以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施の形態における安全運転診断ECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)10は、本発明の安全運転診断装置に相当するものである。
このような構成を備える安全運転診断ECU10は、車両(以下、自車両Cとも称する、また図面では自車とも称する)が交差点に進入する際に、車両のドライバによる安全確認がなされたか否かを判定すると共に、ドライバの間違った思い込みやドライバの運転のくせを直すための情報をドライバに提供する車載システムに適用することができる。なお、本実施の形態においては、交差点は、信号機のない平面交差の交差点であり、丁字路、十字路を示すものとする。
安全運転診断ECU10は、通常のコンピュータとして構成されており、例えば、周知の中央演算処理装置(Central Processing Unit:略称CPU)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力装置(Input and Output device:略称I/O)およびこれらの構成を接続するバスラインなどが備えられている。図1においては、安全運転診断ECU10の機能ブロックをメインに記載している。具体的には、安全運転診断ECU10は、距離判定部11、進入距離判定部12、安全確認判定部13、記憶媒体14、画像生成部15、バッファ16a,16b、スイッチ17a〜17dなどを備える。
また、図1に示すように、安全運転診断ECU10は、ナビゲーションシステム20、視線センサ30、車速センサ40(車載センサ群)、アクセルペダル開度センサ50(車載センサ群)、ストップランプスイッチ60(車載センサ群)、ドライブレコーダ70、ディスプレイ80などの外部装置が電気的に接続される。
ナビゲーションシステム20は、車両の現在位置(自車位置)を検出する位置検出器、電子地図のデータを記憶している地図データ記憶装置などを備える。位置検出器は、いずれも周知の地磁気センサ、ジャイロスコープ、距離センサ、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機などを採用することができる。
また、地図データ記憶装置に記憶された電子地図のデータには、道路を示すリンクデータとノードデータとが含まれる。ここで、リンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点等の複数のノードにて分割したときのノード間を結ぶものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端及び終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、制限速度、および所定距離ごとの道路中心の座標の情報等の各データから構成される。一方、ノードデータは、地図上の各道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番
号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、交差点種類、交差点における信号機の有無、交差点の入り口(交差点の進入位置)の座標、交差点の入り口の幅、および交差点の中心座標の情報等の各データから構成される。
安全運転診断ECU10は、このナビゲーションシステム20から車両が駐車場に停車しているか否かの情報、直近の交差点における進入位置、直近の交差点における信号機の有無、自車位置など情報を取得する。
視線センサ30は、ドライバDの視線の水平角を検出し、その水平角を示す水平角信号を出力するものである。視線センサ30は、例えば、自車両CのドライバDの目を含む範囲を撮像する撮像装置(自車両Cに固定して設置されており、撮像方向も固定される)で得られた画像のデータを逐次(例えば100msecごとに)取得する画像取得部、画像取得部から送られてきた画像のデータに基づいて、公知の画像認識技術を用いて画像解析を行い、画像取得部で取得した画像中でのドライバDの黒目の位置を検出する黒目位置検出部、黒目位置検出部から送られてきた黒目の位置の情報に基づいてドライバDの視線の方向を逐次算出する視線方向算出部などを備えるものを採用することができる。なお、虹彩と瞳孔とからなる部分を黒目として用いてもよいし、瞳孔の部分または虹彩の部分を黒目として用いてもよい。また、ここで視線の水平角は、視線のXY平面(水平面)への射影がX軸となす角である。また、X軸は車両の進行方向である。
車速センサ40は、自車両Cの車軸等に設置され、自車両Cの走行速度を示す検出信号(センサデータ)を出力する。アクセルペダル開度センサ50は、自車両CのドライバDによる、図示しないアクセルペダルの踏込量に応じた検出信号(センサデータ)を出力する。ストップランプスイッチ60は、自車両CのドライバDによって、図示しないブレーキペダルが操作されたときに検出信号(センサデータ)を出力する。
