JP5212596B2 - 有機トランジスタ - Google Patents
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Description
また、特許文献3には、シクロブテンテトラカルボン酸二無水物とヘキサフルオロプロピリデン基を分子中に有する特定のジアミンからなるポリイミド前駆体をイミド化して得られたポリイミドが開示されており、270℃〜350℃の高温焼成においても可視部のみならず紫外部の透明性に優れたポリイミド膜が得られることが記載されており、液晶表示素子や半導体素子の保護膜、絶縁膜、光通信用の光導波路材料等に用いるのに適したものであることが示されている。そして、その実施例では、2,2’−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンとシクロブタンテトラカルボン酸二無水物から得られたポリイミド前駆体を、300℃で焼成することによりポリイミド膜を成膜している。しかし、この文献では、ゲート絶縁膜に適する低温焼成によるポリイミド膜の形成については全く言及されておらず、従って、低温焼成により良好な膜質のポリイミド膜を得るためのポリアミド前駆体構造や成膜条件等との関係を示唆する記載は全くなされていない。
従って、本発明の目的は、低温で焼成可能であり、具体的には、プラスチック基板の耐熱性を考慮した場合の温度である180℃以下の焼成が可能であるゲート絶縁膜用塗布液と、塗布で簡便に成膜可能であり、かつ低温で焼成可能であり、具体的には、プラスチック基板の耐熱性を考慮した場合の温度である180℃以下の焼成が可能であり、さらには、デバイスの作製プロセスを全て塗布で行う場合、ゲート絶縁膜の上層に有機半導体を積層する必要があるが、このとき用いる溶媒に対しての耐溶剤性に優れ、しかも比抵抗や半導体移動度等の点で特性が良いゲート絶縁膜を提供することにあり、さらには、このゲート絶縁膜を適用した有機トランジスタを提供することにある。
さらに、ポリイミドを溶解させる溶媒として高沸点溶媒を用いると、溶媒を完全に揮発させるために沸点とほぼ同じ温度で焼成を行わなければならず、高い焼成温度が必要となることから、ポリイミドは低沸点溶媒に溶解できることが望まれる。
そして、これらに加え、低沸点溶媒に対する溶解性と、有機半導体を塗布する際の溶媒に対する耐性のバランスを考慮する必要がある。
また、第二に、ポリイミド膜からなるゲート絶縁膜であって、このポリイミド膜は有機溶媒可溶性ポリイミドの溶液を、塗布し、焼成して得られた膜であり、かつ、この有機溶媒可溶性ポリイミドは、下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を脱水閉環して得られたポリイミドであり、ポリイミド膜の焼成温度が180℃以下、好ましくは、150℃以下であることを特徴とするゲート絶縁膜である。
b1およびb2はそれぞれ組成比を表し、b1とb2の比率(モル)は
0.5≦(b1/(b1+b2))≦1
の関係を有する。]
また、式(1)において、Aは脂環構造を有する4価の有機基であることが好ましい。
さらに、脂環構造を有する4価の有機基は、下記(10)〜(14)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
さらには、式(1)において、B1は前記(2)、(4)、(6)または(8)であることが好ましい。
また、式(1)において、B1中のR5はメチル基またはトリフルオロメチル基であることが好ましい。
そして、ポリイミド膜の焼成温度は150℃以下であることが好ましい。
また、有機溶媒可溶性ポリイミドのイミド化率は50%以上であることが好ましい。
また、有機溶媒可溶性ポリイミドの溶液における溶媒の沸点は200℃以下であることが好ましい。
そして、本発明の有機トランジスタは、このようなゲート絶縁膜が使用されたものであることが好ましい。
さらには、脱ガスが少なく、有機トランジスタの長期信頼性にも優れた特性を有している。そして、キシレン、トリクロロベンゼン、トリメチルベンゼンなどの溶媒に耐性があるので、有機半導体層を塗布により形成することができる。
式(1)のB1における(2)〜(9)の構造の特徴は、1個の炭素原子または酸素原子を挟んで存在する2つのフェニル基が、3,3’−または3,4’−の形でポリマー主鎖に結合している点にある。
これら2価の有機基を有するポリイミドは、溶解性に優れており、高イミド化率でも低沸点溶媒に対して溶解性が得られ、さらに高い絶縁性を有する。
3,3’−結合の方が、溶解性が高くなるので好ましい。
上記フェニル基の置換基(R5)は、水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基であるが、ポリイミドの溶解性を高くする目的でメチル基またはトリフルオロメチル基が好ましく、さらに、ゲート絶縁膜の電気特性も考慮するとメチル基の方が好ましい。
2つのフェニル基を結合させている基はイソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、メチレン基、またはエーテル基である。溶解性の観点からはヘキサフルオロイソプロピリデン基が最も好ましく、次いでイソプロピリデン基が好ましい。ゲート絶縁膜の電気特性の観点からはイソプロピリデン基またはメチレン基が好ましい。
