JP5207710B2 - 記録媒体及びその製造方法、並びにインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
<1> 原紙と、ポリエステル系ウレタンラテックス及びアクリルシリコーン系ラテックスより選ばれる少なくとも1種のバインダーを含む第1の層と、カオリン及びポリビニルアルコールを含む第2の層と、が順次積層されており、
前記第1の層が設けられた前記原紙の第1の層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間120秒間のコッブ吸水度が2.0g/m2以下であって、前記第2の層の表面におけるブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m2以上8mL/m2以下であり、
前記カオリンは、白色度が87を超えるものであって、粒径2μm以下のカオリンの組成比率(体積比)が75%以上であり、
前記ポリビニルアルコールの重合度が1500以上である記録媒体。
<2> 前記カオリンの前記第2の層中における含有量が、前記第2の層の全固形分に対して、75〜99質量%であることを特徴とする<1>に記載の記録媒体。
<3> 前記第1の層は、白色顔料を更に含むことを特徴とする<1>又は<2>に記載の記録媒体。
<4> 前記白色顔料がカオリンであることを特徴とする<3>に記載の記録媒体。
前記第1の層上に、カオリン及びポリビニルアルコールを含む造膜液を付与して第2の層を形成する第2の形成工程と、を有し、<1>〜<3>のいずれかに記載の記録媒体を製造する記録媒体の製造方法。
インク描画された前記記録媒体におけるインク溶媒を乾燥除去する乾燥除去工程と、
を有するインクジェット記録方法。
<7> <1>〜<3>のいずれかに記載の記録媒体に、酸性物質を含む処理液を供給する処理液供給工程と、
処理液が供給された前記記録媒体にインクを付与し、所定の画像データに応じてインク描画するインク描画工程と、
インク描画された前記記録媒体におけるインク溶媒を乾燥除去する乾燥除去工程と、
を有するインクジェット記録方法。
本発明の記録媒体は、原紙と、該原紙側から順に設けられた第1の層及び第2の層とを有してなり、必要に応じて、更に適宜選択された他の層を設けて構成することができる。本発明の記録媒体は、例えば、図1に示す記録媒体100のように、原紙としての上質紙11と、上質紙11の上に形成された第1の層としての溶媒ブロッキング層12と、溶媒ブロッキング層12の上に形成された第2の層としてのコート層13とを設けて構成される。また、記録媒体は、シート紙及びロール紙のいずれであってもよい。
原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド等が挙げられる。
湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂等が挙げられる。
定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が挙げられる。
その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤等が挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
サイズ剤としては、例えば、石油樹脂エマルジョン、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアンモニウム塩、ロジン、高級脂肪酸塩、アルキルケテンダイマー(AKD)、エポキシ化脂肪酸アミド等が挙げられる。
耐水性物質としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体等のラテックス・エマルジョン類、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等が挙げられる。
顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、塩酸、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が挙げられる。
本発明の記録媒体の前記原紙の上には、第1の層を有する。第1の層を設けることにより、原紙へのインク溶媒の浸透が抑制される。例えば、溶媒ブロッキング層が設けられた紙として、ポリエチレン樹脂を主成分とした被膜層を原紙表面に設けたものが公知となっている。しかしながら、上述の溶剤ブロッキング層を設けて耐水性を与えた紙では、水の浸透防止効果はほぼ完全なものが得られるが、紙としての風合いについては必ずしも満足できるものではない。
第1の層は、少なくともバインダーを含み、第1の層が設けられた原紙の、第1の層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間120秒間のコッブ吸水度を2.0g/m2以下とする。この範囲であれば特に制限はなく、第1の層としては、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
第1の層は、例えば、バインダー以外に、必要に応じて更に白色顔料、架橋剤等の他の成分を用いて構成することができる。
第1の層は、バインダーの少なくとも1種を含有する。バインダーは、分散のみならず、塗膜強度を向上させる目的で用いられる。
バインダーとしては、合成高分子のラテックス系のバインダーが挙げられる。
特には、インク溶媒浸透性とコックリング抑制の効果が高く経済性と製造適性を兼ね備える点で、本発明においては、バインダーとしては、ポリエステル系ウレタンラテックス、又はアクリルシリコーン系ラテックスである。
