JP5210206B2 - パワーユニットにおける油路構造 - Google Patents

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Description

本発明は、クランクケースを構成要素の一部とする内燃機関と、内燃機関に内蔵される変速機と、側面視で前記クランクケースの上部に配置されるようにして前記内燃機関に設けられるオイルポンプとを備え、前記オイルポンプから前記変速機にオイルを供給できるようにしたパワーユニットであって、前記オイルポンプから吐出されたオイルの圧力を制御する油圧制御装置が内燃機関に配設されるものに関し、特に油路構造の改良に関する。
変速機の作動を制御するための油圧制御装置がクランクケースの後側上部側壁に設けられ、クランクケースの上部に配設されるオイルポンプから吐出されるオイルを導く給油路が、油圧制御装置に接続されるようにしたパワーユニットが、特許文献1で知られている。しかるに油圧制御装置での調圧によって余剰になったオイルが油圧制御装置から排出されるものであり、上記特許文献1で開示されるものでは、オイルポンプが吸い上げるオイルを貯留するオイル溜めに余剰オイルを直接戻すようにしている。ところが余剰オイルは、オイルポンプによって吸い上げられ、再び油圧制御装置に供給されるので、クランクケースの上部に配設されることでオイルストレーナから高い位置にオイルポンプがある場合には、吸い込みヘッド分のポンプ損失が発生し、ポンプ効率の低下を招いている。一方、特許文献2には、余剰オイルをオイルポンプの吸い込み通路に戻すことによって、ポンプ効率の低下を回避する技術が開示されており、この技術を特許文献1の開示技術に適用すればポンプ効率の低下を回避することが可能である。
特開2008−163840号公報 特開昭63−26454号公報
ところが、上記特許文献1で開示されたものでは、クランクケースの後側上部側壁に設けられる油圧制御装置と、オイルポンプとが離間して配置されているので、特許文献2の開示技術をそのまま適用すると、ポンプ効率が高くなるものの、オイルポンプおよび油圧制御装置間を結ぶ給油路および余剰油路が長くなるとともに複雑化してしまい、ひいてはクランクケースの大型化を招く可能性がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、油圧制御装置からの余剰オイルをオイルポンプ側に戻すようにしてポンプ効率を高めた上で、油路の短縮化および単純化を図り、クランクケースの小型化を可能としたパワーユニットにおける油路構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、クランクケースを構成要素の一部とする内燃機関と、内燃機関に内蔵される変速機と、側面視で前記クランクケースの上部に配置されるようにして前記内燃機関に設けられるオイルポンプとを備え、前記オイルポンプから前記変速機にオイルを供給できるようにしたパワーユニットであって、前記オイルポンプから吐出されたオイルの圧力を制御する油圧制御装置が内燃機関に配設されるものにおいて、前記オイルポンプから吐出されるオイルを導く給油路が、前記クランクケースの上方に配設される前記油圧制御装置に下方から接続され、前記油圧制御装置から排出される余剰オイルを導く余剰油路の一端が前記油圧制御装置に下方から接続され、前記オイルポンプのポンプケースの外形の範囲内で該オイルポンプの吸い込み側に前記余剰油路の他端が接続され、前記余剰油路から分岐する分岐油路を構成するホースが内燃機関外のオイルクーラまで延出していて、該オイルクーラにより前記余剰オイルが冷却されることを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記余剰油路の他端が、前記ポンプケース内に形成されるポンプ室に直接連通されることを第2の特徴とする。
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記クランクケースの上面に前記油圧制御装置が配設され、前記油圧前記給油路の一部を構成して前記油圧制御装置の下方で上下に直線状に延びる給油路直線部と、前記余剰油路の一部を構成して前記油圧制御装置の下方で上下に直線状に延びる余剰油路直線部とが側面視で略平行に配置されることを第3の特徴とする。
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記給油路および前記余剰油路の一部が、前記オイルポンプが備えるロータの回転軸線に沿う方向で該ロータの両側に分かれて配置されることを第4の特徴とする。
本発明は、第1〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記余剰油路の一部を構成して前記油圧制御装置から下方に直線状に延びる余剰油路直線部が、側面視で、前記給油路の一部を構成して前記油圧制御装置から下方に延びる給油路直線部と、前記オイルポンプとで前後を挟まれる位置に配置され、前記油圧制御装置から排出される余剰オイルの油圧が所定圧以上となるのに応じて開弁するようにして前記余剰油路に介設されるリリーフ弁が、その作動軸線を前記オイルポンプの回転軸線と平行にしつつ前後方向で前記余剰油路直線部および前記オイルポンプの回転軸線間に配置されることを第5の特徴とする。
さらに本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記余剰油路のうち前記余剰油路直線部の上端部から前記オイルポンプの吸い込み側までを少なくとも含む部分が、前記ポンプケースに設けられることを第6の特徴とする。
なお実施の形態の無段変速機91が本発明の変速機に対応し、実施の形態の第1オイルポンプ100が本発明のオイルポンプに対応し、実施の形態の第1ポンプ室104が本発明のポンプ室に対応し、実施の形態のインナーロータ106およびアウターロータ107が本発明のロータに対応し、実施の形態の第4給油路直線部207dが本発明の給油路直線部に対応し、実施の形態の第3余剰油路直線部209cが本発明の余剰油路直線部に対応する。
本発明の第1の特徴によれば、油圧制御装置がクランクケースの上方に配設されるので、側面視でクランクケースの上部に配置されるオイルポンプの上方に配置されることになり、油圧制御装置に下方から給油路および余剰油路を接続するようにしているので、給油路および余剰油路をクランクケースの上部かつオイルポンプの周囲に集約して配置することができ、給油路および余剰油路を短くかつ簡素化して配置することができる。また余剰油路がポンプケースの外形の範囲内で該オイルポンプの吸い込み側に接続されるので、余剰オイルの吸い込みヘッドを小さくし、ポンプ効率を高めることができる。
しかも、余剰油路から分岐する分岐油路を構成するホースが内燃機関外のオイルクーラまで延出し、該オイルクーラにより余剰オイルが冷却されるので、変速機用オイル系のオイルを該ホースを用いて冷却することができる。
また本発明の第2の特徴によれば、余剰油路が、ポンプケース内のポンプ室に直接連通されるので、よりポンプ効率を高めることができる。
本発明の第3の特徴によれば、給油路の一部を構成する給油路直線部と、余剰油路の一部を構成する余剰油路直線部とが、クランクケースの上面に配設される油圧制御装置の下方で上下に延びて側面視で略平行に配置されるので、給油路および余剰油路を交差させて配置する場合に比べて、給油路および余剰油路を短く、かつ簡素化することができる。
本発明の第4の特徴によれば、給油路および余剰油路の一部がオイルポンプが備えるロータの回転軸線に沿う方向で該ロータの両側に分かれて配置されるので、オイルポンプの周囲では給油路および余剰油路を分散配置して、油路構造をより簡素化することができる。
本発明の第5の特徴によれば、余剰油路直線部が、側面視で、給油路直線部と、前記オイルポンプとで前後を挟まれる位置に配置され、余剰油路の途中に介設されるリリーフ弁が、その作動軸線をオイルポンプの回転軸線と平行にしつつ前後方向で余剰油路直線部およびオイルポンプの回転軸線間に配置されるので、余剰油路直線部およびオイルポンプ間のスペースにリリーフ弁を効率的に配置することができる。
さらに本発明の第6の特徴によれば、余剰油路の大部分がポンプケースに設けられるので、クランクケースに余剰油路のために施される加工を最小限とし、油路の簡素化およびコストの低減を図ることができる。
