JP5212658B2 - 膨張式救命水着 - Google Patents

Description

本発明は、膨張式救命装置に関する。本発明は、特に、遭難および緊急事態に自動または手動で動作可能である、子供および乳幼児用の膨張式救命水着に関する。

救命水着は、海やスイミングプールでの水泳中に、子供が溺れるという水難事故数を減少させるように企図される。海水浴に際しては、泳ぎが上手な人にとっても危険な強い海流の乱れや渦巻きなど、安全性の問題を解消する必要性がある。

スイミングシーズン中、海の遊泳エリアやスイミングプールはひどく混み合うため、監視員が緊急事態に気付きにくくなり、特に、上手く泳げない子供が溺れている事態を見過ごしやすくなる。近くにいる大人が注意を怠り、特に、あらゆる例外的な状況や緊急事態に気が付くべき監視員が注意を怠れば、小さな子供は、ほんの数秒で水面下に消えてしまう。また、浴槽にいる幼児から少しでも目を離してしまうと、水深が非常に浅い場合でも、座っている間にバランスを崩し、溺れてしまう可能性がある。

溺れてしまう問題を解消するためのいくつかのアプローチとして、例えば、膨張式アームバンド、環状浮上部材などの浮上性のある衣服を用いる。一般に、これらの膨張式デバイスはすべて、低年齢の泳者の身体を動かしにくくしてしまうものであるため、泳ぐ行為を楽しむことができなくなってしまう。したがって、通常、ある程度水泳技術が上達した子供達は、膨張式デバイスを身に付けていない。子供達の水泳技術は、パニック状態や、泳者の能力が瞬間的に低下したときに不十分なものである場合が多い。さらに、幼児や乳児は、膨張式デバイスを取り外したり、着用するのを嫌がったりする場合が多い。

特開平２−２４１８９０号公報には、溺水者を救助するための浮上デバイスが開示されている。浮上デバイスは、膨張前に泳者の首にはめる首輪状の浮上チューブである。首輪状の浮上チューブは、エアパイプによって小型の密封袋に取り付けられる。密封袋は、ミニタイマ、電子回路、およびエアボトルを含む。エアボトルは、エアボトルストッパに設置された弁を備える。弁は、ワイヤでミニタイマに取り付けられた電子回路に接続される。水面上に浮かぶ水センサが、ワイヤで電子回路に接続される。泳者が溺れていると、水センサワイヤは、水センサに逆らう方向に引っ張られることで、水センサは沈み、ミニタイマを作動する。ミニタイマは、泳者によってしきい値水面下時間に調節される。このしきい値時間が経過すると、電気回路に信号が送られ、電気回路は、弁が開くようにコマンドを送る。弁が開いた後、ボトルからの空気が、エアパイプを通って浮上チューブに流れ、浮上チューブを膨らませる。このようにして、膨張式浮上チューブは、泳者が呼吸できる水面レベルより上に浮上するようにする。しかしながら、このデバイスにはいくつかの欠点がある。子供が水深の浅い海やスイミングプールで遊んでいる場合、溺水する危険性が依然として存在する。この場合、子供が浅いスイミングプールの底や海底で意識を失って横たわっているとき、この浮上／救助デバイスは役に立たない。水センサが、水センサと密封袋との間に適切な力を生じるほど深い位置に沈まず、ミニタイマが動作しないため、浮上デバイスが膨らまない可能性がある。一方で、泳ぎがさらに上手な子供は、制限的なデバイスを身に付けずに、水面レベルから数センチメートル下より深いところに潜りたがる。上述したデバイスを使用すると、泳者は水面レベル付近にとどまるように制限される。このようにして、誤警報が生じてしまうこともある。

このようなデバイスのさらなる欠点は、その配置／構造である。水域環境における水泳や水遊びは、安全で快適に感じられるものである必要がある。この浮上デバイスは、膨張すると、首に圧力がかかることがあり、血流や呼吸の問題が生じかねない。さらに、デバイスの構成部品は、首から固定されずに垂れ下がった状態のエアパイプおよびワイヤによって浮上チューブに取り付けられるため、泳ぎにくい。