また、ポリエステル系ウレタンラテックスとしては、例えば、市販品として、大日本インキ化学工業(株)製のHYDRAN APシリーズ(例えば、HYDRAN AP−20、同AP−30、同AP−30F、同AP−40(F)、同AP−50LM、同APX−101H、同APX−110、同APX−501など)等が挙げられる。
なお、上記の熱可塑性樹脂は、上記から少なくとも1種を選択して用いるのが好ましく、1種単独で用いるのみならず、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、第1の層が設けられた原紙の第1の層の側からJIS P8140に準拠した吸水度試験により測定した接触時間120秒間のコッブ吸水度を2.0g/m2以下とする。コッブ吸水度が2.0g/m2以下であることにより、第1の層が設けられた原紙は緩浸透性を有し、インク等の液体が付与されたときの吸収を遅らせ、カールの発生の度合いを低減できる。
更には、コッブ吸水度は、1.0g/m2以下であることがより好ましい。また、コッブ吸水度の下限値は0.2g/m2が望ましい。
−白色顔料−
白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、アルミナ白、酸化亜鉛、シリカ三酸化アンチモン、燐酸チタン、水酸化アルミニウム、カオリン、クレー、タルク、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。
白色顔料の第1の層中における含有量としては、白色顔料の種類や熱可塑性樹脂の種類、層厚等によって異なるが、前記バインダーの質量(固形分)に対して、通常は5〜200質量%程度が望ましい。
本発明の第1の層は、前記バインダーを硬膜する硬膜剤を含んでもよい。硬膜剤としては、アルデヒド系化合物、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン及びその誘導体、及びハメットの置換基定数σpが正である置換基に隣接するビニル基を単一分子内に二つ以上有する化合物から選択することができる。
第1の層に硬膜剤を含有することにより、第1の層形成用の造膜液を増粘させることなく、記録媒体の耐水性を向上させることができる。これより、第1の層形成用の造膜液の塗布安定性が向上し、作製された記録媒体の耐水性も向上する。
基(σp値:0.78)、OCOCH3基(σp値:0.31)、SH基(σp値:0.
15)、SOCH3基(σp値:0.49)、SO2CH3基(σp値:0.72)、SO2NH2基(σp値:0.57)、SCOCH3基(σp値:0.44)、F基(σp値:0.06)、Cl基(σp値:0.23)、Br基(σp値:0.23)、I基(σp値:0.18)、IO2基(σp値:0.76)、N+(CH3)2基(σp値:0.82)、S+(CH3)2基(σp値:0.90)等が挙げられる。
第1の層は、さらに層状無機化合物を含有してもよい。層状無機化合物としては、膨潤性無機層状化合物が好ましく、例えば、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、ビーデライト、ノントロナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリナイト等の膨潤性粘度鉱物類、膨潤性合成雲母、膨潤性合成スメクタイト等が挙げられる。膨潤性無機層状化合物は、1〜1.5nmの厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物よりも著しく大きいため、格子層は正荷電不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+、Na+等の場合、イオン半径が小さいため、層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイト及び膨潤性合成雲母は、この傾向が強い点で好ましい。特には、水膨潤性合成雲母が好ましい。
水膨潤性合成雲母のサイズは、好ましくは、厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μmである。拡散制御のためには、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性及び透明性を悪化しない範囲で大きいほどよい。したがって、アスペクト比は100以上が好ましく、より好ましくは200以上、特に好ましくは500以上である。
なお、第1の層には、酸化防止剤等の公知の添加剤を添加することもできる。
本発明の記録媒体は、原紙上の第1の層の上に更に第2の層を有する。
第2の層は、カオリンとポリビニルアルコールを少なくとも含み、第2の層の表面におけるブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m2以上8mL/m2以下とする。この範囲であれば特に制限はなく、第2の層としては、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
また、第2の層は、必要に応じて、更に熱可塑性樹脂などの他の成分を用いて構成することができる。
第2の層は、カオリンの少なくとも1種を含有する。カオリンを含有することにより、インク(特にインク中の顔料)を第2の層内に留めることができ、地肌白色度も高められる。
また、第2の層に含まれるカオリンの粒径は、粒径が2μm以下のカオリンの組成比率(体積比)が好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。粒径が2μm以下のカオリンの比率が75%以上であれば、光沢が高く、紙の高級感を醸し出すことができる。
