JP5208274B2 - 高圧下潤滑圧延方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高圧下率で、ヒートスクラッチとスリップを起こさずにステンレス鋼板を圧延する圧延方法に関するものである。
従来、複数の圧延スタンドを備えるタンデム圧延機を用いて、高強度鋼板を製造する場合、生産性の向上のため、高圧下圧延を行うことが指向されている。タンデム圧延機で高圧下圧延を行うためには、各圧延スタンドでの圧下率を高める必要がある。
しかし、圧下率を高めると、圧延ロールと鋼板の間に流入する潤滑油の量が減少して、圧延ロールと鋼板の間の油膜が薄くなり、圧延ロールと鋼板の接触圧が上昇して、ヒートスクラッチが発生し易くなる。特に、ステンレス鋼板の高圧下圧延において、ヒートスクラッチが発生する。
なお、ヒートスクラッチは、圧延ロールと鋼板の間の界面温度が上昇して、潤滑油の油膜が破断し、その結果、圧延ロールと鋼板が、直接接触して発生する焼付き疵である。
表面にヒートスクラッチの痕跡が残る鋼板は出荷できないから、歩留りは、当然に低下する。また、ヒートスクラッチの痕跡が残る圧延ロールは、直ちに取り替えなければならないから、生産性は著しく低下する。
それ故、これまで、ヒートスクラッチの発生を防止する方法が、種々提案されている(例えば、特許文献1〜7、参照)。
特許文献1には、ヒートスクラッチが発生し易い圧延機を予め指定し、該圧延機に係る操業条件を、ヒートスクラッチが発生しないよう制御する圧延方法が開示されている。
特許文献2〜4には、被圧延材及びワークロールに供給する潤滑油(潤滑油)の量、濃度、及び、成分等を、ヒートスクラッチが発生しない範囲に調整する圧延方法が開示されている。
特許文献5及び7には、圧延機間の張力を制御して、ヒートスクラッチの発生を抑制する圧延方法が開示されている。
特許文献6には、第1圧延スタンドでの圧延荷重を低減するため、酸洗後の被圧延材の表面に、ショットブラスト又はショットピーニングを施す圧延方法が開示されている。
しかし、いずれの圧延方法においても、各圧延スタンドにおける圧下率の上昇には限界がある。
タンデム圧延において全圧下率を高めることは難しく、鋼板を所望の板厚に圧延するために、タンデム圧延に続き、さらに、圧延を施す場合がある。
特に、ステンレス鋼板を高能率でタンデム圧延しようとする場合、ステンレス鋼板を、従来値以上の高圧下率で圧延しなければならないが、圧下率を、従来値以上に高めると、ヒートスクラッチが頻発する。
ヒートスクラッチの発生を抑制し、高圧下圧延を実現するためには、通常、潤滑油の粘度を高め、膜厚を厚くすることが一つの方策である(特許文献8〜12、参照)。
しかし、単に潤滑油の膜厚を厚くすると、圧延ロールと鋼板の間の摩擦係数が下がり、潤滑過多となってスリップが発生し、圧延が不安定になる(特許文献9及び10、参照)。
特許文献11及び12には、冷間圧延方法において、高粘度圧延油(40℃で100〜300cSt)を用いることが開示されているが、ステンレス鋼板は、圧延ロールに含まれるCrと反応し易く、ヒートスクラッチが発生し易いため、高圧下率で圧延することは、工業的に行われていない。
特許文献11及び12でも、高圧下率でヒートスクラッチとスリップを発生させずに圧延する方法は開示されていない。
特許文献13には、タンデム圧延機において、生産性向上の観点から、各圧延スタンドでの圧下率を30〜35%とすることが開示されている。
しかし、特許文献13に、高圧下圧延を実現する圧延油の粘度については開示されておらず、通常、普通鋼で使用されているような粘度数十cStの圧延油では、ヒートスクラッチとスリップが生じないように圧延することは極めて困難である。
タンデム圧延において、高圧下になるほど、ヒートスクラッチとスリップが生じない圧延条件の範囲が狭くなり、圧延が困難になるので、圧延機1台当りの圧下率は制限を受けざるを得ない。
所望の板厚の鋼板を製造するため、タンデム圧延機の場合は、多くの圧延機を配置したり、また、リバース圧延機の場合は、圧延回数を増加したりして対処しているのが、このような対処では、生産性は向上しない。
冷間圧延において、生産性を高めるには、高圧下率で、ヒートスクラッチとスリップがともに発生しない圧延技術を開発することが必要とされていた。
特開2007−307620号公報 特開2007−253178号公報 特開2007−237230号公報 特開2006−263739号公報 特開2006−198661号公報 特開2005−177774号公報 特開2001−179306号公報 特開平05−043888号公報 特開平07−251209号公報 特開2000−317510号公報 特開平05−253604号公報 特開平08−024908号公報 特開平06−091306号公報
圧延ロールと鋼板との間には、潤滑油の油膜が介在する流体潤滑と、金属同士が直接接触する境界潤滑が混合した潤滑状態が形成されている。
圧延ロールと鋼板との間に流入する潤滑油の量は、図1(第3版鉄鋼便覧III(1)圧延基礎・鋼板[丸善(株)、昭和55年6月30日第2刷、発行]、92頁)に示すように、圧下率が高くなると減少し、圧延ロールと鋼板との間の油膜は薄くなる。
