JP5207541B2 - 撥液膜形成方法、ノズルプレート、インクジェットヘッド、及び電子機器 - Google Patents

撥液膜形成方法、ノズルプレート、インクジェットヘッド、及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、撥液膜形成方法、ノズルプレート、インクジェットヘッド、及び電子機器に係り、特に、孔部を有する基材の表面に撥液性を有する撥液膜を形成する技術に関するものである。
インクジェット記録装置で用いられる記録ヘッド(インクジェットヘッド)において、そのインク吐出面を構成するノズルプレートの表面(特にノズル孔の開口周辺部)にインクが付着していると、ノズルから吐出されるインク液滴が影響を受けて、インク液滴の吐出方向にばらつきが生じるなど吐出不安定な状態となり、画像品質が劣化する要因となる。そこで、このような問題を防止するために、ノズルが形成されるノズルプレートの表面(吐出面)には撥液膜が設けられている。
これまでにノズルプレート(以下、「ノズル形成基板」ともいう。)の表面に撥液膜を形成する技術が各種提案されている。
例えば、特許文献1には、ノズルが形成されたノズルプレート上に撥液膜を形成する際に、ノズルプレートとの密着性を向上させるために、ノズルプレートと撥液膜の間に中間層を導入する技術が開示されている。さらに、同文献には、他の態様として、ノズルプレートと撥液膜との間に設けられる中間層に段差構造を形成し、その上に撥液膜を形成する技術が開示されている。このように段差構造を形成することによって、紙搬送時の紙ジャムやメンテナンス時のワイピング等によるノズル周辺部の撥液膜剥離を防ぐことができる。
特開2008−105231号公報
しかしながら、特許文献1に記載される作製プロセスでは、中間層であるプラズマ重合膜をエッチングして段差構造を形成する際に、エッチングストップ層がないため、加工バラツキによって、そのエッチング深さがノズルごとに均一にならず、最悪の場合、基板が剥き出しになり、撥液膜密着性の改善ができず、さらに、吐出安定性、メンテナンス性に大きな影響を及ぼす問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ノズルごとにばらつきが少ない段差構造を高精度に形成することができ、吐出安定性、メンテナンス性を向上させることができる撥液膜形成方法、ノズルプレート、インクジェットヘッド、及び電子機器を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る撥液膜形成方法(請求項1に記載の発明)は、孔部を有する基材の表面に撥液性を有する撥液膜を形成する撥液膜形成方法であって、前記基材上に、第1プラズマ重合膜を形成する第1プラズマ重合膜形成工程と、前記第1プラズマ重合膜に水素プラズマ処理を行う水素プラズマ処理工程と、前記第1プラズマ重合膜上に、前記第1プラズマ重合膜と同一材料で構成される第2プラズマ重合膜を形成する第2プラズマ重合膜形成工程と、所定形状にパターニングされたマスクを用いて、酸化処理又はエッチング処理によって、前記第2プラズマ重合膜における前記孔部の開口周辺部に対応する部分を選択的に除去し、前記孔部よりも拡径した段差構造を形成する段差形成工程と、前記段差構造が形成された前記第1プラズマ重合膜及び前記第2プラズマ重合膜の表面に酸化処理を行う酸化処理工程と、前記酸化処理が行われた前記第1プラズマ重合膜及び前記第2プラズマ重合膜の表面に前記撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、基材と撥液膜との間に配置されるプラズマ重合膜(中間層)が第1プラズマ重合膜及び第2プラズマ重合膜の2層構造で構成され、基材上に形成された第1プラズマ重合膜を水素プラズマ処理によって耐プラズマ性を向上させてから、第1プラズマ重合膜と同一材料で構成される第2プラズマ重合膜を形成しているので、プラズマ重合膜同士の密着性が高い状態を維持することができるとともに、段差形成工程において、第1プラズマ重合膜がエッチングストップ層として機能し、第2プラズマ重合膜の外周部位(開口周辺部)を完全に除去することができる。これによって、ノズルごとにばらつきが少ない段差構造を高精度に形成することができ、吐出安定性、メンテナンス性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撥液膜形成方法において、前記水素プラズマ処理は、前記第1プラズマ重合膜にH2のプラズマを照射することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の撥液膜形成方法において、前記水素プラズマ処理は、前記第1プラズマ重合膜にH2と不活性ガスを含む処理ガスのプラズマを照射することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の撥液膜形成方法において、前記処理ガスは、N2を含むことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の撥液膜形成方法において、前記水素プラズマ処理は、Hを有する物質と不活性ガスを含む処理ガスのプラズマを照射することを特徴とする。