したがって、本発明の１つの目的は、先行技術に関連する問題を解消する、子供および乳幼児用の膨張式救命水着を提供することである。

本発明のさらなる目的は、実際の緊急事態で自動動作可能である、子供および乳幼児用の膨張式救命水着を提供することである。

本発明のさらなる別の目的は、子供が溺水状態になると瞬時に動作可能である、子供および乳幼児用の膨張式救命水着を提供することである。

本発明のさらなる目的は、頭を上向きにした状態で浮上させる、子供および乳幼児用の膨張式救命水着を提供することである。

本発明の別の利点は、信頼性が高い、子供および乳幼児用の膨張式救命水着を提供することである。

本発明のさらなる目的および利点は、以下の記載から明らかになるであろう。

本発明は、泳者用の膨張式救命水着に関し、この水着は、
ａ）溺水中の泳者を浮上させ、膨張時、泳者の上半身部位と下半身部位に体積差を生じさせて、泳者の頭が水面レベルに向くように泳者を上昇させるための、好ましくは、分離型の膨張式セクションを備えた膨張可能部と、
ｂ）膨張システムと、
を備え、上記膨張システムは、
ｃ）要求時に、膨張可能部を膨張するための、空気またはＣＯ_２などの不燃性の圧縮ガス入りガスタンクと、
ｄ）要求時に、圧縮ガスが膨張可能部を膨張できるようにするために、エアタンクと膨張可能部との間を接続する電子制御弁と、
ｅ）水面下での泳者の状態を分析し、所定の時間、泳者が実際に溺水した状態か、または溺水しそうな状態になった後、弁を開くためのコントローラと、
ｆ）コントローラおよび弁の動作に電力を供給するためのバッテリと、を含む。

膨張可能部は、接着または縫製で水着に取り付けられてもよい。

膨張式救命水着は、泳者のサイズに適合するように適切なものであってもよい。膨張可能部および膨張システムは、水着を身に付けていなくても、露出された上半身に着用されるものであってもよい。膨張可能部は、弁によって直接的に、または弁およびエアパイプを介して間接的にガスタンクに接続されてもよい。分離型の膨張可能部は、ガスタンクから分岐した１つ以上の弁によって膨張される。

ガスタンクは、ガスの残留量を検知するための圧力センサをさらに含んでもよい。膨張システムは、ワイヤによって追加の弁に接続されるボタンループを引っ張ることによって手動で動作可能である追加の弁をさらに備えてもよい。

コントローラは、
ａ）塩水およびプール水に関する表示を提供するための電気コンタクトと、
ｂ）現在の深度およびしきい値深度を測定するための深度計と、
ｃ）しきい値深度またはしきい値深度より深くに至る時間を測定するためのディジタルタイマと、
ｄ）水面レベルに対する垂直方向からの偏差角度、例えば、負の角度などを検知するための方位センサと、
ｅ）挿入され受信されたデータを処理するために、膨張システムから挿入され受信されたデータを解析するためのソフトウェアを備えた中央演算処理装置（ＣＰＵ）と、
ｆ）泳者に関するデータを保存するためのメモリカードと、
ｇ）ディジタルタイマを始動させる前に深度残量を表示するためのしきい値深度計ディスプレイと、
ｈ）電子制御弁が開くように信号を送信する前に、時間残量を表示するためのディジタルタイマディスプレイと、
ｉ）現在の深度を表示するための深度ディスプレイと、
ｊ）必要時にコントローラを照明するための照明ボタンと、
ｋ）しきい値時間を調節するためのディジタルタイマ調節ボタンと、
ｌ）しきい値深度を調節するための深度計調節ボタンと、
ｍ）膨張システムをテストするためのセルフテストボタンと、
ｎ）膨張システムの操作性ディスプレイと、
ｏ）膨張システムに電気エネルギを供給するためのバッテリと、
ｐ）バッテリの現在の状態を表示するためのバッテリ状態ディスプレイと、
を備えてもよい。