ドライブレコーダ70は、例えば、自車両Cのフロントガラスの内側に装着される小型CCDカメラ(車両前方方向撮影用カメラ)、車速センサ40から車速の情報を受信する部材、加速度センサ、メモリカードなどを備える。ドライブレコーダ70は、小型CCDカメラによって車両前方方向の画像(以下、車両前方画像データとも称する)を常時(例えばドライブレコーダ70の起動中)撮像し続けるとともに、それに同期した車速や加速度の情報等の車両の挙動の情報も取得し続ける。
ディスプレイ80(表示装置)は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを採用することができる。このディスプレイ80は、安全運転診断ECU10(画像生成部15)からの画像データを表示する。
安全運転診断ECU10における距離判定部11及び進入距離判定部12は、ナビゲーションシステム20から取得した情報(直近の交差点における進入位置、直近の交差点における信号機の有無、自車位置など情報)に基づいて、車両が交差点に進入する際にドライバDが安全確認動作を行うべき確認区間に、車両が位置するか否かを判定するものである(区間判定手段)。この確認区間は、ドライバDが安全確認動作を行うべき道路上の区間に関する必要条件である。なお、この確認区間は、後ほど説明する水平角信号をサンプリングする範囲でもある。
この確認区間の条件は、区間の始まり(始点位置)と区間の終わり(終点位置)に関する条件に分かれる。
まず、区間の始まり(始点位置)に関する条件を説明する(図3参照)。確認区間の始
点位置は、例えば、交差点内を見通し可能な位置から交差点の入口までに最低限必要な距離である停止視距で決めることができる。この停止視距は、交差点の設計基準の一つである。そして、停止視距は、道路を通行する車両の速度とドライバDの知覚時間、反応時間等で定められる。言い換えると、交差点の入口から停止視距内に自車両Cがあれば、ドライバDは交差点内を確認可能である。反対に、自車両Cが停止視距より離れた位置にあるならば、交差点内を見通しできない可能性がある。
この可能性を考慮し、交差路を通行する他車の速度V0は30[km/h]、ドライバDの知覚時間と反応時間の和は1[s]と仮定する。すると、停止視距は、その定義式により交差点の進入位置から約12mとなる。よって、区間の始まりは、交差点の進入位置から手前側12mの地点と定めることができる。
次に、区間の終わり(終点位置)に関する条件を説明する(図3参照)。安全確認は、自車両Cが交差点に進入する前に完了すべきである。しかし、自車両Cが交差点に進入する前、即ち自車両Cの前端が交差点の進入位置に位置する手前の位置にある場合は、視界が交差点周囲の建物・塀・植え込み等によりが遮られることにより、ドライバDは安全確認できない場合がある。しかし、ドライバDの目の位置が交差点の進入位置に位置するならば、視界が遮られることは無い。そこで、目の位置が交差点の進入位置に位置するより手前の位置で、安全確認を完了すれば良いとする。即ち、安全確認すべき区間の終わりは、車両前端からドライバDの目の位置までの距離であるE[m]として、交差点の進入位置から交差点内に向かって所定距離E[m]進入した地点とする。換言すると、確認区間の終わりは、例えば、ドライバDの目の位置が交差点の進入位置になる位置とすることができる。
以上をまとめると、ドライバDが安全確認すべき道路上の区間は、自車両Cが交差点進入前12[m]に位置する地点から自車両Cが交差点の進入位置から交差点内に向かって所定距離E[m]進入した地点迄の12+E[m]の区間である。ここでEは、セダンタイプの車両であれば約2[m]である。つまり、距離判定部11は、自車両Cが直近交差点まで12[m]以内であるか否かを判定する。一方、進入距離判定部(進入判定手段)12は、自車両Cが直近交差点の進入位置から2[m]進入したか否かを判定する。
安全確認判定部13は、車両が交差点に進入する際に、車両のドライバDによる安全確認がなされたか否かを判定する部分である。この安全確認判定部13は、パワースペクトル計算部13a、周波数抽出部13b、総和計算部13c、比較部13dなどを含む。
パワースペクトル計算部(パワースペクトル計算手段)13aは、視線センサ30から取得した水平角信号のパワースペクトルを計算するものである。例えば、視線センサ30から取得した水平角信号をフーリエ変換し、そのフーリエ変換した結果に対して、各周波数の大きさ成分を二乗してパワースペクトルを算出する。
周波数抽出部13bは、パワースペクトル計算部13aの計算結果より、水平角の変化の周波数0.2〜1.5[Hz]間でパワーが極大となる周波数を抽出する。そして、総和計算部13cは、周波数抽出部13bにて抽出した周波数でのパワーの極大値の総和を計算する。そして、比較部13dは、総和計算部13cにて計算した総和と判定値(ここでは、1400)と比較する。なお、水平角の変化の周波数(確認周波数)、パワーが極大となる周波数、判定値に関しては後ほど説明する。
記憶媒体(データ記憶媒体)14は、視線の水平角をサンプリングする際に、同時にサンプリングした水平角信号、車両前方画像データ、及びセンサデータを記憶するものである。特に、本実施の形態においては、水平角信号、車両前方画像データ、及びセンサデー