即ち、圧下率が高くなると、圧延ロールと鋼板との間の接触圧力が高くなり、潤滑油を圧延ロールと鋼板との間に引き込もうとする剪断力に起因する油膜の圧力とのバランスで、潤滑油の膜厚が薄くなる。
潤滑油の膜厚が薄くなると、境界潤滑の領域が広くなり、金属同士が直接接触する圧力も上昇するので、圧延ロールと鋼板との焼付き現象(ヒートスクラッチ)が発生し易くなる。
通常、潤滑油の膜厚を厚くするために、潤滑油の粘度を高めて上記剪断力を大きくするが、単に膜厚を大きくすると、前述したように、圧延ロールと鋼板の間の摩擦係数が下がり、潤滑過多となって、スリップが発生し、圧延が不安定になる。
結局、圧延において、高圧下になるほど、ヒートスクラッチとスリップが生じない圧延条件の範囲が狭くなり、圧延が困難になる。即ち、圧延機1台当りの圧下率は制限を受けることになり、生産性は向上しない。
そこで、本発明は、冷間圧延において、圧延スタンドの圧下率を高め、ヒートスクラッチとスリップを発生させずに、酸洗後の鋼板、特に、ステンレス鋼板を、再度の圧延を施すことなく連続焼鈍にそのまま供し得る板厚の高強度鋼板(例えば、引張強度300MPa以上)に、生産性よく圧延することを課題とし、該課題を解決する圧延方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、圧下率と潤滑の定量的関係について鋭意検討した。
前述したように、圧延ロールと鋼板との間には、潤滑油膜が介在する流体潤滑と、金属同士が直接接触する境界潤滑が混合した潤滑状態が形成されているが、摩擦係数は、金属同士が直接接触する境界潤滑のほうが、潤滑油を介する流体潤滑よりも大きい。
それ故、通常、圧下率を上げていくと、境界潤滑の割合が多くなり、摩擦係数が上昇する。
本発明者らは、圧下率と潤滑の定量的関係を確認するため、圧下率と摩擦係数の相関について、潤滑油の粘度を変えて調査した。その結果を、図2に示す。粘度は、JIS K 2283に基づき、キャノン−フェンスケ粘度計で測定した粘度である。
図2から、(x)40℃で粘度130cStの潤滑油を使用した場合、圧下率の上昇に伴って摩擦係数も上昇するが、(y)40℃で粘度140cStの潤滑油を使用した場合、圧下率が30%付近を超えても、摩擦係数の変化は小さく、また、(z)40℃で粘度150cStの潤滑油を使用した場合、圧下率が30%付近を超えると、逆に、摩擦係数が小さくなることが解る。
上記(y)及び(z)の現象は、従来の圧延理論では説明がつかない現象である。即ち、本発明者らは、圧延で使用する潤滑油の粘度を高めていくと、上記(y)及び(z)の現象が発現することを見いだした。
さらに、本発明者らは、40℃で粘度140cSt以上の潤滑油を用い、圧下率30%で圧延した場合、ヒートスクラッチに加え、スリップも起こらず、安定して圧延できることを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)酸洗後のステンレス鋼板を複数の圧延スタンドを備えるダンデム圧延機で冷間圧延する方法において、40℃で140cSt以上の高粘度潤滑油を用い、圧延スタンドは、直径150mm以上、600mm以下のワークロールを用い、複数の圧延スタンドの内、最初の圧延スタンドの入り側での圧延速度を66m/min以上とし、最終の圧延スタンドを除く少なくとも1基の圧延スタンドで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行い、最終の圧延スタンドで、圧下率18〜26%未満の圧延を行うことを特徴とする高圧下潤滑圧延方法。
ただし、粘度は、JIS K 2283に基づき、キャノン−フェンスケ粘度計で測定した粘度である。
(2)前記冷間圧延を、4基以上の圧延スタンドを備えるダンデム圧延機で行うことを特徴とする前記(1)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
(3)前記ダンデム圧延機で行うタンデム圧延において、最終の圧延スタンドを除く少なくとも2基の圧延スタンドで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行うことを特徴とする前記(2)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
(4)前記タンデム圧延において、最初の圧延スタンドで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行うことを特徴とする前記(2)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
(5)前記タンデム圧延において、最初の圧延スタンドで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行うことを特徴とする前記(3)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
(6)前記タンデム圧延において、最終の圧延スタンドの直前の圧延スタンドで、圧下率33%以下の圧延を行うことを特徴とする前記(3)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
