JP5206286B2 - 2サイクルエンジン及びそれを備えたエンジン工具 - Google Patents

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Description

本発明は、2サイクルエンジン、特に刈払い機、チェンソーおよびブロア等の手持ちエンジン工具に好適な2サイクルエンジン及びそれを備えたエンジン工具に関する。
従来から、反転掃気式2サイクルエンジンでは、クランク室内の混合気が掃気通路を通じてシリンダ側壁の掃気ポートからシリンダ内に供給されるものが知られている。この掃気通路としては、シリンダブロック内に設けたもの(例えば特許文献1)、シリンダの側壁にシリンダ軸線方向に延びる溝を凹設してこの溝とピストン側壁との間の空間により形成したものがある。
特開2000−179346号公報
しかしながら、シリンダブロック内に掃気通路を形成する場合には、複雑な型を用いるために製造工程が複雑となり、製造コストが高くなるという問題がある。また、シリンダブロック内の掃気通路をピストンの側壁とシリンダ側壁の溝に置き換えた場合、ピストンが下降して燃焼室と掃気通路が繋がると、燃焼室内の燃焼ガスが掃気通路を通ってクランク室内に逆流し易くなり、さらにピストンが下降してクランクケース内の混合気の圧力が上昇すると、クランクケース内の混合気が必要以上に燃焼室に流入して排気口から未燃焼のまま吹き抜け易くなる。このため、クランクケース内の混合ガス濃度が低下し、エンジンの出力が低下することや、排気ガス特性が悪化してしまうという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、エンジン出力の低下や排気ガス特性の悪化を抑制することができ、かつ製造コストを低減した2サイクルエンジンを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点に係る2サイクルエンジンは、
吸気通路に連通する吸気ポートと、排気通路に連通する排気ポートと、下死点側の端部から上死点方向に第1の所定位置まで延びてピストンの側壁との間で掃気通路を形成する凹溝と、が側壁に形成されたシリンダと、
前記シリンダの下死点側の端部に取り付けられるクランクケースとを備える2サイクルエンジンにおいて、
前記第1の所定位置より下死点側の第2の所定位置まで前記シリンダの下死点側端部から上死点方向に延びて前記凹溝を前記シリンダの周方向に覆うとともに、クランク室と前記掃気通路とをつなぐ貫通孔が形成され、前記ピストンの側壁と対向可能に配置されるリブを備えることを特徴とする。
また、前記クランクケースには、前記凹溝の下死点側に対向して上死点に向かって開口し、前記掃気通路に接続する凹部が形成され、前記貫通孔は前記凹部に連通している。
また、本発明の第2の観点に係る2サイクルエンジンは、
吸気通路に連通する吸気ポートと、排気通路に連通する排気ポートと、下死点側の端部から上死点方向に第1の所定位置まで延びる凹溝と、が側壁に形成されたシリンダと、
前記シリンダの下死点側の端部に取り付けられるクランクケースとを備える2サイクルエンジンにおいて、
前記第1の所定位置より下死点側の第2の所定位置まで前記シリンダの下死点側端部から上死点方向に延びて前記凹溝を前記シリンダの周方向に覆うとともに、ピストンの側壁と対向可能に配置されるリブと、前記凹溝の下死点側に対向して上死点に向かって開口し、前記リブと前記凹溝により形成される通路に接続する凹部と、クランク室と前記凹部とをつなぐ前記リブに形成された貫通孔と、を備え、
前期ピストンが下死点付近にある時に、前記凹溝、前記ピストンの側壁、前記リブ、前記凹部、及び前記貫通孔により、前記クランク室と燃焼室とを連通させることを特徴とする。
また、前記貫通孔の面積が、前記ピストンが下死点にある時の、前記凹溝と前記ピストンにより前記シリンダの側壁に形成される開口の面積よりも小さいことが好ましい。
さらに、前記リブの少なくとも前記ピストンと対向する位置での内径が、前記シリンダの内径より大きい。
また、前記第2の所定位置は、前記凹溝が燃焼室と連通している間の前記ピストン側壁の前記凹溝に対向する下死点側の端部よりも、上死点側に位置することが好ましい。