自動二輪車の左側面図である。 パワーユニットの左側面図である。 パワーユニットの右側面図である。 図2の4−4線断面図である。 図4の5−5線断面図である。 クランクケースならびに該クランクケースに結合されるカバー部材を図4と同一切断面で切断して示す断面図である。 図2の7−7線拡大断面図である。 図2の8−8線拡大断面図である。 図7の9矢示部拡大図である。 図7の10矢示部拡大図である。 図7の11矢示部拡大図である。 クランクケースおよび左カバー部材を図2の12−12線矢視方向から見た図である。 オイルパンを図2の13−13矢視方向から見た図である。 パワーユニットを後方から見た背面図である。 変速機用オイル系の一部を示す系統図である。 図2のウォータポンプおよび第1オイルポンプ付近を拡大して示す縦断側面図である。 図16の17−17線断面図である。 図16の18−18線断面図である。 図2の19−19線断面図である。 車体フレームの前部およびパワーユニットを前方から見た斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面に基づいて説明する。尚、以下の実施の形態での説明において、「前後」および「左右」は自動二輪車の進行方向での方向を言う。
本発明の実施例1について図1〜図20を参照しながら説明するが、先ず図1において、車両である自動二輪車の車体フレームFは、下端部で前輪WFを軸支したフロントフォーク15を操向可能に支承するヘッドパイプ16と、該ヘッドパイプ16から後方に延びるとともに彎曲して下方に延びる垂下部17aを後部に有するメインフレーム17と、前記ヘッドパイプ16から後下がりに傾斜した傾斜部18aならびに該傾斜部18aの後部から後方に延びる水平部18bを有して前記メインフレーム17の下方に配置される左右一対のダウンフレーム18…と、両ダウンフレーム18…における水平部18b…の後端および前記メインフレーム17における垂下部17aの下端を相互に連結するピボットプレート19と、前記メインフレーム17における垂下部17aの上部から後方に延びる左右一対のシートレール20…と、前記ピボットプレート19および両シートレール20…の中間部間を連結する左右一対の連結フレーム21…とを備える。
前記フロントフォーク15の上端には操向ハンドル22が連結され、前記シートレール20…上には乗員用シート23が設けられ、該乗員用シート23の前方で前記メインフレーム17を跨ぐ燃料タンク24が前記メインフレーム17に取付けられる。
前記メインフレーム17および前記ダウンフレーム18…で囲まれる部分には、ダウンフレーム18…およびピボットプレート19で支持される直列4気筒の内燃機関Eと、該内燃機関Eの動力を変速および減速して後輪WRに伝達する動力伝達装置Tとから成るパワーユニットPの大部分が配置される。
また前記ピボットプレート19には、後端部で後輪WRを軸支するスイングアーム25…の前端部が支軸26を介して揺動可能に支承されており、前記シートレール20…および前記スイングアーム25…間にリヤクッションユニット27が設けられる。
前記パワーユニットPが備える出力軸28および前記後輪WRの車軸29間には、前記出力軸28に設けられる駆動スプロケット30と、前記車軸29に固定される被動スプロケット31と、駆動スプロケット30および被動スプロケット31に巻き掛けられる無端状のチェーン32から成るチェーン伝動手段33が設けられる。
図2および図3において、前記内燃機関Eは、クランクケース36と、該クランクケース36の上部に結合されるシリンダブロック37と、シリンダブロック37の上端に結合されるシリンダヘッド38と、該シリンダヘッド38に結合されるヘッドカバー39と、前記クランクケース36の下部に結合されるオイルパン40とを備える。
各気筒に対応して前記シリンダヘッド38の後部側面に接続される吸気管41…の上流端は、燃料噴射弁42がそれぞれ付設されたスロットルボディ43…に接続され、各スロットルボディ43…の上流端は、車体フレームFの左側で前記パワーユニットPの後部上方に配置されるエアクリーナ44(図1参照)に接続される。また各気筒に対応してシリンダヘッド38の前部側面に接続される排気管45…は、図1で示すように、パワーユニットの右側下方を通過して後方に延出され、前記後輪WRの右側に配置される排気マフラー46に接続される。
前記クランクケース36は、前上がりに傾斜した割り面47で上部ケース半体48および下部ケース半体49が相互に結合されて成るものであり、車幅方向すなわち自動二輪車の幅方向に沿う軸線を有するクランクシャフト50が、上部ケース半体48および下部ケース半体49間で回転自在に支承される。
図4を併せて参照して、前記シリンダブロック37は、自動二輪車の進行方向前方に向けて前上がりとなるように傾斜してクランクケース36の上部ケース半体48に結合されるものであり、このシリンダブロック37には、クランクシャフト50の軸線に沿う方向に並ぶ4つのシリンダボア51…が設けられ、各シリンダボア51…に摺動自在に嵌合されるピストン52…が、クランクシャフト50が備えるクランクピン50a…にコネクティングロッド53…を介して連結される。
クランクケース36には、自動二輪車への搭載状態で左側から右側にかけてクランクシャフト50の軸線に沿う方向で相互に間隔をあけて配置される6つの第1〜第6ジャーナル壁54〜59が設けられ、クランクシャフト50は、第1〜第6ジャーナル壁54〜59で回転自在に支承される。
クランクケース36の左側側壁すなわち第1ジャーナル壁54から外方に突出したクランクシャフト50の端部には、ロータ60が固定されており、そのロータ60とともに発電機62を構成するステータ61が、発電機62を覆うようにしてクランクケース36の左側壁に締結される発電機カバー63に取付けられる。
図5を併せて参照して、前記割り面47よりも上方で前記クランクケース36には、前記発電機カバー63内に配置される始動用モータ64が、クランクシャフト50と平行な回転軸線を有するようにして取付けられており、この始動用モータ64から減速歯車機構65を介して動力が伝達される歯車66と、前記発電機62のロータ60との間に、歯車66側からの動力伝達を可能とした一方向クラッチ67(図4参照)が介設される。
また図4で明示するように、クランクケース36の右側側壁すなわち第6ジャーナル壁59から突出したクランクシャフト50の端部にはパルサ68が固定されており、そのパルサ68を覆ってクランクケース36に結合されるパルサカバー69の内部に、前記パルサ68の外周に対向するようにして回転数センサ70が取付けられる。
前記第3および第4ジャーナル壁56,57は、相互間にシリンダボア51を挟むことなく相互に近接して配置されるものであり、第3および第4ジャーナル壁56,57間に対応する部分で前記シリンダブロック37およびシリンダヘッド38には、チェーン室73が形成される。
ところでシリンダヘッド38には、各気筒毎に一対ずつの吸気弁74…と、各気筒毎に一対ずつの排気弁75…とが閉弁方向にばね付勢されつつ開閉作動可能に配設されており、シリンダヘッド38およびヘッドカバー39間に形成される動弁室76には、各吸気弁74…に対応してクランクシャフト50と平行に配置される吸気側カムシャフト77と、各排気弁75…に対応してクランクシャフト50と平行に配置される排気側カムシャフト78とを備える動弁装置79が、前記各吸気弁74…および前記各排気弁75…を開閉駆動すべく収納される。
而して吸気側カムシャフト77および排気側カムシャフト78には、前記クランクシャフト50からの回転動力が調時伝動手段80によって1/2の減速比で伝達されるものであり、この調時伝動手段80は、前記第3および第4ジャーナル壁56,57間でクランクシャフト50に設けられる駆動スプロケット81と、該駆動スプロケット81に対応した位置で前記吸気側カムシャフト77および前記排気側カムシャフト78にそれぞれ設けられる被動スプロケット82,83と、前記チェーン室73内を走行することを可能として前記駆動スプロケット81および前記両被動スプロケット82,83に巻き掛けられる無端状のタイミングチェーン84とで構成される。
図6を併せて参照して、前記クランクケース36は、第1〜第6ジャーナル壁54〜59が設けられる前半部36aと、右端部を前記前半部36aの右端部に面一とするとともに左端部を前記前半部36aの左端部よりも内方位置としてクランクシャフト50の軸線に沿う方向で前記前半部36aよりも幅を狭くした後半部36bとを有しており、前記後半部36bに左側から左カバー部材85が結合されるとともに、右側から第1右カバー部材86が結合される。また第1右カバー部材86には右側から第2右カバー部材87が結合され、第2右カバー部材87を右外方から覆う第3右カバー部材88がクランクケース36の前半部36aおよび後半部36bに結合される。
前記クランクケース36内には、前記クランクシャフト50の大部分を収容して前記シリンダボア51…に通じるクランク室89が形成され、クランクケース36と、該クランクケース36に結合される左カバー部材85、第1右カバー部材86および第2右カバー部材87とで変速機室90が形成され、クランクケース36には、前記前半部36aおよび前記後半部36bの連設部に配置されて前記クランク室89および前記変速機室90間を隔てる隔壁部36cおよび左壁部36dが設けられる。