第2の層は、ポリビニルアルコールの少なくとも1種を含有する。
第2の層に含まれるポリビニルアルコールは特に限定されず、ポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をケン化して得られるポリビニルアルコール及びその誘導体が、さらに酢酸ビニルと共重合しうる単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物が使用可能である。ここで、酢酸ビニルと共重合しうる単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、スルホン酸マレート等のオレフィンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸ソーダ、エチレンスルホン酸ソーダ、スルホン酸ソーダ(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート等のオレフィンスルホン酸アルカリ塩、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩等のアミド基含有単量体、さらには、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。
例えば、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、酸素透過抑制が大きく、S−S特性が高い。ここで、S−S特性とは、膜の破断時までの応力−伸びで表される引張りエネルギー吸収量(タフネス)をいう。そのため、第1の層は、加熱を要する処理に対しても自在に伸縮し亀裂が発生せず、ブリスターが発生しにくい。
なお、変性ポリビニルアルコールの変性率は、硬膜剤との反応による耐水化と、水溶液中での安定性の観点から、0.05〜20モル%であることが好ましく、0.05〜15モル%であることがより好ましい。
第2の層は、上記成分以外に、熱可塑性樹脂などの他の成分を含んでもよい。
熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、例えば、既述の第1の層で挙げられたものと同様の熱可塑性樹脂を用いることができる。
本発明においては、第2の層の表面におけるブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量を2mL/m2以上8mL/m2以下とする。この吸水量が2〜8mL/m2であることにより、第2の層は緩浸透性であり、インク等の液体が付与されたときの付与面での液吸収を遅らせ、カールの程度を抑制できると共に、色間滲みや混色が防止される。色間滲みや混色の防止は、後述するように、第2の層の層表面のpHを酸性(特にpH4以下)に調整するか、あるいは後述の酸性物質を含む処理液をインクと共に用いる場合に特に有効である。
第2の層における前記吸水量は、更には、前記同様の理由から、2mL/m2以上4mL/m2以下の範囲が好ましい。
第2の層は、その層表面のpHを4以下に調整することが好ましく、これにより付与されたインクを凝集させ、インクの定着を向上させることができる。すなわち、例えば着色成分として顔料を含むインクの場合、第2の層に着滴した際にpH変化で顔料が凝集し、インクの経時滲み、色間混色を防止することができる。
例えば、リン酸基を有する化合物としては、リン酸、ポリリン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩があり、カルボン酸基を有する化合物としては、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物等、例えば、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等がある。
これらの化合物を第2の層形成用の造膜液に添加することにより、pHを4以下に調整することができる。添加量は、pHが4以下になるように適宜選択すればよい。
本発明の記録媒体には、その他の層として上記第1及び第2の層以外の他の層を設けてもよい。他の層としては、目的に応じて適宜選択することができる。
既述の本発明の記録媒体は、原紙の上に第1の層と第2の層とを原紙側から順に積層された層構造を有するように作製できる方法であれば、特に制限はないが、好ましくは、原紙上に、熱可塑性樹脂粒子を含む造膜液を付与し、熱可塑性樹脂粒子の最低造膜温度以上の温度領域で加熱処理することにより第1の層を形成する第1の形成工程と、第1の層上に、カオリン及びポリビニルアルコールを含む造膜液を付与して第2の層を形成する第2の形成工程とを設けた方法(本発明の記録媒体の製造方法)によって製造される。本発明の記録媒体の製造方法には、更に、必要に応じて適宜選択された他の工程を含んでもよい。
第1の形成工程では、原紙上に、ポリエステル系ウレタンラテックス及びアクリルシリコーン系ラテックスより選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂粒子を含む造膜液(第1の層形成用造膜液)を付与し、熱可塑性樹脂粒子の最低造膜温度以上の温度領域で加熱処理することにより第1の層を形成する。なお、加熱処理において、圧力を印加してもよい。
また、熱可塑性樹脂及びその粒子については、既述の第1の層で使用可能な熱可塑性樹脂及びそのラテックスと同様のものを挙げることができる。熱可塑性樹脂粒子は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂の塗布量としては、1〜30g/m2であることが好ましい。