(7)前記タンデム圧延において、最終の圧延スタンドの直前の圧延スタンドで、圧下率33%以下の圧延を行うことを特徴とする前記(4)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
)前記ダンデム圧延において、全圧下率70%超の圧延を行うことを特徴とする前記(2)〜(7)のいずれかに記載の高圧下潤滑圧延方法。
)前記タンデム圧延において、最終の圧延スタンドにおける圧延速度が、250m/分以上であることを特徴とする前記(2)〜(7)のいずれかに記載の高圧下潤滑圧延方法。
10酸洗後のステンレス鋼板をリバース圧延機で冷間圧延する方法において、40℃で140cSt以上の高粘度潤滑油を用い、リバース圧延機は、直径150mm以上、600mm以下のワークロールを用い、リバース圧延の複数回の圧延パスの内、最初の圧延パスの入り側での圧延速度を66m/min以上とし、最終の圧延パスを除く少なくとも1つの圧延パスで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行い、最終の圧延パスで、圧下率18〜26%未満の圧延を行うことを特徴とする高圧下潤滑圧延方法。
ただし、粘度は、JIS K 2283に基づき、キャノン−フェンスケ粘度計で測定した粘度である。
11)前記リバース圧延機で行うリバース圧延において、最終の圧延パスを除く少なくとも2つの圧延パスで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行うことを特徴とする前記(10)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
12)前記リバース圧延において、最初の圧延パスで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行うことを特徴とする前記(10)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
13)前記リバース圧延において、最初の圧延パスで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行うことを特徴とする前記(11)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
14)前記リバース圧延において、最終の圧延パスの直前の圧延パスで、圧下率33%以上、35%以下の圧延を行うことを特徴とする前記(10)〜(13)のいずれかに記載の高圧下潤滑圧延方法。
15)前記リバース圧延において、全圧下率70%超の圧延を行うことを特徴とする前記(10)〜(13)のいずれかに記載の高圧下潤滑圧延方法。
16)前記リバース圧延において、全圧下率70%超の圧延を行うことを特徴とする前記(14)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
17)前記リバース圧延において、最終の圧延パスにおける圧延速度が、250m/分以上であることを特徴とする前記(10)〜(13)のいずれかに記載の高圧下潤滑圧延方法。
18)前記リバース圧延において、最終の圧延パスにおける圧延速度が、250m/分以上であることを特徴とする前記(14)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
19)前記リバース圧延において、最終の圧延パスにおける圧延速度が、250m/分以上であることを特徴とする前記(15)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
20)前記リバース圧延において、最終の圧延パスにおける圧延速度が、250m/分以上であることを特徴とする前記(16)に記載の高圧下潤滑圧延方法。
本発明によれば、タンデム圧延機又はリバース圧延機で、圧延中にスリップを起こさず、ヒートスクラッチのない所望の最終板厚のステンレス鋼板を、生産性よく圧延することができる。
圧下率を変えたときの、圧延ロールと鋼板との間に流入する潤滑油の量(g/m2)と圧延速度(m/min)の関係を示す図である(第3版鉄鋼便覧III(1)圧延基礎・鋼板[丸善(株)、昭和55年6月30日第2刷、発行]、92頁)。 潤滑油の粘度(cSt)を変えたときの、圧下率(%)と摩擦係数の相関を示す図である。 潤滑油を塗布した平坦なアンビル(金敷き)に、鋼球を落下、衝突させて、衝突表面に生じる圧痕の形状を定量的に調査した研究結果(日本機械学会論文集(C編)66巻645号(2000−5)、P1687〜1693、「油を介した衝撃で生じる球と平板の圧痕形状に関する研究」、参照)の一部を示す図である。
(a)は、40℃で粘度99.5mm2/sの高粘度油(S100)を塗布した、硬度HV710のSUJ2製のアンビルに、硬度HV307のSUS304製の鋼球を落下、衝突させたときの鋼球の変形形状を示す。
(b)は、40℃で粘度203.4mm2/sの高粘度油(TN220)を塗布した、硬度HV710のSUJ2製のアンビルに、硬度HV307のSUS304製の鋼球を落下、衝突させたときの鋼球の変形形状を示す。
本発明は、酸洗後のステンレス鋼板を冷間圧延する方法において、高粘度潤滑油を用い、少なくとも1基の圧延スタンドで、圧下率30%超、40%以下の圧延を行うことを特徴とする。
まず、本発明の基礎となる知見について説明する。
