以下、本件の実施形態を説明する。
(外観)
図1は、本件の第1実施形態の電子機器の前面を斜めから見た外観斜視図である。また図2は、図1に示す電子機器の背面を斜めから見た外観斜視図である。さらに、図3は、図1,図2に斜視図で示す電子機器を各方向から見た図である。図3において、(A)は上面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は背面図である。
この電子機器1は画像を表示する画像表示画面21aが前面に形成された画像表示パネル2が備えられている。この画像表示パネル2は、画像表示画面21a側の前面とその裏面である背面とを有する矩形の板形状を有する。また、この画像表示パネルは、前面に画像表示画面21aを有する画像表示板21とその画像表示板21を一周に渡って取り囲んでその画像表示板21を支持する枠体22とを有する(図10参照)。
この画像表示パネル2は、フロントカバー3とリアカバー4からなる筐体内に、画像表示画面21aを露出させた状態に収容されている。フロントカバー3は、画像表示パネル2の前面周縁を一周に渡って取り巻いている。このフロントカバー3は、画像表示パネル2の周縁の枠体22を支持してその枠体に囲まれた画像表示板21の前面の画像表示画面21aを露出させた枠形状のカバー部材である。このフロントカバー3は、画像表示パネル2の周縁から食み出した寸法を有し、その食み出した部分を利用して、画像表示パネル2の背面側への電子部品等の搭載およびリアカバー4のネジ止めが行なわれる。
またリアカバー4は、画像表示パネル2との間に内部空間を形成してその背面に沿って広がり、フロントカバー3とともにこの電子機器の外形を画定している。
この電子機器1は、パーソナルコンピュータの機能やテレビ受像機の機能を有し、リアカバー4側には各種のコネクタ11やテレビアンテナのケーブル接続端子12が覗いている。テレビアンテナのケーブルは、以下に説明する支持柱52に形成された穴52aを経由してケーブル接続端子12に接続される。また、このリアカバー4の下部には、空冷用の空気が取込まれる吸気口42が形成され、上部には空気を排出する排気口43が形成されている。
この電子機器1は、前面の画像表示画面21aが立設するように支持スタンド5に支持されている。この支持スタンド5は、円形状の台51と、その台に立設した支持柱52とを有し、この電子機器1の背面側が支持柱52に支持されている。支持柱52には上述した穴52aが形成されている。この支持柱52は、電子機器1を、前面の画像表示画面21aが真っ直ぐに前方を向いた姿勢と斜め上を向いた姿勢との間で回動自在に支持している。
(部品実装構造)
図4,図5は、図1〜図3に示す電子機器を、支持スタンド5から取り外し、さらにリアカバーを取り外して背面側から見たときの各斜視図である。
ここには、リアカバー4(取り外されている)の内面に沿って広がり、この電子機器1に搭載されている各種の電子部品等を広く覆うリアシールド板6が配置されている。このリアシールド板6は、その内側に配置された電子部品等のシールドを担っている。またこのリアシールド板6の中央部分には、支持スタンド5に支持される支持部61が設けられている。
図6は、図4,図5に示す状態からさらにリアシールド板を取り外した状態を示す分解斜視図である。また図7は、そのリアシールド板を取り外した内側を背面側から見た斜視図である。
図6に示すようにリアシールド板6は、ネジ止めにより固定されており、そのネジを取り外してリアシールド板6を取り外すと、その内側には、様々な電子部品をそれぞれ搭載した2つのホルダ7,8があらわれる。
それらのホルダ7,8の構造等の説明は後回しにして、ここでは先ず、この電子機器1をさらに分解することにする。
図8は、図6,図7に示す状態からさらに2つのホルダ7,8を取り外した状態を示した分解斜視図、図9は、それら2つのホルダ7,8を取り外した内側を背面側から見た斜視図である。2つのホルダ7,8の内側(画像表示パネル側)には、支持部材9が固定されている。この支持部材9は、画像表示パネルの上縁に沿って左右に延在する支持部91と、画像表示パネルの背面に広く広がるシールド部92とを有する。支持部91は、主に2つのホルダ7,8の支持を担っており、シールド部92は、主に、画像表示パネルとホルダ7,8上の電子部品との間のシールドを担っている。図9に示されているように、支持部91は、シールド部92との間に空間を空けて重なっており、その空間には画像表示パネル2を駆動するための駆動回路等(明示せず)が搭載されている。
図10は、図8,図9に示す状態からさらに支持部材9を取り外した状態を示す分解斜視図である。
この図10に示すように、支持部材9は、ネジ止めにより、フロントカバー3の背面に固定されている。
また、図10には、画像表示パネル2の背面があらわれている。この画像表示パネル2は、前述した通り、画像表示板21とその周囲を囲んで画像表示板21を支持する枠体22とを有する。画像表示板21はその前面に画像表示画面を有する。フロントカバー3は、その背面で画像表示パネル2の枠体22を受けて画像表示パネル2を支持し、画像表示板21の前面(画像表示画面21a)を前方に露出している(図1参照)。
また、図10に示されているようにフロントカバー3は、その下部に、画像表示パネル2の下縁に沿って左右に延びる支持アーム31を有する。この支持アーム31は、支持部材9とともにホルダ7,8(例えば図8参照)の支持を担っている。
図6〜図8に戻るとともに、新たな図も合わせて参照しながら、ホルダ7,8について説明する。
図11は、2つのホルダ7,8のうちの一方のホルダ7の、電子部品が搭載された状態の斜視図である。また図12は、電子部品を取り外したときのホルダ7のみを示した斜視図である。さらに、図13は、ホルダ7の側面の一部を示した拡大斜視図である。
さらに、図14は、もう1つのホルダ8の斜視図、図15は、そのホルダ8の図8,14にあらわれている側の面(リアカバー側の面)を示した平面図、図16は、図15に示すホルダ8の、画像表示パネル側の面を示した平面図である。さらに、図17は、支持部材の一方の側面(ホルダ8が固定される側の側面)を示した斜視図である。
リアシールド6の内側には、2つのホルダ7,8が画像表示パネルに沿って横に並ぶように配置され、図8に示すように、支持部材9と、フロントカバー3の下縁の支持アーム31とに固定されている。
これら2つのホルダ7,8のうちの一方のホルダ7は、図8に示すように、支持部材9側に切り起こされた複数の係止片71を有し、支持部材9には、各係止片71に対応する位置に係止穴93を有する。ホルダ7を支持部材9に支持させるにあたっては、各係止片71を各係止穴93に入り込ませるようにホルダ7を支持部材9上に置き、その後、ホルダ7を図8の右側にスライドさせ、支持部材9の、図8の右側の内壁に突き当てられる。すると各係止片71が支持部材9の支持部91の裏側(画像表示パネル側)に入り込んでホルダ7が支持部材9に係止される。フロントカバー3の下縁に延びる支持アーム31側についても同様の係止構造が採用されているが、ここでは図面上にあらわれていないので説明は省略する。ホルダ7はこのようにして係止された状態でさらにネジ止めにより固定される。ここでは、ネジ止めだけでなく、上記のような係止手段を併用した取付方法を採用してネジ止め用のネジの本数を減らしている。
またもう一方のホルダ8も同様であり、支持部材9側に切り起こされた係止片81と、支持アーム31側に突出した係止突起82を有する。また、支持部材9には係止片81に対応した位置に係止穴94が形成され、支持アーム31にも、係止突起82に対応した位置に係止穴311が形成されている。このホルダ8は、支持部材9および支持アーム31上に、係止片81が係止穴94に入り込み、かつ係止突起82が係止穴311に入り込むように置かれ、図8の右側にスライドされる。すると係止片81が支持部材9の支持部91の裏側(画像表示パネル側)に入り込むとともに係止突起82が支持アーム31の裏側に入り込んで、ホルダ8が支持部材7および支持アーム31に係止される。ホルダ8は、このように係止された状態でさらにネジ止めにより固定される。ここでもネジ止めだけでなく、上記のようなスライドによる係止手段を併用した取付方法を採用してネジ止め用のネジの本数を減らしている。
