JP4885038B2 - プレス成形性に優れた高張力金属ストリップの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、冷間タンデム圧延機で第1スタンド入側の0.2%耐力が390MPa以上の高張力金属ストリップを圧延する方法であって、板形状およびプレス成形性に優れた高張力金属ストリップを低コストで効率的に製造することを可能とする冷間圧延によって製造する方法に関する。
近年、自動車用鋼板として用いられる0.2%耐力が780MPa以上の高張力金属ストリップ材料(以降、ハイテンと称す)は、衝突安全性の向上や車輌重量の軽量化のため、その需要が増大している。ハイテンは普通鋼と比較して変形抵抗が大きいため、冷間タンデム圧延機の各スタンドの圧延荷重は増大する傾向にある。その結果、冷間タンデム圧延機の各スタンドにおける形状制御能力限界を超えて板形状の悪化を誘発し、後工程である連続焼鈍における通板性(生産性)の阻害や連続焼鈍後の矯正工程での矯正不良を招いている。特に、最終スタンドではダルワークロールが用いられることが多く、この際には摩擦係数が非常に大きくなるため圧延荷重の増大による圧延機の形状制御能力限界を超えた板形状の悪化は深刻な問題となっている。
また、上記ハイテンはプレス加工が一般に行われるため、プレス性の優れた(かじりや疵の発生しない)表面凹凸が望まれている。
上述した問題の解決や要望に対処するための従来の方法は次の通りである。冷間タンデム圧延工程においては、
1) ハイテン材の冷間タンデム圧延時の変形抵抗自体を小さくする(熱間圧延での仕上げ温度および巻き取り温度の制御)。
2) 板形状の悪化を防止するために、冷間タンデム圧延機において形状制御能力の優れた圧延機に設備改造をする。
3) 板形状の悪化を防止するために、ハイテン専用のロールカーブを有するワークロールを板幅や板厚や鋼種毎に多数保有し、条件毎に組み替えて圧延する。
4) 板形状の悪化を防止するために、圧延荷重が小さくなるように、高張力圧延を行う。
5) 板形状の悪化を防止するために、圧延荷重が小さくなるように、WRのヤング率を増大させる。
6) 板形状の悪化を防止するために、圧延荷重が小さくなるように、摩擦係数が小さくなる圧延潤滑条件に変更する。
また、矯正工程においては、
7) 形状を矯正するために、複数パスの調質圧延を行う。
8) 形状を矯正するために、調質圧延で粗矯正した後、テンションレベラーにて高伸び率の矯正を行う。
9) 所望の板表面粗度を得るために、冷間タンデム圧延で滑らかな面を作り、調質圧延で粗度パターンを作り込む。
10)所望の板表面粗度を得るために、冷間タンデム圧延で粗度パターンを作りこみ、調質圧延で滑らかな面を作る。
第1項目の冷間タンデム圧延時のハイテン材の変形抵抗自体を小さくするために、熱間圧延時の仕上げ温度および巻き取り温度を上げることは有効である。たとえば、熱間圧延時の巻き取り温度を600℃から700℃に変更することで熱間圧延後のストリップの0.2%耐力が製品で780MPaのハイテンの場合、約20%低減する。しかしながら、材質的な面からこのような熱間圧延での温度制御には限界があり、十分な効果は得がたい状況にある。
第2項目の形状制御能力の優れた圧延機に設備改造することは有効な手段であり、異径圧延機は既存の圧延機のハウジングポストを利用することが可能でかつ等価WR径を小さくでき、さらに優れた形状制御能力を有する圧延機(例えば、特許文献1参照)ではあるが、設備コストおよびランニングコストが高いという問題がある。
第3項目のハイテン専用のロールカーブを有するワークロールを板幅や板厚や鋼種毎に多数保有し、条件毎に組み替える方法は有効ではあるものの、組み替える毎に生産性は低下するし、多数のワークロールを保有する必要があるので製造コストが増大する。
第4項目の高張力圧延(例えば、特許文献2参照)は有効な手段であるが、ハイテンは通常の張力レベルでも板破断しやすいので、板破断という面から操業上、単純に張力は増大させたくないという要望がある。
第5項目のWRのヤング率を増大させる方法(例えば、特許文献3参照)は、接触弧長が小さくなりワークロールの小径化と同じ効果を得ることができる有効な手段であるものの、通常のロール研磨装置ではWR研磨ができないために別途専用の研磨装置が新たに必要となり、これも設備コストの増大を招くという問題がある。
