JP5207461B2 - 電極触媒及びそれを用いた電極 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば水や有機物の電気分解、燃料電池等の電極として用いるのに好適な電極触媒及びそれを用いた電極に関する。
白金等の貴金属は、高い電位においても安定で、かつ触媒能が高いため、各種の電気化学システムの電極用触媒に用いられている。しかし、白金の価格が高いことや資源量が限られていることから、白金を代替できる高活性の触媒が要望されている。
このようなことから、遷移金属であるモリブデンの窒化物や(例えば、特許文献1参照)、遷移金属である鉄の窒化物と貴金属の混合物(例えば、特許文献2参照)が、電極用触媒として提唱されている。
さらに、Zrを含むオキシナイトライドからなる電極触媒が開示され(例えば、特許文献3参照)、この電極が酸性電解質中において可逆水素電極電位に対して0.4V以上の電位で使用しても溶解しない耐食性を有すると報告されている。
特開2005−63677号公報 特開2005−44659号公報 特開2005−161203号公報
しかしながら、上記した特許文献1、2記載の技術の場合、酸性電解質中での酸素還元能が不充分であり、又、触媒が活性溶解する場合があった。
又、特許文献3記載の技術において、Zrのオキシナイトライドとして完全なZrO1/2Nを用いた場合、この組成は半導体を示し、触媒活性に乏しいため、電極として使用することは難しい。
従って、本発明の目的は、ZrO1/2Nを用いて触媒能及び安定性に優れた電極触媒及びそれを用いた電極を提供することにある。
本発明の電極触媒は、X線回折による結晶構造がZrO1/2Nであり、30℃の0.1mol/L硫酸水溶液中で、走査速度5mV/sで電位走査したとき、酸素還元電流が流れ始める時の電位が可逆水素電極電位基準で0.75V以上となることを特徴とする。
イオン化ポテンシャルが5.4eV以下であることが好ましい。
本発明の電極は、前記電極触媒の微粒子を担持して成ることを特徴とする。
本発明によれば、ZrO1/2Nを用いて触媒能及び安定性に優れた電極触媒及びそれを用いた電極を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明及び図表に用いる電位は可逆水素電極電位基準とし、これをRHEと表示する。
<電極に用いるZr酸窒化物>
本発明の電極触媒は、X線回折による結晶構造がZrO1/2Nであるジルコニウム酸窒化物である。
ジルコニウム酸窒化物は、ZrOで表される。ジルコニウム酸窒化物としてZrO11/72/7、ZrO8/74/7およびZrO1/2Nが知られているが、後述する酸素還元開始電位が0.75V以上となるためには、ZrO1/2Nに近いことが必要である。より好ましくは、x<8/7でありy>4/7である。xが8/7以上、yが4/7未満であると窒化度が充分でなく上記元素の電子状態が変化することにより、触媒能が低下する場合がある。
但し、完全にZrO1/2Nを示す組成は半導体であり、触媒活性に乏しいため、電極として使用できない。電極として実用化するためには、酸素還元開始電位が0.75V以上となる必要がある。
酸素還元開始電位は以下のように規定される。まず、30℃の0.1mol/L硫酸水溶液中で、走査速度5mV/sで電位走査したとき、測定される酸素雰囲気と窒素雰囲気での電流値の差を幾何面積基準で電流密度に換算しiO2とする。iO2が−0.1 μA cm-2のときの電位を酸素還元開始電位EORRと表し、EORRが可逆水素電極電位基準で0.75 V以上であることが必要である。
酸素還元開始電位は、触媒単位量当りの酸素還元電流を評価するものであり、酸素還元電流がより高電位から流れ始める程、反応の活性化エネルギーが小さい可能性があり、この場合は触媒の表面積を増大させるという工学的な改良によって還元電流値を増加させることができるからである。
酸素還元開始電位EORRを0.75V以上とする理由は、燃料電池の作動電圧を考える場合に、0.75V以上でなければ電極として実用的でないためである。酸素還元開始電位が0.75以上であれば、充分な酸素還元能を有する。