式(1)のB1において、(2)〜(9)の構造は、1種類でもよく、複数種が混在していてもよい。
これらの具体例を挙げるとすれば以下のB−1〜B−69などが挙げられる。
Aの具体例を挙げるとすれば以下のとおりであり、脂環構造を有する含脂環型のもの(A−1〜A−24)、脂肪族のもの(A−25)、4つの結合手が全て芳香族に結合している芳香族型のもの(A−26〜A−36)、その他のもの(A−37〜A−46)などが挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミンとを有機溶媒中で混合させる方法としては、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物成分をそのまま、または有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸二無水物成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられる。また、テトラカルボン酸二無水物成分またはジアミン成分が複数種の化合物からなる場合は、これら複数種の成分をあらかじめ混合した状態で重合反応させても良く、個別に順次重合反応させてもよい。
また、重合反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となるので、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。重合反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加しても構わない。
化学的イミド化は、ポリアミド酸を有機溶媒中において、塩基性触媒と酸無水物の存在下で1〜100時間攪拌することにより可能である。
塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。なかでも、ピリジンは、反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。
酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができる。中でも無水酢酸は、イミド化終了後に、得られたポリイミドの精製が容易となるので好ましい。
有機溶媒としては前述したポリアミド酸の重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。
攪拌させている貧溶媒に反応液を投入してポリイミドを沈殿させる。この際に用いる貧溶媒としては特に限定されないが、メタノール、ヘキサン、ヘプタン、エタノール、トルエン、水などが例示できる。沈殿によって得られたポリイミドは濾過して回収した後、上記貧溶媒で洗浄し、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱乾燥してパウダーとすることができる。このパウダーをさらに良溶媒に溶解して、再沈殿する操作を2〜10回繰り返すと、ポリマー中の不純物を更に少なくすることができる。また、この際の貧溶媒として例えばアルコール類、ケトン類、炭化水素など3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
イミド化率が高いとポリイミドの溶解性が不足する場合があるので、この場合はイミド化率を下げてもよい。
しかしながら、アミド酸の部分が残っていると、加熱された際に脱水閉環反応により水が生成する場合があり、イミド化率は高い方が望ましい。高い絶縁性という観点からも、イミド化率は高い方が好ましい。
よって、本発明において可溶性ポリイミドのイミド化率は50%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、特には90%以上が好ましい。イミド化率は、ポリイミドをd6−DMSO(ジメチルスルホキシド−d6)に溶解させ、1H−NMRを測定し、プロトンピークの積算値の比から、全くイミド化されていない場合のアミド酸基の理論値に対する残存しているアミド酸基の比率を求め、消失したアミド酸基は全てイミド基に変化したものとして算出したものである。
上記で得られた可溶性ポリイミドを適当な溶媒に溶解させる。可溶性ポリイミドは、1種のみ用いても、2種以上併用してもよい。
塗布液の溶媒は、ポリイミドを溶解することができれば特に限定はされないが、ポリイミド膜に残存する溶媒を少なくする目的で、沸点が低い方が好ましい。
残存する溶媒が少ない方が有機トランジスタの長期信頼性が向上する。
好ましくは沸点が200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは160℃以下、もっとも好ましくは150℃以下である。
また、アミド系の極性溶媒の場合、可溶性ポリイミドのイミド基やイミド化せずに残存しているアミド酸基との相互作用などにより、低沸点であっても膜中に残留しやすいため、グリコール系溶媒、乳酸エステル系溶媒、ケトン系溶媒などがより好ましい。