深度計は、しきい値深度に調節され、ディジタルタイマは、しきい値時間に調節される。膨張式救命水着が、しきい値深度またはしきい値深度より深くなると、ＣＰＵは、カウントダウンを開始するようにディジタルタイマに信号を送る。膨張式救命水着がしきい値深度にあり、しきい値時間が経過すると、ＣＰＵは、電子制御弁が開くように信号を送る。

膨張式救命水着は、溺水中の泳者を合図して知らせるために、コントローラに接続されたシグナリングシステムをさらに備えてもよい。上記シグナリングシステムは、
ａ）泳者を合図して知らせるためのバルーンと、
ｂ）バルーンを膨張するために、コントローラに接続された、圧縮された軽量のタンクと、
ｃ）ガスタンクをバルーンに接続するための、電子制御弁などの弁を備えたパイプと、
ｄ）要求時に発光するためのバルーン内のＬＥＤと、
を備えることが好ましい。

パイプは、バッテリまたはコントローラからＬＥＤに電力を伝送するための電気ワイヤを内部に収容する。

本発明の上記および他の特徴および利点はすべて、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態の以下の例示的かつ非制限的な記載からさらに理解されるであろう。

本発明の好ましい実施形態による、子供用の膨張式救命水着の概略図である。 本発明の好ましい実施形態による、子供用の膨張式救命水着の正面図である。 本発明の好ましい実施形態による、子供用の膨張式救命水着の背面図である。 本発明の好ましい実施形態による、膨張システムの図である。 本発明の好ましい実施形態による、コントローラの図である。 本発明の別の好ましい実施形態による、子供用の膨張式救命水着の概略図である。 本発明の別の好ましい実施形態による、乳幼児用の膨張式救命水着の概略図である。 本発明の別の好ましい実施形態による、コントローラの図である。 本発明の別の好ましい実施形態による、シグナリングシステムを備えた子供用の膨張式救命水着の概略図である。 本発明の好ましい実施形態による、シグナリングシステムの図である。 本発明の別の好ましい実施形態による、コントローラの図である。

本発明により提案された膨張式救命水着には、膨張システムを用いて膨張される膨張可能部が取り付けられている。簡潔にするために、「膨張式救命水着」という用語および「水着」という用語は、本発明の装置を記載するための本願において相互交換可能に使用されるものとする。

図１は、子供用の膨張式救命水着１０の概略図である。水着１０は、脱ぎ着しやすいようにするためのジッパ１１と、任意の適切な手段によって水着１０の肩およびウエストの領域に取り付けられる、隠された状態の膨張可能部１２とを含む。圧縮空気を入れた小型のエアタンク１６が、エアパイプと、コントローラ１８によって制御される電子制御弁（図示せず）とによって膨張可能部１２に取り付けられる。

コントローラ１８は、同期された深度計およびディジタルタイマ（図示せず）から構成される。深度計は、水面下圧力を検知することで水深を測定し、これを深度単位に変換する。深度計、ディジタルタイマ、および弁は、ワイヤによってコントローラ１８に接続されることで、一体化デバイスとして機能する。

子供が水着１０を着用して水に入る前に、機器が完全な状態であるか確認するために、セルフテストが行われる。その後、深度しきい値および時間しきい値が、深度計およびディジタルタイマでそれぞれ調節される。深度しきい値は、子供の身体の大きさに合わせて調節される。安全を考慮して、最小深度しきい値は、子供の顎と胸との間の距離にすべきである。最小時間しきい値は、大人が調節すべきものである。

子供が水着１０を着用し、水面レベルで泳いでいる限り、コントローラ１８によって受信される深度読取値は、調節された深度しきい値より小さい。子供が深度しきい値より深くに沈めば、深度計からの電子信号がコントローラ１８を通ってディジタルタイマに送信される。ディジタルタイマは、しきい値時間へのカウントダウンを開始し、現在の深度が深度しきい値より深くなるか、または等しくなるまで続ける。