ZrO1/2Nの酸素還元開始電位を0.75V以上にするためには、ZrO1/2Nの表面に酸素欠陥が存在すればよいことを本発明者らは見出した。
ここで、酸化物は窒化によって、イオン化ポテンシャルが減少する。例えば、ZrO2のイオン化ポテンシャルの文献値は7.4 eVである(J. W. Schultze and A. W. Hassel, p.234, in Encyclopedia of Electrochemistry Vol.4, Edited by A. J. Bard and M. Stratmann, Wiley-VCH GmbH & Co. KGaA, Weinheim, (2003))。一方、完全なZrO1/2Nのイオン化ポテンシャルの文献値は少なくとも5.6 eV以上であり(T. Mishima, M. Matsuda, and M. Miyake, Appl. Catal A: Gen, 324, 77 (2007))、窒化によって、イオン化ポテンシャルが減少する。
さらに、一般的に酸化物の表面に酸素欠陥があると、イオン化ポテンシャルが減少し、金属に性質が近くなることが知られている(V. E. Henrich et al., Phys. Rev. Lett., 36, 1335 (1976).)。また、酸化物表面への酸素分子の吸着には、酸素欠陥が必要であることが明らかにされている(J.-M. Pan et al., J. Vac. Sci. Technol.A, 10, 2470 (1992), A. L. Lisebigler et al., Chem. Rev., 95, 735 (1995), C. Descorme et al., J. Catal., 196, 167 (2000)など)。
以上の知見をもとに、酸素還元反応は酸素分子の吸着によって始まることから、表面に酸素欠陥のある状態を作ることが、酸素還元触媒能の向上には必要であることを本発明者らは見出した。酸素欠陥の増加とともにイオン化ポテンシャルは低下するので、(結晶構造上)完全なZrO1/2Nのイオン化ポテンシャル(5.6 eV以上)より低いイオン化ポテンシャルを有すれば、触媒活性が向上することになる。
Zr酸窒化物としては、結晶化したものが好ましい。この理由としては、結晶化することにより、導電性が上昇するとともに、元素の電子状態が変化し触媒活性が向上するためと考えられる。
<Zr酸窒化物の製造>
電極触媒であるZr酸窒化物は、例えば次のようにして製造することができる。原料金属化合物としてZr酸化物を用い、これをアンモニア、アンモニウム塩、ヒドラジン、窒素、金属窒化物、金属アミド、金属アンミン錯体等の含窒素化合物と反応させる。反応は、例えば、原料Zr酸化物と含窒素化合物の粉末状混合物を加熱するか、Zr金属板の表面を酸化させて原料Zr酸化物を形成しておき、それを窒素や含窒素化合物により窒化させて表面のみを部分的に窒化するなどの方法を適宜採用できる。
Zr金属塩、Zr金属錯体を原料として用いる場合には、窒化の前に、例えば、アルコールなどの有機溶媒にZr金属塩、Zr金属錯体を溶解させ、温度923K、大気中で2時間熱処理するなどの方法により、前駆体としての金属酸化物を形成して用いればよい。
原料金属化合物として粉末を用いる場合は、得られる金属オキシナイトライド微粒子の大きさは、原料粉末の大きさでほぼ決まるので原料粉末の大きさを調整することによって所望の大きさの微粒子を得ることができる。
含窒素化合物との反応温度は973〜2073Kの範囲が好ましい。温度が973Kよりも低いと反応速度が遅く、反応が進行しない場合がある。反応温度が2073Kよりも高いと、生成物が分解してしまい、オキシナイトライドにならない。
Zr酸窒化物は、反応性スパッタ法を用いて製造することができる。たとえばグラッシーカーボンやカーボン粉末、Tiなどを基材とし、それに電極物質としてZrO窒化物の薄膜をスパッタ形成できる。スパッタ条件は、例えばAr分圧約9×10−2Pa、窒素分圧約4×10−1Pa、酸素分圧約2×10−3Paとすることができ、ターゲットとしてZrを用いることができる。