図7において、前記変速機室90には動力伝達装置Tが収容される。而して動力伝達装置Tは、油圧制御による無段変速を可能としたベルト式の無段変速機91と、前記クランクシャフト50および無段変速機91間に設けられる入力クラッチ92と、後輪WRに動力を伝達するために前記左カバー部材85から外方に突出する出力軸28と、前記無段変速機91および出力軸28間に設けられる発進クラッチ93および歯車伝達機構94とを備える。
前記無段変速機91は、前記クランクシャフト50と平行な駆動プーリ軸95と、該駆動プーリ軸95よりも上方に配置される被動プーリ軸96と、駆動プーリ軸95に設けられる駆動プーリ97と、被動プーリ軸96に設けられる被動プーリ98と、駆動プーリ97および被動プーリ98に巻き掛けられる無端状の金属製のベルト99とを有するものであり、前記クランクシャフト50の軸線よりも後方に配置される。
前記駆動プーリ軸95は、前記クランクケース36の後半部36b、第1右カバー部材86および第2右カバー部材87を回転可能に貫通し、前記被動プーリ軸96は、前記クランクケース36の後半部36bおよび第1右カバー部材86を回転可能に貫通する。
前記駆動プーリ軸95の一端には、側面視で前記クランクケース36の上部に配置されるようにして内燃機関Eに設けられる第1オイルポンプ100が連結される。ところで前記変速機室90の外壁は、前記クランクケース36の後半部36b、左カバー部材85、第1右カバー部材86および第2右カバー部材87で構成されるのであるが、駆動プーリ軸95の一端側の壁部である左カバー部材85の上部に、第1オイルポンプ100が設けられる。
図8において、第1オイルポンプ100は、トロコイドポンプであり、そのポンプケース101は、前記左カバー部材85と、該左カバー部材85の内面に当接する平板状の第1ケース部材102と、第1ケース部材102との間に第1ポンプ室104を形成して第1ケース部材102を前記左カバー部材85との間に挟む椀状の第2ケース部材103とから成り、第1および第2ケース部材102,103は、複数のボルト105…による共締めで左カバー部材85に締結される。
前記駆動プーリ軸95は、クランクケース36の左壁部36dと、第2右カバー部材87とで回転自在に支承されており、第1ポンプ室104内に突入される駆動プーリ軸95の一端部には、相互に噛合して第1ポンプ室104に収納されるインナーロータ106およびアウターロータ107のうちインナーロータ106が相対回転不能に結合され、駆動プーリ軸95の他端部は第3右カバー部材88に液密に嵌入されている。また駆動プーリ軸95の一端部およびポンプケース101の第2ケース部材103との間には、ポンプ駆動軸95の一端部の振れを抑えるためのニードルベアリング108が介装される。
また前記第1オイルポンプ100に対応する部分で、左カバー部材85の外面側には第1オイルポンプ100と同軸のウォータポンプ109が配設されており、該ウォータポンプ109のポンプケース110は、駆動プーリ軸95と同軸に延びるとともに一部を前記左カバー部材85内に液密に嵌入せしめる円筒状の支持筒部111aを一体に有する第3ケース部材111と、第3ケース部材111に外側から重合される第4ケース部材112と、第4ケース部材112を第3ケース部材111との間に挟む第5ケース部材113とで構成され、第3、第4および第5ケース部材111,112,113は複数のボルト114…で締結され、第3、第4および第5ケース部材111,112,113は複数のボルト115…による共締めで左カバー部材85に結合される。
ポンプケース110内に形成される第2ポンプ室116には、ポンプ軸118の一端に固定されるインペラ117が収納されており、このポンプ軸118は液密にかつ回転自在に支持筒111a内に挿入され、前記駆動プーリ軸95の一端は前記ポンプ軸118の他端に同軸にかつ相対回転不能に連結される。
前記被動プーリ軸96の一端は、前記左カバー部材85に回転自在に支承され、該被動プーリ軸96の他端は第1右カバー部材86で回転自在に支承されて、第1右カバー部材86を貫通する。
前記駆動プーリ軸95には、クランクシャフト50からの回転動力が、一次減速歯車機構121およびダンパばね122を介して伝達されるものであり、クランクシャフト50の回転動力を減速して駆動プーリ軸95側に伝達する一次減速歯車機構121は、クランクシャフト50に設けられた一次駆動歯車123と、該一次駆動歯車123に噛合する一次被動歯車124とから成る。而して一次駆動歯車123は、図4で明示するように、第5および第6ジャーナル壁58,59間に配置されてクランクシャフト50に一体に設けられる。一方、第2および第3右カバー部材87,88間で駆動プーリ軸95には、駆動プーリ軸95を同軸に囲繞する円筒部125aを有する伝動部材125が固定されており、この伝動部材125に一次被動歯車124が制限された範囲での相対回転を可能として支承され、ダンパばね122が一次被動歯車124および伝動部材125間に設けられる。また伝動部材125の前記円筒部125aおよび第2右カバー部材87間に環状のシール部材126が介装される。
図9において、前記変速機室90内の第1および第2右カバー部材86,87間で前記駆動プーリ軸95には、入力クラッチ92が装着されており、入力クラッチ92は、駆動プーリ軸95に相対回転不能に結合されるクラッチアウタ131と、クラッチインナ132と、クラッチアウタ131にスプライン嵌合される複数枚の第1駆動摩擦板133…と、それらの第1駆動摩擦板133…と交互に重ねられるとともにクラッチインナ132にスプライン嵌合される複数枚の第1被動摩擦板134…と、交互に重なる第1駆動摩擦板133…および第1被動摩擦板134…に軸方向一方から対向するようにして前記クラッチアウタ131に固定される受圧板135と、交互に重なる第1駆動摩擦板133…および第1被動摩擦板134…に軸方向他方から対向する加圧板136と、該加圧板136を前記受圧板135から離反させる側に向けて付勢するクラッチばね137とを備える。
前記加圧板136は、クラッチアウタ131との間に第1油圧室138を形成するものであり、クラッチアウタ131にスライド可能に支承され、前記クラッチばね137は、クラッチアウタ131に装着されるばね受け部材139および加圧板136間に縮設される。また駆動プーリ軸95には、第1油圧室138に通じる第1油孔140が設けられる。
この入力クラッチ92では、第1油圧室138の油圧増大によって加圧板136がクラッチばね137のばね力に抗して受圧板135側に前進し、それにより第1駆動摩擦板133…および第1被動摩擦板134…が加圧板136および受圧板135間に挟圧され、駆動プーリ軸95からクラッチインナ132に動力を伝達するクラッチオン状態となり、第1油圧室138の油圧が低下するのに応じてクラッチオフ状態となる。
図10において、前記駆動プーリ97は、駆動プーリ軸95を同軸に囲繞する円筒状の筒軸部141aを一体に有する駆動側固定プーリ半体141と、該駆動側固定プーリ半体141に相対回転を不能としつつ軸方向のスライドを可能として支承されるとともに駆動側固定プーリ半体141に対向する駆動側可動プーリ半体142とから成る。また被動プーリ98は、被動プーリ軸96に一体に設けられた被動側固定プーリ半体143と、被動プーリ軸96に相対回転を不能としつつ軸方向のスライドを可能として支承されるとともに被動側固定プーリ半体143に対向する被動側可動プーリ半体144とから成る。
前記ベルト99は、駆動プーリ97および被動プーリ98に巻き掛けられるものであり、駆動側および被動側可動プーリ半体142,144の駆動側および可動側固定プーリ半体141,143に対する軸方向相対位置を油圧で制御することで、駆動プーリ97および被動プーリ98へのベルト99の巻き掛け半径が変化し、それにより駆動プーリ軸95から被動プーリ軸96への動力伝達が無段階に変速することになる。
駆動側固定プーリ半体141が一体に備える筒軸部141aは、駆動プーリ軸95との間に一対のニードルベアリング145,145を介装せしめて駆動プーリ軸95を同軸に囲繞するものであり、筒軸部141aの一端は、クランクケース36の後半部36bにおける左側側壁を回転自在に貫通し、筒軸部141aおよびクランクケース36間にはボールベアリング146が介装される。また筒軸部141aは第1右カバー部材86を回転自在に貫通し、前記入力クラッチ92におけるクラッチインナ132に同軸かつ相対回転不能に結合され、入力クラッチ92のクラッチオン状態で筒軸部141aすなわち駆動側固定プーリ半体141が駆動プーリ軸95とともに回転する。また前記筒軸部141aおよび第1右カバー部材86間にはボールベアリング147が介装される。