その例としては、エチルセロソルブ(135℃)、ブチルセロソルブ(171℃)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(156℃)、エチルカルビトール(193℃)、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール(196〜198℃)など、プロピレングリコールモノメチルエーテル(119℃)、1-エトキシ-2-プロパノール(132℃)、1-ブトキシ-2-プロパノール(133℃)、プロピレングリコールジアセテート(190〜191℃)、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(146℃)、プロピレングリコール-1-モノエチルエーテル-2-アセテート(158℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(190℃)、2-(2-エトキシプロポキシ)プロパノール(198℃)などのプロピレングリコール誘導体、乳酸メチルエステル(144℃)、乳酸エチルエステル(154℃)、乳酸n-プロピルエステル、乳酸n-ブチルエステル(185〜187℃)、乳酸イソアミルエステルなどの乳酸誘導体など、アセトン(56℃)、メチル−n−ブチルケトン(144℃)、メチル−n−アミルケトン(152℃)、シクロヘキサノン(156℃)などが挙げられる。なお、上記において、括弧内は、それぞれの溶媒の沸点である。
さらに、これらは、塗膜の平坦性を確保するため、塗布液の基板への濡れ性の向上、塗布液の表面張力、極性、沸点の調整等の目的で、2種類以上の溶媒を混合しても良く、単独で用いてもよい。
カップリング剤の具体例としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-エトキシカルボニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-エトキシカルボニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N-トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10-トリメトキシシリル-1,4,7-トリアザデカン、10-トリエトキシシリル-1,4,7-トリアザデカン、9-トリメトキシシリル-3,6-ジアザノニルアセテート、9-トリエトキシシリル-3,6-ジアザノニルアセテート、N-ベンジル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-ビス(オキシエチレン)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ビス(オキシエチレン)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2-ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6-テトラグリシジル-2,4-ヘキサンジオール、N,N,N‘,N’テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N‘,‘N’-テトラグリシジル-4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
これら官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物の含有量は、塗布液中の全ポリマー質量に対して0.1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20室量%である。
可溶性ポリイミド溶液の塗布は、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、インクジェット法、スプレー法、刷毛塗り等で行うことができ、それぞれ均一な成膜が可能である。
塗布液を基板に塗布した後の焼成方法としては特に限定されるものではないが、ホットプレートやオーブンを用いて、適切な雰囲気下、即ち大気、窒素等の不活性ガス、真空中等で行うことができる。
焼成温度は溶媒を蒸発させることができるとともに、プラスチック基板に塗布する場合を考えると、180℃以下であり、好ましくは150℃以下である。焼成温度の下限に特に制限はないが、溶媒の蒸発を考えると、通常40℃程度である。また、焼成時間は、通常、0.5時間〜5時間程度とすればよい。焼成は2段階以上の温度変化をつけてもよい。段階的に焼成することで塗膜の均一性をより高めることができる。
塗布液に含まれる可溶性ポリイミドのイミド化率が100%未満の場合は、この焼成によってイミド化率が高くなることもある。
ゲート絶縁膜は、薄すぎると低電界で絶縁破壊が発生しトランジスタとして動作しなく、また厚すぎると、トランジスタを動作させるために高い電圧が必要となることから、その膜厚としては、5nm〜5000nmが好ましく、より好ましくは50nm〜1000nmであり、最も好ましくは200nm〜600nmである。
一度の塗布で所望の厚みのポリイミド膜が得られない場合は、重ね塗りすればよい。
本発明の有機トランジスタは、図示のように、基板1上にゲート電極2が形成されており、ゲート電極2は、本発明のゲート絶縁膜3で覆われている。