前述したように、本発明者らは、使用する潤滑油の粘度を高めていくと、下記(y)及び(z)の現象が発現することを見いだした。
(y)40℃で粘度140cStの潤滑油を使用した場合、圧下率が30%付近を超えても、摩擦係数の変化は小さい。
(z)40℃で粘度150cStの潤滑油の場合、圧下率が30%付近を超えると、逆に、摩擦係数が小さくなる。
本発明者らは、上記(y)及び(z)の現象が発現する機構について、以下のように考えられる。
従来、冷間圧延された鋼板の表面に、潤滑油が封じ込められたことにより発生するオイルピットが観察されることが知られている(第3版鉄鋼便覧III(1)圧延基礎・鋼板[丸善(株)、昭和55年6月30日第2刷、発行]、92頁左欄、参照)。
オイルピット発生現象は、冷間圧延中、圧延ロールと鋼板の間に、潤滑油が封じ込められて、鋼板表面を変形させるような高い圧力が発生したことを示している。
上記現象が生じることは、潤滑油を塗布した平坦なアンビル(金敷き)に、鋼球を落下させて、衝突表面に生じる圧痕の形状を定量的に調査した研究結果によっても裏付けられている(日本機械学会論文集(C編)66巻645号(2000−5)、P1687〜1693、「油を介した衝撃で生じる球と平板の圧痕形状に関する研究」、参照)。
図3に、上記研究結果の一部を示す。図3(a)に、40℃で粘度99.5mm2/sの高粘度油(S100)を塗布した、硬度HV710のSUJ2製のアンビル(金敷き)に、硬度HV307のSUS304製の鋼球を落下、衝突させたときの鋼球の変形形状を示す。
図3(b)に、40℃で粘度203.4mm2/sの高粘度油(TN220)を塗布した、硬度HV710のSUJ2製のアンビル(金敷き)に、硬度HV307のSUS304製の鋼球を落下させたときの鋼球の変形形状を示す。
図3に示すように、鋼球は、衝突で封じ込められた油により、鋼球の衝突部中央が凹んだ形状となる。この凹み形状は、油の粘度が高い(TN220>S100)ほうが大きい。このことから、高粘度の油が鋼球とアンビルの間に封じ込められて、高い圧力を発生することが解る。
図3に示す結果に基づけば、上記(z)の現象について、次のように考えられる。
即ち、粘度の高い潤滑油を使用して高圧下で圧延すると、潤滑油の封じ込め現象が顕著になるとともに、潤滑油が封じ込められた部で、非常に高い圧力が発生し、流体潤滑で支える圧延荷重の割合が、境界潤滑で支える圧延荷重の割合に比べ、相対的に大きくなり、その結果、全体の摩擦係数が低下する。
一方、境界潤滑で支える圧延荷重の絶対値は、圧下率を上げても、それほど変化しないか、又は、微増であるので、圧延中、スリップは発生しない。
図2に示す(y)及び(z)の現象は、圧延技術に係る従来の技術常識を覆す画期的な知見である。
本発明者らは、上記知見を、酸洗後のステンレス鋼板の冷間圧延に適用できると考え、5圧延スタンド構成のタンデム圧延機において、高粘度の潤滑油を用い、第1圧延スタンドの圧下率を31.3%に、第2圧延スタンドの圧下率を30.3%に設定し、圧延速度303mpmで、酸洗後の板厚2.700mmのステンレス鋼板を、板厚0.572mmの鋼板に圧延した。全圧下率は78.8%であった。
圧延中、スリップは起きず、圧延後のステンレス鋼板に、ヒートスクラッチはなかったが、鋼板の板厚を所望の板厚(例えば、0.540mm未満)にするためには、再度、冷間圧延を施す必要がある。
タンデム圧延だけで、所望の板厚(例えば、0.540mm未満)にまで圧延するためには、板厚2.700mmの鋼板の場合、全圧下率80%以上で圧延しなければならない。
タンデム圧延で、全圧下率80%以上の圧延を行うためには、個々の圧延スタンドでの圧下率を、従来の圧下率を超えて設定する必要がある。
個々の圧延スタンドでの圧下率を、従来の圧下率を超えて設定すると、ヒートスクラッチが発生する懸念があるが、本発明者らは、5圧延スタンド構成のタンデム圧延機において、高粘度(例えば、40℃:140cSt以上)の潤滑油を用い、板厚2.70mmの17%Crステンレス鋼板を、板厚0.58mm未満に圧延することを目指し、各圧延スタンドの圧下率を調整して圧延した。
表1に、圧延条件と圧延結果を示す。粘度は、JIS K 2283に基づき、キャノン−フェンスケ粘度計で測定した粘度である。なお、ワークロール径は500mmである。
Figure 0005208274
圧延例a(比較例)は、低粘度(40℃:40cSt)の潤滑油を用い、各圧延スタンドの圧下率を30%未満(低圧下率)とし、全圧下率77.0%で圧延した例である。
圧延自体に問題は生じないが、最終板厚は0.62mmで、0.60mmを超えているので、所望の板厚まで、再度、圧延を施す必要がある。圧延例a(比較例)は、“低粘度+低圧下”の圧延であり、冷延作業全体として能率が低い圧延例である。
圧延例b(比較例)は、低粘度(40℃:40cSt)の潤滑油を用い、全圧下率78.6%で圧延した例である。第2圧延スタンド(表中、No.2std)で、圧下率32%の高圧下圧延を行い、“低粘度+高圧下”が原因で、ヒートスクラッチが発生している。
圧延例cは、高粘度(40℃:150cSt)の潤滑油を用い、全圧下率78.6%で圧延した例である。第2圧延スタンド(No.2std)で、圧下率32%の高圧下圧延を行っているが、高粘度の潤滑油を使用しているので、圧延に問題は生じず、板厚0.58mmまで圧延がなされている。