駆動側可動プーリ半体142は、第1右カバー部材86と反対側から駆動側固定プーリ半体141に対向する位置に配置されており、前記筒軸部141aを同軸に囲繞して該筒軸部141aに相対回転不能かつ軸方向移動可能に結合される円筒状の第1ボス部142aを一体に有し、該駆動側可動プーリ半体142をスライド駆動するための駆動側油圧駆動機構148が、駆動側可動プーリ半体142に関して駆動側固定プーリ半体141と反対側で前記筒軸部141aに配設される。
駆動側油圧駆動機構148は、前記第1ボス部142aを同軸に囲繞して前記駆動側可動プーリ半体142の外周部に一体に連設されるとともに駆動側固定プーリ半体141と反対側に延びる円筒状のケース部142bと、ケース部142bの内周および前記第1ボス部142aの外周に液密に摺接して駆動側可動プーリ半体142との間に第2油圧室149を形成するリング板状の第1端板150と、駆動側可動プーリ半体142に関して駆動側固定プーリ半体141と反対側で前記筒軸部141aに固定されるとともに先端部を前記第1端板150に当接させる固定椀状体151と、該固定椀状体151の内周に液密に摺接されるとともに前記第1ボス部142aに内周部が固定されて前記固定椀状体151との間に第3油圧室153を形成する第2端板152とを備える。
而して第2および第3油圧室149,153に通じる第2油孔154が前記筒軸部141aに設けられる。また駆動プーリ軸95および前記筒軸部141a間には、第2油孔154に通じる環状室155が形成されており、この環状室155の軸方向両端をシールする一対の環状のシール部材156,156が前記両ニードルベアリング145,145の外方で駆動プーリ軸95の外周に装着される。さらに駆動プーリ軸95には前記環状室155に通じる複数の第3油孔157…が設けられる。
また第2および第3油圧室149,153に作用する油圧に応じた油圧力で、駆動側可動プーリ半体142は、ベルト99の駆動プーリ97への巻き掛け半径を大きくするように駆動側可動プーリ半体142を駆動側固定プーリ半体141に近接する側に付勢される。
被動側固定プーリ半体143は、駆動プーリ97における駆動側可動プーリ半体142に対応する位置で被動プーリ軸96に一体に設けられており、駆動プーリ軸95および被動プーリ軸96の軸線に沿う方向から見て駆動側可動プーリ半体142および被動側固定プーリ半体143は、それらの一部が重なるように配置され、駆動側可動プーリ半体142および被動側固定プーリ半体143の相互干渉が生じることを避けるための逃げ凹部158が、駆動側可動プーリ半体142の外周に設けられる。
図7に注目して、被動側可動プーリ半体144は、駆動プーリ97における駆動側固定プーリ半体141に対応する位置に配置されており、該被動側可動プーリ半体144の内周部に一体に連設されて被動側固定プーリ半体143と反対側に延びるとともに被動プーリ軸96を同軸に囲繞する第2ボス部144aが、被動プーリ軸96に相対回転不能かつ軸方向移動可能に結合される。
しかも駆動プーリ軸95および被動プーリ軸96の軸線に沿う方向から見て駆動側固定プーリ半体141および被動側可動プーリ半体144は、それらの一部が重なるように配置され、駆動側固定プーリ半体141および被動側可動プーリ半体144の相互干渉が生じることを避けるための逃げ凹部159が、被動側可動プーリ半体144の外周に設けられる。
このように駆動側可動プーリ半体142および被動側固定プーリ半体143の相互干渉が生じることを避けるための逃げ凹部158が駆動側可動プーリ半体142の外周に設けられ、駆動側固定プーリ半体141および被動側可動プーリ半体144の相互干渉が生じることを避けるための逃げ凹部159が被動側可動プーリ半体144の外周に設けられることにより、駆動プーリ軸95および被動プーリ軸96を近接させて無段変速機91をコンパクトに構成することができる。
前記被動側可動プーリ半体144をスライド駆動するための被動側油圧駆動機構160は、被動側可動プーリ半体144に関して被動側固定プーリ半体143と反対側で被動プーリ軸96に配設されるものであり、この被動側油圧駆動機構160は、前記第2ボス部144aを同軸に囲繞して前記被動側可動プーリ半体144の外周部に一端が固定されるとともに被動側固定プーリ半体143と反対側に延びる円筒状のケース部材161と、ケース部材161の内周に液密に摺接して被動側可動プーリ半体144との間に第4油圧室162を形成するとともに内周部が被動プーリ軸96に固定される端壁部材163と、内燃機関Eの停止時にベルト99の緩みを防止すべく被動側可動プーリ半体144および端壁部材163間に縮設されるコイルばね164とを有する。
而して第4油圧室162に通じる第4油孔165が被動プーリ軸96に設けられており、第4油圧室162に作用する油圧に応じた油圧力で、被動側可動プーリ半体144は、ベルト99の被動プーリ98への巻き掛け半径を大きくするように被動側可動プーリ半体144を被動側固定プーリ半体143に近接する側に付勢される。しかもケース部材161の他端には、被動側固定プーリ半体143とは反対側から前記端壁部材163に当接することで、被動側可動プーリ半体144の被動側固定プーリ半体143への近接限を規制する規制板部161aが半径方向内方に張り出すようにして一体に連設される。
図11において、発進クラッチ93は、無段変速機91における被動プーリ98および前記左カバー部材85間で被動プーリ軸96に装着されるものであり、被動プーリ軸96に相対回転不能に結合される円筒状のボス部材168が内周に結合されるクラッチアウタ169と、該クラッチアウタ169で同軸に囲繞されるとともに被動プーリ軸96にニードルベアリング171を介して相対回転自在に支承されるクラッチインナ170と、前記クラッチアウタ169に相対回転不能に係合される複数枚の第2駆動摩擦板172…と、前記クラッチインナ170に相対回転不能に係合されるとともに第2駆動摩擦板172…と交互に配置される複数枚の第2被動摩擦板173…と、相互に重なって配置される第2駆動および第2被動摩擦板172…,173…に対向してクラッチアウタ169に固定的に支持される受圧板174と、第2駆動および第2被動摩擦板172…,173…を受圧板174との間に挟むとともに第5油圧室176を前記クラッチアウタ169との間に形成するピストン175と、第5油圧室176の容積を減少させる側に前記ピストン175を付勢するばね177とを備える。
前記ピストン175の内周部はボス部材168の外周に液密に摺接され、前記ピストン175の外周は前記クラッチアウタ169に液密に摺接される。しかも被動プーリ軸96には第5油圧室176に通じる第5油孔178が設けられており、第5油圧室176の油圧増大に応じて前記ピストン175は、第2駆動および第2被動摩擦板172…,173…を前記受圧板174との間に挟圧するように作動し、それにより発進クラッチ93が、被動プーリ軸96からクラッチアウタ169に伝達される回転動力をクラッチインナ170に伝達するクラッチオン状態となる。
また第5油圧室176とは反対側で前記ピストン175との間にキャンセラー室179を形成する壁部材180の内周部が、前記ボス部材169に固定されており、この壁部材180の外周部に前記ピストン175が液密に摺接される。しかも前記ばね177は、キャンセラー室179に収容されて前記ピストン175および前記壁部材180間に介設される。また前記被動プーリ軸96および前記ボス部材169には、キャンセラー室179に潤滑用オイルを導くオイル通路181が設けられている。したがって減圧状態での第5油圧室176のオイルに回転に伴う遠心力が作用して前記ピストン175を押圧する力が生じても、キャンセラー室179のオイルにも同様に遠心力が作用するので、ピストン175が、第2駆動および第2被動摩擦板172…,173…を受圧板174との間に挟む側に不所望に移動してしまう状態が生じることが回避される。
図4に注目して、前記出力軸28の一端は左カバー部材85を回転自在に貫通し、出力軸28および左カバー部材85間には、外方側から順に環状のシール部材182およびボールベアリング183が介装され、左カバー部材85から突出した出力軸28の一端に、チェーン伝動手段33の一部を構成する駆動スプロケット30が固定される。また前記出力軸28の他端は、前記クランクケース36の後半部36bにローラベアリング184を介して回転自在に支承される。
前記歯車伝達機構94は、クランクケース36および左カバー部材85間に配置されて前記発進クラッチ93のクラッチインナ170および出力軸28間に設けられるものであり、クラッチインナ170に一体に形成される駆動歯車185と、該駆動歯車185に噛合して出力軸28に一体に設けられる被動歯車186とから成り、発進クラッチ93のクラッチオン状態で、被動プーリ軸96の回転動力が歯車伝達機構94を介して出力軸28に伝達される。