前記水分散性ラテックスの中でも、第1の層においては、インク溶媒浸透性とコックリング抑制の効果が高く経済性と製造適性を兼備できる観点より、ポリエステル系ウレタンラテックス及びアクリルシリコーン系ラテックスより選択される1種もしくは2種以上が最も好ましい。
塗布法には、公知の塗布方法が適用可能であり、公知の塗布方法として、例えば、ブレード塗布方式、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等が挙げられる。
第2の形成工程では、前記第1の形成工程で形成された第1の層上に、第2の層を形成するカオリン及びポリビニルアルコールを含む造膜液(第2の層形成用造膜液)を付与し、第2の層を形成する。第1の層上に第2の層を形成すること以外は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
塗布法には、公知の塗布方法が適用可能であり、公知の塗布方法として、例えば、ブレード塗布方式(ベント方式、ベベル方式)、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ケッドバーコーティング方式等が挙げられる。中でも、高速塗工が可能で、例えば層状無機化合物などの平板状顔料を用いるときにはその配向を促す等により光沢性が得られる点で、ブレード塗布方式がより好ましい。また、ブレード塗布方式は、スクレイプする瞬間に比較的大きなせん断応力が発生するため、瞬間的なニップ圧による加圧浸透によって大量の水分が紙支持体中へ移動しやすいが、溶媒の浸透をブロッキングする第1の層を備えた本発明の記録媒体には特に効果的である。
本発明のインクジェット記録方法は、既述の本発明の記録媒体にインクを付与し、所定の画像データに応じてインク描画するインク描画工程と、インク描画された前記記録媒体におけるインク溶媒を乾燥除去する乾燥除去工程とを設けて構成することができる。
例えば、既述の本発明の記録媒体のうち、第2の層(第1の層上のコート層)に予め凝集剤(処理液)を含ませて層表面のpHを下げた記録媒体に対して、インク描画等を行なうインクジェット記録方式(図2参照;以下、「第1の態様に係るインクジェット記録方法」という。)と、既述の本発明の記録媒体に対して、酸性物質を含む処理液を供給した(プレコート)後にインク描画等を行なうインクジェット記録方式(図3参照;以下、「第2の態様に係るインクジェット記録方法」という。)とがある。
また、本発明の第2の態様に係るインクジェット記録方法は、既述の本発明の記録媒体に、酸性物質を含む処理液を供給する処理液供給工程と、処理液が供給された前記記録媒体にインクを付与し、所定の画像データに応じてインク描画するインク描画工程と、インク描画された記録媒体におけるインク溶媒を乾燥除去する乾燥除去工程と、を設けて構成されたものである。
上記の第1及び第2の態様に係るインクジェット記録方法はいずれも、必要に応じて、さらに適宜選択された他の工程を有してもよい。
第1の態様のインク描画工程は、既述の本発明の記録媒体のうち、第2の層の層表面がpH4以下に調整された本発明の記録媒体を用い、この記録媒体の第2の層にインクを付与することにより、所定の画像データに応じてインク描画する。インク(例えば顔料インク)が第2の層に付与されると、インクは着滴時のpH変化でインク(例えばインク中の顔料)が凝集し、これによりインクの滲み、色間混色が防止される。
上記のうち、ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)が好適である。
第2の態様に係るインクジェット記録方法では、前記インク描画工程の前に処理液供給工程を設け、予め記録媒体の第2の層に酸性物質を含む処理液を供給する。処理液供給工程は、下記の酸性物質を含む処理液を供給する以外は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、この処理液供給工程は、必要に応じて、第1の態様に係るインクジェット記録方法に設けてもよい。
酸性物質を含む処理液は、酸性物質を含んで酸性側の液性を有するように調整された液体であればよく、酸性物質を水系媒体と混合した水系の処理液が好ましい。本発明における処理液のpHとしては、インクの滲み、色間混色が防止の点で、4以下であるのが好ましい。
例えば、リン酸基を有する化合物としては、リン酸、ポリリン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩があり、カルボン酸基を有する化合物としては、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物等、例えば、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が、処理液に添加される。
その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
乾燥除去工程は、インク描画された前記記録媒体におけるインク溶媒を乾燥除去する。記録媒体に付与されたインクのインク溶媒を乾燥除去する以外には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
乾燥除去工程は、本発明の記録媒体においては第2層としてのコート層が緩浸透性であるので、インク溶媒(特に水)が記録媒体の表面付近に存在する状態で実施される。乾燥除去は、例えば、所定の温度の乾燥風をあてる方法、加熱及び/又は加圧されたロール対を通す方法、等により行なえる。