さらに、前記凹溝には、シリンダ内壁側に、上死点方向には前記シリンダの下死点側端部から前記第2の所定位置まで延びるとともに、周方向に前記凹溝の少なくとも一方の端部を越えて延びる拡幅部が形成され、前記リブが、前記拡幅部を閉塞することが好ましい。
前記凹溝には、前記凹溝の半径方向の端部から前記シリンダ内周面に向かって突出し、下死点側の端部から上死点側の端部に延びて前記凹溝をシリンダ周方向に隔てるシリンダ側の壁板が設けられ、前記凹部には、前記シリンダ側の壁板に対向し、前記リブとの間で上死点側の端部から下死点側の端部まで延びて、前記凹部をシリンダ周方向に隔てるクランク室側の壁板が設けられ、前記貫通孔が、該クランク室側の壁板で隔てられた凹部に対応して、それぞれ設けられてもよい。
前記凹溝は複数形成され、前記凹部は前記凹溝に対応して複数形成され、前記リブには前記ぞれぞれの凹部に対応する貫通孔がそれぞれ形成されてもよい。
また、本発明の第3の観点に係るエンジン工具は、これらの2サイクルエンジンを備えることを特徴とする。
本発明によれば、シリンダの側壁に下死点側の端部から上死点方向に延びる掃気溝を形成して掃気通路とし、クランクケースに形成された貫通孔を有するリブが掃気溝の所定領域を覆う。このため、掃気通路としてシリンダブロックには単に溝を形成するだけなので、加工が容易となり製造コストを大幅に低減することができるうえ、リブによりクランクケースの強度を向上させることもできる。さらに、クランク室の混合気はリブの貫通孔を通じて掃気溝から燃焼室に導かれるので、貫通孔により混合気の流入量を規制して燃焼室内への余分な混合気の流入を抑制することができ、排気ポートから排出される混合気の量を低減して、排出ガス特性値の悪化を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に沿って説明する。図1は本発明の2サイクルエンジン(以下、エンジン)1のシリンダ軸線10を含み排気ポート14を2分割する位置での断面図である。図2は図1のII−II線断面図、図3はシリンダブロックとクランクケース7を組み付けた状態の図1に対応する断面図を示す。また、図4は図3の要部のIV−IV線断面図、図5はシリンダブロックの底面図、図6はクランクケース7の半分の斜視図、図7はクランクケース7の上面図、図8は図1のVIII−VIII線断面図、図9は図1のIX−IX線断面図を示す。図10はピストン2が下死点位置にある時の図1に対応する断面図、図11はピストン2が掃気行程開始直後の位置にある時の図1に対応する断面図である。また、図12は本発明のエンジン1を搭載した刈払機1001を示す図である。
図12に本実施形態のエンジン1を搭載した刈払機1001を示す。刈払機1001、操作桿1002の先端に回転刃1003が、後端にはエンジン1が取り付けられている。エンジン1の出力は、操作桿1002内に挿通させたドライブシャフトを介して回転刃1003に供給される。操作者は操作桿1002に取り付けられたハンドル1004を把持して操作する。
図1において、エンジン1のシリンダブロック3にはクランクケース7が取り付けられる。シリンダブロック3のシリンダ4内では、ピストン2が図1において上下動(図中の上下でシリンダの軸線10の方向の意)する。なお、特に断わらない限り、上死点側を上方、下死点側を下方とする。図1では、ピストン2が上死点にある状態を示す。シリンダ4は、上方の端部に点火プラグ19が取り付けられ、下方の端部でクランクケース7内のクランク室12に接続される。また、ピストン2はピストンピン6、コンロッド5を介してクランクケース7に回転可能に支持されたクランク軸15に接続される。クランク軸15にはクランクウエイト8が取り付けられている。