また、前記目的を達成するために、本発明に係るノズルプレート(請求項6に記載の発明)は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撥液膜形成方法によって形成された撥液膜を備えたことを特徴とする。
また、前記目的を達成するために、本発明に係るインクジェットヘッド(請求項7に記載の発明)は、請求項6に記載のノズルプレートを備えたことを特徴とする。
また、前記目的を達成するために、本発明に係る電子機器(請求項8に記載の発明)は、請求項7に記載のインクジェットヘッドを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、基材と撥液膜との間に配置されるプラズマ重合膜(中間層)が第1プラズマ重合膜及び第2プラズマ重合膜の2層構造で構成され、基材上に形成された第1プラズマ重合膜を水素プラズマ処理によって耐プラズマ性を向上させてから、第1プラズマ重合膜と同一材料で構成される第2プラズマ重合膜を形成しているので、プラズマ重合膜同士の密着性が高い状態を維持することができるとともに、段差形成工程において、第1プラズマ重合膜がエッチングストップ層として機能し、第2プラズマ重合膜の外周部位(開口周辺部)を完全に除去することができる。これによって、ノズルごとにばらつきが少ない段差構造を高精度に形成することができ、吐出安定性、メンテナンス性を向上させることができる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置を示した全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数のインクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(不図示)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。従って、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。印字部12を構成する各ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている(図2参照)。
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応したヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出するヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色のヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(不図示)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。
また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造について説明する。なお、各ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下では、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図3(a)は、ヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b)は、その一部の拡大図である。また、図3(c)は、ヘッド50の他の構造例を示す平面透視図である。図4は、インク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図3(a)、(b)中、IV−IV線に沿う断面図)である。
記録紙面上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図3(a)、(b)に示すように、インク滴の吐出孔であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙搬送方向と直交する主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