しきい値時間が経過すると、ディジタルタイマからコントローラ１８に電子信号が送信される。コントローラ１８は、ディジタルタイマからの信号を処理し、電子制御弁を開くように、電子信号の形態のコマンドを送る。電子制御弁が開いた後、エアタンク１６内の圧縮空気は、エアパイプを通って膨張可能部１２内で膨張し、膨張可能部１２を膨張させる。

子供の上半身部位の体積は、子供の下半身部位の体積が一定のまま、膨張可能部１２の体積に応じて増大する。このようにして、２つの身体部位間の体積に差が生じることで、重心、すなわち、ウエストを中心に子供の身体を回転させる回転力が生じる。子供の身体は、身体の長手軸が水面レベルに対して垂直になるまで、重心点を中心に回転する。したがって、膨張可能部１２の膨張中、子供は、水面レベルより上に浮かぶまで、水面レベルまで頭を上に向けた状態で起き上がり始める。最初の段階で子供の頭が海底／スイミングプール底に向けて下向きであったとしても、子供の身体の上半身部位は、常に、まずは上向きにされる。

本発明の水着の好ましい実施形態は、正面図および背面図をそれぞれ示す図２ａおよび図２ｂに示されており、一般に、参照番号１０が付与されている。

図２ａは、前方にジッパ１１用の小さなギャップと、瞬時動作用ボタンループ２５とを有する、肩部位およびウエスト部位周囲に膨張可能部１２を備える水着１０を示す。瞬時動作用ボタンループ２５は、水着１０を着用した子供が、水泳中に身体的に苦しい状態に陥る場合に備えて装着される。瞬時動作用ボタンループ２５を引っ張ると、すぐに水着１０が膨張する。瞬時動作用ボタンループ２５は、図２ａおよび図２ｂに示すように、ワイヤ１２５によって機械操作弁２３に取り付けられる。機械操作弁２３は、エアタンク１６からの空気の流れを制御する。エアタンク１６は、図３に示すように、経路１２３を通って流れるエアパイプ２１によって膨張可能部１２に接続される。ボタンループ２５を引っ張ると、機械操作弁２３が瞬時に開き、エアタンク１６内の圧縮空気が経路１２３を通って膨張可能部１２内で膨張し、膨張可能部１２を膨張させる。膨張可能部１２は、最大膨張可能領域を利用する水着１０の下側背面部に膨張可能背面部１１２を備える。膨張可能背面部１１２および膨張可能部１２は、同じエアタンク１６および同じエアパイプ２１によって膨張する。

図３に示すように、膨張システム３０は、可能な配置の一例である。膨張システム３０は、水着１０を制御するためのコントローラ１８を備える。エアタンク１６は、膨張可能部１２を膨張するための圧縮空気と、エアタンク１６から膨張可能部１２にエアタンク１６から空気を搬送するためのエアパイプ２１と、エアタンク１６内に圧縮空気を保つための電子制御弁２２と、瞬時に動作させる場合の機械操作弁２３と、コントローラ１８から電子制御弁２２に向けてコマンドを送るためのワイヤ１２２と、エアタンク１６内の空気量について知らせるためのエアタンク圧力センサ２４と、エアタンク１６内の空気量に関するデータをコントローラ１８に伝送するためのワイヤ１１６とを備える。