圧延例dは、高粘度(40℃:150cSt)の潤滑油を用い、全圧下率79.2%で圧延した例である。第2圧延スタンド(No.2std)と第3圧延スタンド(No.3std)で、圧下率30%の高圧下圧延を行っているが、高粘度の潤滑油を使用しているので、圧延に問題は生じず、板厚0.56mmまで圧延がなされている。
圧延例eは、高粘度(40℃:150cSt)の潤滑油を用い、全圧下率78.8%で圧延した例である。第1圧延スタンド(No.1std)で、圧下率32%の高圧下圧延を行っているが、高粘度の潤滑油を使用しているので、圧延に問題は生じず、板厚0.57mmまで圧延がなされている。
なお、前段の高圧下圧延で疵が発生しても、後段の圧延で、疵の程度を軽減できるので、前段で高圧下圧延を行うことが好ましい。
圧延例fは、高粘度(40℃:150cSt)の潤滑油を用い、全圧下率79.8%で圧延した例である。第4圧延スタンド(No.4std)で、圧下率35%の高圧下圧延を行い、極めて軽度のヒートスクラッチが生じているが、高粘度の潤滑油を使用しているので、板厚0.54mmまで圧延がなされている。
なお、最終圧延スタンド(No.5std)の前段の圧延スタンド(No.4std)で高圧下圧延を行うことは、実用上、問題はない。
圧延例gは、高粘度(40℃:150cSt)の潤滑油を用い、全圧下率79.9%で圧延した例である。第2圧延スタンド(No.2std)で、圧下率32%の高圧下圧延を行い、最終圧延スタンド(No.5std)で、圧下率を30%未満にし、全圧下率を最適化したので、チャタリングの発生がなく、高粘度の潤滑油の使用で、板厚0.54mmまで圧延がなされている。
圧延例hは、高粘度(40℃:150cSt)の潤滑油を用い、全圧下率82.8%で圧延した例である。第1〜4の圧延スタンド(No.1std〜No.4std)で、圧下率30%の高圧下圧延を行っているが、高粘度の潤滑油を使用しているので、圧延に問題は生じず、板厚0.46mmまで圧延がなされている。
圧延i(参考例)は、高粘度(40℃:150cSt)の潤滑油を用い、各圧延スタンドの圧下率を30%未満(低圧下率)とし、全圧下率77.0%で圧延した例である。圧延に問題は生じていないが、最終板厚は0.62mmであり、所望の板厚まで、再度、冷延する必要がある。
高粘度の潤滑油を用いても、圧下率が低いと(高粘度+低圧下)、冷延作業全体として能率が低い圧延例である。
以上のように、圧延例c〜hは、“高粘度+高圧下”で、所望の板厚まで、効率よく圧延することができた発明例である。
このように、本発明者らは、第1圧延スタンド(No.1std)及び第2圧延スタンド(No.2std)の圧下率を30%に設定し、第3スタンド(No.3std)の圧下率を30%に近い圧下率に設定しても、圧延中、スリップは起きず、かつ、圧延後の鋼板に、ヒートスクラッチは発生しないことを見いだした。
この点が、本発明の基礎をなす知見である。
ヒートスクラッチは、圧延ロールと鋼板の間の界面温度が上昇して、潤滑油の油膜が破断し、圧延ロールと鋼板が、直接接触して発生する焼付き疵であるから、圧延速度100〜150mpm、圧下率30〜35%で圧延しても、鋼板表面にヒートスクラッチが発生しないことは、高粘度の潤滑油を用いれば、上記圧延速度と圧下率の下で、潤滑油の油膜が破断しないことを意味している。
ステンレス鋼の場合、圧延ロールが5%程度のCrを含有しているので、圧下率が40%を超えると、鋼板表面にヒートスクラッチが発生する。なお、ステンレス鋼以外の鋼の場合、圧下率45%まで、鋼板表面にヒートスクラッチは発生しない。
本発明者らは、以上の試験結果を踏まえ、ステンレス鋼板を、さらに、0.48mm以下に圧延するための圧下率の設定について検討した。
第1圧延スタンドの圧下率、第2圧延スタンドの圧下率、及び、第3圧延スタンドの圧下率は、安全を見込んで、それぞれ、31.6%、31.3%、及び、30.7%に設定し、第4圧延スタンドにおいて、圧下率を、27.0%から33%まで1%刻みで変化させて、板厚2.70mmのステンレス鋼板を、板厚0.476mmに圧延した。
また、第4圧延スタンドでは、圧下率33%のとき、圧延速度を250mpmから400mpmまで高め、潤滑変化や板温上昇による品質への影響を観察した。なお、全圧下率は82.4%である。
圧延で得たステンレス鋼板について、ヒートスクラッチの有無を調査した。いずれの鋼板においても、ヒートスクラッチは発生しなかった。第4圧延スタンドでは、圧下率33%、及び、圧延速度400mpmの過酷な条件で圧延したが、鋼板表面にヒートスクラッチは発生しなかった。
本発明者らは、以上の調査結果から、5圧延スタンド構成のタンデム圧延機において、高粘度(例えば、40℃で140cSt以上)の潤滑油を用い、最終圧延スタンドを除き、4圧延スタンドにおける圧下率を30%台に設定すれば、タンデム圧延だけで、ヒートスクラッチを鋼板表面に発生させることなく、ステンレス鋼板を、所望の最終板厚に圧延できることを見いだした。
この点も、本発明の基礎をなす知見である。
以上の知見によれば、酸洗後のステンレス鋼板の冷間圧延において、高粘度潤滑油を用い、少なくとも1基の圧延スタンドで、圧下率30%超、40%以下の高圧下潤滑圧延を行えば、鋼板表面にヒートスクラッチを発生させることなく、鋼板を、安定的に所望の最終板厚まで圧延することができる。