紙搬送方向と略直交する方向に記録紙16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図3(a)の構成に代えて、図3(c)に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドブロック(ヘッドチップ)50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。また、図示は省略するが、短尺のヘッドを一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。
図4に示すように、各ノズル51は、ヘッド50のインク吐出面50aを構成するノズルプレート60に形成されている。ノズルプレート60は、例えば、Si、SiO2、SiN、石英ガラスのようなシリコン系材料、Al、Fe、Ni、Cuまたはこれらを含む合金のような金属系材料、アルミナ、酸化鉄のような酸化物材料、カーボンブラック、グラファイトのような炭素系材料、ポリイミドのような樹脂系材料で構成されている。
ノズルプレート60の表面(インク吐出側の面)には、インクに対して撥液性を有する撥液膜62が形成されており、インクの付着防止が図られている。この撥液膜62の形成方法については、後で詳説する。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインク供給タンク(不図示)と連通しており、該インク供給タンクから供給されるインクは共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の天面を構成し共通電極と兼用される振動板56には個別電極57を備えた圧電素子58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによって圧電素子58が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
本例では、ヘッド50に設けられたノズル51から吐出させるインクの吐出力発生手段として圧電素子58を適用したが、圧力室52内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
かかる構造を有するインク室ユニット53を図3(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
また、本発明の適用範囲はライン型ヘッドによる印字方式に限定されず、記録紙16の幅方向(主走査方向)の長さに満たない短尺のヘッドを記録紙16の幅方向に走査させて当該幅方向の印字を行い、1回の幅方向の印字が終わると記録紙16を幅方向と直交する方向(副走査方向)に所定量だけ移動させて、次の印字領域の記録紙16の幅方向の印字を行い、この動作を繰り返して記録紙16の印字領域の全面にわたって印字を行うシリアル方式を適用してもよい。
〔撥液膜形成方法〕
次に、本発明に係る撥液膜形成方法について説明する。
図5は、本発明に係る撥液膜形成方法の一例を示した工程図である。ここでは、図5(i)に示すように、ノズル形成基板100(図4のノズルプレート60に相当)の表面(インク吐出面)側に撥液膜120(図4の撥液膜62に相当)を形成する場合について説明する。
図5に示した撥液膜形成方法は、ノズル形成基板100の表面に第1プラズマ重合膜104を形成する工程(第1プラズマ重合膜形成工程)と、第1プラズマ重合膜104に水素プラズマ処理を行う工程(水素プラズマ処理工程)と、第1プラズマ重合膜104上に第2プラズマ重合膜106を形成する工程(第2プラズマ重合膜形成工程)と、第2プラズマ重合膜106上にマスク108を形成する工程(マスク形成工程)と、マスク108を用いて第2プラズマ重合膜106を酸化処理(又はエッチング処理)を行う工程(段差形成工程)と、マスク108を除去する工程(マスク除去工程)と、第1及び第2プラズマ重合膜104、106の表面(撥液膜形成面)に酸化処理を行う工程(酸化処理工程)と、酸化処理が施された第1及び第2プラズマ重合膜104、106の表面に撥液膜120を形成する工程(撥液膜形成工程)とから構成される。各工程の詳細については以下のとおりである。
<第1プラズマ膜形成工程>
まず、図5(a)、(b)に示すように、ノズル孔102を有するノズル形成基板100上に第1プラズマ重合膜104を形成する。
ノズル形成基板100の構成材料は特に限定されるものではないが、例えば、シリコン系材料、金属系材料、酸化物材料、炭素系材料、樹脂系材料などを用いることができる。また、図示の例では、ノズル孔102の断面形状は漏斗状となっているが、本発明の実施に際してノズル孔102の断面形状は特に限定されず、ストレート状、テーパ状など様々な形状を適用し得る。
第1プラズマ重合膜104の構成材料や形成方法(成膜方法)については、特開2008−105231号公報明細書に記載されている材料、方法を好ましく用いることができる。