図４は、水着１０を調節し制御するためのコントローラ１８を示す。コントローラ１８は、
システムを動作させ、塩水またはプール水に関する表示を提供するための電気コンタクト４１と、
膨張可能部１２を膨張させるために時間をカウントダウンするためのディジタルタイマ１４２およびディジタルタイマ１４２に関連するディスプレイと、
ディジタルタイマ１４２を始動させるための深度残量を表示する深度計１４４および深度計１４４に関連するディスプレイと、
膨張式システム３０を制御し、受信データを処理するためのＣＰＵ４３ａと、
挿入データを保存するためのメモリカード４３ｂと、
現在の深度を表示するための現在の深度ディスプレイ４９と、
夜間にコントローラ１８を照明するための照明ボタン４０と、
時間しきい値を調節するためのディジタルタイマ調節ボタン４２と、
深度しきい値を調節するための深度計調節ボタン４４と、
膨張式システム３０の内部テスト用ボタン４８と、
損傷していない膨張式システム３０の場合に、二本の緑色の照光と、一本の赤色の照光（またはその逆）を含む膨張式システム３０の操作性ディスプレイ４７と、
図示していない電気エネルギを供給するためのバッテリと、
バッテリの現在の状態を表示するためのバッテリ状態ディスプレイ４５と、
コントローラ１８を電子操作弁２２に電気的に接続するためのワイヤ１２２と、
コントローラ１８をエアタンク圧力センサ２４に電気的に接続するためのワイヤ１１６とを備える。

電気コンタクト４１が、子供が水着１０を着用して水環境にあることを検知する。電気コンタクト４１は、水中以外での膨張式システム３０の動作を防止する。水環境にない間、電気コンタクト４１により、ＣＰＵ４３ａが動作し、コントローラ１８とコンポーネントとの間を相関させる。加えて、コントローラ１８は、電気コンタクト４１間の抵抗を検知する。この抵抗は、ＣＰＵ４３ａ内のソフトウェアによって解析される。このソフトウェアは、プール水と塩水とを識別可能であり、適切なプログラムが水着１０を動作する。

子供が水に入る前に、セルフテストボタン４８を押して、膨張システム３０のセルフテストが行われるべきである。セルフテストボタン４８を押すと、コントローラ１８および膨張システム３０のコンポーネントが完全な状態にあるかをテストする電気信号が送信される。ＣＰＵ４３ａは、データを解析し、システムが完全な状態の場合は緑色の照光を、動作が不適切な場合は赤色の照光を用いて、テスト結果を出力する。緑色／赤色の照光は、ディスプレイ４７上に現れる。システムの操作性をチェックした後、深度計調節ボタン４４およびディジタルタイマ調節ボタン４２によって、深度しきい値およびしきい値時間の調節が行われる。

ＣＰＵ４３ａは、時間および深度の調節を解析し、ＣＰＵ４３ａにインストールされたソフトウェアを用いてメモリカード４３ｂに解析結果を保存し、ディスプレイ１４２および１４４上にそれぞれ表示する。ディスプレイ１４４に示された深度がゼロの場合、ひいては、深度が深度しきい値であるか、または深度しきい値より低い場合、ＣＰＵ４３ａは、ディジタルタイマ１４２を始動させるための信号を受信する。ＣＰＵ４３ａは、ゼロに向けた時間しきい値のカウントダウンを開始するディジタルタイマ１４２に信号を送る。

しきい値時間が経過すると、ＣＰＵ４３ａは、その処理を行い、ワイヤ１２２を通って、電子操作弁２２が開くように信号を送る。その結果として、エアタンク１６からの空気が、エアパイプ２１および経路１２１を通って膨張可能部１２内に流入し、膨張可能部１２を膨張する。

上記に取り入れた電子コンポーネントはすべて、適切なシーリング材料によって防水処理されている。このシーリング材料は、接着や縫製などの任意の適切な手段によって水着に取り付けられる。

水着１０は、普通の水着を着用するのと同様に、水泳中も水中以外でも、着用中、快適な着心地を与える必要がある。水着１０は、再使用可能な装置であり、すなわち、膨張させた後、何度も使用できる。したがって、弁１６０を開いて膨張可能部１２の空気を抜き、再使用する前に上述したプロセスを繰り返す必要がある。

図５は、膨張システム３０に接続された膨張可能部１２のみである膨張式救命水着５００の別の好ましい実施形態を示す。膨張可能部１２は、子供が裸の状態でも、またはすでに何かを身に付けた上からでも着用可能である。