シリンダブロック3には、シリンダ4内から燃焼ガスを排気するための排気ポート9がシリンダ4の側部に形成される。また、シリンダ4を挟んで排気ポート9の反対側のシリンダ4の側部には、クランク室12に混合気を供給する吸気ポート13が形成される。図3に示されるように、シリンダ4の側部にはさらにシリンダ軸線10方向にシリンダ4の下端から上方に向かって延びる掃気溝11が形成される。掃気溝11は仕切板7により排気ポート9に近い排気側掃気溝11aと吸気ポート13に近い吸気側掃気溝11bとに隔てられる。排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bは、シリンダ軸線10を通り排気ポート9をシリンダ4の周方向に2等分する面と対称に、それぞれ一対形成される。また、図3に示すように、排気側掃気溝11aの周方向の幅は吸気側掃気溝11bの幅より小さい。図4に示すように、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bはそれぞれ、シリンダ軸線10方向視において、排気ポート9とは反対側のシリンダ側面(反排気ポート側)に向かって開口する。さらに、図5に示すように、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bには、下方部分において後述するリブ14が収容される、半径方向には一定の幅を有し、周方向には掃気溝11の周方向の端部を越えて広がった拡幅部20が形成される。
図1に示すように、吸気ポート13の上方端部は、ピストン2が上死点にある時にピストン2の下端近傍に位置する。また、排気ポート9の下方端部は、吸気ポート13の上方端部よりも上方であって、ピストン2が下死点にある時にピストン2の上端近傍に位置する。そして、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bの上方端部は、排気ポート9の上方端部と下方端部の間(第1の所定位置)に位置する。
クランクケース7は2つの部品から構成される。クランクケース7を構成する部品の一方を示した図6に示すように、クランクケース7にはシリンダ4の拡幅部20に向かって突出する上面視において円弧状のリブ14が形成される。また、クランクケース7を構成する部品の他方にも、エンジン1の組み立て状態において、シリンダ軸線10を通りクランク軸線16に垂直な面に関して対称にリブ14は形成される。また、図7に示すように、クランクケース7には、それぞれのリブ14の半径方向外側に掃気凹部21が形成され、掃気凹部21はクランク側仕切板22により排気ポート9に近い排気側掃気凹部21aと吸気ポート13に近い吸気側掃気凹部21bとに隔てられる。リブ14にはそれぞれ図9に示すように、掃気凹部21とクランク室12とを連通する掃気入口孔18が形成される。掃気入口孔18は、排気側掃気凹部21aおよび吸気側掃気凹部21bとクランク室12とをそれぞれ連通する排気側掃気入口孔18aおよび吸気側掃気入口孔18bから構成される。なお、排気側掃気入口孔18aの面積は、ピストン2が図10に示すように下死点の場合の排気側掃気溝11aとピストン2上端部によりシリンダ4の側部に形成される開口の面積より小さい。また、吸気側掃気入口孔18bの面積は、ピストン2が下死点の場合の吸気側掃気溝11bとピストン2上端部によりシリンダ4の側部に形成される開口の面積より小さい。そして、排気側掃気入口孔18aと吸気側掃気入口孔18bの面積は、上述のように排気側掃気溝11aと吸気側掃気溝11bの周方向の幅が異なるので異なっている。なお、掃気溝11とリブ14またはピストン2の側壁によって形成される通路および掃気凹部21の通路断面積は、いずれの場所においても掃気入口孔18の面積より大きく、掃気入口孔18以外の部分が絞りになることは無い。
シリンダブロック3とクランクケース7を組み付けた状態において、図8に示すように、リブ14はシリンダブロック3の拡幅部20内に収容される。リブ14の内径はシリンダ4の内径より僅かに大きく、リブ14はピストン2の上下動に干渉することは無い。また、図2に示すように、リブ14の上方の端部は、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bの上端よりも下方(第2の所定位置)であって、ピストン2が下方に移動して排気側掃気溝11aまたは吸気側掃気溝11bが燃焼室23と連通する間、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bに対向するピストン2の側壁の下端よりも上方(第2の所定位置)に位置するように形成され、拡幅部20の上端もリブ14の上端に当接するように形成される。また、シリンダブロック3に形成された仕切板17とクランクケース7に形成されたクランク側仕切板22は当接し、シリンダブロック3とクランクケース7の接合部においても2つに隔てられた掃気溝11および掃気凹部21を隔てる。したがって、シリンダブロック3の排気側掃気溝11aとクランクケース7の排気側掃気凹部21aとが連通し、吸気側掃気溝11bと吸気側掃気凹部21bとが連通し、それぞれが掃気通路を形成する。