即ち、第1プラズマ重合膜104の構成材料としては、例えば、オルガノポリシロキサン等のシリコーン材料、アルコキシシラン等のシラン化合物が挙げられる。このうち、シリコーン材料が好ましく、オルガノポリシロキサンが特に好ましい。第1プラズマ重合膜104にオルガノポリシロキサンを用いることにより、シロキサン結合(Si−O)を骨格とした構造を有するので、ノズル形成基板100の構成材料(シリコン系材料など)と結合しやすく、容易にプラズマ重合膜を形成することができる。
オルガノポリシロキサンの中でも、アルキルポリシロキサンを用いることが好ましい。アルキルポリシロキサンは高分子化合物であるため、ノズル形成基板100上に高分子膜を形成することができる。また、高分子中にアルキル基を有するため、高分子構造に立体障害が少なく、分子が規則正しく配列した膜を形成することができる。また、アルキルポリシロキサンの中でも、特にジメチルポリシロキサンが好ましい。ジメチルポリシロキサンは、製造が容易なため、容易に入手することができる。また、反応性が高いため、後述するような酸化処理を第1プラズマ重合膜104に施したときに、メチル基を簡単に切断することができる。
また、第1プラズマ重合膜104の形成方法としては、プラズマ重合法、蒸着法、シランカップリング剤による処理、ポリオルガノシロキサンを含有する液状材料による処理等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの方法の中でも、プラズマ重合法を用いるのが好適である。
プラズマ重合法は、例えば、チャンバ内に基板(即ち、ノズル形成基板100)を設置し、チャンバ内に電界を発生させるとともに、モノマーをガス状でキャリアガスとともに供給し、発生したプラズマをプラズマ重合により基板の表面に成膜する方法である。
プラズマ重合法を用いることにより、オルガノポリシロキサンのプラズマが発生するため、均質かつ均一な膜厚の第1プラズマ重合膜104を形成することができる。
なお、前記キャリアガス(添加ガス)としては、例えば、アルゴン、ヘリウム、窒素等を用いることができる。
また、第1プラズマ重合膜104の平均膜厚は、10〜1000nm程度であるのが好ましく、50〜500nm程度であるのがより好ましい。このような厚さであれば、第1プラズマ重合膜104の表面に最適なアルキル基が終端するため、後述する酸化処理、金属アルコキシドとの反応によって、撥液膜120の密着性を高めることができる。
<水素プラズマ処理工程>
次に、図5(c)に示すように、ノズル形成基板100上に形成された第1プラズマ重合膜104に水素プラズマ処理(H2プラズマ処理)を行い、第1プラズマ重合膜104の耐プラズマ性を向上させる。これにより、後で行われる段差形成工程における酸化処理(又はエッチング処理)において、第1プラズマ重合膜104をエッチングストップ層として機能させることが可能となる。
水素プラズマ処理としては、以下の3種類の方法が挙げられる。
(1)H2プラズマ照射
(2)H2と不活性ガスとを含む処理ガスのプラズマ照射
(3)Hを有する物質と不活性ガスとを含む処理ガスのプラズマ照射
2プラズマ照射の条件は、H2をチャンバ内に供給し、チャンバ内の圧力を所定の値、好ましくは13.3MPa(100mTorr)以下、例えば6.7MPa(50mTorr)とする。この状態で、電極に高周波電力を印加し、処理ガスをプラズマ化してプラズマ重合膜にH2プラズマを照射する。
耐プラズマ性向上の詳細なメカニズムは必ずしも明確ではないが、Hを有するプラズマが第1プラズマ重合膜104の架橋反応を促進したり、C−O結合やC−H結合がC−C結合に変わることで科学的結合が強化され、耐プラズマ性を向上させているものと考えられる。Hを有する物質としては、取り扱いが容易であることからH2やNH3が好ましい。例えば、H2+N2処理ガスによる水素プラズマ処理で、第1プラズマ重合膜104の耐プラズマ性を向上させることができる。
<第2プラズマ膜形成工程>
次に、図5(d)に示すように、水素プラズマ処理が行われた第1プラズマ重合膜104上に第2プラズマ重合膜106を形成する。
このとき、第2プラズマ重合膜106の構成材料として、上述した第1プラズマ重合膜104の構成材料と同一材料を用いる。同一材料からなるプラズマ重合膜104、106を積層させることで、プラズマ重合膜同士の密着性が高い状態を維持することができる。
第2プラズマ重合膜106の形成方法は特に限定されるものではないが、上述した第1プラズマ重合膜104の形成方法と同一方法であることが好ましく、それらの中でも、プラズマ重合法が好適に用いられる。
第2プラズマ重合膜106の平均膜厚は、第1プラズマ重合膜104と同様に、10〜1000nm程度であるのが好ましく、50〜500nm程度であるのがより好ましい。このような厚さであれば、第2プラズマ重合膜106の表面に最適な量のアルキル基が終端するため、後述する酸化処理、金属アルコキシドとの反応によって、撥液膜120の密着性を高めることができる。
<マスク形成工程>