このホルダ8には、支持金具84を介してODD(光ディスクユニット)83が搭載されている。このODD83は、記憶媒体の一種である光ディスクが装填され、その光ディスクを回転駆動し、その光ディスクに情報の書込みを行ない(書込み可能な光ディスクの場合)、およびその光ディスクから情報の読出しを行なう装置である。
この支持金具84には、例えば図16に示すようにODD83の左右に延びた箇所に、内向きの突起841と、その突起841に隣接した位置に穴842が形成されている。
一方、フロントカバー3には、図17に示すように、側面(図8の左側の側面)に穴33と、その穴33に隣接した位置にネジ穴32が形成されている。図8を参照して説明したようにホルダ8の係止片81および係止突起82がそれぞれ係止穴94および係止穴311に入り込んだ状態で図8の右側にスライドされる。すると、係止片81および係止突起82がそれぞれ支持部材9の支持部91および支持アーム31の裏側に入り込む。このスライドの際、フロントカバー3の側面では、ホルダ8の突起841がフロントカバー3の穴33に入り込み、かつ、ホルダ8の穴842とフロントカバー3のネジ穴32が連通した状態となる。これによりホルダ8が位置規制される。ホルダ8はその状態でネジ止めされる。
以上で、ホルダ7,8の組立方法についての説明を終了し、次に各ホルダ7,8の構造について説明する。
ホルダ7には、HDD(ハードディスクドライブ)10が搭載されている。このHDD10は、情報が磁気的に書き込まれ保持されて読み出されるハードディスクと、そのハードディスクを回転させるモータとを内蔵し、モータでハードディスクを回転させながらハードディスクへの情報の書込みおよびハードディスクからの情報の読出しを行なう装置である。また、このホルダ7にはさらにメイン基板780が搭載されている。このメイン基板780上には、各種の電子部品のほか、ファン781や放熱部材782等からなる空冷手段が搭載されている。メイン基板780と放熱部材782とに挟まれた部分にはプログラムの実行を担うCPUが組み込まれたLSI(図示せず)が搭載されている。このCPUは動作に伴い発熱する発熱電子部品の1つである。CPUで発生した熱は放熱部材782に吸収され、その熱がファン781による送風により空気に伝熱し、その空気がリアカバー4に形成されている排気口43(図2参照)から排気される。
図12に示すように、ホルダ7は、金属板の、主に板金加工により作製されており、画像表示パネルに沿って広がる基部72と、基部72から立設して縦に延びる梁部73とを有する。この梁部73は、基部72の、縦に延びる縁に形成された第1の梁731と、基部72の左右方向に広がる途中位置に固定された、上下に延びる第2の梁732とを有する。これら2本の梁731,732に挟まれた領域には、HDD10(図7,図8参照)が収容されるHDD収容部74が設けられている。このHDD収容部74には、ここに収容されたHDD10の冷却を助けるための複数の穴741aが形成されている。この点についての詳細は後述する。
また、図13に示すように、このホルダ7には、段部75が形成されている。ここで、図9に示すように、画像表示パネルの上縁に沿って支持部材9の支持部91が延在している。その支持部91の裏側には画像表示パネル駆動用の回路が搭載されている。このため、この支持部材9はこの支持部91の部分が厚くなっている。そこで、ホルダ7に段部75を形成し、支持部91よりも下に外れた部分を深く形成し、そこにHDD収容部74を置くことにより、装置全体の厚みを薄く形成している。
第2の梁732には、ケーブルを通過させるための開口732a(図12参照)が形成されている。この第2の梁732は、ホルダ7の、支持部材9の支持部91の上に乗る、薄形に形成されている部分にまで延びている。その第2の梁732の、支持部91の上にまで延びている部分732bは、横方向に段違いにずれた形状の梁を形成している。これは、支持部材9に搭載された画像表示パネル駆動用の回路につながるコネクタ95(例えば図8参照)との干渉を避けるためである。このホルダ7には、上述の2本の梁731,732以外に、基部72の周縁の折り曲げにより形成された梁733,734,735が形成されている。基部72の上縁に沿って形成されている梁733には、基部72と梁733とに跨る領域にケーブル通過用の開口部76A,76Bが形成されている。これらの開口部76A,76Bについての詳細は後述する。
このホルダ7は、このようにして梁731〜735、特に縦方向に延びる2本の梁731,732によりその強度の強化が図られている。
もう一方のホルダ8にも、例えば図14に示すように縦に延びる梁87が形成されており、ホルダ8の強度を強化している。
図18は、2つのホルダ7,8が固定された状態の平面図である。本実施形態では、上述のように構成された2つのホルダ7,8を横に並べて支持部材9および支持アーム31(図8参照)に固定しており、これらのホルダ7,8の固定により、装置全体の剛性が強化されている。
図19は変形例を示す、図18に対応する図である。
本実施形態ではホルダは2つに分かれていたが、この図19に2点鎖線で示すように、ホルダ7をさらに2つに分け、分けた縁にさらに梁を形成するなどして、さらなる強度アップを図ることも可能である。
図20は、本実施形態と対比される比較例の、ホルダを取り外した状態を示した分解斜視図である。
ここでは、本実施形態との対応関係を明示するために、本実施形態の各種要素と同一の要素には、形状の相違等があっても本実施形態において付した符号と同一の符号を使用し、さらに比較例であることを明示するために、各符号にさらに‘X’を付して示す。
フロントカバー3Xの背面に支持部材9Xが固定されており、その支持部材9Xにホルダ7Xがネジ止めされている。ここに示すホルダ7Xには、本実施形態におけるホルダ7,8と同様に各種の電子部品が搭載されるが、ここでは電子部品の図示は省略されている。上述の実施形態では、2つのホルダ7,8が横に並べられているが、この比較例の場合、ホルダ7Xは、1つのみであり、フロントカバー3Xの背面全域を覆う大面積のホルダである。
このような大面積のホルダ7Xは、板金加工等による作業の際に反りや歪みが発生し易く、本実施形態のような梁731〜735や段部75などを高精度に作製することは困難である。
したがってこの比較例に示すようなホルダ7Xで上述の実施形態と同じ強度を確保しようとすると板厚の厚い材料を用いる必要があり、コストアップの要因となり、製品の重量が増し、また組立作業も困難性が増す結果となる。
上述の実施形態は、複数のホルダ7,8を作製し梁による強度アップを図り、左右に並べて固定する構造を有することから、比較的薄い板材からなるホルダ7,8であっても十分な強度を確保することができる。またそれらのホルダ7,8を固定することによって装置全体の剛性も高められる。
次に本件の第2実施形態について説明する。
以下に説明する第2実施形態を示す各図では、第1実施形態における各要素に対応する各要素に、第1実施形態における各要素に付した符号と同一の符号にさらに‘_2’を付して示し、必要な点のみの説明にとどめる。
図21は、本件の第2実施形態の電子機器を各方向から見た図である。この図21において、(A)は上面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(2)は背面図である。
この第2実施形態の電子機器1_2は、上述した第1実施形態の電子機器1(図1〜図3参照)と比べると、ひとまわり小型の電子機器である。
図22は、図3に外形を示す第2実施形態の電子機器を支持スタンド5_2から取り外し、さらにリアカバー4_2を取り外して背面側斜め横から見て示したときの斜視図である。また、図23は、図4に示す状態からさらにリアシールド板6_2を取り外した状態を示した分解斜視図である。さらに図24は、図23に示す状態からさらに2つのホルダを取り外した状態を示した分解斜視図である。さらに図25は、図24に示す状態からさらに支持部材9_2を取り外した状態を示す分解斜視図である。これらの図22〜図25は、前述の第1実施形態における、それぞれ、図4,図6,図8,図10に対応する図である。