膨張可能救命水着５００は、膨張可能部１２と、膨張式救命水着５００を固定するためのバックル５５０と、膨張システム３０とを備える。膨張システム３０は、上述したように動作し、同じコンポーネントを備える。膨張部１２は、穴が開いてしまった場合に備えて、１つ以上の膨張可能部からなるものであってもよい。各膨張可能部は、対応する弁によってエアタンクに接続される。

膨張式救命水着５００はまた、ワイヤ１２５によって膨張システム３０内の機械操作弁および膨張可能部１２に接続されるボタンループ２５によって、手動で瞬時に動作可能である。

図６ａおよび図６ｂは、乳幼児用の膨張式救命水着６００およびコントローラ６１８を示す。乳幼児は、大人が注意を払っていなければ、浴槽でも溺れる可能性があるため、泳者とは見なさない。加えて、乳幼児は、座っているときでも立っているときでも、安定性に問題がある。このように、乳幼児は、水に入っている間、自らを安定させることが非常に難しい。その結果として、乳幼児は、注意を払えるエリアに大人がいなければ、自ら窮地を脱する術を持たぬまま、容易に水の中へと前後に倒れてしまう可能性がある。

したがって、この場合のコントローラ６１８は、上記に使用した深度計の代わりに、方位センサ６４４を付けて拡張される。方位センサ６４４は、水面レベルと比較して、垂直位置からの乳幼児の偏差を検知する。

乳幼児が水中に一人でいて、前方や後方に倒れた場合、方位センサ６４４は、２つの電気信号、すなわち、ディジタルタイマ１４２を始動するための信号と、音声警告デバイス（図示せず）を始動するための信号とを送る。音声警告デバイスが、乳幼児が緊急事態にあることを世話をしている大人に知らせる間、ディジタルタイマは、しきい値をゼロへとカウントダウンする（この場合、非常に短い時間）。いずれにしても、しきい値時間が経過すると、膨張可能部１２が膨張し、乳幼児の頭を上向きにして、水面レベルの上方に乳幼児を浮上させる。

図７ａ、図７ｂ、および図７ｃは、膨張式救命水着７００の別の付加的な実施形態を示す。この実施形態は、しきい値深度より下に沈んでから所定の時間に、子供が溺水状態にあることを合図で知らせるために、水着７００から放出される色付きの照明付きバルーンを膨張させるシグナリングシステム７１９を開示する。

シグナリングシステム７１９は、コントローラ１８をシグナリングシステム７１９に接続するためのワイヤ７０と、圧縮軽量ガス（ヘリウムなど）入りのタンク７６と、高圧でタンク７６内にガスを維持するための電子操作弁７４と、内部に電気ワイヤを収容した所定の長さの巻回されたパイプ７８と、小型のＬＥＤ７７と、色付きバルーン７９とを備える。しきい値時間が調節される前、シグナリングシステム７１９のタイマは、調節ボタン４２で調節され、メモリカード４３ｂに保存される。所定の時間が経過した後、電子操作弁７４が開くように、電子信号が送られる。

電子操作弁７４が開かれ、タンク７６からの軽量ガスが巻回パイプ７８を通ってバルーン７９へ流れ、バルーン７９を膨張させる。軽量ガスが巻回パイプ７８を通って流れている間、圧縮ガスによりバルーン７９は膨張すると同時に、水着７００から飛び出る。電子操作弁７４が開くように電子信号を受信すると、電流は、パイプ７８内に設置された内側電気ワイヤを通って流れ、ＬＥＤ７７を点灯する。その結果として、照明された色付きのバルーンによって子供が溺水しているという合図が出されることで、監視員は、膨張可能部１２が膨張する前に、非常に貴重な時間を無駄にせずに子供の命を救うことができる。監視員や誰か他の大人が溺水中の子供に気が付かなかった場合、所定のしきい値時間後に膨張可能部１２が膨張し、子供を水面レベルよりも上に浮上させる。