第6項目の圧延潤滑条件変更(圧延潤滑油、並びに、濃度や流量等の圧延潤滑方法等の変更)はある程度効果はあるものの、多品種を製造する冷間タンデム圧延機では一般鋼を圧延する際にスリップが生じやすくなる問題がある。
第7項目のように調質圧延を複数パス行うのは、大径ワークロールの調質圧延機では圧延機の圧延荷重限界から1パスでは伸び率はほとんど得られないためである。多パス矯正は1パス目で伸び率がほとんど得られないので意味はないが、反り等の形状不良には多パス矯正は有効な場合がある。しかしながら、多パス矯正をすると生産性は著しく低下する。
第8項目のように矯正を行うのは、上述したように大径ワークロールの調質圧延機では圧延荷重限界から1パスでの伸び率はほとんど得られないため形状矯正ができないためであるが、素材の板形状が悪い場合にはテンションレベラーにて高伸び率の矯正をする必要がある。しかしながら、高伸び率矯正は材質を悪化させ、プレス成形性が悪くなる問題を招く。
第9項目の調質圧延での粗度パターンの作りこみ(例えば、特許文献4参照)については、上述したようにハイテンでは大径ワークロールの調質圧延機において圧延機の圧延荷重限界から1パスでは伸び率はほとんど得られないため、ワークロールの粗度転写効果はほとんど得られない。
第10項目の調質圧延での粗度パターンの作りこみ関しても、上述したようにハイテンでは大径ワークロールの調質圧延機において圧延機の圧延荷重限界から1パスでは伸び率はほとんど得られないため、ワークロールの粗度転写効果はほとんど得られない。従って冷間タンデム圧延での粗度がほとんどそのまま、製品の粗度となる。
特開昭56−160808号公報 特開平09−248603号公報 特開平09−239410号公報 特開平08−052501号公報
上述したように、ハイテンの調質圧延ではほとんど伸び率が得られないし、また伸び率2%程度までのテンションレベラーではハイテンの表面凹凸はほとんど変化しない。このため、ハイテンの表面凹凸を付与するために冷間タンデム圧延機の最終スタンドに組み込まれた放電ダル加工やショットダル加工やレーザー加工によって作製された粗度の粗いワークロールにより転写された凹凸がそのまま最終製品の凹凸となっていた。
凹凸に関しては、この状態でハイテンをプレス加工した際にかじりや疵が発生しやすいという問題があり、高伸び率矯正されたハイテン材はスプリングバックが大きく加工しにくいという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑み、プレス成形性に優れた表面凹凸を有する高張力金属ストリップを低コストで効率的に製造する製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、上述した従来法の問題点を解決するものであり、冷間タンデム圧延機における第1スタンド入側の0.2%耐力が390MPa以上である高張力金属ストリップを、冷間タンデム圧延して製造するプレス成形性に優れた高張力金属ストリップの製造方法において、最終圧延スタンド直前の圧延スタンドのワークロールの表面粗度を2.4μmRa以上6.0μmRa以下、それ以外の圧延スタンドのワークロールの表面粗度を0.2μmRa以上0.9μmRa以下とし、かつ、該最終圧延スタンドの圧下率を1%以上10%以下および該最終圧延スタンド直前の圧延スタンドの圧下率を1%以上6%以下とすることを特徴とする。
また、前記冷間タンデム圧延のあと、連続焼鈍設備において熱処理を施し、その後ワークロールの表面粗度を0.2μmRa以上0.9μmRa以下、伸び率を0.2%以上0.4%以下で調質圧延することを特徴とする。
あるいは、前記冷間タンデム圧延のあと、連続焼鈍設備において熱処理を施し、その後テンションレベラーにて伸び率を0.2%以上0.8%以下として矯正することを特徴とする。
本発明では、板表面に平坦な突起を生成させることができる。この平坦な突起を有する金属板は、プレス時の摩擦抵抗も低く、かじり等の発生も少ないので、本発明の方法により、プレス製の良好な高張力金属ストリップを生産することができる。
また、本発明において、最終スタンドでダルロールを使用しないので、形状制御性や通板性がよく、従来技術より、プレス製の良好な製造において、生産性や品質を向上させることができる。