ところで変速機室90の外壁を構成するクランクケース36の後半部36b、左カバー部材85、第1右カバー部材86および第2右カバー部材87のうちクランク室89および変速機室90間に介在する第2右カバー部材87を駆動プーリ軸95が貫通するが、該駆動プーリ軸95の外周に密着して固定される伝動部材125および第2右カバー部材87間に環状のシール部材126が介装されており、円筒状である駆動プーリ軸95の他端部および第3右カバー部材88間にも環状のシール部材187(図4および図7参照)が介装されるので、変速機室90はクランク室89とは液密に隔絶されることになる。
図12において、前記クランクケース36における下部ケース半体49の前半部36aにおける下面には、無端状に連なる第1割り面190がクランク室39に対応して形成され、前記クランクケース36における下部ケース半体49の後半部36bにおける下面ならびに該後半部36bに結合される左カバー部材85の下面には、隔壁部36cでは第1割り面190の一部を共用するようにして無端状に連なるとともに変速機室90に対応した第2割り面191が形成される。
図13を併せて参照して、オイルパン40には、前記オイルパン内40を、前記内燃機関Eの各潤滑部用のオイルを貯留する内燃機関用オイル貯留室196と、少なくとも無段変速機91の作動を制御するためのオイルを貯留するようにして内燃機関用オイル貯留室196の後方に配置される変速機用オイル貯留室197とに区画する隔壁193が設けられ、変速機用オイル貯留室197に貯留されるオイルは、この実施例1では、前記無段変速機91を含む動力伝達装置Tの潤滑および無段変速機91の変速制御に用いられるとともに、入力クラッチ92および発進クラッチ93の制御に用いられる。
オイルパン40の上面には、クランクケース36の第1割り面190に結合される無端状の第3割り面194と、前記隔壁193に対応する部分では第3割り面194の一部を共用するようにして無端状に連なるとともにクランクケース36および左カバー部材85の第2割り面191に結合される第4割り面195とが形成され、第1および第2割り面190,191に第3および第4割り面194,195を結合するようにしてオイルパン40が、クランクケース36および左カバー部材85に複数のボルト198で締結され、内燃機関用オイル貯留室196はクランク室89の下部に連通される。
図7に注目して、前記クランクケース36における下部ケース半体49の後半部36bおよび左カバー部材85には、前記変速機用オイル貯留室197および変速機室90間に介在する天井壁部199が変速機用オイル貯留室197の天井壁となるようにして設けられており、この天井壁部199に、変速機用オイル貯留室197および変速機室90間を連通する複数の連通孔200…が設けられ、これにより変速機用オイル貯留室197が変速機室90に連通する。
ところで、前記変速機用オイル貯留室197は、左カバー部材85の下部、オイルパン40および前記天井壁部199で形成されるものであり、自動二輪車の幅方向で前記変速機用オイル貯留室197の一部は前記変速機室90よりも外側方に膨出しており、左カバー部材85の下部およびオイルパン40の左側壁が、図7で明示するように、左カバー部材85の上部よりも外側方に膨出するように形成される。
しかも自動二輪車の幅方向に沿う前記変速機用オイル貯留室197の中心C2が、前記幅方向中央の車体中心線C1から左右いずれか一方、この実施例では左方にずれるようにして、変速機用オイル貯留室197が、自動二輪車の車幅方向で左側に偏って内燃機関Eに形成されており、無段変速機91は、変速機用オイル貯留室197とは逆に前記車体中心線C1から右方にずれて配置されている。
上述のように自動二輪車の幅方向に沿う変速機用オイル貯留室197の中心C2が車体中心線C1から左方にずれて配置され、ずれた側で変速機用オイル貯留室197が変速機室90よりも外側方に膨出するので、図14で示すように、車体中心線C1から右方側でクランクケース36の下方には、空きスペースを確保することができ、そのスペースには4つの排気管45…ならびにそれらの排気管45…を集合させた集合排気管188等が配置される。
しかも自動二輪車の両側には、車体フレームFもしくは内燃機関Eに設けられるステップ189,189が配置されるものであり、自動二輪車のバンク角αは、前記両ステップ189,189で定まるのであるが、変速機用オイル貯留室197は、前記バンク角α内に収まる範囲で、変速機室90よりも外側方(この実施例では左側方)に一部を膨出せしめるように形成されている。
ところで変速機室91の外壁の一部を構成する壁部となる左カバー部材85の上部には、前記無段変速機91を含む動力伝達装置Tの潤滑用、無段変速機91の変速制御用ならびに入力クラッチ92および発進クラッチ93の制御用のオイルを貯留する変速機用オイル貯留室197からオイルを汲み上げる第1オイルポンプ100が、無段変速機91の一部を構成する駆動プーリ軸95の一端が連結されるようにして配設されており、変速機用オイル貯留室197は、第1オイルポンプ100が配設される壁部すなわち左カバー部材85の上部よりも外側方に一部が膨出するように形成されている。
変速機用オイル貯留室197にはオイルストレーナ201が配設され、変速機用オイル貯留室197の天井壁となるようにしてクランクケース36における下部ケース半体49の後半部36bおよび左カバー部材85に設けられた天井壁部199のうち左カバー部材85側の部分、すなわち変速機用オイル貯留室197のうちの膨出部には、前記オイルストレーナ201に連なる接続管202が下方に延びるようにして設けられる。
しかも前記左カバー部材85の外側面には、前記変速機用オイル貯留室197のオイルを第1オイルポンプ100に導くための吸入油路203が上下に延びて設けられ、変速機用オイル貯留室197の天井壁のうち変速機室90よりも外側方に膨出した部分に配置される前記接続管部202に吸入油路203の下端部が連通され、吸入油路203の上端部は、第1オイルポンプ100の第1ポンプ室104に連通する。
また自動二輪車の前後方向に沿う内燃機関Eの後部一側側面、この実施例1ではクランクケース36における下部ケース半体49の後部左側側面に、変速機用オイル貯留室197にオイルを注入するための変速機用オイル注入口204(図2および図12参照)が設けられる。而して変速機用オイル注入口204は、変速機用オイル貯留室197の天井壁となる前記天井壁部199のうち変速機室90よりも外側方に膨出した部分に、上方に向かうにつれて左カバー部材85の外面から離反するように傾斜した軸線を有して設けられる。この変速機用オイル注入口204には、変速機用オイル貯留室197内に貯留されたオイルの量を確認するためのレベルゲージ205(図2および図7参照)が挿脱可能に装着される。
図15において、変速機用オイル貯留室197内のオイルを、オイルストレーナ201および吸入油路203を介して汲み上げて無段変速機91に供給する第1オイルポンプ100は、変速機用オイル貯留室197のオイルを循環させる変速機用オイル系206の一部を構成するものであり、この変速機用オイル系206は、前記オイルストレーナ201および吸入油路203に加えて、第1オイルポンプ100から吐出されるオイルを導く給油路207と、該給油路207で供給されるオイルの圧力を制御する油圧制御装置208と、該油圧制御装置208から排出される余剰オイルを第1オイルポンプ100の吸い込み側に戻す余剰油路209と、前記油圧制御装置208から排出される余剰オイルの油圧が所定圧以上となるのに応じて開弁するようにして前記余剰油路209の途中に介設されるリリーフ弁210と、該リリーフ弁210の上流側で前記余剰油路209からオイルの一部を導いて冷却した後にオイルパン40の変速機用オイル貯留室197側に戻す第1オイルクーラ211とを備え、第1オイルクーラ211の入口側はオリフィス232を介して余剰油路209に接続される。
前記油圧制御装置208は、パイロット圧に応じて作動するレギュレータ弁212と、該レギュレータ弁212からのオイルを所低圧に減圧する減圧弁213と、前記レギュレータ弁212のパイロット圧を選択するパイロット圧切換弁214とで構成されるものであり、減圧弁213から出力されるオイルが、変速機用オイル系206の一部を構成するようにしてクランクケース36の後側上部側壁に取付けられるシフト制御用の電磁制御弁装置215ならびに第3右カバー部材88の上部に取付けられる電磁制御弁221(図3参照)に供給される。
前記レギュレータ弁212は、パイロット圧切換弁214で選択されるパイロット圧に応じて作動して油圧を制御するものであり、このレギュレータ弁212で生じる余剰オイルが余剰油路209に導かれる。