<酸素欠陥の形成>
上記したように、完全なZrO1/2Nは半導体で触媒活性が低い。例えば、Zr酸窒化物を製造する際、窒化を完全に進行させると、完全な窒化物になってしまう。そこで、ZrO1/2N中に酸素欠陥を存在させるためには、窒化の程度を制御することが必要である。
窒化の程度を制御するには、金属酸化物とアンモニアとの反応を採用することが有利である。この反応では、窒化の進行とともに酸素が取れるので、アンモニアは還元剤かつ窒化剤となる。そして、アンモニアの供給速度や反応温度を変化させることにより、窒化の程度を制御できる。この際、アンモニアに水蒸気と窒素を加えて混合気体とし、アンモニアの分圧を変化させることにより、窒化速度を下げ、電極触媒の位置による窒化の度合の差を少なくし、均一に窒化されたオキシナイトライドを得ることが容易になる。
又、反応性スパッタ法を用いてZr酸窒化物を製造する場合、スパッタ時に基材を加熱することによって、酸素欠陥を存在させることができる。
スパッタ法は、高真空中でターゲットをプラズマガスで叩いて成膜するので、本質的に還元状態の膜が生成しやすい。還元状態の膜とは、例えば酸化物薄膜の場合では、ZrO2ではなくZrO2-xの組成を有し、Zrが+4ではなく+3などになっていることで、これは見方を変えると酸素欠陥があるということになる。従って,スパッタ法で作製すると本質的に酸素欠陥が生成しやすい。さらに、基板を加熱すると、激しく熱運動しながら化合物を形成することになるので、格子欠陥の生成量が増加する。これはエントロピーから考えて、欠陥のない規則正しい構造よりも、欠陥を持つ構造の方が安定となるためである。そのため、酸素欠陥も増加する。
上記したZr酸窒化物を電極触媒として酸素還元電極に用いると、酸性電解質中で使用しても酸窒化物が溶解せず安定であり、酸性電解質中での酸素還元能及び安定性がより一層優れている。
<電極の製造>
電極は、例えば次のようにして製造することができる。まず、上記したZr酸窒化物の粉末を、例えば酸化タングステン、酸化イリジウム等、炭素等の導電性物質の粉末と混合し、公知の結着剤と混合してペーストとし、このペーストを担体表面に塗布、乾燥させて電極を製造する。
例えば、燃料電池用の電極としては、導電性粉末としてカーボンブラックを用い、上記窒化物の微粒子の粒径を2〜3nm程度とすると、触媒量が少量でも触媒能を発揮できるので好ましい。
本発明の電極は、水、無機物質、有機物質の電気分解、燃料電池等の酸性電解質を用いる電気化学システムのカソード用電極として好適に使用できる。りん酸形燃料電池や高分子電解質形燃料電池等、酸性電解質を用いる際の酸化剤極として、本発明の電極は適する。
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<電極の作成>
直径5.2mmの円柱状グラッシーカーボンを基材とし、その底面に電極物質としてZrO窒化物の薄膜をスパッタにより形成させた。スパッタ条件は、Ar分圧約9×10−2Pa、窒素分圧約4×10−1Pa、酸素分圧約2×10−3Paとし、ターゲットをZrとした。なお、スパッタ時に基材を加熱した。
得られた薄膜をFIB(Focused Ion Beam)加工し、断面をTEM(Transmission Electron Microscope)で観察した。
図1に800℃で基材を加熱してスパッタした場合の電極薄膜の断面TEM像を示す。薄膜の厚さは70nm程度で均一に成膜され、膜中に結晶相が観察された。
図1の薄膜の結晶構造を薄膜X線回折装置で測定した結果を図2に示す。回折ピークはZrON(JCPDS 50−1170)と同定された。JCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)は、X線回折に関するデータベースを作成している組織が付けたカードの番号である。
<比較例2、3>
比較例2、3として、スパッタ時の基材加熱温度をそれぞれ70℃と500℃としたこと以外は、実施例1とまったく同様にして電極を作成し、同様に測定を行った。