本発明のインクジェット記録方法は、上記工程以外に、他の工程を設けてもよい。他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、加熱定着工程などが挙げられる。
前記第1のインクジェット記録方法は、例えば、下記の条件でインク描画、乾燥(水乾燥、送風乾燥)、加熱定着が行なえる。
<インク描画>
ヘッド:1,200dpi/20inch幅フルラインヘッド
吐出液滴量:0,2.0,3.5,4.0pLの4値記録
駆動周波数:30kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
<乾燥(水乾燥、送風乾燥)>
風速:8〜15m/s
温度:40〜80℃
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
<加熱定着>
シリコンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:70〜90℃
圧力:0.5〜2.0MPa
第2のインクジェット記録方法は、例えば、下記の条件でプレコート、インク描画、乾燥(水乾燥、送風乾燥)、加熱定着が行なえる。
<プレコートモジュール用処理液用ヘッド>
ヘッド:600dpi/20ichi幅フルラインヘッド
吐出液滴量:0、4.0pLの2値記録
駆動周波数:15kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
描画パターン:インク描画工程において、少なくとも1色以上の色インクを描画を行なう位置に予め処理液を付与するパターンを適用
<プレコートモジュール用水乾燥(送風乾燥)>
風速:8〜15m/s
温度:40〜80℃
送風領域:450mm(乾燥時間0.7秒)
<インク描画>
ヘッド:1200dpi/20inch幅フルラインヘッド
吐出液滴量:0、2.0、3.5、4.0pLの4値記録
駆動周波数:30kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
<乾燥(水乾燥、送風乾燥)>
風速:8〜15m/s
温度:40〜80℃
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
<加熱定着>
シリコンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:70〜90℃
圧力:0.5〜2.0MPa
前記第2の態様に係るインクジェット記録方法では、処理液と、該処理液と反応して凝集するインクとからなる水系2液凝集インクを用いてもよい。
水系2液凝集インクの処理液としては、既述の処理液と同様のものを使用できる。処理液の詳細については、既述の通りである。
水系2液凝集インクを構成するインクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。また、イエロー、マゼンタ、シアン色調インク以外のレッド、グリーン、ブルー、白色インクやいわゆる印刷分野における特色インク(例えば無色)等を用いることができる。また、前記インクとしては、例えば、ラテックス粒子と、有機顔料と、分散剤と、水溶性有機溶媒とを含み、更に必要に応じて、その他の添加剤を含むものが挙げられる。
ラテックス粒子としては、水系の媒質中に分散された、例えば、ノニオン性モノマー、アニオン性モノマー、カチオン性モノマーからなる化合物の重合物等の粒子が挙げられる。
オレンジ又はイエロー用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
前記有機顔料の分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性の分散剤でも非水溶性の分散剤のいずれでもよい。
アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであればいずれでもよく、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
カチオン性基は、プラスの荷電を有するものであればいずれでもよく、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素又はリンのカチオン性基であることがより好ましい。また、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることがさらに好ましい。
ノニオン性基は、ポリエチレンオキシドやポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
また、疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基がさらに好ましい。
水溶性有機溶媒は、乾燥防止や浸透促進等の目的で用いられる。
乾燥防止剤としての水溶性有機溶媒は、インクジェット記録方式におけるノズルのインク噴射口において好適に用いられ、インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する。
前記その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合は、インクに直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合は、染料分散物の調製後、分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
<インクジェット記録媒体の作製>
(第1の層形成用塗布液の調製)