図1の例では、ゲート絶縁膜3の上にソース電極4とドレイン電極4とが設置されており、これらを覆うように有機半導体層5が形成されている。
一方、図2の例では、ゲート絶縁膜3の上に有機半導体層5が形成されており、有機半導体層5の上に、ソース電極4とドレイン電極4とが設置されている。
これらの例に限らず、本発明の有機トランジスタは、本発明のゲート絶縁膜を用いたものであれば特に制限されない。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、カルシウムなどの金属や、カーボングラック、フラーレン類、カーボンナノチューブなどの無機材料など、さらには、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフルオレンおよびこれらの誘導体などの有機π共役ポリマーなどが挙げられる。
これらの電極材料は1種類で用いても複数の材料を組み合わせて用いてもよく、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極でそれぞれ別の材料を用いてもよい。
これら電極の形成方法としては、真空蒸着、スパッタなどを用いるのが一般的である。ナノ金属インクや有機π共役ポリマーの場合は、スピンコート、スプレーコート、印刷、インクジェットなど、塗布型で電極形成ができるので好ましい。
塗布型による電極形成の際、ナノ金属インクや有機π共役ポリマーの溶媒としては、本発明のゲート絶縁膜へのダメージが少ないことから、水や各種アルコール類が好ましい。
また、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素などの極性溶媒も有機π共役ポリマーの溶解性に優れる観点から好ましいが、これらは、本発明のゲート絶縁膜へのダメージが少ない範囲において使用することが好ましい。
例えば、キシレン、トリクロロベンゼン、トリメチルベンゼンなどである。
本実施例において、可溶性ポリイミドの分子量は、GPC(ゲルパーミエションクロマトグラフィ)装置{SSC−7200、センシュー科学社製}により測定した。このとき、GPCカラム{KD−803/KD−805、昭和電工社製}のカラム温度は50℃とし、
溶離液としては、N,N-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)を30mmol/L、リン酸・無水結晶(o-リン酸)を30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)を10ml/L含有するもの)を用い、流速:1.0ml/分の条件とした。
検量線作成用標準サンプルとしては、東ソー社製のTSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、および、ポリマーラボラトリー社製のポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)を用いた。
また、可溶性ポリイミドのイミド化率は、ポリイミドをd6−DMSO(ジメチルスルホキシド−d6)に溶解させ、1H−NMRを測定し、イミド化せずに残存しているアミド酸基の比率をプロトンピークの積算値の比から求め算出した。
窒素気流下中、200mLの4つ口フラスコに、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン 18.45g(0.051mol)を入れ、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す) 75.92gに溶解させた後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物 9.48g(0.048mol)を加え、これを室温で8時間攪拌して重合反応を行った。得られたポリアミド酸の溶液をNMPで10質量%に希釈した。この溶液にイミド化触媒として無水酢酸26g、ピリジン16.1gを加え、室温で30分間反応させ、そののち40℃で90分間反応させポリイミド溶液を得た。この溶液を大量のメタノールと水の混合溶液中に投入し、得られた白色沈殿をろ別、乾燥し、白色のポリイミド粉末を得た。このポリイミド粉末は1H−NMRより95%イミド化されていることが確認された。この粉末4gをプロピレングリコールモノメチルエーテル 46gに溶解させて、ポリイミド(PI−1)の8質量%溶液を得た。得られたポリイミド(PI−1)の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)はそれぞれMn=8,300、Mw=16,900であった。
