JP5209343B2 - 熱可塑性エラストマー製品およびその製法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー製品およびその製法 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性エラストマー製品およびその製法に関するものであり、詳しくは、自動車等のホース、タンク等に用いられる熱可塑性エラストマー製品およびその製法に関するものである。
従来、エラストマー特性が必要な製品(ホース等)は、合成ゴムを用い、これを加硫することにより製品化されている。しかし、この加硫工程は、大量の熱量を必要とし、二酸化炭素が発生する等の環境面への悪影響が懸念されている。また、合成ゴムの合成時にも大量の二酸化炭素が発生するため、環境の負荷が懸念されている。一方、樹脂材料は高温で軟化するため、成形の際に加硫工程が不要であるという利点を有しているが、柔軟性や耐熱性等の面で、ゴム材料に比べて劣るという問題がある。そこで、ゴムと樹脂の特性を両立するために、熱可塑性エラストマー(ゴムと樹脂とのブレンド品)が開発されている。この熱可塑性エラストマーは、常温(使用温度)ではエラストマー特性を示し、高温では樹脂が溶融して樹脂特性(熱可塑性)を示すため、加硫工程が不要である。しかし、市販されている熱可塑性エラストマーは、通常、石油系のゴムあるいは樹脂材料を用いており、原材料の合成に大量の二酸化炭素を発生する問題点は解決できていない。
近年、地球規模での温暖化ガスの増加や、原油価格の高騰が、非常に大きな問題となっている。これらに対応するために、上記石油系の樹脂に代えて、植物油由来の樹脂(例えば、ポリ乳酸樹脂)が用いられている。例えば、アクリルゴム等のベースポリマーと、フェノール系化合物と、充填剤とからなる制振付与剤組成物を、熱可塑性樹脂マトリックス中に混練してなる制振性熱可塑性樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。そして、この特許文献1には、上記ベースポリマーとして、アクリルゴムと、ポリ乳酸樹脂との混合物を用いることが記載されている。
特開2007−238867号公報
しかしながら、アクリルゴムと、ポリ乳酸樹脂とを単にブレンドするのみでは、アクリルゴムの比率が高くなると、比率が高いアクリルゴムがマトリックス(海相)となり、比率が低いポリ乳酸樹脂が島相となるため、燃料(例えば、FUEL C)に対する体積変化率が大きくなり、耐燃料透過性に劣る。また、未架橋のためゴム弾性が乏しいという難点もある。このように、上記引用文献1に記載のものは、柔軟性を持ったエラストマーとしての使用が困難で、常温時のエラストマー特性に劣るという難点がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、常温時のエラストマー特性に優れた熱可塑性エラストマー製品およびその製法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A))成分を含有し、上記(A)成分を上記(C)成分で動的架橋してなる熱可塑性エラストマー製品であって、上記(A)成分と(B)成分との重量混合比が、(A)成分/(B)成分=55/45〜95/5の範囲であり、上記少量成分である(B)成分の溶融物からなる海相中に、架橋された上記大量成分である(A)成分の島相が分散している熱可塑性エラストマー製品を第1の要旨とする。
(A)アクリルゴム。
(B)ポ乳酸
(C)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、N−フェニル−N−(トリクロロメチル−スルフェニル)ベンゼンスルホンアミドおよびその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一つの架橋剤成分。
また、本発明は、下記の(A)〜(C)成分を含有し、上記(A)成分と(B)成分との重量混合比が、(A)成分/(B)成分=55/45〜95/5の範囲である熱可塑性エラストマー組成物において、上記(A)成分を上記(C)成分動的架橋することにより、上記少量成分である(B)成分の溶融物からなる海相中に、架橋された上記大量成分である(A)成分の島相を分散させる熱可塑性エラストマー製品の製法を第2の要旨とする。
(A)アクリルゴム。
(B)ポ乳酸
(C)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、N−フェニル−N−(トリクロロメチル−スルフェニル)ベンゼンスルホンアミドおよびその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一つの架橋剤成分。