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部、0.1N水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.8部、40%ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成(株)製)1.2部、及び水48.8部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、日本精機製作所(株)製)を用いて分散を行い、65%カオリン分散液を得た。次いで、22.5%ポリエステル系ウレタンラテックス水分散液(ガラス転移温度49℃、最低造膜温度29℃;商品名:ハイドランAP−40F、大日本インキ化学工業(株)製)100部に、水5部と、得られた65%カオリン分散液6.9部と、10%エマルゲン109P(花王(株)製)0.8部を加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って固形分濃度が24.0%の第1の層用塗工液を得た。
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部と、40%ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成(株)製)1.2部とを混合し、水中に分散し、7%PVA245((株)クラレ製)水溶液100部と、10%エマルゲン109P(花王(株)製)水溶液3.7部を添加して、最終的な固形分濃度が27%の第2の層用塗工液を調製した。
坪量81.4g/m2の上質紙(商品名:しらおい、日本製紙製)の両面に、得られた第1の層用塗工液を、エクストルージョンダイコーターを用いて、片面当たりの塗工量が8.0g/m2となるように調整しながら片面ずつ塗布し、温度85℃、風速15m/secで1分間乾燥して、第1の層を形成した。さらに、形成された第1の層に対して、下記に示すソフトカレンダー処理を行った。形成された第1の層の厚みは、8.1μmであった。
第1の層が表面に形成された上質紙に対し、金属ロールと樹脂ロールとが対をなすロール対を備えたソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度50℃、ニップ圧50kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行った。
前記第1の層が形成された上質紙の両面に、前記調製された第2の層用塗工液を、エクストルージョンダイコーターを用いて、片面当たりの乾燥質量が20g/m2となるように片面ずつ塗布し、温度70℃、風速10m/secで1分間乾燥して、第2の層を形成した。さらに、形成された第2の層に対して、前記第1の層と同様にソフトカレンダー処理を行った。形成された第2の層の厚みは、20.2μmであった。
以上のようにして、本発明のインクジェット記録媒体を作製した。
得られたインクジェット記録媒体について、下記の評価1.〜5.を行なった。評価結果は下記表1に示す。
JIS P8140に準拠した吸水度試験にしたがって、第1の層が形成された上質紙の第1の層表面にてコッブ吸水度(20℃の水に2分間接触させたときの水の浸透量g/m2)を測定した。
ブリストー法に基づき、以下のようにして測定した。
得られたインクジェット記録媒体をA6サイズにカットして得られた第2の層のサンプル片を測定盤に設置した。設置されたサンプル片に、試験液が充填されたヘッドを接触させた後、図4に示すような走査ライン(内側から外側)を自動走査して吸液特性を測定した。測定盤が回転速度(紙とインクとの接触時間)を段階的に変化させ、回転させることにより接触時間と吸液量(吸水量)との関係を得た。下記表1には、接触時間0.5秒における吸水量を示す。
インクジェット記録媒体を裁断して50mm×5mmサイズの試験片を作成し、MD、CDそれぞれの方向に対してこの試験片に水が10g/m2となるよう塗布し、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.15−2:2000(紙−カール試験方法−第2部)に規定されるカール曲率測定法に準拠して、23℃、50%RHの環境条件で8時間放置した後のカール度を下記の基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:カール度10未満であった。
B:カール度10以上20未満であった。
C:カール度20以上30未満であった。
D:カール度30以上であった。
(1)シアン顔料インクCの調製
−顔料分散物の調製−
大日精化社製のシアニンブルーA−22(PB15:3)10g、下記の低分子量分散剤10.0g、グリセリン4.0g、及びイオン交換水26gを攪拌、混合して分散液を調製した。次いで、超音波照射装置(SONICS社製 Vibra−cell VC−750、テーパーマイクロチップ:φ5mm、Ampitude:30%)を用いて、前記分散液に、超音波を間欠照射(照射0.5秒、休止1.0秒)で2時間照射し、顔料を更に分散させ、20質量%顔料分散液とした。
・グリセリン ・・・5.0g
・ジエチレングリコール ・・・10.0g
・オルフィンE1010(日信化学工業製) ・・・1.0g
・イオン交換水 ・・・11.0g
次に、この混合液IIを上記の20質量%顔料分散液にゆっくりと滴下しながら攪拌、混合して、シアン色の顔料インクC(シアンインク)100gを調製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGを用いて、上記のようにして調製された顔料インクCのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