膨張式救命水着の別の好ましい実施形態は、深度計に加えて、子供に対して方位センサを使用することである。方位センサは、子供の身体の縦軸が水面レベルに対して所定の負の角度（子供の頭を水面レベルと反対の方向に向けた状態）にあり、水面レベルより下にある状況を検出する。子供が所定の負の角度にあり、しきい値深度にない場合、ゼロへの時間のカウントダウンを開始するように、ディジタルタイマに信号が送られる。別のケースでは、子供が所定の負の角度にあるとともに、しきい値深度にある場合、タイマはカウントダウンを開始する信号を得る。ディジタルタイマがカウントダウンを終えると、膨張システム３０は、上述したように働く。

本発明の実施形態を例示的に記載してきたが、本発明は、特許請求の範囲の趣旨から逸脱することなく、または特許請求の範囲を超えることなく、多くの変形、修正、および適応とともに実行されてもよいことを理解されたい。

Claims (23)

1. ａ）溺水中の泳者の頭が上向きになるように泳者を浮上させ、膨張時、上半身部位と下半身部位に体積差を生じさせるための、前記泳者が上半身部位に着用している衣服に取り付けられた膨張可能部と、
   ｂ）膨張システムと
   を備え、
   前記膨張システムが、
   i．要求時に、前記膨張可能部を膨張するための圧縮ガス入りガスタンクと、
   ii．要求時に、前記圧縮ガスが前記膨張可能部を膨張できるようにするために、前記ガスタンクと前記膨張可能部との間を接続する制御弁と、
   iii．前記泳者に関するデータを分析し、所定の時間、前記泳者が実際に溺水した状態か、または溺水しそうな状態になった後、前記弁を開くための電気または電子コントローラと、
   iv．前記コントローラおよび前記弁の動作に電力を供給するためのバッテリと、
   を備える、泳者用の膨張式救命水着であって、
   前記膨張システムが、
   v．水面に対して前記泳者の長手軸の角度を検知し、前記角度が、第１の所定のしきい値時間に所定の角度偏差を示す場合、前記コントローラが前記弁を開くように第１の信号を送るための方位センサをさらに備えることを特徴とする、膨張式救命水着。
2. 前記コントローラが、前記所定の角度偏差が検知された後、前記第１のしきい値時間へカウントダウンするためのディジタルタイマと、前記ディジタルタイマからデータを受信し、インストールされているソフトウェアによって前記膨張システムから挿入受信されたデータを解析し、前記第１のしきい値時間が経過したときに前記弁が開くように第２の信号を送信するための処理ユニットとを備える、請求項１に記載の膨張式救命水着。
3. 前記コントローラが、前記第２の信号が前記弁に送信される前に時間残量を表示するためのディスプレイ、および／または、しきい値時間を調節するためのディジタルタイマ調節ボタン、および／または、前記バッテリの現在の状態を表示するためのバッテリ状態ディスプレイ、および／または、前記泳者に関するデータを保存するためのメモリカード、および／または、要求時に前記コントローラを照明するための照明ボタンをさらに備える、請求項２に記載の膨張式救命水着。
4. 前記コントローラが、ボタンが押されると、コントローラおよび膨張システムが完全な状態であることをテストするために、前記処理ユニットに第３の信号を送信するセルフテストボタンと、前記コントローラおよび前記膨張システムが完全な状態であることを示すための操作性ディスプレイとをさらに備える、請求項２に記載の膨張式救命水着。
5. 前記コントローラが、前記泳者の現在の深度を測定するための深度計と、しきい値深度を調節するための深度計調節ボタンとをさらに備え、
   前記ディジタルタイマが、前記所定の角度偏差が検知された後において、前記第１のしきい値時間へカウントダウンするか、または、前記泳者が前記しきい値深度以下の深さに沈んだときに第２のしきい値時間へカウントダウンすることで、
   前記第２のしきい値時間が経過し、前記泳者が前記しきい値深度以下の深さに沈むか、または、前記第１のしきい値時間が経過し、水面に対して前記泳者の長手軸の角度が前記所定の角度偏差を示すと、