また電磁制御弁装置215で制御される油圧は、駆動側油圧駆動機構148における第2および第3油圧室149,153、被動側油圧駆動機構160における第4油圧室162および発進クラッチ93における第5油圧室176に供給され、電磁制御弁221で制御される油圧は、入力クラッチ92における第1油圧室138に供給される。
図7,図9〜図11に注目して、駆動プーリ軸95には、第3右カバー部材88側に開放した有底の第1中心油路216が同軸に設けられており、この第1中心油路216内には、第3油孔157…に通じる円筒状の第1筒部材217が液密にかつ同軸に挿入される。また第1筒部材217に通じる油路218が前記電磁制御弁装置215からの油圧を導くようにして第3右カバー部材88に設けられる。また入力クラッチ92における第1油圧室138に連なる第1油孔140に通じる環状通路220(図9参照)を第1筒部材217との間に形成する円筒状の第2筒部材219が第1筒部材217を同軸に囲繞して第1中心油路216内に同軸に挿入されており、第3右カバー部材88に取付けられた電磁制御弁221で、第1オイルポンプ100から吐出される油圧の前記環状通路220への作用および解放が切換えられる。
図7に注目して、被動プーリ軸96には、第3右カバー部材88側に開放した有底の第2中心油路223および左カバー部材85側に開放した有底の第3中心油路224が同軸に設けられる。第2中心油路223内には、発進クラッチ93におけるキャンセラー室179に連なるオイル通路181に通じるようにして円筒状の第3筒部材225が第3右カバー部材88側から同軸に挿入され、第3筒部材225に通じる油路226が、前記レギュレータ弁212からの余剰オイルを導くようにして第3右カバー部材88に設けられる。
また被動側油圧駆動機構160における第4油圧室162に第4油孔165を介して通じる環状油路228を第3筒部材225との間に形成する円筒状の第4筒部材227が第3筒部材225を同軸に囲繞して第2中心油路223内に同軸に挿入されており、前記環状油路228を第3右カバー部材88の前記油路218に連通せしめる接続管229が第2右カバー部材87および第3右カバー部材88間に設けられる。
図11に注目して、第3中心油路224内には、発進クラッチ93における第5油圧室176に連なる第5油孔178に通じるようにして円筒状の第5筒部材230が左カバー部材85側から同軸に挿入され、第5筒部材230に通じる油路231が、前記クランクケース36の後側上部側壁に設けられた電磁制御弁装置215からの油圧を導くようにして左カバー部材85に設けられる。
図16において、前記油圧制御装置208は、ウォータポンプ109および第1オイルポンプ100の上方かつクランクケース36の上方、この実施例1では前記クランクケース36の上面に配設されており、前記給油路207は、前記油圧制御装置208に下方から接続され、前記油圧制御装置208から排出される余剰オイルを導く余剰油路209の一端が前記油圧制御装置208に下方から接続され、第1オイルポンプ100におけるポンプケース101の外形の範囲内で第1オイルポンプ100の吸い込み側に前記余剰油路209の他端が接続される。
図17を併せて参照して、前記給油路207は、第1オイルポンプ100の吐出側に一端を連ならせるとともに電磁制御弁装置215側に向けて直線状に延びるようにしてポンプケース101の左カバー部材85に設けられる第1給油路直線部207aと、一端部が第1給油路直線部207aの他端部に一端部を略直角に連ならせるとともに第1オイルポンプ100の回転軸線と平行に延びるようにして前記左カバー部材85に設けられる第2給油路直線部207bと、左カバー部材85およびクランクケース36の上部ケース半体48間に挟まれるスリーブ233を介して第2給油路直線部207bの他端部に一端部を同軸に連なるようにして前記上部ケース半体48に設けられる第3給油路直線部207cと、前記油圧制御装置208の下方で上下に直線状に延びるようにして前記上部ケース半体48に設けられるとともに一端部が第3給油路直線部207cの他端部に通じる第4給油路直線部207dとを有し、第4給油路直線部207dの他端部が油圧制御装置208に接続される。
図8および図18を併せて参照して、前記余剰油路209は、前記油圧制御装置208に一端部が接続されてクランクケース36の上部ケース半体48に設けられるとともに油圧制御装置208から左カバー部材85側に延びる第1余剰油路直線部209aと、左カバー部材85およびクランクケース36の上部ケース半体48間に挟まれるスリーブ234を介して第1余剰油路直線部209aの他端部に一端部を同軸に連ならせるようにして前記左カバー部材85に設けられる第2余剰油路直線部209bと、一端部が第2余剰油路直線部209bの他端部に直角に連なるようにして前記左カバー部材85に設けられるとともに前記油圧制御装置208の下方で上下に直線状に延びる第3余剰油路直線部209cと、前記給油路207の第1給油路直線部207aよりも下方で前記第3余剰油路直線部209cの他端部に一端部を直角に連ならせるようにしてポンプケース101の左カバー部材85、第1ケース部材102および第3ケース部材103に設けられるとともに第1オイルポンプ100の回転軸線と平行に延びる第4余剰油路直線部209dと、第4余剰油路直線部209dの他端部との間にリリーフ弁210を介在させてポンプケース101の第2ケース部材103に設けられる第5余剰油路直線部209eとで構成され、第5余剰油路直線部209eは、第1オイルポンプ100の回転軸線と直交する平面内に軸線を配置するとともにポンプケース101の外形の範囲内で第1オイルポンプ100の吸い込み側に接続されるようにして前記回転軸線よりも下方に配置され、この実施例1では、図8で示すように、第5余剰油路直線部209eが第1オイルポンプ100の第1ポンプ室104に直接連通される。
すなわち余剰油路209のうち第3余剰油路直線部209cの一端部から第1オイルポンプ100の吸い込み側までを少なくとも含む部分、この実施例1では、余剰油路209を構成する第1〜第5余剰油路直線部20a〜209eのうち第2余剰油路209bから第5余剰油路直線部209eまでの余剰油路209の大部分が、ポンプケース101に設けられることになる。
しかも給油路207の一部を構成して前記油圧制御装置208の下方で上下に直線状に延びる第4給油路直線部207dと、前記余剰油路209の一部を構成して前記油圧制御装置208の下方で上下に直線状に延びる第3余剰油路直線部209cとが,図16で示すように、側面視で略平行に配置される。
また第3余剰油路直線部209cは、側面視で、第4給油路直線部207dと、第1オイルポンプ100とで前後を挟まれる位置に配置されるものであり、作動軸線を第1オイルポンプ100の回転軸線と平行にしたリリーフ弁210が、前後方向で第3余剰油路直線部209cおよび第1オイルポンプ100の回転軸線間に配置される。すなわちこの実施例1では、第1オイルポンプ100の回転軸線と平行に延びるようにして第3余剰油路直線部209cに一端部を直角に連ならせる第4余剰油路直線部209dと、第4余剰油路直線部209dと直交する方向に延びる第5余剰油路直線部209eとの間に、リリーフ弁210が配設される。
また給油路207および前記余剰油路209の一部が、第1オイルポンプ100の回転軸線に沿う方向でインナーロータ106およびアウターロータ107の両側に分かれて配置されるものであり、この実施例1では、給油路207の第1給油路直線部207aと、余剰油路209の第5余剰油路直線部209eとが、第1オイルポンプ100の回転軸線に沿う方向でインナーロータ106およびアウターロータ107の両側に分かれて配置される。
図5で示すように、オイルパン40の内燃機関用オイル貯留室196内にはオイルストレーナ237が配設されており、このオイルストレーナ237を介して内燃機関用オイル貯留室196からオイルを吸い上げる第2オイルポンプ238が、クランクケース36の下部である下部ケース半体49に配設され、第2オイルポンプ238から吐出されるオイルは、内燃機関Eの各潤滑部に供給される。
第2オイルポンプ238は、図3で示すように、クランクシャフト50と平行な軸線を有するポンプ軸240を備えており、クランクシャフト50に設けられる駆動スプロケット241と、第2オイルポンプ238のポンプ軸240に設けられた被動スプロケット242とに無端状のチェーン243が巻き掛けられ、クランクシャフト50からの動力伝達によって第2オイルポンプ238が駆動される。
この第2オイルポンプ238と、第2オイルポンプ238から吐出されるオイルを浄化するオイルフィルタ244と、該オイルフィルタ244で浄化されたオイルを冷却するオイルクーラ245と、該オイルクーラ245で冷却された後にオイルが導かれるようにしてクランクケース36に設けられたメーンギャラリ246とは、内燃機関用オイル貯留室196のオイルを循環させる内燃機関用オイル系247を構成するものであり、この内燃機関用オイル系247は、変速機用オイル系206とは相互に独立してパワーユニットPに設けられる。