第1実施形態との特徴的な相違点は、HDD10_2が縦長に置かれている点、および第2の梁732_2が上下に直線的に延びている点である。この第2実施形態の場合、コネクタ95_2が図23の右側に寄っていることから第2の梁732_2を直線的に延ばしてもコネクタ95_2とは干渉しない。また、この第2の梁732_2を直線的に延ばしたほうが強度の向上にさらに寄与することから、ここでは第2の梁732_2を直線的に延ばしている。また、この第2実施形態の電子機器1_2は、第1実施形態の電子機器1と比べ全体が小寸法であることから、配置スペースの関係上、HDD10_2は縦長に置かれている。
図24に示すように、この第2実施形態でも2つのホルダ7_2,8_2にそれぞれ梁が形成され、それらのホルダ7_2,8_2は互いに横に並んだ状態に固定されている。このように複数のホルダ7_2,8_2を並べる構造を採用したことにより、ホルダ7_2,8_2を薄い板材で形成しても十分な強度が確保されている。
図26は、第2実施形態における変形例を示す、第1実施形態における図19に対応する図である。
本第2実施形態でもホルダは2つに分かれていたが、この図26に2点鎖線で示すように、ホルダ7_2をさらに2つに分け、分けた縁にさらに梁を形成するなどして、さらなる強度アップを図ることも可能である。
(ケーブル保護構造)
図27は、支持部材9(図8参照)を構成する支持部91上に置かれたホルダ7の、上縁部分を示す斜視図である。また、図28は、図27に示す部分の分解斜視図である。
ここには、ホルダ7の梁733に、各アンテナホルダ103を介して、3つのアンテナ101が固定されている。各アンテナ101には、ケーブル102が接続され、梁733に形成された開口部76A,76Bを通過しホルダ7の基部72の上面(図1におけるリアカバー4側を向いた面)を通って延びている。
尚、ここには、3つのアンテナ101を示したが、さらに、この梁733と角を接するもう1つの梁734(図12参照)にもアンテナ101を取り付けることができる(図33,図34参照)。これらのアンテナ101は、全てを取り付ける必要はなく、ここではアンテナ101を様々な箇所に取り付けることができることを示したものである。したがって以下では、図27において、ケーブル102が接続されている1つのアンテナを中心に説明を続ける。
図29は、支持部材9上に置かれたホルダ7の右上隅(図1に示す状態における左上隅)の一部を示す斜視図である。また、図30は、図29に示すホルダ7の外側(図1の上方側)から見て示した斜視図である。また、図31は、ホルダ7が後述する「載置位置」にあるときの、図29のさらに一部領域を示す拡大斜視図、図32は、これも後述する「支持位置」にあるときの、図31と同じ領域を示す拡大斜視図である。
上述したように、ホルダ7の上縁を左右に延びる梁733の外面には、アンテナ101が配置されており、このアンテナ101にはケーブル102が接続されている。このケーブル102は、梁733に形成された開口部76Aを通過してホルダ7の基部72の上面(図1に示すリアカバー4側を向いた面)の上を這い、アンテナ101を使った無線通信を担当する電子部品(図示せず)に接続されている。
尚、本実施形態ではホルダ7、基部72および梁733が、本件における板金部材、板状の基部および立壁部にそれぞれ対応し、ホルダ7の図27に示された上面(図1に示すリアカバー4側を向いた面)が本件における第1面に対応する。この梁733(立壁部)は、板状の基部72から第1面側に折れ曲がって立設し基部72の端縁(ここでは上端縁)に沿って延在している。
ここで、この開口部76Aは、基部72と梁733(立壁部)との境界領域に、基部72と梁733(立壁部)とに跨って形成されている。すなわち、この開口部76Aは、基部72の図27〜図30に示す上面(第1面)とその上面に対する裏面である第2面とに貫通する第1の開口領域761と、梁733(立壁部)の表裏面に貫通するとともに、その第1の開口領域761に繋がる第2の開口領域762とを有する。
この開口部76Aの基部72側に広がる第1の開口領域761の直ぐ下には、このホルダ7の第2面(図27〜図32にあらわれている上面に対する裏面)を載せた状態で支持する、支持部材9の支持部91(例えば図8を合わせて参照)の上面(図1のリアカバー4側の面)があらわれている。
すなわち、開口部76のうちの梁733に形成された第2の開口領域762は、その第2の開口領域762を画定する開口縁762aと、支持部91の上面とに囲まれた開口を形成している。また、この開口縁両端部762bは、支持部91に向かって第1の開口領域761内に入り込んだ形状を有する。さらに、この開口縁762aは、2つの端部762bどうしを繋ぐ全域に渡って、塑性変形によるエッジ除去処理が施されている。このエッジ除去処理により、ここを通過するケーブル102が開口縁762aに当たっても、ケーブル102がその開口縁762aとの接触で傷づけられることが防止される。
この支持部材9の支持部91(図8参照)は、本件における支持部材の一例である。すなわち、この支持部91は、上面(第1面)およびその上面に対する裏面である第2面を有し、上面(第1面)側にホルダ7の第2面が接するようにそのホルダ7を載せてホルダ7を支持する。この支持部91にホルダ7を組み立てるにあたっては、例えば図8に示すホルダ7の各係止片71を支持部91の係止穴93に入り込ませるようにホルダ7を支持部91上に置く。その後ホルダ7を図8の右側にスライドさせて、各係止片71を支持部91の裏面側(画像表示パネル側)に入り込ませてホルダ7を支持部91に係止させる。ホルダ7は、その後、ネジ止め固定される。
ここでは、ホルダ7の各係止片71を支持部材9の係止穴93に入り込ませるようにしてホルダ7を支持部材9に載置させた位置を「載置位置」と称し、その後ホルダ7のスライドにより各係止片71を支持部材9の支持部91の裏面に入り込ませてホルダ7が支持部材9に係止させた位置を「支持位置」と称する。
ここで支持部材9の支持部91は、図31に示す、ホルダ7が載置位置にあるときに第1の開口領域761と重なる位置に、支持部91の第1面(ホルダ7が載る側の面)と第2面(第1面に対する裏面)に通じる切欠部911を有する。
一方、ホルダ7は、載置位置にあるときの第1の開口領域751の、切欠部911に突き出た形状を有する舌片部753を有する。このホルダ7の基部72には、第1の開口領域761に繋がる、ケーブル102の通過部分に窪み部722を有する。この窪み部722は、ホルダ7の第2面側の凸を伴ってそのホルダ7の第1面側が第1の開口領域761に向かって一段凹んだ領域である。このホルダ7の基部72の第1面の、窪み部722に一段下がって繋がる縁部分722a(図35,図36参照)は丸みを帯びた形状となっている。このため、ケーブル102がこの縁部分722aで傷付くことも防止される。ここで、上記の舌片部721は、この窪み部722から第1の開口領域761に突き出ている。この舌片部721は、図31に示す載置位置では、支持部91の切欠部911にあり、ホルダ7が図32に示す支持位置にスライドすると、支持部91の裏面(第2面)側に入り込んで、支持部91に、その支持部91をホルダ7の第2面に押し付ける方向の力を及ぼす。これにより、第2の開口領域762を画定する開口縁762aの、第1の開口領域761内に入り込んでいる両端部762bと支持部91との間の隙き間を十分に狭い隙き間に制御できる。このため、この隙き間にケーブル102が入り込んで、その端部762bのエッジで傷つくことが防止される。
図33,図34は、ホルダ7の梁733に形成されたもう1つの開口部76B(図12,図27を参照)の構造を示した部分斜視図である。図33は、ホルダ7が載置位置にある状態を示しており、図34はホルダ7が支持位置までスライドした状態を示している。
この開口部76Bの周りの構造は、上述したもう一方の開口部76の周りの構造と同一であるため、ここでは、開口部76の周りの各要素に付した符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
ケーブル102を通過させる開口部76Aについてさらに詳細に説明する。
図35は、開口部76Aを、ホルダ7の梁733の内面側から見た拡大斜視図である。また、図36は、その開口部76をリアカバー4(図1参照)側から見た平面図である。
これらの図35,図36には、ホルダ7が支持位置までスライドした後の状態が示されている。