高圧下潤滑圧延においては、圧延を施す鋼板の強度が高いほど、ヒートスクラッチの発生を抑制する効果が顕著である。また、圧延速度が高速になるほど、圧延ロールと鋼板の間に封じ込められる潤滑油の圧力が上昇するので、上記効果がより顕著になる。
高圧下潤滑圧延方法において用いる高粘度潤滑油は、粘度が、通常の冷間圧延で用いる潤滑油の粘度を超えるものであればよいが、粘度(JIS K 2283に基づき、キャノン−フェンスケ粘度計で測定した粘度)が40℃で140cSt以上の高粘度潤滑油を用いれば、ヒートスクラッチの発生を抑制する効果を確実に得ることができる。
これまで、5基の圧延スタンドを備えるタンデム圧延機を基に高圧下潤滑圧延を説明したが、圧延スタンドの基数は5に限定されない。
圧延スタンドの基数は、高圧下潤滑圧延を実施できるように、適宜、設定すればよいが、ヒートスクラッチが発生しない安定的な圧延を行ううえで、4基以上の圧延スタンドを備えるダンデム圧延機が好ましい。
4基以上の圧延スタンドを備えるダンデム圧延機を用いて圧延(タンデム圧延)を行う場合、最終の圧延スタンドを除く、少なくとも2基の圧延スタンドで、圧下率30%超、40%以下の圧延を行うことが好ましい。
圧下率30%超、40%以下の圧延は、第1圧延スタンドで行ってもよいし、第2圧延スタンド以降(最終圧延スタンドを除く)の圧延スタンドで行ってもよい。即ち、最終圧延スタンドを除く圧延スタンドで、圧下率30%超、40%以下の圧延を行ってもよい。
最終の圧延スタンドの直前の圧延スタンドで、圧下率33%を超える圧延を行ってもよいが、潤滑油の選択が適切でないと、ヒートスクラッチが発生する可能性が高くなるので、最終の圧延スタンドの直前の圧延スタンドにおける圧下率は33%以下が好ましい。
最終の圧延スタンドでは、ヒートスクラッチが発生しないように、圧下率25〜30%未満で圧延を行うことが好ましい。
ダンデム圧延における全圧下率は70%超が好ましい。全圧下率が70%以下であると、所望の最終板厚に至らず、再度、冷間圧延を必要とする場合がある。
圧延速度は、圧下率との兼ね合いで調整するが、最終の圧延スタンドにおける圧延速度は、150m/分未満であると、潤滑油の油膜圧が低く、微小なヒートスクラッチが発生する恐れがあるので、150m/分以上が好ましい。
また、最終の圧延スタンドにおける圧延速度は、高圧下潤滑圧延の生産性の点から250m/分以上が好ましい。
圧延スタンドで圧下率30%超、40%以下を確保するため、直径150mm以上、600mm以下のワークロールを用いるのが好ましい。直径が150mm未満であると、ワークロールの強度を確保できず、圧延中、折損することがある。
また、ワークロール径が大きいほうが鋼板のr値が高くなるので、加工性を要求される鋼板を圧延する場合、ワークロール径は大きいほうが望ましい。一方、直径が600mmを超えると、30%超、40%以下の圧下率を確保するのが難しくなる。
高圧下潤滑圧延は、1台の圧延機で圧延を順次繰り返し行うリバース圧延機で行なってもよい。
リバース圧延機で行うリバース圧延においては、最終の圧延パスを除く、少なくとも2つの圧延パスで、圧下率30%超、40%以下の圧延を行うことが好ましい。
圧下率30%超、40%以下の圧延は、最初の圧延パスで行ってもよいし、第2のパス以降(最終の圧延パスを除く)の圧延パスで行ってもよい。即ち、最終の圧延パスを除く圧延パスで、圧下率30%超、40%以下の圧延を行ってもよい。
最終の圧延パスの直前の圧延パスで、圧下率33%を超える圧延を行ってもよいが、潤滑油の選択が適切でないと、ヒートスクラッチが発生する可能性が高くなるので、最終の圧延パスの直前の圧延パスにおける圧下率は33%以下が好ましい。
最終の圧延パスでは、ヒートスクラッチが発生しないように、圧下率25〜30%未満で圧延を行うこと好ましい。
リバース圧延における全圧下率は70%超が好ましい。全圧下率が70%以下であると、所要のパス数で、所望の最終板厚に至らず、再度、圧延を必要とする場合がある。
圧延速度は、各圧延パスにおける圧下率との兼ね合いで調整するが、最終の圧延パスにおける圧延速度は、150m/分未満であると潤滑油の油膜圧が低く、微小なヒートスクラッチが発生する恐れがあるので、150m/分以上が好ましい。
また、最終の圧延パスにおける圧延速度は、高圧下潤滑圧延の生産性の点から250m/分以上が好ましい。
圧延パスで圧下率30%超、40%以下を確保するため、直径150mm以上、600mm以下のワークロールを用いるのが好ましい。直径が150mm未満であると、ワークロールの強度を確保できず、圧延中、ワークロールが折損することがある。
また、ワークロール径が大きいほうが鋼板のr値が高くなるので、加工性を要求される鋼板を圧延する場合、ワークロール径は大きいほうが望ましい。一方、直径が600mmを超えると、30%超、40%以下の圧下率を確保するのが難しくなる。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
5基の圧延スタンドを備えるタンデム圧延機で、粘度が、40℃で150cStの高粘度潤滑油を用いて、圧延スタンドを適宜選択して圧下率を30%超、40%以下に設定し、酸洗後のステンレス鋼板を圧延した。圧延条件と圧延結果は、表1の発明例に示す通りである。
