像31の構成と同じである。これに対して、図15に示す判定用パターンのトナー画像33の構成は図10に示す判定用パターンのトナー画像33の構成と異なる。
図10及び図15に示す判定用パターンのトナー画像33は転写ベルトの動く方向D1に対して斜めに延びる形状を有する。図10に示す判定用パターンのトナー画像33は転写ベルトの幅の方向D2(主走査方向)に延びた、長さが異なる複数の細幅パターン35により構成されている。これに対して、図15に示す判定用パターンのトナー画像33はこのトナー画像と同じ方向に延びる形状を有する複数の細幅パターンのトナー画像35を、転写ベルト131の動く方向D1に沿って並べることによって構成される。
図15に示す判定用パターンのトナー画像33の効果について図16を用いて説明する。図16は本実施形態に係る判定用パターンのトナー画像31,33とスポットSPの位置関係を示す図である。図16(A)は図10の判定用パターンのトナー画像31,33を示しており、図16(B)は図15の判定用パターンのトナー画像31,33を示している。図16(A)及び図16(B)において、スポットSPの位置P1は同じであり、スポットSPの位置P2は同じである。
図16(A)に示す判定用パターンのトナー画像33は、転写ベルト131の幅の方向D2に延びた、長さの異なる複数の細幅パターンのトナー画像35により構成されている。このため複数の細幅パターンのトナー画像35はエッジE1,E2に沿って階段状に配置されている。
細幅パターンのトナー画像35の段差と段差との間に位置P1がある。位置P1では細幅パターンのトナー画像35が存在しないので、スポットSPがエッジE2上にあるにも関わらず、エッジE2が検出されない。一方、位置P2は段差の箇所にある。位置P2では細幅パターンのトナー画像35が存在するので、スポットSPがエッジE2上にあればエッジE2が検出される。このようにスポットSPの径が小さくなれば、段差と段差との間である位置P1ではエッジE2が検出されないことが起きる。また、信号SGの波形が階段状となり、エッジE2を正確に検出できない可能性がある。
これに対して図16(B)に示すように、判定用パターンのトナー画像33において、複数の細幅パターンのトナー画像35は転写ベルト131の動く方向D1に対して斜めに延びる形状を有する。したがって、位置P1、位置P2のいずれにも細幅パターンのトナー画像35が存在するので、スポットSPがエッジE2上にあればエッジE2が検出される。
以上説明したように本実施形態の変形例によれば、エッジE1,E2の検出においてスポットSPの径の大きさの影響を小さくできる。判定用パターンのトナー画像33のエッジE1,E2上にスポットSPがあるにも関わらず、エッジE1,E2が検出されないことを防止することができる。
最後に図1及び図2を用いて、本実施形態に係るカラー画像形成装置1の全体構成について補足する。カラー画像形成装置1は各色のパターンのトナー画像を重畳してカラーのトナー画像を形成する機能を有し、かつ各色のパターンのトナー画像を重畳した際の色ずれを各色の判定用パターンのトナー画像31,33を利用して判定する機能を有する。カラー画像形成装置1は複数の感光ドラム135、複数の現像装置141及び転写ベルト131を備える。
複数の感光ドラム135は各色に対応して設けられてタンデムに配置されており、通常動作時には対応する色のパターンの静電潜像が形成され、色ずれ判定時にはパターンデータ記憶部301に記憶されている判定用パターンのデータを基にした静電潜像であって、対応する色の判定用パターンの静電潜像が形成される。
複数の現像装置141は複数の感光ドラム135に対応して設けられており、通常動作時には対応する色のパターンの静電潜像を現像してトナー画像を形成し、色ずれ判定時には対応する色の判定用パターンの静電潜像を現像してトナー画像31,33を形成する。
転写ベルト131は通常動作時には複数の現像装置141により現像された各色のパターンのトナー画像が重畳されて転写され、色ずれ判定時には複数の現像装置141により現像された各色の判定用パターンのトナー画像31,33が転写される。
パターンデータ記憶部301に記憶されている判定用パターンのデータを基にして形成される各色の判定用パターンのトナー画像31,33は、以下の細幅パターンのトナー画像35により構成される。細幅パターンのトナー画像35は光センサ11から照射された光のスポットSPの径よりも転写ベルト131の動く方向D1の寸法(幅)が小さい。細幅パターンのトナー画像35は判定用パターンのトナー画像31,33と比べて細幅である。細幅パターンのトナー画像35はスポットSPの径よりも小さい間隔で転写ベルト131の動く方向に沿って並べられている。
本実施形態ではカラー画像形成装置1が複数の感光ドラム135を有する場合で説明した。しかしながら、1つの感光ドラムを有するカラー画像形成装置にも本発明を適用することができる。この場合は、1つの感光ドラムに通常動作時には各色のパターンの静電潜像が形成され、色ずれ判定時にはパターンデータ記憶部301に記憶されている判定用パターンのデータを基にした各色の判定用パターンの静電潜像が形成される。