また、図37は、図36の矢印X−Xに沿う断面図、図38は図36の矢印Y−Yに沿う断面図である。さらに図39は、図38に示す円Rの部分の拡大図である。
ホルダ7の梁733に形成された第2の開口領域762は、開口縁762aと支持部材9の支持部91の上面(第1面)とにより開口が形成されている。ただし、この第2の開口領域762は、ホルダ7上では、その基部72に形成されている第1の開口領域761と合わせて1つの開口部76を形成している。この開口部76を二分する位置での折り曲げにより梁733が形成され、開口部76が第1の開口領域761と第2の開口領域762とに分かれている。
第1の開口領域762の、梁733に繋がる部分には、一対の逃げ部763が形成されて、開口縁762aの両端部762bはその開口部76A内に突出した形状に形成されている。このため、その両端部762bは、折り曲げにより梁733を形成する際に、基部72側の第1の開口領域761の中に入り込む。このホルダ7が支持位置にスライドすると舌片部721が支持部91の裏面(第2面)側に入り込んで支持部91にその支持部91を押し上げる力を及ぼす。このため、開口縁762aの両端部762bと支持部91との間が十分に狭い隙間に保たれ、この隙間にケーブル102に入り込むことはなく、開口縁762の端部762bのエッジでケーブル102に傷が付くことが防止される。また、前述の通り、第2の開口領域762を画定する開口縁762aはエッジ除去処理が施されており、さらにホルダ7の基部72の、窪み部722に繋がる部分722aは丸みを有する形状に形成されている。このように、これらの部分もケーブル102に傷を付けないように工夫されている。
ここで、本実施形態の説明を一旦中断し、比較例について説明する。
図40は、1つの比較例を示す図である。
ここでは、板金部材に、開口縁76aXの全周に渡り塑性変形によるエッジ除去処理を伴う穴明け加工が行われて開口部76Xが形成され、その開口部76Xを二分する位置で折り曲げられて基部72Xと梁733Xが形成されている。
この場合、基部72Xと梁733Xとの間の折曲げ部76bXがかなり大きな半径Rのわん曲となり、例えば直方体形状の電子部品を基部72X上の、梁733Xに接する位置に配置しようとするとそのわん曲と干渉してしまい、電子部品を梁733Xから離して配置することになる。その場合、スペースの無駄が発生するおそれがあり、またその電子部品を梁733Xに支持させることができず、別の支持部材を用意するなど、部品点数の増加や構造の複雑化を招くおそれがある。また、この場合、梁733Xを、基部72Xから正確な角度には折り曲げにくく、折曲げ角度のばらつきが大きくなる。このことも、部品の正確な配置を妨げる要因となる。例えば、この梁733Xに、図27,図28に示すようなアンテナ101を取り付けた場合、その取り付けたアンテナ101の取付け角度がばらつき、アンテナ101の性能を一定に保つことが難しい。
図41は、もう1つの比較例を示す図である。
この図41では、開口部76Xが形成されている。この開口部76Xは、基部72X側の第1の開口領域761Xと梁733X側の第2の開口領域762Xとに跨って広がっている。第2の開口領域763Xを画定する開口縁762aXは塑性加工によるエッジ除去処理が施されている。ここでは、基部72Xが載せられる支持部材91Xにも、開口縁762aXの両端部762bXの部分に各開口919Xが形成されており、両端部762bXにそれらの開口919Xに入り込んでいる。
この場合、梁733Xは、基部72Xから極く小さい半径で鋭く立ち上げることができ、また正確な角度に立設させることができる。したがって電子部品の配置の問題は生じない。しかしながらこの図41の比較例の場合、基部72Xに設けられた第1の開口領域761Xの縁および支持部材91Xに設けられた開口919Xの縁にエッジが形成されている。このため、ここを通過するケーブルがそれらのエッジで傷付くおそれがある。
上述の実施形態は、梁の折曲げに起因する部品配置の問題と、通過するケーブルに傷が付くおそれがあるという問題の双方を解決している。
(HDDユニット固定構造)
次に、ホルダ7にHDDユニットを固定する固定構造について説明する。ここで、HDD(ハードディスクドライブ)には、情報が磁気的に書き込まれ保持されて読み出されるハードディスク(HD)と、そのHDを回転させるモータが内蔵されている。このHDDでは、モータでHDを回転させながら、HDへの情報の書込み、およびHDからの情報の読出しが行なわれる。
ここでは、比較例を先に説明する。
図42は、比較例としてのHDDユニット固定構造を示す分解斜視図である。また図43は、図42に分解斜視図を示すHDDユニットを組み立てた状態の平面図である。
ここでは、HDD10Xは、その上面および左右の両側面を覆うHDDホルダ111Xに収納されて左右両側からネジ止めされ、さらに左右の支持部材112X,113Xで支持されて、ホルダ7Xの、HDD収容部74Xに収容される。
この構造の場合、HDD10X、ホルダ111X、および支持部材112X,113XからなるHDDユニットが占める領域が、HDD10Xの周囲の、図43に斜線を付して示す領域に広がっている。
もともとHDD10Xは寸法の大きな電子部品であるにもかかわらず、そのHDD10Xの固定のためにそのHDD10Xの周りに広いスペースを割いていては、省スペース化が実施できず、装置の大型化を招くおそれがある。
本実施形態では、以下の固定構造により、HDD10Xの放熱を妨げることなく省スペース化を実施している。
ここでは、図1〜図3に外形を示す第1実施形態におけるHDDユニット固定構造について説明し、次いで、図21に外形を示す実施形態におけるHDDユニットと固定構造について説明する。
図44は、図1〜図3に外形を示す第1実施形態の電子機器1におけるホルダ7(図12,図45を合わせて参照)の、HDD収容部74の部分の斜視図である。
このホルダ7に設けられたHDD収容部74は、ベース部741と、梁731,732を有する。これらの梁731,732は、ベース部741の左右に立設して前後方向に延在している。これらの梁731,732は、本件にいう左右のリブの一例に相当する。また、HDD収容部74は、本件にいう収容部の一例に相当し、そこに収容されるHDD10(図45参照)は本件にいう収容対象の電子部品の一例に相当する。
ベース部741には、そのベース部741の表裏面に貫通した複数の開口741aを有する。これらの開口741aは、空気の流れを良好にしてHDD10の空冷を助けるためのものである。
左右の梁731,732には、HDD10に固定されてHDD10を支持する後述する支持板77(例えば図45参照)の基部771の板厚だけベース部741よりも浮いた高さ位置にベース部741の上に横向きに突出した複数の係止突起741bを有する。これらの係止突起741bの作用については後述する。
また、このHDD収容部74には、ベース部741の前方に立設して左右に延在する前壁742を有する。この前壁742にも、支持板77(例えば図45参照)の基部771の板厚によりベース部741よりも浮いた高さ位置にベース部741の上に突出した2つの係止突起741cを有する。
さらに、このHDD収容部74は、前壁742に連続しベース部741と平行に、ベース部741の前方に広がる台部743を有する。その台部743には、2つの切起し片743aを有する。これらの切起し片743aは、本件にいう案内リブの一例に相当する。また、この台部743には、ネジ穴743bが形成されている。
図45は、ホルダと、支持板と、HDDとを示す分解斜視図である。また図46は、ホルダのHDD収容部に、HDDを取り外した支持板のみを収容させた状態を示す斜視図である。
HDD10は支持板77にネジ止めされ、HDD10がその支持板77に組み立てられたHDDユニットがホルダ7のHDD収容部74に収容される。
支持板77は、HDD10の下面に対して広がる基部771と、前側の立壁部772と、後側の立壁部773と、さらに鍔部774とを有する。前側の立壁部772および後側の立壁部773は、基部771のそれぞれ前方および後方における基部771からの折り曲げにより形成され、HDD10のそれぞれ前壁10a,後壁10bに沿って立設している。さらに前側の立壁部772は、HDD収容部74への収容時に、ホルダ7のHDD収容部74の前壁742に沿って立設する。さらに鍔部774は、前側の立壁部772から前方に折れ曲がって基部771と平行に広がり、HDD10ユニットの、HDD収容部74への収容時にHDD収容部74の台部743に乗る。