図3、4に比較例2、3の電極物質の断面TEM像をそれぞれ示す。図3、4より、薄膜の厚さはいずれも50〜70 nm程度で均一に成膜されていることが判明した。
図5に比較例2、3の薄膜の結晶構造を薄膜X線回折装置で測定した結果を示す。比較例2(基板温度70℃)の場合、回折ピークより、結晶構造がZrO(JCPDS 50−1089)と同定された。比較例3(基板温度500℃)の場合、回折ピークより、結晶構造がZr(JCPDS 50−1172)と同定された。
<評価>
<酸素還元電極の電気化学的安定性の評価>
実施例1の電極材料を用いた電極の電流−電位曲線(サイクリックボルタモグラム:CV)を測定した。CVは、上記電極をカソードとして用い、対極に白金箔を用い、窒素雰囲気下、30℃で0.05Vから1.0Vの間の電位で50mV/sで走査させて行った。電解質として、0.1mol/Lの硫酸水溶液を用いた。
結果を図6に示す。CVの形状は典型的なコンデンサの充放電電流を示すが、電位走査を数10回繰り返してもCVの形状は変化せず、反応に基づく酸化電流や還元電流は観察されなかった。したがって、この電極は硫酸(酸性電解質)中で0.05から1.0Vの範囲で極めて安定であることがわかった。
<還元電流の測定>
上記電解セルにおいて対極にカーボン板を用い、参照電極として硫酸濃度が0.1mol/Lである可逆水素電極を用い、30℃の0.1mol/L硫酸水溶液中で、走査速度5mV/sで0.05〜1.0Vで電位走査したとき、それぞれ酸素雰囲気と窒素雰囲気での電流値の差を幾何面積基準で電流密度に換算しiO2とした。そして、iO2が−0.1 μA cm-2のときの電位を酸素還元開始電位EORRとして求めた。
得られた電流−電位曲線のターフェルプロットを図7に示す。酸素還元開始電位が高いほど、触媒能が高い。実施例1の場合、EORRが0.75V以上であったが、比較例2,3の場合、EORRが0.75V未満であった。又、比較例2,3同士を比較すると、窒素を含む比較例3の方がイオン化ポテンシャルが減少したことがわかった。
なお、ZrO2のイオン化エネルギーの文献値は7.4 eVであると既に説明したが、この組成に相当する比較例2の試料のイオン化エネルギーはこれより低い(約5.2eV)。これは、X線で同定される構造だけでなく、表面に存在する酸素欠陥によってイオン化ポテンシャルが異なることを示唆する。例えば、比較例2の場合、成膜時の基板温度が低いため、酸素との反応性も高くなく、アモルファス相が多くなって欠陥が増加すると考えられる。
図7から明らかなように、比較例2(ZrOのx=2でy=0)、比較例3(ZrOのx=8/7でy=4/7)の場合、いずれもEORRが0.75V未満であり、特に比較例3の場合はZr酸窒化物であってもEORRが0.75V以上とならなかった。このことより、電極触媒の組成がZrO1/2Nに近く、かつx<8/7でy>4/7であることが好ましいことがわかる。
なお、各電極試料のイオン化ポテンシャルは、大気中で光電子分光装置AC−2(理研計器製)を用いて測定した。
但し、実施例1、比較例2,3以外の点については、スパッタ時の基材温度を変えて作製したものであるが、組成は測定しなかった。
<電極の作成>
直径5.2mmの円柱状グラッシーカーボンを基材とし、その底面に電極物質としてZrO窒化物の薄膜をスパッタにより形成させた。スパッタする際のガス雰囲気の影響を調べるために、基板温度を800℃に固定し、N2流量を0、10、24,29 cm3 min-1 (0℃、1.013×106Pa換算)とし、各々のN2流量下で、O2流量をそれぞれ0.01、0.05、0.10、0.15、0.30 cm3 min-1とした条件で成膜した。Ar流量はN2との流量和が29 cm3 min-1となるように制御した。チャンバー内の全圧は毎回測定したが、およそ5.0×10-1 Paであった。流量とチャンバー内の全圧からN2、O2分圧を算出した。成膜時間は全て80 分、スパッタ出力は150 Wとした。