すなわち、本発明者らは、常温時のエラストマー特性に優れた熱可塑性エラストマー製品を得るため、鋭意研究を重ねた。一般に、ゴムと樹脂とをブレンドして熱可塑性エラストマーを得る場合、ゴムと樹脂とを単純にブレンドすると、海島相の構造は添加比率に依存するため、添加比率の高い方が海相(マトリックス)となり、添加比率の低い方が島相(分散相)となる。従来の熱可塑性エラストマーは、樹脂の添加比率を高くすることにより、樹脂を海相として、樹脂特性(熱可塑性)を得ているが、それでは、ゴムの比率が低いため、ゴム単体と比較してエラストマー特性が劣っている。そこで、エラストマー特性を向上させるためには、ゴムの比率を高くする必要があるが、そうすると、ゴムが海相となるため、樹脂特性(熱可塑性)を得ることが困難となる。この相反する問題を解決するため、本発明者らは、ゴムと樹脂との好ましい組み合わせ、両者のブレンド比等について研究を重ねた結果、アクリルゴム(A成分)と、ポ乳酸(B成分)とを用い、両者の重量混合比が、(A成分)/(B成分)=55/45〜95/5の範囲であるアクリルゴム(A成分)を、架橋(動的架橋)することを想起した。これによれば、前記技術常識に反して、添加比率が低いポ乳酸(B成分)が海相(マトリックス)となり、添加比率が高いアクリルゴム(A成分)が島相として分散する。そのため、本発明の熱可塑性エラストマー製品は、ポ乳酸(B成分)による樹脂特性(熱可塑性)と、アクリルゴム(A成分)によるエラストマー特性とを両立することができるようになる。この理由は、アクリルゴム(A成分)が架橋(動的架橋)により固まりとなり、その周りをポ乳酸(B成分)が溶融して取りまき、ポ乳酸(B成分)の溶融物からなる海相(マトリックス)中に、架橋したアクリルゴム(A成分)が島相として分散しているためと考えられる。
このように、本発明の熱可塑性エラストマー製品は、比率の低いポ乳酸が海相となり、比率の高いアクリルゴムが島相として分散しているため、比率の高いアクリルゴムによって、常温(使用温度)時には優れたエラストマー特性(柔軟性等)が得られる。また、本発明の熱可塑性エラストマー製品は、比率の低いポ乳酸が海相(マトリックス)となるため、優れた熱可塑性を有するとともに、燃料(例えば、FUEL C)に対する体積変化率の上昇を抑制でき、耐燃料透過性も向上する。
また、本発明の熱可塑性エラストマー製品の製法によると、アクリルゴムと、ポ乳酸との極性が近づき、両者の相溶性が向上するとともに、動的架橋によりアクリルゴムが高粘度となるため、比率の高いアクリルゴムを島相として分散させることができる。そのため、熱可塑性エラストマーのモルフォロジーと、物性を制御することができるようになる。
そして、脂肪族ポリエステルのなかでも、特に上記ポリ乳酸は、耐燃料透過性に優れるとともに、アクリルゴムとの相溶性にも優れている。また、上記ポリ乳酸は、トウモロコシ(原材料)からなるバイオマス材料であるため、これを用いた本発明の熱可塑性エラストマー製品は、環境対応型の製品であり、環境型持続社会を実現することができるようになる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー製品は、アクリルゴム(A成分)およびポ乳酸(B成分)を含有し、上記アクリルゴム(A成分)を架橋してなる製品である。
本発明においては、上記アクリルゴム(A成分)とポ乳酸(B成分)との重量混合比が、(A成分)/(B成分)=55/45〜95/5の範囲であり、上記少量成分である(B)成分の溶融物からなる海相中に、架橋された上記大量成分である(A)成分の島相が分散しているのであり、これらが最大の特徴である。
上記アクリルゴム(A成分)としては、例えば、アクリル酸エステルを重合したもの、またはアクリル酸エステルを主体とする共重合(乳化重合等)により得ることのできるもの等があげられる。上記アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル等があげられる。また、共重合成分としては、例えば、メチルビニルケトン、アクリル酸、アクリロニトリル、ブタジエン、メタクリル酸ブチル等があげられる。共重合体の加硫には、例えば、エチルテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が用いられる。架橋サイトとしては、エポキシ基を有するものが特に好ましい。