次に、本実施形態のエンジン1の一サイクルのガスの流れについて説明する。燃焼室23にある混合気はピストン2が上死点付近に来ると点火プラグ19により点火される。燃焼室23の混合気は燃焼し燃焼ガスとなり、高温、高圧となってピストン2を上死点から下死点に向かって押し下げる。ピストン2が下降すると、最初に排気ポート9が開く。排気ポート9が開くと、シリンダ4内の高圧の燃焼ガスは排気ポート9から流出する。同時に、ピストン2の下降に伴い、クランク室12内の混合気が圧縮され、クランク室12内の混合気の圧力が上昇する。
さらにピストン2が下降すると、図11に示すように、排気側掃気溝11a、吸気側掃気溝11bと燃焼室23が連通する。連通初期では、燃焼室23内の燃焼ガスの圧力がクランク室12内の混合気の圧力よりも高いので、燃焼ガスが排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bに逆流する。しかし、上述のように、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bはピストン2の側壁とクランクケース7から延びるリブ14とにより覆われる。また、排気側掃気溝11aまたは吸気側掃気溝11bと燃焼室23とが連通する間、リブ14の上端は、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bに対向するピストン2の下端よりも上方に位置する。したがって、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bは、上方ではピストン2の上端と排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bのシリンダ4側壁との境界とで画定されるそれぞれの開口部分で燃焼室23と連通し、下方では下端で排気側掃気凹部21aおよび吸気側掃気凹部21bと連通し、例えばピストン2とリブ14の間といった、開口部分と排気側掃気凹部21aおよび吸気側掃気凹部21b以外の部分で燃焼室23またはクランク室12に連通することは無い。また、排気側掃気凹部21aおよび吸気側掃気凹部21bは、下端の排気側掃気入口孔18aおよび吸気側掃気入口孔18b以外でクランク室12と連通することは無い。このため、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11b内に逆流した燃焼ガスは、排気側掃気入口孔18aおよび吸気側掃気入口孔18b以外からクランク室12内に流入することが無く、燃焼ガスの逆流によるクランク室12内の混合気の濃度低下を抑制することができる。また、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bのリブ14より上の領域はピストン2の側壁に覆われるので、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11b内の混合気はピストン2によって直接暖められ、混合気中の燃料の気化を促進することもできる。
ピストン2がさらに下降すると、クランク室12内の圧力が燃焼室23内の圧力より高くなり、クランク室12内の混合気は、排気側掃気入口孔18aおよび吸気側掃気入口孔18bからそれぞれ排気側掃気凹部21aおよび吸気側掃気凹部21b、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bを通ってシリンダ4内に流入する。ここで、上述のように、排気側掃気入口孔18aおよび吸気側掃気入口孔18bの面積は、それぞれピストン2が下死点の場合の排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bとピストン2上端部によりシリンダ4の側部に形成されるそれぞれの開口の面積より小さい。