この支持板77の基部771には、その基部771の表裏面に貫通した複数の開口771aを有する。これらの開口771aは、この支持板77を含むHDDユニットがHDD収容部74に収容された際に、HDD収容部74のベース部741aにそれぞれ連通する。
また、この支持板77の前後の立壁部772,773からは、基部771よりも少し浮いた位置に基部771の上に突き出た切起し片772a,773aを有する(切起し片772aについては、図47,図48参照)。HDD10は、支持板77に支持されたとき、これらの切起し片773aの存在により、HDD10の下面(HDD10の、図45に示す上面とは反対側の面)が基部771から少し浮いた状態に支持される。HDD10の下面には、ハードディスク(HD)を回転させるためのモータの下面が露出しており、また、回路基板が広がっていて、動作時に発熱を伴う。そこでここでは、HDD10を少し浮かせた状態に保持し,基部77との間に空間を空けることにより、HDD下面の放熱の促進を図っている。
また、この空間を利用して、基部771をHDD収容部74の係止突起741b(図44参照)に係止させている。係止突起741bによる係止については以下において説明する。
HDD10は、その下面を切起し片773bに乗せた状態で、前後の立壁部772,773に設けられた取付穴772b,773bから差し込まれたネジによりネジ止めされる。
また、支持板77の基部771の左右両側には、切欠部771bが形成されている。この切欠部771bは、この支持板77を含むHDDユニットをHDD収容部74を収納する際の、2本の梁731,732からベース部741の上に突出した係止突起741bとの干渉を避けるためのものである。
この支持板77を含むHDDユニットは、先ず、切欠部771bが係止突起741bと向き合う位置に載置される。ここでは、HDDユニットのこの載置された位置を「載置位置」と称する。HDDユニットは、切欠部771bにより係止突起741bとの干渉を避けた載置位置で基部771がベース部741上に乗り、その後前方にスライドされる。このスライドにより、係止突起741bは、支持板77の基部771の上に乗り、HDDユニットがHDD収容部74から容易には抜け出ない状態に係止する。このようにHDDユニットが前方へのスライドにより基部771が係止突起741bに係止されてHDDユニットがHDD収容部74内に支持された位置を、ここでは「支持位置」と称する。
HDDユニットが載置位置から支持位置にスライドすると、HDD収容部74の前壁742から突出した係止突起741cも、支持板77の基部771の舌部771d(図47,図48参照)の上に乗り、基部71を係止する。
さらに、支持板77の基部771の左右両縁には、この支持板77が支持位置に移動したときに係止突起741bに接する位置に、絞り加工により形成されて係止突起741b側に膨んだ膨み部771cを有する。この膨み部771cが形成されていることにより、HDDユニットが載置位置から支持位置に移動したときに支持板77の基部771が係止突起741bに強固に係止される。また、支持板77の基部771に設けられた開口771aは、HDDユニットが載置位置から支持位置まで移動したときに、ベース部741の開口741aと重なり、それらの開口771a,741aが互いに通じた状態となる。
また、前方の立壁部772の外壁には、図45では分解して示されているガスケット779が貼付されている(図48参照)。このガスケット779は、HDDユニットを載置位置から支持位置へとスライドさせる際にHDD収容部74の前壁742に突き当たって収縮し、このスライドの際の衝撃がHDD10に伝わるのを抑える役割りを担っている。また、このガスケット779は導電性を有し、HDDユニットのホルダ7への電気的な接地を、より強固なものとしている。尚、支持板77の前方の立壁部772には、ガスケット779の貼付が可能な箇所が複数用意されており、必要に応じて1つ又は複数のガスケットが貼付され、前壁772との間に挟まれる。
また、支持板77の鍔部774には、HDD収容部74の台部743に設けられた2つの切起し片743aがそれぞれ入り込む2つの角穴774aと、1つの、ネジ止め用の取付穴774bを有する。2つの角穴774aには、2つの切起し片743aが入り込み、それらの切起し片743aにより、HDDユニットを後述するようにして回動させながら載置位置に載せる際、およびHDDユニットを載置位置から支持位置へとスライドさせる際に案内を受ける。
HDDユニットを載置位置から支持位置にスライドすると、鍔部774に設けられた取付穴771bがHDD収容部74の台部743に設けられたネジ穴743bに重なる。支持板77は、ホルダ7に、取付穴771bを貫通しネジ穴743bに螺入したネジによりネジ止めされる。
図47は、HDDに支持板を取り付けたHDDユニットを、HDDの上面側から見て示した斜視図である。また、図48は、HDDユニットを、支持板基部側から見て示した斜視図である。
支持板77は、HDD10に、支持板77の前後の立壁部772,773でネジ止めされている。支持板77の基部771には、図48に示すようにHDD10の空冷を促進するための複数の開口771aが形成されている。また、基部の左右両縁には、HDD収容部74への収容時にHDD収容部74に設けられた係止突起741b(図44〜図46参照)との干渉を避けるための切欠部771cが形成されている。また、基部771の、前側の立壁部772との境界部分には、前方に延びた舌部771dを有する。この舌部771dは、このHDDユニットが載置位置から支持位置にスライドした際に、HDD収容部74の前壁742からベース部771に突出した係止突起741c(図44参照)に係止される。また、図48には、HDD10の下面を基部771から離した状態に保持するための切起し片772a,773aがあらわれている。さらに、この支持板77の前方の立壁部772には、ガスケット779の貼付を受けることのできるガスケット貼付部772dが3ヵ所設けられている。ただしここでは、中央のガスケット貼付部772にのみガスケット779が貼付されている。また、前方の立壁部772からさらに前方に広がる鍔部774には、前述の通り、HDD収容部74の台部743に設けられた2つの切起し片743aが入り込む2つの角穴774aとが形成されている。また、この鍔部773には、支持位置にスライドしたときに台部743のネジ穴743bに連通しネジ止めされる取付穴774bが形成されている。
図49は、HDDを取り外した支持板をホルダのHDD収容部の支持位置に収容させた状態を示した平面図である。また図50,図51は、HDD付きの支持板(HDDユニット)を、ホルダのHDD収容部の支持位置に収容させた状態の左側面図、および平面図である。また図52は、図49に示す円Rの部分の拡大図である。ただし、図52(A)は、支持板が載置位置に載置された状態を示し、図52(B)は支持板が支持位置にスライドした状態を示している。
また図53は、図50に示す円Rの部分の拡大図である。この図50の円Rは、図49の円Rと同一部分を示しており、図53は、図52(B)の状態の側面図をあらわしている。さらに、図54は、図51の矢印X−Xに沿う断面図であり、図55は、図54に示す円Rの部分の拡大図である。すなわち、図55は、図49の円R,図50の円Rと同一の部分の断面をあらわしている。
支持板7が載置位置にあるときは、図52(A)に示すように、その支持板77の基部771の切欠部771bの中に、ホルダ7の梁731から突出した係止突起741bが入り込み、基部771と係止突起741bとの干渉を避けている。支持板77が載置位置から支持位置にスライドすると、図52(B),図53,および図55に示すように、係止突起741bは、切欠部771bとはその位置がずれ、基部771と干渉した基部771を係止する。ここで、基部771には、膨み部771cが形成されており、基部771は、係止突起741bにより強固に係止される。