ところで内燃機関Eの後部一側側面すなわち後部左側側面には変速機用オイル貯留室197にオイルを注入するための変速機用オイル注入口204が設けられるのであるが、内燃機関Eの後部他側側面すなわち後部右側側面には、図3および図7で示すように、内燃機関用オイル貯留室196にオイルを注入するための内燃機関用オイル注入口248が、変速機用オイル注入口204よりも高い位置に配置されるようにして第3右カバー部材88の上部に設けられる。
前記内燃機関用オイル注入口248は、第3右カバー部材88に一体に突設される注入筒249内に形成されるものであり、注入筒249の外端部には、内燃機関用オイル注入口248を閉じるフィラーキャップ250が着脱可能に装着される。
ところで第3右カバー部材88の上部において、前記内燃機関用オイル注入口248の周囲には、入力クラッチ92の第1油圧室138に供給する油圧を制御する電磁制御弁221が配設されており、この電磁制御弁221は、高さ方向で前記内燃機関用オイル注入口248と同一位置もしくは高い位置となるようにして第3右カバー部材88の上部に配設される。しかも内燃機関用オイル注入口248を形成する注入筒249は、外端側に向かうにつれて前記電磁制御弁221から離れるように傾斜して第3右カバー部材88に一体に設けられる。
ところで、自動二輪車の前後方向で内燃機関用オイル貯留室196の後方側に配置される変速機用オイル貯留室197は、車幅方向では一側である左側に偏って内燃機関Eに形成されるものであり、車幅方向で変速機用オイル貯留室197の他側である右側で自動二輪車の前後方向に延びる空間251が内燃機関Eに形成されるものであり、図7および図19で示すように、前記空間251は、前端をクランク室89に連通させるようにして、クランクケース36、該クランクケース36に結合される第1右カバー部材86ならびに第1右カバー部材86に結合される第2右カバー部材87と、第3右カバー部材88との間に形成されるものであり、空間251の後半部底壁は、前記クランクケース36の後半部36bが有する略平坦な底壁252で形成される。
しかも前記底壁252の前部左側には、空間251を内燃機関用オイル貯留室196に連通させる連通孔253が設けられており、空間251は、内燃機関用オイル貯留室196に通じることになる。また前記内燃機関用オイル注入口248は、前記空間251に通じるようにして第3右カバー部材88に設けられる。
また図3で明示するように、内燃機関用オイル貯留室196に貯留されるオイル量を確認するオイル量確認窓254が、内燃機関用オイル注入口248よりも低い位置かつ車幅方向で内燃機関用オイル注入口248と同一側で内燃機関Eに設けられるものであり、この実施例1では、クランクケース26の右側面に設けられる。
ところで内燃機関用オイル系247のオイルはオイルクーラ245で冷却され、変速機用オイル系206のオイルは、前記オイルクーラ245とは独立したオイルクーラ211で冷却されるのであるが、内燃機関用オイル系247のオイルクーラ245は水冷式に構成され、変速機用オイル系206のオイルクーラ211は空冷式に構成される。
図20において、内燃機関Eの前方には該内燃機関Eを冷却する冷却水から放熱するためのラジエータ256が配置され、このラジエータ256は、車体フレームFにおけるメインフレーム17の前端部およびダウンフレーム18…の傾斜部18a…に支持される。ところで、内燃機関用オイル系247のオイルクーラ245および変速機用オイル系206のオイルクーラ211は自動二輪車の上下に分かれて配置されるものであり、変速機用オイル系206のオイルクーラ211は、前記ラジエータ256に左右一対のステー257,257を介して支持されるようにして該ラジエータ256の前方に配置され、内燃機関用オイル系247のオイルクーラ245は、前記変速機用オイル系206のオイルクーラ211よりも下方に配置されるようにしてクランクケース36の前部側壁に取付けられる。
しかも上方のオイルクーラ211にオイルを供給する第1オイルポンプ100が、側面視でクランクケース36の上部に配置されるようにして内燃機関Eに設けられるのに対し、前記オイルクーラ211よりも下方に配置されるオイルクーラ245にオイルを供給する第2オイルポンプ238はクランクケース36の下部に配設されている。
ところで変速機用オイル系206の油圧制御装置208から排出される余剰油路209からオリフィス232(図15参照)を介して分岐された供給側ホース258が内燃機関Eの後部左側側面から内燃機関Eの左側を通るようにして前記オイルクーラ211まで延出され、該オイルクーラ211で冷却されたオイルを導く戻り側ホース259が、オイルクーラ211から内燃機関Eの左側後部を通って内燃機関Eの後方まで延出され、クランクケース36に後側下部側面に接続される。また戻り側ホース259はオイルパン40に接続されており、戻り側ホース259で導かれたオイルは、オイルパン40内の変速機オイル貯留室197に戻される。
次にこの実施例1の作用について説明すると、内燃機関Eには、内燃機関Eの各部を潤滑するためのオイルを貯留する内燃機関用オイル貯留室196と、少なくとも無段変速機91の作動を制御するためのオイルを貯留する変速機用オイル貯留室197とが、相互に液密に区画されるとともに内燃機関用オイル貯留室196の後方に変速機用オイル貯留室197が配置されるようにして形成されており、しかも変速機用オイル貯留室197が車幅方向一側(左側)に偏って内燃機関Eに形成され、車幅方向で変速機用オイル貯留室197の他側(右側)で前後方向に延びるとともに内燃機関用オイル貯留室196に通じる空間251が内燃機関Eに形成され、前後方向に沿う内燃機関Eの後部一側(左側)側面に変速機用オイル注入口204が設けられ、前後方向に沿う内燃機関Eの後部他側(右側)側面に、内燃機関用オイル注入口248が空間251に通じるようにして設けられている。
したがってクランクシャフト50から後方に離れて幅が比較的狭くなる内燃機関Eの後部両側に変速機用オイル注入口204および内燃機関用オイル注入口248を振り分けて設けるようにして、内燃機関Eの幅が大きくなるのを回避することができる。
また内燃機関用オイル注入口248の周囲で内燃機関Eには、高さ方向で内燃機関用オイル注入口248と同一位置もしくは高い位置となる電磁制御弁221が配設されるので、内燃機関用オイル注入口248によるオイル注入時にこぼれたオイルが電磁制御弁221に付着するのを防止することができる。
しかも内燃機関用オイル注入口248を形成する注入筒249が、外端側に向かうにつれて前記電磁制御弁221から離れるように傾斜して内燃機関Eに設けられるので、電磁制御弁221との干渉を回避しつつ内燃機関用オイル注入口248を電磁制御弁221の近傍に配置することができる。
また内燃機関用オイル注入口248は、変速機用オイル注入口204よりも高い位置に配置されており、内燃機関Eの幅が大きくなるのを抑制することができる。すなわち内燃機関Eの両側で変速機用オイル注入口204および内燃機関用オイル注入口248の高さを同一にすると、変速機用オイル注入口204および内燃機関用オイル注入口248が設けられる高さで内燃機関Eの幅が大きくなってしまうが、内燃機関Eの両側で変速機用オイル注入口204および内燃機関用オイル注入口248の高さを異ならせることで、内燃機関Eの幅が大きくなるのを抑制することができるのである。
また内燃機関用オイル貯留室196に貯留されるオイル量を確認するオイル量確認窓254が、内燃機関用オイル注入口248よりも低い位置かつ車幅方向で内燃機関用オイル注入口248と同一側で内燃機関Eに設けられるので、内燃機関用オイル注入口248からのオイル注入時に注入量を調整し易くなる。
ところで内燃機関用オイル貯留室196のオイルを循環させる内燃機関用オイル系247の一部を構成する通路すなわち給油路207および余剰油路209等と、変速機用オイル貯留室197のオイルを循環させる変速機用オイル系206の一部を構成する通路たとえばメーンギャラリー246等とが相互に独立して内燃機関Eに設けられるのであるが、内燃機関用オイル系247のオイルおよび変速機用オイル系206のオイルも相互に独立したオイルクーラ245,211でそれぞれ個別に冷却されるので、両オイルクーラ245,211を相互に離隔させてパワーユニットPの各部に配置することができ、他の部品にオイルクーラ245,211をともに内蔵させた場合に比べると、他の部品に与える影響を小さくし、オイルクーラ245,211の分散配置によって配管経路の単純化を図ることができる。