図8にいくつかの代表的なガス雰囲気において作製したZrOxNyの酸素還元反応の電流−電位曲線を示す。図8に表示した実施例2は、適度にN2及びO2を含む場合(PAr=0.089 Pa, PN2=0.41 Pa, and PO2=1.7 mPa; PN2/PO2=240)である。図8に表示した比較例4は、実施例2に比べてO2の流量を1/10にした場合(PAr=0.090 Pa, PN2=0.41 Pa, and PO2=0.17 mPa; PN2/PO2=2400)である。図8に表示した比較例5は、N2を含まないArとO2のみで作製した場合である。
実施例2ではiORRは0.8 Vから観測され、高い酸素還元触媒能を有することがわかる。PN2/PO2が実施例2に比べて一桁大きい比較例4の場合は、実施例2に比べて触媒能が低下した。また、N2を含まない雰囲気で作製した比較例5の場合、触媒活性は非常に低いことがわかった。
これらのことから、800℃に基板を加熱しても、スパッタ時のガス雰囲気が酸素還元触媒能に大きな影響を与えることがわかる。さらに比較例5が最も活性が高いことから、適度なN2とO2を含む雰囲気でのスパッタで高い酸素還元活性が得られると考えた。そこで、さらに詳細にガス雰囲気の影響を調べるため、以下のように酸素還元開始電位EORRのO2分圧PO2及びN2分圧PN2依存性を調べた。
図9に、N2流量を10、24、及び29 cm3 min-1としたときのEORRとPO2の関係を示す。このN2流量のもとでは、O2分圧が2 mPaにおいてEORRが0.78 Vの極大をとった。つまり適度なO2分圧下でスパッタを行うことが酸素還元活性の向上に大きく寄与しているといえる。
図10に、O2流量を0.01〜0.30 cm3 min-1まで変化させたときのEORRとPN2の関係を示す。N2がスパッタ時のガスに含まれていない場合のEORRは0.2〜0.5 Vと非常に低い。したがって、スパッタ時のガスにN2を含むことが、酸素還元触媒能に必要であることがわかる。また、PN2が0.2 Pa以上ではEORRは0.7 Vとなり、ほとんど変化しないことから、N2の存在は必要であるが、本作製条件においては、N2分圧は酸素還元触媒能にはそれほど影響せず,スパッタ時の雰囲気にN2がある程度含まれていればよいことがわかる。
以上のことから、反応性スパッタ法で作製した薄膜触媒が高い酸素還元触媒能を持つためには、スパッタ時のガスにN2及び適度なO2を含むことが重要であることがわかった。この結果は、ジルコニウムの窒化と適度な酸化が重要である可能性を示している。
図11は、図8に示す条件でそれぞれ作製した触媒の薄膜X線の回折パターンを示す。
図11において、最も高活性な実施例2ではZr2ON2の生成が確認された。また触媒能が少し低い比較例4ではZr7O8N4の生成と同時に、O2分圧が低いことに起因してZrNの生成が観察された。また、触媒能が極めて低い比較例5では、ZrとZrO0.35の間に位置するピークと、ZrOのピークとが観察され、低次の酸化物が生成したことを示した。
図7に示した基板温度を変化させた場合と同様に、ガス雰囲気を変化させた図11の場合においても、高い酸素還元活性を持つ触媒がZr2ON2を含むことがわかった。これらの結果から、結晶性の高いZr2ON2の構造を持つことが高い酸素還元触媒能を有するために必要であると考えられる。
図12に、ガス雰囲気を変化させて作製した薄膜触媒のイオン化エネルギーと酸素還元開始電位の関係を示す。
図12から明らかなように、まず、触媒の構造がZr2ON2と異なる比較例2〜5の場合、イオン化エネルギーに関わらず、0.75Vを超える酸素還元開始電位が得られなかった。
一方、実施例1,2及び他の記号●(これらがすべてZr2ON2であることは、薄膜X線の回折パターンで確認した)のデータは、いずれも5.0〜5.4eVの範囲で、0.75Vを超える高い酸素還元開始電位が得られた。0.75Vを超える高い酸素還元開始電位が得られた触媒の薄膜X線の回折パターンには、いずれもZr2ON2の生成が確認されたことは図11に示した通りである。