顔料インクCの調製において、顔料インクCの調製に用いた顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(PR−122)を用いたこと以外は、顔料インクCの調製と同様の方法でマゼンタ色の顔料インクM(マゼンダインク)を調製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、上記のようにして調製された顔料インクMのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
顔料インクCの調製において、顔料インクCの調製に用いた顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のIrgalite Yellow GS(PY74)を用いたこと以外は、顔料インクCの調製と同様の方法でイエロー色の顔料インクY(イエローインク)を調製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、上記のようにして調製された顔料インクYのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
顔料インクCの調製において、顔料インクCの調製に使用した顔料分散液に代えて、CABOT社製の分散体CAB−O−JETTM_200(カーボンブラック)を用いたこと以外は、顔料インクCの調製と同様の方法でブラック色の顔料インクK(ブラックインク)を調製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、上記のようにして調製された顔料インクKのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
処理液は、以下の成分を混合して調製した。
・リン酸 ・・・10g
・グリセリン ・・・20g
・ジエチレングリコール ・・・10g
・オルフィンE1010(日信化学工業製) ・・・1g
・イオン交換水 ・・・59g
東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、このように調製された処理液のpHを測定したところ、pH値は1.0であった。
上記シアン顔料インクC、マゼンタ顔料インクM、イエロー顔料インクY、黒顔料インクK、及び処理液を使用し、図3に示す装置を用いて下記の条件にて、4色シングルパス画像形成を実施した。このとき、グレースケール及び文字画像を形成した。
ヘッド :600dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッド
吐出液滴量:0、4.0pLの2値記録
駆動周波数:15kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
描画パターン:インク描画工程において、少なくとも1色以上の色インクを、描画を行なう位置に予め処理液を付与するパターンを適用
風速:15m/s
温度:記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面
ヒーターで加熱
送風領域:450mm(乾燥時間0.7秒)
ヘッド:1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置
吐出液滴量:0、2.0、3.5、4.0pLの4値記録
駆動周波数:30kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
風速:15m/s
温度:60℃
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
シリコンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:90℃
圧力:0.8MPa
−4.打滴評価−
上記で形成したグレースケール及び文字画像を目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は、下記表1に示す。
<評価基準>
A:画像滲み、色間混色が見られず、4pt以下の“鷹”文字を解像できた。
B:画像滲み、色間混色が見られず、5pt“鷹“文字まで解像できた。
C:画像滲み、色間混色が多く見られ、実用性が低かった。
D:画像滲み、色間混色がひどくあり、実用性が極めて低かった。
定着3時間後に、印画部に12mm幅のメンディングテープ(3M社製)を貼り付けた後、このテープをはがした際の印画部の剥がれ具合を下記基準に従い、目視評価を行った。評価結果は、下記表1に示す。
A:印画部の剥がれは観察されなかった。
B:印画部の剥がれは観察されたが、紙上の画像への影響はほとんどなかった。
C:印画部の剥がれは観察され、紙上の画像は一部残っている程度であった。
D:印画部の剥がれが激しく、紙上の画像はほとんど残っていなかった。