したがって、本発明により、冷間タンデム圧延機で第1スタンド入側の0.2%耐力が390MPa以上の高張力金属ストリップを圧延する際に、冷間タンデム圧延機出側の板形状は良好となり後工程の連続焼鈍炉における生産性の向上や、調質圧延機における低伸び率での形状矯正性、テンションレベラーにおける低伸び率での形状矯正性が良くなると共に、プレス成形性に優れた表面凹凸を有する高張力金属ストリップを低コストで効率的に製造することが可能となる。
図1は、この発明を実施する冷間タンデム圧延機の一例を示す構成図である。図1において、冷間タンデム圧延機は5スタンドの圧延機から構成されており、この例ではすべて同じ型式の4重圧延機である。各圧延機のワークロールは上ワークロール(1a、1b、1c、1d、1e)と下ワークロール(1a’、1b’、1c’、1d’、1e’)から構成されており、図示してはいないがこれらのワークロールにはスピンドルが連結されており電動機によって駆動されている。これらのワークロール寸法は直径が500〜560mm(上下ワークロールのペア差は0.1mm未満)、胴長が2200mmの鍛鋼ロールでヤング率は205.8GPaである。また、図示してはいないが形状制御手段として上下ワークロールチョックを支点として上下ワークロールの垂直方向の撓みを制御するためのインクリースおよびディクリースベンダー力を付与することが可能なベンダー装置(最大ベンダー力:490KN/chock)が具備されている。
バックアップロールは上バックアップロール(2a、2b、2c、2d、2e)と下バックアップロール(2a’、2b’、2c’、2d’、2e’)から構成されており、これらのバックアップロール寸法は直径が1450〜1500mm(上下バックアップロールのペア差は1mm未満)、胴長が2200mmの鍛鋼ロールである。図示してはいないが、上バックアップロールチョック上部には荷重検出装置が配置され、ワークサイドおよびドライブサイドの荷重が検出される。また、荷重検出装置の上部には電動圧下装置が配置されており、金属ストリップSを圧延する際のパスライン調整が行われる。さらに、下バックアップロールチョック下部には図示してはいないが、圧延力を付与するための油圧圧下装置が配置されている。金属ストリップSは1スタンド入側の0.2%耐力が390MPa以上のハイテンと呼ばれる金属ストリップであり、熱間圧延後に酸洗設備で表面の酸化スケールが除去されている。
ここで例示する金属ストリップの寸法は板幅が1240mm、第1スタンド入側の板厚が2.2mmで0.2%耐力が450MPaの金属ストリップ(焼鈍・矯正後の0.2%耐力が980MPaの高張力金属ストリップ)である。
各スタンドの入側には圧延潤滑油供給装置(3a、3b、3c、3d、3e、3a’、3b’、3c’、3d’、3e’)が配置されており、ロールバイト入口に圧延潤滑油が供給されている。なお、図示してはいないがロールバイト出側からワークロール冷却のために同じ圧延潤滑油がワークロールに供給されている。
この冷間タンデム圧延機を用いて本発明に関しての実験を行った。基本圧延条件を表1に示す。
Figure 0004885038
先ず、最終スタンドの圧延荷重および形状制御性について比較するために、実験条件1と実験条件2を比較した。実験条件1は最終圧延スタンドでロール粗度を粗くした従来技術であり、実験条件2は最終圧延スタンド直前の圧延スタンドのロール粗度を粗くした本発明技術である。いずれも冷間タンデム圧延機でのトータル圧下率は同じである。実験条件1では第5スタンドの圧延荷重は19.6MN/mであり、ベンダーをフルに活用しても端伸び3.0%程度の板形状であった。このため、後工程の連続焼鈍炉では通板速度200m/minで操業せざるを得なかった。また、その後の調質圧延では伸び率0.2%程度しかかからず形状矯正は不可能であり、テンションレベラーで高い伸び率(2.5%程度)で矯正する必要があった。このため、材料の一様伸びが小さくなり、プレス時に欠陥が生じる場合があった。