タをバッファ16b(一時記憶手段)に一時記的に記憶しておき、安全確認判定部13にて安全確認がなされていないと判定された場合に水平角信号、車両前方画像データ、及びセンサデータが記憶媒体14に記憶される。
画像生成部15は、水平角信号、車両前方画像データ、及びセンサデータからディスプレイ80で表示可能な画像を生成するものである。
バッファ16a,16bは、水平角信号、車両前方画像データ、及びセンサデータなどを一時的に記憶するものである。具体的には、バッファ16aは、視線センサ30から取得した水平角信号を一時的に記憶する。一方、バッファ16bは、車速センサ40、アクセルペダル開度センサ、ストップランプスイッチから取得したセンサデータ、及びドライブレコーダ70から取得した車両前方画像データを一時的に記憶する。
スイッチ17aは、距離判定部11が直近交差点の進入位置から12[m]以内に自車両Cがあると判定した場合にオンし、それ以外の場合はオフする。また、スイッチ17bは、進入距離判定部12が自車両Cが直近交差点の進入位置から2[m]進入したと判定した場合にオンし、所定のタイミング(例えば、自車両Cが直近交差点の進入位置から12[m]以内に達したときなど)でオフする。これは、車両が確認区間に位置する場合に水平角信号をサンプリングしてパワースペクトルを計算するためである。
スイッチ17cは、比較部13dがパワーの総和が判定値を下回ったと判定した場合にオンし、それ以外の場合はオフする。これは、パワーの総和が判定値を下回った場合に、バッファ16a,16bに一時的に記憶された水平角信号、車両前方画像データ、及びセンサデータを記憶媒体14に記憶させるためである。
スイッチ17dは、ナビゲーションシステム20から自車両Cが駐車場(例えば、自宅や職場の駐車場)に停車したことを示す信号(例えば「1」)を取得するとオンし、それ以外の場合(例えば「0」)はオフする。これは、自車両Cが駐車場(例えば、自宅や職場の駐車場)に停車した場合に、車両前方画像データ、及びセンサデータからディスプレイ80で表示可能な画像を生成して、ディスプレイ80に表示するためである。
このような構成を備える本実施の形態における安全運転診断ECU10は、信号の無い交差点において安全確認していないにもかかわらず安全確認したという誤判定の頻度を減らすことを目的の一つとするものである。安全確認には、確認幅が十分であること(言い換えれば、視線の水平角の幅が所定値以上であることと)、確認時間が適切であること(言い換えれば、確認時間が短すぎずかつ長過ぎないこと)の少なくとも2つが必要である。また、確認幅と確認時間の2つは、確認幅と確認速度に、さらに確認幅と確認周波数の2つに言い換えることができる。また、本実施の形態における安全運転診断ECU10のより具体的な目的は、視線の水平角から確認幅と確認周波数という2つの必要条件の成立を検証できる判定法を定めることである。
なお、安全確認は、自車両Cが他車と衝突することを回避するための行動である。言い換えると、安全確認は、自車両Cがこれから交差点に進入するに際して、交差点を含む左右方向それぞれの所定範囲に他車が存在しないことを確認する行動である。
ここで、図2を用いて、その所定範囲に関して説明する。所定範囲は、仮にその範囲に現在他車が存在しかつ自車両Cが交差点に進入した場合に、交差点内で自車両Cが他車に接近する可能性がある範囲である。つまり、自車両Cの位置は車両前端の位置とし、交差点の進入位置は交差点手前の2つの端点を結ぶ線分とした場合、所定範囲は、交差点の中心から交差路の左右方向へ所定距離内である。
交差点の左端及び右端からそれぞれ交差路上左方向、交差路上右方向それぞれの所定距離A[m]とする。すると、A[m]は、その交差路において他車の速度V0[m/s]に安全確認に要する時間Tv[s]と、安全確認後に交差点に進入するまでの時間Te[s]と自車両Cが交差点内を通行する時間Ti[s]の3つの時間の和(Tv[s]+Te[s]+Ti[s])を乗じた値が適切である。
本実施の形態における安全運転診断ECU10は、所定距離Aの最小値を定め、視線が向いた範囲がその距離から定まる所定範囲以下とみなした場合に、安全確認でなかったと判定する。逆に、視線が向いた範囲が所定範囲以上とみなした場合に、安全確認と判定する。
ここで所定距離Aの最小値A*を式で表現すると、A*=min(V0)×{min(Tv)+min(Te)+min(Ti)}[m]となる。そこで、所定距離Aの最小値A*を定めるために、各V0、Tv、Te、Tiの最小値を説明する。
交差路を通行する他車の速度V0は、交差路の幅が狭いほど小さいと考える。例えば、交差路の幅の最小値は、約5[m]と定め、V0の最小値を20[km/h]とする。
次に、安全確認に要する時間Tv[s]は、交差路の視認のしやすさ、ドライバDの視力等に応じて変化するが、最小値は約0.7[s]とする。