また両オイルクーラ245,211の一方245が水冷式に構成され、他方のオイルクーラ211が空冷式に構成されるので、内燃機関Eを冷却するための冷却水の温度がオイルクーラ245での熱交換によって上昇するのを抑制でき、ひいてはラジエータ256の容量を低減して小型化を図ることができ、冷却水を送るための配管も減少することができる。
しかもラジエータ256とは別体である水冷式のオイルクーラ245が、内燃機関Eのうち前記ラジエータ256よりも下方に配置されるクランクケース36の前部側面に配設され、空冷式のオイルクーラ211が、ラジエータ256の周辺(この実施例ではラジエータ256の前方)に配置されるので、オイルクーラを配置するスペースの確保が特に難しい自動二輪車において、ラジエータ256の周囲に、水冷式および空冷式のオイルクーラ245,211を集約配置するようにして、配置効率の向上によって自動二輪車の小型化を図ることができる。
さらに両オイルクーラ245,211が、自動二輪車の上下に分かれて配置され、前記内燃機関用オイル系247および前記変速機用オイル系206が個別に備えて相互に独立したオイルポンプ238,100のうち側面視でクランクケース36の上部に位置するようにして内燃機関Eに配設される第1オイルポンプ100が、上方のオイルクーラ211に接続され、前記両オイルポンプ238,100のうち側面視でクランクケース36の下部に位置するようにして該クランクケース36に配設される第2オイルポンプ238が、下方のオイルクーラ245に接続されるので、オイルポンプ100,238およびオイルクーラ211,245間の配管を上下に分散し、集中化による複雑化を回避することができる。
また第1オイルポンプ100から吐出されるオイルを導く給油路207が、クランクケース36の上面に配設される油圧制御装置208に下方から接続され、油圧制御装置208から排出される余剰オイルを導く余剰油路209の一端が前記油圧制御装置208に下方から接続されるので、給油路207および余剰油路209をクランクケース36の上部かつ第1オイルポンプ100の周囲に集約して配置することができ、給油路207および余剰油路209を短くかつ簡素化して配置することができる。しかも余剰油路209の他端が、第1オイルポンプ100におけるポンプケース101の外形の範囲内で第1オイルポンプ100の吸い込み側に接続されるので、余剰オイルの吸い込みヘッドを小さくし、第1オイルポンプ100のポンプ効率を高めることができる。
また余剰油路209の他端が、前記ポンプケース101内に形成される第1ポンプ室104に直接連通されるので、第1オイルポンプ100のポンプ効率をより高めることができる。
また給油路207の一部を構成して前記油圧制御装置208の下方で上下に直線状に延びる第4給油路直線部207dと、前記余剰油路209の一部を構成して前記油圧制御装置208の下方で上下に直線状に延びる第3余剰油路直線部209cとが側面視で略平行に配置されるので、給油路207および余剰油路209を交差させて配置する場合に比べて、給油路207および余剰油路209を短く、かつ簡素化することができる。
また給油路207の一部である第1給油路直線部207aと、余剰油路209の一部である第5余剰油路直線部209eとが、第1オイルポンプ100の回転軸線に沿う方向でインナーロータ106およびアウターロータ107の両側に分かれて配置されるので、第1オイルポンプ100の周囲では給油路207および余剰油路209を分散配置して、油路構造をより簡素化することができる。
また余剰油路209の一部を構成して前記油圧制御装置208から下方に直線状に延びる第3余剰油路直線部209cが、側面視で、前記給油路207の一部を構成して前記油圧制御装置208から下方に延びる第4給油路直線部207dと、第1オイルポンプ100とで前後を挟まれる位置に配置され、前後方向で第3余剰油路直線部209cおよび第1オイルポンプ100の回転軸線間に配置されるので、第3余剰油路直線部209cおよび第1オイルポンプ100間のスペースにリリーフ弁210を効率的に配置することができる。
さらに余剰油路104のうち第3余剰油路直線部209cの上端部から第1オイルポンプ100の吸い込み側までを少なくとも含む部分が、すなわち余剰油路209の大部分がポンプケース101に設けられるので、クランクケース36に余剰油路のために施される加工を最小限とし、油路の簡素化およびコストの低減を図ることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
36・・・クランクケース
91・・・変速機である無段変速機
100・・・オイルポンプである第1オイルポンプ
101・・・ポンプケース
104・・・ポンプ室である第1ポンプ室
106・・・ロータであるインナーロータ
107・・・ロータであるアウターロータ
208・・・油圧制御装置
207・・・給油路
207d・・・給油路直線部である第4給油路直線部
209・・・余剰油路
209c・・・余剰油路直線部である第3余剰油路直線部
210・・・リリーフ弁
211・・・オイルクーラ
258・・・ホースである給油側ホース
E・・・内燃機関
P・・・パワーユニット

Claims (6)

  1. クランクケース(36)を構成要素の一部とする内燃機関(E)と、内燃機関(E)に内蔵される変速機(91)と、側面視で前記クランクケース(36)の上部に配置されるようにして前記内燃機関(E)に設けられるオイルポンプ(100)とを備え、前記オイルポンプ(100)から前記変速機(91)にオイルを供給できるようにしたパワーユニットであって、前記オイルポンプ(100)から吐出されたオイルの圧力を制御する油圧制御装置(208)が内燃機関(E)に配設されるものにおいて、
    前記オイルポンプ(100)から吐出されるオイルを導く給油路(207)が、前記クランクケース(36)の上方に配設される前記油圧制御装置(208)に下方から接続され、前記油圧制御装置(208)から排出される余剰オイルを導く余剰油路(209)の一端が前記油圧制御装置(208)に下方から接続され、前記オイルポンプ(100)のポンプケース(101)の外形の範囲内で該オイルポンプ(100)の吸い込み側に前記余剰油路(209)の他端が接続され、前記余剰油路(209)から分岐する分岐油路を構成するホース(258)が内燃機関(E)外のオイルクーラ(211)まで延出していて、該オイルクーラ(211)により前記余剰オイルが冷却されることを特徴とするパワーユニットにおける油路構造。
  2. 前記余剰油路(209)の他端が、前記ポンプケース(101)内に形成されるポンプ室(104)に直接連通されることを特徴とする請求項1記載のパワーユニットにおける油路構造。
  3. 前記クランクケース(36)の上面に前記油圧制御装置(208)が配設され、前記給油路(207)の一部を構成して前記油圧制御装置(208)の下方で上下に直線状に延びる給油路直線部(207d)と、前記余剰油路(209)の一部を構成して前記油圧制御装置(209)の下方で上下に直線状に延びる余剰油路直線部(209c)とが側面視で略平行に配置されることを特徴とする請求項1または2記載のパワーユニットにおける油路構造。
  4. 前記給油路(207)および前記余剰油路(209)の一部が、前記オイルポンプ(100)が備えるロータ(106,107)の回転軸線に沿う方向で該ロータ(106,107)の両側に分かれて配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパワーユニットにおける油路構造。
  5. 前記余剰油路(209)の一部を構成して前記油圧制御装置(208)から下方に直線状に延びる余剰油路直線部(209c)が、側面視で、前記給油路(207)の一部を構成して前記油圧制御装置(208)から下方に延びる給油路直線部(207d)と、前記オイルポンプ(100)とで前後を挟まれる位置に配置され、前記油圧制御装置(208)から排出される余剰オイルの油圧が所定圧以上となるのに応じて開弁するようにして前記余剰油路に介設されるリリーフ弁(210)が、その作動軸線を前記オイルポンプ(100)の回転軸線と平行にしつつ前後方向で前記余剰油路直線部(209c)および前記オイルポンプ(100)の回転軸線間に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパワーユニットにおける油路構造。
  6. 前記余剰油路(209)のうち前記余剰油路直線部(209c)の上端部から前記オイルポンプ(100)の吸い込み側までを少なくとも含む部分が、前記ポンプケース(101)に設けられることを特徴とする請求項2記載のパワーユニットにおける油路構造。
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