このため、燃焼室23内に流入する混合気の量を規制することができるとともに、燃焼室23内に流入する混合気の流速を制御することができるので、燃焼室23に流入した後に排気口9から流出する混合気の量を低減するだけではなく、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bそれぞれから燃焼室23内に流入する混合気の流速を調整することができ、燃焼室23に留まる混合気の量を多くすることができる。また、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bはシリンダ軸線10方向視において、反排気ポート側に向かってそれぞれ開口する。このため、燃焼室23に流入した混合気は排気ポート9とは反対側に向かうことになり、混合気が排気ポート9から流出することをさらに抑制することができる。
ピストン2が図10に示すように下死点に達して上死点に向かって上昇すると、排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bと燃焼室23とのそれぞれの連通部分が徐々に狭くなって閉じられ、続いて排気ポート9も閉じられる。この時、クランク室12が膨張して負圧となるため、混合気を供給する吸気ポート13が開口してクランク室12に混合気が供給される。そして、次のサイクルに移行する。
このように本実施形態のエンジン1では、シリンダ4の側壁に上下方向に延びる掃気溝11(排気側掃気溝11a、吸気側掃気溝11b)を形成して掃気通路とし、クランクケース7に形成された掃気入口孔18(排気側掃気入口孔18a、吸気側掃気入口孔18b)を有するリブ14が掃気溝11の所定領域を覆う。このため、クランク室12から流入する混合気は掃気入口孔18を通じて掃気溝11から燃焼室23に導かれる。また、混合気が掃気入口孔18以外を通って燃焼室23に流入することが妨げられるうえ、掃気入口孔18により混合気の流入量が規制される。したがって、燃焼室23内への余分な混合気の流入を抑制することができ、排気ポート9から排出される混合気の量を低減して、排出ガス特性値の悪化を抑制することができる。また、シリンダブロック3には掃気通路として単に溝を形成するだけで良いので、加工が容易となり製造コストを大幅に低減することができる。また、リブ14はクランクケース7に一体的に形成されているため、部品点数が増加することが無く、構成を簡単にすることができる。さらに、クランクケース7に形成されたリブ14はクランクケース7の強度を向上させることもできる。また、燃焼室23への混合気の流入量の規制を行なう掃気入口孔18は、クランクケース7に形成されるので、所望の流入量を実現するために所望の径の掃気入口孔18を機械加工で形成等の加工が容易に行なうことができ、この点からも製造コストを低減することができる。また、混合気が掃気溝11内でピストン2の側壁により直接加熱されるので、混合気内の燃料の気化が促進され、燃焼時の燃焼状態が良くなり排出ガス特性値の悪化をさらに抑えることもできる。
また、掃気溝11と燃焼室23とが連通する間、リブ14の上端は、掃気溝11に対向するピストン2の下端よりも上方に位置する。このため、燃焼ガスが燃焼室23から掃気溝11内に逆流しても、ピストン2とリブ14の隙間から燃焼ガスがクランク室12に流入することが大幅に抑えることができ、クランク室12内の混合気濃度の低下を抑制し、エンジン1の出力低下を抑えることができる。
また、排気側掃気入口孔18aおよび吸気側掃気入口孔18bの面積は、ピストン2が下死点の場合の排気側掃気溝11aおよび吸気側掃気溝11bとピストン2上端部によりシリンダ4の側部に形成されるそれぞれの開口の面積より小さい。このため、クランク室12から燃焼室23内に流入する際の抵抗が増し、混合気の量を規制することができるとともに、燃焼室23内に流入する混合気の流速を制御することができる。したがって、燃焼室23に留まる混合気の量を多くすると同時に、燃焼室23に流入した後に排気ポート9から流出する混合気の量を低減し、排出ガスの特性値の悪化を抑えることができる。