安全確認後に交差点に進入するまでの時間Te[s]は、安全確認後に所定時間以上走行後交差点に進入する場合と、安全確認後速やかに交差点に進入する場合があるが、通常、安全確認後速やかに交差点に進入する場合の方が短い。そこで、Te[s]の最小値は安全確認後速やかに交差点に進入する場合を想定して約0.5[s]とする。
また、自車両Cが交差点内を通行する時間Ti[s]は、交差点の大きさが小さいほど、また自車両C速度が大きいほど、小さいと考える。交差点の大きさの最小値は約5[m]四方、かつ自車両C速度の最大値は30[km/h]、かつ車両の全長は5[m]と定める。このように定めると、Ti[s]の最小値は1.2[s]である。
以上をまとめると、V0の最小値は20[km/h]、Tvの最小値は0.7[s]、Teの最小値は0.5[s]、Tiの最小値は1.2[s]である。したがって、交差点の左端及び右端からそれぞれ交差路上左方向・交差路上右方向の所定距離Aの最小値A*は13.3[m]である。よって、確認すべき最小範囲は、交差点の左端から交差路上左方向へ13.3[m]の位置から交差点を内含み交差点の右端から交差路上右方向へ13.3[m]の位置までである。なお、図2は、交差点を上から見た図において確認すべき最小範囲を含む図である。
次に、図2を用いて、最小範囲を確認するために必要な視線の水平角の角度幅に関して説明する。角度幅は、視覚には視野があることを前提として求める。言い換えれば、視線の周囲のある角度幅は、確認可能であることを前提として求める。その結果、最小範囲を確認するために必要な視線の水平角の角度幅は、まず自車両C内のドライバD位置から最小範囲の左右端それぞれの方向への角度を求め、次にそれらの角度から視野分を差し引くことより求められる。
自車両C内のドライバDの目の位置から最小範囲の左右端それぞれの方向への角度は、自車両C位置と交差点の間の距離により変化する。より具体的には、その距離が長いほど角度の絶対値は小さい。そこで、本実施の形態においては、最小範囲の左右端に対応する
角度は、自車両Cが交差点の進入位置から最も遠い位置にある時の角度、すなわち絶対値が最も小さい角度とする。
そこで、次に、最小範囲の左右端それぞれの方向への角度を定めるための交差路の進入位置から最も遠い自車両C位置を規定する。この位置は、安全確認が終了する位置のうち交差路の進入位置から最も遠い位置とする。交差路の進入位置から最も遠い自車両C位置までの距離L*を式で表現すると、L*=max(V)×Te[m]となる。ここでV[m/s]は自車両Cの速度である。L*は、交差路上左方向、交差路上右方向それぞれの所定距離A[m]を求めた時の仮定と整合させるために、安全確認後に自車両Cが交差点に進入するまでの時間Te[s]が最小値0.5[s]である条件のうちから定める。
この条件の下でさらに、自車両Cの想定し得る最大速度を30[km/h]と仮定すると、交差点の進入位置から4.2mが最も遠い位置となる。そうすると、自車両Cが交差点の進入位置から最も遠い位置にある場合のドライバDの目の位置から確認すべき最小範囲の左右端それぞれの方向への角度は約−61[deg]、+61[deg]となる。
ここで、ドライバDの右の直交方向を+90[deg]、ドライバDの左の直交方向を−90[deg]、ドライバDの正面方向を0[deg]とする。また、自車両C位置すなわち車両前端からドライバDの目の位置までの距離は2mとする。次に、水平方向の視野は35[deg]である、言い換えると視線の水平角の周囲±17.5[deg]は確認可能であると仮定すると、最小範囲を確認するために必要な視線の水平角の角度幅は±43.5[deg]である。なお図2は、交差点を上から見た図において必要な視線の水平角の角度幅を含む図である。ちなみに最小範囲を確認するために必要な視線の水平角の角度幅は、θ*=atan{(A*+W/2)/(L*+W/2+E)}−φ/2[deg]とおくと、±θ*[deg]と表される。ここでW[m]は交差点の1辺の長さ、E[m]は車両前端からドライバDの目の位置までの距離、φ[deg]は水平方向の視野である。
次に、図4を用いて、安全確認中の視線の水平角の変化速度に関して説明する。本実施の形態における安全運転診断ECU10では、人間工学の教科書である横溝他著「エンジニアのための人間工学(日本出版サービス社)」の84〜85ページに記された数値を採用し、人間が1箇所を認知する時間は、145[ms]〜1070[ms]であるとする。ここで、認知する時間は、眼球運動、対象への停留、焦点合わせ、特性取り込み、感覚記憶、認知の各時間の和である。また、本実施の形態においては、上述のように、安全確認すべき最小範囲の左右端それぞれの方向への角度は約−61[deg]、+61[deg]とする。また水平方向の視野は35[deg]と仮定する。また、安全確認開始時及び安全確認終了時の視線の水平角はドライバDの正面方向、言い換えれば水平角は0[deg]とする。
これらの仮定の下では、安全確認すべき最小範囲を認知するためには、視線の水平角の停留箇所は、図4に示す停留箇所1〜停留箇所4の最低4箇所必要である。また、4箇所を認知する時間は1箇所を認知する時間の4倍の580[ms]〜4280[ms]となる。4箇所を認知した時間にさらに眼球を正面に戻す時間である70[ms]〜700[ms]を加えると、安全確認すべき最小範囲の4箇所を認知する時間は650[ms]〜4980[ms]となる。