図56〜図62は、HDDユニットをHDD収容部に収容させる手順を示した図である。図56,図57は、HDDユニットをHDD収容部に収容させる初期の手順を示した図である。ここでは、HDDユニットが組立作業者の手で把持され、HDDユニットの前方が斜めに下がった状態で、図57に示すように、台部743から切り起こされた切起し片743aを支持板の鍔部774に形成された角穴774aに入り込ませる。この切起し片743aを角穴774aの前方の端に寄せた状態のまま切起し片743aを回動中心にしてHDDユニットを図57に示す矢印A方向に回動させる。すると、このHDDユニットは、ちょうど、図58,図59に示す載置位置に置かれる。したがって支持板77の基部771の両側縁の切欠部771b(例えば図49参照)は、このような回動操作を行なったときも係止突起741bとの干渉を避ける寸法を有している。その後、HDDユニットを、切起し片743aの案内を受けながら図59に示す矢印Bの方向に図60に示す支持位置までスライドさせる。この支持位置では、支持板の鍔部774に設けられた取付穴774bが台部743のネジ穴743bと重なり、図60に示す状態となる。こうしておいて、図61,図62に示すように、この取付穴774bがネジ止めされる。
図63は、HDD収容部に収容された状態のHDDユニットの平面図である。ただしこの図63では、HDD10は透明体にしてHDDの文字のみ示してある。また、図64は、図63の矢印Y1−Y1に沿う断面図である。さらに図65は、図63の矢印Y2−Y2に沿う断面図である。さらに、図66は、図64の円Rの部分の拡大図、図67は、図65の円Rの部分の拡大図である。
図66に示すように、台部743の上に鍔部774が重なり、鍔部774の取付穴774bが台部743のネジ穴743bにネジ止めされている。また、この図66には、図48に示す3箇所のガスケット貼付部774dのうちの中央のガスケット貼付部772dが示されており、このガスケット貼付部772dにガスケット779が貼り付けられている。このガスケット779は、前壁772に重なった状態に示されているが、これは、ガスケット779を収縮する前の寸法のまま示したためであり、実際は前壁742に押されて収縮する。
図67には、図48の右側のガスケット貼付部772dが示されている。図48ではここにはガスケットは貼り付けられていないが、図67に示すように、この支持板77(例えば図48参照)は、ここにもガスケット779を貼り付けることができる構造を有する。
さらに、図63に破線の円で示した部分にも、ガスケット779を貼着し得るガスケット貼付部772dを有する。
ガスケット779は、前述した通り、HDDユニット収容時の衝撃がHDDに伝わりにくくするためと、HDDユニットの接地を確実にする役割りを担っている。
次に、図21に外形を示す第2実施形態におけるHDDユニット固定構造について説明する。ここでは、前述した第1実施形態における各要素と対応する要素に、第1実施形態における各要素に付した符号に‘_2’を付して示すことで説明は基本的には省略し、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図68は、図21に外形を示す第2実施形態の電子機器1_2におけるホルダ7_2のHDD収容部74_2の部分と、HDDに固定される支持板77_2を並べて示した斜視図である。
このホルダ7_2は、HDD収容部74_2を有する。このHDD収容部74_2のベース部741_2の両側には梁731_2,732_2が設けられている。また、HDD収容部74_2の前方には前壁742_2が形成され、さらに台部743_2が続く。
ベース部741_2にはその表裏面に貫通した開口741a_2が形成されている。さらに左右の梁731_2,732_2からはベース部741_2の上に係止突起741b_2が横向きに張り出している。さらに、台部743_2には、2つの切起し片743a_2と1つのネジ穴743b_2が設けられている。
また、支持板77_2は、ベース部771_2と、立壁部772_2と、鍔部774_2とを有する。ベース部771_2にはその表裏面に貫通する大きな開口771a_2が形成されている。また、このベース部771_2の両側縁には切欠部771b_2が形成されており、その切欠部771b_2が隣接した位置に膨み部771c_2が形成されている。
また、このベース部771_2には、HDDが載置される側に突出したHDD載置台771d_2が形成されており、そのHDD載置台771d_2には、HDDをネジ止めするための取付穴771e_2が形成されている。
この実施形態では、前述の第1実施形態と比べHDDを90°回転させた向きに収容される。このHDDは、支持板77_2のベース部771_2に設けられたHDD載置台771d_2の上に載せられてその下面が固定される。このため、HDDの下面は、前述の第1実施形態の場合と同様、ベース部771_2から離間した状態となる。
また、この支持板77_2の台部774_2には、2つの角穴774a_2と1つの取付穴774b_2が設けられている。
図69,図70は、HDDが取り外された状態の支持板をHDD収容部に収容させた状態を示す各斜視図である。ただし、図69は、支持板77_2が載置位置にある場合、図70は支持板77_2が支持位置にある場合を示している。
図69に示す載置位置では、切欠部771bと係止突起741b_2との位置が合っていて、基部771_2は、係止突起741b_2と干渉することなくベース部741_2上に乗っている。支持板77_2を図70に示す支持位置にスライドさせると、係止突起741b_2は切欠部771b_2とは位置がずれ、支持板77_2の基部771_2を係止する。また、このとき、鍔部774_2の取付穴774b_2が台部743_2のネジ穴743b_2と重なり、その状態で取付穴774b_2がネジ穴743b_2にネジ止めされる。
図71は、HDDに支持板を取り付けたHDDユニットをHDDの上面側から見て示した斜視図である。また図72は、HDDユニットを支持板基部側から見て示した斜視図である。
図72には、開口771a_2からHDD10_2の下面があらわれている。支持板77_2は、その支持板77_2の基部771_2に設けられた、HDD側に突出したHDD載置台771d_2でHDD10_2をネジ止めしている。このため、HDD10_2の下面は、支持板77_2の基部771_2との間に間隔を空けた状態にある。これは、前述の通り、HDD10_2の空冷を促進するためである。またこの支持板77_2にも鍔部774_2が設けられている。鍔部774_2の構造は前述の第1実施形態におけるものと同様である。
図73は、HDD10_2を含むHDDユニットがHDD収容部の載置位置に置かれた状態を示す斜視図である。この実施形態では、HDDユニットは、HDD収容部に前述の実施形態のように回動させながら置かれる(図56参照)のとは異なり、HDDユニットはHDD収容部に水平のまま置かれる。
図74は、HDDユニットを図73に示す載置位置から支持位置までスライドさせた後の状態を示す斜視図、図75は、さらにネジ止めした後の状態の斜視図である。
このスライドによる支持位置への移動およびネジ止めの構造は前述した第1実施形態の場合と同様である。
図76は、HDDを取り外した支持板をホルダのHDD収容部の支持位置に収容させた状態を示した平面図である。また図77,図78は、HDD付きの支持板(HDDユニット)を、ホルダのHDD収容部の支持位置に収容させた状態の左側面図、および平面図である。また図79は、図76に示す円Rの部分の拡大図である。ただし、図79(A)は、支持板が載置位置に載置された状態を示し、図79(B)は支持板が支持位置にスライドした状態を示している。
また図80は、図77に示す円Rの部分の拡大図である。この図77の円Rは、図76の円Rと同一部分を示しており、図80は、図79(B)の状態の側面図をあらわしている。さらに、図81は、図78の矢印X−Xに沿う断面図であり、図82は、図81に示す円Rの部分の拡大図である。すなわち、図82は、図76の円R,図77の円Rと同一の部分の断面をあらわしている。