次に、図5(e)に示すように、第2プラズマ重合膜106上に所定形状にパターニングされたマスク108を形成する。
マスク108には、第2プラズマ重合膜106のノズル孔102の外周部(開口周辺部)に対応する外周部位110を包含するような所定形状の開口部112が形成されている。換言すれば、第2プラズマ重合膜106の外周部位110は、マスク108に覆われておらず、開口部112を通じて露出した構造となっている。
図示の例では、マスク108には、各ノズル孔102にそれぞれ対応する位置に開口部112がそれぞれ設けられており、各開口部112はノズル孔102の内径を拡径した円形状に構成されている。なお、マスク108の開口部112の形状は、第2プラズマ重合膜106におけるノズル孔102の外周部位110が少なくとも露出する形状であれば特に限定されず、複数のノズル孔102に対応する外周部位110を包含する形状(例えば、帯状など)であってもよい。
マスク108の構成材料としては、次の段差形成工程で行われる酸化処理(又はエッチング処理)に対する耐性を有するもの、即ち、次の工程で照射されるエネルギー線を遮断する機能を有するものであれば特に限定されず、例えば、アルミニウムなどの金属やガラス(紫外線を遮断する機能を有するガラス)、各種セラミックス、シリコンなどの材料を挙げることができる。
また、マスク108の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、開口部112を有するプレート状のマスク108を第2プラズマ重合膜106に装着するようにしてもよい。具体的には、第2プラズマ重合膜106におけるノズル孔102の外周部位110が露出するように、外周部位110とマスク108の開口部112とを位置決めして、第2プラズマ重合膜106上にマスク108を接合すればよい。また、他の形成方法として、蒸着法、フォトリソグラフィー法などを用いることもできる。
以上のように、外周部位110と開口部112とが位置決めされて、マスク108が第2プラズマ重合膜106上に配置されることにより、開口部112から露出する外周部位110を選択的に酸化処理することができる。
<段差形成工程>
次に、図5(f)に示すように、マスク108で覆われた第2プラズマ重合膜106に酸化処理を行い、第2プラズマ重合膜106の外周部位110を除去し、ノズル孔102の開口周辺部にノズル孔102よりも拡径した段差構造114を形成する(図5(g)参照)。
プラズマ重合膜に酸化処理を行うと、酸化処理が施された部分のプラズマ重合膜の膜厚が減少するという性質があることは、特開2008−105231号公報明細書に記載されている。本例では、このような性質を利用して、マスク108の開口部112から露出している部分(即ち、第2プラズマ重合膜106の外周部位110)を選択的に除去する。なお、酸化処理については、後述する酸化処理工程で行われる酸化処理と同様の方法が用いられ、ここでは説明を省略する。
第2プラズマ重合膜106に酸化処理を行うと、上述したマスク108の機能により、第2プラズマ重合膜106のマスク108の開口部112の直下の部分、すなわち、外周部位110のみに選択的に酸化処理が施される。これにより、当該部位110の表面に終端するアルキル基がSi原子から切断され、SiO化される。そして、開口部112内にある第2プラズマ重合膜106、即ち、外周部位110における第2プラズマ重合膜106の膜厚が減少する。このとき、水素プラズマ処理によって耐プラズマ性が向上した第1プラズマ重合膜104がエッチングストップ層として機能するので、第2プラズマ重合膜106のマスク108に覆われていない部分(即ち、外周部位110)が完全に除去され、ノズル孔102よりも拡径した段差構造114がノズル孔102の開口周辺部に形成される。
なお、本実施形態では、第2プラズマ重合膜106の外周部位110を除去する方法として酸化処理を適用したが、酸化処理の代わりにエッチング処理を適用することも可能である。
<マスク除去工程>
次に、図5(g)に示すように、第2プラズマ重合膜106からマスク108を除去する。
マスク108の除去方法は、マスク108の種類(形成方法)によって異なる。プレート状のマスク108を用いる場合、例えば、マスク108を第2プラズマ重合膜106から離反することにより除去することができる。また、マスク108を蒸着法やフォトリソグラフィー法などにより形成した場合、例えば、大気圧または減圧下において酸素プラズマやオゾン蒸気に晒す方法、マスク108の溶解液または剥離液に浸漬する方法などにより行うことができる。
<酸化処理工程>
次に、図5(h)に示すように、段差構造114を構成するプラズマ重合膜104、106の表面(撥液膜形成面)に酸化処理を行う。具体的には、露点が−40〜20℃(好ましくは−40〜−20℃)の処理ガス雰囲気下で、プラズマ重合膜104、106の表面に酸化処理を施し、水酸基及び/又は吸着水を導入する。