   前記処理ユニットが前記弁が開くように前記第２の信号を送信する、請求項２に記載の膨張式救命水着。
6. 前記コントローラが、前記泳者の現在の深度を表示するための深度ディスプレイと、前記ディジタルタイマを始動させる前に、深度残量を表示するためのしきい値深度計ディスプレイとをさらに備える、請求項５に記載の膨張式救命水着。
7. 前記コントローラが、前記泳者が水環境にあることを検知し、前記泳者が水環境にない場合、前記膨張システムが動作しないようにするための１つ以上の電気コンタクトをさらに備える、請求項２に記載の膨張式救命水着。
8. 前記処理ユニットが、プール水と塩水とを識別するように動作可能である、請求項２に記載の膨張式救命水着。
9. 前記コントローラが、前記方位センサが第４の信号を前記コントローラに送信し、前記角度が、所定の時間に所定の角度偏差を示すときに始動される音声警告デバイスをさらに備える、請求項２に記載の膨張式救命水着。
10. 前記コントローラの電子コンポーネントが防水処理される、請求項２から９のいずれか一項に記載の膨張式救命水着。
11. 前記膨張可能部が、接着または縫製により前記水着に取り付けられる、請求項１に記載の膨張式救命水着。
12. 前記水着のサイズが調節可能である、請求項１に記載の膨張式救命水着。
13. 前記膨張可能部または前記膨張システムが、露出した上半身に着用される、請求項１に記載の膨張式救命水着。
14. 前記膨張可能部が、複数の分離型膨張可能セクションを備える、請求項１に記載の膨張式救命水着。
15. 前記膨張可能部が、機械操作弁によって直接的に、または電子制御弁およびエアパイプを介して間接的に前記ガスタンクに接続される、請求項１４に記載の膨張式救命水着。
16. 前記分離型膨張可能部が、前記ガスタンクから分岐した１つ以上の前記制御弁によって膨張される、請求項１４に記載の膨張式救命水着。
17. 前記ガスが、空気またはＣＯ２である、請求項１に記載の膨張式救命水着。
18. 前記ガスタンクが、ガス残留量を検知するための圧力センサをさらに含む、請求項１に記載の膨張式救命水着。
19. 前記ガスタンクから前記膨張可能部への圧縮ガスの流れを制御するための手動操作弁と、ワイヤによって前記手動操作弁に接続されたボタンループとをさらに備えることで、前記ボタンループが引っ張られると、前記膨張可能部が瞬時に膨張される、請求項１に記載の膨張式救命水着。
20. 前記方位センサが、前記泳者の頭が下方に向いた状態にある所定の負の偏差角度を検知すると、前記第１の信号を送信する、請求項１に記載の膨張式救命水着。
21. 溺水状態にある泳者を救助するために、前記コントローラに接続されたシグナリングシステムをさらに備える、請求項３に記載の膨張式救命水着。
22. 前記シグナリングシステムが、
    ａ）圧縮軽量ガス入りのタンクと、
    ｂ）前記軽量ガスの流れを制御するための、前記コントローラに接続された電子操作弁と、
    ｃ）前記軽量ガスによって膨張可能なバルーンと、
    ｄ）前記電子操作弁を用いて前記ガスタンクを前記バルーンに接続するパイプと、
    を備え、
    前記コントローラが、第５の信号によって前記電子操作弁を開くように適応され、前記所定の角度偏差が検知された後、前記第１のしきい値時間の前の第３のしきい値時間で前記水着から前記バルーンが放出されるように適応され、前記第３のしきい値時間が、前記ディジタルタイマ調節ボタンにより調節される、請求項２１に記載の膨張式救命水着。
23. 前記バルーン内に発光ダイオード（ＬＥＤ）が配置され、前記パイプが、前記ＬＥＤに電力を伝送するための電気ワイヤを収容し、前記ＬＥＤが、前記第５の信号が送信された後に点灯され、点灯したバルーンが前記水着から放出される、請求項２２に記載の膨張式救命水着。

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