窒素気流下中、200mLの4つ口フラスコに、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン 2.79g(0.0068mol)、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン 9.85g(0.027mol)を入れ、NMP 75.92gに溶解させた後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物 6.33g(0.032mol)を加え、これを室温で8時間攪拌して重合反応を行った。得られたポリアミド酸の溶液をNMPで5質量%に希釈した。この溶液にイミド化触媒として無水酢酸12.8g、ピリジン9.9gを加え、50℃で3時間反応させポリイミド溶液を得た。この溶液を大量のメタノールと水の混合溶液中に投入し、得られた白色沈殿をろ別、乾燥し、白色のポリイミド粉末を得た。このポリイミド粉末は1H−NMRより95%イミド化されていることが確認された。この粉末4gをプロピレングリコールモノメチルエーテル 46gに溶解させて、ポリイミド(PI−2)の8質量%溶液を得た。得られたポリイミド(PI−2)の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)はそれぞれMn=8,400、Mw=15,100であった。
窒素気流下中、200mLの4つ口フラスコに、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン 5.58g(0.014mol)、2、2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン 7.39g(0.020mol)を入れ、NMP 76.7gに溶解させた後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物 6.20g(0.032mol)を加え、これを室温で8時間攪拌して重合反応を行った。得られたポリアミド酸の溶液をNMPで5質量%に希釈した。この溶液にイミド化触媒として無水酢酸14.8g、ピリジン11.5gを加え、50℃で3時間反応させポリイミド溶液を得た。この溶液を大量のメタノール中に投入し、得られた白色沈殿をろ別、乾燥し、白色のポリイミド粉末を得た。このポリイミド粉末は1H−NMRより95%イミド化されていることが確認された。この粉末4gをプロピレングリコールモノメチルエーテル 46gに溶解させて、ポリイミド(PI−3)の8質量%溶液を得た。得られたポリイミド(PI−3)の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)はそれぞれMn=8,900、Mw=16,100であった。
窒素気流下中、200mLの4つ口フラスコに、4、4’−ジアミノジフェニルエーテル 8.01g(0.040mol)を入れ、NMP 91.9gに溶解させた後、ピロメリット酸二無水物 8.20g(0.038mol)を加え、これを23℃で2時間攪拌して重合反応を行いさらにNMPで希釈することで、ポリアミド酸(PI−4)の6質量%溶液を得た。得られたポリアミド酸(PI−4)の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)はそれぞれMn=11,200、Mw=24,300であった。
丸底フラスコにいずれかの低沸点溶媒を入れ、そこに粉末状のPI−1を10質量%分入れ、溶媒の温度が50℃になるようにオイルバスで加熱しながら12時間攪拌した。PI−2とPI−3も同様の条件で実験を行った。
結果を表1に示す。また、用いた溶媒の沸点を表2に示す。溶解性の評価は目視で行い、固形分の溶け残りが観察されなかったものを表中では○印で表し、溶け残りが多く観察されたものを表中では×印で表した。PI−1およびPI−2はどの溶媒に対しても良好な溶解性を示した、またPI−3はシクロヘキサノンを除く溶媒にはほとんど溶解しなかったものの、シクロヘキサノンに対しては、9質量%以上溶解し、ゲート絶縁膜を成膜する上で実用上問題のないことを確認した。
本発明のポリイミドは低沸点溶媒に対しても優れた溶解性を示すことが明らかとなった。
<PI−1(実施例)の脱ガス評価>
Siウエハ上(厚み0.5mm)に、合成例1で調製したPI−1の溶液を、0.2μm孔フィルタを付けたシリンジで滴下し、スピンコート法により塗布した。その後、大気下で、80℃のホットプレートで5分間加熱を行って有機溶剤を揮発させ、次いでSiウエハを1cm角に劈開したのち、150℃のホットプレートで60分焼成することで、膜厚約200nmのポリイミド膜を得た。TDSを用いてこのポリイミドおよびポリアミド酸からなる薄膜からの脱ガス量をMw=16、18、44で評価した。評価結果を図3〜5に示す。ポリイミド膜からの脱ガスはほとんどみられておらず、PI−1は脱ガスによる有機トランジスタの性能劣化を引き起こす可能性は極めて低いと考えられる。
比較合成例1で合成したPI−4の溶液を用い、膜厚を220nmとした他は実施例1と同様の方法でポリイミド膜を成膜し、TDS法を用いて脱ガス量を測定したところ、極めて大量の脱ガスがMw=16、18、44の全てで観測された。評価結果を図3〜5に示す。Mw=16では、100℃付近から極めて多くの脱ガスが見られており、デバイス特性への悪影響が懸念される。また、Mw=18、44でも、160℃付近にピークを持つ脱ガスが観測された。特にMw=18で示されるH2Oは有機半導体層の劣化を促すと考えられる事から、PI−4は有機トランジスタの長期信頼性および熱安定性において、問題を引き起こす可能性が極めて高いと考えられる。
合成例1で合成したPI−1の耐溶剤性を調べるため、有機半導体ポリマーを溶解させるのに一般的に用いられているキシレン、トリクロロベンゼン、トリメチルベンゼンを用いて、以下の条件で実験を行った。