これに対し、実験条件2では第5スタンドの圧延荷重は11.7MN/mに減少し、ベンダーをフルに活用すると端伸び1%程度の板形状にすることができた。このため、後工程の連続焼鈍炉では通板速度400m/minで操業することができた。また、その後の調質圧延では伸び率0.2%程度しかかからないものの、素材の板形状が良いので大半がこの低伸び率でも形状矯正が可能となった。残りの形状不良材も、テンションレベラーで低い伸び率(0.8%程度)で矯正できるため、材料の一様伸びがさほど小さくならず、プレス時に欠陥は生じなくなった。このように、最終スタンドでダルロールを使用しないことによって、形状制御性が良くなり、生産性や品質が向上した。
次に板表面の凹凸についてであるが、実験条件1では冷間タンデム圧延機出側の凹凸がほぼ最終製品の凹凸となる。従来の板表面の凹凸のイメージ図を図2の(a)に示す。図より明らかなように、板表面には鋭利な凸状の突起が形成されている。この突起が、プレス時の摩擦抵抗を高め、かじり等の発生を生じさせていることが分かった。
これに対し、実験条件2では最終圧延スタンド直前のスタンドでは図2の(a)と同様な凹凸が形成させるものの、最終スタンドで十分な圧下が加えられるので、冷間タンデム圧延機出側の凹凸は図2の(b)に示すように、板表面には平坦な凸状の突起が形成されている。この平坦な突起では、プレス時の摩擦抵抗を高めることもなく、またかじり等の発生を生じさせないことが分かった。このような、凹凸を作成するためには、最終圧延スタンド直前の圧延スタンドのワークロールの表面粗度を2.4μmRa以上6μmRa以下、それ以外の圧延スタンドのワークロールの表面粗度を0.2μmRa以上0.9μmRa以下にすることが良いことが判明した。また、プレス加工を行った際に、上記圧延方法で製造した材料のうち、2次元表面粗さ計で圧延方向の板プロフィルを測定した際に、単位長さ当たりの、平滑な凸部の線長総和の占める割合(以降、平滑率と記す)が0.3〜0.8、かつ、平均粗さRaが1.0μm以上2.5μm以下の鋼板が耐かじり性と塗装後の鮮映性にすぐれていることが判明した。
最終圧延スタンド直前の圧延スタンドのワークロールの表面粗度を2.4μmRa以上とするのは、これ未満であると十分な粗度が得られないからである。それ以外の圧延スタンドのワークロールの表面粗度を0.2μmRa以上0.9μmRa以下としたのは、粗度が小さすぎるとスリップが発生するからであり、0.9μmRa以下としたのは粗度が大きすぎると上述した凸部の平坦度が得られないからである。
最終圧延スタンドの圧下率を1%以上10%以下としたのは、上記圧延条件で凸部平坦度を得るためであり、10%以下としたのは圧下率が大きくなると十分な粗度が得られなくなるためである。
矯正工程での伸び率については、下限は矯正能力を発揮するための必要最小限の伸び率であり、上限は上述した材質的な面からの制約である。
なお、最終圧延スタンド直前の圧延スタンドのワークロールの表面粗度を2.4μmRa以上にする方法として、放電ダル加工やショットダル加工やレーザー加工の中のどれを使用しても良い。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に相到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
図1に示した冷間タンデム圧延機を用いて本発明の効果を確認した。金属ストリップの寸法は板幅が1240mm、第1スタンド入側の板厚が2.2mmで0.2%耐力が450MPaの金属ストリップ(焼鈍・矯正後の0.2%耐力が980MPaの高張力金属ストリップ)である。基本圧延条件は表1に示したものと同一である。ただし、トータルの圧下率が同じになるように、第1スタンドから第3スタンドの圧下率は第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)および第5スタンド(最終スタンド)の圧下率に応じて変更した。
この冷間タンデム圧延機を用いて本発明の効果を確認した。本発明および比較の圧延条件および結果を表2に示す。
Figure 0004885038
本発明の基準圧延条件は、第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)のワークロールの表面粗度が2.4μmRa以上6.0μmRa以下、第1〜3及び第5スタンド(それ以外の圧延スタンド)のワークロールの表面粗度が0.2μmRa以上0.9μmRa以下であり、かつ、第5スタンド(最終圧延スタンド)の圧下率が1%以上10%以下、および該第4スタンドの圧下率が1%以上6%以下である(表2の本発明1〜16)。