つまり、視線の水平角が、正面→左方向→右方向→正面または正面→右方向→左方向→正面と変化するのに要する時間は650[ms]〜4980[ms]である。この変化は1周期の変化であるので、1周期の変化に要する時間は650[ms]〜4980[ms]である。言い換えると、安全確認のため4箇所を認知する時の視線の水平角の変化の周
波数は0.2[Hz]〜1.5[Hz]である。
以上のことより、確認幅が視線の水平角の角度幅として±43.5[deg]以上であること、また確認時間(確認周波数)に対応する条件として視線水平角の変化の周波数は0.2[Hz]〜1.5[Hz]であることは、それぞれ安全確認の必要条件である。
本実施の形態における安全運転診断ECU10は、上述の視線の水平角の角度幅と水平角の変化の周波数(確認周波数)に着目し、視線の水平角のパワースペクトルにより安全確認を判定するものである。一般に、ある時間区間でサンプリングした信号において、所定周波数の振幅の大小は、信号のパワースペクトルの所定周波数でのパワーの大小に表れる。また、所定周波数の繰り返し数の大小もパワーの大小に表れる。逆に、パワースペクトルにおいて、所定周波数のパワー値が大きいほど、信号の所定周波数の振幅が大きいか、または信号の所定周波数での繰り返し数が多い。
したがって、安全確認時の視線水平角の絶対値が0[deg]から90[deg]に近づけば近づくほど0.2[Hz]〜1.5[Hz]の範囲のパワーは大きくなる。また、安全確認の回数が増えれば増えるほど0.2[Hz]〜1.5[Hz]の範囲のパワーは大きくなる。
そこで、本実施の形態における安全運転診断ECU10は、車両が交差点に進入する際にドライバが安全確認動作を行うべき確認区間に、車両が位置するか否かを判定し、車両が確認区間に位置すると判定されると、車両が交差点に進入する際にドライバが安全確認動作を行うべき範囲であるとみなして、確認区間における水平角信号をサンプリングする。具体的には、図3に示すように、自車両Cが直近交差点まで12m以内となった位置から直近交差点の進入位置から2m進入した位置までの間に視線の水平角をサンプリングする。
そして、視線の水平角の0.2[Hz]〜1.5[Hz]間のパワーの極大値の和が所定値以上であるならば、視線水平角の絶対値が安全上十分または安全確認回数が安全上十分とみなし、ドライバによる安全確認がなされたと判定する。反対にそうでない場合は、ドライバによる安全確認がなされなかった判定する。なお、本実施の形態においては、判定値は約1400とする。この判定値(1400)は、安全確認したにもかかわらず安全確認でないと誤判定する可能性を低くするために、必要最低限の安全確認における0.2[Hz]〜1.5[Hz]間のパワーの極大値の和とした。具体的には、角度幅±43.5[deg]、周波数約1.5[Hz]すなわち周期0.66[s]で1周期分の視線水平角の変化を必要最低限の安全確認と仮定する。
ここで、図5に基づいて、本実施の形態における安全運転診断ECU10の安全確認判定処理動作に関して説明する。なお、図5のフローチャートに示す処理動作は、例えば、安全運転診断ECU10に電源供給がなされた場合などにスタートして、所定時間毎に繰り返し実行するものである。
ステップS10では、安全運転診断ECU10は、ナビゲーションシステム20からの信号に基づいて、直近の交差点の進入位置(交差点入口)を検出する。ステップS11では、安全運転診断ECU10は、ナビゲーションシステム20からの信号に基づいて、直近の交差点に信号機がないか否かを判定する。そして、信号機がないと判定した場合はステップS12へ進み、信号機があると判定した場合はドライバによる安全確認が行われたか否かを判定する必要ながいとみなしてステップS20へ進む。
ステップS12では、距離判定部11は、ナビゲーションシステム20から自車位置な
ど情報(自車位置を示す信号)を取得して(自車位置取得手段)、自車両Cが直近の交差点の進入位置まで12[m]以内の位置にあるか否かを判定する。そして、12[m]以内の位置にあると判定した場合はステップS13へ進み、12[m]以内の位置にないと判定した場合はステップS20へ進む。これは、上述のように、自車両Cが確認区間にあるか否か、つまり、視線の水平角信号のサンプリングを開始するか否かを判定するためである。
ステップS13では、距離判定部11は、視線センサ30から出力された水平角信号をサンプリングしてバッファ16aに一時的に記憶する。具体的には、距離判定部11は、自車両Cが直近の交差点の進入位置から12[m]の範囲にある場合にスイッチ17aをオンすることによって、視線センサ30から出力された水平角信号をサンプリングしてバッファ16aに一時的に記憶する。
ステップS14では、距離判定部11は、スイッチ17aをオンすることによって、水平角信号と同時に、車速センサ40、アクセルペダル開度センサ50、ストップランプスイッチ60から出力されたセンサデータをサンプリング(センサデータサンプリング手段)すると共に、ドライブレコーダ70から出力された車両前方画像データをサンプリング(画像データサンプリング手段)してバッファ16bに記憶する。