なお、実施例1,2以外で、イオン化ポテンシャルが5.4eV以上を示した記号●の試料は、粉末のZrO2をアンモニア気流(1dm3/min)中、900℃で30〜60時間保持し、酸窒化を行い作製した。粉末XRDの結果より、結晶性の高いZr2ON2であることを確認した。これらのZr2ON2は酸素還元開始電位が0.5V程度と酸素還元活性が極めて低い。
以上の結果から、結晶性の高いZr2ON2の構造を持つZr化合物が酸素還元触媒能に重要であることがわかった。又、図12から、本発明の電極触媒において、イオン化ポテンシャルが5.4eV以下であることが好ましく、5.1〜5.4eVがより好ましいことが判明した。
なお、Zr2ON2は光触媒として研究されており、2.6 eVのバンドギャップを持ち(T. Mishima, M. Matsuda, and M. Miyake, Appl. Catal. A Gen, 324, 77 (2007).)、価電子帯の上端エネルギー準位は酸素電極反応の標準電極電位である−5.6 eVよりも低いはずであることが知られている。従って、純物質のZr2ON2は、高い酸素還元触媒能を持たないと予想される。
図13に、文献に基づき、ZrO2と純物質のZr2ON2としてそれぞれ予想される電子状態を示す(J. W. Schultze and A. W. Hassel, "Encyclopedia of Electrochemistry Vol.4", WILEY-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA (2003), 234. 及び U. Vohrer, H.-D. Wiemhofer, W. Gopel, B. A. Van Hassel, and A. J. Burggraaf, Solid State Ionics, 59, 141 (1993))。図13は、ZrO2の窒化により,バンドギャップが減少し,それとともに価電子帯の上端エネルギー準位が-5.6 eVに近づくことを示している。従って、純物質のZr2ON2のイオン化ポテンシャルは5.6 eV以上であると考えられる。
なお、図13に示したように、ZrO2のイオン化ポテンシャルは7.4 eVであるので、ZrO2からZr2ON2への変化にともなって,イオン化ポテンシャルは減少する。一般に酸化物のイオン化ポテンシャルは、金属表面への酸素の吸着とともに増加し、逆に酸化物表面の欠陥密度の増加とともに減少することが知られている。従って、Zr2ON2の構造を持つZr薄膜のイオン化ポテンシャルが、ZrO2やZr2ON2から予想される値よりも小さいことは、表面に酸素あるいは窒素の欠陥を生じている可能性を示していると考えられる。
電極薄膜の断面TEM像を示す図である。 図1の薄膜のX線回折チャートを示す図である。 電極薄膜の断面TEM像を示す別の図である。 電極薄膜の断面TEM像を示すさらに別の図である。 図3、4の薄膜のX線回折チャートを示す図である。 実施例1の電極材料を用いた電極の電流−電位曲線を示す図である。 電流−電位曲線のターフェルプロットを示す図である。 電流−電位曲線のターフェルプロットを示す別の図である。 電極薄膜の作製時のスパッタ条件と酸素還元開始電位との関係を示す図である。 電極薄膜の作製時のスパッタ条件と酸素還元開始電位との関係を示す別の図である。 実施例2、比較例4,5の薄膜のX線回折チャートを示す図である。 イオン化エネルギーと酸素還元開始電位との関係を示す図である。 文献による、ZrO2と純物質のZr2ON2とのイオン化エネルギーを示す図である。

Claims (3)

  1. X線回折による結晶構造がZrO1/2Nであり、30℃の0.1mol/L硫酸水溶液中で、走査速度5mV/sで電位走査したとき、酸素還元電流が流れ始める時の電位が可逆水素電極電位基準で0.75V以上となることを特徴とする電極触媒。
  2. イオン化ポテンシャルが5.4eV以下である請求項1記載の電極触媒。
  3. 請求項1又は2記載の電極触媒の微粒子を担持して成ることを特徴とする電極。
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