つぎに、上記アクリルゴム(A成分)とともに用いられる脂肪族ポリエステルとしては、なかでも、耐燃料透過性、環境の点から、ポリ乳酸(B成分)優れているため、本発明ではポリ乳酸が用いられる
上記ポリ乳酸は、トウモロコシデンプンの発酵等によって得られる乳酸を重合して得られるポリエステル系の樹脂として知られている材料であり、ポリ−D−乳酸、ポリ−L−乳酸、あるいはその複合体のいずれであっても差し支えない。上記ポリ乳酸は、耐燃料透過性に優れるとともに、アクリルゴム(A成分)との相溶性にも優れている。また、上記ポリ乳酸は、トウモロコシ(原材料)からなるバイオマス材料であるため、これを用いた本発明の熱可塑性エラストマー製品は、環境対応型の製品であり、環境型持続社会を実現することができるようになる。
上記アクリルゴム(A成分)とポ乳酸(B成分)との重量混合比は、(A成分)/(B成分)=55/45〜95/5の範囲であり、好ましくは(A成分)/(B成分)=70/30〜90/10の範囲である。すなわち、アクリルゴム(A成分)の混合比が下限未満である(B成分が上限を超える)と、B成分は非常に剛性が高いため、エラストマー特性が劣り、柔軟性が劣るからであり、逆にアクリルゴム(A成分)の混合比が上限を超える(B成分が下限未満である)と、熱可塑性を有さず、耐燃料透過性が悪くなるからである。
つぎに、上記AおよびB成分とともに用いられる架橋剤成分(C成分)としては、混練りトルクが上昇し、動的架橋がより進行する点で、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、N−フェニル−N−(トリクロロメチル−スルフェニル)ベンゼンスルホンアミドおよびその誘導体が用いられ、好ましくはこれらの併用である。
なお、本発明において、架橋剤成分(C成分)とは、架橋剤の他、架橋促進剤、その他の成分をも含む意味である。
上記架橋剤成分(C成分)の配合量は、上記アクリルゴム(A成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して0.1〜5部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜2.5部の範囲である。すなわち、上記架橋剤成分(C成分)の配合量が少なすぎると、架橋密度が低くなり、エラストマー特性が劣ってしまい、逆に架橋剤成分(C成分)の配合量が多すぎると、架橋密度が高くなりすぎ、柔軟性が劣る傾向がみられるからである。
なお、本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物には、上記A〜C成分に加えて、例えば、老化防止剤、プロセスオイル、植物油、可塑剤、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、クレー等を必要に応じて適宜に配合しても差し支えない。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記老化防止剤としては、例えば、カルバメート系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、ワックス類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
また、上記老化防止剤の配合量は、上記アクリルゴム(A成分)100部に対して、1〜10部の範囲が好ましく、特に好ましくは2〜5部の範囲である。
上記プロセスオイルとしては、例えば、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、アロマ系オイル等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
また、上記プロセスオイルの配合量は、上記アクリルゴム(A成分)100部に対して、1〜50部の範囲が好ましく、特に好ましくは3〜30部の範囲である。
つぎに、本発明の熱可塑性エラストマー製品は、例えば、つぎのようにして得ることができる。すなわち、混練機(ミル、ミキサー等)に、アクリルゴム(A成分)と、ポ乳酸(B成分)〔例えば、ポリ乳酸のペレット〕とを所定の配合割合にて投入し、所定時間(通常、1〜60分間、好ましくは30分間程度)混練する。つぎに、架橋剤成分(C成分)を所定の配合割合にて、上記混練機中に投入し、所定時間(通常、1〜30分間、好ましくは5分間程度)混練して動的架橋する。これにより、ポ乳酸(B成分)の溶融物からなる海相(マトリックス)中に、架橋されたアクリルゴム(A成分)の島相が分散してなる熱可塑性エラストマー製品を得ることができる。