なお、粘度は、JIS K 2283に基づき、キャノン−フェンスケ粘度計で測定した粘度である。
ワークロール径は500mmである。表1には示していないが、ワークロール径620mmでは、圧延荷重がミルの仕様を超え、必要な圧下率を実現できなかった。ワークロール径140mmでは、ロール表面が割損して圧延できなかった。
圧延例cでは、第2圧延スタンド(No.2std)で、圧下率32%の高圧下圧延を行った。全圧下率は78.6%である。圧延に問題は生じず、板厚0.58mmまで圧延することができた。
圧延例dでは、第2圧延スタンド(No.2std)と第3圧延スタンド(No.3std)で、圧下率30%超の高圧下圧延を行った。全圧下率は79.2%である。圧延に問題は生じず、板厚0.56mmまで圧延することができた。
圧延例eでは、第1圧延スタンド(No.1std)で、圧下率32%の高圧下圧延を行った。全圧下率は78.8%である。圧延に問題は生じず、板厚0.57mmまで圧延することができた。
なお、前段の高圧下圧延で疵が発生しても、後段の圧延で、疵の程度を軽減できるので、前段で高圧下圧延を行うことが好ましい。
圧延例fでは、第4圧延スタンド(No.4std)で、圧下率35%の高圧下圧延を行った。全圧下率は79.8%である。極めて軽度のヒートスクラッチが発生じたが、板厚0.54mmまで圧延することができた。
なお、最終圧延スタンド(No.5std)の前段の圧延スタンド(No.4std)で高圧下圧延を行うことは、実用上、問題はない。
圧延例gでは、第2圧延スタンド(No.2std)で、圧下率32%の高圧下圧延を行った。全圧下率は79.9%である。最終圧延スタンド(No.5std)で、圧下率22%の圧延の行い、全圧下率を最適化した。チャタリングの発生がなく、板厚0.54mmまで圧延することができた。
圧延例hは、第1〜4の圧延スタンド(No.1std〜No.4std)で、圧下率30%の高圧下圧延を行った。全圧下率は82.8%である。圧延に問題は生じず、板厚0.46mmまで圧延することができた。
以上、圧延例c〜hは、“高粘度+高圧下”で、所望の板厚(0.60mm未満)まで、効率よく圧延することができた圧延例である。
(比較例)
表1において、圧延例aと圧延例bが比較例である。圧延例aでは、低粘度(40℃:40cSt)の潤滑油を用い、各圧延スタンドで、圧下率30%未満の低圧下圧延を行った。全圧下率は77.0%である。圧延自体に問題は生じず、板厚0.62mmまで圧延することができた。
しかし、最終板厚が0.60mm超であるので、所望の板厚(0.60mm未満)まで、再度、圧延を行う必要がある。圧延例aは、“低粘度+低圧下”の圧延であり、冷延作業全体として能率が低い圧延例である。
圧延例bでは、低粘度(40℃:40cSt)の潤滑油を用い、第2圧延スタンド(表中、No.2std)で、圧下率32%の高圧下圧延を行った。全圧下率は78.6%である。
圧延例bは、板厚0.58mmまで圧延することができたが、“低粘度+高圧下”が原因で、ヒートスクラッチが発生した圧延例である。
(参考例)
圧延例iでは、高粘度(40℃:150cSt)の潤滑油を用い、各圧延スタンドで、圧下率30%未満の低圧下圧延を行った。全圧下率は77.0%である。圧延に問題は生じず、板厚0.62mmまで圧延することができた。
しかし、最終板厚が0.60mm超であるので、所望の板厚(0.60mm未満)まで、再度、圧延を行う必要がある。
圧延例iは、高粘度の潤滑油を用いても、各圧延スタンドでの圧下率が低いと(“高粘度+低圧下”)、冷延作業全体として能率が低い圧延例である。
なお、5パスで最終板厚まで圧延するリバース圧延において、表1の発明例に示す圧延条件を、各パスの圧延条件として採用すれば、同じ結果が得られることは明らかである。
前述したように、本発明によれば、タンデム圧延機又はリバース圧延機で、圧延中にスリップを起こさず、ヒートスクラッチのない所望の最終板厚のステンレス鋼板を、生産性よく圧延することができる。よって、本発明は、鉄鋼産業の鋼板製造技術において利用可能性が高いものである。

Claims (20)

  1. 酸洗後のステンレス鋼板を複数の圧延スタンドを備えるダンデム圧延機で冷間圧延する方法において、40℃で140cSt以上の高粘度潤滑油を用い、圧延スタンドは、直径150mm以上、600mm以下のワークロールを用い、複数の圧延スタンドの内、最初の圧延スタンドの入り側での圧延速度を66m/min以上とし、最終の圧延スタンドを除く少なくとも1基の圧延スタンドで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行い、最終の圧延スタンドで、圧下率18〜26%未満の圧延を行うことを特徴とする高圧下潤滑圧延方法。
    ただし、粘度は、JIS K 2283に基づき、キャノン−フェンスケ粘度計で測定した粘度である。