酸化処理の方法については、特開2008−105231号公報明細書に記載されている方法を好ましく用いることができる。
即ち、酸化処理の方法として、紫外線、プラズマなどのエネルギー線を照射する方法を適用することができる。この方法によれば、エネルギー線が照射される領域にのみ酸化処理を施すことができるので、SiO化を効率的に行うことができる。
特に本実施形態においては、エネルギー線を照射する方法の中でも、プラズマ照射を用いて酸化処理を行う方法が好適である。酸化処理としてプラズマ照射を用いる場合、プラズマを発生させるガス種としては、例えば、酸素ガス、窒素ガス、水素、不活性ガス(アルゴンガス、ヘリウムガス等)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
プラズマ照射を行う雰囲気は、大気中または減圧状態のいずれであってもよいが、大気中とするのが好ましい。これにより、アルキル基とSiとの結合が切断されるのとほぼ同時に、大気中に存在する酸素分子から酸素原子が効率よく導入されるため、ポリオルガノシロキサンをより迅速にSiOに変化させることができる。
特に、プラズマ照射には、プラズマを発生するガス種として、酸素ガスを含むガスを用いる酸素プラズマ照射を用いるのが好適である。酸素プラズマ照射によれば、酸素プラズマがアルキル基とSiとの結合を切断するとともに、Siと酸素原子との結合に利用されるため、ポリオルガノシロキサンをより確実にSiOに変化させることができる。
また、プラズマ照射は、密閉条件(例えば、チャンバ内)または開放条件のいずれの条件で行ってもよいが、密閉条件とするのが好ましい。これにより、プラズマ重合膜104、106が、プラズマ密度のより高い状態で酸化処理されるため、より多くの水酸基をプラズマ重合膜104、106に導入することができる。
<撥液膜形成工程>
次に、図5(i)に示すように、酸化処理が施されたプラズマ重合膜104、106の表面(撥液膜形成面)に撥液膜120を形成する。
撥液膜120としては、プラズマ重合膜104、106とシロキサン結合が可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、金属アルコキシド系撥液膜、フッ素含有プラズマ重合膜、シリコーン系プラズマ重合撥液膜などを適用することでき、これらの中でも、フッ素含有プラズマ重合膜、シリコーン系プラズマ重合撥液膜などのプラズマ重合膜が特に好ましい。
プラズマ重合膜で構成される撥液膜の形成方法としては、特開2004−106203号公報明細書に記載される方法を好ましく用いることができる。即ち、プラズマ重合膜(撥液膜)の形成は、従来公知のプラズマ処理装置を用いて行うことができる。原料としては、液状シロキサンの如き低分子量のシロキサンを気化させたものを原料ガスとして用いる。必要に応じて、この原料ガスにアルゴンやヘリウム等の希ガス、酸素や二酸化炭素等の酸化力を有するガスなどを混合させる。これにより、原料を重合させた状態でノズル形成基板100に積層することができる。
プラズマ重合膜で構成される撥液膜は、上述のとおり、低分子量のシロキサン(シロキサン結合を有する化合物)を原料とし、これをプラズマ重合させることにより形成されるもので、金属塩に対する耐性に優れており、該金属塩をインク凝集剤として含有する水性前処理液(金属塩溶液)用のノズルプレートの撥液層として最適である。
また、金属アルコキシド系撥液膜の形成方法としては、特開2008−105231号公報明細書に記載される方法を好ましく用いることができる。即ち、液相プロセスや気相プロセスのような各種プロセスを用いて行うことができ、その中でも液相プロセスを用いることが好ましく、比較的簡単な工程により、金属アルコキシドで構成される撥液膜を形成することができる。
こうして、図5(i)に示すように、ノズル形成基板100の表面側(インク吐出面側)に撥液膜120を形成することができる。
本実施形態における撥液膜形成方法よれば、ノズル形成基板100と撥液膜120との間に配置されるプラズマ重合膜(中間層)が第1プラズマ重合膜104及び第2プラズマ重合膜106の2層構造で構成され、ノズル形成基板100上に形成された第1プラズマ重合膜104を水素プラズマ処理によって耐プラズマ性を向上させてから、第1プラズマ重合膜104と同一材料で構成される第2プラズマ重合膜106を形成しているので、プラズマ重合膜104、106同士の密着性が高い状態を維持することができるとともに、段差形成工程において、第1プラズマ重合膜104がエッチングストップ層として機能し、第2プラズマ重合膜106の外周部位110を完全に除去することができる。これによって、ノズル孔102ごとにばらつきが少ない段差構造114をノズル開口周辺部に形成することができ、吐出安定性、メンテナンス性を向上させることができる。