支持板7_2が載置位置にあるときは、図77(A)に示すように、その支持板77_2の基部771_2の切欠部771b_2の中に、ホルダ7_2の梁731_2から突出した係止突起741b_2が入り込み、基部771_2と係止突起741b_2との干渉を避けている。支持板77_2が載置位置から支持位置にスライドすると、図81(B),図82,および図84に示すように係止突起741b_2は、切欠部771b_2とはその位置がずれ、基部771_2と干渉して基部771_2を係止する。ここで、基部771_2には、膨み部771c_2が形成されており、基部771_2は、係止突起741b_2により強固に係止される。
(画像表示パネルの構造)
次に、画像表示パネル自体の構造を説明する。
図83は、画像表示パネルの分解斜視図である。また図84は、画像表示板上に両面粘着テープを貼着した状態を示した斜視図である。また図85は、さらに保護パネルを置いた状態を示した斜視図である。
この画像表示パネル2は、矩形の画像表示板20と、両面粘着テープ22と、保護パネル23とを有する。画像表示板20は、画像表示画面21aとその画像表示画面21aを一周に亘って取り巻く枠体21bとを有する。両面粘着テープ22は、ここでは4本からなり、枠体21bの、前面側(両面粘着テープ側)を向いた前面の4つの辺にそれぞれ貼着される。各両面粘着テープ22は、その一端部のタグ22aが枠体21bから食み出した状態に貼着される。さらにその上には透明ガラス等からなる保護パネル23が置かれる。保護パネル23は、4本の両面粘着テープ22により画像表示板20に貼着される。
図86は、保護パネル上に光学式のタッチセンサを組み込んだ状態を示す斜視図である。
この画像表示パネル2の上縁の左右両隅には、タッチセンサ用の赤外線投受光部24が配置される。また、画像表示パネル2の左右両側縁および下縁には、画像表示パネル2の内側を向いて立設しそれぞれその縁に沿って延びる反射面25が設けられている。ただし、画像表示パネルの上縁には反射面は設けられていない。この上縁の部分は、後述するリブ303(図96,図100)を除き、余計な反射が生じないように空けておく必要がある。
赤外線投受光ユニット24は、赤外光を出射し、その出射された赤外光はこの画像表示パネル2の前面全体を覆うようにその前面に沿って進み、反射面25で反射する。赤外線投受光ユニット24は、反射して戻ってきた反射赤外光を検出する。この画像表示パネル前面に指やその他の物体が接触または近接すると、反射面25で反射した赤外光が遮られる。赤外線投受光ユニット24は図示しない回路で処理して、指や物体の、画像表示パネル上の位置を検出する。この反射赤外光を捉えた信号を処理する回路は、画像表示パネルに背面側に固定される支持部材9(例えば図10参照)の上部に配置されている。
図87は、両面粘着テープの構成を示した図である。図87(A)は平面図、図87(B)は、分かり易さのため、この両面粘着テープの各構成要素を互いに離して示した側面図である。
この両面粘着テープ22は、相対的に厚くかつ相対的に伸縮性および柔軟性が高い基材221と、その基材221を挟むように配置された、相対的に薄くかつ相対的に伸縮性が低く剛性が高い、例えばPETフィルム等のフィルム222,223とを有する。フィルム222,223は、基材221に貼着されており、またフィルム222,223の外面は粘着性を有する。また、この両面粘着テープ22の一端部に形成された、画像表示板21の外に食み出させるタグ22aは、PETフィルム等のフィルム224,225がフィルム222,223に貼着されることにより形成されている。タグ22aを構成する2枚のフィルム224,225は、いずれも、外面は非粘着性である。タグ22aを構成する2枚のフィルム224,225の内側の面は、それら2枚のフィルム224,225のうちの少なくとも一方が粘着性を有し、それら2枚のフィルム224,225が互いに貼着されていることが好ましい。但し2枚のフィルム224,225のいずれの内面も非粘着性であって、2枚のフィルム224,225が互いに分れた状態であっても特に差し支えない。
この図87に示すように基材221を挟んだ構成にすると、例えば保護パネル23に多少の反りがあっても基材221がその反りを吸収するように伸縮して両面粘着テープ22が、その長手方向に万遍無く、すなわち貼着ムラなく貼着される。
また、この基部221は、以下に説明する、両面粘着テープ22を取り去って画像表示板21と保護パネル23を分離する際にも有効に作用する。
図88は、画像表示パネルの一つの隅の部分を示した模式図である。また、図89は、両面粘着テープ22のタグ22aを引いて画像表示板20と保護パネル23を分離している途中の様子を示した図である。
画像表示パネル2から食み出しているタグ22aを持って、そのタグ22aが形成された両面粘着テープ22の延在方向とは交わる方向に引っ張る。すると、その両面粘着テープ22に折れ曲がり部分22b形成され、さらに基材221の伸縮によりその折れ曲がり部分22bにシワ22cが形成され、その折れ曲がり部分22bにおける、画像表示板20と保護パネル23との間の粘着力を弱める。これにより両面粘着テープ22を無理なく引き剥がすことができ、画像表示板20と保護パネル23が無理なく、それらに大きなストレスが加わることなく、分離される。
この両面粘着テープは、基部221のみでなく、その基部221よりも伸縮性が低く剛性の高いフィルム222,223で挟まれているため、かなり強く引いても両面粘着テープ22が千切れるおそれはない。
図90は、各種の両面粘着テープを示した図である。
図90(A)に示す両面粘着テープ22aは、相対的に厚くかつ相対的に伸縮性と柔軟性のある基材221aをPETフィルム等の剛性のあるフィルム222a,223aで挟んだ構造のものである。
基材221aを挟む2枚のフィルム222a、223aは、タグ22Aaの部分では互いに貼着されている。2枚のフィルム222a,223aの外面は粘着性を有する。タグ22Aaの部分の外面も粘着性を有していてもよい。あるいはこのタグ22Aaの部分の外面が非粘着性となるように処理されていてもよい。
図90(B)の両面粘着テープ22Bは、図90(A)と同様の基材221bと、その基材221bを挟む2枚のフィルム222b、223bを有する。タグ22Baの部分は基材221bは存在せず、2枚のフィルム222b、223bがそのまま延びた形状となっている。2枚のフィルム222b、223bからなるタグ22Baの部分の外面は、粘着性を有していても良く、非粘着性となるように処理されていてもよい。
図90(C)の両面粘着テープ22Cは、図90(A),(B)と同様の基材221cとその基材221cを挟む2枚のフィルム222c、223cとを有する。タグ22Caの部分も、タグ22Ca以外の部分をそのまま延長した構造となっている。このタグ22Caの部分の外面は非粘着性となるように処理されていてもよい。
図90(D)の両面粘着テープ22Dは、図90(C)の両面粘着テープ22Cと同じく、タグ22Daの部分まで基材221dとその基材221dを挟む2枚のフィルム222d、223dが延在している。ただし、このタグ22Daの部分は、その両面にさらに2枚の短いフィルム224d,225dを貼り、これによりタグの両面を非粘着性としている。
以上の図90(A)〜(D)は、基材とその基材を挟む2枚のフィルムとを有する両面粘着テープの例である。ただし、保護パネル23は実質的に反りはなく、また両面粘着テープの粘着の強さを調整することによって、図90(E),(F)の構造の両面粘着テープ22E,22Fを採用することも可能である。
図90(E)に示す両面粘着テープ22Eは、薄いPETフィルム等からなるフィルム221eを基材とし、その両面に、やはり薄いPETフィルム等からなる、両面に粘着性が付与された2枚のフィルム222e,222fが貼られている。タグ22Eaには、基材としてのフィルム221eのみが延びている。
図90(F)の両面粘着テープ22Fは、薄いPETフィルム等からなり、両面が粘着性を有する1枚のフィルム221fのみからなる。タグ22Faは非粘着処理が施されていてもよい。
両面粘着テープで貼着される画像表示板20や保護パネル23の材質や厚さや反りの程度等にもよるが、図90に示すような様々な両面粘着テープが使用可能である。
(光学式タッチパネル搭載表示機器の補強構造)
図91は、画像表示パネルの前面を示した平面図である。ただしここからは、両面粘着テープのタグは図示省略してある。