本発明(例えば本発明1)の基準条件と比べて第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)のワークロール粗度が2.4μmRa未満の場合(比較例1)は最終製品の粗度が低くなりすぎ、プレス時に材料側の凹部に補足される潤滑油の量が減少しかじりが生じた。また、第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)のワークロール粗度が6.0μmRaを超えた場合(比較例2)は最終製品の粗度が高くなりすぎ、プレス時の摩擦抵抗が高まりかじりが生じた。従って、本発明の基準条件の第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)のワークロール粗度が適正範囲内である必要が明らかである。
本発明(例えば本発明1)の基準条件と比べて第5スタンド(最終スタンド)のワークロール粗度が0.2μmRa未満の場合(比較例3)は最終製品の平滑率が高くなりすぎ、プレス時に材料側の凹部に補足される潤滑油の量が減少しかじりが生じた。また、第5スタンド(最終スタンド)のワークロール粗度が0.9mRaを超えた場合(比較例4)は最終製品の粗度が高くなりすぎ、プレス時の摩擦抵抗が高まりかじりが生じた。従って、本発明の基準条件の第5スタンド(最終スタンド)のワークロール粗度が適正範囲内である必要が明らかである。
第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)および第5スタンド(最終スタンド)のワークロール粗度が適正範囲ないであっても、第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)および第5スタンド(最終スタンド)の圧下率が適正でないといけない例として、第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)の圧下率が1%未満の場合(比較例5)、粗度が低くなりすぎ、かつ、平滑率が高くなりすぎ、プレス時に材料側の凹部に補足される潤滑油の量が減少しかじりが生じた。
第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)および第5スタンド(最終スタンド)のワークロール粗度が適正範囲内であっても、第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)および第5スタンド(最終スタンド)の圧下率が適正でないといけない例として、第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)の圧下率が6%を超えた場合(比較例6)、平滑率が低くなりすぎ、かじりが生じた。
第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)および第5スタンド(最終スタンド)のワークロール粗度が適正範囲内であっても、第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)および第5スタンド(最終スタンド)の圧下率が適正でないといけない例として、第5スタンド(最終スタンド)の圧下率が1%未満の場合(比較例7)、粗度が高くなりすぎ、かつ、平滑率は低くなりすぎ、プレス時に材料側の凹部に補足される潤滑油の量が減少しかじりが生じた。
第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)および第5スタンド(最終スタンド)のワークロール粗度が適正範囲内であっても、第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)および第5スタンド(最終スタンド)の圧下率が適正でないといけない例として、第5スタンド(最終スタンド)の圧下率が10%を超えた場合(比較例8)、粗度は低くなりすぎ、かつ、平滑率が高くなりすぎ、かじりが生じた。