本発明において動的架橋とは、熱可塑性エラストマー組成物におけるアクリルゴム(A成分)を、混練機中で混合攪拌する際に行う架橋をいい、通常の金型を用いて行う型架橋と区別して一般に「動的架橋(動的加硫)」と呼ばれているものと同義である。
上記混練機の温度は、ポ乳酸(B成分)の融点よりも1〜70℃高い温度に調節することが好ましく、特に好ましくはポ乳酸(B成分)の融点よりも10〜30℃高い温度である。なお、上記ポ乳酸(B成分)の融点は、通常、140〜170℃程度である。
本発明の熱可塑性エラストマー製品は、ポ乳酸(B成分)の溶融物からなる海相(マトリックス)中に、架橋されたアクリルゴム(A成分)の島相が分散している。なお、この海−島構造は、例えば、走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope:SPM )を用いて、倍率約1000〜10000倍にて観察することができる。
上記島相の平均直径は、0.1〜10μmの範囲が好ましく、特に好ましくは、0.1〜1.0μmの範囲である。なお、上記島相の平均直径は、例えば、走査型プローブ顕微鏡(SPM)による測定および画像解析にて、測定することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
200±10℃に温度調節された混練機(ラボプラストミル)に、ポリ乳酸(ユニチカ社製、ラテマックTE−2000)のペレットと、アクリルゴム(日本ゼオン社製、ニポールAR31)とを、後記の表1に示す配合割合にて投入し、15分間混練した。つぎに、加硫促進剤としてジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)(PZ)(大内新興化学工業社製、ノクセラーPZ)と、加硫促進剤としてジメチルジチオカルバミン酸第二鉄(TTFE)(大内新興化学工業社製、ノクセラーTTFE)と、加硫促進剤としてN−フェニル−N−(トリクロロメチルチオ)ベンゼンスルホンアミドおよびその誘導体(E/C)(ランクセス製、バルカレントE/C)とを、後記の表1に示す配合割合にて投入し、5分間、動的架橋することにより、熱可塑性エラストマー製品を得た。
〔実施例2〜5、比較例2〜4〕
下記の表1および表2に示すように、各成分の配合量等を変更する以外は、実施例1に準じて、熱可塑性エラストマー製品を得た。
〔比較例1〕
200±10℃に温度調節された混練機(ラボプラストミル)に、ポリ乳酸(ユニチカ社製、ラテマックTE−2000)のペレットと、アクリルゴム(日本ゼオン社製、ニポールAR31)とを、後記の表2に示す配合割合にて投入し、15分間混練した。
〔比較例5〕
200±10℃に温度調節された混練機(ラボプラストミル)に、ポリ乳酸(ユニチカ社製、ラテマックTE−2000)のペレットと、アクリルゴム(日本ゼオン社製、ニポールAR31)とを、後記の表2に示す配合割合にて投入し、15分間混練した。つぎに、アミン系加硫剤〔安息香酸アンモニウム〕(大内新興化学工業社製、バルノックAB−S)を、後記の表1に示す配合割合にて投入し、5分間、動的架橋することにより、熱可塑性エラストマー製品を得た。
Figure 0005209343
Figure 0005209343
このようにして得られた実施例および比較例の熱可塑性エラストマー製品を用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。その結果を、上記の表1および表2に併せて示した。
〔海島構造の観察〕
得られた各熱可塑性エラストマー製品について、走査型プローブ顕微鏡(SPM)(島津制作所社製、SPM−9500J3)を用い、倍率10000倍にて海島構造を観察した。
〔破断伸び〕
上記各熱可塑性エラストマー製品を用い、JIS K 6251に従い、破断伸びを測定した。柔軟性の評価は、破断伸びが180%以上のものを○、100%以上で180%未満のものを△、100%未満のものを×とした。
〔体積変化率〕
上記各熱可塑性エラストマー製品を用い、その試験片(大きさ:20mm×25mm、厚み:2mm)をFUEL Cに、室温(25℃)で24時間で浸漬した。そして、JIS K 6258に記載の方法に準じて、体積変化率を測定した。
上記表の結果から、すべての実施例品は、混練りトルクの上昇が観測され、動的架橋が進行していることを確認した。モルフォロジー観察の結果、図1に示すように、ポリ乳酸の溶融物からなる海相(マトリックス)1中に、架橋したアクリルゴムが島相2として分散していることを確認した(図1参照)。そのため、すべての実施例品は、破断伸びが大きく、柔軟性(エラストマー特性)に優れるとともに、体積変化率が小さく、耐燃料透過性にも優れていた。