さらに、リブ14の内径はシリンダ4の内径より僅かに大きいので、リブ14がピストン2の上下動に干渉することは無いうえ、リブ14とピストン2の側壁との隙間から燃焼室23内の燃焼ガスがクランク室12内に漏れることも抑制される。また、リブ14はシリンダブロック3の掃気溝11の拡幅部20内に収容されるので、掃気溝11の閉塞を容易かつ確実に行なうことができる。
また、掃気溝11および掃気凹部21は、仕切り板17およびクランク側仕切板22により、排気側掃気溝11aと吸気側掃気溝11bおよび排気側掃気凹部21aと吸気側掃気凹部21bに隔てられ、それぞれに対応する排気側掃気入口孔18aと吸気側掃気入口孔18bが形成される。このため、排気側掃気溝11aと吸気側掃気溝11b(排気側掃気凹部21aと吸気側掃気入口孔18b)内の流れをそれぞれ別個に調整することができ、燃焼室23内の混合気または燃焼ガスの最適な流れを容易に得ることができる。
なお、上述の実施形態において、掃気溝11は排気側掃気溝11aと吸気側掃気溝11b、掃気凹部21は排気側掃気凹部21aと吸気側掃気凹部21bに隔てられている。しかし、必ずしもこのように構成する必要は無く、例えばシリンダを挟んで1対の掃気溝および掃気凹部、または3対以上の掃気溝および掃気凹部を設けることができ、この本数は、シリンダ2内の混合気または燃焼ガスの最適な流れを得るため適宜選択することができる。
また、上述の実施形態では、掃気入口孔18(排気側掃気入口孔18a、吸気側掃気入口孔18b)の面積は、ピストン2の下死点位置に対応して決められている。しかし、必ずしもピストン2の下死点位置との対応で決める必要は無く、シリンダ2内の所望の流れが得られるように、掃気溝11の形状に対応させることや、実験等から適宜決定してもよい。
さらに、上述の実施形態においては、クランクケース7に掃気溝11(排気側掃気溝11a、吸気側掃気溝11b)と連通する掃気凹部21(排気側掃気凹部21a、吸気側掃気凹部21b)が形成されているが、シリンダブロック3、クランクケース7、ピストン2、コンロッド5の寸法に応じて掃気凹部21(排気側掃気凹部21a、吸気側掃気凹部21b)は無くてもよい。この場合には、リブ14に形成される掃気入口孔18(排気側掃気入口孔18a、吸気側掃気入口孔18b)は、掃気溝11と連通するように形成される。
更に、上述の実施形態においては、リブ14はクランクケース7に一体に形成されているが、リブ14を別体で形成し、シリンダブロック3とクランクケース7で、上下より挾持する構成としても良く、このような構成でも、掃気通路はシリンダブロックに単に溝を形成するだけでよいため製造コストの低減が図れると共に、簡単に貫通孔を形成できるため混合気の流入量を規制して燃焼室内への余分な混合気の流入を抑制することができるという作用効果を奏し得ることができる。但し、リブ14を別体で構成する場合、エンジン1の振動によるリブ14の脱落や、共振の影響を考慮する必要があるため、一体で形成したほうが望ましい。
本発明の2サイクルエンジンのシリンダ軸線を含み排気ポートを2分割する位置での断面図。 図1のII−II線断面図。 シリンダブロックとクランクケースとを組み付けた状態の図1に対応する断面図。 図3のIV−IV線における要部断面図。 シリンダブロックの底面図。 クランクケース7の半分の斜視図。 クランクケース7の上面図。 図1のVIII−VIII線断面図。 図1のIX−IX線断面図。 ピストンが下死点の場合の図1に対応する断面図。 掃気行程開始直後における図1に対応する断面図。 本発明の2サイクルエンジンを搭載した刈払機を示す斜視図。
符号の説明
1 エンジン
2 ピストン
3 シリンダブロック
4 シリンダ
7 クランクケース
9 排気ポート
10 シリンダ軸線
11 掃気溝
11a 排気側掃気溝
11b 吸気側掃気溝
12 クランク室
13 吸気ポート
14 リブ
18 掃気入口孔
18a 排気側掃気入口孔
18b 吸気側掃気入口孔

Claims (10)

  1. 吸気通路に連通する吸気ポートと、排気通路に連通する排気ポートと、下死点側の端部から上死点方向に第1の所定位置まで延びてピストンの側壁との間で掃気通路を形成する凹溝と、が側壁に形成されたシリンダと、