また、段差構造114の表面(撥液膜形成面)は同一材料のプラズマ重合膜(プラズマ重合膜104、106)で構成されるので、これらの表面に酸化処理を施すことによって、撥液膜120の密着性を高めることができる。一方、エッチングストップ層として、第1プラズマ重合膜104の代わりに、第2プラズマ重合膜106とは異なる材料で構成される機能膜を設けた場合には、上述した従来技術に比べて段差構造114を精度良く形成することができるものの、機能膜の表面(段差構造114の底面部に相当)における撥液膜120の密着性が悪くなるという弊害が生じる。
また、本実施形態において、第1プラズマ重合膜形成工程、水素プラズマ処理工程、第2プラズマ重合膜形成工程、段差形成工程、酸化処理工程、及び撥液膜形成工程の少なくとも2つの工程(好ましくは3つ以上の工程、より好ましく全ての工程)を同一のプラズマ装置で行う態様が好ましい。プラズマ重合膜の形成、水素プラズマ処理、酸化処理、撥液膜の形成を共通の装置で行うことで、歩留り、スループットの低下を防ぐことができる。これにより、撥液膜形成を一貫した生産工程で行うことが可能となり、生産性、信頼性を向上させることができる。
なお、本発明に係る撥液膜形成方法について、ノズル形成基板に対して撥液膜を形成する場合を一例として説明したが、これに限定されず、インク流路などの孔部が形成された基板(構造体)に撥液膜を形成する場合についても好適に適用することが可能である。
以上、撥液膜形成方法、ノズルプレート、インクジェットヘッド、及び電子機器について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
インクジェット記録装置の概略を示す全体構成図 図1に示すインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 ヘッドの構造例を示す平面透視図 図3中IV−IV線に沿う断面図 本発明に係る撥液膜形成方法を説明するための工程図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、50…ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、54…インク供給口、55…共通流路、58…圧電素子、60…ノズルプレート、62…撥液膜、100…ノズル形成基板、102…ノズル孔、104…第1プラズマ重合膜、106…第2プラズマ重合膜、108…マスク、114…段差構造、120…撥液膜

Claims (8)

  1. 孔部を有する基材の表面に撥液性を有する撥液膜を形成する撥液膜形成方法であって、
    前記基材上に、第1プラズマ重合膜を形成する第1プラズマ重合膜形成工程と、
    前記第1プラズマ重合膜に水素プラズマ処理を行う水素プラズマ処理工程と、
    前記第1プラズマ重合膜上に、前記第1プラズマ重合膜と同一材料で構成される第2プラズマ重合膜を形成する第2プラズマ重合膜形成工程と、
    所定形状にパターニングされたマスクを用いて、酸化処理又はエッチング処理によって、前記第2プラズマ重合膜における前記孔部の開口周辺部に対応する部分を選択的に除去し、前記孔部よりも拡径した段差構造を形成する段差形成工程と、
    前記段差構造が形成された前記第1プラズマ重合膜及び前記第2プラズマ重合膜の表面に酸化処理を行う酸化処理工程と、
    前記酸化処理が行われた前記第1プラズマ重合膜及び前記第2プラズマ重合膜の表面に前記撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、
    を含むことを特徴とする撥液膜形成方法。
  2. 請求項1に記載の撥液膜形成方法において、
    前記水素プラズマ処理は、前記第1プラズマ重合膜にH2のプラズマを照射することを特徴とする撥液膜形成方法。
  3. 請求項1に記載の撥液膜形成方法において、
    前記水素プラズマ処理は、前記第1プラズマ重合膜にH2と不活性ガスを含む処理ガスのプラズマを照射することを特徴とする撥液膜形成方法。
  4. 請求項3に記載の撥液膜形成方法において、
    前記処理ガスは、N2を含むことを特徴とする撥液膜形成方法。
  5. 請求項1に記載の撥液膜形成方法において、
    前記水素プラズマ処理は、Hを有する物質と不活性ガスを含む処理ガスのプラズマを照射することを特徴とする撥液膜形成方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撥液膜形成方法によって形成された撥液膜を備えたことを特徴とするノズルプレート。
  7. 請求項6に記載のノズルプレートを備えたことを特徴とするインクジェットヘッド。
  8. 請求項7に記載のインクジェットヘッドを備えたことを特徴とする電子機器。
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