これに対して、比較例1品は、ポリ乳酸と比較してアクリルゴムの比率が高く、単純にブレンドして混練するのみで架橋(動的架橋)していないため、図2に示すように、比率の高いアクリルゴムが海相(マトリックス)3となり、比率の低いポリ乳酸が島相4として分散した。また、比較例1品は、アクリルゴムが架橋されていないため、破断伸びが小さく、柔軟性(エラストマー特性)が劣っていた。
比較例2,3品は、混練りトルクの上昇が観測され、動的架橋が進行していることを確認した。モルフォロジー観察の結果、架橋したアクリルゴムが島相として存在しており、ポリ乳酸をマトリックスとする構造が得られていることを確認した。しかし、ポリ乳酸の比率が高く、ポリ乳酸は剛性が高いため、柔軟性(エラストマー特性)が劣っていた。
比較例4品は、混練りトルクの上昇が観測され、動的架橋が進行していることを確認した。しかし、マトリックス(島相)となるべきポリ乳酸の比率が低すぎるため、海島構造を形成しなかった。そのため、熱可塑性を示さずに、成型が困難で、破断伸びおよび体積変化率の測定ができなかった。
比較例5品は、アミン系架橋剤を用いているためポリ乳酸の劣化が生じ、混練りトルクの低下が観測された。そのため、シートを作製できず、破断伸びおよび体積変化率の測定ができなかった。
本発明の熱可塑性エラストマー製品は、常温時にはエラストマー特性を有するため、通常、エラストマーが使用されている製品に使用することが可能である。本発明の熱可塑性エラストマー製品は、特に耐燃料透過性に優れるため、自動車等のホース,タンク等に適している他、例えば、防振ゴム、電子写真機器(OA)用ロール、吸音材、クッション材、自動車用内装材等にも用いることができる。
実施例品の海島構造を示す模式図である。 比較例1品の海島構造を示す模式図である。
符号の説明
1 海相(ポリ乳酸)
2 島相(アクリルゴム)

Claims (6)

  1. 下記の(A))成分を含有し、上記(A)成分を上記(C)成分で動的架橋してなる熱可塑性エラストマー製品であって、上記(A)成分と(B)成分との重量混合比が、(A)成分/(B)成分=55/45〜95/5の範囲であり、上記少量成分である(B)成分の溶融物からなる海相中に、架橋された上記大量成分である(A)成分の島相が分散していることを特徴とする熱可塑性エラストマー製品。
    (A)アクリルゴム。
    (B)ポ乳酸
    (C)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、N−フェニル−N−(トリクロロメチル−スルフェニル)ベンゼンスルホンアミドおよびその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一つの架橋剤成分。
  2. 上記(成分の架橋剤成分の配合量が、上記(A)成分のアクリルゴム100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲である請求項1記載の熱可塑性エラストマー製品。
  3. 自動車用ホースまたは自動車用タンクである請求項1または2記載の熱可塑性エラストマー製品。
  4. 下記の(A)〜(C)成分を含有し、上記(A)成分と(B)成分との重量混合比が、(A)成分/(B)成分=55/45〜95/5の範囲である熱可塑性エラストマー組成物において、上記(A)成分を上記(C)成分動的架橋することにより、上記少量成分である(B)成分の溶融物からなる海相中に、架橋された上記大量成分である(A)成分の島相を分散させることを特徴とする熱可塑性エラストマー製品の製法。
    (A)アクリルゴム。
    (B)ポ乳酸
    (C)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、N−フェニル−N−(トリクロロメチル−スルフェニル)ベンゼンスルホンアミドおよびその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一つの架橋剤成分。
  5. 上記(C)成分の架橋剤成分の配合量が、上記(A)成分のアクリルゴム100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲である請求項4記載の熱可塑性エラストマー製品の製法。
  6. 自動車用ホースまたは自動車用タンクである熱可塑性エラストマー製品の製法である請求項4または5記載の熱可塑性エラストマー製品の製法。
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