    前記シリンダの下死点側の端部に取り付けられるクランクケースとを備える2サイクルエンジンにおいて、
    前記第1の所定位置より下死点側の第2の所定位置まで前記シリンダの下死点側端部から上死点方向に延びて前記凹溝を前記シリンダの周方向に覆うとともに、クランク室と前記掃気通路とをつなぐ貫通孔が形成され、前記ピストンの側壁と対向可能に配置されるリブを備えることを特徴とする2サイクルエンジン。
  2. 前記クランクケースには、前記凹溝の下死点側に対向して上死点に向かって開口し、前記掃気通路に接続する凹部が形成され、前記貫通孔は前記凹部に連通することを特徴とする請求項1に記載の2サイクルエンジン。
  3. 吸気通路に連通する吸気ポートと、排気通路に連通する排気ポートと、下死点側の端部から上死点方向に第1の所定位置まで延びる凹溝と、が側壁に形成されたシリンダと、
    前記シリンダの下死点側の端部に取り付けられるクランクケースとを備える2サイクルエンジンにおいて、
    前記第1の所定位置より下死点側の第2の所定位置まで前記シリンダの下死点側端部から上死点方向に延びて前記凹溝を前記シリンダの周方向に覆うとともに、ピストンの側壁と対向可能に配置されるリブと、前記凹溝の下死点側に対向して上死点に向かって開口し、前記リブと前記凹溝により形成される通路に接続する凹部と、クランク室と前記凹部とをつなぐ前記リブに形成された貫通孔と、を備え、
    前期ピストンが下死点付近にある時に、前記凹溝、前記ピストンの側壁、前記リブ、前記凹部、及び前記貫通孔により、前記クランク室と燃焼室とを連通させることを特徴とする2サイクルエンジン。
  4. 前記貫通孔の面積が、前記ピストンが下死点にある時の、前記凹溝と前記ピストンにより前記シリンダの側壁に形成される開口の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の2サイクルエンジン。
  5. 前記リブの少なくとも前記ピストンと対向する位置での内径が、前記シリンダの内径より大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の2サイクルエンジン。
  6. 前記第2の所定位置は、前記凹溝が燃焼室と連通している間の前記ピストン側壁の前記凹溝に対向する下死点側の端部よりも、上死点側に位置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2サイクルエンジン。
  7. 前記凹溝には、シリンダ内壁側に、上死点方向には前記シリンダの下死点側端部から前記第2の所定位置まで延びるとともに、周方向に前記凹溝の少なくとも一方の端部を越えて延びる拡幅部が形成され、
    前記リブが、前記拡幅部を閉塞することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の2サイクルエンジン。
  8. 前記凹溝には、前記凹溝の半径方向の端部から前記シリンダ内周面に向かって突出し、下死点側の端部から上死点側の端部に延びて前記凹溝をシリンダ周方向に隔てるシリンダ側の壁板が設けられ、
    前記凹部には、前記シリンダ側の壁板に対向し、前記リブとの間で上死点側の端部から下死点側の端部まで延びて、前記凹部をシリンダ周方向に隔てるクランク室側の壁板が設けられ、
    前記貫通孔が、該クランク室側の壁板で隔てられた凹部に対応して、それぞれ設けられることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の2サイクルエンジン。
  9. 前記凹溝は複数形成され、
    前記凹部は前記凹溝に対応して複数形成され、
    前記リブには前記ぞれぞれの凹部に対応する貫通孔がそれぞれ形成されることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の2サイクルエンジン。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の2サイクルエンジンを備えたことを特徴とするエンジン工具。
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