前述した通り、画像表示パネル2の前面上縁の左右両端にはそれぞれ赤外光投受光ユニット24が取り付けられている。また、画像表示パネル2の左右の両縁および下縁のそれぞれに沿って延在し、画像表示パネル2の内側を向いて画像表示パネル2に対し立設した反射面25が設けられている。これらの反射面25は、赤外線投受光ユニット24から出射した赤外光を反射する反射面である。この反射面25は、画像表示パネル2の上縁側には配置されていない。画像表示パネル2の上縁に沿う領域には、赤外線投受光ユニット25から出射した赤外光を反射する反射体を置かずに空間を形成しておくことが要請されている。ただし、この上縁には、後述する、規定位置に規定高さだけ立設したリブは配置することができる。
図92,図93は、画像表示パネル2の前面の、それぞれ左上隅、右上隅に配置された各赤外線投受光ユニットを示す平面図である。
これらの赤外線投受光ユニット24には、赤外線を投光する赤外線投光部と赤外線を受光する赤外線受光部が積み重なった構造を有する。赤外線投光部からは、画像表示パネル2の前面に沿って扇状に広がる光束の赤外線が出射される。また、赤外線受光部は、赤外線投光部から出射し左右又は下縁の反射面25(図91参照)で反射して戻ってきた反射赤外光をレンズ241を通して受光する。また赤外線受光部はさらに、画像表示パネル2の表面に指やペンやその他の物体O(図91参照)を置いたときの、その物体Oで反射して戻ってきた赤外線を受光する。
赤外線受光部で赤外線を受光して得た受光信号は図示しない処理回路に入力されて画像表示パネル上のその物体Oの位置が検出される。
次に、フロントカバー等からなる、上記の構造の画像表示パネル2を支持する側の構造を説明する。
図94は、画像表示パネル2を支持した状態のフロントカバー3をその前面から見て示した図である。このフロントカバー3は、画像表示パネル2の前面周縁を一周に渡って取り巻く枠状の部材である。このフロントカバー3は、画像表示パネル2の前面をその周縁を除き露出させて画像表示パネル2を支持している。このフロントカバー3は、画像表示パネル2の周縁から食み出した寸法を有する。
図95は、図94の矢印X−Xに沿う断面図である。
この図95に示すように、フロントカバー3の画像表示パネル2の上縁に沿った領域にはフロントカバー3の内面301と画像表示パネル2の前面との間に隙き間302が形成されている。
図96は、図95の円Rの部分の拡大図である。フロントカバー3の内面301と画像表示パネル2の前面との間の隙き間302には、後述する補強金具310が見えている。フロントカバー3の内面301には左右の中央部分にリブ303が立設している。一方、補強金具310には、そのリブ303を通過させる穴310aが形成されている。このリブ303は、その位置や高さ、長さの制限を受けて、赤外線投受光ユニット24による検出の妨げにならずに画像表示パネル2の上縁に沿って配置することが許された、不要な光を遮るためのリブである。
図97は、図94の矢印Y−Yに沿う断面図である。この断面図には、画像表示パネル2の上縁隅の赤外線投受光ユニット24と画像表示パネル2の下縁に沿う反射面25があらわれている。
図98は、図97の円Rの部分の拡大図である。
この図98に示すように、フロントカバー3は、画像表示パネル2の上縁に沿って延在する部分に、覆い板321を有する。この覆い板321は、画像表示パネル2の前面との間に隙き間302を空けて画像表示パネル2の前面上縁を覆って左右(図98の紙面に垂直な方向)に広がっている。またこのフロントカバー3は、覆い板321の背面側において、画像表示パネル2の上端面221のさらに上に位置し左右(図98の紙面に垂直な方向)に延びるアーム部322を有する。
また、ここには、補強金具310があらわれている。この補強金具310は、この図98にあらわれているように、第1の板部311と、その第1の板部311から折れ曲がった第2の板部312と、その第2の板部312からさらに折れ曲がった第3の板部313とを有する。第1の板部311は、アーム部322の背面側を向いた面に沿って広がっている。また第2の板部312は、アーム部322の、画像表示パネル2の上端面229側を向いた面に沿って広がっている。さらに第3の板部313は、覆い板321の、画像表示パネル2の前面側を向いた背面に沿って広がっている。この補強金具310は、その第1の板部311に設けられた取付穴311d(図99参照)を使ってアーム部322にネジ止めされている。この補強金具310は、上記のように折れ曲がっているため、薄い板材であっても十分な強度が保たれている。
フロントカバー3は、その覆い板321の背面と画像表示パネル2との間に前述した隙き間302があり、補強金具310がないと、その部分に波うちや膨らみが生じ製品としての品位を下げる結果となる。ここでは、赤外線投受光ユニット24の視野から外れた位置に、上記のように折れ曲がることにより強度が強化された補強金具310を取り付けたため、フロントカバー3に覆い板321の部分が剛性を持って安定し、製品としての品位が保たれている。
図99は、補強金具の全体を示した斜視図である。
図98を参照して説明した通り、この補強金具310は第1の板部311とその第1の板部311から折れ曲がった第2の板部312と、その第2の板部312からさらに折れ曲がった第3の板部313とを有する。この補強金具310は、このように折り曲げて長手方向に延びる3つの板部を有し、このため、薄板であっても十分な強度が保たれている。また、この補強金具310の左右の中央部には、図96を参照して説明した、フロントカバー3の背面に立設したリブ303を通過させる穴310aが形成されている。また、この補強金具310の、第1の板部311と平行に広がる3つの折曲部314a,314b,314cには、フロントカバー3に対する位置決め用の3つの位置決め穴315a,315b,315cが設けられている。これら3つの位置決め穴315a,315b,315cのうちの中央の位置決め穴315bは円形の穴であり、左右の2つの位置決め穴315a,315cは横長の長円の穴である。これら3つの位置決め穴315a,315b,315cには、フロントカバー3に設けられた3つの位置決めボス309a,309b,309c(図100参照)がそれぞれ入り込むことにより、補強金具310の、フロントカバー3に対する位置決めがなされる。ここで、フロントカバー3は、樹脂のモールド品であり、製造時に寸法がばらつくおそれがある。そこで、中央の位置決め穴315bのみ円形とし、左右の位置決め穴315a,315cを長円とすることにより、フロントカバー3の寸法ばらつきを吸収している。
また第1の板部311には、位置決め穴311aと、ネジ止め用の取付穴311bと、支持部材9(図10,図104参照)をネジ止めするためのネジ穴311cとの3つの穴からなる組が2ヵ所に設けられている。第1の板部311には、さらに2ヵ所にこの補強金具310をネジ止めするための取付穴311dが設けられている。
図100は、補強金具310を取り付けた状態のフロントカバー内面上部を示した平面図である。また図101は、図100に示す状態のフロントカバー内面側を示した斜視図である。また、図102は、図100に示す状態のフロントカバー内面上部の一部を示した拡大斜視図である。
補強金具310の第1の板部311に2組設けられた位置決め穴311a,取付穴311b,およびネジ穴311cのうちの位置決め穴311bには、フロントカバー3の内面のリブ309dが入り込んでいる。またネジ止め用の取付穴311bは、フロントカバー3にネジ止めされている。また2ヵ所の取付穴311dもフロントカバー3にネジ止めされている。この段階では、支持部材9をネジ止めするためのネジ穴311cはまた空いたままである。
図103,図104は、さらに支持部材9を固定した状態のフロントカバー内面上部を示す、それぞれ平面図および斜視図である。さらに図105は、図103の矢印Y−Yに沿う拡大断面図である。
支持部材9は、補強金具310を位置決めしたボス309dと同じボス309dにより位置決めされ、補強金具310のネジ穴311cを使って補強金具310にネジ止めされている。このようにして、支持部材9をフロントカバー3の同じボス309dを使ってフロントカバー9に直接に位置決めすることにより、フロントカバー3、補強金具310、支持部材9の順に位置決めする場合の位置決め誤差の累積を避けることができ、高精度の位置決めが可能となる。