ITO付きガラス基板(2.5cm角、厚み0.7mm)に、合成例1で調製したPI−1の溶液を、0.2μm孔フィルタを付けたシリンジで滴下し、スピンコート法により塗布した。その後、大気下で、80℃のホットプレートで5分間加熱を行って有機溶剤を揮発させ、次いで150℃のホットプレートで60分焼成することで、膜厚250nmのポリイミド膜を得た。次に、ビーカーにキシレン、トリクロロベンゼン、トリメチルベンゼンのいずれかひとつの溶媒をビーカーに100mL入れ、液温が80℃になるようにオイルバスを用いて加熱し、先ほどのポリイミド基板をこの溶媒中へ30分間浸漬させた。その後、ポリイミド薄膜基板を、エアブロアーを用いて乾燥させ、残膜率を評価した。
残膜率は、溶媒処理をする前の膜厚と、溶媒処理をした後の膜厚の比から計算した。結果を表3に示す。
PI−1の残膜率はキシレンに対しては104%となり、僅かに膨潤がみられたが、実用上問題とならないレベルである。一方、トリクロロベンゼン、トリメチルベンゼンに対しては残膜率101%、100%となり、全く影響を受けないことが判明した。また、いずれの溶媒に対しても溶解は見られなかった。このことから、本発明の有機トランジスタ向けゲート絶縁膜は、優れた耐溶剤性を持っていることが明らかとなった。
合成例2で合成したPI−2の耐溶剤性を調べるため、ポリイミドの膜厚を300nmとした他は上記と同様の条件で実験を行った。結果を表3に示す。
PI−2の残膜率はキシレンに対しては102%となり、僅かに膨潤がみられたが、実用上問題とならないレベルである。トリクロロベンゼン、トリメチルベンゼンに対しては残膜率101%、100%となり、全く影響ないことが判明した。また、いずれの溶媒に対しても溶解は見られなかった。このことから、本発明の有機トランジスタ向けゲート絶縁膜は、優れた耐溶剤性を持っていることが明らかとなった。
合成例3で合成したPI−3の耐溶剤性を調べるため、ポリイミドの膜厚を230nmとした他は上記と同様の条件で実験を行った。結果を表3に示す。
PI−3の残膜率はキシレンとトリクロロベンゼンに対しては105%、106%となり、僅かに膨潤が見られたが、実用上問題とならないレベルである。一方、トリメチルベンゼンに対しては残膜率100%となり、全く影響ないことが判明した。また、いずれの溶媒に対しても溶解は見られなかった。このことから、本発明の有機トランジスタ向けゲート絶縁膜は優れた耐溶剤性を持っていることが明らかとなった。
<PI−1(実施例)の絶縁性の評価>
合成例1で合成したPI−1の絶縁性を調べるため、ポリイミドおよびポリアミド酸からなる薄膜の比抵抗を以下の実験手順で測定した。
ITO付きガラス基板(2.5cm角、厚み0.7mm)に、合成例1で調製したPI−1の溶液を、0.2μm孔フィルタを付けたシリンジで滴下し、スピンコート法により塗布した。その後大気下で、80℃のホットプレートで5分間加熱を行って有機溶剤を揮発させ、次いで150℃のホットプレートで60分焼成することで、膜厚約220nmのポリイミド膜を得た。次にITO電極と探針との良好なコンタクトをえるため、ポリイミド膜の一部分を削り取りITOを露出させた後、真空蒸着装置を用いてポリイミド膜上およびITO上に直径0.5mm、膜厚100nmのアルミニウム電極を積層させた。このときの真空蒸着の条件は、室温、真空度3×10−3Pa以下、アルミニウム蒸着速度0.3nm/sec以下とした。このようにしてポリイミド薄膜の上下に電極を形成することで、ポリイミド薄膜の比抵抗測定用のサンプルを作製した。
比抵抗の測定は窒素雰囲気中で行い、印加電界が1MV/cmになるように電圧を19Vに設定し、電圧を加えてから60秒経過後に電流密度を計測したところ、電流値は0.029pA〜0.070pAとなった。そこから比抵抗を計算したところ、比抵抗は6.2×1015〜1.5×1016Ω・cmとなり、150℃で焼成した場合でも、有機トランジスタのゲート絶縁膜として用いるのに十分な絶縁性を示した。
また、リーク電流と電界の関係をより詳細に調べるため、電圧を0Vから50Vまで10秒間の保持時間を設けた後2Vずつ増加させたときの電流密度と電界の関係をプロットした(図6)。50V(2.3MV/cm)の高電圧を印加しても電流密度は10−10A/cm2以下しか流れないことが示され、150℃で焼成した場合でも、有機トランジスタ向けゲート絶縁膜として非常に優れた特性を示した。また、このポリイミド膜の比誘電率は3.0であった。
合成例2で合成したPI−2の溶液を用い、膜厚を210nmとした他は上記と同様の方法でポリイミド膜を成膜し、比抵抗測定用の素子を作製した。PI−2からなる薄膜に1MV/cmの電界が印加されるように電圧を21Vに設定した他は同じ条件で比抵抗を測定した。PI−2の溶液から得られたポリイミドおよびポリアミド酸からなる絶縁膜に流れた電流は0.024pA〜0.066pAとなり、そこから計算した比抵抗は7.6×1015〜2.1×1016Ω・cmとなった。150℃で焼成した場合でも、有機トランジスタのゲート絶縁膜として用いるのに十分な絶縁性を示した。
また、上記と同様に電流密度と電界の関係をプロットしたところ(図6)、高電圧を印加しても電流密度は10−10A/cm2以下しか流れないことが示され、150℃で焼成した場合でも、有機トランジスタ用ゲート絶縁膜として非常に優れた特性を示した。