実施例1において、PVA245をPVA235に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、PVA245をPVA220に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、カオブライト90をカオグロス90(白石カルシウム(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、カオブライト90をカオラックスHS(白石カルシウム(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、PVA245をPVA145に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、22.5%ポリエステル系ウレタンラテックス水分散液100部を35%アクリル系ラテックス水分散液(ガラス転移温度60℃、最低造膜温度50℃;商品名:アクアブリッド4635、ダイセル化学工業(株)製)64部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、PVA245をPVA210に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、実施例1で、PVA245をPVA420に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、7%PVA245((株)クラレ製)水溶液100部を48%スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:SN−307、日本エイ アンド エル(株)製)14.6部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、カオブライト90を酸化チタン(商品名:タイペークR280、石原産業(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、カオブライト90 100部を酸化チタン(商品名:タイペークR280、石原産業(株)製)20部、炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉製)80部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、カオブライト90を焼成カオリン(商品名:カオカル、白石カルシウム(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、第1の層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、第1の層を形成する際の塗布量を4g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
実施例1において、第2の層を形成する際の塗布量を10g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、評価した。評価結果は、下記表1に示す。
12…溶媒ブロッキング層(第1の層)
13…コート層(第2の層)
21…原紙
22…溶媒吸収層
100…記録媒体
Claims (7)
- 原紙と、ポリエステル系ウレタンラテックス及びアクリルシリコーン系ラテックスより選ばれる少なくとも1種のバインダーを含む第1の層と、カオリン及びポリビニルアルコールを含む第2の層と、が順次積層されており、
前記第1の層が設けられた前記原紙の第1の層の表面におけるJIS P8140に準拠した吸水度試験による接触時間120秒間のコッブ吸水度が2.0g/m2以下であって、前記第2の層の表面におけるブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m2以上8mL/m2以下であり、
前記カオリンは、白色度が87を超えるものであって、粒径2μm以下のカオリンの組成比率(体積比)が75%以上であり、
前記ポリビニルアルコールの重合度が1500以上であることを特徴とする記録媒体。 - 前記カオリンの前記第2の層中における含有量が、前記第2の層の全固形分に対して、75〜99質量%であることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
- 前記第1の層は、白色顔料を更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録媒体。
- 前記白色顔料がカオリンであることを特徴とする請求項3に記載の記録媒体。
- 原紙上に、ポリエステル系ウレタンラテックス及びアクリルシリコーン系ラテックスより選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂粒子を含む造膜液を付与し、前記熱可塑性樹脂粒子の最低造膜温度以上の温度領域で加熱処理することにより第1の層を形成する第1の形成工程と、
前記第1の層上に、カオリン及びポリビニルアルコールを含む造膜液を付与して第2の層を形成する第2の形成工程と、を有し、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の記録媒体を製造する記録媒体の製造方法。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の記録媒体にインクを付与し、所定の画像データに応じてインク描画するインク描画工程と、
インク描画された前記記録媒体におけるインク溶媒を乾燥除去する乾燥除去工程と、
を有するインクジェット記録方法。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の記録媒体に、酸性物質を含む処理液を供給する処理液供給工程と、
処理液が供給された前記記録媒体にインクを付与し、所定の画像データに応じてインク描画するインク描画工程と、
インク描画された前記記録媒体におけるインク溶媒を乾燥除去する乾燥除去工程と、
を有するインクジェット記録方法。
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