ステップS15では、進入距離判定部12は、ナビゲーションシステム20からの信号に基づいて、自車両Cが直近の交差点の進入位置から2[m]より長く進入(所定距離以上進入)したか否かを判定する(進入判定手段)。そして、2[m]より長く進入したと判定した場合はステップS16へ進み、2[m]より長く進入していないと判定した場合は処理を終了する。これは、上述のように、自車両Cが確認区間にあるか否か、つまり、視線の水平角信号のサンプリングを終了するか否かを判定するためである。なお、進入距離判定部12は、自車両Cが直近交差点の進入位置から2[m]進入したと判定した場合にスイッチ17bをオンする。
ステップS16では、パワースペクトル計算部13aは、バッファ16aに格納(一時的に記憶)された水平角信号のパワースペクトルを計算する(パワースペクトル計算手段)。
ステップS17では、周波数抽出部13bは、パワースペクトル計算部13aの計算結果より、水平角の変化の周波数0.2[Hz]〜1.5[Hz]間でパワーが極大となる周波数を抽出する。そして、総和計算部13cは、周波数抽出部13bにて抽出した周波数でのパワーの極大値の総和を計算する。
ステップS18では、比較部13dは、総和計算部13cにて計算した総和(極大値の和)と判定値(ここでは、1400)と比較して、極大値の和が1400以上であるか否かを判定する(安全確認判定手段)。そして、極大値の和が1400以上であると判定した場合はドライバによる安全確認がなされたとみなしてステップS20へ進み、極大値の和が1400以上でないと判定した場合はドライバによる安全確認がなされていないとみなしてステップS19へ進む。
なお、図7(a)、図7(b)、図8(a)、図8(b)に、本実施の形態の安全運転診断ECU10において、ドライバによる安全確認がなれた場合の時間波形、水平角をパワースペクトルとの関係の一例のグラフを示す。このグラフに示す例の場合、視線水平角は略±60[deg]であり、0.2[Hz]〜1.5[Hz]間のパワーの極大値の和は220130である。よって、この例からも極大値の和が1400以上であると判定した場合はドライバによる安全確認がなされたとみなすことができる。
このように、安全確認に必要な水平角の変化の周波数範囲におけるパワーの極大値の和が所定値以上である場合、安全確認のための必要条件である確認時間(確認周波数)と確認幅を満たしたとみなすことができる。つまり、確認幅と確認時間(確認周波数)が必要条件を満たした場合に、ドライバDによる安全確認がなされたと判定する。よって本実施の形態の安全運転診断ECU10は、安全確認がなされたか否かの判定の信頼度が高く、交差点において安全確認をしていないにもかかわらず、安全確認をしたと誤判定することを低減することができる。
ステップS19では、比較部13dは、スイッチ17cをオンすることによって、バッファ16a、16bに格納(一時的に記憶)されたデータ(水平角信号、センサデータ、車両前方画像データ)を記憶媒体14に記憶する(データ記憶手段)。そして、ステップS20では、バッファ16a、16bに格納(一時的に記憶)されたデータ(水平角信号、センサデータ、車両前方画像データ)を記憶媒体14に記憶すると、バッファ16a、16bをクリアする。
このように、安全確認がなされていないと判定された場合に、水平角信号、センサデータ、車両前方画像データを記憶媒体14に記憶するのは、信号の無い交差点で安全確認がなされたとはいえない実際の視線挙動を、それが発生した交通環境・車両挙動・操作の情報とともにドライバDに提供するためである。また、信号の無い交差点で安全確認がなされたとはいえない視線挙動は、間違った思い込みまたは運転のくせがあるとみなすことができる。よって、換言すると、ドライバDの間違った思い込みや、ドライバDの運転のくせを直すための情報を、ドライバDに提供するためである。また、水平角信号、センサデータ、車両前方画像データ)を記憶媒体14に記憶することで、ドライバDの間違った思い込みやドライバの運転のくせを直すための情報を、ドライバDに提供することが可能となるので好ましい。
つまり、本実施の形態における安全運転診断ECU10は、このように安全確認がなされたとはいえない実際の視線挙動を、それが発生した交通環境・車両挙動・操作の情報とともにドライバDに提供することによって、思い込みや運転のくせを直すことを目的の一つとするものである。
この提供する情報は、極力実際の運転を再現したものが好ましい。また、実際の運転は、時間経過に伴う走行環境変化と変化に対応した操作の繰り返しとみなせる。そこで、具体的には、自車両Cが確認区間を走行している際の、車両前方画像(車両前方画像データによって表示される画像)に、水平角信号及びセンサデータを重畳させた画像(運転診断画像、図9参照)を提供する。