合成例3で合成したPI−3の溶液を用い、膜厚を220nmとした他は上記と同様の方法でポリイミド膜を成膜し、比抵抗測定用の素子を作製した。PI−3からなる薄膜に1MV/cmの電界が印加されるように電圧を22Vに設定した他は同じ条件で比抵抗を測定した。PI−2の溶液から得られたポリイミドおよびポリアミド酸からなる絶縁膜に流れた電流は0.020pA〜0.086pAとなり、そこから計算した比抵抗は5.7×1015〜2.4×1016Ω・cmとなった。150℃で焼成した場合でも、有機トランジスタ向けゲート絶縁膜として非常に優れた特性を示した。
また、上記と同様に電流密度と電圧の関係をプロットしたところ(図6)、高電圧を印加しても電流密度は10−10A/cm2以下しか流れないことが示され、150℃で焼成した場合でも、有機トランジスタ用ゲート絶縁膜として非常に優れた特性を示した。
比較合成例1で合成したPI−4の溶液を用い、膜厚を210nmとした他は上記と同様の方法でポリイミド膜を成膜し、比抵抗測定用の素子を作製した。PI−4からなる薄膜に1MV/cmの電界が印加されるように電圧を22Vに設定した他は同じ条件で比抵抗を測定した。PI−4の溶液から得られたポリイミドおよびポリアミド酸からなる絶縁膜に流れた電流は7.0pAとなり、そこから計算した比抵抗は7.2×1013Ω・cmとなった。PI−4の溶液から得られたポリイミドおよびポリアミド酸からなる絶縁膜は150℃で焼成した場合、有機トランジスタのゲート絶縁膜として用いるには、著しく比抵抗が劣ることが示された。また、このポリイミド膜の比誘電率は3.6であった。
ポリイミドのゲート絶縁膜としての特性を評価するため、有機トランジスタを作製した。ITO付きガラス基板(2.5cm角、厚み0.7mm)に、合成例1で調製したPI−1の溶液を、0.2μm孔フィルタを付けたシリンジで滴下し、スピンコート法により塗布した。その後大気下で、80℃のホットプレートで5分間加熱を行って有機溶剤を揮発させ、次いで150℃のホットプレートで60分焼成することで、膜厚約425nmのポリイミド膜を得た。また、この絶縁膜の静電容量Cは、比誘電率とポリイミドの膜厚から計算したところ、6.25×10−9(F/cm2)となった。次に、シグマ−アルドリッチより購入したHT結合を98.5%以上含むポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(以後、P3HTと略す)を十分に精製した後、キシレンに1質量%溶解させ、P3HTの塗布溶液を調製した。この塗布溶液をポリイミド上に塗布してP3HT薄膜を形成した。成膜方法はスピンコート法を用い、酸素濃度0.5ppm以下の窒素雰囲気下で行った。つぎに溶媒を完全に揮発させるため、真空状態で100℃、90分間加熱処理した。つぎに、真空蒸着装置を用いてP3HT膜上に金を約60nm積層させ、チャネル長Lが90μm、チャネル幅Wが2mmのソース・ドレイン電極を形成した。また、真空蒸着時の条件は、室温、真空度3×10−3Pa以下、金の蒸着速度0.1nm/sec以下とした。このように作製した有機トランジスタを酸素濃度0.5ppm以下の窒素雰囲気下で一晩放置したのち、測定装置に設置するために、一度大気に暴露してから電気特性の評価を行った。
ID=WCμ(VG−VT)2/2L
上記式において、Wはトランジスタのチャネル幅、Lはトランジスタのチャネル長、Cはゲート絶縁膜の静電容量、VTはトランジスタの閾値電圧、μは移動度である。P3HTの移動度μをこの式を元に計算したところ、9.1×10−4cm2/Vsとなった。また、閾値電圧VTは15V、有機トランジスタのオフ状態のときに流れる電流、オフ電流は0.65nA、オン状態とオフ状態の比(オン/オフ比)は580となった(表4)。このように、本発明のゲート絶縁膜は、有機トランジスタとして十分に優れた特性を示した。
比較合成例1で合成したPI−4の溶液を用い、膜厚を370nmとした他は上記と同様の方法で有機トランジスタを作製し電気特性を測定した。結果を図7に示す。この絶縁膜の静電容量Cは、比誘電率とポリイミドの膜厚から計算したところ、8.56×10−9(F/cm2)となった。P3HTの移動度は8.7×10−4cm2/Vs、オフ電流は38.9nA、オン/オフ比は15となった。また、閾値電圧は有機トランジスタが完全なオフ状態を取る事が無かったため、測定不能であった。このように、PI−4を用いた有機トランジスタは、リーク電流が非常に大きく、また正常なオフ状態を取らなかったことから、有機トランジスタとして用いることはできないことが示された。
窒素気流下中、200mLの4つ口フラスコに、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン 5.435g(0.015mol)を入れ、NMP 36.75gに溶解させた後、ビシクロ[3.3.0]−オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸無水物 3.753g(0.015mol)を加え、これを80℃で48時間攪拌して重合反応を行った。得られたポリアミド酸の溶液をNMPで8質量%に希釈した。この溶液にイミド化触媒として無水酢酸19.55g、ピリジン9.09gを加え、100℃で3時間反応させポリイミド溶液を得た。この溶液を大量の水メタノール混合溶液中に投入し、得られた白色沈殿をろ別、乾燥し、下記式で表される繰り返し単位を含む白色のポリイミド粉末を得た。このポリイミド粉末は1H−NMRより90%イミド化されていることが確認された。このポリイミド粉末の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)はそれぞれMn=11,400、Mw=18,000であった。