  2. 前記冷間圧延を、4基以上の圧延スタンドを備えるダンデム圧延機で行うことを特徴とする請求項1に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  3. 前記ダンデム圧延機で行うタンデム圧延において、最終の圧延スタンドを除く少なくとも2基の圧延スタンドで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行うことを特徴とする請求項2に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  4. 前記タンデム圧延において、最初の圧延スタンドで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行うことを特徴とする請求項2に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  5. 前記タンデム圧延において、最初の圧延スタンドで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行うことを特徴とする請求項3に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  6. 前記タンデム圧延において、最終の圧延スタンドの直前の圧延スタンドで、圧下率33%以下の圧延を行うことを特徴とする請求項3に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  7. 前記タンデム圧延において、最終の圧延スタンドの直前の圧延スタンドで、圧下率33%以下の圧延を行うことを特徴とする請求項4に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  8. 前記ダンデム圧延において、全圧下率70%超の圧延を行うことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  9. 前記タンデム圧延において、最終の圧延スタンドにおける圧延速度が、250m/分以上であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  10. 酸洗後のステンレス鋼板をリバース圧延機で冷間圧延する方法において、40℃で140cSt以上の高粘度潤滑油を用い、リバース圧延機は、直径150mm以上、600mm以下のワークロールを用い、リバース圧延の複数回の圧延パスの内、最初の圧延パスの入り側での圧延速度を66m/min以上とし、最終の圧延パスを除く少なくとも1つの圧延パスで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行い、最終の圧延パスで、圧下率18〜26%未満の圧延を行うことを特徴とする高圧下潤滑圧延方法。
    ただし、粘度は、JIS K 2283に基づき、キャノン−フェンスケ粘度計で測定した粘度である。
  11. 前記リバース圧延機で行うリバース圧延において、最終の圧延パスを除く少なくとも2つの圧延パスで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行うことを特徴とする請求項10に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  12. 前記リバース圧延において、最初の圧延パスで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行うことを特徴とする請求項10に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  13. 前記リバース圧延において、最初の圧延パスで、圧下率30%超、35%以下の圧延を行うことを特徴とする請求項11に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  14. 前記リバース圧延において、最終の圧延パスの直前の圧延パスで、圧下率33%以上、35%以下の圧延を行うことを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  15. 前記リバース圧延において、全圧下率70%超の圧延を行うことを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  16. 前記リバース圧延において、全圧下率70%超の圧延を行うことを特徴とする請求項14に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  17. 前記リバース圧延において、最終の圧延パスにおける圧延速度が、250m/分以上であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  18. 前記リバース圧延において、最終の圧延パスにおける圧延速度が、250m/分以上であることを特徴とする請求項14に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  19. 前記リバース圧延において、最終の圧延パスにおける圧延速度が、250m/分以上であることを特徴とする請求項15に記載の高圧下潤滑圧延方法。
  20. 前記リバース圧延において、最終の圧延パスにおける圧延速度が、250m/分以上であることを特徴とする請求項16に記載の高圧下潤滑圧延方法。
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