ここで、図6に基づいて、本実施の形態における安全運転診断ECU10の運転診断画像の表示処理動作に関して説明する。なお、図6のフローチャートに示す処理動作は、例えば、安全運転診断ECU10に電源供給がなされた場合などにスタートするものである。
ステップS30では、安全運転診断ECU10は、ナビゲーションシステム20及び車速センサ40からの信号などに基づいて、自車両Cが自宅の駐車場や職場の駐車場等に位置(停車)したか否かを判定する(停車判定手段)。そして、自車両Cが自宅の駐車場や職場の駐車場等に位置(停車)したと判定した場合はステップS31へ進み、位置(停車)していないと判定した場合はステップS30での判定を繰り返す。なお、自宅の駐車場や職場の駐車場以外の駐車場に自車両Cを停車した時を採用してもよい。
自宅の駐車場や職場の駐車場で自車両Cを停止させた時は、ドライバDは特に心理的に余裕があることがおおい。よって、自車両Cが自宅の駐車場や職場の駐車場等に位置(停車)しているときに、運転診断画像を提供することによって、心理的に余裕があるドライバに対して運転診断画像を提供することができるので好ましい。なお、このように安全確認がなされてないと判定した時と、運転診断画像を提供する時は異なる。
ステップS31では、安全運転診断ECU10は、記憶媒体14に運転診断画像を表示するためのデータ(車両前方画像データ、水平角信号及びセンサデータ)が存在するか(記憶されているか)否かを判定する。そして、存在すると判定した場合はステップS32へ進み、存在しないと判定した場合はステップS30へ戻る。
ステップS32では、安全運転診断ECU10は、ドライバDに運転診断される意思があるか否かを判定する。つまり、安全運転診断ECU10は、図示しないリモコンやタッチパネルなど指示装置からの信号に基づいて、運転診断画像の表示指示がなされたか否かを判定する(指示判定手段)。そして、指示装置からの表示指示を示す信号が入力された場合は運転診断される意思があるとみなしてステップS33へ進み、指示装置からの表示指示を示す信号が入力されない場合は運転診断される意思がないとみなしてステップS30へ戻る。
ステップS33では、安全運転診断ECU10(画像生成部15)は、水平角信号、車両前方画像データ、及びセンサデータからディスプレイ80で表示可能な運転診断画像を生成して、図9に示すように、生成した運転診断画像をディスプレイ80に表示する(表示手段)。このように、車両前方画像に、水平角信号及びセンサデータを重畳させた画像(運転診断画像)をディスプレイ80に表示することによって、実際の運転に近い状況を再現することができるので好ましい。
なお、本実施の形態においては、ドライバDに提供する情報として、車両前方画像に、水平角信号及びセンサデータを重畳させた画像(運転診断画像)を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、より簡易な形態として、交差点通過時に安全確認でなかったことを知らせる音声メッセージを採用することもできる。ドライバDに提供する情報として、音声メッセージを採用した場合、画像を視認させることに比べて心理的負荷を低減することができる。したがって、音声メッセージは、運転中に提供してもドライバDに対する悪影響は少ない。つまり、音声メッセージの提供時期は、例えば、安全確認でないと判定した直後や、安全確認でないと判定した次に信号の無い交差点の数十[m]前の地点に位置したとき等を採用することができる。
上述のように、本実施の形態の安全運転診断ECU10は、安全確認がなされたか否かの判定の信頼度が高い。よって、このように運転診断画像をディスプレイ80に表示することによって、ドライバDは、信頼度の高い診断結果(運転診断画像)を得ることができるので好ましい。
(第2の実施の形態)
次ぎに、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態における安全運転診断ECU10は、上述の第1の実施の形態における安全運転診断ECU10と同等な点が多いため、異なる点を重点的に説明する。なお、異なる点は、水平角をサンプリングする範囲である。また、これに伴って本実施の形態における安全運転診断ECU10は、図10に示すように、第1の実施の形態における安全運転診断ECU10に対してサンプリング部13eが追加されている。
安全運転診断ECU10における距離判定部11及び進入距離判定部(進入判定手段)12は、ナビゲーションシステム20から取得した情報(直近の交差点における進入位置、直近の交差点における信号機の有無、自車位置など情報)に基づいて、視線センサ30から水平角信号を取得してバッファ16aに記憶する区間に、自車両Cが位置するか否かを判定するものである。
ここで、本実施の形態の安全運転診断ECU10における安全確認を行う必要条件に関して説明する。これは、ドライバが安全確認動作を行うべき範囲とみなす時間(所定期間)に関する必要条件である。具体的には、安全確認は、自車両Cが交差点の進入位置から所定距離より長く進入した時点以前の6[s]間(所定期間)の行動とする条件である。つまり、サンプリングする範囲は、自車両Cが交差点の進入位置から所定距離より長く進入した時点直前の6[s]間である。