<合成例5>可溶性ポリイミド(PI−6)の合成
(ここで、l、k、jの比率は次式で表される。l/(l+k+j)=0.2、k/(l+k+j)=0.7)
<合成例6>可溶性ポリイミド(PI−7)の合成
(ここで、n、mの比率は次式で表される。n/(n+m)=0.8)
<比較合成例2>可溶性ポリイミド(PI−8)の合成
PI−5の溶媒溶解性を調べるため、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンを用いて、以下の条件で実験を行った。
丸底フラスコにいずれかの低沸点溶媒を入れ、そこに粉末状のPI−6を10質量%分入れ、溶媒の温度が50℃になるようにオイルバスで加熱しながら3時間攪拌した。
PI−5はどの溶媒に対しても良好な溶解性を示した。
<PI−6(実施例)の溶媒溶解性>
PI−6の溶媒溶解性を調べるため、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンを用いて、以下の条件で実験を行った。
丸底フラスコにいずれかの低沸点溶媒を入れ、そこに粉末状のPI−6を10質量%分入れ、溶媒の温度が50℃になるようにオイルバスで加熱しながら3時間攪拌した。
PI−6はどの溶媒に対しても良好な溶解性を示した。
<PI−7(実施例)の溶媒溶解性>
PI−7の溶媒溶解性を調べるため、丸底フラスコにシクロヘキサノンを入れ、そこに粉末状のPI−7を10質量%分入れ、溶媒の温度が50℃になるようにオイルバスで加熱しながら3時間攪拌した。
PI−7はシクロヘキサノンに対して良好な溶解性を示した。
<PI−8(比較例)の溶媒溶解性>
PI−8の溶媒溶解性を調べるため、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノンを用いて、以下の条件で実験を行った。
丸底フラスコにいずれかの低沸点溶媒を入れ、そこに粉末状のPI−8を10質量%分入れ、溶媒の温度が50℃になるようにオイルバスで加熱しながら3時間攪拌した。
PI−8は全ての溶媒に溶解しなかった。
ここまでの結果を表5にまとめる。
PI−5のキシレンに対する耐溶剤性を調べるため、実施例4と同様の方法で膜厚307nmのポリイミド膜を成膜し、50℃に熱したキシレン溶媒中に5分間浸漬させた。次に180℃のホットプレート上で溶媒を乾燥させ残膜率を測定した。PI−5からなるポリイミド膜の残膜率は100%となり、良好な耐溶剤性を示した。
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 ソース電極、ドレイン電極
5 有機半導体層
Claims (7)
- 下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を脱水閉環して得られる有機溶媒可溶性ポリイミドの溶液を、塗布し、焼成して得られる膜であって、ポリイミド膜の焼成温度が180℃以下であることと、有機溶媒可溶性ポリイミドの溶液における溶媒の沸点が200℃以下であることを特徴とするゲート絶縁膜が使用された有機トランジスタ。
[式(1)中、Aは4価の有機基を表し、B1は下記(2)〜(9)から選ばれる少なくとも1種の2価の有機基を表し、B2は下記(2)〜(9)以外の2価の有機基を表す。
(ここで、R5はそれぞれ独立に水素、メチル基またはトリフルオロメチル基を表す。)
b1およびb2はそれぞれ組成比を表し、b1とb2の比率(モル)は
0.5≦(b1/(b1+b2))≦1
の関係を有する。] - 式(1)において、Aが脂環構造を有する4価の有機基である請求項1に記載のゲート絶縁膜が使用された有機トランジスタ。
- 脂環構造を有する4価の有機基が、下記(10)〜(14)から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載のゲート絶縁膜が使用された有機トランジスタ。
(式(10)中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素、フッ素または炭素数1〜4の有機基を表す。) - 式(1)において、B1が前記(2)、(4)、(6)または(8)である請求項1〜3のいずれかに記載のゲート絶縁膜が使用された有機トランジスタ。
- 式(1)において、B1中のR5がメチル基またはトリフルオロメチル基である請求項1〜4のいずれかに記載のゲート絶縁膜が使用された有機トランジスタ。
- ポリイミド膜の焼成温度が150℃以下である請求項1〜5のいずれかに記載のゲート絶縁膜が使用された有機トランジスタ。
- 有機溶媒可溶性ポリイミドのイミド化率が50%以上である請求項1〜6のいずれかに記載のゲート絶縁膜が使用された有機トランジスタ。
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