従って、本発明の基準条件の第4スタンド(最終スタンド直前のスタンド)および第5スタンド(最終スタンド)の圧下率が適正範囲内である必要のあることは明らかである。
さらに、本発明の基準条件であっても、調質圧延のワークロール粗度が高すぎるとプレス成形性は良いが、伸びがほとんどなくなり形状が矯正できない(本発明11)。調質圧延のワークロール粗度が低すぎるとプレス成形性は良いが、調質圧延時にスリップが生じる(本発明12)。
調質圧延時の伸びが大きすぎると、全伸びが小さくなるので、過酷な条件のプレス成型性は問題が生じる場合がある(本発明13)。また、調質圧延時の伸びが小さすぎると、形状不良となる(本発明10)。
一方、本発明1〜9のように調質圧延時のワークロールの表面粗度を0.3μmRaとし、伸び率を0.3%とした場合、最終製品の形状が良好になっている。
これらの結果から、冷間タンデム圧延のあと、連続焼鈍設備において熱処理を施し、その後の調質圧延において、ワークロールの表面粗度を0.2μmRa以上0.9μmRa以下、伸び率を0.2%以上0.4%以下にすることにより、さらに良好な形状の最終製品を得ることができる。
この調質圧延の伸び率に関することはテンションレベラーの伸び率についても同様である(本発明14〜16)。つまり、テンションレベラーによる伸びが大きすぎると、全伸びが小さくなるので、過酷な条件のプレス成型性は問題が生じる場合がある(本発明16)。また、テンションレベラーによる伸びが小さすぎると、形状不良となる(本発明14)。テンションレベラーによる伸び率を0.3%とした場合(本発明15)、最終製品の形状が良好になっている。
したがって、冷間タンデム圧延のあと、連続焼鈍設備において熱処理を施し、その後のテンションレベラーにおいて、伸び率を0.2%以上0.8%以下として矯正することにより、形状は良好なものとなる。また、全伸びはわずかに減少するので過酷な条件での加工性は確保できないが、それでもかなりプレス成形性の良好な鋼板を得ることはできる。
従来と同じように最終スタンドで粗度を付け、調質圧延で平滑化する方法(比較例9)では、伸びが大きくとれないので粗度が大きすぎ、また、平滑率は低すぎ、かつ、平坦度も悪い。また、最後の調質圧延で粗度付けを行う場合(比較例10)では、ほとんど伸びが得られないので、粗度も形状も所望なものが得られない。
この発明を実施する圧延機本体の一例を示す構成図である 圧延後の金属ストリップ表面の凹凸を表す模式図であり、(a)は従来技術の場合のプロファイルであり、(b)は本発明のプロフィルである。
符号の説明
1a、1b、1c、1d、1e 上ワークロール
1a’、1b’、1c’、1d’、1e’ 下ワークロール
2a、2b、2c、2d、2e 上バックアップロール
2a’、2b’、2c’、2d’、2e’ 下バックアップロール
3a、3b、3c、3d、3e、3a’、3b’、3c’、3d’、3e’ 圧延潤滑油供給装置
S 金属ストリップ

Claims (3)

  1. 冷間タンデム圧延機における第1スタンド入側の0.2%耐力が390MPa以上である高張力金属ストリップを、冷間タンデム圧延して製造するプレス成形性に優れた高張力金属ストリップの製造方法において、
    最終圧延スタンド直前の圧延スタンドのワークロールの表面粗度を2.4μmRa以上6.0μmRa以下、それ以外の圧延スタンドのワークロールの表面粗度を0.2μmRa以上0.9μmRa以下とし、かつ、該最終圧延スタンドの圧下率を1%以上10%以下および該最終圧延スタンド直前の圧延スタンドの圧下率を1%以上6%以下とすることを特徴とするプレス成形性に優れた高張力金属ストリップの製造方法。
  2. 前記冷間タンデム圧延のあと、連続焼鈍設備において熱処理を施し、その後ワークロールの表面粗度を0.2μmRa以上0.9μmRa以下、伸び率を0.2%以上0.4%以下で調質圧延することを特徴とする請求項1に記載のプレス成形性に優れた高張力金属ストリップの製造方法。
  3. 前記冷間タンデム圧延のあと、連続焼鈍設備において熱処理を施し、その後テンションレベラーにて伸び率を0.2%以上0.8%以下として矯正することを特徴とする請求項1に記載のプレス成形性に優れた高張力金属ストリップの製造方法。
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