自車両Cが交差点の進入位置から所定距離より長く進入した時点を時間の最終時点とする理由は、ドライバDが視界を遮られることのない地点に到達した時点を時間の最終時点としたいからである。また、6[s]は、安全確認に要する最大時間である5[s]に1[s]を加えた時間である。
このように条件を定めると、自車両Cが交差点に所定距離より長く進入する9[s]前から7[s]前にかけて安全確認し、それ以後は所定距離より長く進入するまで安全確認しなかった場合は、安全確認がなされたとしない。それゆえ、本実施の形態における安全運転診断ECU10は、この場合は安全確認がなされてないと判定する。
ちなみに、自車両Cが直近交差点の進入位置から所定距離より長く進入した時点以前の6秒間に自車両Cが位置する範囲は、自車両Cが想定し得る最高速度で走行し続けた場合に最大となり、自車両Cが交差点の進入位置近くで停止した場合に最小となる。自車両Cが想定しうる最高速度を約30[km/h]とすると、自車両Cが位置する範囲は約50[m]となる(図11参照)。また、自車両Cが交差点の進入位置で約5[s]間停止した後発進し、発進後約1[s]で交差点の進入位置から所定距離に位置したとすると、6[s]間に自車両Cが位置する範囲は所定距離に等しい2[m]である。
ここで、図12に基づいて、本実施の形態における安全運転診断ECU10の安全確認判定処理動作に関して説明する。なお、図12のフローチャートに示す処理動作は、例えば、安全運転診断ECU10に電源供給がなされた場合などにスタートして、所定時間毎に繰り返し実行するものである。
なお、図12におけるステップS40と図5におけるステップS10、図12におけるステップS41と図5におけるステップS11、図12におけるステップS43〜S45と図5におけるステップS13〜S15、図12におけるステップS47〜S51と図5におけるステップS16〜S20は、同等であるため詳しい説明は省略する。
よって、ステップS42では、距離判定部11は、ナビゲーションシステム20からの信号に基づいて、自車両Cが直近の交差点の進入位置まで48[m]以内の位置にあるか否かを判定する。そして、48[m]以内の位置にあると判定した場合はステップS43へ進み、48[m]以内の位置にないと判定した場合はステップS51へ進む。これは、上述のように、ドライバが安全確認動作を行うべき範囲とみなす時間(期間)であるか否か、つまり、視線の水平角信号のサンプリング(取得)を開始するか否かを判定するためである。
そして、進入距離判定部12が、自車両Cが直近交差点の進入位置から2[m]より長
く進入したと判定した場合(ステップS45)、ステップS46において、サンプリング部13eは、進入判定直前の6[s]間の水平角信号をサンプリングする。つまり、自車両Cが直近交差点の進入位置から2[m]より長く進入したと判定された直前の6[s]間の水平角信号をサンプリングする。従って、このサンプリング部13eは、過去(交差点の進入位置から所定距離より長く進入した時点以前の6[s]間)に取得してバッファ16aに一時的に記憶しておいた水平角信号をサンプリングする。
この後、安全運転診断ECU10は、上述の実施の形態と同様に、パワースペクトルの計算、パワーの極大値の総和の計算、総和(極大値の和)と判定値との比較などを行う。
なお、図13(a)、図13(b)、図14(a)、図14(b)に、本実施の形態の安全運転診断ECU10において、ドライバによる安全確認がなされた場合の時間波形、水平角をパワースペクトルとの関係の一例のグラフを示す。このグラフに示す例の場合、視線水平角は略±60[deg]であり、0.2[Hz]〜1.5[Hz]間のパワーの極大値の和は114830である。よって、この例からも極大値の和が1400以上であると判定した場合はドライバによる安全確認がなされたとみなすことができる。
一方、図15(a)、図15(b)、図16(a)、図16(b)に、本実施の形態の安全運転診断ECU10において、ドライバによる安全確認がなされなかった場合の時間波形、水平角をパワースペクトルとの関係の一例のグラフを示す。このグラフに示す例の場合、視線水平角は略+40[deg]であり、0.2[Hz]〜1.5[Hz]間のパワーの極大値の和は0である。よって、この例からも極大値の和が1400以上でないと判定した場合はドライバによる安全確認がなされなかったとみなすことができる。
このようにしても、安全確認に必要な水平角の変化の周波数範囲におけるパワーの極大値の和が所定値以上である場合、安全確認のための必要条件である確認時間(確認周波数)と確認幅を満たしたとみなすことができる。つまり、確認幅と確認時間(確認周波数)が必要条件を満たした場合に、ドライバDによる安全確認がなされたと判定する。よって本実施の形態の安全運転診断ECU10は、安全確認がなされたか否かの判定の信頼度が高く、交差点において安全確認をしていないにもかかわらず、安全確認をしたと誤判定することを低減することができる。
なお、本実施の形態においても、上述の第1の実施の形態と同様に、安全運転診断ECU10の運転診断画像の表示処理動作を採用するこができる。